SEOの勉強に独学でも役に立つおすすめの本と資格を紹介 ~ 初心者から経験者まで ~

2024/09/10
BtoBマーケティング SEO SEOの勉強に独学でも役に立つおすすめの本と資格を紹介 ~ 初心者から経験者まで ~

デジタル時代において、ビジネスの成功を左右する鍵のひとつがSEO(検索エンジン最適化)です。しかし、その重要性が日々高まる一方で、SEOに対する知見が社内に十分にないために、取り組めない会社様もいるのではないでしょうか。イントリックス株式会社の調査では、製造業における回答者の26%がSEOに取り組んでおらず、27%がSEO自体を知らないと答えています。この結果からも、SEOに対する関心の低さや、学習の必要性が浮き彫りになっています。

SEOは、検索エンジンのアルゴリズムからユーザーの行動、技術、コンテンツまで、多岐にわたる要素が複雑に絡み合った領域です。そして、その要素は常に変化を続けており、正しい知識を得て効果的に実践することが求められます。では、どのようにしてこの複雑な分野を学び、実践すればよいのでしょうか?

本記事では、SEOを効果的に学ぶためのおすすめ書籍7冊、SEOスキルを証明するための資格7つ、そしてSEOを習得することでビジネス全般に活かせるスキルセットを詳しく解説します。さらに、SEO学習において多くの人が陥りがちな落とし穴と、それを回避するための具体的なアドバイスもご紹介します。

SEOは単なる技術習得にとどまらず、ビジネス全般において競争力を高める重要なスキルです。本記事を通じて、SEOの真の価値を理解し、成功への第一歩を踏み出していただければ幸いです。

SEOとは

SEO(Search Engine Optimization)は、日本語で「検索エンジン最適化」という意味です。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、自社サイトが検索結果の上位に表示されるように調整する技術や戦略のことを指します。

SEOの主な目的は、質の高いオーガニックトラフィックを自社サイトに誘導することです。オーガニックトラフィックとは、有料広告を使わずに検索エンジンから得られる訪問者のことで、長期的かつ持続可能な集客方法として注目されています。SEOは大きく分けて、オンページSEO、オフページSEO、テクニカルSEOの3つの要素から成り立っています。

SEOの3つの主要タイプ

これらの取り組みをバランスよく実行することで、検索エンジンとユーザーからの信頼を獲得し、ビジネスの成功につなげられます。

SEOを勉強することがなぜ大事なのか

デジタルマーケティングの推進において、SEOの知識は極めて重要です。適切なSEO対策を行うことで、自社のWebサイトを検索結果で上位に表示させ、より多くのユーザーを効率的に獲得できます。SEOの魅力は、リスティング広告やSNS広告とは異なり、コンテンツが一度上位に表示されれば、追加の広告費用をかけることなく、長期的かつ安定的な集客が可能である点にあります。このため、SEOで作成したコンテンツは「資産」として価値を持ち続けるのです。

オーガニックトラフィックの価値を理解するために、リスティング広告やSNS広告と比較してみましょう。これらの広告は即効性があり、短期間で成果を上げられますが、その一方で広告費を継続的に支払う必要があります。一方、SEOは上位表示まで時間がかかるものの、一度成功すれば長期にわたって安定したトラフィックを獲得できるため、コストパフォーマンスに優れた施策と言えます。

SEOの投資対効果(ROI)

具体例として、SEOによって月間1万人の訪問者を獲得し、その2%が問い合わせを行い、そのうち1%が顧客になると仮定しましょう。もし商材の単価が100万円であれば、月に200万円の売上げが期待できます。これに対して、SEOの外部費用が月に30万円かかったとすると、その費用対効果は6倍以上です。こうした高いROI(投資利益率)は、SEOが長期的に見て有効な投資であることを示しています。

さらに、SEOの知識は他のデジタルマーケティング施策にも応用が可能です。たとえば、SEOのキーワードリサーチで得たデータは、リスティング広告やSNS広告のターゲティング精度を向上させるための貴重な情報となります。ユーザーがどのようなキーワードで検索し、何に関心を持っているのかを理解することで、より効果的な広告を展開できるでしょう。

SEOの勉強におすすめの本【7選】

SEOを効果的に学ぶためには、信頼できる情報源からの知識が必要不可欠です。ここでは、SEOの基礎から応用まで、幅広い内容をカバーする7冊の書籍を詳しく紹介します。これらの書籍は、それぞれ異なる視点や専門性を持っており、ご自身のレベルやニーズに合わせて選択していただければと思います。

SEOの勉強におすすめの本【7選】比較表

1. いちばんやさしい新しいSEOの教本

いちばんやさしい新しいSEOの教本

(出典:Amazon)

『SEOの内部対策はお客さんの目的を実現することから始まります。お客さんがどんな気持ちで検索するのか、その気持ちを満たすにはどんなサイトで、どんなコンテンツを用意すればいいのか。検索エンジンを挟んでお客さんとやりとりするのがSEOなのです』(本書引用)

本書は、SEOを中心としたコンサルティング業務を提供するアユダンテ株式会社のSEOコンサルタントによる書籍です。タイトルの通り、SEO初心者向けに分かりやすく解説された入門書であり、SEOの基本概念を網羅的に説明しています。例を用いながら解説されているため、実際のSEO対策の流れを具体的に理解できるでしょう。各項目の掘り下げは限定的ですが、SEOの基礎を短時間で体系的に学びたい方におすすめの一冊です。

SEOの基礎知識がほとんどない読者は、本書を読みSEOの全体像を把握することで、より効果的に学習を進められるようになるでしょう。一方、すでにSEOに取り組んでいたり、ある程度の知識を把握していたりする読者には、より実践的な内容を扱った『現場のプロから学ぶSEO技術バイブル』などがおすすめです。

2. 現場のプロが教える! BtoBマーケティングの基礎知識

現場のプロが教える! BtoBマーケティングの基礎知識

(出典:Amazon)

『KPIとして順位をメインにみている企業も多く見られます。しかし、実際には、順位以外の変化も併せて見ることが望ましいです』(本書引用)

BtoBマーケティングの第一線で活躍する10名の著名人による知見やノウハウを集めた書籍です。ベイジ社の枌谷氏、GiftXの飯高氏、ラクス株式会社の安藤氏などが参加しています。本書の想定読者は、これからBtoBマーケティングに取り組む企業担当者。内容は大きく以下3つに分かれています。

  • 1章:BtoBビジネスの基本を知る
  • 2章:BtoBの顧客獲得戦略を考える
  • 3章:施策を細やかに実行する

本書では、BtoBにおけるSEOの考え方やWeb広告、メールマガジン、商談、KPIの立て方などが詳しく解説されています。SEOの項目を執筆するのは、SEOに精通したナイル株式会社執行役員の岸氏です。

BtoBマーケティングにおいては、SEOから集客したユーザーが直ちに購買に至るケースは稀です。集客したユーザーをリードに転換し、ナーチャリングする必要があります。本書を通じて、BtoBマーケティング全体におけるSEOの役割や、ユーザーを購買に導くまでの流れを理解できるでしょう。

BtoBマーケティングの全体像を把握しつつ、各施策の詳細を知りたい方におすすめの一冊です。

3. 沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—

沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—

(出典:Amazon)

『言葉はまさにコミュニケーションツール。その言葉の先にいる誰かのことを考え、その誰かに何を伝えるのか?ということを考えながら使う必要があります』(本書引用)

SEOに特化したライティング技術を学ぶのに最適な一冊です。著者は株式会社ウェブライダーの代表松尾氏であり、著名なSEO専門家としても知られています。本書はWebライターのバイブル的存在であり、検索エンジンとユーザーの両方に評価されるコンテンツの作成方法や、キーワード選定から記事構成まで、実践的なテクニックが詳細に解説されています。また、漫画形式で説明されているため、難しい内容も読みやすく理解しやすいでしょう。

本書の特筆すべき点は、SEOライティングを「技術」として体系化している点です。たとえば、読み手に自分ごととして捉えてもらうための「自分事化」テクニックや、読者の共感を呼ぶ文章の書き方が具体的に解説されています。また、集客だけでなく、自社を選んでもらうためのテクニックも詳しく説明されており、SEOライティングの実践に役立つでしょう。

本書を読むことで、ユーザーと検索エンジンの両方に最適化されたコンテンツを制作するための基礎知識が身につきます。SEOライティングのスキルを上げたい方におすすめの一冊です。

4. 10年つかえるSEOの基本

10年使えるSEOの基本

(出典:Amazon)

SEO対策にもトレンドがあります。キーワードの詰め込み、質より量の被リンク施策、モバイル対応などです。このようなトレンドは時代の流れとともに変化し、場合によってはすたれていきます。しかし、何年たっても変化しないSEOの本質があるのも事実。それを学べるのが本書です

本書には、SEOとは何かという基本的な説明から始まり、検索エンジンの仕組みや内部対策のポイントなど、SEOの基本中の基本が分かりやすく書かれています。たとえば「検索エンジンは何を重視しているのか?」や「検索エンジンの評価に沿って、SEOにどう取り組んでいくべきか?」など、初心者でも理解できるように、SEOで成果を出すために必要なポイントがしっかり説明されています。

本書の特筆すべき点は、「10年つかえる」というタイトルが示すとおり、SEOの本質的な部分に焦点を当てていることです。アルゴリズムの変更に左右されにくい要素について深く理解することで、いつの時代も上位表示を狙えるSEO対策を行えるようになるでしょう。

5. 現場のプロから学ぶ SEO技術バイブル

現場のプロから学ぶ SEO技術バイブル

(出典:Amazon)

Googleの公式文書や開発者の発言など、信頼性の高い一次情報を元にSEOの技術を網羅的に解説した書籍です。本書は、社内のさまざまな部署が連携してSEOに取り組むための共通言語となることを目指しています。

SEOは、マーケティング、エンジニアリング、コンテンツ制作など、複数の分野にまたがる領域です。検索エンジンのアルゴリズムは常に進化し、SEOのベストプラクティスも日々変化しています。そのため、企業全体でSEOの基本を理解し、連携しながら最新の施策を実行していくことが重要です。

本書は、そうした「全社的なSEO」を実現するために必要な知識とスキルを網羅的に解説しています。SEOの基礎知識から、マイナス評価を回避するための注意点、プラス評価を得るための具体的な施策、効果検証のための指標まで、SEOに関するあらゆるトピックを扱います。

本書の章立ては以下の通りです。

  1. SEOの基本
  2. マイナス評価を回避するSEO
  3. プラス評価を得るためのSEO施策
  4. 効果検証のモニタリングと特殊なケースの対処法

各章では、基礎知識の解説と実践的なテクニックのステップバイステップの手順を紹介しています。SEO初心者は、最初から順番に読み進めることで、体系的にSEOを学べます。一方、すでにSEOに取り組んでいる方は、知識を補強したい部分から選択的に読むことも可能です。本書は、辞書的に活用できる構成になっています。

SEOの基本から最新の技術まで、網羅的に学びたい方におすすめの一冊です。社内のさまざまな部署の方が、SEOについて共通の理解を持ち、連携して取り組むための指南書としても活用できるでしょう。

6. 「やりたいこと」からパッと引ける Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本

「やりたいこと」からパッと引ける Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本

(出典:Amazon)

『GAとGA4の違いはWindowsとMacの違い、iPhoneとAndroidの違いに似ています。つまり目的は一緒なのですが、そのアプローチ方法が違うということです。』(本書引用)

SEO対策においては、データの分析と改善が欠かせません。ユーザーの検索語句や閲覧したコンテンツを分析することで、SEO施策の精度を高められます。そうしたデータ分析の中心的ツールが、Google アナリティクス4(GA4)です。

GA4は、2020年に登場した最新版のアナリティクスで、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)から機能が大幅に強化されました。しかし、設定方法や操作性がUAとは大きく異なるため、使いこなすにはある程度の学習が必要です。

本書は、GA4の導入ハードルを下げ、誰でも実践的なデータ分析ができるようになることを目的としています。著名なWebアナリストの小川氏が、GA4の設定方法、各機能の使い方、分析手法などを分かりやすく解説しています。

本書の特徴は以下の通りです。

  • 豊富な図版とスクリーンショットで、操作手順を視覚的に理解できる
  • 目的別インデックスが用意されており、必要な項目をすぐに参照できる

GA4を使ったデータ分析に取り組みたい方、UAからGA4への移行を検討している方におすすめの一冊です。本書を読むことで、GA4の基本的な使い方から実践的な分析手法まで、体系的に学べるでしょう。

7. エピック・コンテンツマーケティング 顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書

エピック・コンテンツマーケティング 顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書

(出典:Amazon)

『コンテンツマーケティングにおける最大の困難のひとつは、自分たちの言いたいことより顧客のニーズを優先し、人々とつながり合えるストーリーを語ることなのだ』(本書引用)

本書は、コンテンツマーケティングの世界的権威であるJoe Pulizzi(ジョー・ピュリッジ)氏による、コンテンツマーケティングの本質と実践方法を解き明かした書籍です。ピュリッジ氏は、コンテンツマーケティングインスティテュート(CMI)の設立者として知られ、長年にわたってコンテンツマーケティングの普及と発展に尽力してきました。

本書では、SEO対策の具体的なテクニックには言及されていません。コンテンツマーケティングの戦略構築からコンテンツの企画、制作、配信、そして効果測定までを網羅的に解説しています。単なるテクニックの紹介ではなく、SEOにも役立つコンテンツマーケティングの本質的な考え方や、組織としてコンテンツを運用していくための本質や方法論に重点が置かれているのが特徴です。

SEO担当者またはコンテンツマーケティング担当者になったら、ぜひ読んでおきたい一冊です。今後の業務に役立つ数多くの示唆を得られるでしょう。

SEOに関係する資格【7選】

SEOのスキルを公に認定してもらうことは、キャリアアップや信頼性の向上につながります。ここでは、SEOに関連する7つの資格を詳しく紹介します。これらの資格は、SEOスキルの証明だけでなく、体系的な学習の機会としても有効です。

SEOに関連する資格【7選】比較表

1. SEO検定

SEO検定

(出典:SEO検定)

SEO検定は、一般社団法人全日本SEO協会(AJSA)が主催する、SEOに関する知識や技術を評価する資格試験です。SEOの基礎から応用まで幅広い内容をカバーしており、実践的なスキルを証明できます。この検定を通じて、正しいSEOの知識を体系的に学べるでしょう。

SEO検定は、1級から4級までの4つのレベルに分かれています。それぞれのレベルで求められる知識やスキルは以下の通りです。

  • 4級:SEOの基礎知識、検索エンジンの仕組み、検索順位の決定要因など
  • 3級:キーワードリサーチの方法、サイト内最適化の具体的な施策など
  • 2級:コンテンツマーケティングとSEOの関係、外部リンク対策の手法など
  • 1級:ソーシャルメディアとSEOの連携、モバイル端末に特化したSEO対策など

SEO入門者の場合、4級から順に挑戦することで、効果的にSEOに関する知識を身に着けられます。SEO検定は、AJSAのウェブサイトで最新の日程や会場を確認できます。

2. SEOマーケティングアドバイザー

SEOマーケティングアドバイザー

(出典:日本技能開発協会)

SEOマーケティングアドバイザーは、日本技能開発協会が認定する資格です。SEOの基礎知識から実践的なスキルまでを幅広くカバーしており、初心者にも適した内容となっています。

試験対策には、専用のテキストが用意されています。また、本試験前には添削課題や問題集で知識を確認できるため、入門者でも無理なく学習を進められるでしょう。試験は30問出題され、合格基準は70%以上です。自宅からオンラインで受験できるため、時間や場所の制約を受けずに挑戦できます。

料金体系は以下の2種類です。

  • テキスト教材と試験のコース:4万9500円
  • 試験のみのコース:1万1000円

ある程度のSEO知識がある場合は、試験のみのコースでも十分対策できる可能性があります。SEOの基礎を体系的に学び、実務で活用できるスキルを身につけたい方におすすめの資格です。初心者でも無理なく取得できる難易度となっているため、SEOを学び始める第一歩として検討してみてはいかがでしょうか。

3. 認定SEOスペシャリスト

認定SEOスペシャリスト

(出典:全日本SEO協会)

認定SEOスペシャリストは、SEO検定の全ての級(1級から4級)に合格し、さらに指定された研修を受講して卒業課題を提出することで取得できる資格です。この資格を取得することで、SEO業務において高度な知識とスキルを有していることを証明できます。

研修は全2回の講座で構成されており、通学受講だけでなく、動画やPDFテキストでの学習も可能です。このため、忙しいビジネスパーソンでも無理なく学習を進められるでしょう。

認定SEOスペシャリストに認定されると、名刺やWebサイトなどに掲載できる専用のステッカーが配布されます。これにより、SEO専門家としての信頼性を高めることができます。

ただし、この資格の取得難易度は高く、SEO検定の全ての級に合格しなければなりません。また、学習カリキュラムの費用は7万5000円(一括払い)で、各SEO検定の受験費用も別途必要となります。

そのため、認定SEOスペシャリストは、SEOの知識と経験が豊富で、本格的にSEOのスキルを証明したい方向けの資格と言えるでしょう。取得のハードルは高いですが、SEO専門家としてのキャリアアップを目指す方にはおすすめの資格です。

4. 認定SEOコンサルタント

認定SEOコンサルタント

(出典:全日本SEO協会)

認定SEOコンサルタントは、SEO検定の全ての級に合格し、全3回の研修を受講して卒業課題を提出することで取得できる資格です。認定SEOスペシャリストと認定SEOコンサルタントの主な違いは以下の通りです。

  • 認定SEOスペシャリスト:最新の効果的なSEO知識を吸収し、自社サイトのSEO成功方法を習得することに重点を置いている
  • 認定SEOコンサルタント:自社サイトとクライアントのSEOを成功させる方法を身につけることを目的としている

つまり認定SEOコンサルタントは、SEOの技術的知識だけでなく、以下のようなスキルが求められます。

  • クライアントへのコンサルティングスキル
  • SEO戦略の立案、実行、評価の全プロセスを管理する能力

この違いから、認定SEOコンサルタントは、SEO支援企業に勤めている方や、フリーランスのSEOコンサルタントとして活躍したい方に特におすすめの資格と言えます。

認定SEOコンサルタントを取得することで、クライアントのSEO課題に対して適切な解決策を提案し、SEO戦略を立案・実行・評価できる高度な能力を証明できるでしょう。

5. ウェブ解析士

ウェブ解析士

(出典:一般社団法人ウェブ解析士協会)

ウェブ解析士は、ウェブ解析士協会が認定する資格で、Webサイトのアクセス解析とそのデータに基づいた改善施策の立案能力を評価します。SEOと密接に関連する分野であり、特にデータドリブンなSEO戦略の立案・実行に役立ちます。

Web業界未経験者の場合、ウェブ解析士の取得にかかる期間は2〜4カ月(学習時間40〜60時間)と言われています。公式テキストが販売されており、試験内容はテキストを踏まえて出題されるため、比較的取得ハードルは低い資格だと言えます。

SEOの実務経験がある方にとっては、比較的短期間で取得できる資格だと思います。一方、Web業界未経験者や、SEOの知識が浅い方でも、公式テキストを活用して着実に学習を進めることで、十分合格できるレベルの資格です。

ウェブ解析士は、SEOの専門性を高め、データに基づいた意思決定ができる人材であることを示すのに適した資格だと言えるでしょう。SEOのスキルアップを目指す方は、ぜひ挑戦してみてください。

6. Googleアナリティクス個人認定資格

Googleアナリティクス認定資格

(出典:Google)

Googleアナリティクス個人認定資格は、Google自身が提供する認定資格で、Googleアナリティクスの知識と活用スキルを認定する資格試験です。デジタルマーケティングにおいて、データ分析は欠かせない要素となっています。 Googleアナリティクス個人認定資格は、そうしたデータ分析スキルを証明し、キャリアアップにつなげるための有用な資格と言えるでしょう。

試験概要は以下の通りです。

  • 受験資格:特になし(Googleアナリティクスの基本的な知識と経験が必要)
  • 試験形式:オンライン試験(50問の多肢選択式)
  • 試験時間:75分
  • 合格ライン:80%以上の正答率
  • 受験料:無料
  • 言語:日本語を含む多言語で受験可能

主にプロパティの設定と構成、各種レポートツールや機能の使い方などの基本的な知識について問われます。3つのレッスンも用意されているため、効率よく学習をすすめられるでしょう。

7. Webライティング能力検定

Webライティング能力検定

(出典:日本Webライティング協会)

Webライティング能力検定は、一般社団法人日本Webライティング協会が主催する資格で、Web上で効果的な文章を書く能力を評価します。主な受験科目は以下の通りです。

  • 国語:誰でも理解できる平易な日本語作成能力
  • ウェブライティング:ブログやホームページなどのライティングスキル
  • コピーライティング、メールライティング
  • SEO
  • 論理、法律、炎上対策:トラブルを起こさないライティングスキル
  • Webライティングに関するミニ論文

88点満点で53点以上取得すれば資格が付与されます。Webライターを目指す場合は、Webライティング能力検定の受講を検討してみるとよいでしょう。

SEOを勉強することで身に付くスキル

SEOは単なる検索エンジン対策ではありません。学習を通じて、問題解決力、分析力、論理的思考力、コミュニケーション力などのデジタルマーケターに求められる基本的な素養を身につけられるのです。ここからは、SEOを勉強することで身につく7つのスキルを見ていきましょう。

SEOを勉強することで身につくスキル

問題解決能力・適応力

SEOの世界では、検索エンジンのアルゴリズムが頻繁にアップデートされ、ランキング要因も刻々と変化します。こうした変化に素早く対応し、サイトのパフォーマンスを維持・向上させるには、高度な問題解決能力と適応力が必要です。

SEOを学ぶ過程で、アルゴリズムの変更を読み解き、それに合わせてサイト最適化の戦略を修正する経験を積むことになります。どのような変更が加えられたのか、自社のサイトにどのような影響があるのか、どう対策すべきか。こうした問題に論理的にアプローチする力が養われるのです。

同時に、SEOで成果を出し続けるには、新しい手法にチャレンジする適応力も重要です。SEOの学習を通じて、最新のトレンドをキャッチアップし、アルゴリズムの変化に合わせて自らを変化させる柔軟性が身につくでしょう。

分析力

SEOは、データに基づいた意思決定が求められる分野です。GoogleアナリティクスSearchConsoleなどのツールを駆使して、サイトのアクセスデータを詳細に分析する必要があります。

たとえば、検索流入のキーワードを分析することで、ユーザーがどのような情報を求めてサイトを訪れているのかを把握できます。コンテンツごとの滞在時間や直帰率を見れば、コンテンツの改善ポイントが見えてくるでしょう。また、検索順位の変動を分析することで、競合サイトの動向や自社サイトの課題を把握できるのです。

こうしたデータ分析のスキルは、SEOの学習の中で必然的に身についていきます。データから課題を発見し、改善策を導き出す。この分析力は、SEOに限らずあらゆるマーケティング業務で役立つでしょう。

論理的思考力

検索順位を上げるには、キーワード選定、サイト構造、コンテンツ最適化、内部リンク、外部リンクなど、さまざまな要素を最適化する必要があります。そして、それぞれの要素が相互に影響し合っています。

このように複雑な要因を整理し、優先順位をつけて最適化を進めていくには、論理的思考力が不可欠です。「なぜこのキーワードを選ぶのか」「なぜこの構造がユーザーにとって最適なのか」「なぜこのコンテンツを優先的に最適化するのか」。SEOの意思決定には、常に論理的な根拠が求められます。

SEOの学習を通じて、データや知見をもとに仮説を立て、論理的に検証していく力が養われていくでしょう。この論理的思考力は、SEOのみならず、あらゆるビジネスシーンで役立つスキルとなります。

コミュニケーション能力

SEOは、一見、技術的な領域のようですが、実際にはコミュニケーション能力も極めて重要です。なぜなら、SEOの施策を実行に移すには、社内外のさまざまな協力が必要だからです。

たとえばサイト構造の改善には、開発部門との連携が欠かせません。コンテンツの最適化には、ライターやデザイナーとの協業が必要です。SEOの重要性を社内で理解してもらい、施策の優先順位を上げてもらうには、経営層へのプレゼンテーション能力も問われます。

また、SEOの専門用語は難解なものが多く、そのままクライアントや他部署に伝えても理解されない恐れがあります。テクニカルな内容を平易な言葉で説明し、相手の理解を得る能力が必要です。

SEOの学習の過程で、こうしたコミュニケーションの機会は数多くあります。専門知識を分かりやすく伝える工夫、相手の立場に立って考える姿勢など、SEOを通じて培ったコミュニケーションスキルは、仕事のさまざまな場面で役立つはずです。

戦略的思考力

SEOは、短期的な施策の積み重ねではなく、長期的な視点に立った戦略が求められます。検索順位の変動に一喜一憂するのではなく、半年後、1年後を見据えた施策を打ち続ける必要があるのです。

そのためには、自社の事業戦略やマーケティング戦略と、SEO施策を連動させる戦略的思考力が欠かせません。「自社のターゲットユーザーは誰か」「どのようなキーワードで検索しているか」「どのようなコンテンツを求めているか」。こうしたマーケティングの基本的な問いから、SEOの戦略を立てていく必要があります。

また、競合他社の動向や業界のトレンド変化なども考慮に入れなければいけません。SEOは検索結果画面の上位を狙った競合との競争であり、この競争に勝つためには当然ながら競合分析やユーザーニーズの把握をし、それに合わせてSEO戦略を柔軟に修正していく力が問われるのです。

SEOの学習を通じて、こうした戦略的思考力を鍛えることができます。目先の数字だけでなく、俯瞰的な視点を持つこと。短期的な施策と長期的な戦略のバランスを取ること。そうした戦略的思考力は、マーケターにとって必須のスキルと言えるでしょう。

ライティング力・表現力

SEOの中でも特にコンテンツSEOでは、ライティング力や表現力が重要です。検索エンジンに評価されるコンテンツを作成するには、キーワードを適切に盛り込みつつ、ユーザーを引き付ける魅力的なタイトル、最後まで読んでもらえる文章を書く必要があるためです。

タイトルや見出し、本文など、それぞれの要素に最適なライティングの技術があります。また、ターゲットユーザーの関心や悩みを的確に捉え、そこに寄り添う共感力も求められます。

こうしたSEOライティングのスキルは、練習を重ねることで確実に向上します。キーワードをどこに、どのように配置するのか。ユーザーの心を動かす表現とは何か。SEOの学習を通じて、ライティングの技術と感性を磨くことができるのです。

このライティング力・表現力は、SEOに限らず、あらゆるコンテンツマーケティングで活きるスキルです。ブログ記事、メールマガジン、SNSの投稿など、あらゆる場面で説得力のあるコピーが求められます。SEOで培ったライティングスキルは、マーケターにとっての強力な武器になるはずです。

ウェブサイト関連の知識

SEOを学ぶ中で、HTMLやCSS、JavaScriptなどのWebサイトの基本的な技術についての理解も深まります。特にテクニカルSEOの分野では、こうした知識が欠かせません。

たとえば、サイトの読み込み速度を改善するには、HTMLやCSSのコードを最適化する必要があります。また、サイト内の重複コンテンツを防ぐには、適切なcanonical属性の設定が必要です。こうした施策を実行するには、Webサイトの仕組みや、コードレベルでの理解が求められます。

また、サイトマップの作成、ナビゲーション構造の最適化、モバイルフレンドリーな設計など、SEOに関連するWebサイトの知識は多岐にわたります。これらを学ぶことで、サイト運営のベストプラクティスが身につくでしょう。

SEOの学習を通じて得たウェブサイトの知識は、SEOの実務だけでなく、デジタルマーケティング全般で役立ちます。

SEOを勉強する上で大事なこと

SEOの学習において、スキルの習得と同じくらい重要なのが、学習に臨む姿勢です。ここでは、SEOを学ぶ上で特に大切な3つのポイントを詳しく見ていきましょう。

SEOを勉強する上で大事なこと

学ぶことの目的を明確にする

SEOの学習を始める際に最も重要なのは、その目的を明確にすることです。「SEOの知識を身につけたい」「SEOの資格を取得したい」といった漠然とした目標では、学習の途中で意欲を失ってしまう恐れがあります。

大切なのは、SEOを学ぶ最終的な目的、つまり「なぜSEOを学ぶのか」を明確にすることです。たとえば、「自社のWebサイトの検索流入を20%アップさせ、問い合わせ数を増やしたい」「SEOのスキルを身につけて、マーケティングの仕事の幅を広げたい」など、具体的な目標を設定しましょう。

このように目的を明確にすることで、学習の方向性が定まり、モチベーションを維持しやすくなります。SEOの知識や資格は、あくまでもその目的を達成するための手段であることを忘れないでください。

また、SEOを事業成長につなげるには、会社の事業戦略やマーケティング戦略と連動させる必要があります。自社のビジネスゴールを常に意識し、それに貢献できるSEO施策を考える。そんな姿勢が求められるのです。

コンテンツマーケティングの考え方を理解しておく

SEOを学ぶ上で欠かせないのが、コンテンツマーケティングの理解です。コンテンツマーケティングとは、ユーザーに価値あるコンテンツを提供することで、ブランドへの信頼や共感を得る手法のことを指します。

現在のSEOは、このコンテンツマーケティングの考え方と密接に結びついています。なぜなら、検索エンジンが重視するのは、ユーザーにとって有益で価値あるコンテンツだからです。キーワードを詰め込んだだけの薄っぺらなコンテンツでは、もはや上位表示は望めません。

だからこそ、SEOの学習においては常にユーザーファーストの視点を持つことが大切です。「ユーザーが求めているのはどんな情報か」「ユーザーの問題を解決するには何が必要か」、こうした問いを起点にコンテンツ作りを進めていく必要があります。

実際に実務を経験してみる

SEOの学習において、知識の習得は重要なステップですが、それだけでは不十分です。SEOの知識を実践に移し、成果を出せるようになるには、実際の業務経験が欠かせません。

テキストや動画教材で学んだ知識は、あくまでも机上の空論に過ぎません。実際にサイトを運営し、施策を打ち、結果を分析してみなければ、本当の意味でSEOを理解したとは言えないのです。

可能であれば、社内のWebサイトやブログなどで、SEOの実験的な取り組みを始めてみましょう。新しい施策を打ち、その効果を測定し、学びを次の施策に活かす。こうしたPDCAサイクルを回す中で、SEOの生きた知識が身についていきます。

また、実務経験を通じて、SEOの知識をビジネスの文脈で捉える力も養われます。サイトの目的やターゲットユーザー、競合の状況など、さまざまな要因を考慮しながらSEOを実践する。そうした総合的な判断力は、机上の学習だけでは決して身につきません。

SEOの学習においては、知識の習得と実践のバランスが大切です。本やセミナーで学ぶことを大切にしつつ、それを実際の業務で試し、結果から学ぶ。そうした学びと実践の往復の中で、実務で役立つSEOのスキルが磨かれます。

まとめ

SEOを効果的に学ぶためには、信頼できる情報源を選ぶことが極めて重要です。SEOは絶えず変化する分野であり、古い情報や誤ったアドバイスに従うと、無駄な努力をしてしまう可能性があります。最新かつ信頼性の高い情報源に依拠することで、効率よく正確にSEOの知識を深められるでしょう。

本記事で紹介した書籍や資格は、いずれも業界で高く評価されているものばかりです。これらのリソースを活用すれば、SEOの基礎から応用まで、段階的かつ体系的に学ぶことが可能です。

さらに、SEOの学習においては、得た知識を実際に試してみることが重要です。実務で活用できる機会がない場合でも、自分でSEOを意識したブログを運営するなど、実践の場を持つことで、実務に役立つスキルやノウハウを習得できます。こうした実践を通じて、SEOの効果を肌で感じながら学びを深めていきましょう。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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