リダイレクトとは？リダイレクトの種類や活用シーン、警告の対処法をわかりやすく解説

Webサイトの運営でリダイレクトは避けて通れない重要な技術ですが、間違った設定がSEOを大きく損なうことをご存知ですか？

「ドメイン変更によりリダイレクトが必要になったけど、どう設定すればよいのかわからない…」「リダイレクトは設定したけど、ちゃんと動いているか不安…」このような悩みを抱えている場合、ぜひ本記事を読み進めてください。正しくリダイレクトを使いこなせば、トラフィックの増加や検索順位の向上を実現し、ユーザーの満足度もアップさせることができるのです。

本記事では、リダイレクトの基本から、知っておくべき種類や活用シーン、さらに、リダイレクトが無効になる際のトラブルシューティングまで、具体例を交えながらわかりやすく解説します。ほんの少しの設定ミスで、検索エンジンからの評価が落ちる前に、リダイレクトの正しい知識を身につけ、安心してサイトを運営できるようになっていただければと思います。

リダイレクトとは

リダイレクトとは、ユーザーがあるURLにアクセスした際に、自動的に別のURLに転送される仕組みを指します。

Webサイトの運営において重要な機能であり、ユーザー体験の向上、SEO効果の維持、そしてWebサイト全体の整合性を保つために用いられる技術です。たとえば、ブランド名の変更に伴いドメインを変更した場合、古いドメインにアクセスしたユーザーを新しいドメインにスムーズに誘導するためにリダイレクトが活用されます。

同様に、サイトのページ構造を改善する際、既存のページURLを変更したり、不要なページを削除したりした場合でも、リダイレクトが設定されていれば、ユーザーは適切なページへと自動的に転送されるのです。

Webサイト運営初期段階は活用する機会が少ないでしょうが、ドメイン変更やページのURL変更、一時的なキャンペーンをする際は必須の技術であり、サイト運用担当者は適切に理解をしておかなければいけません。

リダイレクトの仕組み

リダイレクトには、主に「サーバー側」と「クライアント側」の2つの方法があります。それぞれのリダイレクトは、技術的な実装方法や使い方に違いがあり、用途に応じて適切に選ぶことが重要です。

サーバー側のリダイレクト

サーバー側のリダイレクトは、ユーザーがWebページをリクエストした際に、サーバーが自動で新しいURLへ転送する仕組みです。サーバーがリクエストを受け取った時点で転送を行うため、ユーザーはほとんど気づかずに新しいページへアクセスできます。また、検索エンジンにも認識されやすく、SEO対策としても効果的です。

代表的なリダイレクトには301リダイレクトと302リダイレクトがあります。301リダイレクトは、ページが永久に移動したことを示し、旧URLのSEO評価やリンクの価値を新しいURLに引き継ぐことが可能です。サイトのリニューアルやドメイン変更の際に、よく使用されます。

一方、302リダイレクトは一時的な移動を意味し、元のページの評価を保持しつつ、一時的な新しいページにユーザーを誘導する方法です。キャンペーンやメンテナンスなど、期間限定での使用に適しています。

サーバー側のリダイレクトは、検索エンジンのクローラーに正しく認識されるため、SEOの効果を最大限に引き出せる信頼性の高い方法です。適切に設定することで、検索順位を保ちながらユーザー体験を向上させることができます。

クライアント側のリダイレクト

クライアント側のリダイレクトは、ユーザーのブラウザ上で実行され、主にJavaScriptやHTMLのmeta refreshタグが使われます。サーバー側でリダイレクトの設定が難しい場合や、ブラウザごとの挙動をコントロールしたいときに便利な方法です。

meta refreshタグを使用したリダイレクトでは、HTML内にタグを追加し、指定した時間後に別のページへ転送します。たとえば「5秒後に新しいページにリダイレクトされます」といった具合に表示し、一定時間の経過後に転送するケースが一般的です。ただし、この方法は検索エンジンが正確に評価しにくいため、SEO効果が低いとされており、頻繁な使用は推奨されません。

一方、JavaScriptによるリダイレクトは、特定の条件に応じてリダイレクトを実行できるため、より柔軟に設定できます。たとえば、ユーザーのデバイスや位置情報に基づいて、別のページに誘導する場合などに使用されます。しかし、検索エンジンのクローラーがこのリダイレクトを正確に認識できるかは不確実であり、SEOへの影響が不透明です。

クライアント側のリダイレクトは、ユーザー体験を向上させる一時的な手段として有効ですが、SEOの観点では、サーバー側のリダイレクトの方が推奨される方法です。

リダイレクトの設定がなぜ重要なのか

リダイレクトを設定することで、ユーザーが適切なページを閲覧できるようになるだけではなく、元のページのSEO効果を引き継ぐという効果も得られるのです。以下では、リダイレクト設定が持つ具体的な効果について詳しく解説します。

検索者の体験を良くする

リダイレクト設定は、検索ユーザーの体験を向上させるために欠かせない要素です。

たとえばURLが変更されたり、ページが削除されたりした際にリダイレクトが設定されていないと、ユーザーは「404エラーページ」にたどり着き、不満を抱くことがあります。特に情報を急いで探しているユーザーにとって、これは大きなストレスとなり、サイトの信頼性を損なうリスクが高まります。また、404エラーに直面したユーザーはすぐに離脱する傾向があり、SEOにも悪影響を与える可能性があるのです。

しかし、適切なリダイレクトを設定することで、ユーザーはURLの変更に気づかず、スムーズに目的のページに誘導されます。たとえば、古いURLをブックマークしていたユーザーが再アクセスした場合でも、自動的に新しいURLに転送され、ストレスなく情報を得ることが可能です。

実際、Mozの調査では、リダイレクトを適切に活用しているWebサイトは直帰率が70％減少し、セッションの平均継続時間が2.75倍に増加したと報告されています。

特にEコマースサイトや情報提供サイトでは、ユーザーが探している商品や情報に迅速にたどり着くことが重要です。商品のURLが変更されても、リダイレクトを適切に設定すれば、購入者が確実に目的のページにアクセスでき、コンバージョン率の向上につながります。

このように、リダイレクト設定は単なる技術的な対応ではなく、ユーザー体験を守り、ビジネス成果を高めるための重要な要素です。

SEO効果の維持

リダイレクトのもう一つの重要な役割は、WebサイトのSEO効果を維持することです。

ページのURLが変更されたり削除されたりした場合、適切なリダイレクトが設定されていないと、検索エンジンはそのページを「存在しない」と判断し、ページ評価がリセットされる可能性があります。これにより、元のページが持っていた検索順位や外部リンクからの評価が失われ、結果的にトラフィックの減少や検索順位の低下を招くリスクが高まるのです。

Search Engine Journalによると、ある旅行関連サイトではリニューアル後にリダイレクトを「不要」と判断し削除した結果、トラフィックが一週間で20％減少しました。原因は、旧URLからの被リンクの評価が引き継がれず、新しいURLにリンク価値が伝わらなかったことです。このような例からも、リダイレクトの重要性がわかります。

しかし、301リダイレクト（永続的な移転）を正しく設定すれば、旧URLのSEO評価を新しいURLに引き継ぐことができます。これにより、ページが移動しても検索エンジンは旧ページの評価を保持したまま、新しいURLにも同様の評価を適用できるのです。

また、リダイレクトが不完全だと、検索エンジンのクローラーがサイト内のページを正しく巡回できなくなり、新しいページがインデックスされない可能性があります。これにより、検索結果に新たなページが表示されにくくなり、サイト全体のSEOに悪影響を及ぼすこともあります。

リダイレクトの設定のSEOでの重要性

ここでは、SEO対策におけるリダイレクト設定の重要性について詳しく見ていきましょう。

ページ評価の引き継ぎ

SEO対策でリダイレクトが最も重要な理由は、元のページのSEO効果が新ページへ引き継がれることです。

たとえば、長年運用していたページが高いSEO評価を持っている場合、そのURLを変更するだけで、検索エンジン上の評価や順位が失われてしまうリスクがあります。しかし、301リダイレクトを設定しておけば、検索エンジンはそのページが新しいURLに恒久的に移動したことを認識し、旧URLに関連するSEO価値をそのまま新URLに移行するのです。

ただし、必ずしもすべての評価が引き継がれるとは限りません。筆者はドメイン変更のプロジェクトに関わってきましたが、301リダイレクトの設定をしても、移行後は一時的にパフォーマンスが落ちるケースがいくつかありました。あくまでも301リダイレクトを設定することで、大規模なリニューアルやURL変更時における、SEOの損失を最小限に抑えられると考えておいた方がよいでしょう。

被リンクの効果を最大化

SEOにおいて重要なランキング要素のひとつが被リンクです。

他のサイトから自社サイトへのリンクがあると、そのページの権威性が評価され、検索エンジンのランキングに良い影響を与えることが知られています。しかし、URLが変更されてリダイレクトが設定されていない場合、被リンクの効果は無効となり、リンク元のSEO効果も失われてしまうのです。

たとえば、古いURLに対して他のサイトやブログがリンクを貼っていた場合、そのリンクは検索エンジンに評価され、順位向上に貢献しますが、リダイレクトが設定されていない場合、ユーザーがそのリンクをクリックしても404エラーページに辿り着いてしまいます。

つまり、被リンクの価値が失われるだけでなく、検索エンジンのクローラーも正しい情報をインデックスできないため、検索順位が大きく低下する可能性があるのです。

適切な301リダイレクトを設定することで、古いURLに対する被リンクの価値を新しいURLに継承し、SEO効果を最大化できます。

ユーザーエクスペリエンスとSEOの両立

リダイレクトを正しく設定することで、ユーザーエクスペリエンスを損なうことなく、SEO効果も維持することが可能です。

たとえば、特定のキャンペーンや季節限定オファーが終了した後に、適切なリダイレクトが設定されていなければ、ユーザーは無効なページにアクセスしてしまいます。このような事態は、サイト全体の信頼性を損ない、ユーザーがサイトをすぐに離脱する原因となります。結果的に、離脱率の増加は検索エンジンにも悪い影響を与え、SEOパフォーマンスの低下につながる可能性があるのです。

しかし、302リダイレクトなどの一時的なリダイレクトを利用すれば、キャンペーン期間中にユーザーを別のページにスムーズに誘導し、終了後には元のページに戻すことができます。これにより、ユーザーが常に有効なページにアクセスでき、スムーズな操作性を提供できると同時に、検索エンジンに対しても正確な情報を伝えられます。

このように、リダイレクトの適切な活用は、ユーザー体験の向上とSEOの維持を両立させ、サイトのパフォーマンスを最大化するために欠かせない要素です。

リダイレクトの種類

リダイレクトにはいくつかの種類があり、それぞれに異なる用途やSEO効果が伴います。主に使用されるのは、301リダイレクト、302リダイレクト、そしてクライアント側で行われるmeta refreshです。それぞれのリダイレクトがどのように機能し、どのような場面で活用されるかについて詳しく見ていきましょう。

301リダイレクト

301リダイレクトは、Webページが永続的に新しいURLへ移転したことを示すリダイレクトで、SEO対策で使用されることが多いです。

検索エンジンは301リダイレクトを見たとき、旧URLに関連するコンテンツや評価が新URLに移動したとみなします。その結果、検索結果ページでも新しいURLが表示され、旧URLの被リンク効果も失われることなく、新URLに移行します。主な活用シーンは以下の通りです。

• ドメイン変更：たとえば新しいブランド名に変更する際、旧ドメインを新ドメインに301リダイレクトすることで、SEO評価を維持できます。
• ページの削除：古いページを削除したり、複数コンテンツを統合したりする際、新しいページに301リダイレクトを設定することで、ユーザーは404エラーページに遭遇せず、サイト内の他のコンテンツにスムーズに誘導されます。
• URLの再構築: URL構造の変更が必要な場合、古いURLから新しいURLに301リダイレクトを設定することで、SEO効果を保ちながら新しいページにアクセスさせられます。

301リダイレクトは、URL変更が恒久的である場合に最も効果的であり、検索エンジンにも適切に反映されるため、SEOを損なうことなくサイト構造の変更が可能です。

302リダイレクト

302リダイレクトは、ページが一時的に別のURLに移動する場合に使用されるリダイレクトです。

302リダイレクトを設定すると、検索エンジンは元のURLを保持し、検索結果には引き続き旧URLが表示されます。これにより、SEO効果は旧URLに残され、検索エンジンは「ページが一時的に移動している」と解釈します。

たとえば、限定キャンペーンやセールを行う際、特定の期間だけ302リダイレクトを設定し、キャンペーン終了後に元のページに戻すことが可能です。また、サイトやページのメンテナンス時に302リダイレクトを設定し、一時的に別のページにアクセスを誘導することで、ユーザーに不便をかけることなく対応できます。

このように302リダイレクトは、短期間だけURLを変更したい場合に適しており、元のページのSEO評価を保持するため、特定の目的で一時的にリダイレクトを使用する際に便利です。

meta refresh

meta refreshは、クライアント側で行われるリダイレクト手法で、HTMLの<meta>タグを使用してページを自動的に別のURLへ転送する方法です。

ページが読み込まれてから数秒後にリダイレクトが行われるため、「5秒後に新しいページにリダイレクトされます」といったメッセージを表示してから転送する場合によく使用されます。

ただし、meta refreshはリダイレクトに遅延が発生するため、ユーザー体験を損ねることがあります。また、SEOの観点からも、サーバー側で行われる301リダイレクトのように、検索エンジンに対して正確にページ移転を伝えることが難しく、ページの評価やリンクの引き継ぎが不十分になる可能性があるでしょう。そのため、恒久的なページ移動やSEOを重視する場面では、meta refreshは避け、サーバー側のリダイレクトを利用することが推奨されます。

meta refreshは、一時的なリダイレクトやサーバー設定が難しい場合など、限定されたシチュエーションでのみ使うべき手法です。

リダイレクトのマーケティングでの活用シーン

ここでは、リダイレクトの活用シーンを見ていきましょう。活用シーンを把握することで、SEO効果やユーザー体験を低下させることなく、各種マーケティング施策を実行できるようになります。

ドメインの変更

リブランディングを行う際やSEOの観点からより適切なドメインを取得する場合、サイトのドメイン変更が行われるでしょう。こうした場合、古いドメインから新しいドメインへ自動的にアクセスが転送されるように、301リダイレクトを設定することが重要です。

適切なリダイレクトが設定されていなければ、これまでのSEO効果が失われ、検索順位が低下するリスクがあります。さらに、既存顧客やユーザーが古いURLをブックマークしていた場合、リダイレクトが設定されていなければ、目的のページにアクセスできず、企業の信頼を損ねる可能性もあるのです。

301リダイレクトを使用することで、旧ドメインのSEO評価や被リンクの効果を新しいドメインに引き継ぎ、既存の検索トラフィックも維持されます。これにより、検索順位やサイトの信頼性を保ちつつ、新しいドメインへのスムーズな移行が可能です。

ドメイン変更の際には、各ページごとにリダイレクトを適切に設定し、ユーザーと検索エンジンの双方に対して、混乱を避けるようにしましょう。

ページを永久に削除

特定のページを永久に削除する場合、リダイレクトが設定されていないと、ユーザーが「404エラーページ」にたどり着き、サイト全体の信頼性が低下するリスクがあります。これを防ぐため、削除するページと最も関連性の高いページへ301リダイレクトを設定するとよいでしょう。

たとえば、古い製品を廃止する際、その製品ページにアクセスしたユーザーを新しい製品ページや同じカテゴリの他の商品ページにリダイレクトすることで、ユーザーが興味を失わず、コンバージョンの機会を維持できます。また、リダイレクトによってエラーページによるユーザー離脱を防ぐだけでなく、検索エンジンにも正しくページの移転や削除を伝えられ、SEOの評価も保たれるのです。

特に、ユーザーがブックマークしているページや被リンク数が多いページの場合、効果が無効にならないようにリダイレクト設定を行うことが重要です。削除するページと関連性の高いコンテンツがない場合は、ユーザーに対して代替案や関連情報を提示するページに誘導するようにしましょう。

ページURLの変更

サイトの再構築やSEOの最適化を目的にページURLを変更する場合、301リダイレクトを設定することが重要です。これにより、旧URLの評価やトラフィックを新しいURLに引き継ぐと同時に、検索エンジンのインデックスを更新し、検索順位の低下を防げます。

たとえば、URLを短くして読みやすくする場合やキーワードを含んだSEOフレンドリーなURLに変更する場合があるでしょう。こうした変更の際には、古いURLに301リダイレクトを設定しておけば、検索エンジンとユーザーの両方が新しいURLをスムーズに認識し、リダイレクトされたページも同様の評価を維持することが可能です。

URL変更後は、Google Search Consoleでサイトマップの更新を行い、検索エンジンに新しいURLを速やかにインデックスしてもらえるようにしましょう。また、ブックマークや外部リンクから旧URLにアクセスするユーザーにも影響がないように、リダイレクト設定を正確に行い、ユーザー体験を損なわないようにすることが大切です。

親ページの変更

親ページとは、複数の子ページをまとめるカテゴリのようなページで、ブログやECサイトでよく使われます。親ページが変わると、その下にある子ページにも影響が出るため、リダイレクトをしないとユーザーがアクセスできなくなることがあります。

たとえば、ECサイトで「洋服」カテゴリの親ページのURLが変わった場合、ユーザーがそのページをブックマークしていると、変更後にアクセスできなくなる可能性があるのです。また、検索エンジンも古いURLを記憶しているため、適切なリダイレクトがないとSEOにも悪影響が出てしまいます。

この問題を避けるためには、301リダイレクトを設定して、古い親ページのURLにアクセスしたユーザーや検索エンジンを自動的に新しいURLへ誘導する必要があります。また、親ページだけでなく、その下にある子ページも正しくリダイレクトされているかを確認することが大切です。

リダイレクトが正しく設定されていれば、ユーザーは問題なく新しいページにアクセスでき、SEOの評価も守られます。

Webページのメンテナンス

Webページがメンテナンス中の場合は、302リダイレクトを設定しましょう。

302リダイレクトは、ページが一時的に利用できない状況で使われ、メンテナンスが終了した後に元のURLへ戻すことが可能です。この方法を使用することで、ユーザーが「エラーページ」に直面することなく、メンテナンス期間中でも別のページにスムーズに誘導できます。

たとえば、大規模な更新やアップグレードを行う場合、メンテナンス中に一時的な302リダイレクトを設定して、特別なメンテナンスページや関連する商品ページに誘導します。メンテナンスが終了したら元のページに戻せば、ユーザー体験に悪影響を与えることなく作業を完了できます。

このように、302リダイレクトを活用することで、メンテナンス中のユーザーの不便を最小限に抑え、サイトの信頼性を維持することが可能です。

重複ページの結合

Webサイトに重複したページや類似コンテンツが存在すると、SEOに悪影響を及ぼす可能性があります。特に、同じキーワードを狙う複数のページが互いに競合し、検索結果で順位が分散してしまう「キーワードカニバリゼーション」の問題が発生しやすくなります。これを解消し、SEO効果を最大限に引き出すために、ページの統合と301リダイレクトの設定が重要です。

世界的に有名なSEOツール「ahrefs」が提唱する「カクテルテクニック」は、複数の関連性の高いページを1つに統合し、より多くのオーガニックトラフィックを獲得する手法です。この方法により、ページごとに分散していたSEO効果を1つに集約し、検索順位を向上させられます。

まず、キーワードカニバリゼーションが発生しているページを特定し、どのページが被リンクやSEO効果を持っているかを分析します。その後、トピックやコンテンツが似ているページを1つに統合。この際、各ページの最も効果的な要素を組み合わせ、検索意図をしっかりと満たす質の高いコンテンツを作成することがポイントです。

統合が完了したら新しいページを公開し、古いページには301リダイレクトを設定します。これにより、旧URLにアクセスするユーザーや検索エンジンのクローラーを自動的に新しいページへ誘導し、古いページの評価や被リンクの効果を引き継ぐことが可能です。こうした作業により、重複コンテンツによるSEOペナルティを回避し、検索結果での順位を改善できます。

このカクテルテクニックを活用することで、複数ページのSEO効果を1つに統合し、オーガニックトラフィックを効率的に増やすことが可能です。重複ページの整理と統合は、コンテンツの質を高めるだけでなく、サイト全体のSEOパフォーマンス向上にも寄与するため、特にキーワードカニバリゼーションが発生している場合に有効な手法です。

HTTPからHTTPSへの切り替え

HTTPSへの移行はセキュリティを強化するだけでなく、SEOにも有利です。

GoogleはHTTPSを検索順位の評価要素の一つとしており、SSL証明書を導入することで、サイトのセキュリティが向上し、検索エンジンでの評価も高まります。ただし移行に際しては、すべてのHTTPページが正しくHTTPSページに301リダイレクトされるように設定することが重要です。これにより、ユーザーは安全に新しいページへ誘導され、SEOの評価も維持・向上させることができます。

一時的なキャンペーン

特定の期間中にユーザーをキャンペーンページに誘導したい場合、302リダイレクトを使用して、一時的に別のページへ転送することができます。キャンペーン終了後には元のページに戻すことで、SEOの評価を維持しつつ、ユーザーの誘導を効率的に行えます。

たとえば、特定の月に限定商品のプロモーションを実施する場合、302リダイレクトを使って特設ページに一時的に誘導し、キャンペーン終了後に元のページに戻すことが考えられます。そうすることで、キャンペーン期間中のアクセス増加に対応しながら、SEOパフォーマンスを保ち、キャンペーンの効果を最大化できます。

302リダイレクトは、短期間のプロモーションやイベントに最適なリダイレクト方法であり、終了後も元のページの評価に影響を与えない点で有効です。

リダイレクトの警告の意味と対処法

リダイレクトが適切に設定されていない場合や誤った使い方をすると、ユーザー体験の悪化や検索エンジンからの評価に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、リダイレクトチェーンやリダイレクトループが発生した場合、ブラウザや検索エンジンによって警告が表示されることがあり、SEOにペナルティが課されることもあるのです。

以下では、よく見られるリダイレクトに関連する警告と、その対処法について詳しく解説します。

リダイレクトチェーン

リダイレクトチェーンとは、AページがBページにリダイレクトされ、さらにBページがCページにリダイレクトされるように、複数のリダイレクトが連続して発生する状況を指します。このチェーンが続くと、ページ読み込みが遅くなるのです。特に、3回以上のリダイレクトが連続すると、ユーザーは途中でページ表示を諦めることが多く、検索エンジンもページをインデックスしなくなる可能性があります。

リダイレクトチェーンが発生している場合、最初のページ（Aページ）から最終的なページ（Cページ）に直接リダイレクトするように設定を変更しましょう。これにより、リダイレクトの回数を減らしてページ読み込み速度を向上させ、検索エンジンによるペナルティのリスクを回避できます。

リダイレクトループ

リダイレクトループとは、AページがBページにリダイレクトされ、その後Bページが再びAページにリダイレクトされるように、無限にリダイレクトが繰り返される状態を指します。この結果、ブラウザはリダイレクトを永遠に繰り返し、最終的にはエラーメッセージが表示され、ページが読み込めなくなります。また、検索エンジンもリダイレクトループを検出すると、そのページをインデックスから除外する可能性が高く、SEOに大きな影響を与えます。

リダイレクトループが発生した場合、まずリダイレクト設定を再確認し、同じページ間でリダイレクトが繰り返されていないかをチェックするのが大切です。サーバー設定やCMSのリダイレクトプラグインの設定ミスが原因となることが多いため、各リダイレクトルールを細かく検証し、問題のある設定を修正しましょう。

また、ブラウザのキャッシュがリダイレクトループを引き起こす場合もあるため、設定を修正した後は、ブラウザのキャッシュをクリアして、正しく動作しているか確認します。

404エラーページへのリダイレクト

リダイレクトを設定しても、誤って存在しないページや削除されたページにリダイレクトしてしまうと、404エラーが発生することがあります。まずはリダイレクト先のページが正しく存在しているかを確認することが重要です。404エラーを防ぐためには、常に有効なURLにリダイレクトを設定し、削除されたページには関連する別のページにリダイレクトするか、場合によってはトップページへのリダイレクトを検討します。

（弊社のカスタマイズした404ページ）

万が一ユーザーが404エラーページに到達してしまった場合でも、カスタマイズされた404ページを用意しておけば、ユーザーが簡単に他の関連コンテンツへアクセスでき、離脱率の減少を見込めます。404エラーページに検索バーやHomeページへのリンクを設置することで、ユーザーの利便性を高められるでしょう。

不適切なリダイレクト設定によるSEOのペナルティ

検索エンジンは、ユーザーに正確で有益な情報を提供するため、リダイレクトの乱用や不適切な設定を厳しく評価します。

たとえば、ユーザーが検索エンジン経由で特定のページにアクセスしようとした際に、全く関係のないページ（製品ページやランディングページ）に強制的にリダイレクトされると、これが「不正なリダイレクト」と見なされ、検索エンジンからペナルティを受ける可能性があります。

リダイレクトを行う際は、ユーザーが元々アクセスしようとしていたページに関連性の高いページに転送することが基本です。関連性の低いページにリダイレクトするのは避けましょう。

リダイレクトが無効になる場合の対処

リダイレクト設定が正しく行われていても、うまく機能しないことがあります。この場合、原因は主にサーバー設定やCMSの設定ミス、あるいはリダイレクトルールのエラーであることが多いです。

まず、サーバーの設定ファイル（たとえば「.htaccess」）やCMSのリダイレクトプラグインの設定が正しく動作しているかを確認しましょう。特に、異なるプラグインやツールを併用している場合、それらが競合してリダイレクトが無効化されてしまうことがあります。設定が適切に機能しているか、または競合がないかをチェックすることが重要です。

次に、ブラウザのキャッシュやクッキーが原因でリダイレクトがうまく機能しないこともあります。リダイレクト設定を修正した後は、必ずブラウザのキャッシュをクリアし、変更が正しく反映されているか確認してください。キャッシュが古い情報を保持していると、設定の変更が正しく反映されず、リダイレクトが機能しないことがあります。

これらの対処法を試すことで、リダイレクトが正しく動作しない問題を解決でき、ユーザーがスムーズにアクセスできるようになります。

リダイレクトの設定方法

ここでは、代表的なリダイレクト設定方法について、.htaccessファイル、WordPressプラグイン、そしてCMSでの設定手順を詳しく説明します。

.htaccessでの設定方法

Apacheサーバーを使用しているWebサイトでは、.htaccessファイルを使って簡単にリダイレクト設定ができます。

このファイルはサーバーレベルでの設定を行うため、リダイレクトの処理が迅速で、SEOにも効果的です。特に、恒久的なリダイレクト（301リダイレクト）を設定する際によく使用されます。基本的なリダイレクトコードは以下の通りです。

たとえば、古いページを新しいページにリダイレクトする際は、次のコードを.htaccessファイルに追加します。

ここでは、"old-page.html" にアクセスしたユーザーを "new-page.html" にリダイレクトします。

また、特定のディレクトリ全体をリダイレクトしたい場合は、以下のように設定します。

これにより、ディレクトリ内のすべてのページが新しいディレクトリにリダイレクトされ、個別にページを指定する必要がなくなります。

さらに、HTTPからHTTPSへサイト全体をリダイレクトしたい場合、次のコードを使います。

これにより、HTTPでのアクセスが自動的にHTTPSにリダイレクトされ、セキュリティが強化されます。

.htaccessは非常に強力なツールですが、誤ってコードを記述するとサイト全体がダウンするリスクもあるため、作業前には必ずバックアップを取ることが重要です。

WordPressでの設定方法

WordPressでリダイレクトを簡単に設定するには、「Redirection」プラグインを利用するのが便利です。このプラグインは無料で、多機能な上に初心者でも操作しやすいことから広く使われています。

(出典：WordPress)

まず、WordPressのダッシュボードから「Redirection」プラグインをインストール、有効化します。インストール後、以下の手順でリダイレクト設定を行いましょう。

1. 「ソースURL」には、リダイレクト元の古いページのURLを入力（例: /old-page/）。
2. 「ターゲットURL」には、リダイレクト先となる新しいURLを入力（例: https://www.example.com/new-page/）。
3. リダイレクトタイプを設定し、「リダイレクトを追加」をクリック。

Redirectionプラグインでは、すべてのリダイレクトを一覧で管理できます。リダイレクトチェーンやリダイレクトループが発生していないかをチェックする機能もあり、サイトのリダイレクト設定を効率的に最適化できます。

CMSでの設定方法

HubSpotなどのCMS（コンテンツ管理システム）では、リダイレクト機能が標準で備わっており、プログラムの知識がなくても簡単にリダイレクトを設定できます。HubSpotを例に、リダイレクトの設定方法を説明します。他のCMSを利用している場合は、それぞれのシステムに応じた操作手順を参考にしてください。

まずはHubSpotダッシュボードから「設定」 > 「コンテンツ」 > 「ドメインとURL」セクションに移動し、「リダイレクトドメインを接続」を選択します。

リダイレクト先のドメインを指定します。

その後は画面の指示に従い、元のURL、リダイレクト先URL、リダイレクトタイプを入力して完了です。

HubSpot以外のCMSでも、リダイレクト機能は用意されており、各プラットフォームの手順に従って簡単にリダイレクトを設定できます。各CMSのサポートページやヘルプガイドを参考に設定を行うとよいでしょう。

リダイレクトの設定をする上で気をつけるべきこと

リダイレクトの設定は、サイト運営やSEO対策において重要ですが、適切に管理されていないリダイレクトは、サイトパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。特に古いURLの使用の継続、リダイレクト解除期間の管理など、細部にわたって注意をしなければいけません。ここからは、リダイレクトの設定をするうえでの注意点を見ていきましょう。

古いページURLを継続して使用してしまう

古いページのURLをリダイレクトしても、内部リンクで引き続きその古いURLが使われている場合、いくつかの問題が生じます。

まず内部リンクが古いURLを指していると、リダイレクトを通過することでページの読み込みが遅くなり、ユーザーが目的のページにたどり着くまでに余計な時間がかかってしまいます。

また、検索エンジンのクローラーも無駄なリダイレクトを辿る必要があり、その結果クロール効率が低下します。このような状況では、リダイレクトチェーンが発生しやすくなり、新しいページへの評価がうまく引き継がれないリスクがあるのです。その結果、SEO効果が十分に発揮されないどころか、新しいページの検索順位が上がるまでに時間がかかってしまいます。

この問題を防ぐためには、まずサイト内の内部リンクをすべて新しいURLに更新することが重要です。

また、他のサイトから古いURLにリンクが貼られている場合は、そのサイトの管理者に連絡し、新しいURLを案内することも効果的です。特に、信頼性の高い外部リンクはSEOに大きな影響を与えるため、外部サイトからのリンクも新しいURLに更新されているかを確認することで、SEOの効果を最大限に引き出せます。

適切にリダイレクトを設定していても、古いURLが使われ続けるとその効果は半減してしまいます。内部リンクと外部リンクの両方を適切に更新し、リダイレクトの効果を最大限に活用することで、サイト全体のSEOパフォーマンスを維持することが可能です。

リダイレクト解除期間の設定

リダイレクトを設定する際にもう一つ重要なのは、リダイレクトを解除するタイミングです。

302リダイレクト（一時的なリダイレクト）を使っている場合、リダイレクトが不要になった後にその設定を解除しないと、SEOに悪影響を及ぼす可能性があります。

たとえば、キャンペーンページやメンテナンス中に一時的に設定したリダイレクトを、キャンペーン終了後やメンテナンスが完了した後もそのまま残してしまうと、検索エンジンがそのリダイレクトを恒久的とみなし、元のURLの評価が失われるリスクがあります。結果的に、SEOの効果が新しいURLに偏ってしまい、サイト全体の評価が低下する恐れがあるのです。

この問題を防ぐためには、まずリダイレクトの期間を管理することが重要です。302リダイレクトのような一時的なリダイレクトは、必要な期間が終わったら解除するか、適切なページに再設定しましょう。

また、リダイレクト設定が適切な期間内で行われているか、定期的に確認することも欠かせません。キャンペーンやイベントが終わった後にリダイレクトがまだ有効かどうかを確認し、必要がなければ速やかに解除します。こうした定期的な確認作業をスケジュール化することで、リダイレクトによる無駄な影響を防ぎ、サイトのSEOパフォーマンスを維持できます。

まとめ

リダイレクトは、検索エンジンとユーザーの両方にリンク先が移転したことを伝える技術です。適切にリダイレクト設定をしなければ、ユーザーは必要な情報にたどり着けない、旧リンクの被リンクやSEOランクなどを引き継げないなどの影響を招いてしまいます。

ドメイン変更やサイトメンテナンス、URLの構造変更を行う際には、必ず適切なリダイレクト設定を行い、SEO効果を損なわず、ユーザーの利便性を維持するよう心がけましょう。これにより、長期的に見てサイト全体のパフォーマンス向上を実現することができます。