ロングテールSEOとは？ ロングテールSEO戦略の注意点から実践のステップまでわかりやすく解説

BtoB企業におけるSEOの重要性がますます高まる中、激しい競争の中でも目立つためには、ロングテールSEO戦略が鍵となります。HubSpotの報告によると、2021年にはマーケターの69％がSEOに投資しているとのこと。しかし、競争が激しい市場では、従来の手法だけでは十分な成果を上げることが困難になっています。

ここでロングテールSEOが効果を発揮します。ロングテールSEOは、検索ボリュームは少ないものの、ユーザーニーズが明確なキーワードに焦点を当てる戦略です。こうしたキーワードは競争が少なく、より具体的なニーズに対応しているため、検索エンジンのランキングで高い位置を獲得しやすく、コンバージョン率の向上にも寄与しやすいです。

ただ、単に長いキーワードをターゲットにしてコンテンツ作成するだけでは、期待した成果は見込めません。本記事では、ロングテールSEOで成果を上げるために、その重要性や注意点、実践手順を解説します。

特にこれからSEOに取り組むBtoB企業、すでに取り組んでいるものの成果を出せていない企業は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。

ロングテールSEOとは

ロングテールSEOとは、検索ニーズが具体的、かつ検索ボリュームの低いキーワードに焦点を当てたSEO戦略です。ロングテールキーワードは競争率が低いだけではなく、ビッグキーワードに比べてコンバージョン率が高い傾向にあります。まずはロングテールの意味やロングテールSEOが発展した背景などを見ていきましょう。

ロングテールの意味とは

ロングテールという概念は、ビジネスや経済の分野で幅広く使用される用語です。一般的には数少ないヒット商品ではなく、多数のニッチな商品が市場の大部分を占める状況を指します。この考え方は、Chris Anderson（クリス・アンダーソン）氏によって提唱されたもので、少量の大量商品よりも多量の少量商品の方が、合計するとより大きな市場を形成するというものです。

(出典：ResearchGate)

SEOの文脈における「ロングテール」とは、競争率が低く、検索ニーズが具体的なキーワードを意味します。検索ボリュームは少ないものの、自社ビジネスと関連性が高く、コンバージョンが期待できる優良な見込み客にアプローチできます。

ロングテールSEOが発展した背景

ロングテールSEOが発展した背景には、主に2つの要因が考えられます。1つめが、ロングテールキーワードによる検索の増加です。Backlinkoが3億600万件の米国キーワードを分析した調査によると、検索ワードの91.8％がロングテールキーワードであると判明しました。

また、Corporate Web Servicesの調査によれば、ロングテールキーワードは検索トラフィック全体の70％を占め、コンバージョン率はビッグキーワードの2.5倍も高まるとのこと。これらの調査が示すように、ロングテールキーワードの数はビッグキーワードよりも圧倒的に多いです。

2つめの要因として、インターネット上のコンテンツ量が膨大に増加したことで、一般的なキーワードによる競争が非常に激しくなったことが考えられます。

たとえば、Googleで「プロジェクト管理ツール」を検索すると約5200万ページが表示されるのに対して、「プロジェクト管理ツール 建設業」だと約570万ページしか表示されません。ロングテールキーワードは競合が少ないため、特定の分野で高い結果を得やすくなっています。

特に、BtoB企業は専門性の高い情報提供ができるため、ロングテールSEOとの相性が良いです。ロングテールSEOで専門性の高いコンテンツを充実させることで、知識や権威性をアピールし、効果的に見込み客の購買意欲を醸成できるでしょう。

ロングテールキーワードとは

ロングテールキーワードとは、検索ボリュームが少ないキーワードを示します。よく「2〜3語で構成されるキーワード」などの定義がされますが、単語数で定義するのは大きな間違いです。正しくは、検索ボリュームでビッグキーワードなのか、ロングテールキーワードなのかを定義しなければいけません。

(出典：ahrefs)

ahrefsのデータベースによれば、月間検索回数が10回未満のキーワードが全体の約95％を占めるとのこと。しかし、ロングテールキーワードの厳格な定義は存在しないため、必ずしも月間検索ボリューム10未満のキーワードを中心に対策する必要はありません。ロングテールキーワードを考える際は、以下3つのポイントを確認しましょう。

• 検索ボリューム
• 競争力
• 検索意図の具体性

たとえば、「プロジェクト管理ツール」という一般的なキーワードではなく、「プロジェクト管理ツール 建設業」のような、特定のニーズや問題を示したキーワードがロングテールキーワードに該当します。ロングテールキーワードは検索者の意図がはっきりしており、そのニーズに正確に応えられるため、訪問者を見込み客に変えられる可能性が高いです。

ロングテールSEOはなぜ重要なのか

ここからは、ロングテールSEOが重要な4つの理由を見ていきましょう。

他社のコンテンツとの競争力が低い

ロングテールキーワードは、ビッグキーワードや語句数が少ないキーワードに比べて、ニッチなため、他社コンテンツとの競争力が低いです。結果として、ロングテールキーワードをターゲットにしたコンテンツは、検索エンジンの結果ページで上位に表示されやすくなります。

ScienceDirectの報告によると、全キーワードの上位20％がほとんどの検索トラフィックとクリックを獲得していることが明らかになりましたが、これにはビッグ・ミドルキーワードが集中しています。この現象は、しばしば「80／20の法則」または「パレートの法則」と呼ばれ、少数の要因が結果の大部分を生み出すという原則を反映しています。

対照的に、ロングテールキーワードは全検索キーワードの大部分を占めており、それぞれが少ない検索ボリュームを持っているため、競争力ははるかに少ないです。これらロングテールキーワードは、全体のトラフィックとコンバージョンの「隠れた80％」を構成しているとも言えるでしょう。

Neil Patel（ニール・パテル）氏はロングテールキーワードSEOに取り組むことで、ウェブサイトのオーガニックリーチを206％増加させることができました。

このように、ロングテールSEOを用いることで、競合他社との直接的な競争を避けながら、特定のニーズを持つユーザーにリーチしやすくなります。これはマーケティングコストの削減にもつながり、リソースをより効率的に活用して、高いROI（投資収益率）を達成することも可能です。

検索ニーズに答えやすい

Googleなどの検索エンジンは、ユーザーの検索意図を推測し、ユーザーにとって最も有益なコンテンツを上位に表示する仕組みです。そのためSEOで成果を出すためには、ユーザーの検索意図を理解し、それに応えるコンテンツが欠かせません。

ロングテールキーワードは、特定の検索意図や具体的な問題を持つユーザーが使用する傾向にあるため、検索ニーズを推測しやすいです。たとえば、キーワード「CRMソフトウェア」には、下記のニーズがあると考えられます。

• CRMソフトウェアを購入したい
• 各社のCRMを比較したい
• メリット・デメリットが知りたい

このように、語句数が少ないために、さまざまな検索意図が含まれているのです。一方、「建設業 CRM 必要性」の場合、建設業界に属するユーザーがCRMの必要性を知りたがっているとわかります。

ロングテールキーワードは、検索ニーズが明確な傾向にあるため、ニーズに合致したコンテンツ制作を行いやすいです。結果的に、上位表示や優良な見込み客へのアプローチなどを見込めます。

ロングテールキーワードは大量にある

これまでに見てきたように、多くの調査で全検索ワードの90％以上がロングテールキーワードと判明しています。ロングテールキーワードが大量に存在する理由は、人々がさまざまな方法で情報を検索するためです。

人々は、自分のニーズや興味に合わせて、特定のフレーズや専門用語を使用して検索を行います。さらにBtoB業界に焦点を当てれば、業界固有の用語や製品名、ビジネス上の課題などを組み合わせて検索を行うでしょう。

たとえば、製造業界に属する担当者が生産効率性に課題を抱えているのなら、「製造業向け リアルタイム生産追跡 システム」と検索するかもしれません。また、中小企業の経営者や財務担当者が会計ソフトウェアを検討しているのなら、「中小企業向け クラウド会計ソフトウェア 比較」と検索する可能性があります。

このように、各ユーザーの異なるニーズと表現方法が組み合わさることで、数え切れないほどの検索語句のバリエーションが生まれるのです。

また、興味深いことにGoogleによれば、毎日のGoogle検索の15％は新しい検索語句とのこと。ユーザーのニーズの変化や業界のトレンド、新しいビジネス概念が登場するにつれて、新たなロングテールキーワードが創出されるため、マーケティング担当者は定期的に新たなロングテールキーワードのアイデアを探求し、競合よりも早く対策をする必要があります。

ターゲットのコンバージョンに繋がりやすい

ロングテールキーワードは高いコンバージョン率を見込めます。Corporate Web Serviceの調査によれば、ロングテールキーワードを利用した場合のコンバージョン率は、一般的なビッグキーワードに比べて約2.5倍高いとされています。

この顕著な差は、ロングテールキーワードが特定の製品やサービスに対して既に強い関心を持ち、購入意欲が高いユーザー層にリーチできること、検索ユーザーのニーズと自社サービスの合致度を高めやすいことに起因します。

ロングテールSEOの有効性を示す一例として、シドニーに本拠を置く大手法律事務所の事例があります。この事務所は、ロングテールキーワードを活用したデジタルマーケティング戦略を採用し、10年以上にわたり顕著な成果を達成しています。

具体的には、ユーザーのニーズが明確で競争率が低いロングテールキーワードをターゲットに設定し、週に5本以上の質の高いブログ記事を投稿しました。この結果、10年間でオーガニックトラフィックは驚異的な7000％増加を記録し、さらにコンバージョン数も700％増加するという目覚ましい成果を収めています。

ロングテールSEOを行う上での注意点

一見するとロングテールSEOはシンプルに思えるかもしれませんが、実際には緻密な戦略のもと実施する必要があります。ここからは、ロングテールSEOを行う上での注意点を見ていきましょう。

トピッククラスターの構造を意識する

トピッククラスターは、一つの大きなテーマ（ピラーコンテンツ）と、それに関連する多数の小さな話題（サブトピック）を組み合わせたコンテンツ構造を指します。たとえば、CRMソフトウェアを主題とするピラーページを設け、これに連動するサブトピックとして「CRMのメリット」や「CRMの事例」などのコンテンツを展開するのです。

ピラーページは、そのトピックに関する総合的な情報を提供し、サブトピックは具体的な質問やキーワードに対応する情報を提供します。これらのコンテンツを内部リンクで繋ぐことで、Googleなどの検索エンジンがトピックの関連性を理解しやすくなり、SEO効果が高まります。

トピッククラスターのメリットは、それぞれのロングテールキーワードが特定のトピックに関連付けられることです。これにより、個々のキーワードの検索ボリュームの少なさを、広範囲にわたるトピックの関連性で補うことが可能になります。

また、筆者はカスタマージャーニーに沿ったトピッククラスターの構築を推奨しています。そうすることで、具体的なカスタマージャーニーの各ステージに合わせたコンテンツ提供をし、効果的に潜在顧客の関心を引き、オーガニックリードの獲得効率を大幅に向上させられるのです。

内容が近いコンテンツを量産しないようにする

ロングテールSEOを効果的に活用するためには、コンテンツの重複やキーワードカニバリゼーションを避けることが重要です。キーワードカニバリゼーションは、同じまたは似たキーワードをターゲットにした複数のページが存在することで発生し、これによりウェブサイト内のページ同士がGoogleの検索結果で互いに競合する現象を指します。この結果、サイト全体のオーガニックパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。

例として、「プロジェクト管理ツールのメリット」と「プロジェクト管理ツールの利点」のような似通った内容のページが同じキーワードで競合するケースがあります。実際、アメリカの大手不動産ウェブサイトでは、400を超える物件タイプのページがキーワードカニバリゼーションを引き起こし、数千、数百万のURLが相互に競合していました。

同社は物件タイプのページを413から85に削減し、約1500万ものURLを削除することで、オーガニックトラフィックを110％増加させました。

この事例から学ぶべきは、内容が似通ったコンテンツの量産が、SEO効果のみならずユーザー体験やサイトの価値にも影響を及ぼす可能性があるという点です。ロングテールSEOにおいては、コンテンツ管理を慎重に行い、重複やカニバリゼーションのリスクを回避することが、SEOパフォーマンスとユーザー体験の両方を向上させる鍵となります。

大きなトラフィックの成長に反映されるまで時間がかかる

ロングテールSEOの成果を実現するには、即時性よりも長期的な視点が求められます。たとえば、月間検索ボリュームが80のキーワードで検索ランキング1位を獲得したとしましょう。

Backlinkoの調査によれば、1位の平均クリック率は27.6％です。これは、月間でわずか22のトラフィックに相当します。このように、ロングテールキーワードによる検索ボリュームは限られており、複数のキーワードで上位にランクインしても、トラフィックの大幅な増加は期待しづらいのです。

筆者が多くの企業のSEO支援に携わってきた経験からも、ロングテールSEOの効果が表れるまでには時間がかかるという点が、継続困難の一因であることが分かっています。

特にBtoBビジネスにおいては、ページビュー（PV）数だけを指標とすることは、実際のビジネス成果を反映しない場合があります。そのため、ロングテールSEOの成功を測る際には、PV数に加えて、リード数やコンバージョン数などの月次成長を示す指標を設定することが重要です。

長期的な努力が報われるロングテールSEOでは、一時的なトラフィックの増加よりも、持続可能な成長を目指すべきです。このアプローチは、ターゲットとする顧客層へのより深い理解をもたらし、結果として高い品質のリードを獲得することにつながります。

これにより、BtoBビジネスは長期的な視点でのSEO戦略を展開し、持続可能な成長を実現することが可能になるでしょう。

作成したコンテンツの管理が複雑になる

ロングテールSEOでは、ターゲットとするキーワードの数が膨大になるため、コンテンツの管理が一層複雑になります。この戦略の核となるトピッククラスターでは、ピラーページとクラスターページ間の内部リンクの確実な連携が不可欠です。期待されるSEO効果を得るためには、これらのコンテンツを適切に管理し整理することが重要です。

効率的なコンテンツ管理を実現する方法のひとつとして、一つのトピッククラスターの構築を完了させてから、次のトピッククラスターへ進むというアプローチがあります。

たとえば、サイバーセキュリティ企業が4月と5月に「情報漏えい」に関するトピッククラスターを構築し、続いて6月と7月に「ランサムウェア」にフォーカスしたトピッククラスターを構築する場合、各トピックの集中的な取り組みによって、コンテンツの重複や内部リンクの設置漏れを防ぐことができます。

さらに、エクセルやGoogle スプレッドシートを活用し、コンテンツカレンダーを作成することも効果的です。これにより、コンテンツの公開スケジュールを視覚化し、管理の効率化を図ることが可能になります。

コンテンツカレンダーは、コンテンツのテーマ、ターゲットキーワード、公開予定日などの情報を一元管理するための有力なツールとなり、BtoBビジネスにおけるロングテールSEO戦略の成功に貢献します。こうした戦略的なコンテンツ管理により、SEOの効果を最大限に発揮し、長期的なビジネス成果へとつなげることができるのです。

ロングテールSEO戦略を実践するためのステップ

ロングテールSEO戦略を実施するためには、段階的なアプローチが不可欠です。ここでは、各ステップを詳細に説明します。

STEP1：ターゲットとするビックワードの選定

ロングテールSEO戦略を効果的に進めるための第一歩は、ビッグワードの選定です。ビッグワードとは、高い検索ボリュームを持ち競争が激しいキーワードであり、ロングテールSEOにおいてはピラーコンテンツの中核となるキーワードです。

ビッグワードの選定プロセスは、業界全体で頻繁に検索される一般的なキーワードを特定することから始めます。また、自社の製品カテゴリーやサービスがビッグワードに該当することもあります。たとえば、下記画像はマーケティングリサーチを提供するマーケティング・コンシェルジュの公式サイト画像です。

(出典：マーケティングコンシェルジュ)

市場調査サービスと一口に言っても、アンケート調査やフィールド調査、ベンチマーク調査などさまざまな調査サービスを提供しています。このような製品サービスのカテゴリーを、ピラーページで狙うビッグキーワードとして選定するのもよいでしょう。

ビッグワードを特定した後は、キーワードプランナーなどのツールを使用して、その検索ボリュームと競合度を調査します。この情報は、ピラーコンテンツの戦略立案や、関連するロングテールキーワードの選定に不可欠です。

STEP2：トピッククラスターを考えながらロングテールキーワードを整理していく

ロングテールSEO戦略の第二ステップは、トピッククラスターの構築です。ここでは、選定したビッグキーワードを中心に、関連するロングテールキーワードを洗い出し整理します。このプロセスでは、Googleの関連キーワードやラッコキーワードのようなツールを活用するのが一般的です。

たとえば、「MAツール」というビッグキーワードに関連するロングテールキーワードをラッコキーワードで調べると、「MAツール できること」や「MAツール 比較」などが抽出されます。これらを整理し、トピッククラスターを形成します。

(出典：ラッコキーワード)

しかし、こうしたツールだけに依存すると、より特化したニーズに対応するロングテールキーワードを見逃すリスクがあります。特にBtoBビジネスでは、3語以上の検索語句で表現されるような明確な検索意図を持つロングテールキーワードの特定が重要です。そのため、以下の3つの方法を併用することを推奨します。

• 営業資料の分析：既存顧客とのコミュニケーションから得られる洞察を活用し、実際の顧客ニーズを反映したトピッククラスターを特定します。
• 業界関連のメディアや書籍の研究：業界の最新トレンドや専門知識を把握し、新たなトピッククラスターの可能性を探ります。
• 潜在顧客との対話：市場のニーズを直接把握し、顧客の認知段階に合ったトピッククラスターを構築します。

実際に筆者がクライアントのトピッククラスターを考える際、優秀なセールスチームの資料の検証、業界関連の書籍の研究、商談への同席などを通じて、ツールでは発見できないロングテールキーワードの特定をします。このアプローチにより、実際の顧客が使用する検索語句やツールでは発見できないロングテールキーワードの特定が可能です。

STEP3：ロングテールキーワードがどのくらいトラフィックに貢献するか分析

ロングテールキーワードのリストアップが完了したら、次の重要なステップは、それらのキーワードがウェブサイトのトラフィックにどの程度貢献する可能性があるかを分析することです。この分析には、キーワードプランナーやSEOツールなどが有効です。たとえ2〜3単語の検索語句であっても、検索ボリュームが1000を超えることがあります。

検索ボリュームの調査により、各ロングテールキーワードがウェブサイトのトラフィックにどれほど貢献するかが明らかになります。Backlinkoの調査によると、SEOランクに応じた平均クリック率は以下の通りです。

たとえば、ロングテールキーワードの検索ボリュームが120の場合、将来的にSEOランキング1〜3位になることで、13〜33のトラフィックが見込めます。また、UbersuggestのようなSEOツールを使用することで、競合難易度に基づいたキーワードの選定が可能です。

(出典：Ubersuggest)

これはUbersuggestでキーワード詳細を調べた画面であり、SDはSEOの競争度の結果を数値化したものです。「MAツール 国産」は検索ボリューム10・SD46なのに対し、「MAツール 機能」は検索ボリューム40・SD31のため、「MAツール 機能」に注力したほうが効率的だとわかります。競争度が低く、かつ適度な検索ボリュームを持つキーワードを選定することで、SEO効果の最大化を見込めるでしょう。

投資可能な予算があれば、こうしたツールの導入を検討することは、ロングテールSEO戦略の成功に大きく貢献します。トラフィックの予測と競合分析を通じて、より効果的なキーワード選定が可能になり、結果としてウェブサイトのオーガニックトラフィックの増加につながるためです。

STEP4：ロングテールキーワードと検索意図を検討してコンテンツの内容・構成を考える

ロングテールSEO戦略のこの段階では、特定のロングテールキーワードに対するユーザーの検索意図を深く理解し、それに応える価値あるコンテンツの企画が重要です。ユーザーが特定のキーワードを検索する際、何を求め、どのような課題解決を望んでいるのかを把握することが、Googleのような検索エンジンによる上位表示には不可欠です。

一般に、検索意図は以下の4つのカテゴリに分けられます。

検索意図の理解を深めるためには、ターゲットキーワードでの検索結果で上位に表示されるページを分析することが効果的です。

これらのページが上位にランクされているのは、ユーザーのニーズに適切に応えている証拠です。上位3記事を分析し、それらがなぜ成功しているのか、トピックをどのように広くまたは深く扱っているのかを理解し、それを基により優れたコンテンツの企画を行いましょう。

STEP5：コンテンツの作成

構成案の完成後、次の重要なステップはユーザーの検索ニーズに応える価値あるコンテンツの作成です。ここで重視すべきは、単に検索エンジンでの上位表示を目指すだけでなく、ユーザーにとって有益かつ読みやすいコンテンツを提供することです。

キーワードの必要以上の詰め込みは避け、ユーザーの体験を最優先に考慮することが重要です。コンテンツ作成時には、「ユーザーにとって最適な内容か」「ユーザーが容易に理解できるか」という観点から、質の高いコンテンツを目指しましょう。

コンテンツの品質は、ロングテールSEOの成功に直接影響します。質の高いコンテンツを提供することにより、単にウェブサイトへのトラフィックを増やすだけでなく、ブランドの信頼性を高め、ユーザーエンゲージメントを強化することが可能です。

特にBtoBビジネスでは、顧客が期待する情報の提供が権威性や信頼性に大きく影響を与えるため、コンテンツの精度と品質には特に注意を払う必要があります。

STEP6：コンテンツの公開と効果測定

ロングテールSEO戦略における最終ステップは、コンテンツの公開とその後の効果測定、継続的な改善です。SEO対策は、コンテンツの公開で終了するのではなく、公開後のパフォーマンス分析と改善が不可欠となります。たとえば、コンテンツの表示回数に対してクリック率が低い場合、タイトルやメタディスクリプションの改良が必要かもしれません。

また、表示回数自体が低い場合は、関連キーワードの追加によって、表示回数を増やすなどの対策が考えられます。これらの効果測定と改善を定期的に行うことで、SEO効果を最大化できるでしょう。さらに、たとえ一時的に検索エンジンで上位にランクインしても、ユーザーニーズの変化に対応したコンテンツ制作を続けないと、ランキングは下がってしまうことがあります。

SEOの初心者は、特定のキーワードに関連するクリック数、クリック率、表示回数、平均掲載順位、平均セッション時間、直帰率、コンバージョン（CV）などの基本的な指標から分析を始めましょう。これにより、ウェブサイトのパフォーマンスを正確に評価し、必要に応じて戦略を調整することができます。

まとめ

ロングテールSEOは、専門性を高めたコンテンツを通じて質の高いリードを獲得する効果的な戦略であり、特にBtoB企業において推奨されます。

この戦略は、検索ボリュームの低さやコンテンツ管理の複雑さといった課題を伴いますが、これらはトピッククラスター構造を採用することで解決可能です。カスタマージャーニーに沿ったロングテールのトピッククラスターを構築することで、効率的にオーガニックリードを獲得することが期待できます。

ロングテールSEOの最大の挑戦は、即座には現れないその効果です。この戦略に継続して取り組むためには、トラフィック数ではなく、公開されたコンテンツの数、獲得したリード数、コンバージョン率などを主要な指標として設定する必要があります。社内での理解を深めるために、本記事を参考資料として活用することも有効です。