コンテンツの意味とは?コンテンツの具体例とコンテンツマーケティングのメリットをわかりやすく解説

2024/02/27
BtoBマーケティング コンテンツマーケティング コンテンツの意味とは?コンテンツの具体例とコンテンツマーケティングのメリットをわかりやすく解説

BtoBマーケティングのイベントやウェビナーに出席すれば、必ず目にする「コンテンツ」。コンテンツを使った集客が大事と分かっていても「そもそもコンテンツとは?」「なにを書けばいいの?」と迷われる方もいるでしょう。

私自身BtoBマーケティングを行い始めたころは「コンテンツ」が何を意味しているのかわかりませんでした。そのため、BtoBマーケティング歴が短い方であればあるほど、同じ様に感じているのではないでしょうか。

そんな方に向けてこの記事では、マーケティングにおいてコンテンツの意味を定義付けるところから、お役立ち資料やブログ記事といったWebコンテンツの具体例、さらには検索ニーズの把握やカスタマージャーニーの作成など、コンテンツを作る上で考えておくべきことまで紹介します。

コンテンツの意味とは

コンテンツという言葉はあまりに意味が広いため、人によって解釈が異なるかと思います。カメラマンであれば写真をコンテンツと表現することもありますし、ライターであればコンテンツと聞かれて真っ先に思い浮かぶのは文章かもしれません。そのほかにも、漫画やドラマ、映画などもコンテンツと表現されます。

ただ、マーケティングにおけるコンテンツの定義とは「顧客に有益で、伝えるべき情報」だと言えるでしょう。もう少し、噛み砕いて説明していきます。

従来、顧客に情報を伝える手段としては、テレビCMや雑誌広告などのいわゆる「広告」が主流でした。例えばテレビCMであれば、ある番組に興味を持って訪れた視聴者・読者に対して、時間的・空間的に割り込んでメッセージを展開する手法だといえます。

確かに、情報の伝達手段がテレビや雑誌などに限られていた時代は、広告が最も有効な手段だったといえるでしょう。しかし現在、情報の伝達手段といえばテレビや紙媒体のみならず、スマホやパソコンなども主流となってきました。

そして情報の受け取り方も、テレビのように受動的ではありません。検索エンジンで気になるキーワードを検索して、自分から能動的に情報を取りにいく時代です。

こうした時代においては、情報を求める人に対して、適切なタイミングで適切な「コンテンツ」を提供する必要があります。適切なタイミングがなぜ大事かと言うと、商品にまだ興味を持っていない人に、いきなり売り込んでも拒絶されてしまうためです。

「企業が伝えたいこと」と「生活者が知りたいこと」のギャップを、コンテンツの提供を通じて埋めていく姿勢が求められるでしょう。インターネットの登場によって、テレビCMのように1回の情報伝達にコストがかからなくなった現在、ユーザーの興味・関心度合いに合わせたコンテンツ提供が可能といえます。

コンテンツがマーケティングにおいて重要な理由

コンテンツの定義とはマーケティングにおいて「顧客に有益で、伝えるべき情報」。Webコンテンツであれリアルコンテンツであれ、コンテンツの品質はそのまま提供する側のインテリジェンス、誠実さ、顧客理解力を表します。

そして、社会的にデジタル化が発展したいま、人々の情報源はオンラインに移りました。BtoCであれBtoBであれ、何かを購入しようと考える人は、まず検索します。見込み客と一番最初に出会うのは、営業担当者でも商品でもなくコンテンツです。

そこから企業のWebサイトにたどり着き、商品・サービスの購入に結び付いていきます。魅力的なコンテンツは人々の興味を引き、ビジネスを広げ、経済的な成果を上げ、ブランドの知名度や信頼をアップさせます。

以下はサイトエンジン株式会社が2022年にBtoBサービス・商品の購入や選定に密接に関与する企業の担当者に行った調査。「どうやって企業サイトを見つけましたか?」の質問への回答。ダントツで「サービス、商品に関するキーワードを検索エンジンで検索」が1位です。

1.商品サービスを探す際の方法についての調査(サイトエンジン調べ)

(出典:購買者から見たBtoBサイトに関するアンケート調査レポート|サイトエンジン株式会社

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、さまざまなコンテンツを作り公開・シェアして、見込み客とコミュニケーションをとり、信頼関係を築いていくマーケティング手法です。多様な効果を生む手法ですが、BtoBのコンテンツマーケティングの主な目標は以下となります。

  • リードを生み出すこと
  • 顧客基盤を広げること
  • オンラインでの収益を増やすこと
  • ブランディング
  • 採用ブランディング

コンテンツの形式には、ビジネスブログ、メールマガジン、SNS、動画、ウェビナー、パンフレット、イベント、ホワイトペーパー、電子書籍、ニュースレター、成功事例、ポッドキャスト、ハウツーガイド、よくある質問と回答コンテンツなどがあります。

購買の過程で見込み客はさまざまなメディアに触れるため、見込み客が訪れるであろうチャネルを選定し、計画的にコンテンツを提供します。

見込み客が自社に興味を持って、最終的には取引につながり、長い付き合いになることを目指すのがコンテンツマーケティング。成功するにはコンテンツの品質が鍵です。

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングは、単なる情報発信ではなく、ビジネスを成功に導く大事な役割を果たしています。具体的なコンテンツマーケティングのメリットは、以下にあります。

お客様の課題解決につなげることができる

BtoBの見込み客の大多数を占めるビジネスパーソンは、日々、オンラインでいろいろな情報をチェックします。ビジネスは学びの連続。調べることは多々あるからです。

仕事上でわからない言葉が出てきたとき、課題をかかえたとき、新たなトレンドを知りたいとき、まず手軽なネットで検索します。ちょっとした疑問なら検索して良いコンテンツに出会えたら解決できるでしょう。おそらく、ご自身でも経験があるのではないでしょうか?

課題が複雑な場合は、ホワイトペーパーをダウンロードしたり、SNSで幅広い情報を集めたり、ウェビナーに参加します。このような課題解決の過程において、良質なコンテンツは常に賢いアドバイザーとしてサポートをします。

専門的な知識を分かりやすくまとめたコンテンツ、実践的な知識によって、読者のビジネス効率はアップするでしょう。このようにコンテンツはさまざまな見込み客や既存顧客の課題解決に役立ち、その過程でリレーションシップが形成されていきます。

自社の信頼や認知、権威、ブランドを構築をすることができる

BtoBビジネスにおいて信頼を築くこと、何かしらの権威、ブランドを築くことは、おそらくもっとも重要でしょう。そして、その信頼度にもコンテンツが大きく影響します。

見込み客は、あなたが信頼できるかどうかをまずコンテンツで判断します。コンテンツの第一印象が悪ければ、その企業の姿勢が疑われかねません。逆にコンテンツのクオリティが高いと、専門性や業界内でのリーダーシップが際立ちます。

質の高いコンテンツを提供している企業は、見込み客とポジティブな関係を築く可能性がどんどん高まります。業界のエキスパート、信頼できる情報の源として認知されると、オンラインでの権威もつくれるでしょう。ブランド力が自然に高くなっていきます。

参考までに、こちらは2024年にデータマーケティングを提供する株式会社IDEATECHが実施した、外資系企業でコンテンツマーケティングを担当した人向けの調査。コンテンツマーケティングを行う理由の1位は「顧客ロイヤリティの向上」。(※外資系企業のみのデータ)

2.日本市場におけるコンテンツマーケティングに関する実態調査(IDEATECH調べ)

(出典:日本市場におけるコンテンツマーケティングに関する実態調査|株式会社IDEATECH

質の良い見込み客を獲得することができる

HubSpot Academy のLindsay Kolowich氏によると「コンテンツは、ユーザーをランディングページに案内する最高の手段」です。良質のコンテンツは見込み客を引き寄せます。

コンテンツマーケティングでは、訪問者に無料で役立つ情報を提供します。ただ、そもそもそのようなコンテンツに関心を示す見込み客は、課題を認識している傾向があるものです。また、コンテンツをしっかり読み込んでから問い合わせてくる見込み客は、課題やこちらが扱っている商品について、真剣に検討している傾向にあります。

コンテンツの合間にCTAをいくつか用意しておくと、コンテンツを見るなかで、自然に資料をダウンロードしてみようか、ウェビナーに参加してみようか、問い合わせてみようかなという発想が浮かびます。コンテンツを読んでもらえばもらうほど、ランディングに進んでいく確率が高まっていくのです。

コンテンツの目的と内容

コンテンツは形式も種類もさまざまです。何がベストかは見込み客の状況にもよります。課題に気づき始めたばかりの人に、いきなり込み入った事例を紹介するとピンとこないかもしれません。

コンテンツは、基本的にカスタマージャーニーのフェーズごとに展開していくことが望ましいでしょう。カスタマージャーニーとは、以下のような購買心理・行動の変化を可視化したフレームワークです。

BtoBカスタマージャーニーで想定される各タッチポイント

気づいてもらう

「気づき」のフェーズとは、見込み客に自社の存在に気づいてもらうフェーズ。

見込み客との最初の接点であり、重要なフェーズです。

このフェーズでは、見込み客はそれほど課題を意識していなかったり、詳しい知識がなかったりするケースが想定できます。そのため、気軽に読める短めのブログコンテンツなどが適しています。

例えば、「〜とは」で検索されるであろうテーマを想定して、ブログ記事を用意しておくと見込み客は、そこでさまざまなノウハウを知ることができます。専門用語集なども効果的です。

あるいは、最新の業界のトレンド、ニュースについてのコンテンツも有効です。業界の変化は誰もが気になるもの。新しい情報というだけでも一定の価値があります。トレンドについて分析したコンテンツがあれば、なおさら注目されるでしょう。見込み客が社会の変化に注意を向け、新たな課題やニーズに気づくきっかけにもなります。

できるだけ注目されやすくするように、クイズなどのインタラクティブなコンテンツを活用することもおすすめです。

認知してもらう

自社の存在を認知してもらい、読者から信頼を得てもらうフェーズです。信頼を得るためには、よりクオリティの高いコンテンツや専門的なコンテンツが必要になります。

例えば、市場動向や変化に対する分析を行い、読者に新しい視点をもたらすようなインサイトのある記事や、ホワイトペーパーなどを提供できるとよいでしょう。

最新統計や研究結果を紹介するコンテンツなども、ビジネスの未来を見越すヒントを提供するため有意義です。新しい技術やトレンドについてのコンテンツは、業界の変化とチャンスやリスクについての気づきを提供するので好まれます。

このように、見込み客が将来に備えて自社のポジショニングや行動計画について考えるための手助けや、具体的なアドバイスとなる内容をコンテンツに含めます。

比較検討してもらう

この段階では、担当者は予算、機能によって、何社か候補を絞り込みます。専門知識がないと比較が難しいこともあるので、他社に比べた優位性を示すコンテンツ、安心できるような実際に操作する様子がわかるコンテンツがあると見込み客は理解しやすいでしょう。

また、事例コンテンツは、この段階での重要コンテンツです。購買担当者は自社と似たケーススタディに安心するため、できるだけ豊富な事例コンテンツを用意することがもっとも効果的です。

同じカテゴリの競合他社と比較した際の、機能やエコシステムの差などをしっかり理解してもらいましょう。SaaSについては、どのような活用をしてほしいという前提で作られたかも理解してもらうことが必要です。比較検討には以下のコンテンツが適しています。

  • 導入事例
  • 比較表
  • 商品デモへの誘導コンテンツ
  • 外部評価がわかるコンテンツ

決定してもらう

意思決定してもらうフェーズでは、購買担当者だけではなく、その企業の役員や実際に活用する現場の人たちなど複数の関係者に納得してもらえるコンテンツが必要です。

このフェーズでも事例コンテンツは大きな役割を果たします。自社が抱えている課題、悩み、ジレンマの解決に役立ちます。リアルなケースを通して、自社の成功体験のシミュレーションが可能です。

また、企業そのものの信頼性が確認されるフェーズなので、公式Webサイトなどで以下の内容がわかるコンテンツがあると見込み客の安心や評価につながります。

  • 会社の歴史、ビジョン
  • 経営者の略歴
  • 資金調達の状況
  • 導入後のサポートとトレーニング
  • FAQ
  • 導入事例

海外の2019年とやや古いデータですが、購買活動の初期、中期、後期といった流れのなかでどのようなコンテンツが活用されているかのデータがあります。前半はブログ記事が中心、その他多様なコンテンツを活用。後半になるにつれ事例、担当者が中心になっています。

効果的なコンテンツ(初期、中期、後期)

(出典:B2B CONTENT MARKETING 2019 - Contentmarketing institute、MarketingProfs

コンテンツ発信の手段と具体例

ここでは、コンテンツの代表的な発信手段と、お手本にしたい具体例を紹介します。

ブログ

3.Money Forwardのコンテンツ記事

(出典:株式会社マネーフォワード

株式会社マネーフォワーワードの「Money Forward Bizpedia~バックオフィスの悩みに答えを~」は、BtoBブログのお手本のような役立つコンテンツを提供しています。極力、専門用語を避けてわかりやすい言葉で書かれているのが特徴です。

まず、具体的なケーススタディなどクラウド会計システムに関する実践的な情報を提供しています。さらに、テーマの範囲が非常に広く、総務、労務、人事の領域にいるビジネスパーソンが仕事で知るべきノウハウ、用語集まで及びます。また、最新のトピックをいち早く取り上げており、テンプレート集も充実しているのが魅力です。

記事の一つひとつは、特定のテーマに焦点を当て、それを詳細に掘り下げることで、読者が情報に圧倒されず、知りたいことについて理解を得られるコンテンツとなっています。イラストやスクリーンショットを使用して視覚的にも情報を伝えているので、見やすいところもポイントです。

絞り込んだペルソナというよりも、人事総務経理関連の幅広いターゲット層に向けて展開しているようです。SaaSは横展開していくことが多いので、これも今後の新サービス展開にもちろん生きてくるでしょう。

ソーシャルメディア

4.SansanのXアカウント

(出典:X(Twiiter

ソーシャルメディアには、Facebook、X(Twiiter)、LinkedIn、TikTokなどさまざまな種類があり、それぞれ抱えているユーザー層が異なります。自社のユーザー層がよく使うSNSに、見込み客の関心が高いコンテンツを投下することが基本です。

上記は、名刺管理システムで知られるSansan株式会社のX公式アカウント。ポストされている内容を見ると、「電子帳簿保存法に関する実態調査」「インボイス制度対応の実態調査」のリリース、社員インタビューの紹介、導入事例の紹介など8割がた固めの内容です。

たまにイベントの様子のワンシーンなどが入るだけの、いかにもBtoB企業らしい、見込み客のみを対象にした奇をてらわないSNSマーケティングを実施しています。

コミカルなCMで知名度もあるSansanですが、広く電波にのせることができ露出するだけのCMと、見込み客と直接コミュニケーションがとれるSNSはきちんと使い分けていることがはっきりわかります。

音声コンテンツ

5.カミナシSaaS FM

(出典:カミナシSaaS FM | Podcast on Spotify

BtoB領域でも、音声コンテンツが少しずつ普及しています。Spotifyやradikoなどの音声メディア、音声プラットフォーム「Voicy」でコンテンツ配信することで、ブランディングに活用できます。

上記は、現場向けSaaS「カミナシ」を開発・提供する株式会社カミナシのCEO諸岡氏とCOO河内氏が中心となって運営する「テクノロジー」に特化したPodcast。「デスクレスSaaS」に関するマーケットや事業、プロダクトづくり、同じくSaaS領域で取り組むプレイヤー、経営者との対談などを発信しています。

当初は採用、広報目的で始めたそうですが、徐々にブランディングにつながったとのこと。

大きなマーケティング効果はおそらくこれからかと思われますが、SaaS企業のマーケターの方なら注目しておくべきコンテンツでしょう。

動画コンテンツ

(出典:YouTube

BtoBSaaS企業は、現状それほど動画マーケティングに力を入れている企業は多くありません。チャンネルを設けている企業も、動画ではあるもののテキストや画像を駆使したコンテンツが比較的目立ちます。

それだけ人が登場する動画コンテンツは制作のハードルが高いところがあります。上記は、SmartHRのYouTubeアカウント。短いスパンでさまざまなトピックの動画コンテンツがアップされています。

特に導入事例が数多く紹介されており、内容も製品やサービスの背後にあるストーリーや価値観を視聴者に明確に伝えています。これにより、商品やサービスに対する共感が生まれやすくなっています。ツールの利用をイメージできるでしょう。

ブログでも導入事例の豊富さで目を引くSmartHRさんですが、動画になるとさらに、導入した企業の担当者の以前の悩み、課題が解決した喜びが伝わり説得力があります。

メールマガジン

6.キーエンスのメールマガジン登録ページ

(出典:「キーエンス技術情報マガジン」登録フォーム|株式会社キーエンス

製品の独自性、営業利益率50%以上、分刻みで行動管理されるものの年収2000万円を超える営業担当者たち。株式会社キーエンスは、日本の企業の中でも何かにつけ突出したBtoB企業と言えるでしょう。

技術力だけでなくマーケティング力も高い企業であり、日本のコンテンツマーケティングの草分けでもあります。ブログ、ホワイトペーパーが充実しているだけでなく、メールマガジンも有効活用しています。

上記はメールマガジン登録フォーム。簡潔かつ明瞭、シンプル。気軽に登録できるフォームです。メールマガジンのコンテンツも、製品紹介だけでなく、業界の最新情報、製品を活用して成果を出すノウハウなど、見込み客が知りたい情報が満載です。

このクオリティの高さは、各事業部の営業担当が執筆したものをさらに、販促部門メルマガチームがチェック、校閲編集をする体制が整っているからだと言われます。一般のBtoB企業には難しい面もありますが、コンテンツマーケティングの目的がリード獲得という企業なら、マーケティング部門ではなく営業部門がメールマガジンを担当するのはありでしょう。

広告・CM

(出典:YouTube

サイボウズ株式会社は、広告やCMが巧みです。サイボウズのCMは常に、システムの購入担当者ではなく実際に使用する社員が主役です。

上記は、2023年10月からの「kintone(キントーン)」の新テレビCM「たのしそうな部⻑」篇と「⼀筋縄ではいかない業務」篇。文系管理職がキントーンを使いこなせている映像は、若者に比べるとITリテラシーが低いことで揶揄されがちな管理職に響くのかもしれません。

購買担当者は、現場に指示されるSaaSを導入することを考える傾向が強いため、このようなCMで若い従業員〜管理職層までがなじみのあるツールなら検討材料のひとつになりやすいでしょう。

営業資料/商品・サービス紹介資料

BtoB SaaS業界における営業資料や商品・サービス紹介資料の形式は多岐にわたりますが、ポピュラーな形式には以下があります。

  • スライドプレゼンテーション: PowerPoint、KeynoteGoogleスライドなどを使用して製作されます。スライドは視覚的で要点を強調しやすく、会話や説明に合わせて進行させることが可能です。
  • PDFドキュメント: PDFは作成が容易であり、一般にWebからダウンロードして共有される資料として、広く利用されています。
  • オンライン資料: 公式サイトに、パンフレット、調査レポート、活用事例などを含む資料ページを設けて、ユーザーがブラウザ上で閲覧し、必要に応じてダウンロードするようにします。

例:NTTコミュニケーションズの企業向けシステムのオンライン営業資料

11.NTTコミュニケーションズ公式サイト パンフレットDLページ

(出典:X Managed®パンフレット・事例リーフレット|NTTコミュニケーションズ株式会社

お客様事例

実際に商品やサービスを購入した顧客の声は、最大のセールスマンです。見込み客が自分と似た状況の顧客の声を知ることができれば、自分事として商品やサービスの価値を実感する可能性も高くなるでしょう。

業種や従業員規模ごとにさまざまなタイプの顧客の声を掲載すれば、それだけ見込み客が共感できる情報の幅も広がるといえます。

お客様事例を紹介するときに大切なのは「取材」です。なかにはお客様に自由に語ってもらった内容を掲載しているだけのサイトもありますが、ただ商品を褒めているだけの内容では、逆に信頼性を損ねてしまう恐れがあります。

そのため、取材を通じて商品導入前に抱いていた課題や目的、導入後のメリットはもちろんデメリットも語ってもらうことで、客観性のある情報を掲載することが大切です。

お客様事例の具体例も見ていきましょう。

例えば法人向けの名刺管理サービスを提供する「Sansan」の導入事例を見ると、業種や従業員規模に応じて事例を絞り込めるようになっています。

「Sansan」導入事例

(参照元:導入事例|Sansan

つまり訪れたユーザーが、自身の所属する会社の業種や規模に合わせた事例を、簡単に探すことができるわけですね。

また、事例を見てみると、最初に「目的」「課題」「効果」が箇条書きでわかりやすく整理されているのがわかります。

「Sansan」事例

(参照元:導入事例|Sansan

この部分を見るだけで、自分たちの目的や課題と一致している会社の事例かどうか、またその会社は導入後にどういった効果があったのかをある程度把握できるようになっています。

eBook・ホワイトペーパー

8.HubSpotのebook紹介ページ

(出典:HubSpot

上記は、HubSpotの資料ノウハウダウンロードページの、eBook一覧です。ebookやホワイトペーパー制作は時間と労力がかかります。しかし、年に一度のペースであっても、クオリティの高いebookを提供することは、企業やブランドの信頼性を高めます。

また、上記のようにeBookの「無料ダウンロード」というCTAから、リードを獲得できるでしょう。ホワイトペーパーやeBookのダウンロードをする見込み客は、情報収集に熱心な担当者の可能性があります。

つまり、eBookやホワイトペーパーは潜在的な見込み客のコンバージョンに有効です。

書籍

数あるコンテンツの中でも、書籍はもっとも権威性を高め、ブランディングに直結するコンテンツと言えるでしょう。書籍で自社のアピールやブランディングをしてきた企業経営者は、海外でも日本でも少なくありません。もちろん、出版社が執筆を依頼することもありますが、自費出版を行うこともあります。

BtoB企業の場合、取引相手が企業なのでそれほど熱心ではない傾向がありますが、それでも新しい概念、自社の理念を伝えるときは有効です。SaaS業界の王者セールスフォースのCEO Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏は、当初から積極的に書籍を出しています。

9.マーク・ベニオフ氏の著書

(出典:Amazon

HubSpotも同様です。それまでに存在しなかった「インバウンドマーケティング」という概念を広めるべく、書籍を発行しています。ご存じの通り、SaaSの主戦場はオンラインです。営業をするだけでなら、オンライン上のコンテンツを充実させれば彼らの敵は当時もいなかったでしょう。

10.HubSpot創業者の著書「インバウンドマーケティング」

(出典:Amazon

しかし、このような本を出すことで、社会全体に自社の哲学を広めることができます。また、オンプレミスからクラウドシステムへの移行が素晴らしいことと伝わり、事業への追い風が吹いてきます。BtoBの大手企業になるほど、依頼する企業の権威性、信頼性を重要視するからです。

ウェビナー(セミナー)・展示会

昨今、コロナウィルスなどの影響で、イベントやセミナーなどリアルでの催し物が中止になるなか、オンライン型のセミナー(ウェビナー)が注目を集めています。

オンライン会議を簡単に開催できる「ZOOM」などのコミュニケーションツールが普及してきたことで、安価にウェビナーを開催できるようになったのも理由のひとつです。

Zoom

(参照元:ZOOM

ウェビナーの一番のメリットはコストの削減です。例えば会場への移動時間が削減されるほか、リアルの場で配る紙なども不要となり、会場運営にかかる人件費などの削減にもつながります。なお、ウェビナーであってもアンケートを集計するツールなどを利用すれば、見込み客の情報を取得することも容易です。

さらに、主催者側は最低1人からでも実施可能なため、リアルのセミナーと比べると頻繁に実施でき、継続的な顧客へのアプローチも行いやすいといえます。

例えばSEO対策ツールを提供する「ミエルカ」では、コンテンツマーケティングセミナーと題し、BtoB業界におけるコンテンツの考え方やチーム編成、運営方法などが学べる無料セミナーを、定期的に開催しています。

ミエルカ

(参照元:BtoBデジタルマーケティングセミナー動画を無料公開|ミエルカ

見込み客と継続した接点を持つことで、営業担当者が後に接触を試みた際に距離感が生まれるといった状態を避ける目的があるでしょう。

Webコンテンツを作る上で考えるべきこと

最後に、Webコンテンツを作る上で考えるべきことも整理してみました。

カスタマージャーニーの段階を明確化すること

カスタマージャーニーとは、ペルソナの行動・思考・感情といった動きを認知から購買に至るまで時系列で見える化したものです。見込み客が必要としている情報が認知から購買に至るまで、適切なコンテンツ、適切な媒体で伝達できているか、あるいはどう改善できるかを確認するときに使用されます。

ペルソナの例

カスタマージャーニーマップを作成すると、どの媒体や伝達手段を使い、どのような順序でコンテンツを届けたらよいのか、ユーザーの視点で確認できます。

商品やサービスによって購買までのプロセスを何段階にするかは異なりますが、既存顧客や見込み客へのインタビューなどをもとに、以下の要素を言語化していくことになるでしょう。

  • 状況:見込み客が各段階で置かれている状況
  • マインド:購買プロセスの各段階における、見込み客の心理
  • 情報ニーズ:見込み客が知りたい情報のニーズ
  • 行動:必要な情報を得るために、見込み客がどういう行動を取るのか
  • コンテンツ:各段階の情報ニーズに答えられるコンテンツ
  • 媒体・フォーマット:各情報を伝達する手段

もちろん、上記はあくまでも一例となるため、各企業が提供する商品やサービスの特性に合わせてカスタマージャーニーもカスタマイズしていく必要があります。

このようにカスタマージャーニーの各段階を明確にすることで、見込み客の状態に合わせてどのようなコンテンツを提供すればよいのかも見えてくるでしょう。

検索ニーズの量を理解すること

基本的にブログ記事やお役立ち資料をはじめとしたWebコンテンツは、検索エンジンからの流入が主となるでしょう。そのためWebコンテンツは、検索される回数の多いキーワードや、流入数の多いキーワードをもとに作成するのが一般的です。

例えば「リモートワーク デメリット」 と検索する人よりも「リモートワーク メリット」と検索する人が多い場合、「リモートワーク メリット」と検索したときに上位表示されるようなコンテンツを作ったほうが、流入数は増える可能性があります。

ただ、「ビッグワード」と呼ばれる検索エンジンで極めて多く検索されるキーワードは、同じキーワードで上位表示を狙うコンテンツ数も多くなるため、競争が激しくなります。つまり、検索結果で上位表示されることも難しくなるといえるでしょう。

そのため、検索される回数の少ない「スモールワード」から有効なキーワードを見つけ出し、そのキーワードで上位表示されるためのコンテンツを作成するといった方法もあるでしょう。

なお、ユーザーがどのようなキーワードで自社サイトを訪れたのかを把握するために、「Google Search Console」などのツールを使用するケースもあります。

Google Search Console

(参照元:Google Search Console

それぞれのキーワードごとにクリック数や表示回数なども把握できるため、流入数の多いキーワードに関連したWebコンテンツを拡充するといった施策に活かせるでしょう。

またGoogleで検索されるキーワードの検索回数の推移がわかる「Google トレンド」を使って、検索キーワードの検索回数が増加しているのか、減少しているのかを把握することも大切です。

Googleトレンド

(参照元:Google トレンド

Google トレンドを使用すれば、対象のキーワードは検索回数が右肩上がりに増えているか、もしくは現在は検索されているものの過去と比べると減少傾向にある、などを確認することができます。

最適な導線を定量的に理解すること

ブログ記事などを通じて検索エンジンから流入してきたユーザーが、最終的に問い合わせにまでつながらなければ意味はありません。ブログ記事などの作成は、あくまでも受注件数を増やすための手段であるためです。

そのため、「Google アナリティクス」などのアクセス解析ツールなどを使用して、サイトを訪問したユーザーの導線を定量的に可視化することも大切です。

Google マーケティングプラットフォーム

(参照元:Google アナリティクス

例えばサイトを訪問したものの、短期間で離脱するユーザーが多い場合、サイト内の滞在時間を高めるためにコンテンツの見直しを図る必要もあるでしょう。

また、商品やサービスの紹介ページから資料請求ができるページまでの導線がないことで、ユーザーが離脱している可能性も考えられる場合、導線設計そのものを見直す必要もあります。

「見込み客の知りたい情報」の視点で作られているか

コンテンツマーケティングにおいて、「見込み客の知りたい情報」という視点でコンテンツを作成することは非常に重要です。基本的に、コンテンツのテーマは、企業や製品に関する情報よりも、顧客が抱える課題や疑問に焦点を当てることが望ましいでしょう。

そして見込み客が何を求め、どのような情報が役立つのかを理解するためには、前述のペルソナやカスタマージャーニー作成が必須となります。

できれば、マーケターが顧客インタビューなど、顧客とのミーティングをたまに実施することが理想的です。データとしての知識は日頃の業務で持っているのですが、実際に顔を見て話を聞き顧客の課題、気持ちを体感すると、そのデータに意味付けができるようになります。やはり、生の人というのは相当な情報量を持っています。

ソーシャルメディア上で、顧客の投稿やコメントをモニタリングすることも有効。匿名のSNSではユーザーの本音が見えます。コンテンツに対しての良い評価もマイナスの評価も真摯に受け止めましょう。

自社ならではの独自性が含まれているか

近年は、コンテンツマーケティングが一般化してきたため、ネット上には似たようなコンテンツが溢れています。そして似たようなテーマだからこそ、後発でオウンドメディアに取り組み始めた大手一流企業のコンテンツの質の高さが目立ち始めています。

もはや凡庸なテーマをそれほど掘り下げないでコンテンツを展開しても、あまり効果が見込めなくなってきました。では、独自性はどこで出せばよいでしょうか?

ひとつはスピードです。例えば、業界の変化についていち早く分析したコンテンツを出せると、読者を惹きつけられるでしょう。現場のリアルな変化に対する感想だけであっても、貴重な情報です。

あるいは、品質の高いコンテンツを作るために現在のコンテンツの制作サイクルを見直すこともひとつ。トータルの予算は同じでも時間をかけることで一つひとつのコンテンツを丁寧に作りこめます。

なお、企業の歴史、社風、スタッフの個性といったものは独自性そのものです。顧客に役立つコンテンツかは不明ですが、顧客の信頼を得るのに有効なコンテンツにはなりえます。

SNSなどのショートコンテンツならこういった内容も有効。奇をてらう必要はないので、チャネルによって硬軟を使い分けて、自社らしさを打ち出すことを意識してみましょう。

まとめ

BtoBマーケティングにおけるコンテンツは、メディアではなくあくまでもその中身、つまりは「顧客に伝えるべき情報」のことでした。

そして、今やコンテンツは企業力を判断するひとつの指標となっています。見込み客は、まずコンテンツに出会い、コンテンツで導入を決めて、コンテンツでサポートされる……ずっと企業の担当者と会わないで取引が続くことも一般的になっています。こうなると、顧客にとってはコンテンツこそ現実(リアル)だと言えるでしょう。

Webコンテンツを作るためには検索エンジンでどの程度検索されているキーワードなのかを把握するところから始まります。

さらにカスタマージャーニーによる見込み客が認知から購入に至るまでの行動や思考の可視化、そしてサイトに訪問したユーザーを問い合わせまでつなげるために、Google アナリティクスなどを使ってユーザーの導線を定量的に把握する施策も行っていきましょう。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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