MarTech(マーテック)とは?MarTech(マーテック)の種類と具体的なツール例を紹介

2025/01/25
SaaS マーテック(MarTech) MarTech(マーテック)とは?MarTech(マーテック)の種類と具体的なツール例を紹介

2020年代に入ってマーケティング担当者になった方であれば、マーケティング担当者がマーケティングオートメーション(MA)などのテクノロジーを使うのは比較的当たり前のように感じているでしょう。

実はMAは、日本では比較的新しいカテゴリーに入るテクノロジーです。2010年代後半から2020年代初頭にかけて日本市場で徐々に普及し始めたものであり、それ以前からマーケティングに従事していた方にとっては、それまで存在していなかった類のツールといえます。

2010年代以降にデジタルツールが急激に増加しており、急激な変化に合わせてMAのようなマーテック(MarTech)を使いこなすスキルが、マーケティング担当者にとって必要になってきています。

2021年に、米国のデジタルカスタマーエクスペリエンスプラットフォーム企業の米Acquia社が、テクノロジーリサーチ会社Vanson Bourne社とともに、日本を含む世界8カ国の8000人の消費者と800人のマーケターに調査したレポートでは、96%がマーケティングツールのROIが向上したと述べています。マーテック活用で、デジタルマーケティングの成果が高くなることが期待できます。

そもそも日本企業の多くのマーケティング部門は人員不足(そもそも効率や仕事内容があやふやであるということもありますが...…)。なかには担当者1人で奮闘しているケースも多いので、マーテックで仕事を効率化することができれば、仕事をスムーズに進められるようになる可能性があります。

とはいえ年々増えゆくマーテック類から、自社にマッチしたツールを選ぶだけでも大変な労力がかかります。

本記事では、BtoB SaaSマーケティング担当者向けに「マーテックとは何か」「どのような種類があるか」について、詳しく解説します。

MarTech(マーテック)とは

そもそもMarTech(マーテック)とは、「Marketing(マーケティング)× Technology(テクノロジー)」を組み合わせた略語で、マーケティングやセールスで活用するソフトウェアの総称です。マーケティングに活用できるソフトウェアは、すでに世界では数多く出ており、日本でも比較的活用されている代表的なマーテックに以下があります。

  • コンテンツ管理システム (CMS)
  • 顧客関係管理 (CRM)
  • マーケティングオートメーション(MA)
  • 検索エンジン最適化 (SEO) ツール

マーケティング活動を支援・効率化するためのテクノロジーツールやソリューションを総称する言葉として使用されており、2024年現在におけるBtoB SaaSのマーケティング活動では欠かせない存在でしょう。

MarTech(マーテック)の発展の背景

2024年現在、グローバルにおけるマーテックの種類は、過去10年以上にわたって驚異的な成長を遂げています。

MarTechが公開している情報によると、2011年にはわずか150のソリューションしかなかったマーテックは、2024年には1万4000以上のアプリケーションが49のカテゴリーに分類されるまでに拡大。この13年間で9%以上という大幅な増加を記録し、年平均成長率(CAGR)は41.8%に達しています。

マーテックの成長傾向

(出典:MarTech 「What is martech and marketing technology?」)

この急激な成長の背景には、デジタルマーケティングの複雑化があります。現代のマーケティングでは、オンライン上での顧客行動の把握や、複数のチャネルを横断する顧客体験の設計が必須です。

さらに、大量のデータを収集・分析し、パーソナライズされたマーケティング施策を展開する必要性も高まっています。

市場規模の面では、米Forrester社の予測によると、世界のマーテック支出は2024年に1480億米ドルに達し、2027年までには2150億米ドルを超える見込みです。

年間成長率は13.3%と予測されており、この成長の主な要因として、データ管理の重要性の高まりや生成AIによるイノベーションの加速が挙げられています。実際、グローバルのBtoCマーケティング意思決定者の約3分の2が、テクノロジーへの投資を増やす計画があると回答しています。

MarTech.orgという組織

マーテックについて知見を深めたければ、米国に「MarTech.org」というマーケティングテクノロジーのコミュニティ組織があります。デジタルマーケティング業界向けにコンテンツやマーケティングソリューションを提供する米国Third Door Mediaが運営しており、このコミュニティには多数の専門家が参画しています。

公式HPから、以下のようなマーテックに関するさまざまな情報が入手可能です。

  • その日のニュースに関する文脈、意見、インスピレーションを提供するニュースレター、トレンド、戦術、ソリューションに関する記事や特集
  • マーケティングテクノロジーを活用して成功している企業を紹介するホワイトペーパーとウェビナーの情報
  • マーテックの導入を検討している人に向けた選択肢を紹介するレポート
  • 専門家による教育、リーダーや仲間との交流を提供するイベント(対面式、バーチャル)
  • マーテックに関するカンファレンスの実施

 

ただし何千種類とあるマーテック、その中にはプラットフォームもあれば一部領域に特化したマーテックもあります。企業規模や課題はもちろん、持っている予算、活用するITリテラシーによって最適なマーテックは異なります。

Harvard Business Reviewは、マーテック選びの参考になるレポートや論文を販売しているので、さらに学習したい方におすすめです。具体的に検討に入っている場合は、こちらもあわせて読むとマーテック選びのポイント、組み合わせのコツが理解できます。

レポート『流行りのマーケティングテクノロジーに飛び付くな』

(出典:HarvardBusinessReview「流行りのマーケティングテクノロジーに飛び付くな」)

MarTech(マーテック)とAdtech(アドテック)の違いと関係性

マーテックと混同しやすい概念として、Adtech(アドテック)があります。アドテックとは「Ad(広告)」の名のとおり、デジタル広告の購入・配信・測定に特化したテクノロジーの総称です。

マーテックは、製品やサービスの提供を作り出し、コミュニケーションを取り、デリバリーするためのテクノロジー。一方、アドテックは、商品やサービスのプロモーションを通じて購買行動に影響を与えることに特化したテクノロジーです。

MarTech(マーテック)の例

  • コンテンツ管理システム (CMS)
  • マーケティングオートメーション(MA)
  • 顧客関係管理 (CRM)
  • 検索エンジン最適化 (SEO) ツール

Adtech(アドテック)の例

  • デマンドサイドプラットフォーム(DSP)
  • サプライサイドプラットフォーム(SSP)
  • 広告配信システム
  • 広告効果測定ツール、ブランドセーフティ確保ツール

ただし、両者は完全に独立しているわけではなく、統合的なマーケティング活動を実現するために、相互に補完し合う関係にあります。

たとえば、CRMで得られた顧客データを広告配信に活用する。あるいは広告効果測定のデータをマーケティング戦略の立案に活用するなど、両者を連携させることで、より効果的なマーケティング活動が可能となります。

MarTech(マーテック)の重要性

マーテックがBtoB SaaSにおいても重要な理由として、以下が挙げられます。

Mar Tech(マーテック)の重要性

それぞれ個別に解説します。

マーケティング施策の管理の効率化

マーテックを活用することで、複数のマーケティングチャネルを一元的に管理し、生産性を向上させられます。特に、複数のデジタル施策を同時に展開する場合、マーテックを活用することで、リソースを効率的に配分し、効果的な施策管理が可能となるでしょう。

特に、お客さまと長期でコミュニケーションをとる必要があるBtoBマーケティングでは、カスタマージャーニーの各段階における施策を適切に管理しなければなりません。その上で、マーテックを活用することの恩恵は大きいといえます。

BtoBカスタマージャーニー

たとえば、メール配信プラットフォームを使用すれば、数千人の購読者に対して一度に配信することができ、手作業で行う場合と比べて大幅な時間短縮が可能です。

反復作業・施策の効率化

マーテックは、ソーシャルメディアへの投稿やメール配信など、定期的に発生する反復的なタスクの自動化を実現できます。これにより、マーケターはより戦略的で創造的な業務に時間を費やすことが可能です。また、自動化によってヒューマンエラーを減らし、一貫性のある施策展開を実現できます。

お客様の行動の可視化

マーテックプラットフォームは、複数のチャネルからデータを収集・集約し、見込み客の行動を包括的に把握できます。これにより、マーケターはターゲット層をより深く理解し、マーケティング戦略を適切に調整することが可能です。

具体的には「顧客がどのようなコンテンツに興味を示しているか」「どのような経路で購入に至ったか」など、詳細な行動データを基に戦略を最適化できます。

効果検証・改善の正確化 / 効率化

マーテックを活用することで、マーケティング活動の効果を正確に測定し、データに基づいた意思決定も可能になります。

「A/Bテスト」「インクリメンタルテスト」「リマーケティング」などの手法を用いれば、どの戦略が効果的か、どの部分に改善の余地があるのかを客観的に判断できるでしょう。また、各施策のROIを測定・比較することで、マーケティング予算の最適な配分も可能となります。

顧客エンゲージメントの向上

マーテックは、顧客とのより深い関係構築を支援します。パーソナライズされたコミュニケーションや、顧客の行動に基づいたタイムリーな情報提供が可能となり、より効果的な顧客エンゲージメントを実現できます。

たとえば、顧客の過去の購買履歴やウェブサイトでの行動データをもとに、一人ひとりに最適化されたコンテンツや商品レコメンデーションを提供することで、顧客満足度の向上やロイヤリティの強化につながります。

MarTech Stack(マーテックスタック)とは

MarTech Stack(マーテックスタック)とは、企業がマーケティング活動を効果的に実施するために使用する、複数のマーケティングテクノロジーツールの組み合わせを指します。

具体的には、以下のような目的に応じて、さまざまなマーテックツールを組み合わせてスタックを構築します。

  • 顧客データの管理と分析
  • キャンペーンの実施と効果測定
  • コンテンツの作成と配信
  • 顧客とのコミュニケーション
  • マーケティング活動の自動化

マーテックスタックの中核となるのは、顧客関係管理(CRM)システムです。CRMはさまざまなチャネルにおける顧客とのやり取りを一元管理し、データを蓄積する重要な基盤となります。さらに、各企業のニーズや目的に応じてツールを組み合わせることで、効率的なマーケティング活動を実現します。

たとえば、BtoB SaaSのマーケティング活動においては以下のようなツールの活用方法が考えられるでしょう。

<BtoB SaaSのマーテックスタックの例>

基幹システム

セールスフォースのCRMを中心に、HubSpot Marketing HubやMarketo EngageなどのMAを連携させ、リード情報の一元管理とナーチャリングの自動化を実現できる。

分析基盤

GoogleアナリティクスとMAのデータを統合し、マーケティング活動全体のROIを可視化。さらにBIツールと連携することで、より詳細な分析が可能。

広告配信

LinkedIn AdsやGoogleマーケティングプラットフォームを活用し、MAで特定した優良リードに対して、セグメントに応じた広告配信を実施できる。

これらのツールを適切に連携させることで、データの相互活用が可能となり、より効率的なマーケティング戦略の立案とリアルタイムな最適化が実現できます。ただし、導入にあたっては自社の規模やニーズを考慮し、必要な機能を見極めることが重要です。

MarTech(マーテック)の代表的な種類

さまざまな領域にまたがるマーテックですが、代表的なツールとしては次のものがあります。

Mar Tech(マーテック)の代表的な種類

以下より、個別にみていきましょう。

コンテンツ管理システム (CMS)

コンテンツ管理システム(CMS)は、Webサイト全体のコンテンツを統合的に管理・運用するためのシステムです。開発者に依頼することなく、マーケティング担当者自身でコンテンツの作成・編集・公開が可能となり、迅速な情報発信を実現します。

代表的なツールとしてWordPressが挙げられます。WordPressでは、直感的なインターフェースでページ作成や更新が可能です。

WordPressの管理画面

(出典:WordPress

BtoB SaaSにとっては単なるコンテンツの作成・管理を超えて、リードジェネレーションの効率化を図れるでしょう。

製品の特徴や利用シーンを伝える事例コンテンツ、ナレッジやノウハウを提供するブログ記事、リード獲得のためのホワイトペーパーやセミナーの案内など、見込み客との接点となるさまざまなコンテンツを、戦略に応じて柔軟に展開できます。

ソーシャルメディア管理プログラム

ソーシャルメディア管理プログラムは、複数のSNSアカウントを一元的に管理・運用するためのマーテックです。投稿のスケジュール配信や各SNSのパフォーマンス分析、エンゲージメントの測定など、SNSマーケティングに必要な機能を利用できます。

BtoB企業にとっても、SNSは見込み客との重要な接点です。英The Drumの調査では、BtoBバイヤーの85%がSNSで製品リサーチを行っており、特にミレニアル世代を中心に、LinkedInなどのビジネス向けSNSは製品情報の収集や企業評価の重要なチャネルとして定着しています。

このような環境において、ソーシャルメディア管理プログラムは、BtoB企業のブランド構築とコミュニケーションを効率的に支援します。製品アップデートや業界知見、カスタマーストーリーなど、さまざまなコンテンツを適切なタイミングで各SNSに配信し、投稿への反応や会話を一元管理することで、見込み客との継続的な関係構築を可能にします。

特に、長期的な信頼関係が重要となるBtoB SaaSビジネスでは、このような継続的なコミュニケーションの実現が、質の高い見込み客の獲得につながります。

コンバージョン率最適化 (CRO) ツール

コンバージョン率最適化(CRO)ツールは、Webサイト訪問者のアクションやコンバージョンを分析し、改善するためのマーテックです。ユーザーの行動パターンの可視化やフォーム入力状況の分析など、データに基づいた改善を支援します。

VWOのようなCROツールでは、ヒートマップやセッション録画機能を通じて、実際のユーザー行動を詳細に把握することができます。

コンバージョン率最適化 (CRO) ツールの例

(出典:VWO

BtoB SaaS企業にとって、Webサイトは最も重要な商談獲得チャネルのひとつです。しかし、資料ダウンロードやデモ依頼といった重要なアクションに至るまでに、離脱してしまうユーザーは多く存在します。

CROツールは、このような離脱が起こる原因を特定し、改善するためのデータとインサイトを得られます。たとえば、フォームの入力状況やページの離脱ポイントを分析することで、ユーザーが躊躇する要因を見つけ出し、コンバージョン率を向上させることが可能です。

特にBtoB SaaSでは、わずかなコンバージョン率の改善が大きな収益インパクトにつながります。CROツールを活用した継続的な改善は、マーケティング活動の費用対効果を最大化する上で重要な役割を果たすでしょう。

メールマーケティングプラットフォーム

メールマーケティングプラットフォームは、メールマーケティング活動を効率的に実施・管理するためのツールです。複数の意思決定者が関わるBtoB SaaSでは、見込み客の育成から商談創出までに時間を要します。

加えて、株式会社IDEATECHが行った調査では、メールマガジン配信の課題について45.6%の企業が「開封率が上がらない」と回答しています。

メルマガ配信に関する調査

(出典:PR Times「【BtoBで有益なメルマガ配信とは?】BtoB企業のメルマガ担当者に聞いた、2022年のBtoBCRM施策の実態を調査」)

そのような状況において、メールマーケティングを効率的に進めるため、メールマーケティングプラットフォームは重要な役割を担います。

具体的には、顧客の行動データや興味関心に基づいた「パーソナライズされたメールの自動配信」「A/Bテストによる効果検証」「詳細な配信分析」などの機能を利用可能。特に、見込み客の段階に応じたメッセージの最適化や、コンテンツの出し分けを自動で行えるため、マーケティング担当者の工数削減にも貢献します。

顧客関係管理 (CRM)

顧客関係管理(CRM)は、マーケティングから営業、カスタマーサポートまでの一連の顧客接点を効率的に管理するためのプラットフォームです。顧客データを一元管理し、部門を越えた情報共有を実現します。

特にBtoB SaaSでは商談の獲得から成約までに複数の部門が関わり、長期的な検討プロセスを経るため、CRMによる顧客情報の一元管理は収益化の要となります。

BtoB SaaS市場で広く採用されているのがHubSpot CRMです。AI機能を搭載した統合プラットフォーム上で、リードの創出から商談、契約後のカスタマーサクセスまで、顧客とのあらゆる接点を一元管理できます。

HubSpot CRMの機能

(出典:HubSpot CRM

これにより、部門を越えた顧客理解が深まり、より効果的なマーケティング施策を実施できるでしょう。

マーケティングオートメーション(MA)

マーケティングオートメーション(MA)は、見込み客の育成から収益化までのプロセスを自動化し、効率的に管理するためのツールです。

BtoB SaaSビジネスでは、見込み客の行動データに基づいた適切なナーチャリングが成約率を大きく左右します。そのため、MAによる自動化された継続的なコミュニケーションは、マーケティング活動の根幹を担います。

多くのBtoB企業でも導入されているMarketo Engageでは、AIを活用してバッチメールキャンペーンや自動ナーチャリング、高度なマルチステップキャンペーンなどのオムニチャネル施策を一元管理できます。

リードの獲得から営業部門への引き継ぎまでの一連のプロセスを自動化することで、商談創出の効率化と収益の最大化を実現できます。

検索エンジン最適化 (SEO) ツール

検索エンジン最適化(SEO)とは、GoogleやBingなどの検索エンジンで自社サイトを上位表示させ、オーガニック検索経由でリード獲得につなげる施策です。

検索エンジン最適化(SEO)ツールは、そんなSEOにおいてWebサイトの検索エンジンでの表示順位を向上させるための分析・改善を行うためのツールです。

BtoB SaaSビジネスにおいて、このSEOは見込み客との重要な接点となります。導入を検討する企業の担当者は、検討開始から半年以上前から「課題解決方法」「導入事例」「製品比較」など、さまざまなキーワードで情報収集を行うためです。

SISTRIXが「80万以上のキーワード」「数十億の検索結果」を分析した調査によると、Googleの第1位と2位ではユーザーのクリック率に大きな開きがあるとのことですので、対策の重要性がわかるでしょう。

オーガニック検索におけるクリック率・コンバージョン率に関する調査 (2)

(出典:SISTRIX「Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid」)

特にBtoB SaaSでは、商談単価が高く、意思決定までに時間がかかり、また複数の意思決定者が存在するという特徴があります。

そのため、長期的な視点で見込み客との接点を作るため、適切なコンテンツSEOを展開していくことが重要です。SEOツールは、このような複雑なBtoB SaaSのマーケティング活動において、データに基づいた戦略立案と実行を可能にします。

日本のMarTech(マーテック)を一覧で見る「マーケティングテクノロジーカオスマップ」

日本のマーテック市場を包括的に可視化する取り組みとして、アンダーワークス社が「マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN」を毎年発表しています。2023年版では、国内の主要マーケティングツール1740種類を32の分類で整理し、顧客の行動ステージに沿って体系化しています。

マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN 2023

(出典:アンダーワークス社「マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN 2023」)

このカオスマップは以下の6つの大カテゴリーで構成されています。

  • 施策
  • データ収集
  • データ分析
  • データ管理
  • オペレーション・作業効率化
  • インフラ・ネットワーク・デバイス

各カテゴリーは更に中分類、小分類に細分化され、顧客の行動ステージに応じたツールの位置づけが明確化されています。この体系的な整理により、企業は自社の課題や目的に応じて、最適なマーテックツールを選択可能です。

このカオスマップは2020年から継続的にアップデートされており、日本のマーテック市場の発展と変化を追跡する重要な指標となっています。特に2023年版では、デザインを刷新し、より実務的な活用がしやすい構成となっているのが特徴です。

MarTech(マーテック)の具体的なツール例

ここでは、以下のマーケティング領域別に、グローバル規模で広く活用されているマーテックを紹介します。

  • コンテンツマーケティング領域
  • Eメールマーケティング領域
  • マーケティングキャンペーン領域

それぞれ個別にみていきましょう。

(※紹介する情報は2024年12月時点における各ツールの公式サイトを参照しています)

コンテンツマーケティング領域

コンテンツマーケティングに活用できるソフトウェアを3種類紹介します。

ツール①:Outgrow

Outgrow

(出典:Outgrow

Outgrowは、リード獲得を目的としたインタラクティブなコンテンツを作成・管理できるプラットフォームです。

特に初期段階の見込み客との関係構築において、製品診断やROI計算ツールなどのインタラクティブコンテンツを通じて、より深い商談機会の創出を可能にします。

対象企業の規模感 

中小企業向け

価格 

  • Freelancer:14米ドル/月〜
  • Freelancer Pro:25米ドル/月〜
  • Essentials:95米ドル/月〜
  • Business:600米ドル/月〜

日本語サポート

あり

主な機能 

  • インタラクティブなコンテンツ(クイズ、評価、コンテスト、フォーム/アンケート)の作成
  • 1000以上のテンプレートから選択可能
  • 1000以上の外部マーケティングツールとの連携
  • コンバージョン率の分析機能
  • 回答に応じたパーソナライズ機能

ツール②:ContentStudio

ContentStudio

(出典:ContentStudio

SNSやブログなどのコンテンツマーケティング運用を一元管理できるプラットフォームがContentStudioです。

長期的な顧客育成が重要なBtoB SaaSにおいて、一貫したブランドメッセージの発信と見込み客とのエンゲージメント強化を効率的に実現できるでしょう。

対象企業の規模感 

中小企業向け

価格 

  • Standard:19米ドル/月
  • Advanced:49米ドル/月
  • Agency Unlimited:99米ドル/月

(14日間の無料トライアルあり)

日本語サポート

不明

主な機能 

  • 500以上のコンテンツカテゴリからの検索機能
  • 主要SNS(Facebook、X、Pinterest)との連携
  • ブログプラットフォーム(WordPress、Medium、Tumblr)との連携
  • エンゲージメント分析、感情分析などの詳細な分析機能
  • SNSごとの投稿パフォーマンス測定

ツール③:Ahrefs

Ahrefs

(出典:Ahrefs

Ahrefsは、SEO分析と改善のためのオールインワンツールとして提供されています。

製品やソリューションに関する専門的なキーワードの発見から、競合分析、コンテンツ戦略の立案まで、質の高い見込み客の獲得に必要な機能を包括的に提供します。技術的な製品を持つBtoB企業にとって、専門用語やロングテールキーワードの分析が特に有効です。

対象企業の規模感 

  • 中小企業から大企業まで対応
  • フォーチュン500企業の44%が利用

価格 

  • Lite:19.9米ドル/月
  • Standard:38.4米ドル/月
  • Advanced:68.9米ドル/月
  • Enterprise:2309米ドル/年

(7日間の無料トライアルあり)

日本語サポート

あり

主な機能 

  • 競合他社のSEO戦略分析
  • キーワード調査と難易度分析
  • バックリンク分析と監視
  • サイト監査機能
  • コンテンツ分析と提案機能

ツール④:Semrush

Semrush

(出典:Semrush

Semrushは、デジタルマーケティング全般を網羅する統合分析プラットフォームです。

商談化までのプロセスが長く、複数のタッチポイントが必要なBtoB市場において、SEO、広告、 SNSなど、さまざまなチャネルでの取り組みを統合的に分析・最適化を図れます。競合が多く差別化が難しい製品カテゴリーでは、市場分析機能が特に威力を発揮します。

対象企業の規模感 

中小企業から大企業まで対応

価格 

  • Pro:139.95米ドル/月
  • Guru:249.95米ドル/月
  • Business:499.95米ドル/月

(14日間の無料トライアルあり)

日本語サポート

あり

主な機能 

  • 50以上の製品・ツール・アドオンを提供
  • 140カ国以上のデータ分析が可能
  • 競合分析と市場調査機能
  • バックリンク分析機能
  • 200億以上のキーワードデータベース

Eメールマーケティング領域

ツール①:GMass

GMass

(出典:GMass

GMassはGmailをベースにしたメール配信プラットフォームとなります。

Google Workspace(旧GSuite)を活用している企業なら、既存の業務環境を維持したままメールマーケティングを展開可能。特に商談の初期接点となるアウトリーチメールの自動配信と追跡に強みを持ちます。

対象企業の規模感 

個人〜中小企業向け

価格 

  • Standard:2800円/月〜
  • Premium:4041円/月〜
  • Professional:6533円/月〜

日本語サポート

不明

主な機能 

  • Google Sheetsとの連携によるパーソナライズ配信
  • 自動フォローアップシーケンスの設定
  • 開封率・クリック率などの分析機能
  • Gmailの送信制限を回避する配信技術

ツール②:Mailchimp

Mailchimp

(出典:Mailchimp

Mailchimpは、AIを活用した高度な配信最適化機能を備えたメールマーケティングプラットフォームです。マルチチャネルでの顧客エンゲージメント機能を統合的に提供し、長期的な顧客育成が可能です。

対象企業の規模感 

中小企業〜大企業

価格 

  • Standard:3111.96円/月〜
  • Essentials:2022.77円/月〜
  • Premium:5万4459.25円/月〜

(14日間の無料トライアルあり)

日本語サポート

不明

主な機能 

  • AIを活用したコンテンツ作成支援
  • カスタマージャーニーに基づく自動配信設計
  • マルチチャネル(メール、SMS、ソーシャル)での配信管理
  • 高度なセグメンテーションと分析機能



ツール③:Zoho Campaigns

Zoho Campaigns

(出典:Zoho Campaigns

同じくメールマーケティングプラットフォームであるZoho Campaignsは、適切なタイミングでパーソナライズされたメッセージを届ける機能があります。

特にZoho CRMとの連携により、BtoB企業の営業活動との連携を重視した効果的なメール配信を実現します。

対象企業の規模感 

中小企業向け

価格 

  • Standard:360円/月〜
  • PROFESSIONAL:540円/月〜

(※無料プランあり)

日本語サポート

あり

主な機能 

  • ドラッグ&ドロップのテンプレートエディタ
  • 動的コンテンツによるパーソナライズ機能
  • A/Bテスト機能
  • CRMとの連携機能

ツール④:Litmus

Litmus

(出典:Litmus

Litmusは、さまざまなデバイスでのメール表示確認とテストに特化したプラットフォームです。

特にBtoB企業の重要な商談コミュニケーションにおいて、メールの品質管理と最適化を支援し、プロフェッショナルなブランドイメージの維持に貢献するマーテックとなります。

対象企業の規模感 

中小企業〜大企業

価格 

  • Individuals:63米ドル/月プラン〜
  • Small Teams:127米ドル/月プラン〜
  • Enterprise:要問い合わせ

(7日間の無料トライアル提供)

日本語サポート

不明

主な機能 

  • マルチデバイスでのプレビュー機能
  • キャンペーンの最適化支援
  • 統合的な配信分析
  • チーム内でのレビュー機能



マーケティングキャンペーン領域

ツール①:Googleマーケティングプラットフォーム

Googleマーケティングプラットフォーム

(出典:Googleマーケティングプラットフォーム

Googleマーケティングプラットフォームは大企業向けソリューションで、内蔵されたインテリジェンス機能により、特に重要なマーケティング インサイトが自動的に表示されます。

CRM システム、メールツール、広告プラットフォーム、オフライン データソースなどのソースからデータをインポートしてカスタマー ジャーニーを把握。データを結び付けて利用できるため、価値の高いユーザーを特定できます。

対象企業の規模感 

中小企業〜大企業

価格 

要問い合わせ

日本語サポート

あり

主な機能 

  • 統合的なデータ分析とレポーティング
  • 広告キャンペーンの管理と最適化
  • CRMシステムやメールツールとの連携
  • AIを活用したマーケティングインサイトの提供
  • サイトやアプリの分析ツール




ツール②:HubSpot Marketing Hub

HubSpot Marketing Hub

(出典:HubSpot Marketing Hub

HubSpot Marketing Hubは、マーケティング活動全体を統合管理できるオールインワンプラットフォームです。

BtoB SaaS企業において、リード獲得から育成、営業部門への引き継ぎまでを一気通貫で管理でき、AI機能による効率化と高度な分析を実現します。世界135カ国以上で23万8000社以上が活用しており、企業の成長に合わせた拡張性も特徴です。

対象企業の規模感 

  • 中小企業から中堅企業がメイン
  • スタートアップから成長企業まで対応可能

価格 

  • Starter:1800円/月〜
  • Professional:9万6000円/月〜
  • Enterprise:43万2000円/月〜

(※無料プランあり)

日本語サポート

あり

主な機能 

  • AIを活用したマーケティング自動化
  • 統合的なキャンペーン管理
  • 主要SNSやGoogle広告との連携
  • 高度なリード管理とスコアリング機能

ツール③:StackAdapt

StackAdapt

(出典:StackAdapt

StackAdaptは、多様な広告フォーマットに対応した統合型の広告配信プラットフォームとなります。BtoB企業のデジタル広告において、ネイティブ広告からコネクテッドTVまで、複数のチャネルを横断した効果的なキャンペーン展開を実現。AIによる最適化機能により、より効率的な広告運用が可能です。

対象企業の規模感 

-

価格 

要問い合わせ

日本語サポート

不明

主な機能 

  • マルチチャネル広告の統合管理
  • AIによる配信最適化
  • 詳細なオーディエンス分析
  • リアルタイムの効果測定



データマネジメント領域

ツール①: SurveyCTO

SurveyCTO

(出典:SurveyCTO

SurveyCTOは、オンライン・オフラインを問わずデータ収集を可能にするクラウドプラットフォームです。特にBtoB市場での詳細な顧客調査やフィードバック収集において、柔軟なデータ収集と分析で役立つでしょう。

対象企業の規模感 

中小企業から大企業まで対応

価格 

  • Basic:225米ドル/月プラン〜
  • Pro:315米ドル/月プラン〜
  • Advanced:630米ドル/月プラン〜
  • Enterprise:要問い合わせ)

(15日間の無料トライアル提供)

日本語サポート

あり

主な機能 

  • オフライン環境でのデータ収集
  • モバイルデバイスでの調査実施
  • 柔軟なアクセス権限管理
  • 複数プロジェクトの一元管理

ツール②:1plusX

1plusX

(出典:1plusX

1plusXは、さまざまなデバイスでのメール表示確認とテストに特化したマーテックです。BtoBビジネスの重要な商談コミュニケーションにおいて、メールの品質管理と最適化を支援し、プロフェッショナルなブランドイメージの維持に貢献します。

対象企業の規模感 

中小企業から大企業まで対応

価格 

要問い合わせ

日本語サポート

不明

主な機能 

  • マルチデバイスでのプレビュー機能
  • キャンペーンの最適化支援
  • 統合的な配信分析
  • チーム内でのレビュー機能

ツール③:OnAudience.com

OnAudience.com

(出典:OnAudience.com

OnAudience.comは、ユーザーデータの収集から分析、活用までを一元管理できるデータ管理プラットフォームです。BtoB企業のマーケティング活動では、より精緻なターゲティングと効果的なセグメント配信を実現し、見込み客の獲得効率を向上させます。

対象企業の規模感 

主に中小企業向け

価格 

要問い合わせ

日本語サポート

不明

主な機能 

  • 詳細な属性(年齢、性別、収入、興味など)に基づくセグメント作成
  • 数十億規模のプロファイルデータベースへのアクセス
  • リアルタイムのオーディエンス分析
  • プライバシー規制に準拠したデータ収集と管理機能

SNSマーケティング領域

ツール①:Hootsuite

Hootsuite

(出典:Hootsuite

Hootsuiteは、主要なSNSプラットフォームを一元管理できるソーシャルメディア管理ツールです。ソーシャルメディアマーケティングを実施する際には、一貫性のあるブランド発信と効率的な顧客エンゲージメントの形成を可能にします。

対象企業の規模感 

中小企業から大企業まで対応

価格 

  • Professional:1万2999円/月〜
  • Team:3万9000円/月〜
  • Enterprise:要問い合わせ

(30日間の無料トライアル提供)

日本語サポート

あり

主な機能 

  • 複数SNSの一元管理と投稿スケジュール機能
  • エンゲージメント分析とレポート作成
  • チーム内のコラボレーション機能
  • ソーシャルリスニング機能

ツール②:Zoho Social

Zoho Social

(出典:Zoho Social

Zoho Socialは、AIを活用した投稿最適化と高度な分析機能を備えたソーシャルメディア管理プラットフォームです。BtoB企業のソーシャルメディアマーケティングにおいて、データドリブンな施策立案と実行を支援します。

対象企業の規模感 

中小企業から大企業まで対応

価格 

  • Standard:1200円/月〜
  • Professional:3600円/月〜
  • Premium:4800円/月〜

(※無料プランあり)

日本語サポート

不明

主な機能 

  • AIを活用した投稿最適化
  • リアルタイムのモニタリング機能
  • 詳細な分析レポート作成
  • チーム管理機能

ツール③:Buffer

Buffer

(出典:Buffer

Bufferは、比較的シンプルな操作性と手頃な価格帯が特徴のソーシャルメディア管理ツールです。特にスモールビジネスのソーシャルメディアマーケティングにおいて、効率的な運用と着実な成果創出で役立つでしょう。

対象企業の規模感 

主に中小企業向け(個人での利用も多数)

価格 

  • Team:5米ドル/月〜
  • Pro:10米ドル/月〜

(※無料プランあり)

日本語サポート

なし

主な機能 

  • 複数SNSへの一括投稿
  • シンプルなパフォーマンス分析
  • エンゲージメント管理
  • カスタマイズ可能なレポート機能

MarTech(マーテック)を活用する上のポイント

マーテックの導入は、単にツールを購入して運用を開始すれば効果が出るというものではありません。効果的に活用し、マーケティング活動の成果を最大化するためには、戦略的なアプローチが必要です。

具体的には、以下のポイントを意識しましょう。

  • MarTechの基礎知識を身につける
  • 優先順位の高い領域から導入していく
  • ツール同士の連携できることを確認する
  • MarTechの活用経験がある人材の採用

Mar Tech(マーテック)を活用する上のポイント

それぞれ個別に解説します。

MarTechの基礎知識を身につける

マーテックの効果的な活用には、各ツールの特性や機能を正しく理解することが不可欠です。まず最初に各マーテックベンダーが提供する「トレーニングプログラム」の活用が挙げられます。

たとえば、HubSpotアカデミーでは、マーケティングオートメーションの基礎から応用まで、体系的な学習コンテンツを無料で提供しています。動画やクイズを通じて、実践的なスキルを身につけることができ、修了証も取得可能です。

HubSpotアカデミー

(出典:HubSpotアカデミー

加えて、実際のツール操作を通じた学習も不可欠です。多くのマーテックベンダーは無料トライアルや機能限定版を提供しています。

これらを活用して、基本的な機能の使い方から、リードナーチャリングの設計、メール配信の自動化設定など、実践的なスキルを身につけられます。特に導入前の検証段階では、このような実践的な経験を積むことで、投資効果の見極めにも役立つでしょう。

優先順位の高い領域から導入していく

BtoB SaaS企業におけるマーテックの導入優先度は、商談創出のプロセスに沿って検討するのが効果的です。最も重要なのは、見込み客の行動データを確実に把握し、適切なタイミングで商談につなげられる基盤を整えることです。

まず着手すべきは、マーケティングの根幹となるCRMの導入です。見込み客のデータを一元管理し、営業部門と情報を共有できる環境を整えることで、その後のマーテック導入の土台を作ります。

次に優先度が高いのはMAツールです。商談獲得までの長い購買検討プロセスにおいて、見込み客の育成を自動化することで、営業活動の効率を大きく向上させることができます。

これらのベースとなる体制が整った後、CROツールや分析ツールを導入し、より詳細なデータに基づいた改善を行っていきましょう。このように段階的にツールを導入することで、各施策の効果を適切に測定しながら、投資対効果の高いマーケティング活動を実現できます。

ツール同士の連携できることを確認する

マーテック導入の検討時には、ツール間のデータ連携方法を詳しく確認することが重要です。

まず「連携方式」の確認です。ネイティブ連携(標準で用意された連携機能)なのか、APIを介した連携なのか、あるいはZapierなどの外部ツールを介した連携なのかで、実装の容易さや運用の手間が大きく変わってきます。

また、「連携できるデータ範囲」もチェックしましょう。たとえば「MAツールで取得した見込み客の行動データが、どこまでCRMに連携できるのか」「スコアリングの結果や閲覧履歴など、営業活動に必要な情報が適切に連携できるか」を事前に確認しましょう。

最後は「データの同期頻度」も確認が必要です。リアルタイムで同期されるのか、定期的な同期なのかによって、運用フローが変わってきます。特に商談化に直結する重要なデータについては、リアルタイムでの連携が望ましいケースも多く、この点も導入判断の重要な要素となります。

MarTechの活用経験がある人材の採用

マーテックを有効活用するには単に知識を知っているだけではなく、実際に手を動かして試行錯誤してきた経験が求められます。そのため、身も蓋もない話ですが自社ですぐさま効果的な運用をするには「運用経験者」を採用するのが有効といえます。

採用強化のポイントとして、まず求人要件の具体化があります。「HubSpotなどのMAツールでのリードナーチャリング設計経験」「CRMとMAの連携による商談創出の実績」など、具体的なツールやプロジェクトの経験を明示することで、適切な候補者とのマッチングが図れるでしょう。

採用チャネルとしては、リファラル採用という選択肢もあります。マーテック経験者は同業界内でのネットワークを持っていることが多く、また紹介者が候補者のスキルや人柄を理解した上での推薦となるため、ミスマッチが少なくなります。

加えて、マーテックに特化した転職サイトの活用や、LinkedInなどのビジネスSNSでの求人掲載、業界イベントでの募集なども、専門性の高い人材にリーチする有効な手段です。

MarTech(マーテック)の今後の展望

マーテック市場は急速な成長を続けており、米statistaの発表によると2024年の市場規模は6700億ドルに達し、前年比31.5%という飛躍的な成長を遂げています。

また、提供されるツールの数も劇的に増加しており、米ChiefMartecの調査を参照すると2011年にはわずか150だったものが、2024年には1万4000以上にまで拡大。2023年だけでも3000以上の新しいツールが登場しました。

MarTech(マーテック)の成長度合い

(出典:ChiefMartec「The State of Martech 2024」)

この急成長の主な要因は、AIや機械学習、自動化技術の革新的な進化です。実際に、SalesforceのAIを搭載したGenieや、HubSpotのAI強化型CRMなど、主要プレイヤーによる次世代のマーテックツールも続々とリリースされています。

このような市場の拡大と技術革新により、マーテック市場はますますの拡大をみせているのです。

一方で、それはBtoB企業のマーケティング活動もより高度化・効率化されることを意味します。今後は、適切なツールの選定と活用がより重要な経営課題となっていくでしょう。

まとめ

マーケティングの仕事は華やかにみられますが、実際は仕事の量があまりにも多く(きりがなく)、大量のタスクを効率よくこなしながら、クリエイティブな仕事にも注力しなければなりません。

マーテックを活用して効率よくタスクをこなし、精度の高い分析をして仕事に活かしていくことが大切……とはいっても、その前にマーテック類にも詳しくなる必要もあります。次から次へと登場するマーテックを把握するだけでも大変だと感じた方もいるのではないでしょうか。

ですが、マーテックを使うのはマーケティング担当者自身です。自分の車、あるいは趣味用のツールであっても高価なものを購入するときには、即断せずしっかり情報収集して、自身のこだわりもかなり反映して選ぶかと思います。

そのため、マーテック選びでもマーケターが現時点で自社の課題を解決するために最適なマーテックを選ぶことが重要です。自分のITリテラシーにあうかどうか(使いこなせるか)、サポートしてくれるベンダーのコンサルタントとの相性もポイントになるでしょう。

もちろんすぐに導入する必要はありません。まずはマーテックに関するニュースや記事で紹介したカオスマップの情報も参考にしながら、気になったツールの無料プランやデモの申し込みを行い、実際の使用感を確認していきましょう。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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