ソーシャルスタイル理論とは?マーケティングに落とし込むための方法

2021/06/29
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さまざまな性格の方がいる商談相手。相手に合わせたコミュニケーション方法を知りたいという方に向けて、別の記事では行動パターンをもとに人を4タイプに区別する「DISC理論」を紹介しました。

さらにDISC理論と同様に、人の行動パターンを4つに区分したものとして「ソーシャルスタイル理論」もあります。今回はこのソーシャルスタイル理論について、4つのタイプに合ったコミュニケーション方法やマーケティングへの落とし込み方について紹介していきたいと思います。

ソーシャルスタイル理論とは

ソーシャルスタイル理論とは、1968年にアメリカの産業心理学者であるDavid Merrill氏が提唱したコミュニケーション理論です。人の言動を4つのスタイルに分けることで、自分にとって「合う人」だけでなく「合わない人」の性格も理解することで、相手に合ったコミュニケーションをとる際に役立ちます。

もともとは、アメリカ海軍が潜水艦の乗組員同士のスムーズなコミュニケーションを図るために考案されたそう。似たタイプは人間関係のトラブルが少なく、逆に敵対するタイプはトラブルの発生確率が高いという状況にありました。

そのため、何ヵ月も同じ艦内で生活をともにする乗組員同士のタイプをバランス良く配置したところ、トラブル発生率が低下したといいます。

ちなみにソーシャルスタイル理論は「ドライバー」「エクスプレッシブ」「エミアブル」「アナリティカル」の4タイプ。『苦手なタイプを攻略するソーシャルスタイル仕事術』という本では、それぞれの性格を以下のように端的に表現しています。

  • ドライバー=単刀直入
  • エクスプレッシブ=ノリが命
  • エミアブル=和み重視
  • アナリティカル=冷静沈着
 
書籍「ソーシャルスタイル仕事術」の表紙

(参照:苦手なタイプを攻略するソーシャルスタイル仕事術

 

またこの本では、以下のようにそれぞれのタイプにどういった有名人が該当するかも紹介されています。

 

 

例えば明石家さんまさんはノリが命なエクスプレッシブ、一方で冷静沈着な印象のあるイチローはアナリティカルタイプに分類されるといえます。

以降ではそれぞれの性格をもう少し深掘りし、望まれるコミュニケーションについても紹介していきます。

ドライバー(前進型・行動派)

性格の特徴

ドライバーの特徴は、感情は表に出さずメリハリがあり、力強い話し方をします。しっかり目を合わせて短めの文章で伝えたり、結論からはっきりと断定的に話したりする傾向にあるでしょう。経営者などはドライバーが多いと言われています。

決断が速く、大筋をつかんだらより短時間に結果を出そうとどんどん進めていくドライバー。そのため人間関係よりも、仕事や課題を重視するタイプが多いでしょう。人に対しても、結論から話すことを求め、話が長いことを嫌います。

望まれるコミュニケーションの方法

ドライバーは感情を抑えて要点をしっかり伝えようとするため、こちらも同じく感情を抑えながら内容に注力する姿勢が望まれるでしょう。合理的な考えの持ち主なので、結論から先に伝え、そのあと理由、具体例といったように決まったフォーマットで伝えられると理想です。

嫌われるコミュニケーションの方法

結論を早く求める傾向にあるため、ドライバーに雑談は不要。雑談をしてしまうと「早く本題に入って欲しい」と思われてしまうかもしれません。前置きが長かったり、本筋とは関係のない話をダラダラされることを嫌います。

エクスプレッシブ(直感型・感覚派)

性格の特徴

言葉や声・態度など、感情を大きく表現するのがエクスプレッシブです。しっかりと目を見て感情を込め、抑揚をつけながら話します。

また、まわりを巻き込みんで空気を明るくするほか直感的に判断するため、ドライバーと同様に決断が早い傾向にあるでしょう。とはいえ、話の内容というよりも、人間関係を構築することに重きを置く傾向にあります。

望まれるコミュニケーションの方法

エクスプレッシブは、発言内容がコロコロと変わる傾向にあります。ただこれは必ずしも性格がいい加減という訳ではなく、新しいことに関心があるため。

そのため雑談などを通じて、相手が見聞きしたことのないような最新情報を伝えられると、グッと心を掴めるかもしれません。なお、製品やサービスの契約などは、相手の気が変わらないうちに早く済ませておくことも大切です。

また、内容以上に熱量が伝わりやすい側面もあります。そのため相手に訴えかけるような話ができると、より理想かもしれませんね。

嫌われるコミュニケーションの方法

感情やノリなどを大切にするため、淡々と事務的な内容を伝えるだけでは、あまり相手に響かない可能性があります。料金や機能といった事実よりも、製品を導入することでどんな未来が待っているのか、想像を促すような提案が望ましいといえるでしょう。

また、相手のノリに合わせないと共感してくれていないと感じ、提案に承諾してもらうのは難しくなるかもしれません。

エミアブル(温和型・協調派)

性格の特徴

声にも態度にも穏やかさをにじませ、みんなに目配りをしながら同意を得るようにゆっくり話します。みんなを励ましてサポートすることが得意で、仕事や課題に取りかかる前にまずは、人間関係を築くことに重きを置くといえるでしょう。

また徳川家康の性格を表して「鳴かぬなら鳴くまで待とう、ホトトギス」という言葉がありますが、辛抱強く待つことも得意です。

ただ、やや優柔不断なところがあり、決断に時間がかかってしまう部分もあります。

望まれるコミュニケーションの方法

エミアブルは相手に合わせたコミュニケーションが得意で、こちらからの提案も最初から拒否するといったことはないでしょう。とはいえ決断に時間がかかるタイプなので、提案を受けるかどうかを急がせると、相手にとっては大きなストレス。そのため、相手の懸念事項に寄り添いながら、一緒に考える姿勢が望ましいといえます。

嫌われるコミュニケーションの方法

前述した通り、結論を急がせてしまうと相手はストレスに感じてしまい、提案を断られる可能性があります。

「考えてみます」と言いながら、結論を出すことに慎重になる傾向があるため、「今決めてください」といった会話はNG。相手がどういった懸念や不安を抱えているのかを聞き出し、共感しながらも、具体的な解決方法を提示してあげる姿勢が望ましいでしょう。

アナリティカル(分析型・思考派)

性格の特徴

感情を表に出さず、論理的に淡々と話すのがアナリティカル。無口で感情を抑えるアナリティカルは「何を考えているのかわからない」と言われがちなタイプです。

なおドライバーと同様に、人間関係よりも仕事や課題を重視するタイプで、理系出身の研究者のようなイメージもあるかもしれません。誰かとコミュニケーションを取りながらというよりも、自分のなかで深く物事を考えるタイプで、意見を聞くと思ってもみないアイデアを持っている可能性もあります。

望まれるコミュニケーションの方法

アナリティカルは感情ではなく、数値やデータといった事実や根拠を重視します。また会話というよりも、複数の資料などを確認しながら慎重に検討したいため、事前準備が大切。

製品やサービスの提案においては、関連する情報が記載された資料を複数用意しておき、当日はそれをもとに話を進めていく姿勢が望ましいでしょう。

もし相手が決断に迷っている場合は、追加情報などを送ると、判断材料が増えて喜ばれるかもしれません。

嫌われるコミュニケーションの方法

感情に訴えかけるような対応は、アナリティカルには響きません。また、提案の前にしっかりと準備を行っているか、根拠があるかなどを重視するため、根拠のある具体的な話が好まれます。逆に抽象的な話では、相手は動かないと思って良いでしょう。

ソーシャルスタイル理論をマーケティングに応用するには

ここまで紹介したソーシャルスタイル理論は、マーケティングに応用できます。以降では、マーケティングに落とし込む方法も紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

ペルソナやカスタマージャーニーの作成

ペルソナは、見込み客となるであろうユーザー代表の一人を、詳細に特定したものです。

例えば「30代の既婚男性」「趣味は旅行」「都内に住む」「3歳の娘と5歳の息子がいる」など、見込み客の属性を「群」ではなく、特定の一人にまで絞っていきます。

ユーザー像を詳細にするほど、見込み客が抱えている困りごとや問題点などが想像しやすくなるため、それを解決するようなマーケティング施策も実行しやすくなるというわけです。

なおペルソナを特定する際には、前述したソーシャルスタイル理論にもとづいて対象ユーザーの性格まで決めておくと、施策の方向性も定まりやすくなります。

例えばアナリティカルであればデータや数値といった事実をベースとしたコンテンツを準備します。アナリティカルにとっては、決断するための材料が豊富にあるほうが安心するので、情報の量を意識した網羅的なコンテンツが必要です。

一方で、エクスプレッシブはデータや数値というよりも提案の熱量や、いかに新鮮な要素があるかに心を惹かれます。そのため、感情に訴えかけるような話し方や最新情報などを盛り込んだコンテンツなどが好まれるでしょう。

なおペルソナは一般的に、売上の大部分を占める上位2割程度の得意客から理想的なカスタマーを抽出したり、顧客に実際にインタビューを行ったりして設定。こうして設定したペルソナは、ソーシャルスタイル理論のどのタイプに当てはまるユーザーが多いのかまで把握しておくと、施策を実行する際に役立ちます。

次にカスタマージャーニーペルソナの行動や思考、感情などを認知から購買に至るまで時系列で見える化したもの。

提供する製品やサービスによって異なりますが、一般的には以下のような要素で構成されます。

 
カスタマージャーニー

(参照元:『Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書』。カスタマージャーニーの一例)

 

見込み客が必要としている情報を認知から購買という段階ごとに明確化することで、どういったコンテンツを届ければ良いのか把握する際に役立ちます。

なお、ペルソナ設定と同じように対象ユーザーがソーシャルスタイル理論のどのタイプに該当しているのかを定めておくと、「状況」や「マインド」といった上で挙げた要素も見える化しやすいでしょう。

例えばアナリティカルは、人から話を聞くというよりも知りたい情報があればWEBで検索したり、書籍やホワイトペーパーを読んだりして自ら調べることが多いはずです。一方で行動的なドライバーは、人に話を聞いたり、まずはリアルなセミナーやイベントに足を運んだりして情報を収集するかもしれません。

なお、ペルソナカスタマージャーニーの設定方法については「潜在ニーズの見つけ方とマーケティングの手法」の記事で詳しく解説しているので、ぜひ確認してみてください。

コンテンツの作成

ブログ記事やソーシャルメディア、ホワイトペーパーなどのほか、自社主催の展示会やセミナー、商談で使用する紙の営業資料などオンライン、オフライン問わずあるコンテンツ。こうしたコンテンツの提供においても、ソーシャルスタイル理論を役立てることができるでしょう。

例えば前述した通り、行動的なドライバーが見込み客であればセミナーなど実際に足を運べたり、質問んできたりするコンテンツのほうが望ましいでしょう。一方で、アナリティカルの興味を引きたい場合は、ダウンロード可能なホワイトペーパーやWebコンテンツなどの作成に注力したほうが良いといえますね。

タイミングの選定

見込み客にとって最適なタイミングで、適した情報を届ける際にもソーシャルスタイル理論は役立ちます。

例えば見込み客が決断の遅いエミアブルであれば、早々に製品導入後の変化を伝えても「その情報はまだ知りたくない」と思われて終わりでしょう。それよりも、相手の悩みを聞きだし、その困りごとを解決するような情報・コンテンツから提供したほうが良いといえます。

一方で結論を急ぐドライバーであれば、結局、製品を導入したらどんな効果があるのかを先に伝えたほうが、話もスムーズにいく可能性があるでしょう。

まとめ

以上、今回はソーシャルスタイル理論の4タイプの性格から望まれるコミュニケーション方法、またマーケティングへの応用法について紹介してきました。

特にペルソナを特定する際は、ソーシャルスタイル理論にもとづいて対象ユーザーの性格や行動の特性まで決めておくと、作成するコンテンツの方向性なども決まりやすいかもしれません。

例えばアナリティカルであれば、根拠となるデータや数値をベースとしたコンテンツ。一方で行動派のドライバーであれば、イベントやセミナーといったオフラインコンテンツの提供に注力するなど、見込み客の性格に合わせたマーケティング施策を検討する際に活用してみてくださいね。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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