マーケティングの基本中の基本「4C」とは?その基本と事例を紹介

2021/09/03
BtoBマーケティング 4C分析 マーケティングの基本中の基本「4C」とは?その基本と事例を紹介

製品企画の仕事は華やかでクリエイティブなイメージがありますが、実際は発想だけではなく緻密な分析・検証が必要な、頭脳も感性も駆使する極めて難易度の高い仕事です。

「こんなサービスがあったらすごい」と素晴らしいアイデアを思いついても、他企業がすでに類似サービスをリリースしていたり、開発コストが見合わず量産できなかったりすることは珍しくありません。

無事に発売までこぎつけても思うようにヒットしないこともあれば、最初は大人気でも強力なライバル製品が登場……など次々とハードルが上がってくるでしょう。

しかし、このような難易度の高い任務を成功させるのが企画・マーケティング部門のミッションです。変化する市場ニーズを巧みに捉え、競合他社の動きを見据える必要があります。

また、膨大な情報と脈絡なく浮かぶ自分のアイデアを整理整頓し、仮説・検証を繰り返して成功するまでトライし続けなければなりません。

このことはSaaS企業が製品を作るときにも該当します。ペルソナやカスタマージャーニーを作ることが重要であることに変わりはないのですが、よりマクロな要素である市場ニーズや動向を考えることは、アイデアの大枠を固め製品についての仮説を作ることに役立ちます。

本記事では、製品・サービスを企画するときに役立つマーケティングの基本的フレームワーク「4C 」について解説します。基本的なフレームワークですが、今のような顧客ニーズが変化しやすい時代に、顧客視点で製品・サービスを分析する4Cの有用性はますます増しています。しっかり押さえておきましょう。

マーケティングの4Cとは?

4Cとは、見込み客が製品を購入する際に影響を与える、以下の4つの要素を顧客視点で分析するフレームワークです。

企業視点ではなく顧客にとっての価値、便利さ、最適なコスト、快適なコミュニケーションを捉えましょう。4C分析を行うと、企業のおしきせではない顧客が真に求める製品・サービスを企画しやすくなります。

4Cの要素

  • Customer Value(顧客価値)
  • Cost(顧客のコスト)
  • Convenience(顧客にとっての利便性)
  • Communication(顧客とのコミュニケーション)

4Cを使うシーン:

  • 新製品・サービスを企画するとき
  • 既存製品・サービスのリニューアルを検討するとき
  • 競合企業の製品・サービスの分析をするとき


    マーケティングの4の図C


その発祥と発展してきた理由

4Cは、1993年に米国のRobert  Lauterborn(ロバート・ラウターボーン)氏によって提唱されました。

4Cが登場する前までは、1960年代に提唱された「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion(プロモーション)」「Place(場所)」の4つで製品を分析する「4P分析」が基本フレームワークとして主に活用されていました。

4Pも元々売り手・買い手双方の視点で戦略を考えるフレームワークですが、どちらかといえば企業視点が強いプロダクトアウト的思考が特徴です。

これに対し4Cは、顧客二ーズが多様化した1990年代、インターネットの普及に伴い4Pから派生したかたちで登場します。簡単にいえば4Pの要素を顧客視点で捉えなおすフレームワークです。

現在はインターネットがさらに発展し、買い手が自身の課題解決のために情報を探すようになりました。スペックなどの情報提供ではなく、課題解決のためのソリューションを売り手が提供する必要性が高まったことを考えれば、プロダクトアウト的な思考の強い4Pから4Cへフレームワークが変化したこともうなずけます。

 

マーケティングの4Cと4Pの違い

(出典:Online Marketing Icons

 

マーケティングの4Cとその要素

ここでは、4Cを構成する4つの要素について解説します。

4Cのその1:Customer Value(カスタマーバリュー/顧客価値)

Customer Value(顧客価値)とは、顧客にとっての自社製品・サービスのメリットです。

たとえば、高度な技術力を持つ企業が「この機器には世界最高精度の○○を搭載している」「この価格でこんな多彩な機能がある」などと売り出しても、顧客がそこまでの機能を必要としていなければ単にオーバースペックとなり、価値をあまり感じないでしょう。

この考え方はモノがない時代には通じましたが、モノが溢れ、さらにはインターネットを使って買い手が自分の求める情報へ自由にアクセスできるようになった現在では通じません。

ニーズが多様化し、ソリューションへ直接接触できるようになった今、顧客は課題を解決してくれるかどうかに焦点を当てています。

製品・サービスの価値とは、顧客が「このようなサービスが欲しかった」「これなら今の課題を解決できる」と思う時点で発生します。4Cはプロダクトアウトではなく顧客起点の発想であり、マーケットインで製品・サービスの価値を捉えるフレームワークです。

4Cの視点:

  • 顧客はその製品・サービスを欲しいと思っているか?
  • 競合他社と比較して顧客から見た価値は何か?
  • その製品・サービスで顧客はペインを和らげられるか?
  • なぜ、顧客はこの製品・サービスを購入しなければならないか?

4Cのその2:Cost(コスト/費用)

顧客にとってのコストとは、製品・サービスの価格だけではありません。購入後の維持・メンテナンスのコスト、オプションサービスの費用、別途発生するコンサルティング料金などすべてが対象です。BtoBであれば、サービスを使用することで増える社員の作業時間もコストです。

価格の決め方には、開発コストや製造原価をベースに設定したり、競合他社の価格プランを参考に設定したりするなどの方法がありますが、4Cでは顧客にとっての価値をベースに価格設定を行います。

価値ベースの価格設定は、製造業のように長期間の研究や莫大な開発投資をする業界では難しい面もあります。その一方でSaaSビジネスの場合は、サプライチェーンや原価のような考えがなく、経費の多くが人件費なため価値本位の価格設定がしやすいといえます。

4Cの視点:

  • 顧客がこのサービスに喜んで払う価格はいくらか?
  • 顧客はどのようは価格体系をわかりやすく感じるか?
  • 顧客から見てフェアな整合性のとれた価格体系になっているか?

4Cのその3:Convinience(コンビニエンス/利便性)

コンビニエンスという単語は広い意味を持ちますが、4Cでは顧客の「製品・サービスの購入のしやすさ」「情報の入手のしやすさ」を指します。

たとえば商品をどこで買えるかです。販売チャネルが多ければ顧客は手軽に購入できます。オンラインの場合、インターネット上での情報の得やすさ、Webサイトの視認性、購入ステップのわかりやすさ、デリバリー・支払い方法の選択肢の多さなどです。

4Cの視点:

  • 顧客は当社の製品・サービスを簡単に探せるか?
  • スムーズに製品・サービスを購入できるか?(途中で面倒にならないか)
  • 顧客が望む支払い方法を揃えているか?
  • 顧客が望む速さで製品・サービスを届けられるか?

4Cのその4:Communication(コミュニケーション)

4Cにおけるコミュニケーションとは、営業担当者、サービス・サポート部門の窓口、展示会・セミナー・ウェビナーなどのイベント、自社Webサイトでのチャット、SNS上での交流など、さまざまな顧客との交流を指します。

近年はSNSが増えたことにより、企業から一方通行のメッセージを発信するだけではなく、顧客の声を拾いやすくなっているため、ますますコミュニケーションの重要性は増しています。

4Cの視点:

  • 自社製品・サービスについて顧客は質問や相談を気軽にできるか?
  • 見込み客と良好な関係性を構築できるコミュニケーション手法は何か?
  • 顧客の製品・サービスへの意見、アイデアを収集できる手法は何か?

マーケティング4Cを活用するには4Pとの併用がおすすめ

ここでは4C分析を活用する際のポイントを説明します。4Cは4Pと併用することがおすすめです。なぜなら、前述のように4Cは4Pを元にしてできたものであり、前提に4Pの考え方があるからです。

そこを無視して4C分析だけに頼ると、顧客よりになりすぎて採算のとれないビジネスになるリスクがあります。

なお、4C、4Pともマーケティング全体の戦略上の位置づけでは中盤以降に位置します。この記事では主に4Cに特化して解説しますが、全体像も把握しておきましょう。

(4P/4Cまでの流れ)

 

マーケティング分析のステップ

 

ステップ1:目的の明確化

まず、何のために4C分析を行うかを明確にします。「新製品を開発するため」「既存製品をもっと売るため」「新たな顧客層をとりこむため」などの目的をしっかり捉えるのが大切です。

また、活用できるリソースの整理も行います。一般に大手企業はリソースが豊富なので、先に活かしたい技術があることが多く、すでに顧客を多数抱えているため、プロダクトアウトの戦略をとれます。

ベンチャー企業はリソ―スがないため、先に市場を徹底的リサーチしてからコンセプトを考えるマーケットインの戦略をとりましょう。

ステップ2:市場分析(外部・内部)

昨今のコロナウイルスによる市場の激変を経験した方は実感したと思いますが、ビジネスは、顧客ニーズだけを気にしていれば大丈夫とは限りません。政治、経済、社会、技術の影響は甚大なので、最初にマクロな分析を行いましょう。

市場には競合企業もいるため、資金力、人材力、技術力の差などを考慮して、相手と戦うか住み分けるかを決める必要があります。

また、自社の立ち位置を把握するために業界分析も行いましょう。外部環境分析についてはこちらの記事をご覧ください。

たとえばコロナウイルスで打撃を受けた業界でも、当分ダメだと思考停止するのは早計です。各社がビジネスモデルの変革を進め、業界の勢力図が変化しているかもしれません。何か新たなニッチ市場がうまれている可能性もあります。

外部環境分析を定期的に行うことで、業界内外のライバル企業より先にチャンスを見つけやすくなるでしょう。

ステップ3:ターゲットとペルソナを設定する

誰に向けて製品・サービスを届けるのかターゲット層を絞りこみ、ペルソナ(理想的な半架空の顧客プロファイル)を設定しましょう。

以下の方法などでターゲットとする顧客のニーズを調査します。ニーズの多い領域で、なおかつ自社が製品・サービスを提供して、顧客から高く支持される可能性の高い市場を把握します。

  • 既存顧客に対するヒアリング・アンケート調査
  • 外部に市場調査の依頼をする
  • SNSキャンペーンで意見を収集する
  • 自社コミュニティのメンバーにアンケートを依頼

ターゲット層が決まったら、さらに対象をしぼりこみ、その製品・サービスのペルソナを設定します。ペルソナは業界、企業規模、性別、年代、業界、職種、役職、個性などできるだけ詳細に設定しましょう。

ペルソナを設定する理由は、誰に向けた製品・サービスかをはっきりさせるためです。対象がぼやけてしまうと、「顧客にとっての価値」「適正価格」「好まれるコミュニケーションのあり方」を決められず、誰に向けて売っているかよくわからない製品・サービスになってしまいます。

ペルソナ作成については、こちらの記事をご覧ください。

ペルソナ例:マーケティングのマリー

ペルソナの図

      (出典:HubSpot

 

ステップ4 :4C分析と4P分析をセットで行う

この段階にきてから、ようやく4C 分析と4P分析を行います。

この時点で、市場ニーズがあるとわかっている上に、自社が価値を提供できる顧客層を把握できており、ペルソナまで設定した状態が理想です。

売る側の論理と買う側の希望の落としどころを探るために、4Cと4Pの各項目をテンプレートに書き込み比較してみましょう。

たとえば、後発で電子契約システムを販売するベンチャー企業が、自社サービスを売り手・買い手双方の視点(4Pと4C)で捉えると以下のように分析でき、自社の強味や改善点が明確になります。

4Pと4C分析の例

 

Price(価格)とCost(コスト)

 

企業の設定する価格は、顧客にとってコストです。顧客が喜んで払おうと思えるように、4Cでは顧客価値ベースで価格を設定します。その理由は、価格の高い低いはペルソナが製品・サービスにどれほど価値を感じるかで決まるからです。以下の点を議論して決めていきます。

  • 顧客が支払いたいと思える価格はどのくらいか?
  • 顧客の推定生涯価値(LTV)はどのくらいか?
  • その顧客の推定顧客獲得コスト(CAC)はいくらか?
  • フリーミアム(基本機能無料)にしたら顧客は使ってみようと思うか?
  • 価格を決める指標を何にするか?

なお、米国2020年のSaaSについての統計では38%のSaaS企業は従量課金、40%の企業は価値ベースの価格を設定しています。50%のSaaS企業はユーザー数で課金する価格設定を行っています。無料体験期間は「30日」が最多です。

 

SaaSの価格設定の種類

(参照https://devsquad.com/blog/saas-statistics/

 

価格設定については、4Pの視点も取り入れて適正な利益を上げられる価格にしないと、あとあと苦労します。

SaaSの月額料金は安く新規開拓は容易なため、解約率の影響を甘く見積もることがあります。しかし米国の2020年のSaaS業界の統計によると、大企業を対象としたSaaSビジネスの年間解約率は6~10%です。

中小企業を対象としたSaaS企業の年間解約率は58%。年間売上げ高が1,000万ドル未満のSaaSビジネスの解約率の中央値は20%です。

価格設定は慎重に行う必要があります。顧客は理由のない値上げ、後付けの理屈の値上げに納得しないことも多いので、低すぎる価格設定は後で難しい判断を迫られることになるでしょう。

 

SaaSの年間解約率

(参照https://devsquad.com/blog/saas-statistics/

 

Place(流通)とConvinience(コンビニエンス/利便性)

ペルソナとどこで接点を持つか? オフライン・オンラインそれぞれのチャネルを決めて、マーケティング施策を決めていきます。

たとえばペルソナが40~50代であれば役職についているケースが多いでしょう。自ら情報を探しにいく時間は少ないため、従来型の営業活動のほうが出会える可能性は高くなるかもしれません。なお、その世代が好んで使用するSNSはフェイスブックです。

デジタルネイティブ以降の世代ならウェビナーに気軽に参加してくれるなど、ペルソナを起点で顧客と出会える場所、顧客が製品・サービスの情報を得やすいチャネルを考えます。

  • ウェビナー
  • 展示会・イベント
  • ランディングページ
  • 無料デモ申込ページ
  • 見積もり依頼ページ

プロモーションとコミュニケーション

プロモーション、コミュニケーションのあり方を決めていきます。顧客がよく使うチャネル上で、顧客の購買心理の変容(興味関心→比較検討→問い合わせ)にあわせた製品・サービスのブロモーションを行なっていきます。業種によってはSNSやコミュニティを介したコミュニケーションで、当初から製品・サービスについてのアイデアを募集して協同で開発してもよいでしょう。

  • コンテンツマーケティング
  • SNSマーケティング
  • コミュニティマーケティング
  • テレマーケティング
  • テレビCM、メディア掲載など広告宣伝、他

まとめ

クライアントがどれだけ常に「満足」しているかが、企業が成功する鍵です。多くの企業の寿命は、約10年と言われています。

スタートアップの場合、このような市場の変化の激しい環境で勝負するのなら、顧客視点を念頭に置いていないと生き残れないといっても過言ではありません。

4Cの「顧客価値」「コスト」「Convenience(利便性)」「コミュニケーション」の中で、現状適当に決めている要素はないでしょうか? ときに企業目線が強くなりすぎたり、過度に顧客の要望だけを重視しすぎていたりと、自分たちの首を絞めている要素はないでしょうか?

4Cと4P分析をセットで行うことで、顧客のニーズを反映した顧客が喜んで支払い、かつ自社が利益をあげられるような製品・サービスを開発しましょう。

ただし、意識しないと企業目線になりやすいのはたしかです。今はSNS時代で4CのC(コミュニケーション)が容易なので、できるだけ顧客の意見・アイデアを取り入れることを意識し続けてください。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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