インタラクティブコンテンツとは?知っておくべきポイントをわかりやすく解説

2023/04/17
BtoBマーケティング インタラクティブコンテンツ インタラクティブコンテンツとは?知っておくべきポイントをわかりやすく解説

昨今は、世の中にさまざまなコンテンツが溢れています。テキストベースのコンテンツも増える一方ですが、インフォグラフィックを活用したアイキャッチの素晴らしいコンテンツ、ブラウザ上で動画を視聴したり、アンケート、投票ができるインタラクティブなコンテンツも増えてきました。

このような双方向型コンテンツがどのくらい効果があるかは、マーケターの方も気になるところかと思います。

なんと、最近の米国の調査ではマーケターの81%がインタラクティブコンテンツは静的コンテンツより注目を集めると回答。さらに別の調査では93%のマーケターが、インタラクティブコンテンツは従来の静的コンテンツよりも効果的であると認めています。

そこで、本記事ではインタラクティブコンテンツとはどのようなコンテンツか? 種類やマーケティングにおいて具体的にどのような効果があるかなど、マーケターが知っておくべきポイントを解説します。

インタラクティブコンテンツとは

インタラクティブコンテンツとは、ユーザーが能動的に関与できる(対話したり、試したりする)ことができる、あらゆる形式のコンテンツのことです。語源は以下のとおり。

最もわかりやすい例は、プラットフォーム上でいいね!やコメントのやりとりができる各種SNSでしょう。そのほか、Web上のチャットボット、ブラウザを移動せずタップすると視聴ができる動画コンテンツ、見積もりシミュレーションほか、チャットボット、ARシミュレータ―など多彩な種類があります。

 

インタラクティブコンテンツ

 

インタラクティブコンテンツの特徴とは?

インタラクティブコンテンツとは双方向性があるコンテンツです。ユーザーは情報を受け取るだけでなく、自分から発信したり、ボタンを押して何らかの意思表示したり、自分の選択で用意されているコンテンツを視聴することができます。

これに対し、一般的なブログ記事、動画などのようにユーザーが情報を受け取るだけのコンテンツは「パッシブコンテンツ」と言われます。

インタラクティブコンテンツは、マーケティングの現場において驚異的な効果をもたらしていることが、さまざまな統計で示されています。ここでは複数の統計から、BtoBマーケターが知っておくべき特徴をピックアップします。

高いエンゲージメントが期待できる

2016年の米国のコンテンツマーケティングを研究組織Content Marketing Institute のレポート「 DELIVER PEAK EXPERIENCES WITH INTERACTIVE CONTENT」では、エンゲージメントについて、以下の調査結果が報告されています。

  • マーケティング担当者の 66% が、インタラクティブコンテンツを使用した後オーディエンスの エンゲージメントが向上したと回答

  • マーケターの 79% はインタラクティブなコンテンツを、他の主要なマーケティング戦術と組み合わせるとメッセージ保持率が向上したと考えている

コンバージョンレートを改善しやすい

こちらは、Demand Metric researchによる2014年の「Content & Buyer's Journey Benchmark Report 」からの抜粋です。パッシブコンテンツ(ブログなど受け身のコンテンツ)とインタラクティブコンテンツのコンバージョンレートを比較した結果です。

  • インタラクティブコンテンツを採用したマーケター の70%が、インタラクティブ コンテンツは「適度に」または「非常によく」コンバージョンを生成すると報告している(グラフのオレンジの棒がインタラクティブコンテンツ)

  • インタラクティブコンテンツのパフォーマンスが「非常に優れている」と述べたマーケターは、パッシブコンテンツを選択したマーケターの3倍以上(14%:4%)

1.パッシブコンテンツとデマンドコンテンツの効果比較(Business-2-Community)

(出典:business2community.com/

リードジェネレーションが比較的しやすい

リードジェネレーション(見込み客創出)とは、まったくそれまで縁がなかった見込み客を何かのコンテンツで惹きつけて自社に気付いてもらい、興味をもってもらい、メールアドレスを登録するなどしてリードになってもらうことです。

  • 惹きつける(気付いてもらう)
  • オファーに対して人物の情報を何か提供してもらう

この2つが特に重要なプロセスなのですが、まずインタラクティブコンテンツは視覚的にも注目を浴びやすく有利です。前述のContent Marketing Institute の調査では、81%のマーケターがインタラクティブコンテンツは注目を集めると回答しています。

さらに試してみようという意欲を喚起させるので、前述のようにコンバージョンを促進させますし、試すことにより関係性が強まりエンゲージメントを向上させる働きがあります。適切なインタラクティブコンテンツであれば、リードジェネレーションの各プロセスで有効に働くと言えるでしょう。

カスタマージャーニー全体にわたって効果がある

適切なインタラクティブコンテンツを適切に配置できれば、カスタマージャーニー全体にわたって良い効果を発揮します。前述の Content Marketing Institutの調査では、コンテンツ マーケティングにおける11 種類のインタラクティブコンテンツの有用性を調べています。

調査の結果、カスタマージャーニーの「アーリーステージ」「ミドルステージ」「レイトステージ」で、マーケティング担当者が効果があると感じたインタラクティブコンテンツは以下のタイプです。

  • アーリーステージ(気づき・発見):コンテストやゲーム
  • ミドルステージ(気づき・検討):教育系コンテンツ
  • レイトステージ(決断):コンフィギュレーター(見積シミュレーション等ユーザーが製品構成など合理的なパラメータ設定し計算できるコンテンツ)

※なお、この質問はブログ記事、事例記事などのパッシブコンテンツは含まれていません。インタラクティブコンテンツのみの比較です。

2.各ステージで有効なインタラクティブコンテンツタイプ(Ion_CMI_InteractiveContent_Final-pdf)

(出典: DELIVER PEAK EXPERIENCES WITH INTERACTIVE CONTENT

シェア率もアップ

ここで1件、ツールベンダーが出している調査結果も紹介します。以下はインタラクティブコンテンツ生成ツールを提供するOutgrow社の公表している、自社ツールを使用したクライアントの統計データです。コンバージョン率が向上し、直帰率は下がり、シェア率が向上しています。

 

3.インタラクティブコンテンツのシェア率他-Outgrow

(出典:Ourgrow

(参考: Content Marketing Institutbusiness2community.comDemand Metric researchOurgrow

デメリットは?

インタラクティブコンテンツのデメリットとしては、まずコスト面があるでしょう。無料で利用できるTwitterの投票機能、SalesForce などすでに活用しているツールのインタラクティブメール作成機能YouTube動画をインタラクティブにするなどの方法もありますが、本格的なインタラクティブツール作成ツールを使うと費用が発生します。以下は目安です。

  • 数分でアンケート作成ができるSurveyMonkey       4,600 円 /月(10個までは無料)
  • インタラクティブ電卓作成ツールCalculoid    19$/月~(30日間は無料)
  • 多種類のインタラクティブコンテンツ作成ができるOurgrow   14$/月~

とはいえ、前述のさまざまな効果事例を見る限り、しっかり設計されたインタラクティブコンテンツであれば、投資をはるかに上回る効果が期待できるでしょう。

ほかに懸念するのは、あまり懲ったインタラクティブコンテンツを作成すると、表示速度が遅くなりGoogleの評価が下がるリスクや、タイムパフォーマンスを重視する昨今の視聴者が待てずに去ってしまうリスクです。

また、チャットボットのような完全自動化でリプライするコンテンツは、適切な回答でなければむしろユーザー体験をじゃましてしまいます。インタラクティブにすればよいというものではなく、きちんとした設計が求められます。

インタラクティブコンテンツの具体的な例

ここでは、BtoBマーケティングで有効なインタラクティブコンテンツの具体例をいくつか紹介します。

見積もりなどの計算ツール

5.HubSpot-Marketing-Hub-ROI-Calculator計算例

(出典:HubSpot

HubSpotの計算ツール「CalCulator」は、指定のフォーマットに「業界」「国」「Webサイト訪問者」「コンバージョンレート」「リードからの成約率」などを入力すると、自動的に以下のようにマーケティングROIが表示されます(%の下に実際の金額が表示)。詳細なレポートもダウンロードできます。

初心者マーケターにとってROIの計算は、所定の計算式を使ってもやや不安がある人も少なくないものです。大手のマーケティングツールプラットフォーマーがこのような無料ツールを提供すると、計算や検証用に活用できて大変便利ではないかと思います。

HubSpotの見込み客はマーケティング実務者なので、ペルソナのエンゲージメントを高める効果があるでしょう。なお、同様に、Salse Hubのページでは営業ROIが計算できます。

4.HubSpotのOI-Calculator

クイズコンテンツをWeb記事に埋め込む ー「あなたのビデオマーケティングIQは?」6.Outbrain社の動画マーケティングクイズ-Quiz-–-Outbrain

(出典:https://www.outbrain.com/blog/video-marketing-quiz/

2018 年の米国の調査では、ビデオがない Web サイトよりも、ビデオがある Web サイトに88% 多くの時間を費やしたとのこと。

上記の「あなたのマーケティングIQは?」というキャッチコピーのコンテンツは、グローバル広告プラットフォームベンダーOutbrain社の動画マーケティングに関するクイズです。

ビデオマーケティングについての質問に回答していくと、100点満点で何点かスコアが出ます。そして「初心者」「精通しています」などの判定と、それに対するポジティブなメッセージが出る後味のよいクイズです。

試した感想としては、自分のレベルを知れたことに対するちょっとした感謝や、運営サイトへの好印象がわくようなコンテンツかと思います。

BtoBの場合、娯楽としてクイズを楽しもうと思う見込み客はあまりいないでしょうが、ビジネス課題に何かヒントが得られたり、自分や会社の判定が得られたりするクイズは、十分吸引力を持つでしょう。

コンテンツ自動生成ツール

7.HubSpotのMake-My-Persona-Template-Generator-2022-

(出典:HubSpot

こちらは、HubSpotの「ペルソナジェネレーター」です。いくつかの項目を入力するだけで、ペルソナ作成、ペルソナシートが自動生成できます。無料でサインインも不要。

手順も実に簡単で、15人のアバターから近いタイプを選び名前をつけて、以下を選択したり設定していくだけで時間もかかりません。

  • 年代
  • 学歴
  • 業界を選んで企業規模を調整
  • 肩書を入れる
  • 彼らの成果指標は何か
  • 彼はそれを誰にreportするか
  • 好むコミュニケーション手段は

このようなアウトプットのフォーマットでペルソナができあがります。

8.Make-My-Persona-Free-作成例

 

ペルソナ作成というのは、従来紙やExcelのテンプレートに書き込むかたちで作られることが多いのですが、正直いってその間迷いも生じ、挫折する方も多々いらっしゃいます。

このジェネレーターの項目はHubSpotの英知がつまっているため、簡単に答えられるとはいえ、ペルソナ作成において重要な要素が盛り込まれています。初心者でもそこそこのレベルにしあがります。初心者マーケターにとっては「学び系コンテンツ」、ベテランならそのまま仕事に活用できるでしょう。

もう一つのカスタマージャーニー生成無料ツールと併用すれば、マーケターにとってちょっと面倒なペルソナ作成とカスタマージャーニー作成のハードルがぐんと下がります。前述のcalculatorと同じく、マーケティング担当者にとって非常に役だつツールが無料で使えるため、HubSpotへの好意や興味、信頼が増す効果があるでしょう。

チャットボット『ChatGPT』

9.ChatGPT-Optimizing-Language-Models-for-Dialogue

(出典:OpenAI

チャットボットは今や珍しくないツールですが、2022年11月にOpenAIから登場した「ChatGPT」は、まさしく破壊的テクノロジーだと言えるでしょう。現在は無料で試せるため、2023年2月には月間1億ユーザーに到達しています。有料化を待ち望む見込み客を全世界にあっというまに増やしました。

最近の調査によると、昨今は特にマーケティング関係の専門家がAIの活用に熱心で、ChatGPTなどを含めたAIを37%が仕事で使った経験があるそうです。マーケティング関係の専門家の次には、技術者、コンサルタントの順で使用経験率が高くなっています。

もっとも現状は、メールの下書きやアイデアの発案、リサーチなど、思考促進ツール的活用のようです。

今後は、ChatGPTを活用してどのようなコンテンツを作成して、自社のユーザーを惹きつけるかも当然考えていくでしょう。

すでにChatGPTで記事構成や制作、画像生成、動画作成が簡単にできるとして作成方法についてのコンテンツが次々に公開されています。さらにプラグインも出ています。できることが無限大のChatGPTですが、幸い日本は語学の壁と保守的な国民性のおかげで、このような波がいつも遅れて到達します。

今のうちに、AIチャットボットをどう活かすかシナリオを考えることが、アドバンテージになるでしょう。国内でアーリーアダプターになるべく早めに使い慣れることをおすすめします。

インタラクティブ動画コンテンツ

10.Wistia’s-New-Thumbnail-Editor-Wistia-Blog

(出典:wistia.com/

ブログ記事やSNS上でタップするだけでそのまま視聴できるコンテンツは、ユーザーにとって手軽であり、ユーザー体験を向上させるでしょう。

動画のサムネイルのアイキャッチ、サムネイルが静止画像か動く画像かによっても効果が異なるようです。

ビデオの作成、編集、マーケティング、インパクトの計測ができるビデオマーケティングプラットフォームWistiaが、自社の動画の静止画像のサムネイル と、動きのあるサムネイル画像 との反応を比較したところ、後者の再生率が 22.5% と高いという結果が出たことを公開しています。(参考:wistia.com

インタラクティブ・メール

いきなり動画やGIFを活用したインタラクティブコンテンツ作成はハードルが高いという方には、インタラクティブメールがおすすめです。

インタラクティブメールとは、受信者がメール内でWeb のような感覚でコンテンツに関与できるメールです。以下のようなタイプがあります。

  • メール内で視聴できる動画
  • アンケート、クイズに回答する
  • レビューしてもらう
  • メール内にGIF(動くアニメ)を追加   

例:Amazonのメール内レビュー

11.Amazonのメール内レビュー-Enginemailer

(参考:enginemailer.com

インタラクティブコンテンツの中では地味な部類だと言えるでしょう。しかし、2022年に米国リサーチ会社Ascend2 社がBtoBとBtoCマーケターに調査したレポートでは、インタラクティブコンテンツの中で、インタラクティブeメールがもっとも効果的と回答した人は52%で、インタラクティブ動画を押さえて1位です(緑の棒)。

また、インタラクティブメールの実行を難しいと感じる人はほかの手法より少な目で26%しかいません(赤の棒)。簡単で効果があるのなら申し分ありません。

 

12.Ascend2-Interactive-Content-Effectiveness-Difficulty-Oct2022.png

(出典:.marketingcharts.com/

まとめ

今の時代、コンテンツはどんどん進化していきます。テキストベースのコンテンツも物事を深く理解できるメリットはありますが、短時間で人を惹きつけたり、気持ちを変えたり、エンゲージメントを向上させたりするという点で、インタラクティブコンテンツは非常に有用です。

記事内で紹介したように、インタラクティブコンテンツは、見込み客を惹きつけ、エンゲージメントを高め、コンバージョンを促進することを数々の統計が示しています。

インタラクティブコンテンツは、カスタマージャーニーのあらゆるフェーズで柔軟に活用できます。また、既存のコンテンツと組み合わせることでマーケティング効果を高めます。

BtoBの場合、コンテンツ自体をものすごく凝ったものにする必要はないでしょう。

  • ブログ記事でそのまま動画が見られるようにする
  • ウェビナー+チャットでLIVEセミナーに
  • SNS 投稿でアンケートやクイズを実施
  • メール内でレビュー、メール内で動画視聴してもらう

といったシンプルな活用方法もあります。現在のカスタマージャーニーの弱いところに、インタラクティブコンテンツを組み込んで改善できないか検討してみましょう。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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