ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のリリースで、企業間の競争について「競合企業との予測可能なゲームから、多くの側面にわたり展開される複雑でダイナミックなゲームへと変化」と述べられているように、2020年代の市場競争はますますの激化が予測されます。
特に、SaaS・BtoB系サービスは単価が高く、顧客との商談サイクルも長期にわたることが特徴。今後は、契約後も「いかに顧客満足度を高め、長期的に利用してもらうか(他サービスへの乗り換えを防ぐか)」という視点がより重要になってくるでしょう。
顧客の満足度を高め、長期的に信頼関係を築くための取り組みとして「カスタマーサクセスオペレーション(CS Ops)」が挙げられます。カスタマーサクセスオペレーションとは、カスタマーサクセスチームの活動の根幹となる、顧客の体験価値を最大化するための取り組みです。
本記事では、カスタマーサクセスオペレーションの概要や重要性、業務領域、必要スキルをわかりやすく解説します。
カスタマーサクセスオペレーション(CS Ops)とは、カスタマーサクセス部門の活動・能力を最大化するための取り組みを指します。
そもそもカスタマーサクセスは、顧客が期待する成果や成功を実現するためにサポートすること。「カスタマーサポート(サービス)」とは混同されがちですが、以下のように役割や顧客との関わり方が、大きく異なります。
カスタマーサクセスオペレーションの存在意義は、企業が顧客の成功をサポートすることにあります。BtoBビジネス、とりわけSaaS系に多いサブスクリプション型のビジネスモデルでは、顧客の継続的なコミュニケーションや高いロイヤルティが、事業の持続的な発展に欠かせません。
HubSpotは、カスタマーサクセスオペレーションの役割について「ツール・プロセス管理」「データの取得・分析・活用」「計画と計測」と定義しています。
(出典: HubSpot「How to Use Customer Success Operations to Run Your CS Team Effectively」)
カスタマーサクセスオペレーションの役割は、カスタマーサクセスに関わるタスクを効果的かつスムーズ化するためにサポートすること。カスタマーサクセスの戦略策定、新しい技術やツールの適用、データの管理、手順の平準化など、多岐にわたる業務を行います。
BtoB企業において、カスタマーサクセスオペレーションは、顧客との関係を深化させ、持続的なビジネスの成長をサポートする役割を果たします。具体的には、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)の業務をサポートし、ツールの導入やデータの分析を通じて、顧客との関係の強化や問題解決の迅速化を促進するのです。
もともとカスタマーサクセスオペレーションは、エンジニアリング領域で誕生した「デブオプス(DevOps)」の考え方に由来するといわれています。デブオプスとは、ソフトウェアの「開発(Development) × 運用(Operations)」の2つの分野を統合した概念です。
デブオプスは、ソフトウェア開発とIT運用チームの協力を促進することで、プロダクトのリリースサイクルを迅速化し、効率性を向上させ、売上げに繋げることを目指しています。
(出典:CodeZine「DevとOpsの対立を見てきたエンジニアが提案する、両者に最適なインフラとは? 【デブサミ2020関西】」)
その後、セールス・マーケティング領域にも「Ops」の考え方、すなわち「オペレーションの最適化と自動化」の重要性が浸透していき、そのうちの1つとしてカスタマーサクセスオペレーションが定義されたという意見が一般的です。
総じて、デブオプスの流れを受けて、BtoBの各領域でもOpsの考え方が導入されることで、企業のアジリティや顧客へのレスポンスの質」が向上しています。カスタマーサクセスオペレーションはその中心的な役割を担い、BtoB企業の持続的な成長と顧客満足の向上に貢献しています。
では、なぜそもそもOpsの考え方が重要になってきているのでしょうか。大きく分けると、2023年現在は「デジタル技術の発展」「顧客との信頼関係構築の重要性」という2つの背景がみえてくるでしょう。
2000〜2020年代にかけて、デジタル技術の進化とともに、ソフトウェアやサービスの複雑性が増してきました。さまざまな機能や特徴を持つ製品は、新規ユーザーにとっては扱いが難しく、適切なサポートが必要とされます。
実際に、Digital Shift Timesが公開している「BtoBマーケティングカオスマップ」をみてみると、「BtoBマーケティング領域」だけを切り取っているにも関わらず、膨大なツール群が開発されているとわかるでしょう。
(出典:Digital Shift Times「BtoBマーケティングカオスマップ」)
カスタマーサクセスオペレーションは、顧客が新しい技術や製品を効果的に利用し、ツール導入を「成功」させるためのサポーターとしての役割を担います。
企業視点でみれば、デジタル技術の発展により、企業は顧客の使用状況やフィードバックをリアルタイムで取得できるようになったことも重要です。このようなデータを活用すれば、企業は顧客のニーズを的確に捉え、サービスを改善できます。
カスタマーサクセスオペレーションには、このようなデータを収集・分析し、有益なインサイトを導き出す役割もあるのです。
そもそも、BtoBのビジネス環境は複雑であり、顧客のニーズやビジネスの動向は常に変化しています。このような特徴を持つ市場で、企業が持続的に成長し、顧客との強固な関係を維持するためには、デジタルツールも介した各部門の効率的な運営と連携が欠かせません。
以前のように「契約したら終わり」のビジネスは受け入れられなくなってきました。BtoBでも契約した後に、SaaSのように使い続けていただく必要があったり、BtoCであっても口コミやSNSの普及によってお客様から新たなお客様が生まれたりするような流れがあります。
つまり契約後であっても、顧客体験価値の向上を図らなければならないのです。実際に、大手コンサルティングファームのアクセンチュアの調査によると、顧客や社員、社会に対し素晴らしい体験を提供することに重点を置く企業は、そうでない企業に比べて前年同期比の収益がそれぞれ6倍以上高いと判明しています。
(出典:PR Times「アクセンチュア最新調査――消費行動の変化により、企業の長期的成長における顧客体験デザインの重要性が増加」)
顧客は企業に対して、単に製品やサービスを提供するだけでなく、その後のサポートや成功へのサポートも期待しているもの。BtoBの領域では、製品やサービスが顧客のビジネスにおいて重要な役割を果たすため、継続的なサポートや最適化の提案が求められます。
カスタマーサクセスオペレーションは、顧客が継続的に価値を感じるサービスを提供するための「屋台骨」のような役割を果たすのです。
カスタマーサクセスオペレーションと混同しがちな概念として「カスタマーサクセスマネージャー」が挙げられます。
カスタマーサクセスマネージャーは、カスタマーサクセス部門の責任者であり、自社サービスの解約率がいくらなのかといった現状把握から始まり、解約率を抑えるための課題を抽出しながら改善施策を実行していきます。
カスタマーサクセスオペレーションは、レベニューオペレーション(RevOps)の構成要素のひとつであるとも定義されています。レベニューオペレーションとは、企業全体の収益を増やすための総合的な取り組みを意味しており、ビジネスモデルに応じて異なるアプローチが適用されるのが特徴です。
例えばSaaSの領域では、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスのような利益を増やす役割を持つ部門が一体となって、顧客にスムーズで一貫した高品質の体験を提供することを目的としています。
レベニューオペレーションは、事業の成否を左右するビジネスインテリジェンス(意思決定のための情報)を、組織で有効活用するために重要な仕組みといわれています。
(出典: Xactly「RevOps(レベニューオペレーション)とは?RevOpsが重要である理由」)
レベニューオペレーションがなければ、ビジネスインテリジェンスデータは各部門に散らばったままサイロ化され、全社的な取り組みに活かされることはありません。カスタマーサクセスオペレーションも、その一部分を担っているのです。
レベニューオペレーション(RevOps)の構成組織としては、他にも「セールスオペレーション(SalesOps)」「マーケティングオペレーション(Marketing Ops)」が存在します。
セールスオペレーションは、営業のパフォーマンスを向上させるための多岐にわたる取り組みの総称です。これは、企業の営業活動全般をサポートする部門として機能するもので、企業によっては異なる名称で呼ばれることもあります。
セールスオペレーション部門は、リードの管理や営業戦略の策定、地域の調整、セールスプロセスの効率化などの広範な業務を担当します。
マーケティングオペレーションは「マーケティング活動の全体的な管理と最適化」を担当します。特に、マーケティング技術の活用を通じて、他の部門との連携を強化し、有益な情報の共有やレポート作成を行うことが目的です。
そのため、マーケティングオペレーション部門は、「マーケティングとITの中間者」としての役割も持っています。
では、カスタマーサクセスオペレーションはどのような領域の業務を担当するのでしょうか。代表的なものをあげると、次のようなものがあります。
以下より、個別に解説します。
カスタマーサクセスオペレーションは、「カスタマーサクセス組織内」での業務効率を追求します。具体的には、「カスタマーサクセスマネージャー(CSM)に関する業務・タスクの手順を見直し、時間のロスを減少させる取り組み」「ツールの導入」などについて考えます。
カスタマーサクセスの対応サイクルの全体感を捉え、「どのフェーズで、どのくらい改善するべきか」を考えることで、効果的にPDCAのサイクルを回せます。これにより、カスタマーサクセスマネージャーが顧客との関係構築や価値提供に専念できるようになるでしょう。
(出典:pottos「【目的別比較】2022年のカスタマーサクセスツール全社31選」)
とはいえ、「カスタマーサクセスが最適化されたかどうか」は、自社だけで考えていてもわからないもの。後述するKPIの設定をしっかりと行い、実際に顧客の成功に貢献できているのかを、定量的に測定するようにしましょう。
カスタマーサクセスオペレーションは、組織全体での連携強化にも取り組む必要があります。
特に、前述したセールスオペレーションやマーケティングオペレーションなどの隣接部門との協力を深めることで、「一貫した顧客経験の提供」「効果的なマーケティング戦略の実施」などを実現できます。これにより、組織全体の働き方が最適化され、顧客との深い関係構築に繋げられるでしょう。
ただし、ここでいう「部門間連携」とは、各チームに散らばった「顧客データの連携」も含まれます。CRMやSFA、MAなど、各部門が扱う別々のチャネルを介して顧客データが流入してくるため、データ活用の方法についても整備しなければなりません。
ツール間でデータセットが異なっていると、「同じ顧客」のデータであったとしても、連携が上手くいかないため、データ統合・整理をする際のデータ連携について考えることが必要です。
例えば、米ボストンに本社を置くマーケットワンでは、BtoBにおけるデータ連携の全体像を以下のように定義しています。
(出典:マーケットワン・ジャパン合同会社「BtoBマーケティングで膨大なデータを有効活用するポイントとは?」)
上図のように「どのようなデータが、どのチャネルから流入するのか」を把握することによって、部門間連携をよりスムーズに進められるでしょう。
カスタマーサクセスオペレーションは、顧客の成功に直結するデータを集め、これを深堀りして分析します。例えば「顧客が製品やサービスをどのように利用しているか」「どの機能が活用されているか」などの情報を基に、さらなる価値提供の方法や改善点を探求します。
この分析結果を基に、カスタマーサクセス業務の戦略やアプローチの最適化が行われます。ただし、データは「ただ取得するだけ」では有効活用できるとは限らないため、「データ整備の体制」も構築しなければなりません。
実際に日本弁理士会が公開している資料では、「Data 自体は人間に有用ではなく、Data は処理(Processed)されることで人間に有用な Information になる」との記述があります。
(出典:日本弁理士会「米国特許における “information” と “data” の使用頻度と審査結果に与える影響について,及び,「情報」を “Information” と訳すことの妥当性についての考察」)
つまり、取得した顧客データを基にしてカスタマーサクセスのオペレーションに落とし込むためには、「必要な情報」「自社で出来る処理(例:CRMツールによる一元管理や、BIツールによるデータ統合など)」から逆算したデータ運用の方法を定義しなければならないのです。
成果に繋がったカスタマーサクセスのプロセスや手法は、他の顧客やケースにも応用できる可能性があります。カスタマーサクセスオペレーションは、これらの成功例をしっかりとドキュメント化し、再現可能なプロセスとして組織内に浸透させることも重要な役割です。
これにより、スタッフ同士の知識の共有や新しい顧客へのアプローチが迅速かつ効果的に行われるようになります。
カスタマーサクセスオペレーションに求められるスキルは多岐にわたりますが、優先されるものとしては以下が挙げられるでしょう。
各スキルについて、わかりやすく解説します。
カスタマーサクセス業務の中心は「顧客の成功」です。そのため顧客が何を求め、どのような課題を持っているのか、どのような成功を目指しているのかを深く理解する能力は必須といえるでしょう。
カスタマーサクセスは決裁者だけでなく、それ以外のユーザーとも関わり合い、実務を支援することが多く、自ら顧客業務への理解を深める機会が多くあります。
(出典:ITmediaビジネスONLINE「『成果が見えづらい……』 カスタマーサクセス管理の失敗から学ぶ“キャリアパス”の設計法」)
顧客接点が長く・深くなるため、「顧客の長期にわたる変化」をリアリティーを持って理解することが、カスタマーサクセスオペレーションを成功させるために必要です。顧客のビジネスモデルや業界の知識、そして顧客との関係を構築・深化させることが、真のパートナーシップを築く基盤となるでしょう。
カスタマーサクセスオペレーションでは、多くの部署やステークホルダーと連携することが多々あります。その上では、明確かつ効果的なコミュニケーションを通じて、共通の目的や方向性を確立し、異なる部署や役職の人々ともスムーズに連携できる調整力が必要です。
カスタマーサクセスの活動の効果を正確に評価し、継続的に最適化していくためには、データ分析が不可欠です。KPIの設定、データの収集と解析、その結果を基にした戦略の策定や改善提案ができる能力が求められます。
現代のカスタマーサクセス業務は、多くのテクノロジーやツールを使用しています。CRMシステムやデータ分析ツール、コミュニケーションツールなど、これらを適切に活用することで業務の効率性や品質を向上させられるでしょう。それを踏まえると、これらのツールの使い方を理解し、最適な方法で活用できる能力も重要といえます。
カスタマーサクセスオペレーションを自社で導入する際には、以下の5ステップを踏む必要があります。
それぞれ、順番にみていきましょう。
まずカスタマーサクセス組織の「理想像・あるべき姿」がどのようなものなのかを描く必要があります。
例えば、自社のビジョンやミッション、バリュー、事業特性、顧客像を土台とし、カスタマーサクセス組織がどのような役割を果たすべきか、どの方向に進むべきかを明確にするためのものです。これを基に、ステークホルダーとのミーティングを設定し、カスタマーサクセスの期待値や必要性を共有し、議論を深めていきます。
次に、カスタマーサクセス業務における理想と現実のギャップが何なのかを明確にしましょう。このステップは、現状の業務フローのなかで存在する課題やボトルネックを特定することが目的です。
カスタマーサクセスチームとのワークショップやインタビューを実施し、業務の過程で生じる問題点や改善が必要なポイントをリストアップします。その上で、それらの課題を優先度順に整理していきます。
チームの課題をリストアップできれば、次は実際にどんなアクションを起こすかを検討する段階です。
この「ToDoの細分化」では、上記で特定した課題を具体的な改善活動やプロジェクトとして進めるためのタスクに分解します。解決策やアクションプランを策定した上で、それらをさらに細かいタスクに落とし込み、タイムラインや必要なリソースを考慮しながら実行計画を立てましょう。
カスタマーサクセスオペレーションを成功させるためには、「何をもって成果とするのか」の指標と、定義した指標を計測するための仕組みの検討も求められます。カスタマーサクセスに関するKPIは、以下のものが代表的です。
<カスタマーサクセスのKPI例>
KPIを設定し、数値的なアプローチを図ることにより、カスタマーサクセス活動の効果を定量的に評価できるため、適切なフィードバック・改善を行っていけます。
最後に、カスタマーサクセスオペレーションを継続的に運用していくための、企業や組織内でのルールを決めましょう。
業務のベストプラクティスなどをマニュアル化し、新しいツールやシステムの導入に伴う運用ルールも整備。その上で、業務の進行に伴い継続的なレビューを行い、改善を促進する仕組みを確立します。
ここからは、CS Opsを効果的に実施するためのツールを紹介します。代表的なものは、以下のとおりです。
それぞれ、個別にみていきましょう。
BIツールは、ビジネス情報の集約、分析、そして可視化を目的として設計されています。企業が所有する大量のデータから、有益な情報やインサイトを抽出する能力は、今日のビジネスにおいて非常に価値が高まっています。
特にCS Opsにおいては、顧客の利用状況やフィードバック、契約状況などのデータがこれらのツールを通じて分析され、顧客の健全性やリスクをリアルタイムで把握するのに役立っています。
具体例を挙げれば、米Tableauが提供する同名のBIツール「Tableau」が代表的。Tableauは、データ可視化とビジネスインテリジェンスの分野で非常に評価されているツールです。BtoBのカスタマーサクセスオペレーションにおいては、顧客データの分析やトレンドの特定に大変役立ちます。
(出典:Tableau)
Tableauを使用することで、顧客の利用状況や問い合わせのトレンド、さらには製品の使われ方のパターンなど、さまざまな角度からのデータ分析が可能です。
それにより、意思決定を改善するためにデータを使用することを重視する「データカルチャー」の文化を作り上げられます。
<Tableauの特徴>
※2023年8月時点の情報を基に、当社にて作成。
CS効率化ツールは、カスタマーサクセスの業務をよりスムーズに、効率的に行うためのツールです。顧客の健全性のスコアリングや、コミュニケーションの追跡、オンボーディングの進行状況の管理といった機能を持っています。
これらのツールは、CSチームが顧客とのエンゲージメントを効果的に行うサポートを提供し、顧客の健全性やリスクをリアルタイムで監視し、適切なアクションを指示、促進する役割も果たしています。
例えば株式会社プレイドが提供するツール「KARTE」が挙げられます。KARTEは、顧客の行動や興味をリアルタイムでキャッチし、最適なタイミングでのコミュニケーションを支援するツールです。
BtoBのカスタマーサクセスオペレーションにおいては、顧客とのエンゲージメントを深化させるための重要なツールと言えます。
(出典:KARTE)
カスタマーサクセスオペレーションに役立つ機能例としては、ユーザーの行動ログだけでなく、一連の流れをファネルとして可視化する機能があります。
(出典:KARTE)
例えば、特定の機能に関するヘルプコンテンツへのアクセス頻度が高まってきた場合、その機能に関する問題や改善要望が生じている可能性が考えられます。
KARTEでは、このようなインサイトを基に、カスタマーサクセスチームは迅速に接触し、顧客の課題解決をサポートするといった使い方が可能です。
<KARTEの特徴>
※2023年8月時点の情報を基に、当社にて作成。
CRMは顧客との関係を中心とした情報管理システムです。企業のさまざまな部門、特に営業、マーケティング、サポート部門の情報を一元的に管理する役割を担っています。
カスタマーサクセスオペレーションにおいては、CRMは顧客の基本情報や契約内容、コミュニケーションの履歴などを一元管理することで、顧客との関係の深化や戦略的なアクションの計画に役立っています。
代表的なツールが、米HubSpotのプロダクトであるCRM「HubSpot」です。HubSpotは、CRMのみならず、マーケティング、セールス、カスタマーサービスなど、多岐にわたるビジネスプロセスを一元的にサポートするプラットフォームとして知られています。
BtoBのカスタマーサクセスオペレーションにおいて、HubSpotは「Service Hub」の形でソリューションを提供。「顧客情報の一元管理」「Eメールにおけるコミュニケーションのトラッキング」「タスクの自動化」などの機能を利用できます。
(出典:HubSpot)
加えてService Hubは、HubSpotの他製品と連携可能。マーケティング活動を展開するための「Marketing Hub」や、データ活用により成約率をアップさせる営業支援CRMソフトウェア「Sales Hub」など、2つ以上のソフトウェアと組み合わせることで、マーケティング戦略をより効率的に実施できます。
これにより、カスタマーサクセスチームは顧客との関係を継続的に管理しつつ、より深い関係を築けるでしょう。
<HubSpotの特徴>
※2023年8月時点の情報を基に、当社にて作成。
近年、カスタマーサクセスは注目度が上がってきており、特にサブスクリプションモデルの商材を取り扱っている層ほど、必要性を感じているとの調査もあります。
「Ops」という考え方は、日本ではまだまだ浸透しきっていないように感じられますが、カスタマーサクセスオペレーションは、自社で戦略的に顧客体験の向上を図っていく上では、効果的な取り組みです。
SaaS業界では成約後のサービス継続率や利用率も特に重要な指標ですので、今こそ自社でのカスタマーサクセスの在り方を再定義するべきときなのではないでしょうか。