昨今はビジネスのデジタル化が進み、各社オンラインマーケティングの施策に注力しています。オウンドメディア、ウェビナー、SNSなど多様なチャネルを活用し見込み客を獲得するために、コンテンツ作成にも力を入れているようです。
ところが、相当な努力をしながらも、見込み客が企業に問い合わせる窓口である「問い合わせフォーム」の構造を、なぜか軽視している企業が多々あります。実は、問い合わせフォームの入力中の離脱率は非常に高く、米国の調査では約8割がここで問い合わせをあきらめているのです。
また、問い合わせフォームの入力内容はマーケティング活動、営業活動に役立つ情報が得られるべきです。しかし、そこまで想定していないフォーマットしか用意しておらず、入力してもらったデータを活用できない企業が少なくありません。
本記事では、成果につながる問い合わせフォームの作り方について解説します。
問い合わせフォームとは、製品・サービスに興味を持った見込み客が、企業により深い情報を問い合わせたり、見積もりを依頼したり、営業担当者とのコンタクトを依頼するためのフォームです。オンライン経由のリードジェネレーションを実行するために、非常に重要な存在です。
問い合わせフォームは、マーケティング活動の出口であり営業活動の入口でもあります。さまざまなコンテンツをきっかけに、製品・サービスに対する興味を持って「問い合わせをしてみたい」と思った見込み客に対して、最後に「こちらにどうぞ」と誘導する役割を果たします。
見込み客は、問い合わせフォームがないとメールアドレスや電話番号を探す余分な時間を使います。一般的に企業に問い合わせするのは心理的ハードルがあるので、この段階で少しでも煩わしさがあると、問い合わせ自体をあきらめる人が少なくありません。
また、企業にとってマーケティング活動、営業活動に生かせるデータを獲得できる意義があります。最近は広告経由で見込み客を獲得する際に、各プラットフォーム上のフォームにて見込み客情報を獲得できるようになりました。しかし依然、広告経由で見込み客情報を獲得する際に、自社が準備したフォームを利用することが大半です。
問い合わせとは、さまざまなマーケティング活動の終着点となる箇所です。問い合わせフォームで獲得した情報をスムーズにCRM・SFAなどに連携できるよう、利用しているツール(HubSpot、Salesforceなど)と連携が可能な問い合わせフォームを活用するのがおすすめです。
問い合わせフォームで入力された内容に対し、企業は速やかに返答する方が望ましいです。製品についての問い合わせであれば、見込み客の関心度合を見極めて適切な回答を提供し、見込み客の関心度に応じたアプローチをしなければなりません。
そのため、問い合わせフォームは、見込み客の属性(所属企業の規模、担当部署、連絡先他)や検討度合(情報収集段階、今すぐ検討、来年以降検討など)を把握できる様式にする必要があります。しかし、この設計が曖昧な状態でフォーム運用をしている企業が多く見られるのが現状です。
(出典:Master B2B Demographic Segmentation: Boost Your Marketing Results With Expert Tips )
例えば自由入力欄に期待していると、多くの場合は散漫な内容、少なすぎる情報に頭を悩ませることになります。その後のマーケティングオートメーション(MA)にてスコアリングを行うにせよ、シナリオメールを配信するにせよ、自由記入形式ですと分類分けをすることやスコアを付与することが困難です。
何を問い合わせたいかを明確に伝えてもらうように、ドロップダウン等で問い合わせの種類を選べるようにしておくことが望ましく、それらの項目も営業部門と話をした上できちんと設計することが重要です。
不必要なデータを集めてもあとあと活用できません。入力完了率の高さではなく、必要な項目を用意しておくことが大事です。
それでは、マーケティング部門や営業部門にとって価値あるデータを取得するためには、どのようなフォームを用意すればよいでしょうか。問い合わせフォームを作る上での考え方を、6ステップで解説します。
まず、問い合わせフォームの形式を決める前に営業部門からヒアリングをしましょう。問い合わせフォームは営業活動の入口です。営業部門にとっては、あくまでインバウンドのリード獲得のために存在しています(広告経由もあり得ます)。
多忙な営業マンたちが速やかに問い合わせに対するアクションを決められるように、見込み客の関心度合を見極められる項目、連絡がとれる電話番号ほか、営業部門にどのような情報が必要か優先順位をまず理解します。
もちろん、フォームの項目数が多いと入力する見込み客に負荷がかかるので、極力絞り込む必要もあります。両部門で話し合い項目の優先順位を明確に打合せたあとに、SLAを取り交わすことがベターです。
問い合わせフォームは、データマネジメントの一プロセスでもあります。問い合わせてすぐ商談にならなかった見込み客、資料提供だけに終わった見込み客であっても、潜在的なニーズを持っている可能性は高いので、しっかりフォローしていくことが大切です。
問い合わせ段階での「リード」と「MQL」とのデータの定義を決めておきます。この違いというのが大変重要で、見込み客によってはまだ準備ができていない人たちもおり、マーケティング側で役に立つ情報を提供し、購買に関心を強めてもらう必要があります。
そのような状態の見込み客を、一般的にマーケティング部門ではリードと呼び、購買関心度合いが高く営業に引き渡しても良い人たちをMQL(Marketing Qualified Lead)と呼びます。MQLは「問い合わせ」や「それに準ずる購買行動をとっている見込み客」、もしくは「とってもおかしくない見込み客」と定義されることが多くあります。
つまりマーケティング部門内でも、データをリードやMQLによって差をつけて定義づける必要があるということです。価値のある情報を提供し、そのデータの差を埋めるためにマーケティングオートメーション(MA)などを活用することになります。
また、マーケティング部門で取得している情報が営業部門で必要とされない場合もあり、逆も然りです。それゆえ、マーケティング側のシステム(MAなど)と営業部門のシステム(CRMなど)で同期すべきデータと同期しないデータも決めることが、各部門の活動を簡素化し効率化することにもつながります。
問い合わせフォームのデータは、必ず各システムへ実装します。そのため、問い合わせフォームはその後のデータをどのように活用するかを前提に、ドロップダウン、選択式、複数選択、単行テキスト、複行テキストにするかフォーマットを決める必要があります。
例えば、日本企業の複雑な役職名、部署名をなるべく正確に分類してもらうには、ドロップダウンロード選択式にすることがおすすめです。マーケティング部門であればその情報で問題はないかと思います。
また、営業部門は見込み客と1対1でのやりとりが必要になるので、正確な役職や部署名が必要です。そのような場合は、営業担当者たちにメールや電話で直接ヒアリングしてもらうのが望ましいでしょう。
メールフォームの作成方法にはHTMLとPHP、 JavaScritp などのコードを使って問い合わせフォームを作成する方法と、既存のフォーム作成ツールを使う方法があります。
コードを使うと、自社独自の入力形式のフォームを作成可能です。自作できない場合は、入力支援機能があるフォーム(英数字の半角全角が自動反映されたり、郵便番号を入力すると町名まで即自動入力されたりする)と、使う側にとってストレスがかからず離脱する人を減らせるでしょう。
問い合わせフォームは設置場所も重要です。問い合わせフォームを設置する目的は、見込み客と接点を持つためですので、見込み客が訪問している場所に設置する必要があります。
つまり、トラフィックが存在していない離れ小島にフォーム設置をしても、あまり意味がありません。Google Analyticsなどでトラフィックを獲得できている 、かつ、トラフィックのコンテキスト(製品サービスを検討していると思われる)が合っていると思われる箇所を選ぶのがポイントです。そこに、フォーム設置をしたランディングページ(問い合わせページ)へ誘導するためのCTA(Call To Action)を設置しましょう。
また、どのページを開いても視認性の高い右上に、必ず問い合わせフォームへのリンクを貼るのは、BtoBサイトでは定石と言えるかもしれません。
問い合わせフォームのあるページにフォームだけでなく、そのページに対して見込み客やウェブ訪問者を誘導することを忘れないようにしましょう。
多くの企業で、問い合わせフォームを設置したランディングページ(問い合わせページ)に対して何も施策を打たないことがあります。これは非常にもったいなく、MQLに近しい人をハウスリストから抽出し、役立つ情報の配信と同時にランディングページへの誘導リンクを挿入しておく、などの打ち手もあります。
また「企業名×問い合わせ」のような広告出稿を行っておくことも、ランディングページ(問い合わせページ)を設置してインデックスされるまでの間は有効です。
このように、さまざまなマーケティングチャネルを活用し、問い合わせページに対してトラフィックを誘導する努力を欠かさないようにしましょう。
問い合わせ率を上げるためには、まず現在の問い合わせフォームの最適化を行います。
例えば、以下の点をチェックしてみましょう。
項目数とコンバージョン率については、米国のデータがあります。もちろん、一概に「項目数が少なければよい」というわけではありません。自社が何を優先するかに基づき、フォームの項目数を決めましょう。
(参照:Komarketing)
お問い合せフォームを作る方法を具体的に解説します。以下、大きく3つの手法が考えられます。
それぞれの手法を見ていきましょう。
フォーム作成サービスとは、お問い合わせフォームを簡単に作成・管理できるオンラインツールです。
コーディングのスキルがなくても、ドラッグ&ドロップやテンプレートを使用して、見やすく分かりやすいお問い合わせフォームを手軽かつ迅速に作成できます。収集したデータを効率的に管理でき、ビジネスやイベント運営など、多様な用途に対応可能です。
(出典:Google Forms: オンライン フォーム作成ツール | Google Workspace )
また、豊富な機能を備えている側面も大きなメリットだと言えます。
<機能の一例>
このように、多岐にわたる機能が搭載されており、無料で利用できる製品も多数あります。フォーム作成・管理作業を大幅に効率化できる点が大きなメリットです。
エンジニアのリソースを確保できる場合には、コーディングによってお問い合わせフォームを作成する手法も考えられます。コーディングとは、プログラミング言語を記述してビジネスの課題解決をすることです。お問い合せフォームを構築するためには、HTMLやPHPのスキルが必要です。
(出典:How to create an HTML contact form )
HTMLとPHPでお問い合わせフォームを作る際は、ユーザビリティを重視したデザインに仕上げることが重要です。
フォームに盛り込む回答項目は必要最小限にして、レイアウトは縦一列に。スマートフォンから見ているユーザーにも読みやすくします。各項目では、ユーザーが何を入力すべきかを明確にしましょう。
最後には明確なCTAボタン(「送信する」など)を設置します。ユーザー側で入力ミスがあった場合は、エラーメッセージを入力欄の近くに表示して、ユーザーがすぐに修正できるようにすることも大切です。これらのポイントに注意することで、使いやすいフォームを作成できます。
WebサイトをWordPressで構築している場合には、WordPressのプラグイン(拡張機能)を活用する方法もあります。それほど労力をかけず手軽に導入できて無料、あるいは有料プラグインを選択したとしても、比較的安価に利用可能です。
コーディングに関する専門知識がなくても、簡単にカスタマイズ可能なフォームを作成できます。ドラッグ&ドロップで、フォームのデザインを目的に合わせて調整でき、入力されたデータの管理機能にすぐれた製品もあります。
<一例>
など
なお、お問い合わせフォーム作成関連のプラグインだけでも数多くの選択肢があるので、BtoBビジネスのリード獲得に適したプラグインを選ぶことが重要です。
BtoBのお問い合せフォームをクイックに作成できる無料サービス(フォーム作成サービスと、WordPressプラグイン)を4つ紹介します。「大きな労力をかけず、今すぐ無料で作成したい」という方はぜひ参考にしてください。
(出典:Google Forms: オンライン フォーム作成ツール | Google Workspace )
Googleフォームは、Googleアカウントを活用することで誰でも手軽にお問い合わせフォームを作成できる無料のツールです。
テキスト入力やドラッグ&ドロップの操作で簡単に質問を追加・編集でき、デザインも目的に合わせてカスタマイズ可能です。集まった回答はリアルタイムでグラフに表示され、分析も容易です。また、スマホやタブレットでフォームの作成・編集もでき、回答画面をスマホ・タブレットに対応させることも。安全性にも優れ、不正アクセス対策やデータ暗号化の機能もあります。
「ひとまず手軽にお問合せフォームを作成したい」「無料で利用できるツールを選びたい」といった方におすすめです。
(出典:Contact Form 7 – WordPress プラグイン )
Contact Form 7は、WordPressで使えるお問い合わせフォームの無料プラグインです。
このプラグインの良いところは、シンプルさと柔軟性です。複数のフォームを管理でき、フォームやメールの内容(質問項目やデザインなど)を簡単にカスタマイズできます。
また、スパムメールから守る「画像認証機能」ほか、複数のスパムフィルタリング機能を搭載。問い合わせを送信してきたユーザーの追跡を行わず(Cookieを使用しない)、個人データを外部サーバーに送信しないなど、プライバシーと安全性にも配慮されています。
WordPressを使っているなら、カスタマイズ性が高く、安全でコストパフォーマンスに優れた選択肢だと言えるでしょう。
(出典:無料でフォーム作成 | アンケートやメールのForm作成ならHubSpot(ハブスポット) )
HubSpotのフォーム作成ツールは、BtoBビジネスにおけるリード獲得を想定して開発されたツールです。
簡単な手順で、必要な情報を集めるためのフォームを作成できます。基本的な情報収集項目が用意されており、さらに詳細な情報を求める場合でも、目的に合わせて自分で追加可能。見込み客からのお問い合わせを効率的に処理し、迅速に対応するための機能も充実しています。
例えば、フォームを送信した見込み客に自動返信メールを送れる設定や、送信後に特定のページに誘導する機能などがあります。これにより、見込み客とのコミュニケーションがスムーズになり、良い印象を与えることができるでしょう。
フォームで取得した情報はHubSpotのCRMに自動的に同期されるため、顧客データの管理・分析も容易になります。
BtoBビジネスにおけるお問い合わせ管理において、効率的で使いやすく、顧客体験を向上させる強力なツールだと言えるでしょう。
(出典:formrun(フォームラン) )
formrun(フォームラン)は、BtoBのお問い合わせフォーム作成に適したツールです。
無料で(フォーム作成数1個までは無料。複数の場合は有料プラン)誰でも簡単にフォームを作成できます。40種類以上のテンプレートから選んで、クリック操作だけでフォームが完成。HTMLやPHPなどプログラミングの知識は不要で、直感的に操作できるため、時間と労力を大幅に節約できます。
また、問い合わせが発生した後のプロセスも効率化できます。問い合わせを「未対応」「対応中」「対応完了」などのステータスで整理し、担当者の割り当ても一目で確認できる管理画面を利用可能です。
さらにデータ連携機能も充実しています。フォームに送信されたデータは、GoogleスプレッドシートやSalesforceに出力でき、データ分析や顧客管理、メールマーケティングに役立ちます。
お問い合せフォームを作成する前に、理解を深めておくべきポイントがいくつかあります。主に、UI・UXに関する考え方です。入力するユーザーの視点に立ってフォームを作り込むことが、ビジネスにとって価値のあるデータを獲得するために重要です。
ユーザーがフォームを提出する意義を、明確に伝えることが重要です。フォームのタイトルは具体的に、かつわかりやすいものにしましょう。
例えば、「問い合わせをする」など、ユーザーがフォーム提出を通じて達成できる、具体的なゴールを示すことが大事です。ユーザーが、フォーム提出で得られる利益や価値を明確に理解できれば、記入を後押しできるでしょう。
項目数は、必要な数だけにしましょう。フォームが長すぎたり複雑だったりすると、ユーザーが提出を躊躇し、途中で離脱してしまう可能性が高まります。
アメリカのニュースサイト「ZD NET」の記事によると、オンライン旅行会社「エクスペディア」は、申し込みフォームのフィールドを1つ削除したそうです。すると、その施策だけで、年間で16億円分も利益が増大するインパクトを得られたとのこと。
エクスペディアのエピソードは、フォーム改善によるインパクトが大きかった一例ですが、必要最低限の情報のみを含めることで、ユーザーはフォームの目的を明確に理解し、提出に対する抵抗感が低減します。
簡潔なフォームは、ユーザーが迅速かつ容易に情報を提供できるため、提出率を向上させる効果が期待できる、という話です。
不必要な情報を求めることは、ユーザーのプライバシーに対する懸念を引き起こす可能性もあるため、効率的かつユーザーフレンドリーな設計を心がけることが求められます。
簡単な入力項目から難しいものへと並べることが効果的です。これにより、ユーザーがフォーム入力に取り組む際の心理的負担を軽減できます。
例えば住所など、入力が煩雑な質問が最初に来ると、ユーザーは圧倒され、フォームの提出を躊躇する場合も。一方、入力ハードルの低い質問から始めることで、ユーザーはフォームを受け入れやすくなり、最後まで記入する動機付けがされるため、フォームの完成率が高まると考えられます。
ユーザーの利便性と心理を考慮した質問の並び順は、BtoBお問合せフォームの効果的な設計において重要な要素です。
フォーム入力過程でのリアルタイムのエラー表示は、ユーザー体験を大きく向上させます。エラー表示とは、ユーザーがフォームに誤った情報を入力した際に即座にフィードバックを提供し、修正を促す機能のことです。
例えば、無効なメールアドレスや郵便番号などが入力された場合、ユーザーはすぐにエラーメッセージを受け取り、その場で修正できます。
(出典:Form Design Best Practices: 15 Tips to Boost Conversions and UX )
これにより、フォームの完了率が高まり、ユーザーのフラストレーションを軽減します。フォームの最後で初めてエラーを知らされると、ユーザーは困惑し、提出を諦める可能性がありますが、リアルタイムのエラー表示はそのような問題を防げるでしょう。
このアプローチが、効果的なコミュニケーションと顧客満足度の向上に寄与すると期待できます。
入力項目を左揃えにすると、項目が整然と並んで読みやすさが向上、ユーザーが必要な情報を素早く見つけやすくなります。また、フォームの見た目をすっきりさせ、洗練された印象を与えるので、ビジネス向けフォームの信頼性を高める効果もあると言えます。
(出典:Form Design Best Practices: 15 Tips to Boost Conversions and UX )
スマートフォンからビジネスの情報収集をする人も増える中、フォームデザインのスマホ対応も必須です。
スマートフォンでのフォーム利用を快適にするためには、シングルカラムレイアウトが効果的です。小さな画面での操作を容易にし、ユーザーが上から下にスクロールするだけで全ての項目を確認できるためです。
ユーザーがストレスなくフォームを利用できれば、より高いコンバージョンを期待できるでしょう。
(出典:Form Design Best Practices: 15 Tips to Boost Conversions and UX )
reCAPTCHAの導入も必要です。reCAPTCHAは、人間とbotの行動を区別するシステムで、不正アクセスを防止します。セキュリティを強化し、スパムやbotから保護するために重要です。
(出典:reCAPTCHA | Google for Developers )
この機能はユーザー体験を損なうことなく、簡単に実装できるため、多くのWebサイトで採用されています。reCAPTCHAをフォームに組み込むことで、最新のセキュリティトレンドに対応できるようになるため、データの安全性を高め、ユーザーからの信頼を得ることができるでしょう。
お問い合わせフォーム内でプライバシーポリシーに関するリンクなどを設置し、個人情報の取扱い方針をユーザーに明示することが、信頼獲得のために重要です。
プライバシーポリシーには、提供された情報の使用方法、共有方法、保管方法を明確に記載する必要があります。これにより、ユーザーは自分の情報が適切に管理されると理解し、安心してサービスを利用できるでしょう。
明示がない場合、ユーザーは情報の扱いに不安を感じ、サービス利用をためらう可能性も。プライバシーポリシーの開示はユーザーの不安を和らげ、信頼関係を築くために不可欠です。
コンテンツ施策がよほど明確になっていない限り、Webサイトを訪問してくれる人たちの状態やタイプを制限することは非常に難しく、多くのWebサイトにはいろいろな方が訪れます。
メディアの取材依頼もあればアライアンスの相談、競合企業の従業員、最近は問い合わせフォーム経由への営業も増加していると感じている人もいるのではないでしょうか。中にはすでに検討が進んで、いきなり無料デモを依頼したい見込み客も存在します。
このようにさまざまなウェブ訪問者の方たちと最適な接点を持つために、問い合わせフォームを分類して設けておくことが、見込み客にとっても親切であり、企業側としても対応が効率的になります。
ここでは「問い合わせ」以外でも企業が保有しておくべき鉄板フォームの種類を解説します。
資料請求は、見込み客の濃度がばらばらです。すぐ検討したい人もいれば、翌年の導入を視野に検討している人もいるでしょう。検討の最初の段階なのでわざわざ問い合わせをしなくても、資料提供できるようにフォームを分けたほうが、見込み客にとっても気軽に請求できますし、企業側にとっても関心度が測れて便利です。
一般的に資料には、企業の製品サービス情報、企業情報、顧客の事例などを盛り込んでいることが多いようです。、資料請求フォームを入力した見込み客に対して、登録メールアドレスへメールを自動配信し、フォーム入力者の手元に資料を届けるようにします。
トライアルフォームは、一般的には競合との検討が進んだ見込み客が興味を持つフォームで、SaaS企業によく見られるフォームです。SaaSは使ってみないと操作性がわかりにくい製品・サービスであるため、自社に合うかどうか試してみたい見込み客用に、無料トライアルフォームを用意しておくと親切です。
この段階の見込み客はベンダーから積極的な営業をされたくありません。気軽にトライアルができればリードは増えるでしょう。ベンダーの自信と余裕も感じさせます。
入力項目に予算や企業規模、検討段階などを聞いても問題ない段階なので、別個フォームを用意して適切な項目を設定しましょう。
HubSpotの例:
Salesforceの例:
しかしながら、筆者の体験上トライアルが企業の(最終的に有償顧客に転換する)プロセスに影響を与えることは、あまりありませんでした。
一方で、有償ツールをすでに利用しており、アップグレードや別の製品群の検討をしている人たちには極めて有効でした。このようにコンテキストの違いによっては、トライアルフォームの効果が異なることも理解しておくことが大切です。
アライアンスを希望する企業からの問い合わせもあります。こちらも営業活動には関係ないため、別個フォームを用意します。もちろん、アライアンスから大きくビジネスが発展する場合もあるので、企業名、規模、担当者名、協業の目的などをしっかり書いてもらえるようにしましょう。
協業問い合わせフォームを別途設置する理由は明確で、製品サービスを新しくリリースしたり、定期的に情報を発信したりする企業だと、協業の連絡がしばしば発生します。
通常問い合わせフォームしか存在していない場合、営業対象の情報として営業部門が誤認してしまうリスクがあるので、新しいビジネス機会拡大のためにも、このような協業問い合わせフォームを別途設置しましょう。
また、ビジネスアライアンスチームの担当者やチームのメールアドレスなどに通知を飛ばすようにするなどし、通常の営業プロセスに載せないようにすることが大切です。
問い合わせフォームをひとつにしておくと、さまざまな業界の営業担当者からの営業メッセージがきてしまうので、こちらも別個用意しましょう。自動返信メールにてメールへのお礼と、可能な場合は返信する旨を書いておくと対応に追われずに済みます。
問い合わせフォームの最適化(Entry Form Optimization)とは、入力する人が入力しやすく、途中で離脱せず問い合わせを完了でき、かつ企業も必要十分な情報を入手できるようなフォームを構築することです。コンバージョン率を上げるために行います。
ただし、ここまで書いてきたように各フォームの区別とフォームに必要なデータの定義が社内でできていないと、何の意味もありません。残念ながら多くの企業が、事前準備なしにEFOを繰り返し、せっかく入力したデータを活用できていません。
もちろん、前述の内容ができた上でのEFOは重要です。一般に、問い合わせする直前に人は迷うものなので、問い合わせしようという気持ちに水を差すようなフォームではなく、快適に入力できる問い合わせフォームを作る必要があります。
冒頭で紹介したように、THE MANIFEST社の調査によると、コンテンツからエントリーフォームまで到達したにもかかわらず、最終的にエントリーフォームの入力を完了させるユーザーは約20%しかいないと言われています。
つまり、約80%はフォーム入力中に気が変わったか、何かの事情で中断して、もう1回入力しようという意欲がわいていないことを意味します(BtoC含むデータ)。
もともと見込みが甘かったといわれればそれまでですが、以下の原因が考えられます。
基本的に入力は面倒なものなので、できるだけ考えずに入力でき、項目を選べることがベターです。
ちなみに弊社では、以下のように記載例もだして、サクサク入力できるようにしています。
自分の名前、住所がわからない人はいません。それでも一から住所入力するのは面倒なものです。できるだけ自動入力できる親切なフォームを作成しましょう。
項目数が多すぎるほど離脱率は高くなりますが、最低限必要な情報は入手しなくてはなりません。何を優先するか、もっと言えば、どのような人に問い合わせてほしいかを明確にして、自社にとって最適な項目数にすることが大切です。
基本的なポイント:
問い合わせフォームは、コンバージョン率を大きく左右します。また、そのあとの営業活動の成果に大きく影響します。問い合わせフォームはマーケティング活動の集大成の場であり、営業部門がスタートダッシュを切れるかを決めるポイントです。十分に検討を重ねた上で、必要なデータの内容、項目数などを決めていきましょう。
問い合わせフォームに入力された情報を実際に活用する営業部門の意見を、十分反映した問い合わせフォームを構築することがポイントです。