コロナウィルス感染症の影響により、世界的にDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速化し、BtoBの見込み客の購買行動もオンラインに急速にシフトしたのはご存じのとおりです。
一方、完全にデジタル化するかと思えば、2020年時点においても新製品を購入する際に誰かと話したいBtoBバイヤーが76%というデータも発表されています。アフターコロナになり、リアルもそれなりに価値が再評価され始めました。
増え続けるチャネル、進歩するITツール、複雑化する購買パターンなどトレンドをキャッチしながらも、急速には変化しない人の心理にも目を向け続ける必要があります。BtoB企業のリードジェネレーション(見込み客創出)、リードナーチャリング(見込み客育成)施策は、ますます難易度が高いものになっていくでしょう。
本記事では、BtoBでリードナーチャリングを考えている企業向けに、リードナーチャリングを成功させるためのステップを解説します。
リードナーチャリング(見込み客育成)とは、見込み客(リード)を顧客に転換するまでのプロセスであり、定義は以下の通りです。
「見込み客(リード)を実際に購入に結びつけ、長期にわたる顧客となってもらうことに主眼を置いたマーケティング手法のひとつ。見込み客と良好な関係を築き、自社の商品やサービスについて段階的にさまざまな情報提供を行うことなどを指す」
語源は、英語のleadとnurturing。
マーケティングと営業のプロセスでいえば、企業が見込み客と接点を持ったあと(リード情報獲得のあと)の信頼関係醸成~案件化のフェーズを指します。図解すると、リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーション、商談の順番で。
2019年のHubSpotの調査では、65%の企業が「トラフィックとリードの生成」が最大のマーケティング課題であると回答。さらに74%の企業が「リードを顧客に変えることを向こう1年の最優先事項」と回答するように、重要度の高いテーマです(リードを顧客に変えること=リードナーチャリングです)。
(出典:TrueNorth)
リードジェネレーションとは、新たなリード(見込み客)を生み出すことです。
例えば、広告、コンテンツマーケティング、SEOなどで情報を発信し見込み客にメールマガジンに登録してもらうことや、ウェビナー申し込みや資料ダウンロードしてもらう際に個人情報を提供をしてもらうことを指します。オフラインなら展示会での名刺収集、営業担当者の名刺交換も該当します。
一方、リードナーチャリングは、リードジェネレーションの次の工程です。定期的にリードに情報提供やアドバイスなどを行い、信頼関係を育みながら、製品・サービスに関心を高めてもらい、最終的に商談化するプロセスを指します。
リードクオリフィケーションのリードの質を評価し、そのリードが実際に製品やサービスを購入する可能性がどれくらいあるかを判断するプロセスです。
タイミングとしては、リードジェネレーション直後に行ってもよいのですが、初期は情報が少ないこともあり、リードナーチャリングの次のステップとして、定期的に行うことが一般的です。
具体的には、リードの課題や製品サービスへの関心、予算、ニーズ、購入意欲などを確認してグループ分けし、購入意欲が高いリードについては案件化して営業部門へ引き渡す判断をします。また、追加のナーチャリングが必要なグループにも、それぞれ適切な情報提供の方法を決定し、ナーチャリングの必要性自体も判断します。
一度接点を持った見込み客(リード)がすぐ購入検討する率は、BtoBの場合それほど高くありません。セールスサイクルにもよりますが半年以内なら早いほうであり、来年以降の検討というケースもよくあります。
2021年のdatabox社の調査では、半数以上の回答者が、リードの40〜70%はまだ購入する準備ができていないと回答しています。そのようなリードの何割かはフォローしていないでいると他の企業のサービスを利用するため、リードを育成していない=機会損失につながります。
(出典:databox)
逆に、リードナーチャリングを実施することで以下の成果が期待できます。
リードナーチャリングは、BtoB取引において最も重要な信頼関係を育むフェーズです。この期間、リードはベンダー情報、商品について詳しくなり、ベンダー側は顧客のニーズ、人となりを理解していくため、人間関係も育まれます。
リードナーチャリングによって、自分の興味・関心にぴったりとあった価値ある情報を継続的に受け止めると、人は自分を大切に扱われていると感じ、企業へのロイヤルティが
高まることが想定されます。返報性の法則により、同じような機能であれば、顧客への姿勢が素晴らしいこのベンダーにしようという判断が起きやすくなるでしょう。
リードナーチャリングは、リアルな営業現場であれば、営業担当者が名刺交換をした後にも継続してフォローし、ヒアリングし、BANTなどの条件を確認し提案していくプロセスそのものなので、実施することにより案件化率は向上します。
DemandGen Reportでは、リードナーチャリングが実施されたリードは、他のリードと比較して販売機会が20%増加したと報告されています。
ナーチャリングされたリードは、そうでないリードよりも47%多く購買を行うというAnnuitas Groupの調査結果があります。
リードナーチャリングを実施することにより、リードの商品・サービスについての知識は向上しています。どのような機能がどのような課題にどう活用できるかを理解しているため、発注金額が増える傾向があるのです。
リードナーチャリングを実施しない場合、獲得したリードの約8割はあまりフォローされないことになります。放置していても、ニーズが起きたタイミングで問い合わせる見込み客は少数でしかありません。
リードナーチャリングを実施し、定期的にコミュニケーションをとることで関係性が持続すると、ニーズが起きた段階で提案の機会を得られやすくなります。
自分ひとりでは課題に気づかなかった見込み客が、インサイドセールスの案内や送信した資料によって課題に気づき顧客化することもあるため、顧客数増加につながります。
Forrester Researchの調査では、リードナーチャリングを実施する企業は実施していない企業に比べて、33%低いコストで50%高い売上げを実現しています。
リードナーチャリングにより、有望な見込み客を把握し案件化につなげていくだけでなく、ニーズのまったくない見込み客を判別することが可能です。定期的にリストのスクリーニングができるため、無駄なアプローチを減らすことができ、コスト削減につながります。
(出典:HubSpot「2023 年のマーケティング戦略とトレンド レポート」)
リードナーチャリングにはさまざまな手法があります。トレンドによって人気手法の変化はありますが、メールマーケティング、ブログ、SNSなどは安定した評価を得ており、もはやスタンダードだと言えるでしょう。また、近年は動画の躍進が目立ちます。
上記は、「2023 年のマーケティング戦略とトレンド レポート」。ソーシャルメディアの活用が突出しているものの、他手法も大きな差はなくバランスよく活用されていることがわかります。
以下に具体的な例を紹介します。
最も一般的なリードナーチャリングの打ち手はメールマーケティングでしょう。一人でも始めることができ、コストもあまりかかりません。
イベント情報、オウンドメディアの新コンテンツ、新しい機能のリリースなどさまざまな情報を送り届けることもできる、リードナーチャリングのインフラのような役割です。
Campaign Monitor の調査でも、マーケティング担当者の 55%がメール マーケティングがデジタル マーケティング戦略の中で最も高い投資収益率をもたらすと解答しています。
まだまだ購買意欲が低いと定義できる見込み客の方には、ウェブサイトに再度戻ってきてもらうためのメールを届けるなどし、受け手が不快にならない程度のアプローチをしながら情報を届けていきます。
(出典:株式会社LIGのLIGブログ)
メールがリードナーチャリングのインフラを担うなら、ブログが核だと表現できます。
最近のデマンドメトリック社の資料では、ブログを運営している企業は、ブログを実施していない企業に比べて、毎月平均 67%多くの見込み客を生み出しています。
コンテンツの企画によってどのようなフェーズにいるリードにもアプローチができるので、ブログとメールマガジンだけでもリードナーチャリングは可能です。
さらに、質の高いブログコンテンツは、ウェビナーのネタにもなりますし、YouTubeの台本にもなります。SNSで拡散すれば、さらに広く情報発信できます。内容によっては営業のスクリプトにもなるでしょう。
セミナー、ウェビナーなどのイベントは、テキストや画像だけの情報よりも臨場感があり、オンラインであれリアルであれ、同じ「場」において意見を交わすことで、コミュニケーションが深まります。
開催後のお礼メール、アンケート回収などにより、貴重なフィードバックを得たり、リードのニーズや関心度を把握できたりするなど、リードナーチャリングを後押しする手法です。
さらに、当日の内容をイベントレポートとしてブログに掲載したり、オンデマンド配信したりすることで、参加できなかった人にも情報を届けることができます。
(出典:「スマホのカメラで蝦夷を読みChartworkで相手とつながる方法」 - ChatWork株式会社公式アカウント - YouTube)
動画コンテンツの活用は急速に伸びています。HubSpotの「2023 年のマーケティング戦略とトレンド レポート」」でも、2023年はショート動画コンテンツがトップトレンドになるだろうと予測されています。
動画コンテンツは、情報を視覚的かつ魅力的に伝えることができるので、製品デモやツールの使い方など、テキストだけでは難しいような情報提供にも活用可能です。24時間発信できるため、ブログ記事と同じようにコンテンツが資産となります。
ユーザーにとっては気軽に都合のよいタイミングで視聴でき、受動的に価値ある情報をインプットできる点が魅力。興味をもったら何度でも繰り返し視聴し学ぶことができるため、リードナーチャリングに適した手法だと言えるでしょう。
ソーシャルメディアは、リードに情報提供するだけでなく、直接コミュニケーションをとれるリードナーチャリングに適したメディアです。
HubSpotの同レポートによると、マーケティング担当者の 42%以上がソーシャルメディアを使用しており、活用されている最大のチャネルです。また、どのチャネルよりも ROI が高いことも指摘されています。
なお、担当者のほぼ半数がさまざまなSNSに同じコンテンツを再投稿し、35%が各アプリに合わせてコンテンツを調整するなどの工夫をしています。情報の拡散性が高いものの保存性、検索性は少し弱いメディアなりの活用がされているようです。
(出典:株式会社ブイキューブのebook)
eBookは、特定のトピックや業界に関する詳細な情報を提供するための優れた手段です。
ある程度の量の情報があるeBookに興味を持つリードの関心度は高いため、質の高いリードが生成される可能性も高く、リードナーチャリング戦略上重要なツールです。
初期段階のリードに対して、入門ガイド的なコンテンツを作成することもできますし、検討ステージに入ったリードに詳細な事例、イベントレポートなどを提供することもできます。
一般に見込み客は、関心度の高くないときに直接電話でアプローチをされることに抵抗をもちますが、真剣に検討するフェーズではその限りではありません。前述のように、2020年時点においても新製品を購入する際に誰かと話したいBtoBバイヤーが76%も存在します。
SaaSのように専門知識がない段階ではわかりづらいサービスは、テキスト情報を何度も読むより、話を聞いたほうが理解しやすく、ベンダー側も直接話すことでリードの関心度が把握できる長所があります。
電話はいまだに、コミュニケーションツールとして強力であり、リードナーチャリングのプロセスでも活用されています。一般には、インサイドセールススタッフがメールとともにツールのひとつとして担当します。
具体的にどのように展開するかについては、以下、米国Contentmarketing instituteの図が参考になります。Early Stage、Middle Stageなど、それぞれのステージでどの形式がよく活用されるか参考にしてください。
(出典:B2B CONTENT MARKETING 2019 - Contentmarketing institute、MarketingProfs)
ナーチャリングの成果を出すには、ある程度の条件があります。以下の準備ができていない状態で着手しても成果はあがりません。
リードナーチャリングを成功させるためには、そもそもリードの量がある程度必要であり、
それなりの予算と人員を投資して、リードジェネレーションを実施する必要があります。
リードを生み出す基本ステップは以下のとおりです。
リードジェネレーション施策を具体的に進める前に行うべきことは「ペルソナ(半架空の理想の顧客像)の設定」と「カスタマージャーニー」が肝になります。
顧客像を明確にイメージし理解することが最優先課題であり、外部メディアの選定、コンテンツのフォーマット、コンテンツの内容、SNSの選定などの具体的な施策を決めるための羅針盤です。
BtoBにおける顧客とは、企業やその窓口の発注担当者、もしくは経営者です。ペルソナを「発注担当者個人」と設定する際は以下のように具現化していきます。
このような情報をつめていき、実際に存在しうるようなリアリティのあるペルソナ像を描いてみましょう。ヒントになるのは「現在の優良顧客」です。以下のような方法をとって可能な限りリアルなペルソナ像を作り上げることが大切です。
(手法)
さまざまなペルソナ作成用テンプレートがありますので上手に活用しましょう。架空の顔写真を使ってもよいでしょう。
出来上がり例:
(出典:HubSpot)
次にペルソナがどのような目的をもって、どのような購買行動をとるかをイメ―ジしながらカスタマージャーニーマップを作成していきます。カスタマージャーニーとは、ペルソナの購買心理や行動を時系列に見える化したものです。
購買行動を起こす前後にどのような課題があり、どのような感情の動きや思考があって、どのような行動を起こしていくかを時系列に書いていきます。最初に決めるのはペルソナとの「接点」です。
購買プロセス(興味関心→比較・検討→問合せ)のファネルにそって、ペルソナの心理や行動をイメージしながら接点を捉えていきましょう。さまざまな無料テンプレートが出ていますので活用できます。
出来上がり例:
BtoB SaaSのスタートアップ企業がつくる製品サービスを導入する企業のカスタマージャーニーマップは、割とシンプルになりやすいです(よほど複雑な商材でない限り)。
これは、(カスタマージャーニーが複雑な)大企業が導入するような大規模な製品は、(販路確保を知り尽くしている営業担当者などがいる)大規模な企業が販売元になりやすい、というBtoBならではの特性があるからです。
そのため、上記のようなBtoB SaaSのスタートアップがカスタマージャーニーを作る場合は、(定性的な表現で恐縮ですが)作り込むレベルではなく、数カ月に一回改善する前提でざっくりとした羅針盤として、カスタマージャニーを作るイメージの方がよいです。
なお、カスタマージャーニーを簡単に作成できる海外無料ツールがあります。高精度な無料翻訳ツールDeeplとあわせて活用すれば、特に費用はかかりません。
※カスタマージャーニーの作り方は、以下の記事をご覧ください。
カスタマージャーニーとは?カスタマージャーニーの意味とマップの作り方をステップで解説
ペルソナとカスタマージャーニーが把握できれば、ペルソナのナーチャリングに適したコンテンツ作成企画に入れるでしょう。コンテンツマップも作成してみるのが大切です。
(出典:https://blog.alexa.com/lead-nurturing/)
ナーチャリングにはCRM(顧客管理情報システム)やマーケティングオートメーション(MA)などの活用が欠かせません。リードが大量に獲得できている場合、大量の見込み客のデータを関心度にあわせて分類し、届けるコンテンツをかえるタスクは手作業ではかなり難しいためです。
ナーチャリングを自動化すると、労力を削減できるのはもちろん、リードへ適切なタイミングで適切なコンテンツを届けやすくなり案件化率が高まります。
近年はマーケティング領域のITツールは増えており、SFA、CRMやMAとカテゴリーされてはいるものの、ほぼ同種の機能を持っていることもあります。ただ、日本企業でMAを必要な段階の企業はまだ少ない印象なので、最初は簡易なCRMやメールプラットフォームでも十分でしょう。
なお、CRMには無料サービスもかなりありますので、中小企業で予算がなくても導入できます。CRMで見込み客のフェーズを可視化し、自社のカスタマージャーニーの定義から、適したコンテンツを配信できるように設定しましょう。
特に、BtoB SaaSマーケティングでは、オペレーションを仕組み化してテクノロジーで自動化の徹底を欠かすことができません。CRMなどを活用してデータ管理(データマネージメント)を怠らないようにしましょう。
前提として、データを集める際の共通のルールが決まってないとデータを有効活用できません。入力基準を統一するなど、データマネジメントのルールを決めましょう。
企業の問い合わせフォームも、CRMと連動させるフォーマットにしておくことがポイントです。自由にご意見をいただきたいという気持ちで自由入力にすると、社内システムと連動させるのにかなり労力がかかってしまうため、データの入口の部分を統一しましょう。一度社内で統一すると、データを横断的に活用する際に楽になるでしょう。
ナーチャリングをどの部署が担当するかは、商品・サービスの価格、セールスサイクルによって異なります。何年かに1回しか決まらない大型の契約を追うのであれば、担当営業マンがナーチャリングしたほうがよいでしょう。
SaaS業界のように分業してインサイドセールス部門が行ったり、マーケティング部門が担当したりするほうが、営業体制として合理的なケースもあります。スモールビジネス対象のBtoB SaaSなら、可能な限り自動化して人の手があまりかからないようにする必要もあるでしょう。
どこが担当するかを決めていないと、同じ見込み客にマーケティング部門と営業部門両方からメールが届き、ナーチャリングのつもりが迷惑営業ぽい印象になる可能性があります。
営業とインサイドセールス部門、マーケティング部門で話し合い、SLA(サービス レベル アグリーメント)を結びましょう。案件引き渡しのリードの基準も決めておくことが重要です。先に決めておけば、後々のよくある行き違いの感情を軽減できるでしょう。
(画像引用:Free Tempate - SLA Tempate for Sales & Marketing - HubSpot)
リードナーチャリングの実行の流れを説明します。
ハウスリスト(House List)は、企業が過去に取引したり、コンタクトしたりした既存の顧客や顧客のリストであり、リードナーチャリングの対象リストのことです。
データの精度と品質が高いほど、リードナーチャリングの成功につながります。地味な作業ですが、ここからスタートする必要があります。
また、ハウスリストを定期的に更新し、新しい情報を追加し、古い情報を削除します。連絡先情報の変更や最新の関心事項を反映させることが重要です。
ハウスリストの整理を行うことで、ターゲットリストの品質を向上させ、リードナーチャリングキャンペーンの成果を最大化できます。整理は定期的に行うべきで、リードのデータベースが最新で正確な情報を保持することが大切です。
ハウスリストのセグメンテーションを行います。顧客ニーズや見込み度にあわせグループ化することで、それぞれに適したナーチャリングを実施可能です。
BtoBにおける顧客のセグメンテーションの手法は複数ありますが、一般には企業の規模や業界、統計的属性で分類する「ファーモグラフィックス(Firmographics)」という切り口が活用されます。項目は以下のとおりです。
詳しくは、こちらの記事を読んでいただくとより理解が深まります。
コンテンツは、購買心理の変容を促すために前述の、TOFU(興味関心)、MOFU(検討段階)、BOFU(購入段階)それぞれのステージに適したコンテンツを用意しておくとよいでしょう。あらゆる検討段階のリードのニーズに応えられます。
計画的にコンテンツを作成し発信していきます。それと同時に、整理されたリストに対してリードナーチャリングを実施していきます。ハウスリストをグループ化し、それぞれにあったアプローチを決定します。
例:
インサイドセールス部門がリードナーチャリングを担当する場合は、リードに適した情報や資料を提供しながら、定期的にメールや架電コミュニケーションをとり関係性を構築していきます。
手動では無理なので、CRM(顧客管理情報システム)やマーケティングオートメーション(MA)などを活用します。また、活動の効果を定期的に分析し、改善策を検討していきます。
リードナーチャリングは信頼関係醸成、リードの案件化が目標であり、数字で成果を測りづらい領域ですが、リードの行動によってナーチャリングが順調かどうかを捉えることができます。リードナーチャリングの一般的なKPIを2つ紹介します。
配信するメールの中にはりつけた、自社製品やサービスの紹介サイト、価格を記載してあるURLをリードがクリックした率によって、リードがどの程度、商品・サービスに関心を持っているかがわかります。
CTRが高いということはリードが提供する情報へ関心の高いということであり、リードナーチャリングが適切にできていることが想定できます。CTR率が低い場合、コンテンツに魅力を感じていない、まだニーズが喚起されていないことなどが想定できます。
クリック数を上げるためには、メールを見たときに直感的にわかりやすい位置にCTAボタンを設置する工夫をします。
コンバージョン(必要なアクション)の例としては、ウェビナーなどへの申込み、アンケートへの回答、動画の視聴などが設定できます。このような能動的なアクションは、リードが関心をもって次のステップに進んでいることを示すため、リードナーチャリングの成果を図るKPIになりえます。
インターネットの普及により、企業はCMや高い広告費を出さなくても企業自らがメディアを運営することができるようになりました。さまざまなメディアやデバイスが登場したため、コストさえかければ膨大な見込み客の情報を集められるでしょう。
しかし、オンラインになったからといって人間の購買心理プロセスが割り切りよくなるわけではありません。
企業を、製品・サービスや担当者を信用して問い合わせるまでには信頼関係を育てていくプロセスが必ず必要です。自社のビジネスモデルに合うリードナーチャリング施策を選択し、長期戦で取り組んでいきましょう。