【BtoB SaaS企業向け】SWOT分析とは?内部環境と外部環境分析を行うことが大切な理由

2021/01/26
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SWOT分析とは、米国の経営学者Henry Mintzberg氏が提唱し、ハーバード・ビジネススクールにおいて、ビジネス戦略策定プロセスとして確立されたフレームワークで、自社をとりまく外部環境と内部環境を分析する手法です。

SWOT分析は、刻一刻と変化するビジネス環境のなかで、企業がいかに強みを活かし弱みを克服するかについて、戦略を導き出すフレームワークです。

マーケティングに関わっている方であれば、一回は聞いたことがあるはずのSWOT分析。本記事では、SWOT分析の基本と海外有名SaaSスタートアップのSWOT分析例も合わせてご紹介します。

SWOT分析の基本とは?

SWOT分析のSWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字からとられています。SWOT(スウォット)と呼びます。

SWOT分析の4つの項目

1.SWOT分析イメージ

上図の様に4象限に分類し、さらに内部環境(Internal)と外部環境(External)に分類して分析を行います。

SWOT分析の目的

SWOT分析の目的は、現時点の企業の強みと弱み、企業をとりまく環境の機会と脅威を正確に分析し、会社の方向性を決めるためにあります。

4項目を分析することで、ビジネス環境の変化に素早く対応して機会に乗じて成長することや、内部環境と外部環境の差分を理解することも可能でしょう。

また自社の方向性が明確になるだけではなく、事後の検証や分析もできるなどさまざまな目的に役立ちます。

例):

  • 経営戦略方針の決定
  • マーケティング戦略の策定
  • 製品サービスの開発の方向性
  • 営業戦略ほか各部門の戦略策定
  • ビジネスアライメント先の策定
  • 抱えている課題の抽出と対策
  • 競合他社および・潜在的脅威である企業の分析と対策、他

例えばSaaS企業であれば、新しい見込み客獲得のためにマーケティング活動を行うだけではなく、ビジネスアライメントや連携ツールの開発で自社の強い領域に注力をし、注力しない領域を他社のツールとの連携で補うことが一般的です。

その様な、ビジネスサイドの戦略判断をする際にもSWOT分析を用いると、自社の方向性を明確にできます。

SWOT分析を行うにあたっての前提

SWOT分析に限らず、一つのフレームワークだけで複雑な事象を分析し最適解をだせるフレームワークは存在しません。それぞれのフレームワークに特化した領域があるため一般に組み合わせて活用します。

SWOT分析は、どちらかというと内部環境の分析に近いフレームワークであるため、よりマクロな視点で分析を行える外部環境分析フレームワークを合わせて活用し、外部環境と内部環境の両方を正しく捉えることが不可欠です。

後述しますが、例えばマクロの外部環境分析を行うためには、PEST分析などが代表的な分析方法です。PEST分析を組み合わせることによって、SWOT分析のOとTの精度がより高まります。

マクロ分析を浅いままにSWOT分析をしてしまうと、そもそも市場にニーズがないのに自社都合のビジネスアライメントや、市場の方向性とは異なる戦略を作ることになりかねません。

また、大ききな脅威を目前にしても戦略転換をできなかったり、ビジネスチャンスをつかみそこねてしまう可能性があります。必ず組み合わせることが必要です。

SWOT分析の頭文字から知れること

SWOTのS、W、O、Tのそれぞれの意味を解説します。

SWOTのS(強み)

SWOTのSは、Strength(強み)を意味します。事業を継続できている企業にはさまざまな強みがあります。わかりやすい強みは、Webサイトや商品広告のコピー、営業マンのセールストークなどに見られますが、表に出てこない自覚しづらい強みもあるため、戦略策定にあたっては以下の項目を洗い出します。

  • 資金力
  • 技術力の高さ
  • ブランド力
  • 特許数
  • 拠点数、顧客数
  • 従業員エンゲージメントの高さ
  • 市場からの高評価

SWOTのW(弱み)

SWOTのWは、Weakness(弱み)を意味します。自社の経営目標、事業目標の達成の足かせとなるものが該当します。自社の目標達成の障害となる企業内部の特質も指します。

  • マーケティング力が弱い
  • 新しい時代に対応した商品開発がない
  • 財務体質が脆弱
  • 顧客満足度が低い
  • 従業員の離職率が高い
  • 認知度やブランド力の低さ

SWOTのO(機会)

SWOTのOは、Opportunity(機会)を意味します。具体的には、自社にとってビジネスチャンスと考えられる外部環境のポジティブな変化です。

  • 景気の変動
  • 新しいテクノロジーの出現
  • 競合他社の動き
  • 政治体制、法律(規制)の変更
  • 社会のトレンド(流行、価値観等)
  • 市場の高成長予測
  • プラットフォームの開放

SWOTのT(脅威)

SWOTのTは、Threat(脅威)を意味します。経営目標をさまたげる要因です。自社のシェアを縮小させる競合他社の動きや、業界の参入障壁を破壊するような新技術、社会や経済の混乱などのネガティブな要素が該当します。

  • 同業界競合他社の動き
  • 業界外企業の参入
  • 政治体制の変化
  • 革新的テクノロジーの登場(AI,IoT等)
  • 環境変化(天候、自然災害)
  • 市場の停滞や減退
  • プラットフォーマーによる寡占や独占

羅列してみると、強みと弱み、脅威と機会は表裏一体であることがおわかりだと思います。例えば、革新的な技術の登場は自社にとって脅威でもありチャンスでもあります。法規制の変更はA社にとっては機会でありB社にとっては脅威になりえるように、業界や企業によってプラスにもマイナスにもなるでしょう。

SWOT分析を外部要因と内部要因に分けるべき理由

SWOT分析は、外部要因と内部要因に分けて分析する必要があります。

例えば、新型コロナウイルスによる世界の混乱に象徴されるように、マクロな世界経済、政治の状況が激変すれば企業は翻弄されます。自社に高度な技術力、商品開発力があっても、それを活かせる市場を他社より早期に発見しなければ、成功確率は下がるでしょう。

SaaSスタートアップ企業であれば、どんなに優れた技術やアイデアがあったとしても、エコシステムを構築することが生き延びるための手段として必要で、エコシステムが技術的に成立しないのであれば、ビジネスの外部環境としては望ましくありません。

この様に、ビジネスにおいて機会を活かし、脅威を最小限に食い止めるためには、自社が努力できることとできないことを明確に区別して、理解しておく必要があります。

内部要因のSとW

内部要因とは、自社がコントロール可能なS(強み)とW(弱み)を指します。企業組織だけでなく、人材のレベル、モチベーション、従業員満足度、従業員エンゲージメント、離職率などのeNPS(Employee Net Promoter Score)なども重要な指標です。

分析にあたっては、決して主観的に強み・弱みと断定せず、数値や他社との比較データをもとに正確に分析します。

離職率などは直接関係する要因に見えないのですが、実は採用に対してのコストや教育コスト、これらを考慮すると従業員離職率(Employee Churn Rate)などは非常に重要な指標です。一般的な転職エージェントなどは転職者の給与の30%を報酬として転職先の企業から受け取ります。

転職者が1年で離職する場合と、3年以上在籍する場合、企業へのリターンに大きな差がでるでしょう。

外部要因のOとT

外部要因とは、自社がコントロールできないものでありO(機会)とT(脅威)を指します。業界内の競合他社、流通、供給企業の動き、マクロな政治体制や法律の変更、革新的な技術の登場、社会のトレンドなどが該当します。

外部要因はコントロールできず、かつ自社に与える影響が大きいため、できる限りの予測を立てておく必要があります。

SaaS企業が絶対的に無視することができないのが、プラットフォーマーの存在。例えば、非公式連携を行う様な開発をしているスタートアップなどであれば、プラットフォーマー側の連携仕様の突然の変更などは死活問題になります。

この様に、自社製品サービスに絶対的な影響を与える外部環境の変化は常に考慮し続ける必要があるでしょう。

SWOT分析活用には他の分析方法を組み合わせる必要性がある

前述した様に、SWOT分析をすると非常に明快に外部環境と内部環境を理解できます。しかし、他の分析手法を組み合わせずに単独でSWOT分析を行うと、自社よがりな分析結果となりがちです。

その様なことを防ぐために、ここではSWOT分析と組み合わせて活用できるフレームワークを紹介します。

PEST分析とSWOT分析の関連性 マクロ環境分析に近いPEST分析

PEST分析とはマクロ環境分析ができるフレームワークです。PESTの文字は以下の単語の頭文字を意味します。

  • Politics:政治
  • Economy:経済
  • Society:社会
  • Technology:技術

例えば、政府が働き方改革を推進したことで、いわゆる働き方改革銘柄とよばれるIT企業が成長しました。AI、IoTなどの新しいテクノロジーの登場により自動車産業は「100年に1度の変革期」と言われています。

さらに、新型コロナウイルスのパンデミックにより、オフィスに通えなくなり、急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進みました。

またIT系企業やSaaS企業にはこれまでにないほどの追い風が吹き、米国内外ハイテク企業が上場するNASDAQでは新型コロナウイルスの環境下でも、市場最高値の更新を続けています(2020年8月時)。

この様に、マクロなビジネス環境を分析することで自社の機会(O)と脅威(T)がわかります。

5ForcesとSWOT分析の関連性 業界分析に近い5Forces

SWOT分析は、5Forces分析と組み合わせることも有効です。5Forces分析とは、米国の経営学者Michael E. Porter氏が開発した、企業収益に影響がある5つの競争要因をもとに分析をおこなうフレームワークであり、業界分析に近いものです。

自業界の収益構造を把握し、同業他社の状況、業界への新規参入企業の状況を把握し、戦略を構築する際に役立ちます。

5つの競争要因(5Forces):

  • Entry:他業界からの新規参入
  • Rivalry:競合企業の脅威
  • Substitutes:代替品の脅威
  • Suppliers:供給者(サプライヤー)の脅威
  • Buyers:購入者(顧客)の脅威

この様にSWOT分析をするにあたって、PEST分析でマクロ環境を分析しSWOT分析の外部環境であるOとTの精度を高め、5Forcesで自社の業界を分析しSWOT分析のSとWの精度を高めることが、SWOT分析をより活用するために欠かせません。

海外SaaS BtoB企業のSWOT分析の例

例として、海外SaaS BtoB企業のHubSpot、Salesforce、ZendeskのSWOT分析を紹介します。3社とも広義ではSaaS業界のグローバルリーディングカンパニーですが、それぞれが正面からは競合せず、各社が特化した領域でNo.1のポジションを築いている企業です。

3社の特徴はいずれもマーケティング系、セールス系、サービス(サポートやサクセス)系のツールを持ち合わせている点です。しかしながら、顧客像として持っている企業規模や、企業コンセプトが全く異なります。

例えば、Salesforceであれば営業ツール(CRM)からスタートしたSaaS企業であり、顧客像は比較的大規模な企業であることが多いです。また、ZendeskはサポートツールからスタートしたSaaS企業であり、顧客像は中堅規模の企業が中心。

HubSpotは、マーケティングツールからスタートしたSaaS企業で、小規模から中規模までの企業が顧客像の大半です。

持ち合わせているツールは似ているのですが、コンセプトが異なるためツール開発のスタート地点が異なり、顧客の企業規模などが異なりながらも、持っているツール群は似ているという特徴があります。

HubSpotのSWOT分析

HubSpotは、マーケティング領域やスモールビジネスマーケットのCRM領域でNo.1のシェアを持つ企業です。創業は2006年、世界120か国以上でサービスを展開し、86,000社以上の顧客を持つSaaS業界のリーディングカンパニーです。コロナ禍においても堅調に売上高を伸ばしています(2020年末時点)。

 

HubSpotの業績

(参照:strainer.jp)

 

前述した様に、元々はマーケティングツールからスタートしたSaaS企業ですが、SFA、CRM、サービスの領域の順に製品群を拡張し、今ではネイティブ連携可能なツール数が500を超え、プラットフォーム企業の様を呈してきました。

■HubSpotのS(強み)

  • 強力なフリーキャッシュフロー
  • 新規プロジェクトの成功率の高さと資本支出に対する良好なリターン
  • 強力なブランドポートフォリオ
  • コアコンピタンス(インバウンドマーケティング提唱者としての市場創造)
  • 新市場への参入と優れた業績による新たな収益源を構築
  • 独自の文化を持つ強力な販売店コミュニティ
  • 巨額の投資で構築したオンライン販売チャネル
  • 高いスキルとモチベーションを持った従業員
  • 非常に低い従業員離職率

■W(弱み)

  • 規模拡大に伴ったテクノロジー分野への投資比率の低さ
  • 現在の資産の比率および流動資産の比率に改善余地がある
  • 製品の販売におけるポジショニングとノウハウは競合他社に模倣される可能性がある
  • 各機能の性能レベルが特化型製品と比較すると高くない

■O(機会)

  • 世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
  • 新型コロナウイルスの影響による急速な非対面業務の普及
  • デジタルテクノロジーによる顧客のニーズの拡大
  • 安定したフリーキャッシュフローは隣接する製品セグメントへの投資機会を提供
  • オンラインチャネルからの新規顧客の獲得

■T(脅威)

  • 業界内のプレイヤーが増加
  • 新型コロナウイルスの影響による世界的なスモールビジネス市場の縮小
  • 特定のグローバル市場における熟練した労働力の不足
  • 進出国の給与水準の上昇
  • 進出国以外のソフトウェアニーズの弱さ

Salesforce.comのSWOT分析の例

Salesforce.comは、世界トップクラウドプレーヤーの一つであり、とくにSFA、CRM領域の世界トップベンダーとして、SaaSに関わる方であれば誰しもが知っているSaaS企業の雄です。

 

Salesforce.comのCRM市場シェア

(参照:salesforce.com)

 

■SalesforceのS(強み)

  • クラウド業界のリーディングカンパニーというブランドイメージ
  • Salesforceプラットフォームと呼ばれるほどの幅広い提供サービス
  • 信頼性の高いサービスと技術革新による顧客からの指示
  • 慈善活動への投資(1-1-1フィランソロピー・モデル)による社会的評価
  • メディアからの高い評価
    フォーブス誌は「10年で最も革新的な企業」と宣言
    フォーチュン誌は「世界で最も賞賛された企業」として15位にランク付
    バロンズのランキングでは、最も持続可能な企業100社の中で2位を獲得
  • 研究開発、イノベーションへの多額な投資
  • 全世界で1000グループを超えるトレイルブレイザーコミュニティ

■W(弱み)

  • 国際展開が米州、欧州、アジア太平洋地域と限定的
  • 売上高に占めるアジア太平洋地域の割合は10%弱前後。ヨーロッパも収益の20%未満を占めている。ブランドの収益の約71%をアメリカ市場に大きく依存(2020年1月時点)
  • クラウド業界の競争激化によるマーケティング・販売コストの増大
  • 新興国のビジネス文化と製品が持つ世界観のずれ

■O(機会)

  • 世界的なDXの推進
  • 豊富なキャッシュフローによる戦略的買収とパートナーシップ構築
  • 他ブランドとの買収や提携によるサービスの範囲の拡大、新市場へのリーチ
  • 製品・サービスカテゴリーのさらなる拡大
  • 日本を含むアジア太平洋地域での存在感は限定的であり成長の余地がある

■T(脅威)

  • クラウド大手企業との競争激化。2020年にはGoogleが買収を検討と報じられる。提携先でもあるZendeskが営業支援ソフト分野に参入している。
  • 2020年の米国GDP成長率低下、設備投資が悪化傾向
  • 競争激化によるマーケティングや販売、研究開発などの運営費増大
  • 世界的なプライバシー関連法案の規制とそれに伴うコンプライアンス関連のコスト増加
  • 国際的な環境における通貨関連のリスク
  • 低価格な類似製品の増加、新興国におけるローカルSaaSベンダーの急成長
  • 新型コロナウイルスの同社顧客事業への影響

ZendeskのSWOT分析の例

Zendesk.Incとは、2007年に創業した40言語以上に対応するカスタマーサービスソフトウェアのリーディングカンパニーです。

ガートナーの「CRM顧客エンゲージメントセンターのマジック・クアドラント2020」においてカスタマーサービスソフトウェア市場の「リーダー」に位置づけられています。2020年第2Qの収益は前年同時期より27%増加(英語)しています。

 

Zendeskの収益情報

(参照:Zendesk.Inc)

 

■ZendeskのS(強み)

  • 強力なフリーキャッシュフロー
  • 信頼できる原材料のサプライヤーの強固な基盤
  • 強力なディーラーコミュニティ。ディストリビューターとディーラーの間で文化が構築されており、Zendesk製品の品質向上、市場予測に寄与している。
  • 強力なブランドポートフォリオ
  • 設備投資に対する高いリターン
  • 新規プロジェクトの成功実績と設備投資に対するリターン(Go To Market戦略の成功)
  • 新製品の開発成功と製品のイノベーションを実現
  • 高い顧客満足度(CSAT)91%

■W(弱み)

  • コアビジネス以外での成功は限定的
  • 組織構造が現在のビジネスモデルとだけ互換性があり他製品分野への移行に課題
  • 革新的な製品の供給が少ない (多くは他企業の開発に対応したもの)
  • 新製品の供給が定期的に行われていない
  • 業界の他企業よりも従業員の離職率が高い
  • 研究開発への投資額が業界リーディングカンパニーや最も急成長中の企業より下回る

■O(機会)

  • 世界的なDXの推進
  • 新型コロナウイルスの影響により自治体、病院、BtoC企業のニーズ拡大
  • 先進国におけるカスタマー・エクスペリエンスのトレンド
  • Deepラーニングによる機械翻訳精度の向上
  • 安定したフリーキャッシュフローにより、隣接する製品セグメントへの投資、新技術への投資による製品開発が可能

■T(脅威)

  • 2020年の米国、EU、日本のGDP成長率悪化傾向
  • 収益性の高い製品の需要に季節性がある。顧客の繁忙期にカスタマーサービスにおいて起こりうる予期せぬトラブル、出来事が短中期的に収益性に影響を与える可能性がある。
  • 各国の給与水準の上昇
  • 新興市場における模倣品や低品質な製品の増加
  • グローバル市場での熟練した労働力の不足

参考:Fern Fort University

SWOT分析のやり方

SWOT分析の手順を解説します。SWOT分析の手順にルールはありません。外部要因と内部要因に分ける必要については前述のとおりですが、例えばキャッシュフロー、顧客網、技術力などのリソースが豊富な大手企業であれば、内部要因から分析して機会や脅威をどう活かすかという視点で戦略を描くこともできます。

一方、資産が乏しくマーケットインにならざるを得ない中小・ベンチャー企業はまず外部要因から分析する必要があります。昨今は外部環境の変化が非常に大きく影響度も増大しているため、ここでは外部分析、内部分析のステップを解説します。

Step1:目的の設定とデータ収集

SWOT分析をするにあたり、まず行うことは「明確な目的の設定」です。目的を明確にすることで洗い出す項目の範囲、優先順位も明確になり、何が強みか弱みか? 機会か脅威かの解釈もスムーズになります。また、必要なデータをもれなく収集でき正しい仮説が導きやすくなります。

Step2:外部環境分析

次に外部環境である機会(Opportunity)と脅威(Threat)を分析します。PEST分析5Forces分析→SWOT分析と進めることで、グローバル経済社会の動向、各国の政治状況や天災が業界に与える影響を分析し、その上で業界内の自社のポジション、現時点でもっとも有効な戦略や対策を導きだします。

Step3:内部環境分析

SWOT分析の目的と外部環境を踏まえ、自社の強み・弱みは何かを洗い出します。どのような項目も早期に取り除かないようにします。S、W、O、Tそれぞれの項目は分析の目的や戦略によって重要性も変わります。

また、他の項目と組み合わせることで価値が変化するからです。強み弱みは主観的になりやすいため、データにもとづいて判断するようにします。

ただし、SとWを考えるときに比較することになる競合企業の顧客像と自社の顧客像がどの様な違いを持っているかを理解する必要があり、顧客から見て自社がどの様に映っているかが最も大切なポイントです。

この考え方は、バイヤーペルソナの理解や、カスタマージャーニーの理解に大変似ており、ユーザーインタビューや、解約してしまったユーザー、有望見込み客などにヒアリングをし客観的かつ定量的に作り上げることも大切です。

Step4:クロス分析

SWOT分析で自社の外部環境・内部環境を分析したあとは、戦略のストーリーを描く必要があります。これが「クロスSWOT分析」と呼ばれる作業です。まず、マトリクスで外部環境と内部環境を個別に掛け合わせてそこから具体的な戦略を導き出します。

マトリクスを埋めるときは、以下のように発想することがポイントです。

  • 強み×機会:この機会に自社の強みをどう活かせば事業が成長するか?
  • 弱み×機会:この機会を活かし自社の弱みを強化できないか?
  • 強み×脅威:脅威に対して強みを活用し早期に手を打てないか?
  • 弱み×脅威:脅威による自社の弱みへの影響を最小限にするためには?

マトリクスを書き終えると、現時点でとれる戦略がすべて可視化されます。SWOT分析のマトリクスを埋めた時点が、いわば戦略構築のスタートラインです。その中から分析の目的にそって有効な戦略を選び出し、具体的な戦略のストーリーを描いていきます。

この段階では仮説構築力、脅威にいかに対抗するかという問題解決能力を駆使してください。

まとめ

ビジネス環境の変化は、多くの企業にチャンスを提供します。成長市場への参入機会がある場合、多大な投資ができる大手企業は一見有利です。しかし、大手企業の組織が硬直化しイノベーション人材が不足している弱みがある場合、成功可能性は低くなります。

どの戦略が有効かはあくまで、強み・弱みと機会・脅威のかけあわせで変わってきます。SWOT分析は孫子の「彼を知り己を知れば百戦危うからず」「五事(道、天、地、将、法)」を体現するようなフレームワークです。思い込みや希望的観測ではなく、外部環境と内部環境をシビアに把握した戦略を描くことに役立つでしょう。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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