DISC理論から考えるコミュニケーションの仕方とマーケティングへの落とし込み

2021/03/04
BtoBマーケティング DISC理論 DISC理論から考えるコミュニケーションの仕方とマーケティングへの落とし込み

商談相手にもさまざまな性格の方がいるかと思いますが、相手の思考や行動パターンに合わせた提案ができると、成約率をグッと上げられるかもしれません。

そんな相手に合わせたコミュニケーション方法を知りたいという方に向けて、今回は行動パターンをもとに人を4タイプに区別する「DISC理論」を紹介します。さらに、DISC理論をマーケティングに落とし込む方法についても解説していきます。

DISC理論とは

DiSC理論はもともと1920年代に心理学者のウィリアム・M・マーストン博士により提唱され、1963年に行動科学者ジョン・ガイヤー博士により自己分析のツールとして応用されたのが発祥でです

DiSC理論ではそれぞれの頭文字を取って、人間の行動傾向を「D=Dominance:主導型」「i=influence:感化型」「S=Steadiness:安定型」「C=Conscientiousness:慎重型」の4タイプに区別しています。

自分がどのタイプに当てはまるのかを知ることで自己分析につながるのはもちろん、相手がどのタイプなのかも把握することで、コミュニケーションを円滑にさせる狙いがあります。

最近、この理論をベースにした『世界にバカは4人いる』(フォレスト出版)が日本語で翻訳されました。

 
「世界にバカは4人いる」の表紙

(参照元:世界にバカは4人いる

 

原書はスウェーデンで85万部を突破し、世界40カ国に翻訳が決定したといいます。後ほど詳しく解説しますが、本著では、4タイプを「外交的・能動的・実行型」と「内向的・受動的・消極的」、さらには「タスク・問題重視型」と「人間関係重視型」の二軸で、4象限に分類している点が特徴です。

 
「世界にバカは4人いる」DISCのタイプ

(参照元:『世界にバカは4人いる』Aタイプ=慎重型、Bタイプ=主導型、Cタイプ=安定型、Dタイプ=感化型)

 

また、ざっくりとそれぞれの性格を以下のように分類しています。

 
「世界にバカは4人いる」DISCのタイプ

(参照元:『世界にバカは4人いる』)

 

では、それぞれのタイプの性格や、どのようなコミュニケーション方法を行っていけば良いのか以降で紹介していきます。

Dominance(主導型)

性格の特徴

主導型は外向的で挑戦することを好み、決断力が早く、主導権を握りたいタイプ。リスクを追うことはあまりいとわず、競争相手がいるときに最大限の力を発揮できると言われています。

相手に対して思ったことははっきり言い、他人にコントロールされることを嫌がる主導型。また自分で仕切りたがる傾向があり、形式的なルールを好まず、調和を保つことにはあまり関心がないといえるでしょう。ここまでの説明を聞くと、行動力があり、活発な性格の人が思い浮かぶかもしれません。

望まれるコミュニケーションの方法

主導型は、常に迅速に結果を得たい性格。考えることと実行することが同じ傾向にあり、せっかちで目的重視、物事を効率的に進めたがります。そのため相手が主導型であるならば、結論や具体策、アクションプランなどを早めに提示したほうが良いでしょう。

また、製品やサービスの購入に関する意思決定も迅速に行います。そのため、購入を前向きに検討している場合は、料金プランや購入の手続き方法など、「次に具体的に何をすれば良いのか」を説明してあげましょう。

逆に商品やサービスに関心を持っていない場合は、継続的にアプローチしたとしても相手の固い意思をひっくり返すことは難しく、早めに見切りをつけて次の見込み客にアプローチすることも大切です。

嫌われるコミュニケーションの方法

主導型は結論を急ぎます。そのため、提案の際も問題点を長々と伝えるよりも、早めに解決方法を提示したほうが、コミュニケーションもスムーズにいくでしょう。さらに、主導型の注意を引きたいのであれば、雑談も避けるべき。最もこちらが話したいと考えている、核心の部分から話すようにしましょう。

テキストでメッセージを伝える場合も、長々とした文章は読まない傾向にあるため、結論のみを抽出した箇条書きなどが望ましいといえます。もちろん、結論を裏付ける事実などは、把握しておかなければなりません。

Influence(感化型)

性格の特徴

感情表現が豊かで、周りを自然と明るくすることができる、いわゆるムードメーカー的な存在です。社交的で、人と接することを好む傾向にあるといえるでしょう。常に楽しむことを見い出そうとし、人生はパーティーのような意識があります。

ただ、比較的大雑把なタイプのため、仕事の成果や人に対しての厳しさに欠ける側面もあるといえます。また詳細に無頓着で、時間にルーズな特徴も。メモすることなく「はいはい」と答え、右から左に抜けていくことも多いといいます。

望まれるコミュニケーションの方法

主導型と比べると争いを好まず、楽しく明るい雰囲気を好みます。そのため雰囲気を和ませるために、雑談やアイスブレイクなどは必要といえるでしょう。また、製品説明のような詳細な話を淡々としてしまうと、その内容を忘れられるだけでなく、そんなものは聞く必要がないと思われてしまいます。

そのため詳細な話をするというよりも、その製品を導入したらどんな効果があるのか、未来が想像できるような抽象的な話のほうが望ましいでしょう。

嫌われるコミュニケーションの方法

望まれるコミュニケーションとは逆ですが、製品の特徴や機能、料金といった事務的で詳細な話には、耳を傾けない傾向にあります。そのため、「モノよりコト」の視点ではないですが、その製品を導入することによって、どのような体験を得られるのか、想像を喚起できるようは話が望ましいといえます。

製品の機能以上に担当者の人柄を見ている部分もあるため、どの担当者が話しても内容が似かよるような実務的な話は嫌う傾向にあります。話に個性が出るような、雑談をベースとした商談が望ましいでしょう。

Steadiness(安定型)

性格の特徴

名前の通り、安定した状況を好み、変化を嫌う傾向にあるのが安定型です。新しい仕事ややり方などへの適応が遅く、自ら決断して行動するといった積極性に欠ける傾向にあります。

ほかのタイプと比べると際立った特徴があるというわけではありませんが、バランスに優れ、チームワークを大切にするなどの協調性があるといえるでしょう。さらに、人に対しても協力的です。

望まれるコミュニケーションの方法

安定型にとって何よりも大切なのは、安心感です。そのためまずは相手が抱いている心配事などを聞き、その解決方法を提示することが重要だといえます。

安定型は相手の言うことを聞く力や、素直に指示に従う力に優れます。そのため、相手の話に寄り添いながら、具体的な策や今後の計画などを提示することが大切。最初に不安を取り除いてあげることを優先しましょう。

嫌われるコミュニケーションの方法

抽象的であったり、感覚的に言われたとしても安定型は具体的な根拠が見えないと「ほんとに?」と疑ってしまいます。そのため、あくまでも抽象的な話は避け、事実やデータベースでの提案を行いましょう。

Conscientiousness(慎重型)

性格の特徴

人がどう感じているかといった感覚的なものよりも、データや資料などの「事実」を重視する傾向にあります。物事を分析的、論理的に考える傾向があり、納得するまで細部にこだわる完璧主義者の一面を持つでしょう。自分がしっかりと練り上げたやり方や考え方などを批判されると、聞く耳を持たずに殻に閉じこもってしまう側面もあります。

望まれるコミュニケーションの方法

何事においても準備をしっかりと行う慎重型は、話の内容というよりも事前に用意された資料などに記載している情報に目を通します。そのため、データや数値などの事実まで書かれた資料を事前に配布し、その資料を見ながら適宜補足するような提案が望まれるでしょう。

資料を用意し、必要だと思えば代案も複数案用意するなど、事前準備をしっかりと行うことが鍵を握ります。

嫌われるコミュニケーションの方法

事実をもとに提案を受け入れるかどうかを判断するため、感情に訴えかけるような伝え方では慎重型には響きません。慎重型が見るのは、あくまでも内容のみです。そのため準備不足であったり、質問したことに答えられなかったりすると、慎重型からはあまり信用されないでしょう。

DISC理論をマーケティングに応用するには

では、ここまで紹介したDISC理論をマーケティングに応用するためにはどうしたら良いか。以降では、マーケティングに落とし込む方法も紹介していきます。

ペルソナやカスタマージャーニーの作成

ペルソナとは、見込み客となるであろうユーザー代表の一人を、以下のように詳細に記述したものです。

 

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「20代の独身男性」「趣味は旅行」など、見込み客の属性を「群」として捉えるのではなく、ペルソナでは特定の一人にまで人物を絞っていきます。ユーザー像を詳細にするほど、見込み客が抱えている困りごとや問題点などがイメージしやすくなるためです。

そのうえで、困りごとや問題点を解決するようなコンテンツを提供できれば、見込み客の獲得に繋がるでしょう。

ペルソナを特定する際には、前述したDISC理論にもとづいて対象ユーザーの性格や行動パターンまで決めておくと、提供するコンテンツの方向性も定まりやすいでしょう。

例えば慎重型であれば、根拠となるデータや数値をベースとしたコンテンツ作成はもちろん、情報も複数用意したほうが良いでしょう。慎重型にとっては検討材料が豊富にあるほうが、安心するからです。

一方で、感化型はあまり情報を詰め込みすぎたり、数字をもとに説明されたりすると受け入れない傾向にあります。そのため、イラストや図解を使うなど、直感的に見やすいコンテンツが好まれるでしょう。

なお「潜在ニーズの見つけ方とマーケティングの手法」という記事でも紹介しましたが、改めて、ペルソナを探す方法としては次の3つ。

  • 既存の顧客から理想的なカスタマーを抽出
  • カスタマーにインタビューを実施する
  • 顧客と直接接している営業担当者にインタビューする

集めた情報をもとに、DISC理論のどのタイプに当てはまるユーザーが多いのかまで把握しておくと、詳細なペルソナを設定する際に役立つでしょう。

ここまでの情報をもとに、BtoB企業の場合は事前に以下の項目も定め、企業や業界などを絞っておく必要があります。

  • 事業規模(売上500億円以上の大企業、売上20〜50億円の中小企業など)
  • 従業員数
  • 業種(銀行、通信、化学など)
  • 社歴
  • 購買関与者(財務担当部門、経理担当部門、営業担当部門など)

次にカスタマージャーニーとは、ペルソナの行動や思考、感情などを認知から製品の購買に至るまで、以下のように時系列で見える化したものです。

 

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見込み客が必要としている情報を認知から購買に至るまで明確化することで、どのようなコンテンツを届ければ良いのか把握する際に役立ちます。

カスタマージャーニーを作成すると、どのような順序でどういった種類のコンテンツを届けたら良いのか、顧客側の視点で確認可能。

もちろん取り扱う製品やサービスによって購買までのプロセスを何段階にするかは異なります。ペルソナの特定と同様に既存顧客や見込み客へのインタビューなどをもとに作成していきましょう。

このときにペルソナ設定と同様、対象ユーザーがDISC理論のどのタイプに該当しているのかを定めておくことで、次の行動や施策が見えてくるでしょう。

例えば慎重型は、情報収集の手段としてWEBで検索したり、書籍やホワイトペーパーを読んだりして自ら調べることが多い。一方で主導型の場合は行動を優先する傾向にあるため、まずはリアルなセミナーやイベントに足を運んで、必要な情報を収集するかもしれません。

このようにDISC理論のどのタイプに該当するユーザーがペルソナとなりうるかを決めておくと、提供するコンテンツもWEBなのか、リアルコンテンツなのかを判断する基準となるでしょう。

なお以下はあくまでも一例ですが、カスタマージャーニーを構成する主な要素は以下の通り。

  • 状況:見込み客が各段階で置かれている状況
  • マインド:購買プロセスの各段階における、見込み客の心理
  • 情報ニーズ:見込み客が知りたい情報のニーズ
  • 行動:必要な情報を得るために、見込み客がどういう行動を取るのか
  • コンテンツ:各段階の情報ニーズに答えられるコンテンツ
  • 媒体・フォーマット:各情報を伝達する手段

各企業が提供する製品やサービスに合わせて、ペルソナと同様にカスタマージャーニーもカスタマイズしていきましょう。

コンテンツの作成

コンテンツと聞くと、ブログ記事やソーシャルメディア、ホワイトペーパーなどのWebコンテンツを思い浮かべるかもしれません。しかし自社主催の展示会やセミナー、商談で使用する紙の営業資料など、リアルコンテンツもあります。

こうしたオンライン、オフライン問わずあるコンテンツですが、DISC理論をもとに相手の性格や行動パターンに合わせたコンテンツを作成することも大切です。

例えば主導型が見込み客であれば、商談の際に紙の資料を用意するよりも、実際に製品を使ってもらったほうが話がスムーズに進むでしょう。

一方で、慎重型の場合は事前にダウンロード可能なホワイトペーパーなどを送付したり、直接会って提案する際も事実が書かれた営業資料などを必ず持参したりする必要があるでしょう。

ウェブサイトにトラフィックを集める際にも、最優先のペルソナがどのようなキーワードで情報を調べているかDISC理論を用いると明確に分類分けができます。

主導型や感化型は感情や直球系のキーワードを調べる傾向にあります。例えば「売上 向上方法」のような感じで、慎重型や安定型は「業務効率 改善」のようなやや遠回りの事柄から外堀を埋めて最終的な「売上 向上方法」などにたどりつきます。

タイミングの選定

検索エンジンで気になるキーワードを検索し、自分から情報を取りに行く現在。能動的に情報を取りに行く時代では、ユーザーに対して適切なタイミングで適切なコンテンツを提供する必要があります。

商品にまだ興味を持っていない人にいきなり売り込んでも拒絶されてしまうため、DISC理論を用いて適切なタイミングでアプローチしていきましょう。

例えば見込み客が変化を嫌う安定型であれば、いきなり製品導入後の変化を伝えても拒絶反応を示すでしょう。それよりも、まずは相手の悩みを聞きだし、その困りごとを解決するような内容の提案やコンテンツが望ましいといえます。

また、感化型であれば製品の機能や導入後の効果を淡々と説明しても響きません。それよりも、相手や自分のパーソナリティがわかるような雑談の話量を多めにし、製品の紹介などは最後に少しするぐらいでも良いでしょう。逆に慎重型や主導型は雑談では響かないため、製品導入による効果など、結論や事実をすぐに伝えたほうが良さそうですね。

まとめ

以上、今回はDISC理論で区別される4タイプの性格から望まれるコミュニケーション方法、またマーケティングへの応用法について紹介してきました。

特にペルソナを特定する際には、DISC理論にもとづいて対象ユーザーの性格や行動の特性まで決めておくと、作成するコンテンツの方向性なども決めやすいでしょう。

例えば慎重型であれば、根拠となるデータや数値をベースとしたコンテンツ。一方で感化型はイラストや図解を適宜使用し、直感的に見やすいコンテンツというように、ユーザーの性格に合わせたマーケティング施策を検討する際にぜひ役立ててみてください。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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