レベニューオペレーション(RevOps)とは?SaaS企業が収益を最大化させるために知っておくべきこと

2023/07/26
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マーケティング担当の方は「レベニューオペレーション(RevOps)」という用語をご存知でしょうか?  日本ではあまり知られておらず、2023年6月にバーチャレクス・コンサルティング株式会社が行った国内初の「RevOpsに関する実態調査」でも認知度1割くらいのワードです。

レベニューオペレーションの意味は「Revenue(収益)」という単語を見ればある程度ご想像がつくかと思います。企業の各部門がスムーズに連携する体制を整えることで、お客様に素晴らしい顧客体験を提供し、組織全体の収益を最大化していく考え方です。

ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、米国BtoBのハイテク企業では成長を加速させるためにレベニューオペレ―ションを実施した結果、営業の生産性が10〜20%向上したという結果が出ています。

米国では、収益向上に貢献したレベニューオペレーション担当者が毎年100人選出されメディアで紹介されるなど、ポピュラーな職種にもなりつつあり、2022年に公表された統計では48%の企業が収益オペレーション部門を設置しています。

本記事では、レベニューオペレーションの概要、レベニューオペレーションが普及してきた背景、レベニューオペレーションに取り組むメリットや導入事例などを解説します。

レベニューオペレーション(RevOps)とは?

レベニューオペレーションとは、「組織全体の収益増加」のための総合的なアプローチです。

アプローチの手法はビジネスモデルによって異なります。

SaaS企業で言えば、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスなどの収益向上に影響を与える部門が連携し、お客様に、シームレスで一貫性のある良質な顧客体験を提供することで収益拡大を目指すことを指します。

レベニューオペレーションの概念図

(参照:HubSpot

企業の利益拡大を阻むものは何でしょうか?  競合他社の存在、製品・サービスの品質、人材の能力など実際の理由はさまざまです。

しかし、多くの企業で部門間のセクショナリズム、連携不足など社内体制が影響していることが大きな原因と思い当たる人は多いかと思います。

組織が大きくなればなるほど部門間の壁は大きくなり、情報は分断され、セクショナリズムがはびこります。また、その解決は簡単ではありません。「協力しあおう」と言い合うだけでは無理なのです。

レベニューオペレーション導入とは、単に概念を浸透させることではなく、実際にマーケティング、セールス、カスタマーサクセスが連携して動けるように、バックアップするレベニューオペレーションのチームを作ることを含みます。

レベニューオペレーションチームはさまざまな部門間の架け橋となり、情報のサイロを打破し、収益拡大に多方面からアプローチします。これにより各部門は情報やデータを共有でき、オペレーションやツールも統合され効率的になります。部門を超えて一丸となってお客様に向き合い、共通の収益目標に取り組めるようになるのです。

米SiriusDecisions(シリウスディシジョン社)の2019年の調査によると、収益拡大をサポートする連携体制が構築されている企業では、成長スピードが19%速く、収益性が15%高くなっています。また、リードの受け入れ率が10%向上、社内の顧客満足度が15%〜20%向上し、GTM費用の30%が削減されるなど数々の効果をあげています。

RevOpsのメリット

(出典:clari.com

レベニューオペレーション(RevOps)の発展背景

レベニュー・オペレーションが近年注目されるようになった背景には、ビジネス環境の複雑化、デジタル化、それに伴い顧客体験がより重要になったことがあります。

ビジネス環境の複雑化

ご存知のとおり、ビジネス環境は2000年以降のグローバル化、デジタル化により大きく変化し続けています。変化のスピードは速く、中でもテクノロジーの進化のスピードはすさまじく、次から次へと新しいツールが登場しています。

一時はIT化によって、世の組織内の無駄な仕事はなくなり、情報はフラットに共有化され生産性が大きく向上するかのような期待がされていました。

しかし、現実はそうではなかったのです。次から次へと登場する革新的なテクノロジーを活用するどころか、キャッチアップし理解することが遅れおくれになり、企業は常に最新のITリテラシーを持つ人材不足に悩まされました。各部門が独自で最適なテクノロジーを取り入れた結果、ますますサイロ化が進んでしまったケースも少なくありません。

どの部署でも、みな自部門の新ツールを運用して目標を達成するのに精一杯。全体的な収益を向上させる視点が大事なことがわかってもそこまで考えられず、むしろ手助けが欲しいくらいの現状でしょう。

このような現在のビジネス環境に対応するための組織として、米国では全体の収益を生み出すアプローチを行う「レベニューオペレーション(部署名はさまざま)」が注目されるようになりました。

デジタル化・データ分析の発展

デジタル化が進んだことで、企業内にビジネスで活用できるデータが膨大に蓄積されています。BtoB企業なら、マスデータ、トランザクションデータ(取引データ)、インテントデータ(Web上の行動データなど)があり、社内だけでなくサードパーティのデータも蓄積されているでしょう。

このようなデータを分析し、マーケティング戦略立案に活かす必要がありますが、ここでも人材不足の壁はあります。また、データは集めればいいというものではなく品質とその活用戦略が重要。

例えば、米国ではデータ品質への投資を増やした BtoB 企業の 100% は全体的なパフォーマンスが向上、約 94% が販売・マーケティングのパフォーマンスも向上しています。

しかし日本の現状はどうかというと、ガートナー・ジャパンの調査によれば、データ活用で「全社的に十分な成果を得ている」と回答した企業の割合は2.2%。最近、マイナンバー入力時の住所表示に起因するミスが話題になりましたが、名寄せができていない企業は普通に存在します。

このような状況のなか、自社にとって重要なデータを見極め、全社的な戦略としてデータ活用を進められる部署や人材の必要性が増しています。

データ品質の重要性

(出典:KoMarketing

顧客体験やLTVの重視

昨今、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)は、ビジネスにとってますます重要になっています。顧客は企業とオンラインで取引を完結することも増えているため、いかに快適に情報に触れ、検討し、試し、購入し、ストレスなく活用できるかが、継続した取引ができるかどうかの大きなカギです。

しかし、複数の部門が異なるシステムやプロセスを使用していることが多く、連携がとれていないと顧客はストレスを感じ離脱します。

Webサイトの情報の探しやすさ、チャットの適切なレスポンス、無料デモの有無、営業スタッフの対応、導入後のオンボーディング、実際の商品の機能や使いやすさ、カスタマーサポートの対応、ほかの接点での顧客体験を管理する必要があります。

これらをスムーズに連携させLTV(顧客生涯価値)を高める機能としても、レベニューオペレーションが必要と考える企業が増えました。

レベニューオペレーション(RevOps)の構成組織

レベニューオペレーション(RevOps)の構成組織は、SaaS業界であれば、営業、マーケティング、カスタマーサクセスの3部門のオペレーションです。以下に解説します。

セールスオペレーション(SalesOps)

セールスオペレーションとは、営業部門の能力を最大化させるためにできる、さまざまな戦略〜実行を指します。簡単に言えば、営業部門の包括的な支援を行う部門という位置づけです。企業によっては営業支援、営業企画、営業統括といった名称の部署かもしれません。

ここでは、HubSpotの定義を紹介します。

「セールスオペレーションはリードの管理、営業戦略、テリトリーの構成と調整から、セールスプロセスの最適化、報酬プラン、セールスオートメーション、トレーニング、データの分析と報告まで、すべてを担当します。」(出典:HubSpot)

具体的には以下の業務です。現状、営業上層部が行っていることもあるでしょう。しかし、これらの機能を、RevOpsの一貫として連携して実施することが重要です。

  • 営業戦略構築
  • 販売地域の計画とアカウントの割り当て
  • 提案と契約の管理
  • 販売報酬とインセンティブ
  • 売上げ予測とレポート
  • CRMなどのデータとシステムの管理

マーケティングオペレーション(Marketing Ops)

マーケティングオペレーションは、マーケティング部門の人材、プロセス、テクノロジー、データなどすべての面を管轄し、効率的な運営とマーケティングスタッフの生産性を最大化していく役割を指します。

また、テクノロジーを駆使し、マーケティング部門や、営業、カスタマーサクセスなど他部門担当者にインサイトを提供し、部門横断的なコミュニケーション、レポーティングを行うことも期待される役割です。

この部門では、マーケティングテクノロジーの専門知識と分析力・実行力が必要なため「マーケティングとITの架け橋」とも呼ばれています。

なにしろ、マーケティングテクノロジーの増加は著しく、Chiefmartec 社の調査では2023年現在1万1038 のソリューションを確認。また、AIが急速に進化しているため劇的な変化が起きることも予測されています。

ITとの架け橋であり、セールスやカスタマーサクセスとの架け橋にもなりうる非常に重要な機能です。

マーテックの増加状況(2023年)

(出典:2023 Marketing Technology Landscape Supergraphic: 11,038 solutions searchable on martechmap.com)

カスタマーサクセスオペレーション(Customer success Ops)

カスタマー サクセス オペレーションは、CS施策が効率的かつ効果的に実施されるように、包括的にアシストする部門です。

具体的には、カスタマーサクセスのワークフローを最適化し、業務を遂行するために最適なデジタルツールを選択し、運用を管理しながら、CSのオペレーションを常にサポートし、改善していきます。具体的には以下の役割が中心です。

  • CS活動のロードマップを計画
  • デジタル主導のCSモデルやプログラムを統合するためのベストプラクティスの開発
  • ビジネスの成長に合わせて拡張可能なデジタルツールやプロセスの提供
  • すべてのデータサイエンスとレポーティングを管理
  • CSデータからのインサイトの抽出、他部門への提供
  • CSリーダーシップに対するコンサルティングの提供

(参考:vitally.iohttps://customersuccessbox.com

この3つの要素がバランスよく機能することで、収益を上げることができます。

レベニューオペレーション(RevOps)の事例

ここでは、実際にレベニューオペレーション部門を導入し、成功した企業事例を紹介します。

事例①成長過程で、レベニューオペレーションチームを発足させたHubSpot

HubSpotのオペレーションソフトウェア

(出典:HubSpot

多くのSaaS企業がお手本にするようなHubSpotですが、やはり成長過程でさまざまなことが起きるのは、他の企業とは変わりません。会社が急速に成長していくなか、部門間の軋轢が生まれ、顧客体験が低下する時期がありました。

会社の目標はどんどん大きくなり、各メンバーは自分の組織の目標を考え、顧客中心の考えが出来なくなっていました。

組織の壁を取り払うためにHubSpotが打ち出したのが、「フライホイール」という循環型のビジネスモデル。これは、顧客を満足させるほど、さらに多くの新たな顧客を惹きつけられる考え方です。

そして、部門間の摩擦を少なくするべく、各部門の連携体制を確立するレベニューオペレーションチームを新たに発足させました。

レベニューオペレーションチームが常に前面に立ち、マーケティング、営業、カスタマーサクセスという3つの部門にわたって収益目標の共通認識を醸成。各部門を横断して連携を取ることで一貫性のある顧客体験を提供し、顧客満足度を高めることに成功しています。

(参考:HubSpot

事例②ツールを統一することで収益を向上させたGoSite

GoSite公式サイト

(出典:GoSite

GoSiteは、米国の中小企業向けのビジネスプラットフォームを提供するSaaS企業です。

同社は、広告管理、CMSなどの顧客接点となるチャネルにおいて、それぞれ異なるプロバイダーのツールを活用していたため、顧客管理が分断されており、リードの醸成にも課題がありました。

もともと、顧客管理にはHubSpot セールスハブを利用していたため、解決策としてHubSpotをすべてのデータを一元管理するためのプラットフォームとして活用することを決断。その結果データが一元管理できるようになり、プロセスが自動化され、担当者の負担がまず減りました。リード醸成もスムーズになり、GoSiteの売上高は過去最高を記録しました。(参考:HubSpot

事例③CROの投入でARRを急速に伸ばした株式会社FORCAS

FORCAS(フォーカス)|営業DXソリューション|企業データベースと顧客分析

(出典:FORCAS

ABMを支援するBtoBマーケティングプラットフォーム「FORCAS(フォーカス)」を提供

する株式会社FORCAS社では、いわゆる「THE MODEL」型の体制をとっていました。

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4チームで分業することは効率的ではあるものの、部分最適化に陥り、社員の視野が狭くなるなどの弊害も起きてきました。

FORCAS社はMRR(月間収益)の最大化をミッションとする「CRO(Chief Revenue Officer)」という役職を新設。新CROは就任後セールスメンバーを半分に減らし、かつセールスから1人をマーケティング、1人を採用に配置転換しました。

レベニューの視点から組織編成を見直し、組織に横串を通す役割をCROが実施したことで迅速な意思決定が可能に。創業からわずか2年でMRRは5000万を超え、急速な成長を遂げました。(参考:Seleck

レベニューオペレーション (RevOps)に必要な要素

レベニューオペレーション (RevOps)のアプローチは、ビジネスモデルによって多様です。必ずしも「レベニューオペレーション (RevOps)」という部署名でなくてもよいですが、以下の要素は共通して重要です。

全体を統括するCRO(Chief Revenue Officer)の存在

全体を統括するCRO(Chief Revenue Officer)の存在

レベニューオペレーションを統括する責任者、CROとは、Chief Revenue Officer(チーフ レベニュー オフィサー)の存在が必要です。人材の要素として幅広い部門を渡り歩いた方、関わりあったことがある方がベターです。その人材に相応の裁量権を渡す必要があります。

組織において全体的な視点で人材の配置を行ったり、活用するための最適なツールを採択することは理想的ですが、実行は決して簡単ではありません。特に日本の企業は現場が強く、一般に上からの改革に協力的ではありません。

CROは、経営層とコミュニケーションをとりながら、営業、マーケティング、カスタマーサクセスほか収益に直結する部門と調整し、各部門の収益だけでなく組織全体の収益増加のために、さまざまな決断をしなければなりません。これは難題です。

本人の能力が高いことは前提として、それぞれの部門の経験値が豊富なこと、そして組織内に実際に権限を持っていることがきわめて重要だからです。

部門間を横断した連携

収益を向上させるためには、部門の垣根を超えて調整する必要性、コミュニケーションを取る必要性があります。できればレベニューオペレーション担当部門があり、責任者が明確だとよいでしょう。

繰り返しになりますが、組織において各部署にコラボレーションしましょうと奨励しても、理想的にことは運びません。これは米国でも同じで、レベニューオペレーションについての情報サイトRevopscoop.comの公式サイトでも以下のように説かれています。

「営業部門には固有の偏見があります。彼らは RevOps が自分たちを精査すると考えており、RevOps は経営陣に人々について苦情を言うでしょう。彼らは私たちが彼らをトラブルに巻き込むと考えているので、CRM 設定に関する洞察や問題を共有したくありません、彼らが販売している製品、またはその他何でも」

現場は常に数字に追われていますし、レイオフもひんぱんにある米国であれば、協力することで足元をすくわれたり、自分を不利にしてしまうこともありうる世界でしょう。

日本でも似た状況の会社は珍しくありません。また、日本は営業部門が組織内でもともと強い立場なので、現状の組織のままでは他部門の越権行為に見えるかもしれません。そのため、組織編制から見直すこと、RevOps は現場経験者を据えることが望ましいと言えます。

その上で仕組みを整えることが重要。例えば、営業チームとマーケティングチームの協同関係を築くには、定期的なミーティングの実施、SLAの締結などがひとつの対策になります。

Marketing Sales SLA

(出典: HubSpot

データ分析とツールの理解

収益向上のためには、明らかにしたいデータは何かを見極めることができ、そのためにどの部門のどの情報が必要か、各部門が使うツールは何が最適かを判断できなければいけません。

組織の規模が小さければ、ツールはCRMだけでも十分かもしれません。しかし、組織が大きくなるとこのようなツールをシームレスに連携させる必要が出てきます。

  • CRM
  • マーケティングオートメーションプラットフォーム
  • セールスイネーブルメントプラットフォーム
  • 分析ツール
  • ワークフロー自動化ツール
  • コラボレーションツール、他

ChatGPTに代表されるように、昨今はAIツールの進歩がすさまじいので、トレンドを見極めて、必要なタイミングで次のフェーズのツールの導入を判断する必要もあります。ビジョンが素晴らしいだけでなく、最適なツールの選定、データ活用を実行できることが、レベニューオペレーションにおいて非常に重要です。

レベニューオペレーション(RevOps)の導入時期

レベニューオペレーション(RevOps)の導入時期

※「2022 RevOps Team Benchmarks」をもとに当社で作成

Revenue.ioほか3社が2021年に行ったベンチマーク調査「2022 RevOps Team Benchmarks」によると、レベニューオペレーションを導入した37%の企業は、年間経常収益 (ARR) が 500 万ドルから2500 万ドルの段階で RevOps 機能を導入しています。次に多いのが、ARR2000万ドルから5000万ドルの企業で25%を占めます。

これは、RevOps のメリットがARR500 万ドルに到達すると明らかになると言われているからです。

もっともARRの小さい企業も導入しています。収益向上は企業の規模を問わず重要な概念なので、早期から意識しておくことで、セクショナリズムやツールの統合性のなさなど、将来的な問題を未然に防ぐことが期待できます。

スタートアップなどは当面CEO、COOの目が届きますが、組織における「50人の壁」「100人の壁」などを理解しておき、しかるべきタイミングで導入を検討するとよいでしょう。

レベニューオペレーション(RevOps)を支えるツール

レベニューオペレーションを支える代表的なツールを紹介します。

HubSpot「Operations Hub

HubSpotのOperations Hub

(出典:HubSpot

HubSpotは、2021年4月CRMプラットフォームの「Operations Hub(オペレーション・ハブ)」をリリースしました。

社内のオペレーション機能を統合し、事業全体で整合性のある戦略の策定、情報の一元管理、部門間連携の強化とサイロ化の防止、自律的な業務プロセスの構築を担う「レベニューオペレーション」機能を含む新プラットフォームです。

コーディング不要で簡単にアプリとデータを同期でき、顧客データの整理、データ集合の定義、ビジネスプロセスの自動化に1つのCRMプラットフォーム上で対応できる統合型のツールなので、レベニューオペレーション部門(RevOps)にとって効果的な活用が可能です。

無料ツールがあります。

  • 価格: 0円/月(無料ツール)、 5400円/月(Starter)、 8万6400円/月(Professional)、24万円/月(Enterprise)

インテリジェント レベニュー プラットフォーム「Xactly」

Xaxtly公式サイト

(出典:Xactly

Xactly インテリジェント レベニュー プラットフォームは、企業のレベニューオペレーション(RevOps)を支援するSaaSです。

テクノロジーやプロセス、データを使って、憶測に頼らない商談の良いタイミングを予測します。また、営業計画の策定、革新的な営業報酬管理、プロセスの自動化などを実現して営業担当者をサポート。企業が継続的に稼ぐ力を高めることを手助けし、利益と売上げの拡大に寄与します。

  • 導入実績:SanSan、bellFaceなど営業力のあるBtoBSaaS企業をはじめ、LinkedIn、パイオニアなど国内外の大手企業でも導入されています。価格は要見積もり。

ツール例③:自社に合わせたツールでスモールスタート

レベニューオペレーションは、企業のフェーズや課題によって最適なツールが異なります。必ずしも統合的なプラットフォームである必要はありません。将来的なツールの統合は意識すべきですが、ボトルネックになっている部門向けのツールの導入から考えてもよいでしょう。

例えば、営業部門にCRMを導入するなら、無料で活用するHubSpot CRM、トップシェアのSalesforce、社内Officeと連携しやすいMicrosoftDynamicsなどの選択肢があります。

上位2ツールとHubSpotのCRMの比較-1また、マーケティング部門にマーケティングオートメーションを導入するなら、Adobe Marketo EngageMarketing Cloud Account EngagementHubSpot Marketing Hub

カスタマーサポート(サクセス)ツールを導入するなら、定評あるZendesk、リーズナブルで使いやすく成長著しいFreshdeskなどがあります。いずれも、将来の拡張に対応できるエコシステムができているため、部分導入から進めても大きな問題はないでしょう。もちろん、他にも素晴らしいツールが存在します。

ただし、最終的にセールス・マーケティング・カスタマーサクセスのデータやツール連携がどのくらいスムーズにできそうかは、現時点の課題に沿ってでよいので可能な限り確認しましょう。スモールスタート時点から全体最適の視点でツールを選ぶことが肝心です。

まとめ

日本では、まだあまりなじみがないレベニューオペレーションという概念。「2023年RevOpsに関する実態調査」でも、認知度は1割程度だったようです。

レベニューオペレーションは、SaaS業界で言えば、営業、マーケティング、カスタマーサポート(サクセス部門)が統合された動きをすることで顧客満足度を向上させ、収益を拡大していくことを可能にする機能です。

いわゆる「ザ・モデル型」ビジネスモデルの導入に伴って、分業体制の構築まではスムーズに進んだ企業でも、セクショナリズムが課題になってしまうケースを見聞きします。今一度、収益を上げるという本来の目的と、組織としての全体性に目を向けるときかもしれません。

日本人が部分最適化が得意で全体最適化が不得意というのは、昔から言われ続けてきたことです。、これまでコラボレーションの重要性をいかに説いても、優れたツールを導入しても克服が難しかったのは、そもそも組織体制そのものに根ざした課題だったからだと考えられます。

収益向上のための実効的な取り組みとして、RevOpsを検討してみてはいかがでしょうか。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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