カスタマージャーニー作成ツール・テンプレート例とツール・テンプレートを選ぶ際のポイントを解説

2024/02/20
カスタマージャーニー 作成ツール カスタマージャーニー作成ツール・テンプレート例とツール・テンプレートを選ぶ際のポイントを解説

2024年現在、日本のBtoBマーケティングシーンではカスタマージャーニーの重要性について、Googleトレンドの検索数推移からも、ここ10年で広く認知され出していると感じられます。

しかし、実際にカスタマージャーニーマップを作成するとなると、マーケターにとってはハードルが高いタスクらしく、マーケティング先進国の米国ですら、カスタマージャーニーを計画的に活用できている企業は36%程度とのこと。おそらく日本ではもっと少ないでしょう。

たしかに、「マーケティングの成果に繋がる」「顧客体験が向上する」「収益に繋がる」などの恩恵があるとは知っていても、「日々目の前の業務で忙しく、時間もかかりそうで、そもそも上手く作れそうにない」と感じる気持ちは大いに理解できます。

実際問題として、マーケターは4割以上が重要業務に時間を割けていないというデータもあるように多忙を極めており、自身がリソースを割くべき業務を取捨選択しなければならない状況も珍しくありません。

もしリソースが不足しているのなら、カスタマージャーニーの作成支援をしてくれるデジタルツールを使用するのが有効です。ツールは購買心理学や統計をもとに各ベンダーが最適化したソリューションですので、専門知識がなくとも一定以上のクオリティのカスタマージャーニーが作成できるようになっています。

本記事では、カスタマージャーニーを手軽に作成したい方向けに、おすすめのカスタマージャーニー作成ツールを6選紹介します。無料のものも紹介しますので、まずは使って慣れるところからはじめましょう。

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、見込み客が製品やサービスを認識し、それを購入し、使用するまでのプロセス全体の流れを指します。自社が定義したペルソナ(理想の顧客像)が購入するまでの一連の流れを旅(ジャーニー)に見立てて可視化することで、見込み客が購買に至るまでの態度・ニーズの変遷を可視化できます。

カスタマージャーニーのイメージ図

BtoB SaaSでは、長期的な顧客関係が重要であるため、各ステップにおいて顧客のニーズと期待に応えることが不可欠。カスタマージャーニーを定義すると、顧客が各購買フェーズで必要とする情報やサポート内容などがわかるため、マーケティング活動のROIを高めつつ、成約率アップを実現可能です。

実際に、米marketing chartが2021年に発表した1150人を対象にした調査では、78%が自社にとってカスタマージャーニーを基にしたアプローチが重要であり、以下のメリットがあると回答しています。

  • CXを改善する機会の特定に役立つ(94%)
  • 統一された顧客像を確立できる (92%)
  • CXイニシアチブ(CX向上に繋がるプログラムやプロジェクト)のパフォーマンスと効果を改善できる(91%)
  • KGI・KPIに関してチームの足並みを揃えられる (91%)
  • クロスチャネルの成功を追跡・分析できる (89%)
  • CXが抱える課題の根本原因を特定できる (88%)

カスタマージャーニーに関する調査

(出典:marketing char「How Can A Journey-Based Strategy Help You?」)

カスタマージャーニー作成の重要性

BtoB SaaSビジネスにおいてカスタマージャーニー作成が重要な理由は「顧客理解の促進」にあります。

見込み客の製品の購入前から購入後のサポートやアフターサービスに至るまで、各フェーズで顧客の考えやニーズなどを把握できます。そこから得られるインサイトを基に、最適な顧客コミュニケーションを実現しつつ、見込み客の疑問や懸念を解消すれば、「成約率」「顧客維持率」「アップセル・クロスセル」などの上昇に繋げられます。

特に、BtoB SaaSはサブスクリプションのビジネスモデルですので、持続的に自社事業を成長させていく上では、顧客の定着度合いは極めて重要。実際に、成長期SaaS企業の売上成長能力は、顧客の維持率に相関するとのデータもあります。

SaaS企業の顧客維持率に関する調査

(出典:SaaS CAITAL「New Data on SaaS Company Growth Rates and Retention」)

カスタマージャーニーには、成約後のサポートやフィードバック収集・反映も含まれますので、顧客維持に繋がる重要なインサイトも得られるのです。

さらに、カスタマージャーニー作成を通じて、見込み客の購買行動を共有すれば「施策の最適化」「情報共有と迅速な意思決定」「部門間連携の強化」など、さまざまなシーンでプラスの影響があります。

カスタマージャーニー作成ツール・テンプレートとは

カスタマージャーニーは社内共有や内容編集の効率を考えると、作成ツールを用いて製作するのが効率的です。カスタマージャーニー作成ツールは、見込み客がさまざまなタッチポイント経由で購買に至るまでのジャーニーを定義し、視覚的に表現できるデザイン機能があるツール全般を指します。

そのため、Googleスプレッドシート/スライドのようなシンプルなデザイン機能を持ったツールでも十分作成可能です。より複雑なデザインでカスタマージャーニーを作成したい場合は、フローチャートを用いたデザインが可能なツールもあります。

さらにツールによっては、提供企業側によりカスタマージャーニーマップのテンプレートが公開されていることも。テンプレートでは最初からカスタマージャーニーに必要なレイアウトなどが整えられていますので、作成の経験がなくてもみやすく、わかりやすいジャーニーマップを製作できます。

カスタマージャーニーのテンプレート例(LEAPT版)

このように、カスタマージャーニー作成ツールにはテンプレートが提供されているものもありますが、実際に使っていく上では自社ビジネスにあわせてカスタマイズするとより使いやすくなります。

当社(株式会社LEAPT)でも、HubSpotが公開しているものをベースにしつつ、Googleスライドを活用して以下のように直線的なカスタマージャーニーマップのテンプレートを作成しています。

カスタマージャーニーのイメージ図

上記のように横軸に向かって進んでいく直線型のカスタマージャーニーは、シンプルであるため製作しやすく、内容も一見してわかりやすくなっています。

横軸に「気づき→認知→検討→導入→利用」という5つのステージを配置し、縦軸にはペルソナの「課題」「行動」「情報ニーズ」「情報リソース」「次の段階へのモチベーション」という5つの要素を設定しています。

このようなシンプルなカスタマージャーニーマップは業界や部署の特性にかかわらず、幅広く活用可能です。必要に応じて特定の業界や部門のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできますので、まずはシンプルなデザインからカスタマージャーニーの活用をはじめましょう。

カスタマージャーニー作成ツールを活用した製作ステップ

ここからは、前述したシンプルなカスタマージャーニーの作り方について、作成ツールの使用を前提に以下の3ステップで解説します。

  • Step1.ペルソナの設定
  • Step2.ペルソナ目線の「縦軸×横軸」の設定
  • Step3.ジャーニー内の情報整理

以下より、個別にみていきましょう。

Step1.ペルソナの設定

カスタマージャーニーでは「特定の個人」を想定して行動予測を行っていくため、まずはペルソナを作成します。ペルソナとは、自社の半架空の見込み客プロフィールであり、一般的には「自社にとっての理想の顧客像(個人)」を設定します。

ペルソナのイメージ

ペルソナは、顧客インタビューや既存の顧客データ、営業担当へのヒアリングを基に作成します。ペルソナを作成するにあたって考えるべき項目例としては、以下のとおりです。

  • 人物の職業
  • 企業規模
  • 役職
  • 性別
  • 性格
  • 業務上の課題
  • 使用するSNS
  • 好んでいるメディア
  • 情報収集方法

ペルソナを詳細に設定することで、よりリアリティあるカスタマージャーニーを作成できます。

Step2.ペルソナ目線の「縦軸×横軸」の設定

次に、ペルソナ目線でカスタマージャーニーの縦軸と横軸を設定します。

ペルソナの「横軸 = カスタマージャーニーの長さ(購買活動のステージ)」は、作成目的によって変わるものです。

たとえばマーケティングプロモーションの成果を高めるためなら、「気づき」「認知」「検討」の3項目でもよいでしょう。しかし、カスタマージャーニーの作成を通して「リテンション率を上げたい」「顧客からの紹介や売上げまで増やしたい」といった場合は、「購入」「オンボーディング」「活用中」「シェア」といった項目も追加するのが有効です。

「縦軸=ペルソナの考えや行動」については、見込み客が各フェーズでとる具体的なアクションと捉えましょう。当社では、カスタマージャーニーの縦軸に「ペルソナの課題」「ペルソナの行動」「情報ニーズ」「情報リソース」「次の行動へのモチベーション」を設定しています。

縦軸の設定により、ペルソナが各ステージでどのように感じ、行動し、どのような情報を求めているかを深く理解できます。そのため、見込み客のニーズに即したアプローチ(例:気づきの段階で、ペルソナが潜在的に抱えている課題に気づかせるコンテンツを作成するなど)が可能です。

Step3.ジャーニー内の情報整理

横軸・縦軸の内容を決定したら、それぞれの項目を埋めていくために情報を整理する必要があります。

まず、顧客とのタッチポイントや以前に収集したフィードバック、既存のマーケティングデータなどから、見込み客の行動や感情に関連する情報を収集し、整理します。そこで、出てきた情報・要素をカスタマージャーニーの縦軸と横軸の該当する項目に合わせて当てはめていきましょう。
その際に、テンプレートがあることで、どの位置に記載したらよいのかが視覚的に分かり、情報をマッピングしやすくなります。

カスタマージャーニー作成ツールの選定ポイント

カスタマージャーニーを作成するツールを選定する場合、以下のポイントに着目しましょう。

  • シンプルなデザインで作成ができる
  • 簡単に編集ができる
  • 共有ができる

それぞれ詳しく解説します。

シンプルなデザインで作成ができる

カスタマージャーニーの作成において、PowerPointなどでの複雑なデザイン(例:スライドレイアウトや装飾など)に多くの時間を費やす必要はありません。重要なのは、関係者が理解しやすい形で情報を整理することですので、ジャーニーの内容の作成と深堀りに焦点を当てるべきでしょう。

デザインはジャーニーの内容をサポートするためのものであり、内容自体よりも優先されるべきではないのです。そのため、まずはシンプルで直感的なデザインを行えるツールを選定し、カスタマージャーニーの内容そのものの質を高める意識を持ちましょう。

簡単に編集ができる

カスタマージャーニーを作成する際には、一人で作業することもあれば、複数の関係者が編集することもあります。そのため、誰でも操作できるような直感的で使いやすいツールを選ぶことが重要です。

さまざまなスキルレベルの担当者が使えるように、編集機能は柔軟で簡単にアクセス可能であることが望ましいでしょう。使いやすく、直感的なインターフェースを持っているツールを選定することで、専門的な知識がなくともジャーニーマップを編集することが可能です。

オンラインベースのツールの場合、どこからでもアクセスでき、作業の進捗を自動的に保存してくれます。これにより、作業の途中でのデータ損失も防ぎつつ、さまざまな場所やデバイスで作業できるようになります。

共有ができる

カスタマージャーニーは、マーケティング部門だけでなく、セールス、カスタマーサクセスなどの複数部門にわたる認識のすり合わせが求められるため、共有機能は不可欠です。

そのため、カスタマージャーニーの作成で使用するツールは、異なる部門間でのスムーズな情報共有と協力を促進する機能を備えている必要があります。たとえば、後述するGoogle スプレッドシート/スライドは【共有】メニューを選ぶだけで、メールアドレスさえあれば誰でも簡単にファイル共有を行えます。

カスタマージャーニー作成ツールの編集機能

(出典:Google Sheets

オンラインでのリアルタイム共有と編集機能を持つツールは、複数の関係者が同時にジャーニーマップに対してフィードバックやアップデートを行えるため、チーム作業の効率アップに繋がるでしょう。

カスタマージャーニー作成ツール・テンプレートのおすすめ6選

ここでは、おすすめのカスタマージャーニー作成ツール・テンプレートを6つ紹介します。

  • Google スプレッドシート/スライド
  • HubSpot
  • Figma
  • UXPRESSIA
  • FlowMapp
  • Hotjar

それぞれ個別にみていきましょう。

Google スプレッドシート/スライド

カスタマージャーニー作成ツール「Google スプレッドシート」

(出典:Google Sheets

Googleスプレッドシート(Google Sheets )はExcelと互換性があり、操作も似ているため、多くのビジネスマンが抵抗なく使えるクラウドベースのツールです。顧客フィードバックや行動データなど、カスタマージャーニー作成に必要な情報をスプレッドシートに集約しつつ、データ整理や並べ替えを行えば、重要なインサイトを抽出するのに役立ちます。

ネット上にはExcelの無料テンプレートが多数公開されています。Excelのほうが使いやすい方ならそれをもとにカスタマージャーニーを自作し、Googleスプレッドシートにアップデートして共有してもよいでしょう。

ただし、スプレッドシートは表やグラフを作るためのツールです。視覚的にわかりやすいカスタマージャーニーを作成したいなら、Googleスライド(Slides)がおすすめ。こちらは、MicrosoftのPowerPointと互換性があり、機能の呼び名は違えど操作方法も似ています。

カスタマージャーニー作成ツール「Google スライド」

(出典:Google Slides

Googleスライドはカスタマージャーニーの各段階を視覚的に表現するための図形、アイコン、テキストを使用できますので、チームや各ステークホルダーに対してカスタマージャーニーの意図やポイントを明確に伝えられるでしょう。

Google スプレッドシート/スライドともにオンラインでファイルを共有し、同時閲覧・編集も可能です。利用も基本的には無料ですので、まずはこの2つのツールでカスタマージャーニーを作成してみましょう。カスタマージャー二ー作成で役立つ機能1

 

HubSpot

カスタマージャーニー作成ツール「HubSpot」

(出典:HubSpot

HubSpotは、顧客管理ツール(CRM)として広く知られており、マーケティングや営業、カスタマーサービスなど、各領域で役立つ製品群を提供しています。

カスタマージャーニーの作成において、HubSpotの中で特に役立つツールはMA(マーケティング・オートメーション)である「Marketing Hub」です。

たとえば、リード生成ツールを使用すれば、カスタマージャーニーの初期段階である潜在顧客を特定可能。顧客データに基づいてターゲット層を細分化し、カスタマージャーニーに必要な異なる顧客層を明確にできます。

ジャーニー作成後も、ツールを介して見込み客の各購買ステージでのリアクションなどを計測できますので、横軸・縦軸の内容をより最適なものに調整できるでしょう。

加えて、HubSpotでは全7種のカスタマージャーニー・テンプレートを無料で公開しています。

HubSpotのカスタマージャーニー・テンプレート

(出典:HubSpot

テンプレートにはそれぞれ特徴や用途の解説つきで、カスタマージャーニーの作成手順について説明された全36ページのPDFコンテンツも提供されているのが特徴。「これから本格的なカスタマージャーニーの作成を行いたい」という場合は、HubSpotの関連ソリューションが役立つでしょう。

カスタマージャー二ー作成で役立つ機能2

 

Figma

カスタマージャーニー作成ツール「Figma」

(出典:Figma

Figmaはクラウドベースのコラボレーション・デザインツールであり、カスタマージャーニーの各段階でのユーザー体験を視覚的に表現し、フィードバックとレビューを効率的に取り入れることが可能です。

共有ライブラリや再利用可能なアセットを活用すれば、一貫性のあるデザインを維持しつつ、メンバー・部門間のコミュニケーションが促進されるでしょう。

Figmaにも無料のカスタマージャーニーマップのテンプレートがあります。

Figmaのカスタマージャーニー・テンプレート

(出典:Figma

Figmaのテンプレートは、色彩豊かにデザインされており、編集して自社用にカスタマイズも可能。操作も簡単で、ダブルクリックするだけで色の変更やテキストの編集、新しいコンテンツの追加が可能です。カスタマージャー二ー作成で役立つ機能3

 

UXPRESSIA

カスタマージャーニー作成ツール「UXPRESSIA」

(出典:UXPRESSIA

UXPRESSIAはCX(カスタマーエクスペリエンス)を包括的に管理するためのツールです。カスタマージャーニー作成においても、CX関連機能と直感的なユーザーインターフェースで大いに役立ちます。

UXPRESSIAでは、全てのカスタマージャーニーマップを共通の仮想空間に保存し、チームメンバーや関係者と共有可能です。

ジャーニーマップには、ビジネスKPIやウェブ分析データを統合でき、デザインプロトタイプやビデオなどのコンテンツも組み込めます。プレゼンテーション機能を通じて、作成したマップをリアルタイムで共有・更新できますので、カスタマージャーニーのブラッシュアップを行いやすいのが特徴です。

100種以上のさまざまなテーマや業界のテンプレートが用意されています。視覚的に優れたデザインツールもあるため、初めての方も自社のペルソナのカスタマージャーニーをイメージしやすく、スムーズに作成できるでしょう。

カスタマージャー二ー作成で役立つ機能4

 

FlowMapp

カスタマージャーニー作成ツール「FlowMapp」

(出典:FlowMapp

FlowMappは、Webサイトやアプリケーションの計画、開発、および最適化のための視覚的なデザインツールです。このツールの主な機能は、Webサイトやアプリの計画、UX設計、コンテンツ管理などですが、これらの機能はカスタマージャーニーの視覚化にも有効です。

カスタマージャーニーを俯瞰図で視覚化し、全体像を理解しつつ、ジャーニーの各ステージにおける各項目のモックアップを作成し、顧客体験を具体化できます。

FlowMappでは、トップページの「Try Demo Project」をクリックすると、さまざまなテンプレートが表示されます。「Email Flow」「B2B Online Marketing」など、BtoBビジネスの各領域に即したものが用意されているのが特徴です。

FlowMappのカスタマージャーニー・テンプレート

(出典:FlowMapp

ただし、テンプレートはチャート式になっており、カスタマージャーニー作成用という訳ではありません。そのため、やや上級者向きではあるものの、「自社ビジネスの特性に合わせて細かくジャーニーマップを定義したい」と考える場合は活用してみましょう。

カスタマージャー二ー作成で役立つ機能5

 

Hotjar

カスタマージャーニー作成ツール「Hotjar」

(出典:Hotjar

Hotjarは、 カスタマージャーニー作成用のツールではありませんが、カスタマージャーニーの作成に活かせるインサイトを多く得られる製品群があるツールです。

たとえば、「Hotjar Ask」では自社サイトや製品の特定のページや機能に関して、直接ユーザーからのフィードバックを収集できます。ユーザーの意見や提案を収集し、次に取り組むべき点を把握可能です。

Hotjar Engage」なら、募集、スケジューリング、ホスティング、録画まで、ユーザーリサーチプロセスを自動化できます。これにより、カスタマージャーニーの情報収集で必要なプロトタイプテストやインタビューなどを効率的に実施できるでしょう。

同社が公開している記事では、Hotjarを活用し自社の B2B カスタマー ジャーニー マッピングを行った手順が紹介されています。HotjarだけでなくGoogleアナリクスや共感マップも活用した実践的なステップになっていますので、大いに参考になる内容です。

カスタマージャー二ー作成で役立つ機能6

 

ツールを使ったカスタマージャーニー作成時に注意すること

ツールを使ってカスタマージャーニーを作成する際には、以下の点も意識しましょう。

  • 「作成して終わり」にしない
  • 他部署や顧客に共有・フィードバックする
  • カスタマージャーニーに合わせてマーケティング戦略を再検討する

次項より、それぞれ個別に解説します。

「作成して終わり」にしない

カスタマージャーニーマップは一度作成したら終わりではなく、継続的に更新していく必要があります。市場環境、顧客の行動、ビジネスモデルの変化に伴い、カスタマージャーニーも変化します。定期的なレビューと更新が必要です。

前述したカスタマージャーニーの作成ツールのなかには、リアルタイムのデータ分析が可能なものもあります。顧客の行動やフィードバックをリアルタイムで捉え、カスタマージャーニーを適宜調整することが重要です。

たとえば、HubSpotにはリードの追跡、メールマーケティング、ソーシャルメディア管理など多岐にわたる機能があり、リアルタイムの顧客データを収集できます。

HubSpotのデータ分析機能

(出典:HubSpot

マーケットや技術の変化に迅速に対応するためには、カスタマージャーニーを柔軟に変更できるようにしておくことが重要です。

他部署や顧客に共有・フィードバックする

カスタマージャーニーはマーケティング部門だけでなく、営業、サポート、製品開発など企業の全部門と共有すべき情報です。部門間での情報共有が顧客体験の一貫性を保つために不可欠です。

セキュリティとプライバシーの観点から慎重に扱うという前提のもと、見込み客に直接カスタマージャーニーを共有するのも有効でしょう。

顧客や他部署からのフィードバックを定期的に収集し、それをカスタマージャーニーの改善に活用する仕組みを作ることが重要です。顧客の声を直接反映させることで、より現実に即したジャーニーの作成が可能になります。

カスタマージャーニーの理解を深めるためには、社内の関連部署に対して教育やトレーニングを実施することも効果的です。これにより、全員が顧客中心の思考を共有し、よりよい顧客体験の提供に貢献できます。

カスタマージャーニーに合わせてマーケティング戦略を再検討する

カスタマージャーニーを作成してみると、自社が今まで見落としていた「顧客とのタッチポイント」「顧客が抱えるニーズや課題」が浮かび上がるケースがあります。そういった場合は、自社のマーケティング戦略を再検討することが大切です。

たとえば、タッチポイントを整理できれば「顧客にアプローチするべきチャネルの選定」で参考になります。ニーズや課題についても、よりパーソナライズしたコンテンツ作成を行えますので、顧客に「自分ごと」として受け取ってもらいやすくなるでしょう。

なお、マーケティング戦略を再定義したら、適切なKPIを設定し、期待される成果を定量的に測定することも忘れないようにしましょう。

KPIとは「主要業績評価指標」とも呼ばれ、企業や組織が設定した特定の目標や成果に対する進捗や、成功を測定するための指標のことです。

KPIの概念図

KPIを適切に設定してマーケティング戦略のパフォーマンスを評価すれば、結果的に「カスタマージャーニーのどのフェーズがボトルネックになっているのか」を可視化することに繋がります。この際、各ツールの分析機能が大いに役立ちます。

「作成したカスタマージャーニーを、結局は有効活用できていない」という状況を避けるためにも、各施策の成果測定は不可欠なのです。

まとめ

カスタマージャーニーは、出会ったこともない見込み客、すでに受注をしてくれた顧客が「どう考え、どう動くか」という予測です。あくまでシミュレーションですので完全に予測することは不可能なものの、カスタマーのジャーニーの完成度で、マーケティングの成果は大きく変わってきます。

多くのマーケターが敬遠しがちなカスタマージャーニー作成も、便利な作成ツールが多く存在します。これらツールはマーケターの時間と労力を減らしてくれるだけでなく、正確なカスタマージャーニーを作成するヒントを与えてくれる思考促進ツールです。

初心者マーケターなら、各社が公開しているテンプレートなどを参考に、無料で使えるGoogleスプレッドシート/スライドなどで自作してみましょう。

その後「もっと正確な顧客データが欲しい」「各段階でKPIの測定を行いたい」と考えれば、より高度な機能を持ったツールを導入すればよいのです。

筆者自身、「ペルソナ作成→カスタマージャーニー作成」の順で、「とりあえず作成しながら学んでいこう」というスタンスで行なってきました。大切なのは「まずは作ってみること」であり、試行錯誤しながらカスタマージャーニーを作成する工程そのものが、顧客理解を促進するためです。

往々にしてツール系フレームワークは、ガイドを読んでもわかりづらく、むしろ使ってみて無理やりにでも完成させてみたら「その時点で何となく理解できた」となるケースも往々にしてあります。カスタマージャーニーに対して苦手意識を持っていたとしても、ぜひ手を動かしてみましょう。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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