ABテストのやり方とは?よくある間違いやマーケティングにおける活用シーンをご紹介

2022/04/06
BtoBマーケティング ABテスト ABテストのやり方とは?よくある間違いやマーケティングにおける活用シーンをご紹介

「ABテストをやってみたいけれど、やり方がわからない」とお悩みではないでしょうか。

2020年のインターネット利用率は83.4%であり、Webサイトの重要性がますます高まっています。そのため「Webサイトを改善して売上げアップにつなげたい」と考える企業は非常に多いです。

しかし、マーケティング熟練者が少ないBtoB企業やSaaS企業では、ABテストが実施できず、Webサイトの改善が進められないことが珍しくありません。

そこで本記事では、ABテストの実施を検討中のBtoB企業やSaaS企業の方に向けて、以下の内容を解説します。

  • ABテストに関するよくある間違い
  • やり方5ステップ
  • 代表的なツール

本記事を読めば、ABテストのやり方を理解したうえで、自社のWebサイトを改善するために動き出せるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

ABテストとは?

ABテスト

(ABテストの図)

ABテストとは、スプリットテストとも呼ばれ、2つ以上のバージョンの変数(Webページ、ページ要素など)を異なるセグメントの訪問者に同時に表示して、どのバージョンが最大の影響を残し、ビジネス指標を推進するかを決定する無作為化実験プロセスを指します。(引用元:VMO

ABテストの「A」と「B」は以下を意味しています。

  • A:オリジナルのバージョン
  • B:オリジナルから一部を変更したバージョン

オリジナルから変更する要素を選ぶことで、Webサイトのあらゆる箇所を検証可能です。

  • タイトル
  • 見出し
  • ファーストビュー画像
  • ボタンのサイズや色
  • フォームの入力項目

ABテストでは、これらの要素の変更前と変更後のどちらでより多くの成果を得られたかを、数字で確認できます。そして、優れている方を「勝者」として、テスト終了後に採用するのです。

ABテストは一度だけ行って終わりではありません。同じ要素を再び変更して別のバージョンを作ったり、他の要素をテストしたりできます。

ABテストの目的

BtoB企業やSaaS企業にとって、ABテストの目的は多くの場合「コンバージョン率を高める」ことです。ABテストを行うことで、客観的なデータに基づいて、着実にWebサイトの改善を重ねられます。

  • 製品の販売
  • 有料プランへの申し込み
  • リードの獲得

これらのコンバージョンを増やしたいがために、むやみにWebサイトに手を加えても、コンバージョン率は良くなったり悪くなったりするだけです。「改善しようとしてむしろ悪化する」場合が少なくないため、努力のわりに成果が得られず、改善自体をあきらめてしまう企業が多いのです。

一方ABテストでは、コンバージョン率を測定したうえで「勝者」を採用するため、悪化する危険がほとんどありません。遠回りをすることなく、一直線に改善を進められます。

達成したいコンバージョンが何であれ、効率よくコンバージョン率を高めるためにABテストは欠かせません。

ABテストの重要な考え方

ABテストを行ううえで、重要な考え方をご紹介します。勘違いをしたままABテストを進めてしまわないように、よくある間違いを確認しておきましょう。

そもそもABテストしなくていいケースがほとんど

実はABテストは、行わなくてもよいケースがほとんどです。日本のBtoB企業やSaaS企業では、ABテストに手間をかけても、効果が得にくい構造や、そもそもテスト対象になるサンプル数が多くない状態であることが多いからです。

効果的なABテストを実施するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 「適切」なサンプル数が十分な数確保されている
  • 業務が分業化されており、テストする箇所の専任担当者がいる
  • 明確なKPIが設定されている

小規模な企業であれば、さまざまなマーケティング業務を1人の担当者が兼任していることが多いでしょう。するとリソース不足のため、ABテストを用いた改善活動がなかなか進まない傾向があります。

またBtoB企業やSaaS企業では、WebサイトのKPIがPV数なのかリード獲得数なのかといった基本的な点さえ、あいまいなケースが少なくありません。こうした状態なのであれば、ABテストを行うより先に、KPIを設定するなどのマーケティング戦略を考える必要があります。

数字を大局から見ることを欠かさない

ABテストを行う際には、数字を大局から見るようにしましょう。ABテストは、あくまでも目的を達成するための「手段」に過ぎないからです。

例えば、Eメールの開封率を上げるABテストをしようと思いついたとします。もしメールを100,000件送るのであれば、サンプル数が十分にあるため、たしかにABテストを行う価値があるでしょう。

一方メールを10件しか送らないのであれば、母数が少なすぎて正確なデータを取れませんし、開封率を改善できたとしても売上げに及ぼす影響はわずかです。この場合、そもそもメールの開封率を上げるよりも、より多くのリードを獲得して、メールの件数を増やすことを優先すべきでしょう。

ABテストはあらゆることに適用できてしまうため、それ自体が「目的」になってしまう恐れがあります。KPIなどの数字を向上させるために何をすべきなのか、大局から見て判断することが大切です。

ABテストの種類

ABテストには2つの種類があります。状況に応じて使い分けられるようにしましょう。

単変数ABテスト

一般的に「ABテスト」と呼ばれているのは「単変数ABテスト」のことです。

テスト対象の構成要素のうち、1つの要素だけについて異なるバージョンを用意し、テストを行います。シンプルなテストであるため、実施や分析が簡単なのが特徴です。

単変数ABテスト

(ランディングページにおける単変数ABテスト)

例えば上図は、ランディングページにおいて「ファーストビュー画像」だけを変更した2つのバージョンを用意した場合です。両方のバージョンをランダムに表示して、どちらの方が商品の購入率が高いかを確認します。

ABテストに慣れていないBtoB企業やSaaS企業であれば、まずはシンプルな単変数ABテストに取り組むとよいでしょう。

多変数ABテスト

多変数ABテストは、複数の要素について異なるバージョンを作り、その組み合わせの中から「勝者」を選ぶやり方です。単変数ABテストよりも複雑なので、上級者向けといえます。

多変数ABテスト

(ランディングページにおける多変数ABテスト)

例えば上図は、「ファーストビュー画像」と「ボタンの色」のそれぞれについて2つのバージョンを作った場合です。この場合、組み合わせの数は2 × 2 = 4通りとなります。4通りのページをランダムに表示させて、最も商品の購入率が高いものを選ぶ方法です。

多変数ABテストには、主に以下の3つのメリットがあります。

  • テストにかかる時間を節約できる
  • どの要素の影響が大きいかを判断できる
  • 各要素の組み合わせによる効果を確認できる

単変数ABテストに慣れてきたら、応用として多変数ABテストに取り組んでもよいでしょう。

ABテストの活用シーン

どのようにABテストを行えばよいかの参考として、代表的な3つの例をご紹介します。

  • ランディングページ
  • Eメール
  • 製品価格

ランディングページでのABテスト

ランディングページはABテストを活用しやすい媒体です。その理由は以下の通りです。

  • 要素ごとに変更をしやすい
  • ページの目的が明確なのでコンバージョン率を測定しやすい
  • 売上げに直結しており改善のインパクトが大きい

BtoB企業やSaaS企業がABテストに取り組むのであれば、まずはランディングページを対象にすることをおすすめします。

「ファーストビュー画像」や「ボタンのサイズや色」はコンバージョン率に与える影響が大きい傾向があるので、最初にテストしてみるとよいでしょう。

また、どのような検索クエリ経由でランディングページにたどり着いているのかも、大きくコンバージョン率に影響を与えます。その視点から、ランディングページに来ている人がどのようなコンテキストを持って訪問しているか、ということを常に意識することが重要です。

EメールでのABテスト

EメールでもABテストは有効です。テストする要素としては、例えば以下が挙げられます。

  • 件名
  • 差出人名
  • 書き出し部分
  • リンクの位置
  • リンク前の誘導文

これらを変更して、開封率やリンクのクリック率を測定し、「勝者」を判定します。

どんなにメールの中身がすばらしくても、そもそもメールが開封されなければ意味がありません。まずは「件名」と「差出人名」についてABテストを行い、開封率を高めることに取り組むとよいでしょう。

ただし、最も重要なことは正しいリスト作りと、正しい内容のEメールを作ること、です。このことによって、メールの開封率が劇的に上昇します。その後に、文章や文言、差出人名や件名をテストするようにしましょう。

最も大切なポイントは、「適切な」サンプル数が十分に確保できているか、ということであることを忘れないでください。

製品価格のABテスト

製品価格についても、ABテストを行えます。Webサイト上の価格を変更することにより、簡単にテストを実行できるでしょう。

例えば、見込み客に対して「8,000円」と「10,000円」の価格をランダムに表示し、購入率を比較できます。テストの結果、購入率に大きな差が表れないと判明すれば、価格を「10,000円」と決めることで、「8,000円」の場合よりも売上げと利益の向上が見込めるでしょう。

「価格が安い方が購入率は高くなるはずだ」と思われるかもしれませんが、製品によっては、むしろ価格が高い方がよく売れる場合もあります。先入観を持たずにABテストを行うことで、売上げアップにつながる貴重なデータが得られるかもしれません。

ABテストのやり方5ステップ

ABテストのやり方は、大きく5ステップに分けられます。順番にみていきましょう。

  1. 仮説を立てる
  2. 単変数か多変数か決める
  3. 別バージョンを作成
  4. テスト開始
  5. 効果の検証

1. 仮説を立てる

まず、どの要素をどう変えればコンバージョン率が高まるのか、仮説を立てることから始めます。仮説を検証することが「目的」であり、ABテストはそのための「手段」であることを忘れないようにしましょう。

仮説を立てる際には、ヒートマップツールで収集したデータを参照すると効果的です。Webサイトのどの部分でユーザーが離脱しているかを特定できれば、その箇所を変更することで、サイト内にとどまってもうらうことを目指せます。

2. 単変数か多変数かを決める

前述した「単変数ABテスト」と「多変数ABテスト」のどちらを行うかを決めましょう。

まだABテストに慣れていないのであれば、単変数ABテストをおすすめします。もしABテストの経験があり、短期間に多くのバージョンをテストしたいのであれば、多変数ABテストを行ってもよいでしょう。

3. 別バージョンを作成

仮説にしたがって、ボタンや見出しなどテストしたい要素を変更して、別バージョンのWebサイトを準備します。

さらにツールを使用するなどして、異なるバージョンがランダムに表示されるように設定しましょう。多変数ABテストの場合は、各要素のバージョンの組み合わせを設定するため、単変数ABテストよりも複雑な操作が必要です。

HubSpotのようなマーケティングツールを利用すると、自動的にABテストをおこなってくれます。工数をかけずに、かつ信頼性の高いABテストを行いたい方は、そういった専門機能を持ち合わせているツールを利用するなどがおすすめです。

4. テスト開始

ここまで準備ができたら、テストを開始しましょう。十分なデータ数を集めて統計的な正確さを得られるように、しっかりテスト期間を確保することが大切です。

どれほどの期間が必要かは、過去の訪問者数などのデータから予測できます。訪問者が多いページであれば短期間のテストで済む一方で、訪問者が少ないページでは長期間が必要になるでしょう。

多変数ABテストでは、要素の組み合わせ数が多いほど必要な期間も長くなります。信頼できるテスト結果を得るために、データが集まるのを焦らず待ちましょう。

5. 効果の検証

最後に、要素を変更した効果の検証を行います。

変更を加えたバージョンの方が、オリジナルのバージョンよりもコンバージョン率が改善していれば、ABテストは成功です。最初に立てた仮説の方向性は、間違っていなかったと確認できます。「勝者」を新たなオリジナルバージョンとして、マーケティングに活用しましょう。

2つのバージョンの結果がほとんど同じだった場合には、以下の2つの可能性が考えられます。

  • 2つのバージョンが偶然にも同じくらいの質だった
  • テストした要素がそもそもコンバージョン率に影響しない

どちらなのかを確認するために、追加でABテストを行うとよいでしょう。AB テストを繰り返すことで、どの要素が特に重要なのかがわかってくるので、さらに効果的に改善を行えるようになります。

ABテストを行える代表的なツール

ABテストを行えるツールのうち、BtoB企業やSaaS企業が活用しやすいものを4つご紹介します。

  • Googleオプティマイズ
  • Optimizely
  • Kaizen Platform
  • HubSpot

Googleオプティマイズ

Googleオプティマイズ

URL:https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/optimize/

製品名:Googleオプティマイズ

製品価格:無料

ABテストの対象物:Webサイト、Google広告、アプリ

教育コンテンツ:Google Marketing Platform オフィシャルブログ(英語)

Googleオプティマイズは、Googleが無料で提供しているツールです。ABテストを行うのが初めての方は、まずはGoogleオプティマイズを試してみることをおすすめします。そして機能や使い勝手に不満を感じたら、有料ツールを検討しましょう。

Optimizely

Optimizely

URL:https://www.optimizely.com

製品名:Optimizely

製品価格:要問い合わせ

ABテストの対象物:Webサイト、アプリ、Apple TV、AndroidTVなど

教育コンテンツ:サポートページ(英語)

Optimizelyでは、ソフトウェア開発キットが公開されています。多様なプログラミング言語を用いて、あらゆるテスト対象に接続できるのが特徴です。プログラミングによって思い通りのABテスト環境を構築したい場合は、Optimizelyを利用するとよいでしょう。

Kaizen Platform

Kaizen Platform

URL:https://kaizenplatform.com

製品名:Kaizen Platform

製品価格:要問い合わせ

ABテストの対象物:Webサイト、申込み・登録フォーム

教育コンテンツ:コラムお役立ち資料

Kaizen Platformは、申込み・登録フォームのABテストがしやすいツールです。ツールの提供を受けるだけでなく、専門人材からのサポートを受けられるので、ABテストに社内リソースを割けない場合に向いています。

HubSpot

HubSpot

URL:https://www.hubspot.jp

製品名:HubSpot Marketing Hub

製品価格:月額5,400円、96,000円、384,000円

ABテストの対象物:Webサイト、ランディングページ、Eメールなど

教育コンテンツ:ブログ無料ダウンロード資料ナレッジベース

HubSpotは、幅広い業務に活用できるCRM(顧客管理)プラットフォームであり、ABテストを実行可能です。ABテストだけでなくCRMの必要性も感じているのであれば、HubSpotの導入を検討するとよいでしょう。

まとめ

ABテストを行うことで、Webサイトのコンバージョン率の改善を進められます。また、テスト対象はWebサイトに限らず、応用範囲が非常に広いのが特徴です。ABテストのやり方を5ステップでご紹介しました。

  1. 仮説を立てる
  2. 単変数か他変数か決める
  3. 別バージョンを作成
  4. テスト開始
  5. 効果の検証

BtoB企業やSaaS企業がABテストを適切に行えるようになれば、さまざまなマーケティング活動に役立てられるでしょう。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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