Webマーケティングを始めたいと思いつつも、何から手を付けるべきかわからず、お悩みではないでしょうか。
2021年には「インターネット広告費がテレビなどマスコミ四媒体の広告費を初めて上回った」という調査結果もあり、Webマーケティングの重要度は高まってきているといえます。
とはいえ従業員数が少ない中小企業では、マーケティング専任者がいないことも多いため、Webマーケティングをなかなか始められない場合もあるようです。そこで本記事では、以下の内容をお伝えします。
Webマーケティングを始めると、新たな買い手にアプローチできるので、売上げと利益の向上につながります。ぜひ最後までお読みください。
Webマーケティングとは、オンライン上でビジネスを展開することであり、ビジネスに最も関心のある人々にリーチするための費用対効果の高い方法です。(WebFXより引用)
Webマーケティングは、オフラインでのマーケティングと比較して、データを収集しやすいという特徴があります。データを確認しつつ、的確な改善を継続的に行うことで、費用対効果を高めていけるのがメリットです。
Webマーケティングの施策の具体例を挙げると、以下の通りです。
Webマーケティングはインターネットの普及に伴って、1990年代から発展してきました。最初はWebサイトに掲載する「バナー広告」が中心でしたが、次々に新たなサービスが登場し、手法は多様化してきました。なかでも2000年代にサービスを開始したTwitterやFacebookなどのSNSは、多くの利用者を獲得し、企業のマーケティングにも大きな影響を与えています。
SNSやブログなど、Webマーケティングの施策には、無料で始められるものがたくさんあります。マーケティング予算が多くない企業でも取り組みやすいことも、Webマーケティングが発展した要因のひとつだといえるでしょう。
(Webマーケティングの位置づけ)
Webマーケティングと似た言葉に「デジタルマーケティング」があります。
デジタルマーケティングとは、ソーシャルメディア、SEO、Eメール、モバイルアプリなどのデジタルチャネルを通じて、製品やサービスを宣伝する行為です。電子機器を使ったあらゆる形態のマーケティングが、デジタルマーケティングとみなされます。(Neil Patelより引用)
デジタルマーケティングは、Webマーケティングよりも大きな概念です。Webマーケティングでは扱わない、実店舗の購買データや電子看板なども、デジタルマーケティングは対象とします。
マーケティングの予算も人員も比較的少ない中小企業こそ、Webマーケティングを活用すべきです。その理由として以下の3点を解説します。
Webマーケティングにおいては、中小企業が大企業を圧倒できる可能性があります。中小企業は一般的に、ニッチなニーズを持つ買い手に対してマーケティングを行うため、対象者を絞りやすいWebマーケティングと相性が良いからです。
限られた買い手を対象にして、明確なメッセージを伝えるからこそ、「自社にぴったりのサービスだ」と感じてもらいやすくなります。結果として、マーケティング予算が少なくても、十分な成果に結びつけることが可能です。
一方で大企業は、大きな売上げを目指すため、不特定多数を対象にしたマーケティングを行う必要があります。すると誰に向けた製品サービスなのかがわかりにくくなってしまい、Webマーケティングの費用対効果が悪くなる傾向があるのです。
買い手の購買行動が変化したことも、Webマーケティングの必要性が高まった理由です。買い手がインターネットで情報収集するようになったことで、Webマーケティングを行わなければ、購入どころか検討すらしてもらえないことが増えています。
(仕事上の情報源)
上図は2016年に発表された、BtoBにおける「仕事上の情報源」を調査した結果です。1位は「企業のWebサイト」、3位は「業界サイトや専門サイト」であり、Webサイトが情報源として大きな役割を果たしていることが読み取れます。
従来であれば、展示会などのオフラインの場で情報収集することが重要視されていました。そのため、展示会やイベントに出展さえしていれば、自社の製品サービスを認知してもらいやすかったといえます。
しかし、現在は情報収集や比較検討を、インターネットのみで済ませる買い手が少なくありません。購入を検討してもらうためには、Web上でのアプローチが必須となっています。
予算が豊富な大企業であれば、テレビ広告などによるマスマーケティングで認知を広めることもできますが、中小企業には難しいといえます。だからこそ、Webマーケティングは中小企業に必要なのです。
Webマーケティングが中小企業に必要な理由としては、オフライン広告がオンライン広告に負ける時代になったことも挙げられます。
オフライン広告の代表例は、テレビや新聞などのマスメディア広告や、電車・タクシーなどの交通広告です。以前はこれらが広告の中心でしたが、現在ではオンライン広告のほうがむしろ主流になってきています。オンライン広告の市場規模が急拡大していることは、データにも表れています。
(インターネット広告費)
上図は電通による調査の結果です。2021年には、「インターネット広告費」が「マスコミ四媒体広告費」を初めて上回りました。企業が予算を増やしていることからも、オンライン広告の効果が認められていることがうかがえます。なおマスコミ四媒体とは、以下の4つのことです。
また、オンライン広告はマスコミ四媒体の広告とは異なり、広告の配信先をさまざまな条件で絞り込めます。ニッチなニーズを持つ買い手にアプローチする中小企業こそ、オンライン広告に注力すべきなのです。
効果的なWebマーケティングを行うためには、施策に取り掛かる前の準備が重要です。Webマーケティングの始め方を以下の5ステップで解説します。
まずは自社の「バリュープロポジション」を明確にしましょう。
バリュープロポジションとは、購入者がなぜあなたの製品やサービスを選ぶべきなのかを伝える短い文章のことです。単なる製品やサービスの説明ではなく、あなたのビジネスが提供する具体的なソリューションであり、顧客があなたに期待する価値の約束です。(HubSpotより引用)
Webマーケティングを用いれば、多くの人に自社の製品サービスのことを知ってもらえます。しかし、マーケティング担当者が自社のバリュープロポジションを理解していなければ、製品サービスの価値や独自性を買い手にうまく伝えられません。製品サービスを本当に必要としている人に届けるために、バリュープロポジションの明確化が必要です。
次に、自社の顧客像である「ペルソナ」と、購買に至るまでの物語である「カスタマージャーニー」を言語化しましょう。そうすることで、買い手が何を求めているかを想像しやすくなり、効果的なWebマーケティングにつながります。
ペルソナを設定する際には、買い手の姿や言動がイメージできるくらいまで、具体的に考えるのがポイントです。たとえば以下の項目について考えるとよいでしょう。
カスタマージャーニーを作成する際には、製品サービスの購入までの流れを、以下のような段階に分けて整理します。
カスタマージャーニーを明確にすれば、買い手の段階ごとに施策を用意できます。各段階に漏れなく施策を用意しておくことで、買い手をスムーズに購入まで導けるでしょう。
ここまで進めたら、インターネット上でどのような情報にニーズがあるかを考えてみましょう。
課題を抱えているペルソナをイメージすれば、どのような情報を求めるかを想像できるはずです。たとえば、「労務管理の手間を減らしたい」と考える担当者は、以下の問いへの回答を知りたいのではないかと考えられます。
このようなニーズがわかれば、該当する情報を提供することで、買い手に自然にアプローチできます。
買い手に情報を届け、自社の製品サービスのことを知ってもらうために、最適な施策を選択しましょう。
たとえば、ペルソナがGoogle検索で情報を探すと想定されるのであれば、SEOによってオウンドメディアやブログの記事を上位表示させることが有効です。あるいはリスティング広告を出稿するのもよいでしょう。
実行する施策が決定したら、人材配置を行って体制を整えます。施策の選択が正しかったとしても、十分な人員が確保されていなければ、成果に結びつきにくいです。とくにブログ記事や動画といったコンテンツを継続的に制作する場合、実行体制の整備が欠かせません。
(動画制作を社内で内製化する必要があるか)
上図は2022年に、経営者・役員・マーケティング担当者を対象に行われた調査の結果です。「動画を活用したマーケティングを実施したい」と回答した人のうち、「動画制作を社内で内製化する必要があるか」という問いへの回答割合は、「非常にそう思う」が13.2%、「ややそう思う」が65.8%でした。
動画を内製化したいと考える人が多いことがわかりますが、動画制作には多くの手間と時間がかかることを忘れてはいけません。社内の人材での対応が難しい場合は、外注も検討しましょう。
Webマーケティングを実施する際には、PDCAのサイクルを必ず維持しましょう。PDCAのサイクルとは、以下の一連の流れを繰り返すことを指します。
データを定期的に分析し、繰り返し改善を行うことで、より大きな成果を得られます。
これからWebマーケティングを始めるのであれば、代表的な仕事の内容を理解しておきましょう。どれに注力するのかを決め、適切に人材を配置するために必要だからです。以下の仕事について順番に紹介します。
Webデザイナーは、Webサイトやオンライン広告などのデザインを行います。見た目で好印象を与えることはもちろん、使いやすいサイトにするためにも、Webデザインは重要です。Webデザインでは、以下のような要素を決定します。
Webサイトは「HTML」や「CSS」といった、プログラミング言語を使って構築されていることが一般的です。デザインを実装する際には、こうした言語によるコーディングが必要となる場合もあります。
SEO(検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索エンジンで検索した際に、ブログ記事などが上位に表示されるようにするための施策です。具体的には、検索した人のニーズに合ったコンテンツを作成したり、外部サイトからの被リンクを増やしたりします。
(Webマーケティングメディア「ferret」)
Webマーケティングメディア「ferret」はSEOが成功している事例です。Webマーケティング関連の用語で検索すると、ferretの記事が上位に表示されることがよくあります。そうした用語で検索した人は、Webマーケティングに興味があると想定できるでしょう。このように、特定の興味関心を持っている人を効率よく集客できることが、SEOの大きな利点です。
ただし、SEOの成果によってアクセスが増えるまでには、数カ月以上の時間がかかる場合が多いため、長期的な視点を持って取り組むことが大切です。
メールマーケティングでは、見込み客に継続的にメールを送ることで、カスタマージャーニーの段階を進んでもらうことを目指します。つまり、「情報収集」の段階にいる人に「比較検討」に進んでもらったり、「比較検討」の段階にいる人に「購入」を促したりするのです。
メールの最大のメリットは、買い手一人ひとりに個別に情報を届けられることです。全員に対して一括でメールマガジンを送信するやり方では、十分に利点を生かせません。
カスタマージャーニーの段階や、関心を持っている製品サービスに応じて、買い手をグループ分けしましょう。そのうえで、それぞれのグループに対して最適な内容のメールを送ると、メールマーケティングで成果を得やすくなります。
オンライン広告は即効性が高いのが特徴です。費用はかかるものの、出稿を始めたその日から集客や販売で成果を得られる可能性があります。代表的な広告の種類は以下の通りです。
オンライン広告では、表示回数やクリック数など、さまざまなデータを確認できます。広告を出稿しただけで終わりにするのではなく、PDCAサイクルを回すことを意識しましょう。
SNS(ソーシャルメディア)は企業の発信媒体として重要な役割を果たします。アカウントをフォローしてもらうことで、自社に興味を持つ買い手に情報を継続的に届けられます。無料で利用できるうえ、ブログ記事や動画よりも手間をかけずに発信できるのが魅力です。
企業に利用されることが多いSNSを挙げると、以下の通りです。
(投資拡大の取り組み)
上図は2020年に実施された調査の結果です。オンラインマーケティングへの投資は拡大傾向にあり、取り組む企業がもっとも多い施策は「SNS活用/SNS広告」でした。SNSに注力する企業が多いことは、データからも読み取れます。
Webサイトについてのデータを収集・分析し、改善に生かすのが「Web解析」です。たとえば以下のようなデータを、Webサイトの改善に活用できます。
これらのデータを把握するためには、専用のツールが必要となる場合があります。ツールについては、次章で具体的に紹介します。
コンテンツマーケティングは、有益なコンテンツを提供することで、買い手との関係を構築する手法です。
コンテンツを通じて自社に好意や信頼感を持ってもらえれば、製品サービスの購入につながりやすくなります。またコンテンツのダウンロード時に、メールアドレスや電話番号などの連絡先を取得することで、自社からのアプローチが可能になるのです。
(「おかんの給湯室」のお役立ち資料)
事例として、株式会社OKANが運営するオウンドメディア「おかんの給湯室」では、お役立ち資料を配布しています。「従業員満足度」や「健康経営」といったテーマの資料をダウンロードした人は、OKANが提供する「法人向け置き型社食サービス」に関心を持つ可能性が高いと見込めます。
このように、コンテンツのテーマを適切に決めることで、製品サービスの購入につながりやすい買い手を選別できるのです。
Webマーケティングに必須のツールを3つ紹介します。いずれも無料で利用できるので、まだ導入していないものがあれば、試しに使ってみるとよいでしょう。
(Google Analytics)
Google Analyticsは、Webサイトの訪問状況を把握できるツールです。たとえば以下のデータを確認できます。
Webサイトがどれだけ集客に貢献しているのか、現状を把握しましょう。また、Webサイトの改善の前後でデータを比較することで、狙い通りの効果が得られたかをチェックできます。
(Google Search Console)
Google Search Consoleは、Webサイトへの流入につながった検索キーワードを確認できるツールです。SEOに注力している場合は、Google Search Consoleのデータがとくに役立つでしょう。キーワードごとに、以下のデータを把握できます。
期待通りの成果が得られていない場合は、コンテンツの作成方法を見直すなどの対策を行いましょう。
(キーワードプランナー)
Google広告で提供されているキーワードプランナーは、インターネット上での情報ニーズを理解するために役立つツールです。キーワードプランナーを使うことで、キーワードごとに以下の情報を入手できます。
Google広告を出稿する際に、費用対効果の高いキーワードを探すために利用するとよいでしょう。また、SEOで検索上位を狙うキーワードを決める参考にもできます。
Webマーケティングを始める際には、バリュープロポジションを明確にしたうえで、ペルソナやカスタマージャーニーを言語化することが大切です。手当たりしだいに施策を実行しても、成果には結びつきにくいため注意しましょう。
PDCAのサイクルを維持するためには、適切な人員配置を行うことが欠かせません。どのような仕事が必要になるのか、Webマーケティングの全体像を理解したうえで、個々の施策に取り組みましょう。