収益を最大化させる「レベニューオペレーション」とは?SaaS企業であれば知っておくべきこと

2021/07/29
BtoBマーケティング レベニューオペレーションズ 収益を最大化させる「レベニューオペレーション」とは?SaaS企業であれば知っておくべきこと

マーケティング担当の方は「レベニューオペレーション」という用語をご存知でしょうか? レベニューオペレーションとは「Revenue(収益)」という単語を見ればある程度ご想像がつくかと思いますが、良質でシームレスな顧客体験を提供することで、収益を最大化していく考え方です。

ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、米国B2Bのハイテク企業では成長を加速させるためにレベニュー・オペレ―ションを実施した結果、営業の生産性が10~20%向上したという結果が出ています。

また、米国では収益向上に貢献したレベニューオペレーション担当者が、毎年100人選出され、メディアで紹介されるなど、ポピュラーな職種にもなりつつあります。

本記事では、レベニューオペレーションの概要、レベニューオペレーションが普及してきた背景、レベニューオペレーションに取り組むメリットなどを解説します。

レベニューオペレーションとは?

レベニューオペレーションとは、マーケティング、セールス、カスタマー・サクセスなどの収益向上に影響を与える部門が連携し、お客様にシームレスで一貫性のある良質な顧客体験を提供することで収益拡大を目指すことを指します。

レベニューオペレーションズの説明

(参照:HubSpot

企業の利益拡大を阻むものは何でしょうか? 競合他社の存在、製品・サービスの品質、人材の能力など実際の理由はさまざまです。

しかし、多くの企業で部門間のセクショナリズム、連携不足など社内体制が影響していることが大きな原因と思い当たる人は多いかと思います。

組織が大きくなればなるほど部門間の壁は大きくなり情報は分断され、セクショナリズムがはびこります。また、その解決はかんたんではありません。「協力しあおう」と言い合うだけでは無理なのです。

レベニューオペレーションとは、単に概念を浸透させることではなく、実際にマーケティング、セールス、カスタマーサクセスが連携して動けるように、バックアップするレベニューオペレーションのチームを作ることを含みます。

レベニューオペレーションチームのアシストにより、各部門は情報やデータを共有できます。部門ごとに分かれていたオペレーションやツールが統合され効率的になります。これにより、3部門のスタッフ全員が一丸となってお客様に向き合い、共通の収益目標に取り組めるようになります。

レベニューオペレーションチームの組織例:

 

レベニューオペレーションの組織図

(画像出典:Coefficient

レベニューオペレーションを実施する企業の増加

レベニューオペレーションという概念は、海外では急速に広まっており新しい職種として認識されています。LeanDataの調査では、2018年~2019年の1年間でレベニューオペレーション部門のある企業が35%から58%に急増しています。

 

レベニューオペレーションズの組織内有無

(出典:CISION PR Newswire

 

2018年のForresterの調査では、「レベニューオペレーション担当ディレクター」という職種が「チーフセールスオフィサー」「VPセールスオフィサー」「ディレクターセールスオペレーションズ」などの営業系の肩書よりも多くなっています。

前述のとおり米国では、100人のレベニューオペレーション担当者がメディアで紹介されています。

もちろん、これは日本とは異なりマーケティング部門が社内的に強い権限をもっており、収益に貢献してきた米国ならではの特徴でもありますが、急速な増加ぶりだといえるでしよう。さらに、レベニューオペレーションを採用していない企業の57%が将来的に導入する計画を立てているというデータもあります。

レベニューオペレーションがもたらす企業へのメリット

レベニューオペレーションが多くの企業に導入されているのは、収益の予測が容易になる点、そして実際に導入企業の収益拡大に効果がでているためです。

米シリウスディシジョン社の2019年の調査によると、収益拡大をサポートする連携体制が構築されている企業では、成長スピードが19%速く収益性が15%高くなっています。また、リードの受け入れ率が10%向上、社内の顧客満足度が15%〜20%向上し、GTM費用の30%が削減されるなど数々の効果をあげています。

レベニューオペレーションズがもたらすメリット

 (出典:clari.com

なぜレベニューオペレーションが重要なのか

近年になってレベニューオペレーションが重要視されてきた背景には、見込み客・顧客の購買行動の変化があります。

近年のお客様が、営業担当者が対応する前にインターネットでリサーチを行い製品・サービスの絞り込みを行っているのはご存知のとおりです。SNS社会においては製品・サービス購入後のフォローがそのまま新規売上に影響します。

特にBtoB SaaSのようなサブスクリプションビジネスでは、販売したあとの顧客サービスの良し悪しが売上に大きく影響します。営業、マーケティングの2部門だけでなく、カスタマーサクセスまで連携して良質なサービスを提供しなければ見込み客に去られてしまうリスクがあります。

逆に一貫して良質なサービスを提供できれば、顧客の拡散により良い評価が広まり、新規の売上につながっていきます。これまでカスタマーサポートなどのアフターフォロ―を担っていた部門が新規案件創出を担うセクションに変化している認識が必要な時代なのです。

 

ファネルからフライホイール

レベニューオペレーションを導入すべき時はいつなのか?

一般にスタートアップなどの少人数の組織ではセクショナリズムは起こりにくいものです。そもそも創業期の企業は営業、マーケティング、カスタマーサービスと部門が分かれていないことが多いでしょう。

レベニューオペレーションを導入するにも適切なタイミングがあります。

レベニューオペレーションを実行するには投資が必要であり、レベニューオペレーションチームの人材も必要です。タイミングとしては、ビジネスを効率的に運営し投資を受けられ、さらなる成長の機会を得られるめどがつく時分、つまりGo to Marketからさらにスケールアップに向かうタイミングが望ましいでしょう。

 

レベニューオペレーションのポジショニング

(出典:Slideshare

 

もっとも、すでに安定した事業基盤を持ち、かつ部門間連携がスムーズにいかないことに悩む企業であれば、今すぐ準備着手しても問題ありません。

組織の分断の問題は時間がたって自然に解決することはほとんどないので、顧客体験の向上と収益拡大という共通目標を今一度組織全体で共有する価値は十分あります。

 

レベニューオペレーションを始める時期

(出典:Slideshare

 

レベニューオペレーションを導入するポイント

レベニューオペレーションで成功するためには、「部門間の調整」「データの統合」「テクノロジー」がポイントです。

 SLA

レベニューオペレーションとは、シンプルにいってしまえば組織の壁をなくして各部門が一つの収益目標を共有し協力しあうことです。しかし、これが相当に難しいことは前述のとおりです。以前別の記事でも紹介しましたが、営業チームとマーケティングチームの協同関係を築くには、SLAの締結がひとつの対策になります。

 

SLAのテンプレート

出典 HubSpot

 

レベニューオペレーションの実施においては、営業やマーケティング部門だけでなくカスタマーサポートの各部門ともSLAを結ぶことがポイントになるでしょう。シリウスデシジョン社のデマンドウォーターフォールと照らし合わせて考えると、以下のイメージとなります。

 

SLAを結ぶタイミング

(参照:Slideshare

KPIの設定

部門間の協力をスムーズに進めるため、共通の収益目標に照らし合わせてレベニューオペレーションの成果を測る適切なKPIを各部門に設定します。

例:

  • 1か月あたりのリード数
  • 商談数
  • カスタマーサービスのスコア
  • 顧客満足度のスコア
  • 顧客生涯価値(LTV)

技術スタック

営業、マーケティング、カスタマーサクセスが成功するためには、適切なテクノロジーが必要です。CRM、マーケティングオートメーション(MA)、メールやカスタマーサービスチケットなどのプラットフォームなどから、リードをCRM内に自動的にマッピングできるほど、チームの効率が向上します。

ツール例

  • マーケティングオートメーション
  • セールス・エンゲージメント
  • カンバセーショナル・マーケティング
  • データエンリッチメント
  • レベニューオペレーションプラットフォーム

すでに、レベニューオペレーションを実施するためのプラットフォームも登場しています。

HubSpotの「Operations Hub」

HubSpotのOperations Hub

(参照:HubSpot

 

HubSpotは、2021年4月CRMプラットフォームの「Operations Hub(オペレーション・ハブ)」をリリースしています。社内のオペレーション機能を統合し、事業全体で整合性のある戦略の策定、情報の一元管理、部門間連携の強化とサイロ化の防止、自律的な業務プロセスの構築を担う「レベニューオペレーション」機能を含む新プラットフォームです。

Lean Data

LeanData Revenue Opsプラットフォーム

(画像出典:LeanData

米国のエンタープライズ収益運用ソリューションのリーダーであるLeanData®は、2019年にB2B企業向けによりホリスティックで統一されたGo-to-Marketアプローチを提供するプラットフォーム「LeanData Revenue Opsプラットフォーム」をリリースしています。

レベニューチェーン全体に共通データを確保することで、セールスとマーケティングの業務間の障壁を取り除き、より大きな収益を上げ成長を促進するプラットフォームです。

その他、海外のレビューサイトにも多数紹介されています。おそらく日本でもこれから増えてくるでしょう。

まとめ

レベニューオペレーションは、見込み客の購買行動の変化にもとづき、営業、マーケティング、カスタマーサポート(サクセス部門)が統合された動きをすることで、顧客満足度を向上させ、収益を拡大していくことを目指す概念及びビジネスモデルです。

マーケティング領域では毎年のようにさまざまな新しい概念が登場し、新しいポジションが生まれています。これをすべてバズワード、トレンドと見なすのは早計で、組織がビジネス環境がどんどん進化すると、新たな課題に対応できなくなっていくことはたしかです。

闇雲に組織だけを変えることはもちろんよくないのですが、企業の目的に照らし合わせて随時組織を最適化する意識を持つことは重要です。

レベニューオペレーションは、新しいビジネス環境において顧客体験のシームレスな提供による収益拡大を目指す戦略なので、多くのBtoB企業にとって導入を検討する価値があるでしょう。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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