数あるBtoBマーケティングのイベントに出席し、見込み客を獲得することが売上につながるとわかっていても、そもそもどうやって見込み客を獲得すれば良いのか、迷われる方もいるでしょう。
そんな方に向けてこの記事では、「そもそも見込み客獲得ってなに?」という内容から、BtoBマーケティングによく用いられる手法、さらにはマーケティング部門と営業部門が連携するときのポイントについて紹介します。
そもそもBtoBマーケティングにおいて見込み客の獲得は何かを説明するために、潜在見込み客と見込み客との獲得手法の違いの大枠について説明していきます。
潜在見込み客であれば、基本的に考えるべきことは「非指名検索系」のコンテンツ作成が起点です。一方で、見込み客であれば「指名検索と非指名検索」が入り混じったようなコンテンツ制作が必要となるでしょう。
つまり、潜在見込み客と見込み客の獲得手法の違いを理解するためには、この「非指名検索」と「指名検索」を理解することが大切です。
Webサイトで、新しいユーザーを獲得したいと考えている場合、これまでサービスを利用したことがないわけですから、社名やサービス名は知らないと考えるのが自然です。
そのため自社の製品を名指しで検索する「指名検索」よりも、自分の困り事を解決してくれるようなキーワードで検索する「非指名検索」による流入が一般的でしょう。
ビジネスチャットを提供するBtoBのSaaS企業を例に考えてみましょう。
2020年のコロナ禍で、急にリモートワークを命じられたユーザーが、遠隔でのコミュニケーションが上手くいかないことに悩んでいたとします。こうしたユーザーが、いきなり「ビジネスチャット」と検索したり、メディアやSNSで情報を探すことは稀です。
まずは「リモートワーク コミュニケーション 解決」といった課題軸の単語で情報を探すことが予想されるでしょう。その際に検索エンジンの窓に「リモートワーク コミュニケーション 解決」とタイピングをする、これがいわゆる「非指名検索」。この時点では、まだ潜在見込み客といえます。
そして、検索結果で表示されたブログ記事などのコンテンツを読んだユーザーが、コミュニケーション問題を解決する手段として「ビジネスチャット」があることを知ります。
ビジネスチャットの導入に向けて、より具体的な製品を知りたいと考えているかもしれません。すると、ユーザーは「ビジネスチャット おすすめ」の記事を関連記事としてサイト内で探す可能性があるでしょう。
その記事のなかで、自社製品の優位性について触れることができれば、もっと詳しい情報を知りたいと考え、導入事例の閲覧や関連資料のダウンロードを行うなど、潜在見込み客から、見込み客へと繋げられます。
つまり困り事を解決する課題軸のコンテンツを用意し、非指名検索、または同等の情報の探し方を経由しサイトに訪れるユーザーを増やすことは、潜在見込み客の獲得につながります。
そして、もっと詳しい情報を知りたいというユーザーに向けて、導入事例やダウンロード型コンテンツなどの適切なコンテンツを用意しておくことが大切です。
見込み客の数を増やすためにも、まずは自社製品に関連したテーマで困り事を解決するようなコンテンツを提供するなど、潜在見込み客にアプローチする必要があります。
では、見込み客を獲得するためにどういったアプローチを行っていけば良いのか。ここでは、BtoBマーケティングの主な手法を7つ紹介していきます。
製品によっては以下のマーケティング手法が通じない場合もありますので、あくまでも一般論の参考としてご確認ください。
検索連動型広告とは、以下のようにユーザーがGoogleやYahoo!検索したキーワードに応じて広告を出す仕組みです。
(「BtoBマーケティング」と検索したときに、上位に表示される広告)
基本的には次のような設定を行い、広告を出します。
そして広告審査を経て、検索エンジンの検索結果に連動して広告が表示されます。検索結果に連動する広告のため、ユーザーは能動的に情報の取捨選択を行っている状態。つまり、自分が興味を持ったキーワードで検索しているため、ニーズがはっきりしたユーザーにアプローチできるでしょう。
なお、効果計測用のタグをWebサイトに設置することで、ユーザーが広告をクリックした後に購入や申込みなどを行ったかを計測することも可能です。MAなどのマーケティングツールであれば独自のトラッキング用のパラメーターを発行することが可能で、自社ツール上でのトラッキングを一気通貫して行うことも可能です。
クリック単価制とよばれる課金体系のため、広告がクリックされるまで広告費が発生しない仕組みも特徴のひとつ。費用を抑えながら、広告による認知を広げることが可能です。
広告の掲載順位は、キーワードごとに設定している「入札価格(広告がクリックされた時に発生する広告費の上限)」と、「広告の品質」の掛け算によって決まります。つまり、良い広告をつくりさえすれば、誰であっても安いクリック単価で広告を上位掲載できる可能性があると言えるでしょう。
事例も紹介します。マーケティング支援ツール「シャノンマーケティングプラットフォーム」では、それまで実施していた展示会やセミナーといったアナログ施策をすべて切り捨て、捻出した予算で「検索連動型広告」や「SEO」といったデジタル施策を強化。
資料請求は前年比248%まで伸び、翌年もデジタルシフト前から324%と大きく伸びたといいます。
(参照元:シャノンマーケティングプラットフォーム)
とはいえ、同時に会社の売上は思ったより伸びなかったことを痛感し、高額で複雑な製品を取り扱うBtoBマーケティングにおいては、デジタル施策と、後述するオフラインの施策も重要であることを実感した同社。
このように検索連動型広告をはじめとしたデジタル施策は、大量の見込み客の獲得には貢献するかもしれません。ただ、売上につなげるためにも定期セミナーやインサイドセールスなど、顧客に直接アプローチすることも大切だと言えます。
マーケティングを行うにあたり、比較的始めやすい手法としてはビジネスブログがあります。作成した記事がネット上で上位表示されれば、多くの潜在見込み客にアプローチできるでしょう。
ただ、あくまでも記事を上位表示させることは目的ではありません。ブログ記事で興味・関心を持ってもらい、より詳しい情報を知ってもらうためにeBookなどのトリガーコンテンツなど出口を設けることで、コンタクト情報の獲得を行い、最終的に見込み客の獲得につなげるのが目的です。
記事の内容についてはニュース性のあるものではなく、継続的に読まれる課題に対してのノウハウ系の記事のほうが見込み客の獲得にはつながりやすく、課題軸であることが前提として大切です。
ただし、BtoB SaaS企業でVerticalの場合は、ペルソナとカスタマージャーニーを考えたときに、比較的課題が顕在化している人が多く、かつ絶対数が少ないため、ビジネスブログで課題軸のコンテンツを作っても思った様な数の見込み客の獲得に繋がりません。そのため、ご自身のビジネスモデルを深く理解した上でビジネスブログに取り組み判断をしてください。
例えばデジタルマーケティングの課題解決のサービスを提供する「アイレップ」では、ブログ記事からホワイトペーパーをダウンロードできるように設定し、毎週10件程度の継続的な見込み客獲得に貢献しているといいます。
(参照元:アイレップ)
「デジタルマーケティングを推進する組織に必要な4つの機能とは?」という記事は、「デジタルマーケティング 組織」「マーケティング 組織体制」「デジタルマーケティング部」というキーワードでそれぞれ上位表示を獲得し、見込み客の獲得につながっているそうです。
(参照元:デジタルマーケティングを推進する組織に必要な4つの機能とは?|アイレップ)
ブログ記事は充実させているのに、見込み客を獲得できない場合は、ブログ記事から資料をダウンロードできるようになっているかなど、導線設計を見直してみましょう。
また自社製品に関連したテーマ以外の記事で、認知度を高めているビジネスブログも例外的にあります。それが、企業向けのグループウェアなどを提供している「サイボウズ」のビジネスブログ「サイボウズ式」です。
(参照元:サイボウズ式)
あくまでも、自社の知名度を上げることを目的としたメディアで、製品とは完全に離れ、今世の中で話題になっているトピックやネットユーザーが気になっているニーズをもとにした記事を提供しています。
見込み客を獲得するためのBtoBマーケティングの手段の一つとしてのビジネスブログという側面と、PRや広報的な側面を持ち合わせていると考えられます。
ただ、発信後のユーザーからのフィードバックにより新たな製品ニーズが発見できるという想定外の効果など、製品に関連したテーマを取り扱うブログでは実現できない価値も創出しているそうです。
企業でよく利用されるSNSとしては、Twitter、Facebook、LINE、Instagramがあります。それそれの違いを以下で、まとめてみました。
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LINE |
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メディア特性 |
瞬間的な拡散力 リアルタイムな情報 |
実名性 つながりのリアルさ 興味関心に紐づくアルゴリズム |
1to1のコミュニケーション ダイレクトマーケティング |
画像や動画を使ったコミュニケーション |
MAU |
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ユーザーの求める情報 |
ネタ アニメ/エンタメ 趣味関連情報の流し見 |
ビジネス 友人の状況 興味関心ごと/イベント |
お得情報 企業サービスの活用 |
フード/インテリア/コスメ エンタメ 旅行/おでかけ |
ビジネス有効活用度 |
△ |
◯ |
△ |
× |
(参照元:デジタル時代の基礎知識『BtoBマーケティング』)
このなかでも特にBtoB企業と相性が良いのは、Facebook広告だと一般的には言えます。Facebookの場合、人脈づくりを目的としたビジネスパーソンの利用者が多く、ビジネス系の情報を求める人も多いと言えるなどの理由があります。
また広告を使用しなくとも、プレスリリースや製品紹介のコンテンツをブログ記事のように定期的に配信することで、広告との相乗効果を高めることも可能。
例えばクラウド会計ソフトの「マネーフォワード クラウド」は、IPOを準備中の企業に向けて、会計に関するデータを月3万円以下で利用できることをアピールする広告を展開。
(参照元:マネーフォワード クラウド)
イラストを使用しながらさらっと利用金額をアピールし、サービスに関する詳しい内容は飛ばし先のLPで資料をダウンロードしてもらうといった導線を設計しています。
(参照元:マネーフォワードのFacebook)
内容はシンプルながらも、親しみやすいイラストを用いることで広告の印象を強めています。テキストだけでなく、ビジュアルでも表現することで視覚に訴える訴求も可能となるでしょう。
記事広告は第三者がユーザー目線で製品の特徴をまとめた記事を、ほかのメディアに掲載し、ターゲットへ届ける手法です。
ビジネスブログの場合は、自社が運営するサイトで記事を配信しますが、記事広告の場合は他社が運営するサイトで記事を提供してもらうことになります。PV数が多いメディアであれば、それだけ認知してもらうユーザーの数も増やすことが可能。
BtoBマーケティング界隈でいえば『MarkeZine』『ウェブ担当者フォーラム』などが著名なBtoBマーケティングのメディアでしょう。また『ITメディアマーケティング』のように、「IT×(BtoB)マーケティング」という特徴を組み合わせているメディアも存在します。
ほかの広告との大きな違いは、書き手が自社なのか他社なのかという点です。製品のリアルな評価を知りたいとき、その製品を提供している会社が発信している情報よりも、実際にその製品を活用しているユーザーの声を知りたいもの。
その点、記事広告は第三者であるライターやメディアの目が入っているため、ユーザー目線でまとめるため、信頼を得やすいと言えます(ライターやメディアの校閲がザルのところも存在しますので一概には言えませんが....)。
また、記事自体がおもしろいとSNSでシェアされて爆発的にリーチが広がる可能性もあります(バズ)。こちらは、潜在見込み客に向けたアプローチと言えますね。
バズが得意で、記事広告を展開しているメディアとしては「オモコロ」などが有名です。
(参照元:オモコロ)
また、すでに自社の製品名を知っているような見込み客に向けては、その製品がどんな課題を解決するのか、競合他社との違いは何なのかを第三者に説明してもらうことで、製品サイトへ優良な見込み客を呼び込むことも可能です。
例えば、LIGブログの「Googleアナリティクスの面倒な設定とサヨナラ!たった1画面で解析できる『ANATOMY』がすごい」などの記事広告は参考になります。
(参照元:Googleアナリティクスの面倒な設定とサヨナラ!たった1画面で解析できる『ANATOMY』がすごい|LIGブログ)
こちらの記事はANATOMYさんが、巨大なPV数のあるLIGブログに広告費用を支払い自社ツールであるANATOMYの露出をしてもらった、という流れです。
BtoBマーケティングの見込み客獲得の鉄板手法の一つ、展示会や業界イベント。新製品のお披露目など目的はさまざまかと思いますが、1つには大量の名刺獲得機会という意味合いが一番大きなところでしょう。
最近のイベントでは、入場時に来場者の名刺登録を行い、バーコード付きの入館証を配布するなどの仕組みも導入されています。企業担当者と来場者はリアルな名刺交換をせずとも、バーコードの読み込みで名刺情報を渡せるため、大量の情報獲得に貢献するでしょう。
例えば東京ビッグサイトや幕張メッセなど、大規模な会場で開催されるイベントへの出展は、来場者も10万人程度の規模になることもあります。
大量に名刺獲得を実現できる可能性があり、適切に名刺情報の管理やアンケート項目の設計、CRMやMAなどとの連携準備を行っていれば、かなり有用なBtoBマーケティングの見込み客獲得施策になり得ます。
一方で、業界に関連したメディアが主催するイベントなどは、来場者数は前述の大規模イベントと比べると劣るものの、媒体とのタイアッププロモーションなども可能となるでしょう。
コロナウィルスなどの影響で、リアルでの催し物が制限されるなか、オンライン型のセミナーを開催するBtoB企業も多いでしょう。
会場への移動時間が削減されるほか、当日の準備として資料の事前配布や受付の準備・対応などにかかる人員の削減につながる点は運営企業側に大きなメリットをもたらします。
特に、数百人規模の会場を借りるイベントなどは会場費用や音響諸々の設定だけで半日あたり300万円以上かかるのが一般的です。ROIに厳しくBtoBマーケティング活動を行なっているのであればこの点ウェビナーは会場費用がゼロのため、非常にマーケティングコストの削減につながります。
なお、ウェビナーであってもホワイトペーパーのダウンロード時のように、申し込みの時点でメールアドレスや会社情報などを入力する導線設計になっていれば、見込み客の情報を取得することも容易で、MAやCRMと連携することもできれば営業活動やマーケティング活動に即座に情報を反映することも可能です
例えばSEO対策ツールを提供する「ミエルカ」では、オンラインマーケティング大学と題し、「3年でリード獲得数を70件から→月500件に増やした事例」など、見込み客が気になる効果に関するウェビナーを無料で公開。
(参照元:BtoBデジタルマーケティングセミナー動画を無料公開|ミエルカ)
申し込みのときに会社名やメールアドレスなどの入力してもらうことで、見込み客の情報取得にも貢献しています。
ブログ記事よりもさらに深い情報や、書籍のように体系的に理解できる情報が欲しいという見込み客に向けては、ホワイトペーパーなどのダウンロード型コンテンツも有効です。無料ダウンロードと引き換えに、本名や会社名、メールアドレスなどの入力欄を設け、見込み客の情報が取得できる仕組みを用意しておきましょう。
一般的にダウンロード型のコンテンツにも様々な形式があり、PDF、PPT、Excel、ツール型、Google Slide、Google Spreadsheet、など様々です。
インハウスのBtoBマーケティング担当者として過去100以上のダウンロードコンテンツを作ってきた経験からすると、圧倒的なダウンロード数につながるのがすぐに業務に使えるExcelを活用したテンプレート形式。
PDFタイプは読み込むのに時間がかるため、その心理的要素の影響もありエンゲージメントはExcelテンプレート型式と比較し高くありません。
とはいえ、わざわざ情報を入力し、ダウンロードまでしたにもかかわらず、記載されている内容や情報量がブログに劣るものであれば、逆に信頼感を落としてしまうことにもなりかねません。
BtoB企業は特に企業間の信頼性というものを重要する傾向があります。そのため、書籍として販売しても良いレベルの内容が無料で手に入ったという気持ちになってもらうのが理想です。
企業のなかにはビジネスブログなどのメディアを作らず、資料ダウンロードに誘導するための情報に特化したサイトを立ち上げている例もあります。
例えば、高年収企業として知られる「キーエンス」は「◯◯.com」というまるで辞書のような20ページ前後の情報サイトを大量に立ち上げ。その1つの「粗さ入門.com」では、「表面粗さの基礎」「線粗さ」「面粗さ」「表面粗さ測定機器」「粗さ測定事例」の計23ページの記事コンテンツを作成しています。
(参照元:粗さ入門.com|キーエンス)
そのうえで、製品カタログや技術資料のダウンロードにつなげているわけです。
(参照元:粗さ入門.com|キーエンス)
キーエンスはほかにも「FAロボット.com」「センサとは.com」「安全知識.com」などのサイトも運営しています。
これらのビジネスブログは、技術者や学生、研究者向けに出していることもあり、一般的な見込み客層向けのダウンロードコンテンツとは異なりますが、購買決定の関係者である彼らに対して有益なコンテンツを発信することにより、企業の購買担当者などへ大きな影響を与えます。
自社で取り扱っている製品が特に専門性の高い場合は、ビジネスブログではなくキーエンスのように情報の深さに特化したサイトやダウンロード型コンテンツを作るのも、ひとつの有効なBtoBマーケティングの見込み客獲得方法と言えるでしょう。
あまり馴染みのない言葉ですが、割と行われていることが多い共同マーケティング(Co-Marketing)。この手法は、同じペルソナを持つ非競合企業同士が一緒にマーケティングコンテンツを作り、見込み客獲得を行うBtoBマーケティング手法。
筆者の前職は積極的に共同マーケティングを行い、見込み客獲得の数を爆発的に増加させていました。
(参照元:HubSpotとICONOSQUREの共同マーケティング施策のランディングページ)
共同マーケティングは、双方の企業が共有のコンテンツを活用してマーケティングキャンペーンを行うため相手の企業が大きなハウスリストを持っていれば持っているほど効果が大きくなります。
上記ケースでは、ICNOSQUREが大きなハウスリストを持っており、同ペルソナを持っていることからキャンペーンがスタートしています。
プロモーションを行うにあたり、このダウンロードコンテンツを、ビジネスブログや、検索連動型広告、SNS広告、SNSオーガニック、双方のハウスリストへ投げかけるなどをして見込み客獲得を行っています。
日系企業であれば共催セミナーを行うことが多いですが、このように共同でデジタルコンテンツを作ってもらうとセミナーなどとは異なり再利用し易く、再現性も高いというのが大きな違いです。
営業主体で製品を販売しているBtoB企業には、そもそもマーケティング部門がないケースもあるかもしれません。マーケティング部門があったとしても、営業部門とは別の部署で、対立しているケースもあります。
しかし、マーケティングの力を活用して収益を上げていくためには、営業部門内にマーケティング部門を置いて、いつでも連携しやすい状態にしておくのが理想と言えるでしょう。
マーケティング部門と営業部門の取り組みが乖離しないように、定期的に進捗をフィードバックしていくことも大切です。
例えば新規の見込み客については、マーケティング部門が中心となって獲得していくことになるでしょうが、MAツールを使った各社のスコアリング状況やインサイドセールスがすでにアプローチ済みの見込み客情報などを、営業部門にも共有することが大切です。
また、ブログ記事やホワイトペーパーが充実してくると、オンラインからの問い合わせも増えてくるかと思います。営業担当者がコンテンツとして提供している情報を知らないと、見込み客への対応はできません。
そのため、社内勉強会などを定期的に実施し、マーケティングが作成したコンテンツに関する情報を中心に、営業部門にインプットする機会も設けるなども双方の助け合いを促す良いアプローチでしょう。
営業とマーケティングを連携させる有効な手法として、SLAを利用した連携方法もあります。
SLAとは「Service Level Agreement」の略。日本語では「サービス品質保証」「サービス水準合意」などと訳されます。要するに、サービスを提供する側がサービスを利用するユーザーに対して示す「品質保証」の基準のこと。
このSLAを下回った場合、サービスを提供する側は何らかの保証をする旨を定めて、契約を交わします。
例えば、サーバー利用の契約をする場合、「サーバーの稼働率」や「データ保全の割合」を「〇%保証」というようにSLAを取り交わすことが一般的です。
本来は品質基準を定義する際に用いられるSLAですが、BtoBマーケティングにおいてはマーケティング部門と営業部門のそれぞれが、目標を設定する際にも役立ちます。
例えばマーケティング部門がSLAをもとに目標を設定するとしたら「どのような状態で、どのくらいの件数の見込み客を営業部門に渡すか」などが挙げられるでしょう。このように質と量でSLAを定義します。
一方で営業の場合、例えば「見込み客にどれくらいの期間を置いて再アプローチするか」「2回目の電話はいつ行うのか」などの目標を設定しておきましょう。
マーケティング部門と営業部門が目に見えるかたちで目標を設定することで、連携もスムーズにいく可能性があります。
以上、最後に今回の内容をまとめてみましょう。
見込み客の数を増やすためにも、まずは自社製品に関連したテーマで困り事を解決するようなコンテンツを提供するなど、潜在見込み客にアプローチする必要がありました。
ビジネスブログやSNSの活用などが挙げられますし、より深い情報を知りたい見込み客にはホワイトペーパーなどのダウンロード型コンテンツやウェビナーなどが有効と言えるでしょう。
なお、新規の見込み客獲得を行うマーケティング部門と、実際に見込み客にアプローチを行う営業部門を連携させるためにも、それぞれがSLAをもとにした目標を設定することが大切です。
目標が両部門間で見える化されることで、スムーズな連携につながるでしょう。