営業活動の基本とは?効率を高め成果を出すために行うべきこと

2021/08/17
BtoBマーケティング 営業活動 営業活動の基本とは?効率を高め成果を出すために行うべきこと

企業内で利益を生み出す部門は、直接お客様に製品・サービスを売る営業部門と売る仕組みを作るマーケティング部門の2つあります。どちらの部門も企業の成長を支える重要な役割を担っています(現実にはマーケティング部門は「コストセンター」と呼ばれます。つまり、利益ではなくお金を使う部門)。

近年、日本の営業のあり方は大きく変化しました。コロナ禍になり、それまでは一部の先進的な企業のみが行っていたオンライン商談、インサイドセールス、カスタマーサクセスなどの新しい営業スタイルが普及しました。

CRM、SFAなどのセールステックの導入も一般化してきましたし、いわゆる「The model型亅の営業分業スタイルをとる企業も増えてきました。業界全体が、効率性や科学性を志向するようになってきたといえるでしょう。

一方、セールステックを導入しても売り上げが伸びないという声は以前からあり、昨今は米国で「分業型営業モデルでは顧客の声に応えられていない」という意見も出てきています。

新しい営業スタイルであれ、古い営業スタイルであれ営業活動の目的、基本は同じです。あくまでアプローチの選択肢、ツール(道具)の選択肢が増えただけにすぎません。

今回は、営業活動の基本について解説します。今一度基本を見直し、成果を出すために行うべきことを再考してみましょう。

営業活動とは

営業活動とは、自社の製品・サービスを顧客に販売して売り上げをあげる活動です。一般に、企業本体、代理店(パートナー企業)の営業部門の社員が営業活動を担当します。

営業活動の本質である売上

企業は営利組織です。そして、企業の営業活動の本質は「売上を上げること」です。自社の製品・サービスの魅力や機能を顧客に伝え、購入してもらい、その対価を得ることが営業活動の目的です。

営業活動の過程では、まるでボランティアのように顧客に情報を提供したり、アドバイスしたりすることもあります。営業活動とは100人の顧客に営業して100人から成約を得ることはまずないので、単に情報提供だけで終わるケースも少なくありません。

しかし、基本的にはつながりのできた顧客に対し何らかの製品・サービスを販売することを目的としており、案件化できなかったことは結果にすぎません。ここはNGOなどの非営利団体、官公庁など公共の組織のスタンスとは一線を画すところです。

そして、売上をあげる=正当な対価を得ることが根底にあるからこそ企業は、製品・サービスの品質を向上させ、強い責任感のもとプロとして顧客と向き合います。

役所、非営利団体の仕事より民間企業が信頼されることが多いのは、金銭という対価にともなう責任範囲を明確にして、仕事を請け負う組織だからでもあるでしょう。

営業活動の種類

営業活動は大きく分類すると新規開拓営業と既存顧客営業に分かれます。営業活動の前半の工程と後半の工程ですが、この2つの営業スタイルは力の置きどころがかなり異なります。

新規開拓営業(ハンター型営業)

新規開拓営業はよく「狩猟型営業」「ハンター型営業」と表現されます。

どの企業に対して営業するかターゲットの狙いを定め、他社営業マンより先んじてアプローチし
ます。最初は関心を示さなかった見込み客との人間関係をあの手この手で築き上げ成約につなげていくプロセスが、狩猟に似ているためでしょう。

何よりも自社製品・サービスを必要とする顧客を捜し出す嗅覚(ターゲティング能力)、まったく見ず知らずの企業に電話、手紙、メールでアプローチする積極的な姿勢が必要であり、開拓活動自体が好きな狩猟型メンタリティを持つ人材に適した営業スタイルです。

新規開拓営業は時間がかかります。最低でも数ヶ月、場合によっては数年かかる場合もあるため、最近はインサイドセールスとフィールドセールスに分業する企業も増えています。

インサイドセールスとは、一度接点を持った見込み客と 電話、メール、ビジネスチャットなどを活用し非対面で営業していくスタイルです。もともと国土が広く移動が大変な米国で広まった営業スタイルですが、コロナ禍になり日本でもフィールドセールスと並ぶスタンダードな営業スタイルになりつつあります。

  • フィールドセールス:訪問して対面する営業活動
  • インサイドセールス:電話、メール、チャットなどを活用した非対面営業

もっともコロナ禍とはいえ、マスクをつけた対面商談は実施されていますし、製品・サービスによっては完全に対面営業をなくすことは難しいので、これからの営業マンは2つの営業スタイルをこなせることが望ましいでしょう。

既存営業(ファーマー型営業)

既存営業とは、すでに取引が成立した企業を担当してアップセル、クロスセルで売上を上げていく営業です。種をまき水や肥料をあげ植物を育てていく農耕にたとえてファ−マ−型営業とよばれます。また、場合によってはファーマー型営業をインバウンド型の営業と例える場合もあります。

BtoBの場合、取引が長期になることが多いので既存顧客営業は営業部門の売上の柱であることが多く、非常に重要なポジションです。既存営業は一から信頼関係を築く苦労はないものの、顧客の期待値も高くなります。

顧客の業界のトレンド、業界内のポジション、経営方針、担当者の抱えている課題などを理解し、顧客が成功するために自社製品・サービスをいかに役立てていくか考えなければなりません。顧客よりも顧客のことに詳しくなる必要があります。

新規開拓営業と既存営業は営業活動の前半と後半のプロセスで、近年は分業するケースも増えていますが、企業によっては一人の営業がすべてを担当します。

営業活動と隣り合わせの部門

売り上げを上げていくためには、営業活動だけでは限界があります。営業の前工程としての広告宣伝、マーケティング、後工程の販売後のアフターフォローが必要になり、SaaS企業では以下の形を取るのが一般的です。

 

営業活動の隣り合わせの部門

マーケティング部門

マーケティング部門の役割は「売れる仕組み」を構築することです。

商品企画、広告宣伝、ブランディングなどを手がけるマーケティング部門は、営業部門を後方支援するセクションにあたり、マーケティングが巧みな企業ほど営業現場の活動が楽になります。

「マーケティングの目的は営業を不要にすること」という言葉があるように、製品・サービスによっては営業マンなしで売り上げを上げることも不可能ではありません。

といっても日本企業の場合は、マーケティング部門の人数は少ないことが多く、中小企業では一人マーケッターも珍しくありません。仕事の領域も広告・宣伝や販促物の制作のみとなっているケースもあります。

日本企業の場合、米国でマーケティング部門が担っている仕事が経営企画、営業企画、営業部門に点在しているように見受けます。たとえば、見込み客のターゲットの選定~絞り込みまでのデマンドジェネレーションは、営業部門が担ってきたといえるでしょう。

しかし、近年のビジネスのデジタル化に伴い、オンライン上の見込み客発掘の必要性が高まっており、ここは営業部門ではカバーできない領域なので、マーケティング部門への期待が増しています。デジタルマーケティング人材の必要性も高まっています。

サポート/サクセス部門

カスタマーサポート、カスタマーサクセスは製品・サービス後のフォローを担当する部門です。サポート部門は製品・サービスの不具合、トラブルなどを対応します。企業によっては年中無休・24時間対応です。

カスタマーサクセス部門は、「サクセス」とついているように顧客の成功をアシストします。

製品・サービスを購入した顧客に定期的なフォローを続け、よりよい活用方法を提案したり、新しくリリースされた製品・サービスを案内したりしながら、売り上げをあげていく部門です。

たとえばSaaSなど顧客側にとっても学ぶことが多い製品・サービスは「操作が難しい、面倒」だと感じると徐々に使わなくなってしまうことがあります。売って終わりではなく、丁寧にフォローすることで、顧客が当初描いていた目的を達成してもらう手助けをします。

営業活動でよくある課題

営業活動でよくある課題を解決するための、営業管理のポイントを解説します。

Salesforceキーエンスリクルートなど「最強の営業力を持つ」といわれる企業を何社か思い浮かべてみればわかると思いますが、個々の営業マンのタフさ、モチベーションの高さ、行動力などいわゆる根性的なところも群を抜いていますが、同時にかなり厳密なKPI管理がされています。

これらの企業が強いのは、優秀な人材の能力を最大限に開花させる管理手法をもっているところでしょう。御社は営業マンに活躍してもらう土台はできているでしょうか?

まず、営業管理の基本ができているかどうか確認してみましょう。よくある課題(できていないこと)は以下3点です。

目標管理ができていない

営業活動の基本は目標管理です。目標管理とは、企業の売上目標、営業部門の目標から逆算して個々の営業マンに最適な目標を設定することです。

一般に営業部門の目標は、前年対比で降りてくることが多いため、一営業マンに対しても担当顧客の前年対比で100~120%程度の目標設定がされます。キャリア、営業スキル、コロナ禍のような環境の激変も多少考慮されます。目標管理は、なぜその数値になったのかを営業マンに腹落ちしてもらうことが重要です。ここがてきているかは現場のモチベーションに影響します。

行動管理ができていない

行動管理はできているでしょうか?

行動管理とは、個々の営業マンの日々の行動を管理することです。コール数、営業メール数、アポイント数、1日の商談数などすべての行動を管理します。

行動管理を営業マンの報告にまかせていると、残念ながら適当な記載になることは少なくありません。成果で評価される営業マンたちは結果オーライの感覚を強くもっており、それほどプロセスの報告を重視しないためです。

近年はSFA、CRMなどを活用すれば最初のコール段階から、自動的にデータが蓄積されるので、リアルタイムで数値を可視化できます。

たとえば、1ヶ月ベース、あるいは1日単位であっても全営業マンのデータを比較するとさまざまな気づきがあります。

  • 「コール数が平均より少ない」
  • 「商談後の成約率が上昇している(低下している)」
  • 「決裁権者との商談率が平均より高い(低い)」
  • 「通話時間が平均より長い(短い)」

といった具合に各営業マンの行動量の差、アポイント率、商談率などがわかるため、的確なアドバイスが可能になります。また、営業マン自身もトップセールスマンをモデルとして行動パターンを見習うことができます。

案件管理ができていない

案件管理とは、案件ごとの営業のプロセスがどの程度進行しているかを可視化するために行います。

初回コンタクト、ヒアリング、ニーズの把握、決裁権者との面談、商談というプロセスが順調に進んでいるかどうかを可視化しておくことで、直近~向こう半年の数字の予測が可能になります。また、何らかの理由で停滞しているプロセスについて、部下からヒアリングして対策を検討することができます。

営業マンは多数の案件を抱えているため、SFAなどのクラウドシステムがあると記録もれがなくなり、営業活動に集中することができます。また、案件管理ができていると営業マンの異動や退職があっても新しい担当者にスムーズに引き継ぎを行えるため、企業の資産である顧客とのつながりを維持できます。

営業活動の課題を解決し効果を高めるには

営業活動の課題を解決するポイントは、営業をできる限り仕組み化することです。ガチガチに管理するということではなく、営業組織を最適化し、ノウハウを共有し業務を標準化して、すべての営業マンの能力を底上げします。

営業体制の構築

営業体制はビジネス環境の変化を踏まえた上で、売上目標と社内営業マンの人員、成績の良い営業マンの行動パターンを分析し、自社がもっとも効率よく売り上げられる組織体制を構築します。

たとえば、コロナ禍の現状であれば以前の営業体制でオンライン営業だけ導入してもなかなか現場はスムーズに動けないでしょう。その場合、以下の分業スタイルをとることができます。

例:

  • テレアポ部隊→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサポート
  • コンテンツマーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサポート

オンライン商談システムなどのセールステック類が普及した今も、アポイント獲得はいまだハードルが高い仕事です。アポ取りは営業プロセスの中でも少し特殊でトークスクリプトである程度標準化できても、製品知識、営業経験などよりも声質、リズム、勘の良さがかなり影響します。

新規開拓営業が不得意な企業は、ここはアウトソーシングしたり、コンテンツマーケティングに力を入れると営業効率がよくなるでしょう。インサイドセールス、営業のスキルが高い営業マンには商談に集中してもらったほうが成果が上がる企業は珍しくありません。

もちろん、前述のように製品・サービスによっては分業スタイルをとらないほうが良いケースもあります。自業界の慣行、自社がこれまで培ってきた営業部門の強味を考慮した体制を構築しましょう。

営業プロセス構築

営業プロセスを見直して可視化することも大切です。業界が異なってもアウトバウンドな営業プロセスは一般に以下のフローになります。営業プロセスの図

このプロセスにそってトークスクリプト、複数の事例を用意しておきます。営業マン全員が営業プロセスを理解すると、営業マンの無駄な動きがなくなり、以下のメリットがあります。

  • 若手営業マンの成長
  • 新規開拓案件の増加
  • セールスサイクルの短縮
  • 顧客との信頼関係の維持
  • 案件のフォローもれがなくなる

営業マンは個人で動く仕事なので、困ったときに質問できないことが少なくありません。新卒で入社し企業組織というものに理解がないと、どのタイミングで成約になるかイメージがつかず、早すぎるタイミングでクロージングするなどのミスを犯しがちです。営業マンに無駄な迷いや失敗をさせないように、基本の営業プロセスを提示しておきましょう。

営業行動の明文化

営業行動を明文化することも大切です。言語化することで誰もが成約までのプロセスを再現できるようになるからです。

アポイント獲得用のトークマニュアル、商談時の営業トークマニュアル、各種事例、クレームがあったときのお詫びメールのフォーマットなどをすべて言語化しておくと、どの営業マンも必要なときに素早く判断・行動でき、その迅速な行動で顧客に与える印象がアップします。

一から個人にトークを考えてもらうと、営業マンによって対応のスピードにばらつきが出ます。また、対応の方法も営業マンによって変わってしまい誰もが最善の対応がとれるとは限らないため、標準化しておくことが大切です。

営業スキルの向上

営業マンには実に幅広いスキルが必要です。以下はリクナビNEXTが2012年に現役営業マンに行った必要な営業スキルについての調査ですが、この幅広さには驚かれるのではないでしょうか?

 

求められる営業スキルの図

(出典:リクナビNEXT

 

やはり重要なのは「課題発見力」「ヒアリング力」「コミュニケーション能力」です。課題を把握でき、お客様と課題に合意して初めて、その解決のための「思考力」「プレゼン力」「部門調整力」などが必要になります。

ゆえに、営業マンには傾聴、コーチング、SPIN話法などの研修を優先に行うことが重要です。時間がない場合は社内のロールプレイングでもよいのですが、現場で役立つ教育を実践していきましょう。

営業現場の力を生かすには

CRMもSFAも営業マンを軍隊のように管理して「もっと開拓しろ!」と激を飛ばすためにあるのではありません。数値を可視化することで、一人一人の営業マンが自分で自分の行動をマネジメントできるようになるところに意義があるのです。

日本企業には米国とは異なり、現場の力が強い特徴があります。

以下は、ニッセイ総合研究所が日本企業を対象とした調査、北米企業を対象とたGraham et al.(2019)の調査を比較した図ですが、北米企業では企業文化に影響を与えるのはCEOで55%、続いて株主や創業者ですが、日本企業の場合は従業員が55%ともっとも影響力をもっています。

 

企業文化形成に影響を与える人

(参照:ニッセイ総合研究所

 

これは良し悪しではなく、このような傾向があることは実感できるのではないでしょうか?

長らくメンバーシップ型の雇用制度を実施してきた日本企業は、働く側の自由度が大きく現場社員が自分で考え仕事を作ってきた面があります。また、人間は裁量権が大きいほどモチベーションが上がります。日本企業の場合は、現場の営業マンに主体的に積極性をもって動いていけるよう配慮したほうがおそらく成果につながるでしょう。

営業管理において重要なポイントは、営業マンに無駄な業務をさせないこと、そして、営業マンが創造力を発揮して自分事として動ける領域を広げることです。支援するイメージで営業管理する意識を持ちましょう。

まとめ

2000年以降「ITの登場で営業マンは不要になる」「AIが営業マンにとって変わる」ということがよくいわれてきました。しかし、これまでのセールステックの例を見るとわかるように、革新的なテクノロジーが登場したところで、遅かれ早かれライバル企業もすべてセールステックを活用しています。

製品・サービスによっては営業マンは不要になるものの、高価格、専門的な製品・サービスについてはむしろ「人」が差別化のポイントになるでしょう。取引企業の課題を見つけて、いかに役にたっていくかを考え提案し、強い信頼関係を築き上げるのはやはり人間なので、営業マンのあり方は変わるものの営業の本質は変わらないと考えます。

新しい営業スタイル、組織体制、テクノロジーは、ノウハウや武器にすぎません。まず、自組織の戦力と企業文化を理解し基本的な営業管理のポイントを押さえていきましょう。基本を押さえるだけでも成果に結びつくはずです。その上で自社に必要な武器を選びましょう。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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