日本のBtoB営業マンは、2021年のマッキンゼー社のレポートによると商談に仕事全体の10〜25%程度しか時間をさけていないよう。なかなか営業に専念できない状態です。
近年、米国では「セールスオペレーション(SalesOps)」という組織を立ち上げる企業が増えてきました。(LinkedInの調査では、2018年〜2020年の間だけでも38%アップしています)。
「ちょっと前までセールスイネーブルメントがトレンドだったのに次はこれ? 」「営業改革はもっと腰を据えて……」と思った方もいるかもしれません。
しかし、米国企業のビジネス環境のトレンドに合わせた組織改革、その根底にある現状を否定できるマインドには見習うべき点が多々あります。
営業現場が高度化、複雑化しているのは事実です。営業の成果を最大化する目的は同じでも、目的に向かう手法、オペレーション、規模は変化させる必要があるでしょう。
米国と日本では組織のありようや人材配置の手法が異なるため、すべて型どおり真似る必要はありませんが、要所要所に自社の営業体制を見直すヒントがあるはずです。
本記事では、セールスオペレーションの意味、目的や役割、セールスオペレーション導入のステップをわかりやすく解説します。
セールスオペレーションとは、営業部門の能力を最大化させるためにできる、さまざまな戦略〜実行を指します。仕事の領域は各社によって多少ばらつきがありますが、概ね営業部門の包括的な支援を行う部門という位置づけです。
こちらはHubSpotの定義です。
営業の高次な領域を担うという定義です。
もちろん、企業内の組織の位置づけはさまざまであり、社内でセールスオペレーション(SalesOps)のみがあるケース、大きい企業だと「レベニューオペレーション(RevOps)」の1機能として存在するケースがあります。
セールスオペレーションが担う一般的な役割、構成要素は以下の図のとおりです。
セールスオペレーションには、セールスプロセスの最適化や、データ分析と現場へのインサイトの提供、マーケティング、カスタマー部門との連携のブリッジとしての機能があります。セールスオペレーションの立ち上げによって営業現場を支援でき、収益向上が期待されています。
2018年の米国CSOinsightの調査では、63.9%の企業がセールスオペレーションの専門チームを導入しています。また、前述のようにLinkedInの調査では2018年以降も急増している状況です。
なぜ、ここまでセールスオペレーションの導入企業が増えたのでしょう?
セールスオペレーションが生まれた背景
Ambition.comによると、セールス・オペレーション・チームの増加を促進した5つのトレンドが指摘されています。
自社の営業現場を見ていただければ、納得していただけるかと思います。
今の営業マンは顧客ごとに違うコミュニケーションツールを使いこなし、自社のCRMなりSFAを入力、データをもとに自分の行動管理を徹底しています。顧客へはインサイトのある営業をするなど、スーパーマンのような活躍が求められているのです。
もちろん、一部の営業マン以外はそれを完璧にこなしていくことは無理です。セールススキル、ITリテラシー、アナリティクススキル、戦略マインド、実行力をかねそなえている人材など、日本の会社なら営業部門に限らず社内でもわずかではないかと思います。
そして、もともと提案書、契約書の作成など事務タスクが多い営業ですが、Gartner(ガートナー)の2022年の調査によると、営業担当者は業務が拡大したため、営業以外の業務のサポートに時間の 73% を費やしており、2019 年の 39% からさらに増加しています。
新しいツール、顧客が活用するチャネルの増大などによって、営業担当者がますます大変になっていることがうかがえます。
近年のこのような混乱した状況の中、営業担当者に営業に集中してもらい生産性を高めるために、セールスオペレーション、セールスイネーブルメントなど営業現場を支援する組織に注目がますます集まっています(両者の違いは後述)。
(参考:Ultimate Guide to Sales Operations - LinkedIn)
2021年に公表されたLinkedInの米国内の500人のセールスオペレーション専門家を対象に行った調査レポート「The State of Sales Operations」によると、セールスオペレーションの専門家の数は、2018年から2020年の間に38%増加しました。
なんと同じ期間に、Sales Operationは営業部の4.8倍の速さで増加しています。
(出典:LikedIn)
また、セールスオペレーションの領域はどんどん進化しています。
米国ガートナー社のブログによると、米国におけるセールスオペレーションは、リアクティブ(事後のソリューションに対処)→プロアクティブ(能動的に対処)→プレディクティブ(予測的なソリューション)と移行し続けている状況です。(The Evolution of Sales Operations - Gartner)
LinkedInのデータにもどると89 %が、自分たちがより頻繁に計画を立てることで、営業チームがより大きな成功をおさめられ、ビジネス全体にポジティブな影響を与えられると考えています。
しかし36%のセールスオペレーション部門は、人材の採用を課題と感じており、51%が自分の仕事について十分なリソースが不足していると答えています。
(出典:LinkedIn)
ここでは、簡単に「セールスオペレーション」と「セールスイネーブルメント」の違いを解説します。いずれも、近年のビジネス環境の変化に伴い重視されてきた概念であり、営業成果を最大化するという目的は同じです。
企業によっては、この2つを同じと解釈するなど定義はばらついていますが、比較的多数派の見解として「総合レビューサイトG2」の分け方を紹介します。ひとつの目安になるので、以下の比較表をご覧ください。
(出典:G2)
HubSpotのセールス戦略・オペレーション担当副社長であるChanning Ferrer(チャニング・フェラー)氏は、セールスオペレーションの役割を 「生産性を最大化するために、セールス組織を計画し、組織化し、強化すること 」と表現。
「私は、セールスイネーブルメントはセールスオペレーションの一部だと考えています」と同様の見解を示しています。(HubSpot)
図にするとこのような感じでしょう。
仕事内容を区別してみると、以下の分け方ができると思います。もちろん、部署のネーミングと仕事内容は企業の自由です。また、人的リソースの問題もあるので一つの部門に統合する選択もあります。両部門を設置するのなら、役割分担を決める際の参考にしてください。
セールスオペレーション:
セールスイネーブルメント:
セールスオペレーションチームはかなり幅広い領域をカバーしますが、主な役割は以下の4点です。
営業部隊の戦略、計画、目標、目的の評価。営業部隊とテリトリーのサイジング、構造化、調整を最適化するための専門知識を提供する。戦略的な機能としては、以下のようなものがあります。
ここ数年で、企業が利用できるSaaSアプリケーション、セールス系ツールは急激に増加しています。しかし、ベンダーがいうほどテクノロジーは使いやすくなく、操作を覚えるだけで大変で、かつ入力に時間をとられます。初期のセールステック類は実際満足度がかなり低かったのも事実です。
Sales Opsの重要な役割はセールステクノロジーの管理です。
セールスオペレーションは常に自社にとって最適なITツールを選択し、営業マンをトレーニングし、運用を管理します。
そうすることで、営業チームは収益につながらない業務の時間を減らし、顧客に向き合う時間を増やせます。適切なツールを活用することで営業活動におけるタイミングもよくなります。目標は、営業チームが確実に業績を上げることです。
日々の営業部門の実績の分析と報告、テリトリーの調整、CRMシステムとプロセスの管理 、他部門とのコミュニケーションなど。
セールスオペレ―ション部門は、営業部門の管理・運営業務の負担を引き受けることで、営業部門全体の高いパフォーマンスと専門性の向上に貢献します。
(参考:allbound.com、Lucidchart、freshworks.com、business.linkedin、saleshacker、forrester.com)
営業組織ならびに営業スタッフに求められる4つのスキルを紹介します。
セールスオペレーション部門では、営業経験者やマーケティング経験者が重要な役割を果たします。
彼らは営業やマーケティングの知見を持ちながら、データ分析やプロジェクトマネジメントスキルなどを活かして営業チームをサポートし、組織全体の成果に貢献します。
もし営業の経験がなかったり、自社の営業活動の全体の流れの理解ができていなかったりすると、営業業務の文脈が理解できないうえに勘所がわからず、営業現場とコミュニケーションをとる際になかなか信頼されません。
何より、どのようなツールが営業担当者の手間をなくすか、どのような変革が営業活動をアシストし数字アップにつながるのかという現実的な判断をする役割には、やはり現場経験者が最適です。
その上で今の市場の変化に敏感である必要もあります。例えば、お客様の購買行動が変化し、従来の営業手法が有効でなくなってきたら、環境変化に合わせた新たな提案を現場にしていけるスキルが求められます。
セールスツールを理解するのはもちろんのこと、営業の前段階のマーケティングのツールの理解が必要です。
マーケティングとセールスの間で情報の分断が起きないように、両部門が連携できるツールを自社のITリテラシー、自社の課題に応じて選ぶ必要があります。また、使いこなせるスキルが必要です。
具体的には、マーケティングオートメーション、CRM、営業支援システム、タスク自動化ツール、コラボレーションツールなどのツールを理解できること。さらに将来的なデータ連携ができるツールで、現在のチームのITリテラシーと課題に合うものを選択し、導入し、トレーニングする能力が必要です。
セールスオペレーションチームは、営業活動のほぼすべてのデータ分析をサポートします。
営業担当者が時間を有効に活用しているか? 顧客へ最大限の生涯価値を提供しているか? ロイヤル顧客の推移はどうなっているか? 営業マンの離職率は? どのようにすれば下げられるか?
データ解析とそのサポートこそ、近年のセールスオペレーションでもっとも比重が高くなってきた領域だといえるでしょう。
ガートナーも、「データ視覚化」は 2027 年まで SalesOps スキルのトップであり続けると予想しています。
セールスオペレーションは、複数の部門を統合する動きをする部署です。例えばマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなどの連携をスムーズにするように動きますし、ときには法務、IT 部門との折衝もする必要があるでしょう。
職務横断型のプロジェクトと同じように、各部門の意見をヒアリングしながら部署同士のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトを推進していくマネジメント能力が必要です。
そのためには、明確なゴールを共有し、各部署の役割を定義して、変革の意図を理解してもらう必要があります。
必要な人材、ツール、予算などを管理し、最適にしていかなければなりませんし、ひとたび問題が起きれば素早く対処して解決していくスキルが求められます。
このような能力すべてを1人が持ち合わせていることは少ないので、それぞれの領域を得意とする複数のメンバーでセールスオペレーション部門を構成することになるでしょう。
スタッフレベルの人材であれば、一般に営業経験者は現場への理解があるため、現実的な判断ができます。加えてマーケティングや、次々と登場する新しいツール類、データ分析の手法などに興味があって学び続けられるタイプが適しています。
ここではセールスオペレーションの導入ステップについて解説します。
以下のサイトなどに本格的な導入ステップが解説されています。ゼロベースから本格的に導入する場合の参考になるでしょう。
ただ、前述のとおり日本の中規模企業なら営業支援、営業企画、営業統括、営業サポートなど名称はさまざまですが、すでにセールスオペレーションに相当する部門があるかと思います。
その部門を強化する(例:データ分析、ITツールの運用等不足している領域)、あるいはその部門と領域がかぶらないセールスオペレーション部門を立ち上げる流れにすると、比較的軋轢もなく導入できるのではないかと思います。
以下、基本的なステップを記載します。
まず自社の営業組織の理想像を描きましょう。元々の組織体系は社風やビジネスモデルによって異なります。
最強の営業会社といっても、キーエンスのような優れた開発力をベースに営業担当者を分単位でタスク管理するオペレーションを実施する企業もあれば、少し前のリクルート社のように営業担当者へ裁量権を大幅に持たせモチベーション高く動いてもらう企業もあります。
SaaS業界であれば、営業を役割によって分類する「The Model型」で成功しているSalesforce社などパターンはさまざま。
ガイアックス社のように、テレアポ・飛び込みといった古い営業スタイルを一新し、コンテンツマーケティング+インバウンド営業に転換するという組織像を描いてもよいでしょう。あるいはパートナー企業を上手に活用してインバウンド、アウトバウンド両輪で売上げを伸ばしている企業もあります。
どのような営業組織がベストかは、商品の強さや社員数によっても変わるので、まずは現状の体制での課題、リソースを把握し、さらにあるべき姿を描きます。
セールスオペレーション部門を組織内のどのような位置づけにするかをイメージしましょう。小規模の企業であればCEOやCOOが兼任し、部下にITに詳しい営業経験者を1人据えるくらいでもよいかもしれません。
中堅企業であれば、セールスオペレーション部門として設立し、適した責任者とチームメンバーを抜擢し正式なミッションをを策定しましょう。(組織の例は後述)
フレームワーク「 as is to be」を活用すると可視化できてよいでしょう。
理想と現実のギャップが何なのかを明確にします。問題は多々ありますが、以下のように領域に分けて課題をリストアップしていきます。
まず行うのは、課題の現状把握、原因の特定です。あるべき組織の体制にするために何が不足しているのか? をまとめ、その中でもっとも大きな問題からまず取り組みます。
例えば、テレアポ営業などをやめてコンテンツマーケティングに切り替えるのであれば、少なくともマーケティング部門に専任の担当者が必要ですし、人材がいなければ採用するか社内で素養がある人材を見つけ出し育成する必要があります。
単にオペレーション上の課題もあります。例えば、営業担当者がSFAに入力してくれない、マーケティングとSalesの連携がとれない、リードジェネレーションがオンライン上でもフィールドセールス領域でも少ないなど、いろいろな問題があるでしょう。営業が入力してくれないという問題の原因は概ね以下のとおりです。
現場でのヒアリングを行い原因を明確にします。原因がわかったら対策をたてます。
対策が決まったら何をすべきかを洗い出し、Todoを細分化します。例えば、現場の営業外の業務をいかに減らすかという視点での対策には以下があります。
いずれの対策であれ、必要なタスクをすべて洗い出し、時系列に並べましょう。できるだけ細かくリスト化し、順番を組み立てます。また、想定時間も書き込みます。その上で、ある程度時間に余裕を持たせたスケジュールを組み立てます。
何をもってセールスオペレーションの成果とするのかを、定義しなければいけません。そのためにも成果を計測する仕組みの検討をします。
例えば、営業プロセスの見直し、パイプラインの変革などを行った場合は、営業現場と同じように4半期、半年、1年で以下の指標をトラックする必要があるでしょう。
新しいテック類を導入し、トレーニングに力を入れた場合は以下も成果の指標になりえます。
営業チームが以前よりも適切に共有データを活用していれば、効率化が進んでいることになります。アンケートもツールが適切かどうか、ITリテラシーが向上しているかの指標となるでしょう。
セールスオペレーションを継続的に運用していくための、組織内ルールを決める必要があります。複数の部署が連携して動くために以下のルールを徹底しましょう。
新しい部門を立ち上げるには、目的の明確さや実現できる人材がいるかがポイントになります。
セールスオペレーションの立ち上げにあたっては、今後の自社の営業部門はどうあるべきか、成果を上げるにはどのような課題を解決すべきか、という視点から構想を描き、営業で優秀な人材を上げたマネージャーを配置することが大切です。
スタッフのITオペレーションを担う人材は、採用に苦戦する可能性があります。社内から素養のある若手を抜擢し、育てていくくらいの気概をもって部署を立ち上げましょう。
(参考:6sense.com、Sales Hacker、HubSpot、allbound.com、blog.close.com、uplead.com)
企業組織の中でセールスオペレーションをどこに位置づければよいかについて、組織図を2例紹介します。
企業規模、成長のフェーズ、現在の営業体制、マーケティング部門、営業企画部門などの力関係などにより、ベストなポジションは異なります。
営業部門の権力が強い日本の企業で導入する場合、営業部門のトップの下にセールスオペレーションがあったほうがうまくいくケースは多いと考えます(企画部門が強い場合はもちろん逆です)。
1.営業に関連するすべての人が、営業VPの下にある組織
(出典:blog.close.com)
2.セールスとマーケティングのトップの下にセールス、セールスオペレーション、マーケティングが並列に並ぶパターン。
(出典:Smartsheet.com)
日本の会社の場合、米国のようにトップダウンで組織をドラスティックに変革し、必要な人材をヘッドハンティングで調達することは、雇用カルチャーの違いから難しい面があります。
また、小さい会社はリソースが乏しいのでCEOがセールスオペレーション責任者となり、ITリテラシーのある営業経験者、マーケティング経験者が部下にいるという組織構成がよいかもしれません。
CEO中心にセールスオペレーションを進めるというパターン以外の企業は、むしろ現状の営業支援部門を軸に考えると、比較的スムーズに導入できるでしょう。
セールスオペレーションで成果を出すために必要なツールの代表格は、MA、SFA、CRMがあります。セールスプロセスに照らし合わせると、以下のような役割があります。
近年はCRM+SFAなどの一体型ツールも増えており、メーカーによってツールの定義が異なるのですが、下記の図を参照にどの領域に強いツールかという観点で検討するとよいでしょう。
マーケティングオートメーション(MA)とは、オンライン上のリードジェネエレ―ションを効率化するマーケティングツールです。オンライン上の訪問客の行動パターンなどを解析し、適切な情報提供などを自動的に行いながら、有望見込み客を絞り込んでいくことができます。
HubSpot マーケティングソフトウェア
(出典:HubSpot)
マーケティングソフトウェアは、直感的に操作できるワークフローやボット作成ツール、
複数のチャネルでの施策の展開を自動化・効率化できる機能があり、社内のマーケティングアセット、データ、ツールを1か所にまとめることが可能です。
マーケティングプロセスが一元管理できるため、マーケティングチームと営業チームの連携がスムーズになります。
特徴:
価格:無料ツール、starter 2160円/月、Professional 9万6000円/月
SFA(Sales Force Automation)とは営業支援システムの略語です。SFAは1990年代半ばに、新規の顧客アプローチから商談までのプロセスを支援するシステムとして登場しました。
具体的には、属人化しやすい顧客情報、案件情報の進捗をシステム上で一元管理して生産性を高めるためのシステムです。近年は、CRMとの合体型も増えています。
以下がおすすめツールです。
(出典:zoho.com)
Zoho CRM は、世界で25万社が導入するSFA/CRMシステムであり、営業活動、マーケティング、カスタマーサポートなどを統合的に管理できます。
大手CRM/SFAツールと同等の機能を持ちながら、運用コストが低い点が特徴です。直感的に使いやすいツールであり、SFA導入が初めての企業に適しています。無料トライアルとは別に、3ユーザーまで使える無料プランもあります。
特徴:
価格:3ユーザーまで無料プラン、1ユーザー月額 1680円、2760円、4800円、6240円、他
無料プランでも見込み客、連絡先、取引先、商談などの顧客管理機能、予定・タスク管理、ワークフロー機能、メールテンプレート機能、モバイルアプリ機能など豊富な機能がそろっています。
(出典:Freshworks)
Freshsalesは、インドのユニコーン企業として有名なFreshworks社が提供する世界で4万社の導入実績があるSFA 、CRM、MA、電話、チャットの一体型ツールです。
比較的低コストであり、かつ完全フリープランもあります。価格の割に機能は充実しており、AIチャットボット機能、AIからのインサイトでクローズにつなげられる案件を見つける機能も優れています。
機能や特徴:
価格:完全Freeプラン、1ユーザー月額15$、39$、69$の4プラン
(出典:Microsoft)
Microsoft Dynamics 365 Salesは、顧客とのやり取りを追跡し、営業プロセスを効率化する機能を提供します。AIによって成立可能性が最も高い最優先度の活動に焦点を当てたアクションを提案します。
何といっても多くの人が活用したことのあるOffice製品(Word、Excel、Outlook、Teamsなど)との連携がスムーズなため、大手企業を中心にシェアを伸ばしています。
機能や特徴:
価格:1ユーザー月額 8130円、1万1880円、1万6880円
(出典:Salesforce)
Sales CloudはSaaS業界のリーディングカンパニーカンパニーSalesforceが提供するSFA/CRM統合型のツールです。カスタマイズ性に優れており、BtoB、BtoC、直販、間接販売など多様なビジネススタイルに対応できます。全世界で15万社以上の納入実績があります。
主な機能:
価格:1ユーザー月額 3000円、9000円、1万8000円、3万6000円 ※無料トライアルあり
(出典:HubSpot)
HubSpotは完全無料のCRMを提供しています。無料とはいえ、最大100万件のコンタクトを登録でき、ユーザー数とストレージ量は無制限。以下のように多彩な機能が搭載されており、中小〜中堅企業であればこの無料CRMだけで営業支援、顧客管理のほとんどの領域をカバーできると言えるでしょう。
主な機能:
価格:無料
上記のツール類のどれが優れているかは単純な比較はできませんが、例えばハブスポットとFreshsalesは、中小企業にとって優れた選択肢でしょう。簡単な操作性と使いやすさはITリテラシーが高くない社員でもハードルが低いので、ストレスなく活用できます。
一方、大企業に必要な機能やデータの複雑な統合が求められることが多いため、Microsoft Dynamics 365 SalesやSalesCloudのほうが適している可能性が高くなります。Salesforceには拡張性、カスタマイズ性が高い長所があり、MicrosoftはOffice製品と統合できるところが魅力です。
それぞれのツールには独自の特徴がありますので、自社の要件に合った最適な選択をすることがポイントです。最近は安価で優れたツールも多数登場しています。
しかし、一つだけ注意していただきたいのは、最終的には各部門のデータを連携させる必要が出てくるため、マーケ(MA)から顧客管理(CRM)まで一貫して管理できるツールが結局、効率的だということです。
一つのツールで管理できることでデータの分断や別ツールでの計測の手間、他部門の人がツールは使い方がわからず見れないなどの問題を避けることができます。今の使いやすさだけでなく、後々のことも考えて選択しましょう。
ハーバード・ビジネス・レビューによると1970年代、最初のセールスオペレーション・グループを設立したゼロックス社のリーダーJames Kelly(ジェイムズ・ケリー)氏は、以下のように述べています。
「優れたセールスフォースを作るために必要な、やりたくない、しかしやらなければならない厄介なことを処理していた」
そこから時代は変わり、近年はデジタル化によりビジネス環境が激変し、活用できるテクノロジーも増加。そしてセールスオペレーションができる範囲が広がり、戦略部門という位置づけにする企業も出てきました。
スタートラインは企業ごとに違います。いまだ営業現場が旧態依然としている組織なら、まずは優れた営業経験のあるマネージャーとITに強いスタッフ、マーケティングセンスのある営業出身者の2〜3人体制で小さく始めても問題ないでしょう。
セールスオペレーション部門と営業部門のパートナーシップを大事にしながら、営業現場を支援していきましょう。