BtoB事業に携わるマーケターのうち、現状で自社のマーケティング関連の取り組みについて「課題を感じている」という人は75%以上にも及ぶことが明らかになりました。これは、マーケティングやDX事業を展開する株式会社ナイルが2023年8月、約500人のマーケターを対象に実施した調査結果によるものです。
また、多くのマーケターが施策上の課題を感じている中でも「効果を感じている施策」の上位には「オウンドメディア」の存在が。BtoBマーケティングにおいてオウンドメディアは、重要な打ち手になっていることが伺えます。
オウンドメディアの立ち上げや運営は、ポイントを押さえれば、インハウスで小さく始めることも不可能ではありません。
そこで本記事では、BtoBオウンドメディアのデザインやCMS選定のポイントについて、マーケティングの観点を交えながら解説します。
オウンドメディアは、BtoBマーケティングにおいて重要な役割を果たします。
オウンドメディアとは、自社で保有しているメディアのこと。デジタルマーケティングの文脈では「ブログ」「ニュースサイト」「キュレーションサイト」などWebメディアを指すのが一般的です。
たとえば以下のような目的で利用されることが多いと言えるでしょう。
ポイントを押さえて適切に運営を行うことで、さまざまなビジネス上の利益を得ることができます。しかし、目的に沿った成果を獲得するには、記事が蓄積されてメディアとして認知を獲得し、発信力をつける必要があるので、6カ月から2年程度の期間を要します。
できるだけ早く成果を獲得するには、他のマーケティング施策同様、まずはKGIを明確に定めることが重要です。
たとえばある企業が、「CPAが高騰しているので、広告経由でリード獲得を進める戦略から、オウンドメディア経由での獲得戦略に、軸足を移していきたい」といったプランを描いているとしましょう。
リード獲得という、ビジネスにおける一定の成果を継続的に生み出すためには、そもそも「オウンドメディアが安定してユーザーに見られている」つまり「ある程度の検索ボリュームで、常に月間PVがある」という状態を作り出さなくてはなりません。そのためには、以下の要素を前もって決めておく必要があります。
数値によって計測可能な目標を定めないまま、曖昧な体制でオウンドメディアに取り組み始めると、「成果が出ない……」といった事態に陥ってしまう可能性も。走り出す前にまずはKGIやKPIを明確に決めて、それに基づいて戦略的に運営を続けていくことが重要です。
なお、オウンドメディアの目的や事例についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
BtoBマーケティングの顧客獲得プロセスは、一般的に次の7つのステップで構成されます。
このうち「1.認知(接触)」「2.サイト訪問」「リード獲得(CV)」のプロセスで、オウンドメディアが効果を発揮します。
ただし効果を発揮するためには、次のポイントを満たしているかどうかが重要な鍵となるでしょう。
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上記を満たし、オウンドメディアをワークさせるために、運営企業側が理解しておかなくてはならない重要なポイントを詳しく解説します。
BtoBオウンドメディアは、企業が直接コンテンツを制作し、潜在的なビジネス顧客にリーチするための重要な手段です。
オウンドメディアを利用することで、製品・サービスに対する深い理解を促進し、ブランド認知を高めることが可能です。オウンドメディアのコンテンツは、広告とは異なり営業色が強くないため、読者は抵抗感なく情報を受け入れてくれることを期待できるでしょう。
BtoBビジネスの潜在顧客は、日頃から業界情報や、ビジネス関連のナレッジをWebで検索し、積極的に情報収集を行っています。たとえばIT製品選定者の「(製品・サービス)認知のきっかけ」上位の情報源は検索エンジンやWebメディア、SNSであることが分かっています。
そのような状況の中、自社のオウンドメディアのコンテンツを、検索上位表示などで効果的にユーザーへ届けることができれば、関心を持つ潜在顧客を効果的に引き寄せることができるでしょう。
またオウンドメディアは「認知獲得」「リード獲得」のコスト効率に関しても、長期的に考えれば、広告と比較して優れた点があると言えます。
広告施策は、続けているうちに顧客獲得単価が上昇する傾向があります。「獲得数を維持しようとすると、長期的に広告費が大きくなりやすい」という意味です。これは、競合も同じオーディエンスを狙っていて競争が激しくなり、広告費が高くなるためです。
また広告施策に取り組み始めた当初は、反応の良いオーディエンスにリーチしやすいものの、時間が経つと新たに反応してくれるオーディエンスを見つけるのが難しくなって広告費が増える、という要因も挙げられます。
その一方オウンドメディアは、潜在顧客を検索結果などから自然に誘引することができます。「数年単位」といった長期間で見れば、「認知獲得」「リード獲得」の面で利点があると言えるのです。
BtoBオウンドメディアは、見込み客との信頼関係を築く上で重要な役割を果たします。
オウンドメディアを通して提供するコンテンツが業界の最新情報や、有益なノウハウ(実際に、ビジネスの課題解決に役立つなど)であれば、読者はその信頼性を認め、メディア運営元企業の製品・サービスへの関心も芽生えるでしょう。
「この企業は信頼に足る」という考えに至った潜在顧客は、自らの個人情報を提供することで、ホワイトペーパーのダウンロードなど、さらなる情報獲得を試みることもあります。
BtoB製品の購買プロセスでは、購入の意思決定の6割弱は、セールス担当者と商談する前に決まっています。これは、BtoBの見込み顧客とは、特定の企業のセールス担当者との商談に臨む以前に、Web上での情報収集などを通じて類似製品との比較検討などを既に済ませている、ということを表しています。
(出典:The Digital evolution in B2B Marketing | Think with Google )
よって、オウンドメディアを通じて「認知〜比較検討フェーズ」にある見込み顧客に向けて有益な情報を提供し、日頃から信頼関係を築いておくことは、最終的に潜在顧客の購買決定に大きな影響を与えると言えます。
BtoB企業にとってオウンドメディアの運営は、長期的な視点で見ると安定した集客手段となり、広告に頼ることなく効果的なマーケティング活動を展開することができます。
大きな広告費を投じなくても、メディア運用コストの範囲内で長期的に情報発信を続けることが可能であり、比較的費用対効果のよい集客が期待できるでしょう。
メディア立ち上げ後、着実に発信力を積み重ねていくためには、ある程度の初期投資と時間を要しますが、メディアの認知度や信頼度が上がり、価値あるコンテンツが蓄積されれば、継続的に潜在顧客を引き寄せることも可能です。
良質なオウンドメディアを長期的に運営できれば、自社の市場に対する影響を強化し、ブランディングを促進する有効な手段にもなり得ます。
質の高いコンテンツを提供することで、広範なターゲット層にリーチし、自社の存在をアピールできます。コンテンツが潜在顧客を引き寄せ、彼らの抱える課題解決の手助けをすることで、自社に対する認知と信頼を築くことが可能です。
重要なのは「誰が」「何を」「どのように解決できるのか」の3点を、コンテンツを通じて明確に示し、一貫した品質を保つことです。これにより、読者(見込み顧客)の信頼を獲得し、自社に対するポジティブなイメージを構築できるでしょう。
たとえば「『(Webメディア)A』というサイトは、仕事で困ったときの参照元として役立つ」「そのサイトを運営する『A社』という企業は信頼できる」といった印象を持ってもらうことで、企業イメージ向上とブランディングの強化に寄与します。
PESOモデルとは、以下の4つのメディアタイプを組み合わせたマーケティング戦略です。
(出典:有名なマーケティング理論・分析法・考え方を一覧化!知識を深めるおすすめの本もご紹介)
PESOモデル内でオウンドメディアとは、他のメディアとの連携によって、ブランドの信頼性と権威性を高める核となる存在だと言えます。
まず、オウンドメディアに潜在的な見込み顧客を誘引し、関心・信頼を獲得。あるいは、特に注目度を高めたい記事は、ピンポイントでペイドメディアに広告予算を付けて配信する施策も考えられるでしょう。
各施策の結果、多くのユーザーとの接点が生まれて記事を読んでもらい、「この会社が発信する記事は、とても良い内容だった」など、アーンドメディア上でクチコミ・他者推奨の動きが出てくれば、さらなる認知拡大も期待できます。
このように、オウンドメディアの適切な運用を起点として「PESOモデル」の好循環が生み出されると言えるでしょう。4つのメディアタイプの役割についてさらに詳しく理解したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
前項までの部分で、オウンドメディアがBtoBマーケティングにおいて担う役割について解説しました。
それでは、「うちの会社でもオウンドメディアに取り組んでいこう」と思い立ったら、まずはどのような点に気を付けるべきなのでしょうか。
本項ではまず「デザイン」の観点に的を絞ってポイントをお伝えします。
BtoBオウンドメディアのデザインを考える際、まず重要なのは、自社の読者層に合わせたデザインを選ぶことです。
デザインの選択は、読者がメディアに対して信頼を持ち、コンテンツに引き込まれるかどうかに直結します。デザインはブランドイメージを強化し、読者との関係構築に寄与するため、企業の価値観やメッセージを反映させることが重要です。
たとえば読者層が若く、デザインに敏感な人々に限定されているのであれば、斬新でスタイリッシュなデザインも好まれるでしょう。なぜなら、新しいトレンドやアイデアに興味を持つ読者が多いと想定され、「革新性」をデザインでも表現できているメディアに惹かれ、信頼を抱く可能性が高いからです。
一方、比較的読者の年齢層が高い場合などには、シンプルでクラシック、親しみやすく、読みやすいサイトデザインが適しているといえるでしょう。
たとえばデジタル庁は「ウェブアクセシビリティ」の重要性を啓蒙しており、「利用者の障害の有無やその程度、年齢や利用環境にかかわらず、ウェブで提供されている情報やサービスを利用できることが重要」であると示しています。Webサイトを新規でデザインする際には「誰にとっても使いやすいWebサイトかどうか」に配慮することも重要です。
具体的には、色使いやフォント、レイアウトなどのデザイン要素を慎重に選び、読者層の好みや特性を考慮してみてください。読者が簡単に情報を探し出し、読み進めることができるデザインにも配慮するとよいでしょう。
オウンドメディアのデザインを考える際、メディアのコンセプトや目的に合ったテイストを持たせることも重要です。
BtoBオウンドメディアの活用方法として、主に「リード獲得」「ブランディング」「採用」が挙げられます。それぞれの目的に応じたデザインのポイントを具体的に見ていきましょう。
ポイントを踏まえ、オウンドメディアのコンセプトや目的に合ったテイストを持たせることで、訪問者とのコミュニケーションを効果的に図ることができます。
リード獲得
オウンドメディアを利用してリード獲得を目指す場合、読者にとってわかりやすい導線と、CTA(コール・トゥ・アクション)ボタンが重要です。読者が求める情報を素早く提供し、次のステップへとわかりやすく誘導するデザインが求められます。
(出典:HubSpotブログ )
ブランディング
企業のブランドイメージ強化の目的でオウンドメディアを運営する場合、一貫性のあるデザインが重要です。企業ロゴやデザインをコーポレートサイトと統一し、ブランドの個性を反映させることで、訪問者に強い印象を残すことができるでしょう。
一例としてSalesforceは、ブランドのキーカラーである「ブルー」をオウンドメディア(ブログ)のデザインにも採用しています。またブログ内のフォントは、コーポレートサイトと揃えて統一感を図っていることが伺えます。
(出典:Salesforceブログ - セールスフォース・ジャパン)
採用
採用を目的としたオウンドメディアでは、企業文化や働く環境を伝えるビジュアル要素も重要です。写真や動画を活用して、オフィスの様子や社員の声を紹介し、応募者にとって魅力的な職場環境を表現しましょう。また、求職者が必要な情報に簡単にアクセスできるよう、ユーザーフレンドリーなデザインを心がけることが大切です。
以下は、フリマアプリ「メルカリ」の採用サイトの例です。誰でも簡単にスマホアプリから服や雑貨などを売買できる「メルカリ」ブランドに対して、「親しみやすさ」「カジュアル」といったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
採用サイトも、ボタン内に絵文字を配置したり、ブランドのキーカラー(赤)をデザインのポイントに取り入れたりなど、フレンドリーかつ「メルカリらしさ」を打ち出すべく、工夫されている印象です。
(出典:メルカン)
企業や製品のカラーと調和したデザイン(企業や、製品そのものを想起させるデザイン)を採用することは重要です。
企業や製品のカラーは、ブランドアイデンティティを象徴しており、ユーザーの心に強く印象づける要素です。例えば、Adobeの「赤」やHubSpotの「オレンジ」は、ブランドを象徴するカラーとして広く認識されています。
このような企業・プロダクトカラーをオウンドメディアのデザインにも取り入れるのがおすすめです。ブランドの一貫性を保ち、読者に対して統一感のある印象を与えることができるでしょう。
逆にオウンドメディアのデザインが企業・製品のカラーと大きく異なる場合、読者の印象に残りにくく、混乱を招き、信頼を損なう可能性もあります。
レスポンシブ対応は重要な要素で、今や必須の対応事項です。レスポンシブデザインとは、Webサイトがさまざまなデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレット端末など)に適応し、最適な表示をする設計のことを指します。
レスポンシブデザインを採用することで、デバイスの種類に関わらず、読者に快適な閲覧体験を提供することが可能に。これは読者の満足度を向上させ、サイトへの滞在時間の延長や、コンバージョン率の向上にも寄与します。
またレスポンシブデザインはSEOの観点からも非常に重要です。Googleをはじめ、検索エンジンは、モバイルフレンドリーなウェブサイトを評価し、検索結果において優遇しています。つまりレスポンシブデザインを採用することで、検索エンジンからの評価が向上し、検索結果でのランキングアップも期待できるでしょう。
リード獲得を主目的とする場合、読者を効果的にコンバージョンに導くためのページの作り込みや、導線設計が欠かせません。
美しいデザインや洗練されたビジュアルは、読者の注意を引き、ブランドイメージを向上させる効果があります。
しかし、それだけに焦点を当ててしまうと、実際のコンバージョンに結びつかないことも。たとえばCTA(コール・トゥ・アクション)ボタンが目立たない位置にあったり、フォームの入力が煩雑であったりすると、離脱してしまう可能性が高まります。
重要なのは、デザインと機能性をバランスよく組み合わせることです。UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を考慮し、読者が求める情報や、次に取るべきアクションへ、スムーズに遷移できるような導線を設計する必要があります。
たとえばCTAボタンは目立つ位置に配置し、クリックしやすいデザインに。フォームは入力項目を最小限にし、簡単に情報を入力できるよう工夫するとよいでしょう。
デザイナーだけでなく、マーケティング担当者やコンテンツ制作者とも連携し、デザインと機能性を両立させることで、オウンドメディアの目的を実現し、リード獲得を効果的に行うことができると言えます。
ここでは、BtoBオウンドメディア運営を成功させている著名な事例を5つ紹介し、それぞれの特徴や成功のポイントを読み解きます。
HubSpotブログは、マーケティング業務に関わる幅広いテーマを網羅し、質の高いコンテンツを提供しています。
彼らは徹底したインバウンドマーケティング(HubSpotは、インバウンドマーケティングの概念に基づいてポジショニングを行っている)とコンテンツマーケティングの考え方を採用しており、訪問者に価値ある情報を提供することで、リードの獲得と育成を行っています。
HubSpotブログは、その分野において業界標準を築いており、多くのマーケターにとって貴重なリソースです。
デザインの観点からも優れています。シンプルで使いやすいデザイン、読みやすい記事フォーマットで、サイト訪問者が求める情報を素早く見つけられるよう促していると言えるでしょう。関連コンテンツへのリンクやCTAの色・配置・コピーも分かりやすく、洗練されています。
ferretは、CMSツール「ferret One」やフォーム作成ツール「formrun」などを提供する「株式会社ベーシック」運営のBtoBオウンドメディアです。特にSEOに強く、企業のWeb担当者やマーケターなど、多くのユーザーに認知されています。
記事を通じて豊富なダウンロード資料や、インタビューコンテンツ、セミナー情報を提供し、訪問者に対して幅広いノウハウ(主にBtoBマーケティング)を発信。トップページで、記事のジャンルごとにタグを用いて分かりやすく整理されており、訪問者は目的のコンテンツに素早くアクセスすることができます。
デザインや色使いもシンプルで洗練されている印象です。各記事内にはCTAボタンや関連記事へのリンクも効果的に配置され、訪問者は次のアクション(資料ダウンロードなど)へ容易に移ることができます。
(https://cybozushiki.cybozu.co.jp)
サイボウズ式は、アプリケーション構築ツール「kintone」、グループウェア「サイボウズOffice」などで知られる「株式会社サイボウズ」運営のオウンドメディアです。
サイボウズ自体の考え方(人事や、組織・チームの育成にまつわる話題など)や情報を積極的に発信し、企業の価値観や文化を訪問者に伝える役割を果たしています。これにより、サイボウズというブランドの信頼性と認知度を高めているのでしょう。
コンテンツの種類も豊富で、著名人のインタビュー記事から業界のノウハウを共有する記事まで幅広く揃っています。さまざまな背景を持つユーザーの関心を引き、エンゲージメント(記事を読んだユーザーによる、SNSシェアなど)を高めていると考えられます。
シンプルなレイアウト、落ち着いた色使いで、コンテンツ(読み物の内容自体)に焦点を当て、際立たせている印象です。各記事内では、テキストだけでなく写真やイラストを効果的に(コンテンツの主旨やトーンに合わせて)使用し、ユーザーのコンテンツ理解を助けていると言えます。
LIGブログは、システム開発・Web制作・マーケティング支援などを手掛ける「株式会社LIG」運営のオウンドメディアです。SNSを活用した巧みな運営と、社員によるユニークなコンテンツ制作で知られています。
Facebook、X(旧Twitter)などのSNSプラットフォームを効果的に活用し、コンテンツの拡散とユーザーエンゲージメントを高めていると考えられ、ブランド認知向上と共に、コミュニティ形成を促進しています。
LIGのコンテンツは、社員が中心となって制作されており、その面白味とオリジナリティが際立っています。業界のトレンドや専門知識をユーモアを交えて提供することで、訪問者の興味を引きつけ、リピート訪問を促しているのでしょう。
このようなアプローチは、特に若い世代のユーザーにとって魅力的であり、ブランドのポジティブなイメージを構築するのに寄与していると言えます。
デザイン面では「シンプルで、読みやすいこと」を踏まえたうえで、若年層の読者を意識したスタイリッシュな雰囲気を前面に押し出している印象です。
記事コンテンツが並ぶブログトップページを深くスクロールしていくと「採用情報」に行き着くなど、記事を読んでLIGという会社に関心を持った、ファンになった人を効果的にリクルーティングしようとしている意図も伺えます。
Adobe Blogは、Creative CloudやDocument Cloudといった製品で広くビジネスパーソンに知られる「Adobe」の製品・サービスに関する情報を提供するオウンドメディアです。
Creative CloudやDocument Cloudに関連するコンテンツが豊富で、デザイン、写真、動画編集など、クリエイティブ業界で活動する人とって非常に価値のあるリソースとなっています。
Adobe製品を最大限に活用するためのチュートリアルやガイドも。初心者から上級者まで、さまざまなレベルのユーザーがAdobeのツールを効果的に使用する知識を深めることができます。
そしてAdobeのブランドカラーと言えば「赤」です。もちろんオウンドメディアのキーカラーにも「赤」を採用し、ブランドイメージが統一されています。
実際にオウンドメディアを立ち上げる際には、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の導入が欠かせません。
CMSツールがあれば、記事を更新するたびにHTML・CSSを一から記述する必要がなく、一貫性のあるデザインに則って手軽かつスピーディーにコンテンツをアップできます。記事の数が増えても、CMS内でわかりやすく一元管理も可能です。
しかし、ひとくちにCMSツールと言ってもさまざまな製品が存在していますので、ここからは、ツール選定の際のポイントを解説します。
最も重要なのはオウンドメディア運営の目的を明確にすることです。オウンドメディアは、リード獲得、ブランド認知の向上、採用、顧客エンゲージメント強化など、さまざまな目的で利用されます。このような目的を達成できる、適切なCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を選ぶ必要があります。
たとえば「リード獲得」を目的とする場合、フォームの作成や管理が簡単にできるCMSを選ぶことが重要です。また、SEO対策機能が充実しているCMSを選ぶことで、検索エンジンからのトラフィックを増やし、より多くのリードを獲得することが可能になります。
オウンドメディア運営に必要な機能が備わっているかを確認することも非常に重要です。
具体的には、
などが挙げられます。
また実際にCMSを操作する(記事の設定作業や、公開作業に携わる)スタッフのスキルレベルも考慮する必要があります。直感的で使いやすいインターフェースのCMSを選ぶことで、スタッフがスムーズにコンテンツを更新し、オウンドメディアを効果的に運営することが可能です。
さらに、将来的なオウンドメディアの規模拡大を見越し、柔軟に拡張拡張できるかもチェックしておくとよいでしょう。必要に応じて新しい機能を追加できるCMSを選ぶことで、先々のニーズにも対応可能となります。
CMSの基本機能だけでは足りない場合、追加機能をプラグインや拡張モジュールを通じて実装する場合が一般的です。特にオープンソースのCMSであるWordPressでは、6万件近くものプラグインが提供されており、これらを利用することでさまざまな機能を簡単に追加することができます。
しかしプラグインやモジュールを利用する際には、その互換性やセキュリティ、更新頻度などを確認することが重要です。古いプラグインや不正確に作られたプラグインを使用すると、セキュリティの脆弱性が生じる可能性があり、オウンドメディア全体の安全性を損なうことになりかねません。
また有料のCMSを選択する際にも、必要な機能が追加料金なしで利用できるのか、それとも追加の課金が必要になるのかを事前に確認しておく必要があります。予算内で必要な機能を全て利用できるCMSを選定することが、コスト効率の良いオウンドメディア運営に繋がります。
自社でカスタマイズを行う際には、専門的な知識や技術が必要になることも。社内にそのスキルを持ったスタッフがいるか、外部の専門家に頼む必要があるかを検討し、それに応じたCMSを選定することも重要です。
CMS選定において、セキュリティは最も重要な要素のひとつです。
オウンドメディアでは、リード獲得や人材募集を目的として、訪問者から氏名や電話番号、メールアドレス、会社名や部署名などを収集することがあるため、個人情報を安全に保管し、サイバー攻撃から守る必要があります。
サイトへの不正アクセスや改ざんは、企業の信頼を損なうだけでなく、法的な問題につながる可能性も。CMSが提供するセキュリティ機能を導入前に確認することが重要です。
無料のCMS、特にオープンソースのものは、頻繁にセキュリティアップデートが行われることがあります。これは、セキュリティの脆弱性が発見された際に、それを修正するためのものです。
そのため、自身でバージョンを常に最新に保つ必要があります。一方、有料のCMSでは、サーバーの管理をベンダーが行ってくれることも多く、導入企業側での管理の手間が省ける場合も。有料・無料に関わらず、CMSのセキュリティは常に最新の状態に保つ必要があります。
定期的なセキュリティチェックを行うことで、サイバー攻撃のリスクを低減することができるのです。
CMS導入後の保守・サポートも非常に重要な要素です。運営中にエラーやトラブルが発生した際、迅速かつ適切なサポートを受けられるかどうかは、オウンドメディアの安定した運営を支えるうえで欠かせません。
無料のCMSの場合、公式のサポートが提供されていないケースも多く見られます。そのため、問題が発生した際にはコミュニティのフォーラムで解決策を探すことや、外部の業者と保守契約を結んでサポートを受ける必要があります。これには追加のコストがかかることがあり、予算の計画に影響を与える可能性もあるでしょう。
一方、有料のCMSでは、アフターサポートも含めて契約することが一般的です。しかし、サポートの内容やレベルは各ベンダーによって異なるため、提供されるサービスレベルの確認をあらかじめ行っておく必要があります。
たとえば「24時間365日のサポートが提供されるのか」「レスポンスタイムはどの程度か」「緊急時の対応はどのように行われるのか」など、具体的なサポート内容を把握しておきましょう。
またCMSのアップデートやセキュリティパッチの適用も、保守サポートの一環で提供されることがあります。これによりシステムの安全性を維持し、最新の機能を利用することが可能です。
BtoBオウンドメディア構築におすすめのCMSをいくつか紹介します。
「無料で使える」「リード獲得に強い」「他のマーケティングツールと連携容易」など、それぞれに異なる特徴があります。
自社のニーズに合った製品を選定することが重要です。
WordPressは世界的に広く利用されているオープンソースCMSで、無料で利用可能です。豊富なデザインテンプレートと拡張機能を利用し、簡単にブログサイトなどをはじめられます。
SEO対策ができる拡張機能も豊富で、レスポンシブデザインにも対応。また、世界中に広がるコミュニティのサポートを受けることができ、国内でも多くのユーザーが活動しています。
ferret OneはBtoBマーケティングに特化したCMSで、誰でも直感的に操作できるノーコードツールです。リード獲得を容易にし、迅速にコンテンツ更新や施策実行が可能。AIアシスタントによるコンテンツ作成支援やデータ分析機能も充実しており、マーケティング活動の効率化を図ることができます。
少人数のチームであっても、施策実行のサポートや、コンテンツ制作代行サービスを利用できるため、BtoBオウンドメディア構築において非常に有効なツールだと言えるでしょう。
(https://www.hubspot.jp/products/cms)
HubSpot CMSは、BtoBオウンドメディア構築に適していて、なおかつさまざまな機能を備えたCMSです。直感的なドラッグ&ドロップエディターを利用して、エンジニアの協力を得ずともWebサイトの編集や最適化が可能です。
また、SEOアドバイス機能でWebサイトのパフォーマンスを向上させ、CRMとの連携でリード獲得を効率化。モバイル対応や、多言語対応も充実しており、グローバルなビジネス展開にも対応可能なツールだと言えます。
BtoBマーケティングにおいてオウンドメディアは、潜在顧客との信頼関係構築や、ブランディング強化のために非常に有効な存在だと言えます。
BtoBオウンドメディアの構築には「知見」「時間」「人手」「予算」といった複数の観点からハードルを感じている方も多いかもしれません。しかし適切なツールを選び、ポイントを効果的に押さえた戦略を用いることで、どんなチーム・組織であっても、小規模に始めることも可能です。
これからBtoBオウンドメディアにトライしようとする方は、まずは「自社の(オウンドメディア運営のうえでの)目標」と「想定する読者」を洗い出してみてください。そのうえで「誰に・何を・どのように伝えればよいか」について考えてみましょう。
ターゲットに合ったアプローチを決めて、長期継続的にコンテンツを発信して、自社ならではの価値を提供し続ける。このような考え方が、オウンドメディアを通じて効果的なマーケティング活動を展開するための鍵となるでしょう。