ロイヤルティとは?読み間違えられがちなロイヤリティとの違いも説明

2022/07/22
BtoBマーケティング ロイヤルティ ロイヤルティとは?読み間違えられがちなロイヤリティとの違いも説明

「顧客ロイヤルティ」「ブランドロイヤルティ」「ロイヤルティマーケティング」といったように、マーケティングでは「ロイヤルティ」という言葉がよく使われます。

おそらく、多くの方はロイヤルティ=忠誠心という意味を想像するでしょう。ただし、元の英語のLoyalty(ロイヤルティ)の意味は、少々ニュアンスが違います。

また、ロイヤリティフリーの画像サイトと表現する際は、Royalty(ロイヤリティー)が使われ、これまた意味が違います。

本記事では、Loyalty(ロイヤルティ)とRoyalty(ロイヤリティー)の違い、マーケティングにおいて特に重要な顧客ロイヤルティとは何か? ロイヤルティ顧客の特徴やロイヤルティマーケティングのメリットなどを解説します。

ロイヤルティとは

Loyalty(ロイヤルティ)は、マーケティング、人事領域をはじめビジネスでよく使われる用語のひとつです。まず言葉の意味から説明します。

言葉の意味

Loyalty(ロイヤルティ)とは忠実、誠実、熱烈な支持、愛着を意味する単語です。海外では家族の絆や自分自身への忠誠心という意味にも使うので、かならずしも上下の関係だけでなく、フラットなつながりにおいても発生する誠実な感情を意味します。

ロイヤルティとロイヤリティの違い

「Loyalty(ロイヤルティ)」とは別に、「Royalty(ロイヤリティー)という単語も存在します。以下のように意味や使い方は明確に違います。

Loyalty(ロイヤルティ):忠誠心、忠実さ、誠実、愛着を持っていること。

  • 顧客ロイヤルティ(顧客の商品に対する思い入れ、忠実さ、愛着)
  • 従業員ロイヤルティ:従業員の企業に対する忠誠心、誠実さ
  • ロイヤルティ(ロイヤル)顧客:ロイヤルティの高い顧客

Royalty(ロイヤリティー):権利使用料。商標権、著作権などの対価。

ここでは便宜上、表記を「ルとリ」で区別していますが、日本では同じ発音で両方の意味に使われています(英語だとLとRの発音はかなり違います)。

使われる文脈が違うのでそう混乱はないと思いますが、LoyaltyとRoyaltyの正しいスペルと意味の違いを一応押さえておきましょう。なお、本記事では「Loyalty(ロイヤルティ)」について説明します。

マーケティングにおけるロイヤルティとは?

マーケティング領域でのロイヤルティは、顧客のブランドや商品・サービスに対する忠実さ、誠実さ、信頼の強さ、愛着などの感情的なつながりの強さを表す用語です。

「ロイヤルティ」と単独でも使うことも多いですし、以下のように違う用語と組みあわせてより具体的に表現することもあります。

  • 顧客ロイヤルティ:企業やブランドに対する顧客の信頼度、忠実さ、愛着
  • ブランドロイヤルティ:あるブランドに対する顧客の忠実さ、強い愛着
  • ロイヤルティ顧客:ロイヤルティが強く、長年商品を使ってくれる顧客
  • ロイヤルティマーケティング:ロイヤル顧客を増やすためのマーケティング

なぜロイヤルティを考えることが大切なのか

企業にとって、ロイヤルティの高い顧客が増えることは、自社ブランドを愛する顧客が増えることであり、さまざまなメリットがあります。シンプルに言えば、ロイヤルティの高い顧客が増えると売上げ増加につながります。

さまざまな統計が裏づけていますが、一例をあげると最近のMotista社の調査では、ブランドと感情的なつながりを感じる顧客は、平均的な顧客よりもLTV(顧客生涯価値)が306%高く、ブランドを他者に勧めたいと感じる顧客も26%高いというデータがでています。

ロイヤルティが高い顧客はたくさん購入してくれるだけでなく、新規顧客も増やしてくれるのです。

また、ロイヤルティ顧客には、ベンダーの社員よりもブランドの商品知識に詳しい方が少なくありません。彼らはしばしばブログやSNSでブランドについて好意的な意見を発信してくれるため、ブランディングにも貢献してくれます。

ブランドを愛するために建設的なアドバイスを企業に寄せることもあります。それはときに辛口で厳しい意見ですが、商品・サービスの改良や新商品の企画の貴重なヒントになるでしょう。

 

ロイヤルティの重要性

リピート客とロイヤルティ顧客との違い

単なるリピート顧客とロイヤルティ顧客は異なります。

企業にとっていずれもありがたい存在ですが、リピート顧客の多くは、商品の品質と価格のバランス、現時点での使いやすさを合理的に判断して商品・サービスを使っているだけであり、より良い商品が他社から出ればそちらに流れます。いわば普通のお客様です。

ロイヤルティ顧客は、ブランドの価値観・思想に共感していたり、そのプロダクトのデザイン性がものすごく好きだったり、何か特別な価値をブランドに感じている顧客です。一般に価格はあまり気にせずブランドを愛用し、大きな落ち度がなければブランドを長年使い続けます。

リピート客とロイヤルティ顧客との違い

ロイヤルティマーケティングとは?

ロイヤルティマーケティングとは、ロイヤルティの高い顧客を増やすためのマーケティング施策です。

発展の背景

ロイヤルティマーケティングは、1990年代半ばから盛んになりました。

背景には、経営指標として長く使われている「顧客満足度」がかならずしも顧客の購入金額と比例しないことから、より生産性に結びつく指標が求められたことがあります。「顧客ロイヤルティ」という概念が生まれ、あわせてNPS(ネットプロモータースコア)の活用も盛んになります。

ロイヤルティマーケティングは、BtoCを中心に普及しました。航空会社のマイルプログラム、小売サービスのポイントカード、クレジットカードの会員特典などのリワードシステムは、日本でもかなり前から一般的になっています。それでも2022年の統計を見ると、企業、消費者双方にメリットがあり一定の効果が出ています。

近年は、SNS社会を反映して「アンバサダーマーケティング」「アドボカシーマーケティング」なども登場していますが、こちらもロイヤルティマーケティングの流れを汲んでいると言えるでしょう。

一方、昔から自社のミッション(どのような社会課題を解決したいか)を徹底して打ち出して顧客の支持を集めるロイヤルマーケティング手法もあり、近年はESGs、SDGsを打ち出す企業が増えています。

ロイヤルティ顧客の特徴

ロイヤルティ顧客の多くは、業界を問わず以下の特徴を持ちます。

  • 購入頻度が高い
  • ブランドを長期間愛用する
  • トータルの購入金額が高い
  • 新しい商品にも期待を寄せる
  • ブランドの価値観をこよなく愛する
  • 企業姿勢に共感してくれている
  • ブランドで自分のアイデンティティを表す(時計、ファッション等)

特に、長期間の取引を続けるところが特徴です。

最近の米国InMoment社の統計では、消費者の77%が、特定のブランドと10年以上関係を築いていると答えています。しかも、58%は「本当に悪い」経験をしなければ、自分が好きなブランドからの乗り換えを検討しないと述べています。非常に義理堅いのです。

ロイヤルティ顧客の定義つけ方

どのような顧客をロイヤルティ顧客と定義するかは、基本的には企業次第です。ただ、リピーターとロイヤルティ顧客の違いにふれたように、お客様にはさまざまなタイプがあります。

例えば、米国のカスタマーサービスのベストセラー作家Shep Hyken(シェップ・ハイケン)氏は、ほぼあらゆる業界にいる顧客の6つのタイプをあげています。

  • 本当にロイヤルティの高い顧客
  • 満足しているがロイヤルティは特に高くない顧客
  • ロイヤルティが高く見えるが満足度が低く、プロダクトを好きでない顧客
  • 利便性を感じているだけの顧客
  • 価格に対して忠実な顧客
  • ロイヤルティプログラム(特典、ポイント)に忠実な顧客

(参考:https://hyken.com/

このような表からは見えにくい違いを理解して、自社のロイヤル顧客を定義づけしましょう。後述しますが、ツールを活用したさまざまな指標で判断が可能です。

ロイヤルティマーケティングのメリット

ロイヤルティマーケティングは、一度きりのお客様をリピーターに変え、さらにリピーターをロイヤルティ顧客に変えていくマーケティング施策です。長期でブランドを愛用してくれるロイヤル顧客が増えるので、以下のメリットがあります。

  • 顧客維持率が高くなる
  • 顧客単価が上がる
  • LTV(生涯価値)の高い顧客が増える
  • リファラルによる新規顧客が増える
  • ブランド価値の向上
  • 企業の売上げ・利益が伸びる

2022年の統計では、顧客維持率が5%上がると利益が25%〜95%増える可能性があるというデータが出ています。ブランディング効果、リファラル効果まで含めて考えれば、相当に大きな効果があると考えられるでしょう。

ロイヤルティ顧客が増えるメリット

(出典:Finances Online

ロイヤルティマーケティングの進め方

ここでは、ロイヤルティマーケティングを進めるステップを解説します。

ロイヤルマーケティングの進め方

1:目的と方針を明確にする

まず、ロイヤルティマーケティングの目的と方針を明確にします。ブランディングかロイヤルティ顧客の増加、ロイヤルティ顧客との関係強化など軸を決めましょう。

方針については、例えばBtoCではロイヤルティプログラムを活用して、お客様に感謝と愛情を特典で伝え、関係性を育む手法がすでに普及しています。システムを活用しながら、その中でどう差別化していくかがポイントになるでしょう。

一方、特典に頼らず自社のミッションをとことん打ち出し、価値観に共感して支持してもらう方法もあります。2020年の米国Yotpo社の調査では、消費者の84.3%が価値観を共有するブランドに忠実な傾向があるとしています。以下のような例があります。

2:ロイヤルカスタマー像を明確にする

自社の理想的なロイヤルカスタマー像を明確にしましょう。CRM、MAなどのツール、ロイヤルティ顧客の数字的な基準や特徴をつかむのが大切です。

  • 年間にどのくらい活用してくれるお客様か
  • 何年くらい長く使い続ける人か
  • 現時点でのLTV、アップセル、クロスセルの状況
  • 自社のどのような価値観に共感しているか

あくまで自社基準です。BtoBであれば、業界、自社にぴったりあう企業規模、社風、担当者の人間性まで含めてペルソナを作成し、理想的なロイヤルカスタマー像を明確にしましょう。

3:ロイヤルカスタマー及び候補を特定する。

現在のロイヤルティ顧客だけでなく、ロイヤルティ顧客になりそうな人たちも特定します。取引状況が上向きなだけでなく、CRM、MAなどのツールでわかる以下の数値、NPSスコアもチェックし見つけましょう。

  • 企業からのメールをよく読んでいる(開封率が高い)
  • NPSなど企業のアンケート調査に協力的
  • SNSでフォローしてくれている
  • ユーザーコミュニティに参加している
  • 好意的なレビューを書いている

4:マーケティング施策を決める(何をGiveするかを決める)

ロイヤルティ顧客及びロイヤルティ顧客候補に対して、特別なマーケティング施策を実施します。BtoCであれば購入に応じた特典を自動的に付与していきます。

  • 定期的なニュースレター
  • パーソナライズされたメール
  • ソーシャルメディアキャンペーン
  • 限定ウェビナー、ユーザーコミュニティへの招待
  • プレミアム会員

一般に、人はプレゼントを何回かもらえれば特別感を味わえ、自分は大事にされている顧客という意識をもつので、関係性が次第に強くなります。ブランドの姿勢に共感している顧客であれば、ニュースレターで新しい活動を報告することもロイヤルティを向上させるでしょう。

5:(ロイヤルティプログラムを使う場合)

上記施策の際、BtoCであればロイヤルティプログラム(ITソリューション)を活用します。ツールには、すでにカスタマージャーニーにそった適切なメッセージ、特典を付与する設計がされているので成果が出やすいメリットがあります。

近年は、B2Bロイヤルティプログラムも登場しています。BtoBには細かいポイント付与や景品などはあまり効果がないので、ラーニングインセンティブ、段階に応じた割引、紹介プログラムなどが中心です。

  • 例:Dropboxは、新規顧客を紹介するユーザーに無料のストレージを提供する紹介戦略で、15カ月で3900%成長しました。

6:優れたカスタマーサービスを提供する

ロイヤルティマーケティングの基本であり、もっとも重要なのがカスタマーサービスの品質をアップさせることです。

Zendesk社の2018年の調査では、87%が「質の高いカスタマーサービスは購買行動に影響を与える」と回答しています。89%は、どの企業の製品を購入するかを決めるにあたって「初めて問い合わせた時にすばやい対応をしてもらえたこと」を重要視します。

逆に、カスタマーサービスで不満を感じた対象者の58%が「その会社から購入するのをやめた」、52%が「別の会社に切り替えた」「その商品やサービスを買わないように他者に勧めた」と答えています。

一度のカスタマーサービスの品質が、顧客維持率、顧客のLTVにどれほど影響するかがわかります。特にデジタルネイティブであるミレニアル世代以降は、待たされることを嫌うので、企業はスピードを意識する必要があります。

不満を感じたカスタマーの行動のグラフ(Zendesk) (1)

(参考:antavo.com/online-rewards.com/Zendesk

まとめ

ロイヤルティの高い顧客は、顧客単価が高く、長年プロダクトを愛用し、好意的なレビューを書く確率が高く、知人に商品・サービスを推奨する率も高いという、さまざまな統計データがあります。

ひとりで顧客、広報、セールス、ブランディングの役割までこなしてくれるロイヤルティ顧客は、SNS社会においては、企業に大きな恩恵と売上げをもたらしてくれる本当にありがたい存在です。
ただし、このような関係性を育むには、企業側からまずgiveしていく必要があります。自社のロイヤルティ顧客像を明確にして、スモールスタートでもかまわないのでロイヤルティマーケティングをスタートさせましょう。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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