よく耳にする「ページビュー」と「セッション」の違いがわからず、お悩みではないでしょうか。
2020年にはインターネット利用率が83.4%に達し、多くの企業がWeb上でのマーケティング活動に注力しています。インターネットでの集客で他社に劣らないために、データに基づいてWebサイトを改善していくことは欠かせません。
しかし、マーケティング熟練者が少ないBtoB企業やSaaS企業では、ページビューとセッションは、何が違うのかを把握できていないケースが少なくないようです。
そこで本記事では、BtoB企業やSaaS企業のマーケティング担当者に向けて、以下の内容を解説します。
本記事を読めば、ページビューとセッションの違いを理解したうえで、Webサイトを改善するために何をすべきかがわかるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
ページビューとは、Webページが閲覧された回数のことです。あるユーザーが2ページ、3ページ、……と多くのページを閲覧すれば、ページビューも2、3、……と、どんどん増えていきます。
一般的に言われるWebサイトの「アクセス数」の定義はあいまいですが、ページビューを意味することが多いようです。
「月間100万ページビューを突破」のように、Webサイトの人気をアピールする際の基準にもよく使われます。
セッションとは、ユーザーがWebサイトを訪れてから離脱するまでの流れのことです。離脱するまでにユーザーがたくさんのページを訪れたとしても、セッションは「1」とカウントされるのがポイントです。
一方、ユーザーがWebサイトをいったん離脱してから何度も訪問すれば、再訪問のたびにセッション数がカウントされます。
(ページビューとセッションの違い)
ページビューとセッションは、どちらもWebサイトがどれだけビジネスに役立っているかを把握するための指標として利用されます。そのため、両者を混同しているBtoB企業やSaaS企業は少なくないようです。
しかし実際には、ページビューとセッションは別物です。ページビューとセッションの違いを理解するには、上図をチェックするとわかりやすいでしょう。
ページビューは、必ずセッションに含まれます。そして、1つのセッションが多数のPVを含むこともよくあるため、ページビューは必ずセッションと同じか、それ以上の数になります。
「セッションの内部にページビューがある」という関係を理解しておきましょう。
(Googleアナリティクス)
ページビューとセッションの数は、どちらもウェブアナリティクスというアクセス解析ツールを用いて計測できます。
ウェブアナリティクスの代表的なツールが「Googleアナリティクス」です。Googleが提供しており無料で使えるので、まだツールを導入していないのであれば、試してみることをおすすめします。
ページビューのカウント方法は、どのツールを使用してもほぼ同じです。一方で、セッションはツールによってカウント方法が異なる場合があります。
Googleアナリティクスでは、同一のユーザーによる1回の訪問であっても、以下の場合には別のセッションとしてカウントされます。
たとえば、1月1日にユーザーが訪れ、1月2日になってからサイトを離脱したとしましょう。この場合、1月1日に「1」セッション、さらに1月2日にも「1」セッションがカウントされるのです。
正確なセッションの数を計測する必要がある場合は、ツールごとにカウント方法を確認しておきましょう。
Webサイトを改善する際の指標として、ページビューとセッションのどちらを利用すべきか、迷ってしまうかもしれません。
そこでまずは、ページビューを利用すべき以下の3つのシーンについて解説します。
どのページへのアクセスが多いのかを把握したい場合は、ページビューを利用しましょう。ページビューは、ページごとに確認して比較できる数だからです。
たとえば、ある期間に計測した際に、ページビューが以下の通りだったとします。
この場合は、他と比較してページAのページビューが特別に多かったことがわかります。
その理由を考察し、ページAの優れた点を他のページにも展開することで、サイト全体のページビューを増やせるかもしれません。
ページごとに比較できる点は、セッション数にはない、ページビューならではのメリットです。
ユーザーにサイト内を回遊してもらうことが重要な場合は、ページビューを利用するとよいでしょう。
高額な製品サービスを扱うBtoB企業やSaaS企業であれば、ユーザーが購入を決めるまでに、情報収集に時間をかけることが多くあります。その場合、サイト内の多くのページを見てもらうことが、製品サービスの購入を後押しすることにつながるでしょう。
ユーザーの回遊を促してサイト全体のページビューを増やすことで、売上げアップを目指せます。
多くの製品を取り扱うショッピングサイトを運営しているのであれば、ページビューに注目するとよいでしょう。
製品ページがたくさん閲覧されるほど、買い手がほしい商品を見つけて、購入してくれる可能性が高まるからです。
(ネットストア「モノタロウ」)
たとえば、株式会社MonotaROが運営する事業者向けのネットストア「モノタロウ」では、1,800万点にもおよぶ商品を取り扱っています。このようなサイトでは、多くのページを閲覧してもらうことで、ユーザーが購入に移るチャンスを広げられるでしょう。
大規模なショッピングサイトでは、売上げにつながる指標としてページビューを利用しやすいといえます。
ページビューよりもセッションを利用すべきシーンを2つご紹介します。
訪問者を増やすことが重要な場合は、セッションに注目しましょう。
ページビューは、1人のユーザーが多数のページを閲覧することで増えてしまうため、訪問者の数との関連性は強くありません。一方セッションであれば、特定のユーザーが一度の訪問でどれだけページを閲覧しても「1」とカウントされるだけなので、訪問者の数とより強く連動します。
そのため、訪問者を増やす目的の施策の効果を確認する際などには、ページビューよりもセッションを利用すべきです。
ユーザーに頻繁にアクセスしてほしい場合には、セッションの利用が適しています。
セッションは、新たなユーザーが訪問したときだけでなく、同一のユーザーが一定の時間を空けて訪問する度にもカウントされるからです。
たとえば、ある会社員が出勤前、昼休み、帰宅後の3回Webサイトにアクセスすれば、セッションの数は「3」です。
何度も訪れたくなるサイトを目指すのであれば、改善を進めるための指標として、セッションを利用するとよいでしょう。
ページビューとセッションのそれぞれについて、増やすための方法をご紹介します。
Webサイトの目的や予算、改善にかけられる期間などに合わせて、自社に適した方法を試してみましょう。
ページビューを増加させるには、以下の2つのアプローチがあります。
「セッションを増やす」方法については後述するので、ここでは「1セッションあたりのページ閲覧数を増やす方法」として、以下の2つをご紹介します。
ページビューを増やすためには、ユーザーに一度の訪問でたくさんのページを閲覧してもらうことが大切です。
そのためには、訪問者を自社サイト内の関連記事へと誘導するのが、有効な手段です。
(「おかんの給湯室」内の記事)
関連記事を活用しているサイトの事例として、「おかんの給湯室」をご紹介します。「おかんの給湯室」は、社食サービスなどを手掛ける株式会社OKANが運営するオウンドメディアです。
たとえば、メディア内の記事「社員寮の規則と運営方法とは?規定に入る事項と策定のポイントについて解説」に注目してみましょう。この記事は社員寮を導入しようか検討していたり、規則や運用方法に悩んでいたりする企業の担当者に向けて書かれています。
そしてこの記事の末尾には、この担当者が他にも興味を持ちそうな、以下の内容の関連記事へのリンクが設置されているのです。
記事を閲覧した人が、こうしたリンクから関連記事に移動することで、オウンドメディア全体のページビューが増えると期待できます。
関連記事への誘導を増やすために、どの記事のリンクを設置するのがよいかを工夫してみましょう。
1つの記事を複数ページに分割することも、ページビューを増やすために有効です。
具体的には、最初のページに記事の途中までを掲載し、「次へ」などのボタンで続きを載せたページに誘導します。
ページを分割することで1ページあたりの情報量が減るため、読み込み速度が上がる点がメリットです。また、バナー広告を多く掲載するサイトでは、より多くの広告費を得る目的でページを分割する場合もあります。
ただし、記事を分割すると別のページに移動する手間をユーザーにかけることになるため、記事の途中で離脱される危険性が高まります。
BtoB企業やSaaS企業が、自社の製品サービスを知ってもらう目的でサイトを運営するのであれば、記事の分割はおすすめしません。
セッションを増やすための方法として、以下の4つをご紹介します。
ページビューを増加させることにもつながるので、すぐにできそうなものから取り組んでみるとよいでしょう。
SEO(Search Engine Optimization)とは、Googleなどの検索エンジンで検索した際に、自社サイトが上位に表示されるよう対策することです。
SEOが成功すれば、多くのユーザーが検索結果画面から自社サイトを訪れて、セッションが増えると期待できます。
効果的にSEOを進めるためには、キーワードの選定やドメインパワーの強化など、さまざまな要素を考慮する必要があります。SEOに注力する場合は、やみくもに記事を量産するのではなく、どのようなサイトを構築するかの戦略を最初に考えましょう。
サイトの完成形を最初に決めてから、必要となる記事を1つずつ作成していくことで、効率よく検索上位を目指せます。
セッションを増やすには、SNSから自社サイトにユーザーを誘導することも有効です。
TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを、日常的に利用しているユーザーは多いです。SNSを通じて情報発信や交流をすることで、自社に興味を持ってもらえるでしょう。
他のユーザーとの関係が深まれば、自社サイトを訪れてもらい、セッションを増やしやすくなります。
(ベーシックのメディア「ferret」)
たとえば、マーケター向けのオウンドメディア「ferret」を運営している株式会社ベーシックは、SNSを効果的に活用しています。
メディアで公開した記事を、それぞれ3万人以上のフォロワーがいるTwitterとFacebookのアカウントで拡散することで、セッションの増加につなげているのです。
SNSのフォロワーを記事に誘導し、セッションとページビューを増やすことに成功している事例として、参考になるでしょう。
広告を出稿することも、セッションを増やすために効果的です。
自社サイトにユーザーを誘導するためには、リンクのクリックだけですぐに誘導できるWeb広告の活用をおすすめします。主なWeb広告の種類を挙げると、以下の通りです。
自社が扱う製品サービスや誘導したい記事に合わせて、適切な種類の広告を選ぶのが大切です。
いずれの広告も「1日あたり1,000円」など、少ない費用負担でも出稿できるのが特徴です。複数の広告を利用してみて、最適なものを探すとよいでしょう。
こまめに自社サイトを更新することも、セッションの増加につながります。
「新しい情報が掲載されているかも」とユーザーが何度も自社サイトを訪れるたびに、セッションが増えるからです。
「毎日12時に更新」などと、決まったペースで更新すると、定期的にチェックしてくれるファンを獲得しやすくなります。ユーザーが気になる最新ニュースなどは、できるだけ早く掲載することも有効です。
新しいユーザーを集めることだけでなく、すでに自社サイトを知っているユーザーに、頻繁に再訪問してもらうことも意識しましょう。
ページビューとセッションは混同しやすいので、違いを理解しておくことが大切です。
ページビューとセッションを同時に増やす方法がある一方で、ページビューだけを増やす方法もあります。
BtoB企業やSaaS企業が自社サイトを改善する際には、目的に応じてセッションやページビューを活用しましょう。