3分でわかる事業環境分析を行う方法とは?BtoB  SaaS企業向け!

2021/10/21
BtoBマーケティング 事業環境分析 3分でわかる事業環境分析を行う方法とは?BtoB SaaS企業向け!

マーケティング戦略は、事業環境分析からスタートします。近年はグローバル化の影響により、企業をとりまく環境が変化しているため、国内に限らず海外も視野に入れて分析する必要があります。商流のほとんどがオンラインで完結するSaaS企業であればなおさらです。

海外各国の政治の動向、法規制、経済状況はもちろん、先進国や新興国にいたるまで、次々と登場してくる新しいSaaSスタートアップの動向にも目を配らせておきましょう。

事業計画を作るとき、どの企業でもTAM、SAM、SOMなどの自社のマーケット調査は行うはずです。その際に事業環境分析がしっかりできているかどうかが、マーケティング戦略の成果を大きく左右します。

本記事では、事業環境分析を行う方法、主要なフレームワーク、類似事業リサーチ方法の基礎について解説します。

事業環境分析とは?

事業環境分析とは、自社のビジネスに影響を与える環境要因を分析することです。企業に影響を与える環境要因は数多くあり、しかも常に変化しています。

環境要因の例:

  • 社会全体:経済、政治、文化、技術、自然、人口増減、環境、他
  • 業界内:競合他社、顧客、サプライヤー、新規参入者の動向、他
  • 自社の内部環境:従業員数の増減、財務の状況、カルチャー、他

事業環境のイメージ

(出典:1000ventures.com

このような環境要因を常につかんで先手先手で対応していくことが、事業を成長させるためにも、リスクを最小限に抑えるためにも必須です。

事業環境分析を行う意味

事業環境分析の目的は、経営戦略やマーケティング戦略立案時に、環境要因がビジネスにどのような影響を与えるかを分析し、意思決定の精度を上げることです。

たとえばSaaS企業の場合、世界の個人情報に関する法規制の動向を知らずにビジネスを突き進めると、後々大きな損失を被る可能性があります。「現在」の法に反しないからといって「未来」も大丈夫とは限りません。

新規事業開発時には、自社製品・サービスがシェア1位になれる市場が理想なので、できるだけ競合が存在しない市場を探す必要があります。しかし、同じような製品・サービスを思いつく企業は少なくないので、必ず「類似事業」を検索しなければなりません。

世界的な経済のトレンド、社会の価値観の変化を見て、参入するベストなタイミングを測る必要もあるでしょう。

既存事業であっても、競合企業の戦力の変化を常に把握して戦略を立てなければ、市場で勝つことはできません。業界自体の成長性を把握できていなければ、最適な経営資源の投資が難しくなります。

逆に事業環境分析がしっかりできていれば、大きく成長する市場や、自社が勝てる市場への参入が容易になります。また、事業のリスクに早期に気づき対策を打つことが可能です。

マクロ環境分析とミクロ環境分析

事業環境分析は、大きくマクロ環境分析とミクロ環境分析に分けられます。

  • マクロ環境の要素:経済、政治、テクノロジー、法律、社会の変化などの影響
  • ミクロ環境の要素:顧客、競合他社、流通業者、供給業者、自社内部の環境

昔から「タイムマシン経営」といわれるように、マクロ環境を常にウォッチし、いち早く海外のトレンドを真似た企業が成功した例は、現在でも山ほどあります。

一般的に日本のビジネスは、欧米各国のトレンドが何年か遅れて注目される傾向があります。先端を走っている欧米企業の動向、海外の同じ業界の動向、それをとりまく政治動向をつかむことは非常に重要です。

なお、これまでは語学の壁がありましたが、近年は翻訳サイトなどの精度向上により、どのような企業でも英語圏の情報を簡単に入手できます。リサーチ会社に大金を払わずとも、ある程度のマクロ環境分析はできるでしょう。

ただし、マクロ環境のトレンドをしっかり押さえて、チャンスのある市場を発見できても、やはり日本独特の商習慣があるのも事実です。また、自社の能力を超える事業は展開できません。

ミクロ環境分析を行い、自社の戦力、競合企業の強味・戦力、顧客の変化を常に押さえたプランを立てなければ、素晴らしい戦略も絵にかいた餅になるでしょう。マクロ環境分析とミクロ環境分析は、バランスよく行うことがポイントです。

マクロ環境から事業分析を行う方法

マクロ環境分析とは、自社のビジネスにマクロ環境の変化がどのように影響するか分析することです。マクロ環境の変化は、国や社会、業界そのものに多大な影響を与えるため、新規事業や中長期経営戦略立案の際に、マクロ環境分析は必須です。

PEST分析/PESTEL分析

もっとも有名なマクロ環境分析フレームワーク「PEST分析」では、「政治」「経済」「社会」「技術」の4要素を分析します。

最近はこれに「法律」「環境」「倫理」などの要素を加えた「PESTLE分析」もポピュラーになりつつあります(PEST分析の派生型のひとつです)。

企業が国や社会の一員である以上、このような要素はどの業界のビジネスにも大きな影響を与えます。

PEST/PESTLE分析は、経営者が事業をとりまく環境を広い視点で捉えてリスクヘッジし、チャンスを活かすために有用です。

PESTEL分析

(出典:Courses.lumenlearning.com)

PEST分析については、以下の記事もご覧ください。

5Forces分析

5Forces分析とは、米国の経営学者Michael E. Porter(マイケル・ポーター)氏が提唱した、競争要因の分析フレームワークです。

市場の競争の状況を「競争企業間の敵対関係」「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」「供給企業の交渉力」「買い手の交渉力」の5つの要因に分別。そしてそれぞれの関係性を分析することで、業界全体の成長性や収益構造を把握し、戦略立案に活かします。

5つの力

  • Entry(他業界からの新規参入)
  • Rivalry(競合企業の脅威)
  • Substitutes(代替品の脅威)
  • Suppliers(供給者の脅威)
  • Buyers(購入者・顧客の力)

5Forces分析については、以下の記事もご覧ください。

3C分析

3C分析とは、「市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3点を分析することで、自社の競争上の優位性を見つける分析手法です。

  • Customer(顧客)
    市場をセグメンテーションし、自社の製品やサービスを拡販できそうなポテンシャルの高い市場を特定します。
  • Competitor(競合企業)
    競合企業の売上高、利益、シェア、ブランド力、技術力、営業・マーケティング戦略、従業員数などを自社と比較し、強味と弱みを把握し、自社が優位にたてる領域を把握します。
  • Company(自社)
    自社の売上高、シェア、収益性、ブランド力、技術力、従業員数、人材のスキルなどを分析します。

3C分析

(出典:SLIDE HUNTER

ミクロから事業分析を行う方法

ここでは、ミクロから事業分析を行う方法を紹介します。

SWOT分析

SWOT分析とは、米国の経営学者のHenry Mintzberg(ヘンリー・ミンツバーグ)氏が提唱し、ハーバード・ビジネススクールで確立されたフレームワークです。SWOT分析は、外部環境と内部環境を分析する際に活用します。

ビジネス環境はもちろん、自社も生き物のように常に変化しているのです。

たとえば、カリスマ的な創業者が大きくした企業では、創業者の引退後はカルチャーがまったく変わり、強みが失われてしまうことがよくあります。企業の平均年齢の変化、採用する人数、層の変化によって戦力も変化します。

外部環境の変化によるチャンスと脅威を見極めるとともに、足元の戦力、現在の自社の社員のマインドの傾向、内部にあるボトルネックを常に分析することが大切です。

SWOT分析を定期的に行うことで、ビジネスチャンスやリスクに対して、自社の戦力も踏まえた意思決定ができるようになります。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

SWOT分析

(参照:Postermywall.com

SWOT分析については、以下の記事もご覧ください。

RFM分析

RFM分析は顧客をグループ化して、よりパーソナライズされたマーケティング戦略を実施するための分析手法です。Recency (直近の購入日)、Frequency (頻度)、Monetary (購入金額)の3つの指標で顧客データを分析・ランクづけします。

日本では主に「ロイヤル顧客」の特定に活用されますが、米国では顧客グループを細分化して、4~10グループ以上に分けることも珍しくありません。

ABC分析は「売上実績」などの1指標のみで分析しますが、RFM分析は「R」と「F」の指標があることで、直近の顧客の状況をより正しく分析できます。

3つの指標

  • Recency(リーセンシー):直近の購入日
  • Frequency(フリークエンシー):購入頻度
  • Monetary(マネタリー):使っている金額

RFM2

RFM分析については、以下の記事もご覧ください。

STP分析

STP分析は、米国の経営学者Philip Kotler(フィリップ・コトラー)氏が提唱したフレームワークです。

「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」のステップで、特定の市場にフォーカスしてマーケティング戦略を展開していきます。シンプルなステップで非常にわかりやすく、実践しやすいところが特徴です。

  • ステップ1:市場をセグメンテーションする
  • ステップ2:特定の市場(セグメント)を決める
  • ステップ3:市場内の自社のポジショニングの決める

STP分析

(出典:Oxfordcollegeofmarketing.com

類似の事業を調べる方法

素晴らしいアイデアを、世界で同時に思いつく人は100人と言われています。類似する事業がすでに存在しているか? どの程度のシェアを持っているか? という点は、ビジネスをスタートする前に必ず調べる必要があります。SaaSビジネスは世界市場が対象なので、国内だけでなく海外での類似事業も調べましょう。

類似事業を検索できるプラットフォームは国内でもSpeedaなどいくつかありますが、海外のプラットフォームはプロダクト数、関係者数などが圧倒的で、膨大な情報量が日々アップデートされています。しかも、無料でかなりの情報が入手できるため、ぜひ活用するのがおすすめです。

ここでは、おすすめプラットフォームを3つ紹介します。

海外注目スタートアップのデータベース「Crunchbase

Crunch

(画像出典:Crunchbase

Crunchbaseは、ベンチャー・スタートアップ企業を検索できるグローバルなプラットフォームです。企業概要、経営メンバー、資金調達額、資金調達ラウンド、VC、エンジェル投資家、投資家、商品、M&A、ニュース、業界のトレンドなどの情報がわかります。

企業エグゼクティブ、起業家、投資家などのアクティブなコミュニティが、Crunchbaseに積極的に情報提供しています。世界中の投資家・起業家・リサーチャーなどのプロフェッショナルを含む6,000万人を超えるユーザーが利用しています。

  • 登録企業数:675,000社以上
  • 1日あたり3,000件から1万件の情報がアップデート
  • 3,700以上のグローバル投資会社が毎月ポートフォリオの更新を提供
  • 年間来場者:6,000万人以上

Crunchbase2

1週間の資金調達に関する情報(2021.10.9時点)今週のCrunch

もちろん検索するだけでなく、自社情報を無料で登録可能です。業種、住所、従業員数、設立日などの基本的な情報をすべて追加して、世界のVCや企業から声がかかるチャンスを待ってもよいでしょう。

(参照:CrunchbaseTechblitz.com

新しいプロダクト情報満載の「Product Hunt

Product Hunt

(出典:Product Hunt

Product Huntは、2013年11月に米国のRyan Hoover(ライアン フーバー)氏によって設立された新製品を共有および発見するためのWebサイトです。

製品のカテゴリーは「テクノロジー製品(Webアプリ、モバイルアプリ、ハードウェア製品など」「ゲーム(PC、Web、モバイルアプ」「書籍」「ポッドキャスト」の4種類があります。

Product Huntでは、誰もが製品のレビューを投稿できますが、メディアや技術系インフルエンサーに特別なアクセス権与えることで、コンテンツの質を充実させています。多くのベンチャーキャピタル関係者が、投資先を探す目的で使用しています。

Product Huntを活用すれば、自社製品・サービスの類似サービスを調べることはもちろん、アライアンスしたい企業の発見もできるでしょう。

(参照:Product HuntHackernoon.com

実用化されていて評価を確認できる「G2

G2

(出典:G2

G2は、SaaS製品についてのレビューを掲載する、世界最大のテクノロジーマーケットプレイスです。既存のSaaS製品についてポジティブ、ネガティブな実際のレビューを読めるため、自社に必要なテクノロジーの発見、類似企業探し、ライバル製品の評判、強み・弱みの把握に活用できます。

従来であれば調査会社、アナリスト会社に依頼して長期間かかっていた類似サービス探しも、G2を活用することで短期間で完了できるでしょう。

  • 掲載SaaS製品数:約77,000、1,700のカテゴリー
  • レビュー数:現在145万件以上
  • 国の内訳:米国とカナダが約60%、ヨーロッパが約20~30%、アジアが10~20%
  • サイト訪問者:月に数百万人以上のバイヤーが活用

(参照:G2.comSaaS Mag

まとめ

記事で紹介したように、事業環境を分析するフレームワークはたくさんあります。ただ、ひとつのフレームワークだけで事業環境をすべて分析することはできないので、組み合わせて活用しましょう。

まずマクロ的な事業環境を分析してから、ミクロから事業環境を分析し、自社をとりまく環境要因をつかんだ上でマーケティング戦略を策定します。

その後の具体的な戦略立案時には、顧客ニーズの把握などが重要なので、Google analyticsなどを活用して調べます。

マーケティング戦略~実行までは長いプロセスで大変ですが、大きな方向性を捉えてベストな判断ができれば、その後の調整は比較的スムーズです。しっかり事業環境分析を行い、勝てる市場を選択し、勝てる戦略を立てていきましょう。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

サービスを詳しく知りたい方はこちら

資料請求