「SEO対策をしなければ」と考えつつも、具体的なキーワード選定のやり方がわからなくて、お悩みではないでしょうか。
Googleの検索数は2016年に年間2兆回を超えたというデータもあり、検索からの集客には大きな可能性があります。しかし、マーケティングの熟練者が少ないBtoB企業やSaaS企業では、SEO対策が後回しにされることが少なくないようです。
そこで本記事では、これからSEO対策に力を入れていきたいBtoB企業やSaaS企業の方向けに、以下の内容を解説します。
本記事を読めば、SEO対策によって売上げをアップさせるためのヒントが得られるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
SEO対策(Search Engine Optimization)とは、Googleなどの検索エンジンで検索した際に、自社サイトが上位に表示されるよう対策することです。検索時に上位表示されることで、多くのユーザーが自社サイトを訪れてくれると期待できます。
どのサイトが上位表示されるかは、検索エンジンのアルゴリズムによって自動的に決定されます。アルゴリズムは検索エンジンごとに異なりますが、SEO対策をするうえでは、ひとまずGoogleの対策だけをしておけば問題ありません。Googleさえ対策しておけば、日本における検索の大部分をカバーできるからです。
実際、インターネットに関する統計を確認できるサイト「statcounter」によれば、2021年1月〜2022年1月の日本におけるGoogleのシェアは、77.04%に達します。そして、シェア2位はYahoo!の17.40%なのですが、Yahoo!はGoogleと同じアルゴリズムを採用しています。つまり、Googleのアルゴリズムへの対策をしておけば、日本では77.04 + 17.40 = 94.08%のユーザーに対応できるのです。
よってSEO対策とは「Googleのアルゴリズムに評価されるコンテンツを作る」ことだと言い換えられます。ただし、アルゴリズムは公開されていないため、SEO対策において絶対的な正解はわかりません。どのようなコンテンツがアルゴリズムに評価されるかを予想しながら、各社がSEO対策を行っているのです。
SEO対策として最も重要なのは「ユーザーにとって役立つコンテンツを作る」ことです。
かつては「ブラックハットSEO」と呼ばれる手法が横行してきた時期がありました。スパムリンクを多数設置したり、大量のキーワードを意味なく文章中に盛り込んだりすることで、アルゴリズムから不当に高い評価を得ようとする企業が続出したのです。
しかし、ブラックハットSEOによって上位表示されたコンテンツには、低品質なものも含まれています。放置するとユーザーに「Googleで検索しても、ろくな情報が出てこない」と思われかねないため、GoogleはブラックハットSEOへの対策を迫られました。
Googleは会社設立から数年後に「Googleが掲げる10の事実」を表明しています。重要なポイントは「ユーザーの利便性が第一」という考え方です。
この理念を実現するため、Googleはアルゴリズムのアップデートを重ねてきました。主なものを紹介すると以下の通りです。
これらのアップデートにより、現在ではブラックハットSEOは、ほとんど効果がなくなっています。Googleのアルゴリズムに評価されるためには、本当にユーザーのためになるコンテンツを作る必要があるのです。
SEO対策の重要な要素が「キーワード」です。SEO対策では、キーワードを選定したうえで、そのキーワードで検索された際に上位表示されることを目指して、コンテンツを作成します。
BtoB企業やSaaS企業のSEO対策担当者が理解しておくべき、以下の3つポイントについて、順に解説します。
キーワード選定時に重要なのが「ペルソナ」を設定することです。
ペルソナとは、企業が製品やサービスのターゲットとする代表的な顧客像のこと。SEO対策として「ユーザーの役に立つ」ためには、ペルソナを設定したうえで、そのペルソナが満足するコンテンツを作成する必要があります。
製品サービスの購入を検討する企業では、社内の購買プロセスにおいて、多様な立場の人が関わります。ペルソナを考える際には、多様な立場の人について以下のような項目を具体的に設定しましょう。
このように設定することで、キーワードに関連してどのような悩みを解決したいと考えているのかを予想できるでしょう。その悩みをピンポイントで解決するコンテンツを作成すれば、効果的にSEO対策ができます。
ただし、特定の業界を専門とする「バーティカルSaaS」などでは、設定したペルソナがほとんど検索をしない場合も考えられます。どんなにSEO対策に注力しても、そもそもユーザーが検索をしなければ、自社サイトを発見してもらえません。
ペルソナが検索をしないと考えられる場合は、SEO対策に固執せず、見込み客を直接訪問して営業するなどの手法を取り入れましょう。より詳しくはペルソナの作り方に関する記事も、あわせてご覧ください。
「カスタマージャーニー」を考えることも大切です。カスタマージャーニーとは、検索から製品サービスを購入するまでの顧客の動きを旅に例え、行動や思考、感情を時系列に見える化したものです。
カスタマージャーニーを考えることで、検索エンジンからの訪問者を、製品サービスの購入に結びつけやすくなります。例えばクラウド会計サービスを販売する場合、「法人化したばかりで会計処理が不安な経理責任者」について、以下のようなカスタマージャーニーが考えられます。
それぞれの段階で、次の段階にスムーズに進んでもらえるような施策を用意しておくことで、成約率を高められるでしょう。選定したキーワードごとに、こうしたカスタマージャーニーを考えておくべきです。
会計サービスのような「ホリゾンタルSaaS」の場合、業界にこだわらず多くの企業が見込み客となるため、キーワードの自由度が高いのが特徴です。
カスタマージャーニーを考えることで、自社の製品サービスと関連が薄いと思われるキーワードからの訪問者も、購入につなげられるようになります。するとライバルの少ないキーワードを選定できるようになるため、SEO対策の効果を得やすくなるでしょう。
カスタマージャーニーに関する記事でより詳しく解説しているので、ぜひあわせてお読みください。
キーワードには大きく2つの種類があり、異なる対策が必要です。これらを理解しておくことで、SEO対策を効果的に行いやすくなります。順に紹介しましょう。
「自分が欲しいものを自覚しているユーザー」を顕在層と呼びます。顕在層が使うキーワードについては「指名検索対策」が必要です。
指名検索とは、自社のブランドや製品サービスの名称が含まれたキーワードでの検索を指します。例として株式会社コンベックスがSaaSで提供する、不動産業界に特化した営業自動化システム「Digima」が指名検索されるケースを考えてみましょう。
この場合、顕在層はすでにDigimaのことを知っています。そのうえで、Digimaを導入すべきかを検討するなどの目的で、検索エンジンを使って情報収集をしているのです。検索するキーワードとしては、以下のようなものが考えられるでしょう。
これらのキーワードで検索するユーザーは、どんな情報を知りたいのかが明確です。その情報を詳しく解説すれば、ユーザーが満足するコンテンツが作れて、SEO対策ができます。
また、指名検索するユーザーはすでに製品サービスについて知っているため、購買意欲が高いのが特徴です。製品サービスの購入につながる確率が高いと見込めるので、指名検索対策は優先して行いましょう。
「自分が欲しいものを自覚していないユーザー」を潜在層と呼びます。潜在層が使うキーワードについては「非指名検索対策」が必要です。
非指名検索では、自社のブランド名や製品サービス名はキーワードに含まれていません。ユーザーは悩みを抱えているものの、それをどうすれば解決できるのかがわからず、漠然と情報を集めている段階です。
Digimaを販売する場合を考えると、非指名検索対策するキーワードとして、例えば以下が想定できます。
こうしたキーワードで検索するユーザーが抱えている悩みは、指名検索の場合ほど明確ではありませんが、ある程度は想像できます。その悩みを解決するコンテンツを作ることで、SEO対策ができるでしょう。
潜在層のユーザーは、すぐに製品サービスを購入するとは期待しにくいです。しかし、時間をかけて信頼関係を構築することで、製品サービスの購入につなげられます。
(コンベックスのオウンドメディア「セールスハックス」)
コンベックスはオウンドメディア「セールスハックス」を運営し、潜在層をターゲットにした記事コンテンツを多数掲載しています。これからSEO対策に注力する企業にとって、キーワード選定やサービスへの誘導など、多くの点が参考になるでしょう。
潜在層は顕在層に比べて、圧倒的に数が多いのが特徴です。そのため多くのユーザーにアプローチするためには、潜在層を意識したSEO対策が欠かせません。指名検索対策を一通り終えた後には、非指名検索にも注力すべきです。
BtoB企業やSaaS企業が売上げを効率よく伸ばすためには、自社サイトを訪問したユーザーのリードを獲得し、製品サービスの購入につなげることが有効です。そして、こうした施策を効率よく実行するうえで、キーワードの全体像を理解しておくことは欠かせません。
押さえておくべき以下の3つポイントについて、順に解説します。
SEO対策するキーワードは、表計算ソフトで一覧表にするだけでなく、平面上に配置してペルソナごとに分類することをおすすめします。
そうすることで、各キーワードがどんな役割を持っているのかを、直感的に理解しやすくなるからです。
(各ペルソナに対するキーワードマップ)
キーワードの全体像は、上図の「各ペルソナに対するキーワードマップ」の形で表せます。ペルソナごとの非指名検索キーワードは、中心部分を囲むように配置しましょう。
中心部分には、購買意欲の高い指名検索キーワードに加えて「お問い合わせ」や「資料請求」といったユーザーの行動を配置します。各キーワードで検索したユーザーを「マップ上の中心部分に移動させる」と捉えることで、行うべき施策を考えやすくなるでしょう。
各ペルソナごとのキーワードについて「カスタマージャーニーを進んでもらううえで、どんな役割を持っているのか」を把握しておくことが大切です。
これを把握せずにコンテンツをバラバラに作ると、SEO対策に労力をかけたわりに製品サービスの購入につながらず、効率が非常に悪くなってしまいます。前述したキーワードマップにおいて、ペルソナに中心部分に向かって進んでもらうイメージを持っておきましょう。
例えば、BtoBの福利厚生サービスを販売する会社のペルソナであれば、以下のようなカスタマージャーニーが考えられます。
カスタマージャーニーに沿ってこれらの記事を用意しておき、内部リンクなどでつないで、順番に読めるようにしておきます。そうすることで、どのキーワードで検索したユーザーであっても、最終的に自社の福利厚生サービスを知ってもらえるのです。
SEO対策を製品サービスの販売につなげるために、マーケティングオートメーション(MA)を利用しましょう。前述したキーワードマップにおいて、非指名検索キーワードと指名検索キーワードの「すき間」を埋めるために、MAが必要だからです。
非指名検索をしたユーザーは、自社の製品サービスを知ったとしても「ではすぐに購入しよう」とはなりにくいです。そこでまずは、検索から流入したユーザーのリードを獲得したうえで、自動配信されるメールなどを用いて、継続的に関係を築いていく必要があります。
例えば、SaaS企業がサービスを販売するのであれば、以下のようなユーザー行動が考えられます。
このようにリードを活用してMAを行うことで、非指名検索をしたユーザーを、問い合わせなどの行動につなげられます。あらかじめ仕組みを構築しておくことで、検索から流入したユーザーが製品サービスの購入までつながりやすくなり、SEO対策の効果を高められるのです。
SEO対策としては「ユーザーにとって役立つコンテンツを作る」ことが最も重要です。BtoB企業やSaaS企業は、キーワードの選定とペルソナ設定を行ったうえで、悩みを解決するコンテンツを作成する必要があります。
ペルソナごとにカスタマージャーニーを考え、検索から製品サービスの購入にいたるまでの各段階で、適切な施策を行うことも大切です。リードを活用したMAの仕組みを構築することで、SEO対策を効率よく売上げアップにつなげられるでしょう。