プル型マーケティングとプッシュ型マーケティングの違いとは?

2022/02/18
プル型マーケティング プッシュ型マーケティング プル型マーケティングとプッシュ型マーケティングの違いとは?

BtoBビジネスにおいて企業が売上げを最大化するには、良い製品やサービスを作るだけでなく、効率よく見込み客を獲得するため、最適なマーケティング戦略を検討・選択・実施することも大切な要因と言えるでしょう。

とはいえ、マーケティングといってもさまざまな手法・施策があります。TV広告やDM、メールマガジン、Webサイトやブログ運営、SNSの利用など、一体自社の製品やサービスの集客にはどれが適しているのでしょうか?

企業にとって最適なマーケティングアプローチを検討する上で、そのアプローチが「プル型」であるのか「プッシュ型」であるのかを理解することは非常に重要です。

中でも、インターネットやSNSが急速に発展している現代において必須なのがプル型のマーケティングアプローチです。プル型マーケティングとは何なのか?なぜ必須なのか?本記事ではプル型マーケティングの基本から、取り入れるべき理由と具体的な施策までを紹介します。

プル型・プッシュ型マーケティングとは?

企業が自社製品やサービスのマーケティングを行う際にはさまざまなアプローチがありますが、アプローチの方法からそれらを大きく「プッシュ型」と「プル型」の2つに分類する考え方が一般的です。

若いマーケティング担当者であればプル型は当たり前、と感じることもあるかと思いますが、プル型ができるようになったのはここ10年強くらいの話なので、比較的新しい考え方で、プル型を経験しているマーケターの方が世の中には多く存在します。

社内コミュニケーションや考えのシフトを促すためには、その両方の側面を理解しないと、社内説得や方向性の改善の糸口を見つけることは大変難しいものです。

そのため、ここからは両者、プッシュ型・プル型マーケティングのそれぞれの特徴と違いを説明します。

プッシュ型マーケティングとは

プッシュ型マーケティングとは、企業が見込み客へ自社製品やサービスの魅力を能動的に伝えるアプローチを指します。一方的に情報を「押し」渡して行うマーケティングのため、「プッシュ型」と呼ばれます。

見込み客が自分で必要な製品やサービスの情報を探さなくて良いように、購買に必要な情報を与えます。その結果、見込み客の購買における時間やストレスを最小限にすることが、プッシュ型マーケティングのゴールです。一般的なプッシュ型マーケティングには、TVやソーシャルメディア、Eメール、ダイレクトメールなどを駆使したキャンペーン広告などが含まれます。

プッシュ型マーケティングの成功例には以下のようなケースが挙げられます。

  • 自社の顧客管理ツールサービスを購入した顧客に対しMAツールの割引キャンペーンを行い全体売上げを伸ばした
  • 自社製品がターゲットとする業界会社にEメールで期間限定キャンペーン広告を送り新規顧客を獲得した
  • 新興香水メーカーが自社製品を販売する百貨店の購買部に対しインセンティブを約束し、新規販売店を獲得した

後述しますが、本来であれば見込み客自ら情報を探さないように、企業側から情報を提供することが目的です。しかし手段と目的が逆転してしまい、企業からの押しつけになってしまっていることが非常に多く、一般的には見込み客から嫌がられるケースが多くあります。

プル型マーケティングとは

プル型マーケティングとは、情報を「押しつける」プッシュ型とは逆に、潜在顧客の欲求を自社製品やサービスに向けて「引きつける」ように画策するアプローチを指します。プッシュ型が、自社製品やサービスの強みや魅力など製品の機能や特徴に重きを置くのに対し、プル型は、いかに見込み客を自社製品やサービスに辿り着かせるかなど、購買における導線を重視します。

ある製品やサービスに対する渇望を沸き立たせ、自発的に情報収集をしてもらい、企業の意図する情報へ引き込むことが、プル型マーケティングにおけるゴールです。そのためプル型マーケティングでは、WebサイトやSNSなど、見込み客の導線となり得る多くのメディアチャネルの駆使に加え、企業や製品自体のブランド力の強化が必要となります。

プル型マーケティングの成功例には以下のようなケースが含まれます。

  • 既存顧客のサービスレビューを掲載し新規問い合わせの件数を増やした
  • ブランド名の浸透に年月をかけ特定のサービスにおける第一想起されるブランドとなり、広告を出さなくても見込み客の方から問い合わせが来るようになった
  • 顧客管理ツールの正しい選定方法についてのブログ記事で潜在顧客の育成を行った結果、自社サービスへの問い合わせ件数が増えた

プル型・プッシュ型マーケティングの違い

プッシュ型・プル型マーケティングのそれぞれの特徴と違いについてまとめます。

プル型とプッシュ型の違い

 (画像出典: Consuunt) 

  • プッシュ型マーケティング
    • 特徴
      • 見込み客へ製品購入のメリットを促す能動的なアプローチ
      • 製品の機能を重視
    • 適する条件
      • 技術的な製品
      • 機能的価値の高い製品
      • 新しい製品
      • 品質向上した既存製品
      • 新しい市場

  • プル型マーケティング
    • 特徴
      • 見込み客の価値観や願望を擽る受動的なアプローチ
      • 見込み客の願望的価値を重視
    • 適する条件
      • 認知度の高い製品
      • シンプルな製品
      • 普及度の高い製品
      • 高いブランド力
      • 成熟した市場(類似製品が既存)

プッシュ型の特徴

  • 能動的、明示的、直接的なアプローチ
  • 事実を提示し見込み客を説得する
  • 製品やサービスの特徴や機能を重視する(価格、品質、etc)
  • 製品やサービスの品質や価値が高いほど効果は大きくなる
  • 製品やサービスの認知度を高め、なぜ良いかを見込み客に認識させる

プッシュ型が適する条件

  • 新しい製品やサービス
  • 新しい市場
  • 技術度の高い製品やサービス
  • 機能が充実している製品やサービス

プル型の特徴

  • 受動的、暗示的、間接的なアプローチ
  • 見込み客の価値観や願望に訴え、共感を誘う
    • なりたい人間像、達成したいこと(幸福、富、社会的地位、etc.)
    • 共感できるエピソードや感動的なストーリー
  • 見込み客の価値観を製品やサービスと結びつけさせる
    • 見込み客の望む姿へ、製品やサービスを購入・使用することで近づける、と感じさせる。
  • 顧客ロイヤルティを育てる (リピーターやクチコミ)

プル型が適する条件

  • 認知度の高い製品やサービス
  • 既に需要の高い製品やサービス
  • シンプルな製品やサービス
  • 認知度の高いブランド
  • 成熟している市場

企業がプル型マーケティングを行うべき背景

プル型、プッシュ型にはそれぞれの特徴があり、有効となる条件にも違いがあることがわかりました。それでは、プッシュ型が有効と言われている条件下では、企業はプル型のアプローチを検討する必要はないのでしょうか?

ここでは、プッシュ型が有効とされる条件下でもプル型マーケティングが必要となってきている背景について説明します。

インターネットによる顧客の購買行動の変化

企業がプル型のマーケティングを検討すべき大きな点として、インターネットの普及による顧客の購買行動の変化があります。

インターネットが現在ほど普及していなかった従来、見込み客が自力で製品やサービスの情報を集めることは困難でした。製品やサービスの情報は企業が打ち出す広告や宣伝に頼る他なく、必然的に企業のマーケティングも、こうしたプッシュ型マーケティングを採用するケースが多かったのです。

BtoBビジネスにおいても同様で、バイヤーは広告などで製品やサービスを認知後、興味を持ったものに問い合わせや資料請求を行い、営業員からの詳細な情報を受け購入を検討した後、購入するというプッシュ型の流れが一般的でした。

ところがインターネットの普及により、さまざまな情報へのアクセスが容易になったことで、見込み客は欲しいものがあったら自ら情報を集めるようになります。現在ではSNSやブログ、動画サービスなどさまざまな媒体で、見込み客は購買に必要な情報収集を自ら完了させてしまいます。

 BtoBマーケティングのリサーチの権威だったSiriusDecisions社(現在はForrester社が買収)が2012年に提唱した、「バイヤーの購買プロセスのうち、57%はサプライヤーに連絡をする前に終わっている」というリサーチ結果は、当時の業界に衝撃を与えました。

また同じくIT分野の調査・助言企業の権威であるGartner社も、「BtoBにおける購買行動のうち、バイヤーがサプライヤーと接触する時間は全体のたった17%に過ぎない」と発表しています。

B2Bバイヤーの購買フェーズ毎の消費時間(画像出典: Gartner) 

  • Distribution of buying group’s time by key buying activities
    バイヤー購買行動別の時間分布
  • Researching independently online
    オンラインでのリサーチ
  • Meeting with buying group
    購買チーム会議
  • Researching independently online 
    オンラインでのリサーチ(2回目)
  • other
    その他
  • Meeting with potential suppliers
    サプライヤー候補とのミーティング

これらのデータは、顧客が以前よりも「自らの手で得た情報」を信頼して購買行動を起こしているという証拠であり、これらの購買プロセスによりマッチするプル型マーケティングの重要性は今後も高まっていくでしょう。

プッシュ型が有効な条件が減ってきている

プッシュ型が有効な条件は、製品やサービスが新しかったり品質や機能が突出し、企業側のみしかその情報を保持していなかったりすることが前提条件でした。

しかしインターネットでグローバルに情報をキャッチできるようになった今、同様の製品やサービスを見つけることは容易になっており、企業が価格や品質で独自性や優位性を示すことが以前よりも難しくなっています。企業間の競合性が高まったことにより、乱立するライバルの中から自社へと見込み客の興味を引き込めるよう、ブランド力の強化の重要性は今後一層高まっていくと考えられます。

それまでプッシュ型アプローチのみで十分だった企業も、プル型アプローチを採用しブランド力強化を検討する重要性は必然的に高まると言えるでしょう。

プル型マーケティングの効果とメリット

プル型マーケティングの施策は手間がかかるものが多く、効果が出るまで時間がかかることもしばしばですが、期待される効果はそれらを補って余るほどです。

ここではプル型マーケティングを採用することで期待できる効果やメリットを紹介します。

潜在顧客への再アプローチが可能

プッシュ型のように製品自体の魅力に重点を置くのではなく、プル型では見込み客の価値観や願望に重きを置きます。製品が実用的か否かよりも、製品を購入・使用することで彼らが望む姿へ近づけるか否かを検討してもらうことができます。

これにより既に自社製品やサービスを必要としている見込み客だけでなく、すぐには購入しないという見込み客も、彼らの望む情報を与え続け信頼を得ることによって、長期的に取り込める可能性が高くなります。

プッシュ型では取りこぼしてしまいがちな、一度ロストした潜在顧客にまで継続的にアプローチを行い、購入の可能性を高められるのはプル型マーケティングの大きなメリットでしょう。

ブランドロイヤルティ

プル型マーケティングを通して、顧客は自分の価値観や願望が満たされると信じて製品やサービスを購入・使用します。そして、自分の望む価値や情報を与えてくれるその製品やサービス、さらにはブランドに対する信頼を高めます。このようにブランドロイヤルティが高い顧客は、リピーターとなり再度同じブランドの製品やサービスを購入する可能性が高くなります。

米リサーチ会社であるTemkin Group社が行ったリサーチによると、ある製品やサービスを購入したことがある顧客は購入したことがない見込み客に比べ、リピート購入する確率が5倍、同じブランドによる別オファーに反応する確率が7倍高くなる、とされています。

さらにこのデータは、マーケティング手法に関わらず製品を購入した顧客全体を対象としているリサーチによるものですので、プル型マーケティングによりブランドへの信頼度を高めた顧客に対してはこれ以上の効果の期待も可能です。

また、このようにロイヤルティの高い顧客が増えることで、ブランド自体のネームバリューの強化も期待できるでしょう。プッシュ型アプローチが一過性、短期型であるのに対し、プル型が長期的アプローチであると言われる理由でもあります。

クチコミによる拡散

プル型マーケティングは、見込み客に「自発的」に情報を探させることがポイントです。

ブランドを信頼し購入に至った顧客の多くは、「価値観に合うブランドを、自分が探し当てたのだ」と感じます。せっかく自分が見つけた価値のあるものを他人に教えたいと考えるのは人の性ですから、このような顧客はSNSなどで製品やブランドをクチコミで拡散してくれる可能性が高くなります。

前述したTemkin Group社のリサーチでは、既存顧客のリピート率増加に加え、製品をクチコミにより拡散する確率も4倍高くなるという結果が出ています。またリピート率と同じく、自発的に「探し当てた」製品やサービスを拡散したいと考える顧客の数は、このデータよりもさらに多くなると考えるのが自然でしょう。

このような自発的な情報拡散は企業のマーケティング施策外で副次的に起こるものであり、費用対効果は非常に高いと言えます。他人から魅力を押し付けられる、プッシュ型マーケティングでは起こりにくい効果でもあります。

プル型マーケティングの代表的な施策

プル型マーケティングによって企業が期待できる効果は絶大です。プッシュ型のみでは取りこぼしてしまう潜在顧客を取り込むため、プル型アプローチの検討は多くの企業で必要となります。しかし実際にどのような施策を打てばよいのでしょうか?

ここでは、企業が最初に検討すべきプル型マーケティングの代表的な施策を紹介します。

SEO対策

SEO(Search Engine Optimization)対策は、自社のウェブサイトの構成や内容を検索エンジン(多くの場合Googleを指します)のアルゴリズムに最適化させ、検索結果ページで上位表示される様に対策することを指します。検索結果ページで上位表示される程、多くのオーガニックトラフィック(広告を通さない、検索エンジンを通した自発的な流入)を望めます。

検索順位と流入数

Googleでのキーワード検索順位によるサイト流入数の分布
(画像出典: engaiodigital)

SEO対策を通しキーワード検索で上位表示を狙えれば、それだけで興味のある潜在顧客を多数、自社サイトへ引き込むことができます。

プル型マーケティングの目的は、できるだけ多くの見込み客を自社が発信する情報へ「引き込む」ことです。自社サイトへのアクセスの流入数アップを目指すSEO施策のゴールは、そのままプル型マーケティングのゴールとしても当てはまると言え、非常に効果的な施策になり得るでしょう。

SEO対策のデメリットとしては、結果が出るまで手間と時間がかかることが多く、プロのサービスなどを使用した場合は、サイトの最適化が軌道に乗るまでにある程度のコストを見込まないといけない場合があるということです。

GoogleやBingなどの検索順位変更にかかる期間は、サイトのさまざまな要因により変化するため一概には言えませんが、SEO対策の結果が反映されるまでは最低でも4-6ヶ月かかるというのが妥当な目安のようです。

とはいえスポンサー広告などにかかる費用と比べれば、SEO費用は少額である場合が多く、長期的に見た場合の利益効果も見込めます。プル型のマーケティング戦略を練るのであれば、自社サイトのSEO対策は最優先事項のひとつとなるでしょう。

ソーシャルメディア

ソーシャルメディア上にはさまざまなユーザーがおり、その価値観や嗜好も多岐にわたっています。自社製品やサービスの広告を、似たような情報をよく見るユーザーのニュースフィードに表示させる、という手法は非常に有効です。

DMなどを通してユーザーに直接アプローチするのではなく、彼らの方から自発的に広告をクリック(もしくはタップ)させることで、本当に興味のあるユーザーのみを自社サイトに引き込むことができます。またソーシャルメディア上では製品やサービスのクチコミレビューなども多く共有されますので、高評価を得ることができれば二次的な効果派生も見込めます。

ソーシャルメディアのクチコミ

 (画像出典: HubSpot)

  • What sources of information do you rely on when making purchase decisions for business software?
    BtoBソフトウェアの購入時にバイヤーが検討する情報源
  • Word of mouth (friends, social media) referrals
    友人やソーシャルメディアのクチコミ
  • Customer references
    ユーザーによるクチコミサイト
  • Media articles
    メディア記事
  • Vendor-authored materials (eBooks, blog posts, whitepapers, case studies)
    企業が発信する情報(eブック、企業ブログ、ホワイトペーパー、ケーススタディ)
  • Analyst reports/ recommendations (Gartner, Forrester)
    プロが分析/推奨する情報(Gartner社、Forrester社)
  • Crowdsourced review sites (Quora, G2 Crowd, TrustRadius)
    クラウドレビューサイト(Quora、G2 Crowd、TrustRadius)
  • Salesperson
    営業員による情報

画像はHubSpot社が、BtoBソフトウェアサービスの購入検討時にバイヤーが参照する情報のソース元を調べたものです。友人やソーシャルメディアのクチコミによる購入意思決定の割合が全体の55%となっており一番高いことがわかります。逆に従来のプッシュ型の情報源による購入意思決定率は比較的低い結果となっており、さらに営業員による直接営業による効果は最下位となっています。

共同マーケティング(Co-Marketing)

共同マーケティングもしくはCo-Marketingとは、他のブランドと提携・協力し、互いの製品やサービスを宣伝し合うことを指します。同じ業界や、ターゲットが似ているなど、競合ではないが共通点の多い企業間で行われます。

共同マーケティングを行うことで、両企業は互いが持つユーザーネットワークを共有することができ、互いに新規のユーザーの流入を見込むことができます。例えば、ファッションブランドはSNSインフルエンサーとコラボ商品を打ち出すことでインフルエンサーが抱えるフォロワーの注意を自社製品に向けることができますし、インフルエンサーはブランドが抱えるリピーターの中から着こなし例などを欲する層を自分のフォロワーとして取り込める可能性が高くなります。

また、タクシー配車のUber社と音楽配信サービスのSpotifyは共同マーケティングにより、Spotify上でUberタクシーを待機時や乗車時に最適な音楽リストを提案しました。これによりUberはSpotifyユーザーから新規見込み客を引き込み、SpotifyもUberの待ち時間を億劫に感じていたユーザーを引き込むことに成功しています。

Uber-Spotify

(画像出典: Linkedin) 

共同マーケティングは、費用対効果が高く非常に理にかなったアプローチと言えます。とはいえ、メリットの比率やコラボにより予想される弊害など、共同マーケティングを成功させるためには事前にしっかりと両者で合意をとっておく必要があります。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、ターゲットとするユーザーに価値のあるコンテンツを充実させることでファンを増やし、製品やサービスの購入に結びつけるマーケティングの手法です。

コンテンツマーケティングで使用されるのは広告ではなく、ユーザーにとって価値のある情報ですので、Webサイトやブログの記事、Youtubeなどの動画、メールマガジンなどが該当します。

コンテンツマーケティングでは、「認知」「興味」「検討」「購入」など各購買プロセスの一つ一つにおいて、見込み客の価値観や願望を刺激するようなコンテンツを配置することで、次の購買プロセスへと進めさせることが目的とされます。

そのためコンテンツにはしばしば、共感できるエピソードや感動的なストーリーなどが含まれます。見込み客を心理的に惹きつけ、彼らの共感や賛同を得られるようなコンテンツを充実させることは、ブランドに対する信頼度向上を見込めますし、彼らがその後自社の製品やサービスについて購入検討する確率は高まると考えられます。

下記はAirbnb社による感動的なコンテンツマーケティングの一例です。「さまざまな異なる文化・人種・思想を受け入れる」という感動的なメッセージを用い、宿泊体験を提供する自社のブランドへと見る人の認知・興味を引き込んでいます。

We Accept | Airbnb (動画出典: Airbnb)

コンテンツマーケティングは一時的ではなく、中長期的なビジネスの拡大や成功を見据えて行うマーケティングの手法ですが、前述したSEO対策などの施策とコンテンツマーケティングの内容は重なる部分も多いです。ユーザーが求めるコンテンツを充実させ自社サイトの信頼度を向上することは、検索エンジンで上位表示されることにもつながり、SEO対策との相乗効果が見込めるでしょう。

まとめ

実はプル型マーケティング自体は、特別新しいものではありません。例えばタバコメーカーは昔から、自社ブランドのタバコを吸う姿を「かっこいい」と思わせることで潜在顧客を引き込んでいました。

プル型マーケティングは、特定の製品やサービスをPRするというよりは、見込み客の価値観とブランドを結びつけるという解釈の方が正しいかもしれません。

インターネットを通じた情報収集が容易になった今、顧客はより信頼性の高いブランドへと流れるようになり、プル型マーケティングの需要は一気に伸びています。

プル型マーケティングを進める上では、製品やサービスに固執せず、潜在顧客に価値ある情報を与え続け、ブランド全体への信頼を高めていくことが非常に重要になるでしょう。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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