多くの専門用語が登場するBtoBマーケティングの世界。よく分からずに使用している言葉も意外と多いかもしれません。そこで今回は「カ〜コ」で始まるマーケティング用語について解説していきます。
カスタマージャーニーとは、ペルソナの行動や思考、感情について時系列で見える化したものです。直訳すると「理想の半顧客像の旅」。見込み客が必要としている情報を認知から購買に至るまでを明確化することで、どういったコンテンツを届ければ良いのか把握する際に役立ちます。
現代の顧客は、テレビや雑誌だけでなく、検索エンジンやSNSなど複数のチャネルを横断して情報を取得したり、購買行動を行ったりしています。そのため、顧客の行動を把握するのは、難しくなってきています。
とはいえマーケティングオートメーションツールやアドテクノロジーの登場により、取得・分析できる情報の量が増し、顧客の行動を精度高く、見える化できるようになってきた現状もあるでしょう。
複数のチャンネルの顧客行動を分析し、管理しやすくなった現在。「カスタマージャーニー」を通じて、顧客の行動ごとに適したマーケティング施策ができるようになりました。
また、一般的にカスタマージャーニーはコンテンツ制作のために用いられると思われていますが、マーケティングのオペレーションレベルで見ればCRMやCMSでどのようなデータを持たせるか、などの視点でも大変重要です。
「カンバセーションマーケティング(会話型マーケティング)」とは、ライブチャットやチャットボットなどを通し、企業と顧客が製品・サービスに関して直接対話を行う手法です。
顧客が求める製品・サービスのニーズがめまぐるしく変化するなか、直接の対話を通じていまのトレンドをキャッチ。そこから半年〜数年単位で何が必要とされているのかを考える際に用いられます。
例えば、カンバセーションナルマーケティングを行っている米国SaaS企業のDrift。彼らは、リード獲得を従来のランディングページで行うのではなく、チャットbotを使いウェブサイトにきてくれた訪問者を会話形式で獲得(リード化)しています。
また、SaaSサービスは継続的な顧客の利用が前提となるため、カンバセーションマーケティングを通じた「顧客との継続的な会話が必要」であると言われています。
キーワード(検索キーワード)とは、「Google」などの検索エンジンの検索窓に入力したり、インターネット広告で設定したりする単語のこととして用いられます。
例えばキーワードプランナーを使うことで、キーワード選定やキーワードごとの月間検索数などを確認できます。検索数の多いキーワードをもとに作ったコンテンツが上位表示されると、その分流入も多くなるでしょう。
さらにアクセス解析を行うと、顧客がどんな検索キーワードで自社のWebサイトにアクセスしたのかなども分かります。
クエリとは、とくにマーケティングにおいて、検索窓でユーザーが入力する単語や文章などを指します。
仮に検索結果で上位表示させたいコンテンツがあったとしても、そもそも見込み客が関連したキーワードで検索しなければ見つけてもらえません。そのため見込み客が自社の課題を解決するために入力するであろう、検索クエリの傾向を抑えておくことは、コンテンツなどを作成するうえで大切。
とくにBtoBのような専門的な分野だと「〇〇とは」など、言葉の意味そのものを調べる検索クエリが多い傾向にあるため、単語の意味を解説するようなコンテンツをWebサイト内で網羅できると、流入を増やす際に役立つでしょう。
ちなみに、キーワードとの違いは、検索クエリは検索窓に入力される言葉そのものだということです。
クオリファイドリード(QL)とは、ある基準や条件をもとに絞り込まれた見込み客のこと。とくに製品やサービスについてもっと深く知りたいと考え、メルマガなどを通じてさらなる情報を送ることに同意している見込み客を指します。
例えばマーケティング部門が営業部門に見込み客を引き継ぐ際、一定の条件をクリアした確度の高い見込み客かどうかの判断は重要です。そのため、マーケティング部門と営業部門が連携しながら、クオリファイドリードの条件を設定しておく必要があるでしょう。
よくある、QLには、MQL(Marketing Qualified Lead)やSQL(Sales Qualifed Lead)などがあります。ちなみにMQLは「マーケティング活動によって獲得した見込み客」。SQLは 「営業活動によって獲得した見込み客」を指します。
クッキー(Cookie)とは、Webサイトの訪問者の情報を一時的に保存するための仕組み。クッキーがあることで、閲覧情報などを記録しておき、再びそのWebサイトを訪れた際にスムーズに情報を提供できるようになります。
マーケティングオートメーションツールに登録されている見込み客のメールアドレスとCookieを紐づけることで、見込み客ごとの行動履歴を記録していく際に用いられます。結果的に、サイトの閲覧履歴や、対象ドメイン下でどのような行動をしているかを把握し、マーケティング活動に活かせます。
しかし、近年ではプライバシー法がより厳しくなり、欧州ではクッキー情報を取得することをウェブサイト上での表示が必要になりました。デジタルマーケティングを行う担当者からすると少し困惑しますよね。
クラウドソースドコンテンツとは、クラウドソーシングサービスに登録しているライターに、コンテンツを作成してもらうことです。
例えば社内に記事を書いた経験がある者がいない場合、クラウドソーシングに登録しているライターに依頼します。その分野に詳しいエキスパートの力を借りることで、短期間で質の高いコンテンツを作成できる可能性があります。
それ以外にも、経験の浅いのマーケティング組織や立ち上げ直後のマーケティング組織であれば、SNSの運用コンテンツ作成、導入事例の取材同行など、クラウドソーシングを活用することもあります。
CTRとは、Clickthrough Rate(クリック率)の略で、例えば商品紹介ページから、資料の問い合わせフォームなどをクリックしたユーザーの割合を指します。それ以外でも対象となるクリック可能な要素をクリックした率を指すこともあり、その対象は多岐にわたります。
ただ、一般的には次のページにウェブ訪問者を遷移させる要素(前述したフォーム入力ボタンetc)などに対して用いられることが多いです。
なお、CTRは下記の計算式で求められるのが一般的です。
CTR(クリック率)=設定したURLの総クリック数÷総閲覧数(PV数、Eメール送信数など)
クローズドループマーケティングとは、見込み客になった時点から、クロージングにいたる最新の接触点まで、サイト訪問者の行動を追跡し、把握する手法のこと。見込み客を獲得するために行った施策が、どれだけ売上に貢献したかを知ることで、効率的なマーケティング活動につながります。
多くのマーケティング活動では、活動自体がサイロ化しており、マーケティング部門内で単機能化してしまっていることが多くあります。そこでクローズドループマーケティングの仕組みを作ることで部門間での効果を最大化することが可能です。
SaaS企業においては、とくにこの考え方が重要で、一貫した顧客体験を提供し、サービスの価値を最大化し、アップセルクロスセル、チャーン率の抑制につなげます。
クロスメディアとは、文字通り二つ以上のメディアを掛け合わせ、それらが補完しあって相互に作用するよう設計したマーケティング施策を指します。
例えば、テレビは多くの顧客にリーチするという点で優位性がありますが、双方向性や情報の深掘りという点では弱いかもしれません。その点、Webサイトは顧客のリクエストに応じてコンテンツを提示できたり、またダウンロードコンテンツなどを用意しておけば情報の深堀りもできます。
これらテレビとインターネットのように、双方を掛け合わせることで互いの長所を生かすメディアをクロスメディアと呼ぶわけです。
テレビCMでよく見られる「つづきはWebで」というプロモーションは、クロスメディアマーケティングの典型例と言われています。
口コミは、製品を実際に使用した感想など、ユーザーの声です。
企業が発信する広告よりも、利用者側の意見はセールス効果が高く、信頼されやすい情報といえます。また口コミを上手く利用すれば、莫大な広告費をかけずとも、製品やサービスの良さを広めることができ、デジタル全盛とも言える今であっても非常に強力な存在です。
企業にとっては悪い評価であっても、サービス改善のために活用できるといったメリットも。製品やサービスを購入した顧客に、導入前と後の変化などを聞く導入事例コンテンツも、ある意味口コミの一種といえるでしょう。
KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。企業や組織が何らかの目的に向かって活動する際、目標の達成度合いを測る指標として用いられます。
例えば「売上を上げる」という目標だけでは、前年比で何%売上がアップしたら、この目標を達成したのか分かりません。そこで「前年比で20%売上をアップする」と、目標を数値化したものがKGIといえます。
KPIは「Key Performance Indicator」の頭文字で、「重要業績評価指標」と呼ばれます。
KGIが最終的な目標の達成度合いを測る指標であるのに対して、KPIは最終目標を達成するために必要なプロセスを数値化した指標。構図としては「KGIの配下にKPIが連なる」という形です。
例えば「前年比で売上20%アップ」というKGIを設定した場合、「サービスの定着率を50%アップさせる」や「新規契約者数を30%アップする」などがKPIです。
MRRとは、Monthly Recurring Revenueの略で、月ごとに繰り返し得られる収益のことです。「毎月決まって発生する収益」を対象とし、SaaSサービスであれば月額の利用料金などが含まれるでしょう。逆に、初期費用や追加購入費用などは含まれません。
MRRは基本的にSaaSなど、サブスクリプションモデルを導入しているビジネスでよく用いられる指標。年間定額のプランであれば、12で割って月額費を計上します。
MRRの推移を把握することで、そのビジネスの新規顧客獲得数や定着状況を確認する際に役立ちます。
Googleなど、インターネット上の情報を検索する際に使用するサービスの総称です。
インターネット初期には「ディレクトリ型」と呼ばれ、一定の基準を設けて人間の目による審査を通過したサイトのみを掲載する、手動の検索エンジンが主流でした。しかし、サイトが多くなるにつれて、検索エンジンは「ロボット型」と呼ばれる、今のかたちが主流となりました。
なおロボット型の検索エンジンは、基本的に次の3つの要素で構成されています。
・ウェブ上のページや画像など、リンクをたどって取得していくプログラム(クローラーと呼ばれる)
・クローラーが取得してきたコンテンツを分析し、評価するプログラム
・検索サイトで入力されたキーワードに対して適切な検索結果を返すプログラム
コストパーアクイジション(CPA)とは、顧客獲得にかかるコストのこと。会員登録や資料請求など、1見込み客を獲得するためのコストで、次の式で求めます。
CPA(顧客獲得単価)=コスト(広告費用など)÷コンバージョン数
なお、後ほど紹介しますがコンバージョン数とはサイトを訪問した顧客が、商品を購入したり、資料請求したりといった何かしらの行動を起こした数を指します。
オンライン広告において、広告を見た顧客が1クリックするたびに何円のコストがかかったのかを表す費用です。
クリック単価の計算式はシンプルに「広告費 ÷ クリック数」です。
コストパークリックが低いほど、費やした広告費に対して多くのクリック数(流入数)が望めたということなので、広告の費用対効果は高くなります。
1件のリードを獲得するためにかかった費用です。
例えば、展示会であれば会場費やノベルティ代など出展にかかったコストから、獲得した名刺数などで割って算出します。また、コンテンツマーケティングを行う場合は、コンテンツにかかった費用に対して同じ期間で獲得したリード数と費用を用いて計算します。ただし、計算の期間の切り方などは企業によって異なります。
コンテキストとは「文脈」を指す言葉です。とくにBtoBマーケティングにおいては「顧客の興味関心度合い」と置き換えることもできるでしょう。
Webで無料公開されている記事を読んだ顧客がもっと深く情報を知りたいと感じた場合、その受け皿となるコンテンツがなければ、顧客は離脱してしまいます。
そこでダウンロード可能なホワイトペーパーなどを用意しておけば、顧客の「もっと深く知りたい」という文脈に沿ったコンテンツの提供が可能となるわけです。
BtoBマーケティングにおいて、このコンテキストはかなり重要で、企業間同士の関係性や、企業活動のタイミング(会計期etc)、予算組みのタイミング、社内間の調整など様々な理解が必要です。これらのコンテキストを理解した上でマーケティング活動を行う必要があります。
マーケティングにおけるコンテンツとは「顧客にとって有益な、伝えるべき情報」と言えます。そしてBtoB企業にとってはさらに「Webコンテンツ」と「リアルコンテンツ」の2種類に別れることを知っておきましょう。
基本的に検索エンジンやSNS経由で閲覧されるブログ記事などはWebコンテンツ。ホワイトペーパーやWebセミナーなども含まれるでしょう。一方でリアルコンテンツは、自社のことをすでに知っている人が見るコンテンツで、例えば自社主宰の展示会やセミナー、商談で使用する紙の営業資料などが該当します。
前述したようにコンテンツはコンテキストあってのものであり、コンテキストもコンテンツあってのものです。BtoB活動をする場合、必ずコンテンツとコンテキストを対に考えるようにしましょう。
「コンテンツマーケティングインスティチュート」によると、コンテンツマーケティングを以下のように定義しています。
つまりこの定義によれば、メディアや伝達手段が定義されているわけではありません。動画や文章、またテレビやインターネットに限らず、明確に定義されたペルソナに対して、適切なコンテンツを届ける手段といえるでしょう。
Webサイトで、記事コンテンツなどを提供するだけがコンテンツマーケティングではないということは知っておきましょう。
「HTML」や「CSS」などの専門的な知識を必須とせず、だれでも簡単にWebサイトを作成し、コンテンツを配信できる仕組みを「コンテンツ管理システム(CMS)」と呼びます。
テンプレートを選択して画像をドラッグ&ドロップするだけで、簡単にホームページを作成できるサービスなどがCMS。有名なもので言うと、WordPress(ワードプレス)などがあります。
(参照元:WordPress(ワードプレス))
サイトを訪問したユーザーが、商品を購入したり、資料請求を行ったりなど何かしらのアクションを起こした回数をコンバージョンと呼びます。
コンバージョンとみなすアクションは「アンケートに回答する」「メールマガジンに登録する」など、独自に設定することが求められます。
コンバージョンに至った訪問者がどのチャネルから流入したのかなど、行動履歴を指す言葉です。
SNSから該当サイトに訪問して資料請求を行ったのか、もしくはオンライン広告から流入したのかは顧客によって異なります。そのため、どの流入経路を経た顧客が最もコンバージョンにつながったのかを把握する際に役立つでしょう。
ちなみに「Google アナリティクス」の[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[コンバージョン経路]から確認できます。
(参考元:Google アナリティクス)
コンバージョンレートとは基本的にサイトに訪れたユーザーのうち、コンバージョンにつながった訪問者の割合を指します。コンバージョン率とも呼ばれ、CVRと略します。
オンライン広告経由でサイトに訪問したユーザーのうちコンバージョンにつながった割合など、流入経路ごとにコンバージョンレートを確認しておくと、注力すべきチャンネルを把握する際に役立ちます。
CROとは、コンバージョン率を改善し、最適化するためのさまざまな施策のこと。例えば問い合わせボタンの箇所をユーザーがパッと目につく位置に調整したり、サイト流入からコンバージョンへの経路を最短距離にしたりといった施策があげられます。
顧客獲得単価とは、一顧客の獲得に要した営業やマーケティングに関する施策のトータルコストを指します。
一般的に以下の式で顧客獲得単価を計算します。
CAC(顧客獲得単価)=(一定期間の販売促進・広告費用+代理店手数料)÷一定期間の新規顧客獲得数
顧客獲得単価が低いほど、実施した施策が効果的に新規顧客の獲得につながったといえます。SaaS企業であれば重要指標の一つであることは言うまでもありません。
顧客関係管理とは顧客や見込み客が持つさまざまな情報を管理すること。
例えばカスタマーサポートに電話をかけ、名前と生年月日を告げるだけで担当者はどういった契約形態なのかを把握しているかと思います。
それは企業側が顧客関係管理システム(CMS)を使って一度登録された顧客情報を把握。、社内の担当者がいつでもアクセスができる状態を作っておくことで、カスタマーサポートなどに活かせます。
顧客関係管理に登録されている顧客情報を分析することで、マーケティング施策に活かすといった活用方法もあるでしょう。
以上、今回はBtoBマーケティングでよく使われるマーケティング用語について「カ行編」と題し、お届けしました。続く次回は「サ行編」のマーケティング用語を紹介していきます。