3分でわかる「SaaS」とは?その意味と発展の背景を解説

2022/01/06
SaaS IaaS PaaS 3分でわかる「SaaS」とは?その意味と発展の背景を解説

最近は新聞やビジネス誌だけでなく、一般メディアや就職メディアでもよくSaaS業界がとりあげられるようになりました。

Gmail、Zoom、NetflixなどもSaaSですし、すでに多くの人が気軽に使っています。SaaSなしでは、仕事もプライベートも不便になってしまう人はかなり多いでしょう。

ガートナーの2021年の調査によると、日本企業の4割がSaaSを使っている状態で、年々普及率が上がっています。企業内で使われるシステムも、いつのまにかSaaSになっているケースは多いかと思います。

ところで「SaaS」はどう読むかご存知でしょうか? SaaSの読み方は「サース」です。業界の人は別ですが、意外に「サス」と読む人もたくさんいます。

考えてみればまだ6割の企業で使われていないので、「SaaS、それ何? 」という人も多いかもしれません。そこで本記事では、今一度「SaaS」とは何か? その意味や特徴をわかりやすく解説します。

SaaSとは?

SaaSとは「Software as a Service」の略です。直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」という意味で、読み方は「サース」「サーズ」などがあります。

より簡単に言うと、インターネット上で月単位、年単位(サブスクリプションベース)で活用できるソフトウェアサービスのことです。

「アプリ」と呼ばれることもありますが、こちらも正しい表現です。なぜならアプリとは「ソフトウェアアプリケーション」の略だからです。

>SaaSをASPサービスと似ていると思った方もいるかもしれません。

>SaaSは基本的にASPの進化系です。ビジネスモデル自体は昔からありますが、テクノロジーの進歩に伴い、ASPサービスが進化したモデルが2000年代にSaaSと定義され、各ベンダーが「SaaS」という呼称を使い始めたという理解でよいかと思います。

SaaSには、BtoC(一般消費者向け)やBtoB(企業向け)に多種多様なサービスがあります。

BtoCのSaaS例:Zoom、Netflix、Amazon Prime、G-suite、他

BtoBのSaaS例:以下のような領域のSaaS

  • 顧客関係管理(CRM)
  • 人的資源管理(HRM)
  • マーケティングオートメーション(MA)
  • カスタマーサポート(ヘルプデスク)
  • オフィスソフトウェア
  • コミュニケーションソフトウェア
  • 会計ソフトウェア
  • タスク管理ソフトウェア
  • CADソフトウェア
  • コンテンツ管理(CMS)、他

SaaSのイメージ

SaaS業界の歴史

今の若い方のように、最初からSaaSを活用している人はピンとこないかもしれません。しかし昔はソフトウェアというものは、自社開発をするか高額なライセンス代を支払って購入することが一般的でした。

例えば、企業が自社でシステム開発する場合(オンプレミスと呼ばれます)、高額な費用(数百~何千万円)がかかります。また、カスタムを行い実装されるまで長期間かかるのがデメリットです。

高い金額をかけたら最高なシステムができるかといえばそうでもなく「こんなはずじゃなかった……」という結果になることも少なくなく、「訴えてやる! 」となることも少なくありませんでした。

完成後も、運用する社内のIT人材が必要であり、構築~運用までにかなりのコストがかかります。大きな予算を投じて作ったので、たとえ出来栄えが不満でも長期間使い続ける必要がありました。

しかし、テクノロジーが進化してSaaSが登場したおかげで、いつでも、どこでも、安価でソフトウェアを活用できるようになりました。SaaSはサブスクリプションなので、自社に合わなかったら途中で違うサービスに切り替えることもできます。

もちろん、ソフトウェア活用がここまで便利になるまでには、長い歴史がかかっています。以下にソフトウェア技術の進化の歴史を簡単に記載します。

【1960年代】
IBMをはじめとするメインフレーム・コンピュータ中心の時代です。タイムシェアリングユーティリティ・コンピューティングと呼ばれるサービスで、複数ユーザーが同時にソフトウェアを活用できるようにしていました。

【1990年代】
インターネットが普及し始め、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)と呼ばれる、コンピューティングが登場しました。コンセプトは現在のSaaSに近いものです。しかしネット環境は今ほど高速でないことなどもあり、爆発的な普及とまではいきませんでした。

【2000代】
ASPが進化し「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」と定義されます。SaaSは基本的にASPモデルの考え方を拡張したサービスです。

ただ、ユーザがカスタマイズできるようになり、複数ユーザが一つのアプリケーションを共有するマルチテナント、Webサービスによる多様な連携などが可能になりました。インターネットが高速化したこともあり、SaaSは一気に普及し始めます。

【2010年代】
米国を中心にセールスフォース・ドットコム、Zurora、HubSpotなどのユニコーン企業が続々と登場。SaaSベンダーが増加します。

2010年代前半には、それまでオンプレミスを軸にしていたアドビ、マイクロソフト、SAP、オラクルなどの大手ソフトウェアベンダーが本格的にSaaS市場にシフト。業界が膨張しつつも競争も激化していきます。

以下はエンタープライズ向けSaaSの、2019年のQ1のシェアです。1位マイクロソフト、2位セールスフォース・ドットコム、3位がSAPオラクルとなっています。

 

エンタープライズ向けSaaSの世界シェア

(出典:techcrunch.com

 

>日本でも「2018年はSaaS元年」と言われるように、SaaSが普及し国産スタートアップも増加し始めました。

【2020年代】

多くの企業が急速にSaaSシフトした結果、大手企業を中心にオンプレミスに回帰の動きも出てきています。これは100%回帰というよりも、SaaSを活用した結果オンプレミスの利点も理解し、SaaSとオンプレミスを使い分けるハイブリッド型を志向する企業が増えていると見てとれます。

ソフトウェア技術は以下のように、集中型、分散型と波のように振れながら進化してきました。2021年現在については、一部オンプレミス回帰の動きもありますが、SaaSの普及スピード、予測される市場規模などのデータをふまえれば、分散型システムが急速に普及している状況といえるでしょう。

 

集中と分散の波

(出典:経済産業省

SaaSのメリットとは

SaaSが一気に普及したのは、当然多くの顧客に支持されたからであり、SaaS業界でユニコーン企業が増えるのは、SaaSベンダーが着実に成長しているからです。ここでは、SaaSのメリットを紹介します。

ユーザー側のメリット

ユーザーにとってSaaSの最大のメリットは、低価格なことでしょう。

例えばちょっと前までは、Word、ExcelなどのOfficeを活用するには、数万円の初期費用が必要でした。しかし今は月800円からです。BtoBでもシステム構築は何百万円、何千万円とかかります。こちらも同様に今や1アカウントあたり月1,000円くらいでソフトウェアを活用できます。

しかも、サブスクリプション(月額料金または年額料金)なので、活用した期間分の支払いだけでよく、もし使い始めて期待ほどでないと思ったら解約ができます。

ライセンス商品や自社開発システムは売り切り型なので、例え購入後(開発後)自社に合わないとわかった場合でも返品することはできません。

  • 低コストである
  • 使用した期間だけのサービス料
  • システム構築不要、手軽にスタート
  • 常に最新のソフトウェア機能を使用できる

企業側(ベンダー)のメリット

ベンダーにとってSaaSは、各顧客にカスタマイズしたシステムを作る必要がなく、アプリケーションを1バージョンにできるシステムです。

オンラインで瞬時に配信できるサービスなので、販売代理パートナーや中間業者もそれほど必要ありません。オンプレミスと比較して、投資コストが相当に少ないビジネスモデルです。

結果、優れたサービスを低価格で提供でき、顧客に支持されやすい=売りやすい点がメリットです。また、継続して活用してもらえれば永続的に売上げを上げられます。

基本的に1バージョンなので、開発テスト、ソフトウェアのアップデートも迅速に行え、メンテナンスコストも抑えられます。

  • 新規ユーザーの獲得が容易
  • 長期間利用により安定収益につなある
  • ユーザーごとの運用コストが低減できる

SaaSに似ているPaaS、IaaS etc

SaaSと似ている言葉に、PaaS、IaaSがあります。なお、他にもAaaX、BaaXなど2017年時点でNISTの公表資料において83種のXaaSが確認されていますが、造語も多く英語圏で認識されているのはPaaS、 IaaS、ギリギリ認識されるのはMaaSくらいでしょう。

SaaS、PaaS、IaaSはいずれもクラウドサービスですが、下記のように機能と使う人の層が違います。SaaSは一般のユーザーが使い、PaaSはソフトウェアの開発エンジニアが主に使い、IaaSはICTサービスを運営者が使います。

 

Iaas、PaaS、SaaSの違い

(出典:総務省

提供する機能でわけるとこのような構図です。

IaaS、PaaS、SaaSの解説図

PaaSとは何か?

PaaS(Platform as a Service)は、ユーザーがインターネット上で「システムを開発・運用ができるプラットフォームを提供」するサービスです。

PaaSを利用して、SaaSを提供するプラットフォームを構築できます。そのためのインフラ、DBMS、開発ツールや運用環境が、インターネット上でサービスとして提供され、料金形態はサブスクリプションです。

IaaSとは何か?

Iaas(Infrastructure as a Service )は、「IaaSサービスとしてのITインフラ」という意味です。

つまりインターネット上で提供されるシステムを、構築および稼動させるための基盤システムであるコンピューター、ストレージ、ネットワークなどを提供します。

IaaSはPaaSの発展系といわれます。IaasもPaaSもクラウドサービスを機能で分類した呼称であり、3大クラウドトッププラットフォームであるAmazonのAWS(エーダブリューエス)、 MicrosoftのAzure(アジュール)、GoogleのGCP(ジーシーピー)などは、IaaSもPaaSも同プラットフォームで提供しています。

各種統計でもは「IaaS・PaaS型」と分類され、この2つを分けないで数値を出していることがよくあります。

SaaSの特徴とは

SaaSに話を戻しますと、一般のユーザーが活用するSaaSはどんどん種類が増えており、マーケットも年々大きく拡大しています。SaaSには以下の特徴があります。

特徴1:使う側にとって安い、簡単、手軽

SaaSは基本的に低価格です。初期費用がかかかってもわずかであり、活用した期間だけサービス料を支払い続ければ使えます。必要なときに必要なソフトウェアを、必要な期間だけ使えます。

BtoBの場合、サーバーの管理、定期的なデータのバックアップなどはベンダーにまかせればOKです。オンプレミスのように、社内にIT人材を置く必要もなく、運用が楽でありメンテナンスコストもあまりかかりません。

安く、使いはじめるための準備も簡単で、手軽さが魅力です。

特徴2:いつでもどこからでもアクセスし活用できる

SaaSのデータはPC端末ではなく、クラウド上(ベンダーのデータセンター)にあります。

そのため、いつでもどこにいてもパソコン、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなどからアクセスが可能です。複数人で共同作業もできます。

一方でオンプレミスの場合、システムをインストールしているPCからしか活用できません。そのため仕事をするために出社が必要です。

近年、国内外でテレワークが普及したたのも、インターネットが高速化しただけでなく、SaaSの種類が増えたことが大きいでしょう。SaaSの活用により、自由な働き方や、子育てや介護との仕事の両立も実現しやすくなりました。

特徴3:ベンダーにとって開発投資が低い

SaaSの場合はオンプレミスとは異なり、一社ずつカスタマイズしたシステムを構築する必要がありません。一つのバージョンのソフトウエアを多くの顧客に提供するので、開発にかかる人的コストが下がります。

基本的に、オンラインで完結するビジネスモデルです。サプライチェーンも複雑ではなく、中間コストが少なく開発・運用コストが抑えられるので、ユーザーフレンドリーな価格でサービスを提供できます。

安くて良いサービスを提供できるため、新規ユーザー獲得がオンプレミスより容易であり、ユーザー層を広げやすいメリットがあります。

売切ではないので解約リスクもありますが、長期継続してもらえれば売上げが安定します。かなり長期に活用してもらえば、オンプレミスより高い売上げになる場合もあるでしょう。

特徴4:他のシステムと連携させやすい

近年のSaaSはAPIが公開されているものが多く、他のシステムと連携しやすいところが特徴です。例えば会計にはfreeeを活用し、マーケティングオートメーションにHubSpotを活用し、SFA(営業支援システム)はSalaesforceを使い、それぞれのデータを統合できます。

各領域(人事、経理、営業、カスタマーサービス、マーケティングなどそれぞれ)の最も優れたSaaSあるいは自社に合うSaasを選択して、データ連携させられる点がメリットです。

SaaSについてはこちらの記事もご覧ください。
BtoB SaaSとは何か? 初めて事業に関わる人が知っておいて欲しいこと

まとめ

SaaSは、実は特別新しいビジネスモデルではありません。古くから業界に携わっている人なら、ASPの進化型との説明ですぐわかるような、昔からあるサービスです。

しかしテクノロジーの進化はすさまじく、SaaSは驚くほど便利で手軽です。そして、SaaSできることは今も増え続けています。span>

オンプレミスと比較すると、圧倒的に低価格でありながら高機能なSaaSは、それこそソフトウェアを民主化したといえるでしょう。

だからこそ世界中で急速に普及しています。クラウドコンピューティング市場(IaaS、PaaS、SaaS)の世界の市場規模は拡大する一方で、2021年の4,453億米ドルから2026年には9,473億米ドルになると予測されています。

あと5年で倍になる予測のため、SaaS業界はまだまだ可能性に満ちあふれています。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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