ディスプレイ広告とリスティング広告の違いとは?バナー広告との違い関係性とについても紹介

2024/02/09
ディスプレイ広告 リスティング広告 Web広告 ディスプレイ広告とリスティング広告の違いとは?バナー広告との違い関係性とについても紹介

デジタルマーケティングの領域は絶えず進化しており、この領域の核を成すのがディスプレイ広告とリスティング広告です。しかしながら、これらの手法の相違点や個々の効果について深く理解できているでしょうか。たとえば、ディスプレイ広告はマーケティングファネルの上層部、すなわちブランド認知や関心を高める層に到達し、対照的にリスティング広告は、購買意欲の高いユーザーにダイレクトに訴求します。

電通による「2022年 日本の広告費」レポートによると、ディスプレイ広告はインターネット広告全体の約29.7%を占め、リスティング広告は39.4%に達し、両者ともに前年比で著しい成長を遂げています。

ディスプレイ広告とリスティング広告がインターネット広告の主要な柱であることから、これらの違いを正しく把握し、効果的な使い分けを行うことが重要です。本記事では、これらの広告手法の差異やディスプレイ広告の重要性、使い分けの判断基準などについて、わかりやすく解説していきます。

ディスプレイ広告とは

ディスプレイ広告とは、ウェブページやアプリケーションの広告枠に配信される画像や動画形式の広告を示します。バナー広告、動画、アニメーション、ネイティブ広告などが含まれ、ブランドの認知度向上や商材の魅力を視覚的に伝えるのに有効です。ディスプレイ広告は、ターゲットユーザーの興味や過去のウェブ上での行動などにもとづいて表示されるため、自社に適したユーザーにアプローチできます。

ディスプレイ広告とリスティング広告の違い

ウェブ広告の主要な形態であるディスプレイ広告とリスティング広告には、いくつかの顕著な違いがあります。それらの違いを具体的に見ていきましょう。

配信・表示場所

ディスプレイ広告は、広告ネットワークを通じて多様なウェブサイトやアプリケーションで表示されます。たとえばGoogleのディスプレイ広告は、GmailやYouTubeをはじめ、200万以上のサイトや動画、アプリで配信されることがあります。これらの広告は、ウェブページの特定のスペースに配置され、その場所はサイトのデザインによって異なります。

ディスプレイ広告の例

(出典:はてなブックマーク

通常、広告スペースはウェブページの上部、側面、またはコンテンツの間に位置しています。また、ページ間の遷移時に表示されるインタースティシャル広告としても機能します。モバイルアプリ内でのディスプレイ広告配信も一般的で、特にゲームや無料アプリでは、フルスクリーン広告やバナー広告として見ることができます。

リスティング広告の配信位置例

一方で、リスティング広告は主に検索エンジンの結果ページの上部や下部に表示されます。これらの広告はユーザーの検索クエリに基づいて表示されるため、ディスプレイ広告に比べてターゲットとなるユーザーの範囲が狭いです。リスティング広告は、ユーザーの検索意図に応じて具体的なニーズに応えることが可能です。

ターゲットとする層

ディスプレイ広告は主に潜在層をターゲットにしています。潜在層は、特定の課題や商材に対してまだ明確な関心を持っておらず、能動的な情報収集を行っていない層です。

ビジュアル要素が強いディスプレイ広告を通じて、潜在顧客の注意を引きつけ、ブランドや製品への関心を高めたり、課題認識を促進させたりすることが可能です。

対照的に、リスティング広告は顕在層に焦点を当てています。顕在層は、自分の課題や悩みに対する解決策を見つけるために積極的に検索エンジンを使用しています。たとえば、「中小企業向け CRM」や「ニキビ 原因」などの具体的なキーワードを使って検索するユーザーは、既に購入意向や解決策に対する具体的な意向を持っているでしょう。

リスティング広告は、情報収集段階にあるユーザーに対してニーズに合った広告を提示し、直接的な行動(購入や問い合わせなど)へと導くことが可能です。

目的

ディスプレイ広告は、そのビジュアル性を活かし、幅広い潜在顧客にアプローチするのに適しています。主にブランドの認知度向上、ブランディング強化、興味や関心を喚起することが目的です。

たとえば、新製品のスマートフォンが発売される際、ディスプレイ広告はその存在を広く伝え、潜在顧客の興味や好奇心を引き出すのに役立ちます。魅力的なビジュアルや目を引くメッセージを通じて、ブランドイメージを高めたり、新製品に対する認知を広げたりすることができるのです。

一方でリスティング広告は、製品やサービスに対して既に関心を持っている顕在層にリーチします。このため、リスティング広告は主にコンバージョン、つまり問い合わせ、資料請求、購入などの具体的なアクションを起こしてもらうことが目的です。たとえば、「クラウドストレージ 法人」といった特定のキーワードで検索するユーザーに対して、関連する広告を表示することで、ユーザーのニーズに合わせたアクションを促します。

リスティング広告の例 (1)

ディスプレイ広告と他の広告との違い・関係性

ここからは、ディスプレイ広告と混同されることが多い3つの広告との違いと関係性を見ていきましょう。

ディスプレイ広告とネイティブ広告(純広告)の違い

ネイティブ広告は、配信されるウェブサイトやアプリのコンテンツに自然に溶け込むようにデザインされた広告を示します。サイトやアプリのデザインに調和し、ユーザー体験を妨げることが少ないため、広告色が強くないのが特徴です。

ネイティブ広告の例

(出典:Tech+

また、掲載されるメディアのコンテンツと一体化することで、ユーザーのエンゲージメントを高める効果があります。たとえば、マーケティング関連のメディアに訪れるユーザーは、マーケティング担当者が多いはずです。そのメディアにマーケティング製品やサービスに関連するネイティブ広告を掲載することで、ターゲット層に効率的にアプローチできます。

これに対し、ディスプレイ広告は一目で広告であると識別できるデザインが一般的です。ディスプレイ広告の配信範囲は広く、多様なウェブページを通じて膨大な数のユーザーにリーチすることができます。ターゲティング機能を備えていますが、必ずしも自社製品やサービスに関心を持つユーザーにのみ配信されるとは限らず、関連性の低いユーザーに表示されることもあります。

ディスプレイ広告とバナー広告の違い

バナー広告はディスプレイ広告の一形態で、特定のウェブページ上に設置される横長または縦長の広告です。ウェブページの上部や側面に配置されることが一般的であり、主に画像で構成されます。

ディスプレイ広告とバナー広告の違い

(出典:アメブロ

ディスプレイ広告は、インターネット上で見られる多様な広告形式の総称です。バナー広告のほかにも、動画広告、ネイティブ広告、インタースティシャル広告、オーバーレイ広告などが含まれます。

ディスプレイ広告の範囲は広く、さまざまな形式と用途を含んでおり、ブランド認知度の向上、トラフィックの生成、製品やサービスのプロモーションなど、多岐にわたる目的で使用されます。

ディスプレイ広告とSNS広告の違い

SNS広告は、Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどのソーシャルメディアプラットフォーム上で配信される広告です。これらの広告はプラットフォーム内でのみ表示され、各プラットフォームの独自アルゴリズムによりユーザーの属性や行動、興味に基づいてターゲティングされます。

ディスプレイ広告とSNS広告の違い

(出典:Facebook

また、SNS広告はターゲティング精度が高く、偶発的な出会いを創出できるのも特徴です。主要SNSは何億人というユーザーを抱えており、アルゴリズムが膨大なユーザーデータを学習できています。このアルゴリズムが、自社が想定していないながらも、自社に適したユーザーに広告を配信するのです。新たな顧客層と出会える可能性が高いのはSNS広告の魅力でしょう。

ディスプレイ広告は多種多様なウェブサイトやアプリケーションを通して、幅広いオーディエンスにアプローチするのに対し、SNS広告は特定のソーシャルメディアプラットフォームに焦点を当て、より精密なターゲティングとパーソナライズされた広告体験を提供する違いがあります。

ディスプレイ広告の重要性

ウェブ広告といえば、成果に直結しやすいリスティング広告とSNS広告が注目されますが、BtoCだけではなくBtoBにとってもディスプレイ広告は重要です。ここからは、ディスプレイ広告の4つの重要性を見ていきましょう。

  • 多様な広告手法を打てる
  • ターゲットを絞りやすい
  • 効果分析がしやすい
  • 視覚的に訴求できる

多様な広告手法を打てる

ディスプレイ広告のフォーマットは、画像や動画、GIFアニメーションなどさまざまなため、多様な広告手法を打てます。たとえば、企業担当者が多くみるメディアには、画像形式のディスプレイ広告を採用する一方で、SNSではテンポよくスクロールするユーザーの注目を集めるため、動画のディスプレイ広告を使用するなどです。

広告の目的や出稿するメディアの特性に合わせて、適切なフォーマットを選択することで、マーケティング戦略の効果を最大限に発揮することができます。

ターゲットを絞りやすい

ディスプレイ広告は、デモグラフィックデータ(年齢、性別、職業など)、地理的位置情報、興味・関心(趣味、好きな活動、購買履歴など)、さらにはユーザーの検索行動やウェブサイトの閲覧履歴など、多様なデータをもとにターゲット層を精密に絞り込むことが可能です。

たとえば、あるソフトウェア企業が新しいクラウドベースのビジネス管理ツールを市場に投入することを目的に、中小企業の経営者やITマネージャーをターゲットにするとしましょう。この場合、LinkedInで職種や業界を絞ったディスプレイ広告を配信することが効果的です。さらに、オンラインでビジネス管理やクラウドソリューションに関連するトピックを検索するユーザーや、競合他社の製品に関する情報を調べるユーザーをターゲットにすることもできます。

このように、豊富なターゲティング手法を通じて、自社製品に関心の高いオーディエンスに対し、適切なタイミングで効果的な広告メッセージを届けることができます。結果、広告の関連性が高まり、コンバージョン率やROI(費用対効果)の向上へとつながるのです。

効果分析がしやすい

ディスプレイ広告の大きなメリットのひとつは、配信される広告のパフォーマンスに関するリアルタイムデータの取得と分析が容易であることです。これにより、広告キャンペーンの成果を的確に測定し、必要に応じて迅速な調整や最適化を行うことができます。

多くのディスプレイ広告プラットフォームは、クリック率、コンバージョン率、エンゲージメント、インプレッション数など、さまざまな指標に関する詳細なデータを提供します。これらのデータを分析することで、広告のメッセージ、デザイン、ターゲティング戦略など、さまざまな要素の有効性を評価することが可能です。この分析結果をもとに、ディスプレイ広告の運用を改善することで、期待した成果を創出できるのです。

視覚的に訴求できる

ディスプレイ広告ならではのメリットは、視覚的な訴求力です。画像や動画を活用することで、ユーザーの注意を引きつけ、印象に残るブランドや製品のメッセージを伝えることができます。

Meta社の調査結果

(出典:Meta

Meta社の調査結果は、この点を強く支持しています。動画広告は、視聴時間がわずか1秒未満であっても、ユーザーの広告想起、ブランド認知、購買意欲の向上に効果的であることが明らかになったのです。このことは、ディスプレイ広告が短時間であっても、強い印象を与える力を持っていることを示しています。

このメリットを踏まえると、ディスプレイ広告はブランド認知の拡大や新製品のプロモーションにおいて効果的だといえるでしょう。

ディスプレイ広告とリスティング広告の平均CVR・CPCの違い

ディスプレイ広告とリスティング広告は、CVR(コンバージョン率)やCPC(クリック単価)においても異なります。ここからは、それぞれの平均CVRとCPCを比較してみましょう。

平均CVR

リスティング広告は、検索意図が高いユーザーに対して表示されるため、CVRが高くなる傾向にあります。Wordstreamによれば、全業界におけるGoogle リスティング広告の平均CVRは4.40%とのこと。特に、CVRが高いのは法律や政府関連、車業界で平均CVRは7%を超えています。

Wordstreamの調査

(出典:Wordstream

一方ディスプレイ広告は、さまざまなウェブサイトやアプリケーションに広く配信され、視覚的な商材の訴求やブランド認知の向上に焦点を当てています。そのため、リスティング広告に比べてCVRは低くなりがちで、全体の平均CVRは0.57%です。

しかし、特定の業界においてはディスプレイ広告でもCVRは比較的高くなります。たとえば、ホビーやレジャー関連の業界では、ディスプレイ広告の平均CVRが1.12%です。この理由としては、趣味や娯楽に関する広告は視覚的に訴求できるため、ディスプレイ広告との相性が良いと考えられるためです。今回の調査では判明していませんが、同様の理由で化粧品などの美容関連のディスプレイ広告もCVRが高くなると思われます。

平均CPC

ディスプレイ広告は、一般的に商品の購入や資料問い合わせなどのコンバージョン率が低い一方で、その平均クリック単価(CPC)も低めに設定される傾向があります。このことは、広告予算に対するコスト効率が良いという意味であり、広告のリーチやブランド認知度の向上を目指す場合に有利です。Instapageのデータによると、Googleディスプレイ広告の平均CPCは約0.59ドル、リスティング広告の平均CPCは約2.41ドルとのことです。

ディスプレイ広告のCPCが低い理由には、広告品質、業界及び市場の競争、そしてキーワードの競争率などが挙げられます。リスティング広告は短期間で目立った成果を創出するため、競争が激しいです。競合と同じキーワードを入札し、限られた検索結果ページ上の広告スペースを競うため、CPCが上昇します。

ディスプレイ広告の場合、インターネット上に存在する多数の広告スペースを利用するため、リスティング広告に比べて市場競争が相対的に低減され、CPCが下がる傾向にあります。ディスプレイ広告の主な目的は、クリック数を増やすことではなく、ブランドの認知度を高めることや視覚的な印象を残すことに重点を置いています。このため、ディスプレイ広告は比較的低いCPCで幅広いオーディエンスにアプローチすることが可能です。

ディスプレイ広告の主な種類と例

ディスプレイ広告にはさまざまなタイプがあり、それぞれが異なる目的やターゲットに合わせて設計されています。ここからは、ディスプレイ広告の主な種類を実際の例を用いながら解説します。

バナー広告

バナー広告とは、最も一般的なディスプレイ広告形式で、ウェブページの広告枠に配信される画像や動画形式の広告です。一般的にウェブサイトの上部、下部、またはサイドバーに配置され、視覚的に目を引くようデザインされています。

バナー広告の例

(出典:Sundry Street

ユーザーがクリックすることで、広告主のウェブサイトや特定のランディングページにリダイレクトされます。

バナー広告の主な目的は、ブランド認知度の向上、製品やサービスの宣伝、特定のキャンペーンへの誘導などであり、マーケティングファネルの上部から下部にまで対応しています。

しかし、インターネットユーザーの広告に対する過敏な反応や「バナー・ブラインドネス」と呼ばれるユーザーが広告を意識的に無視する現象があるため、広告効果の最大化には工夫が必要です。

2009年のデータですが、ComScore社のレポート「Natural Born Clickers」によると、「84%のユーザーは、1カ月の間に一度もバナー広告をクリックしない」「4%のヘビークリッカー(1カ月に4回以上バナーをクリックするユーザー)が、バナー広告の全クリックの67%を占めている」と判明しています。

クリック率は見込めないため、認知度やプロモーションなどのCTRを指標としない運用が向いています。

SNSディスプレイ広告

SNSディスプレイ広告は、ソーシャルメディアプラットフォーム上で表示される広告の一種で、ユーザーのフィードやストーリー、サイドバーなどに表示されます。Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LinkedInなどのプラットフォームがあり、それぞれ異なるターゲット層と広告形式を提供しています。

総務省の調査によれば、10代と20代のInstagramの利用率は7割近いため、若い世代を対象にする場合はInstagramでディスプレイ広告を配信するのがよいでしょう。

LinkedInの広告

(出典:LinkedIn

SNSディスプレイ広告の大きな特徴は、精度が極めて高いターゲティング機能です。たとえば、Xではオーディエンスの特性のほか、会話や興味関心、エンゲージしたツイート、フォロワーが似ているアカウントなどの豊富なターゲティング機能を活用できます。各SNSは、膨大なユーザーの詳細なデータを収集しているため、ターゲティング精度が高く、リーチしたい層に広告を届けられるのです。

動画・アニメーションディスプレイ広告

近年大きな注目を集めている動画・アニメーションディスプレイ広告は、視覚的に魅力的でエンゲージメントを高めることができる広告形式です。電通の「2022年 日本の広告費」によれば、動画広告は前年比115.4%の成長を遂げました。動画広告には、動画コンテンツの間に表示するインストリーム広告と広告枠に配信するアウトストリーム広告の2種類があり、動画ディスプレイ広告はアウトストリーム広告のことです。

それでは、なぜ動画・アニメーションディスプレイ広告が注目を集めているのでしょうか。その理由は、動画はユーザーのエンゲージメントを高めやすいためです。動画は静止画と比較して、より多くの情報と物語性を伝えられます。

Forrester社のMcQuivey博士によれば、1分間の動画に含まれる情報量は180万語と同等とのこと。さらに、Wyzowlの調査ではエンドユーザーの82%が「動画を視聴して製品購入した経験がある」と回答しています。

これらの調査が示すように、動画・アニメーションディスプレイ広告は、伝統的なテキストや静止画広告よりもユーザーに深い印象を与え、製品やサービスの購入意欲を高める力があることがわかります。

動画は視覚的な魅力だけでなく、音楽、ナレーション、効果音などの要素を通じて感情的なコネクションを生み出し、ブランドメッセージを強化します。その結果、視聴者は製品に関する詳細情報を受け取るだけでなく、ブランドの世界観や価値を理解しやすくなるのです。

ネイティブディスプレイ広告

ネイティブディスプレイ広告は、ユーザーのオンライン体験に自然に溶け込むよう設計された広告形式です。これらの広告は、ウェブサイトやアプリケーションの既存のコンテンツと一体化しており、ユーザーが広告と直接的なコンテンツの違いをほとんど意識しないようになっています。その結果、従来のディスプレイ広告よりもユーザーの違和感を減らし、エンゲージメントを向上させる効果があります。

ネイティブディスプレイ広告の例

(出典:東洋経済オンライン

ネイティブ広告の主な利点は、ユーザーエクスペリエンスの向上、エンゲージメントの高さ、ブランド認知度の向上にあります。これは、広告がユーザーにとって価値のある情報を提供し、その形式がウェブサイトの一部として自然に見えるため、一般的なディスプレイ広告よりも高いクリックスルー率(CTR)を実現できるからです。

モバイルディスプレイ広告

モバイルディスプレイ広告は、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス上で表示される広告形式です。この広告の特徴は、ユーザーが移動中や外出先でもアクセス可能であることから、非常に高いリーチとエンゲージメントを実現できる点にあります。

モバイルディスプレイ広告

(出典:Forbes

また、位置情報やアプリの利用状況などモバイル特有の機能を活用することで、よりパーソナライズされたユーザー体験を提供できます。たとえば、店舗から20km以内にいるユーザーに広告を配信するなどのターゲティング設定が可能です。

ディスプレイ広告のリターゲティング

ディスプレイ広告のリターゲティングは、過去にウェブサイトを訪問したユーザーに特定の広告を再配信する手法です。購入や問い合わせに至らなかったユーザーを再度引き付け、コンバージョンを促すことを目的としています。

リターゲティングは、Cookieやピクセルトラッキングといった技術を活用してユーザーの行動を追跡し、そのデータに基づいてパーソナライズされた広告を配信する仕組みです。自社に対して興味を示したユーザーに広告を配信するため、一般的な広告よりも高いエンゲージメントやクリック率を見込めます。

ディスプレイ広告とリスティング広告どちらを使うべき?使い分けの判断基準は?

ディスプレイ広告とリスティング広告は、それぞれ異なるタイプのオーディエンスとマーケティング目的に適しています。効果的なデジタルマーケティング戦略を策定するためには、これらの広告形式の特性を理解し、ビジネスのニーズに合わせて適切に使い分けることが重要です。

ディスプレイ広告が有効なシーン

ディスプレイ広告は以下のシーンで特に有効です。

  • 製品・サービスを視覚的に訴求できる(した方がよい)場合
  • 購買までの検討期間が長い場合
  • 潜在顧客層の意識を高めたい場合

製品・サービスを視覚的に訴求できる(した方がよい)場合

ディスプレイ広告の強みは、画像や動画を用いて商材の魅力を視覚的に訴求できることです。人間は視覚的な刺激に強く反応し、その情報をより迅速に処理します。実際に、人間の脳はテキストの6万倍の速さで画像を処理し、脳に伝達される情報の90%は視覚的なものだとのこと。

視覚的に訴求できる製品・サービスであれば、ディスプレイ広告を通して効果的に消費者の注意を引き、関心を喚起しやすくなります。特にライフスタイル、ファッション、旅行、飲食など、視覚的な魅力が重要な要素である業界との相性が良いです。

購買までの検討期間が長い場合

ディスプレイ広告は、検討期間が長い商品やサービスに特に有効です。これらの商品では、消費者は多くの情報を必要とし、購入決定に至るまでに時間を要します。たとえば、高価な家電製品や自動車のような検討期間が長い商材の場合、消費者は購入前に広範なリサーチを行うのが通常です。また、BtoB企業においては顧客の購買プロセスが進むにつれて、自社を思い出してもらう必要があります。

Yahoo! Japanによれば、第一想起されたブランドは検索者数が増加するとのこと。ディスプレイ広告を通じて、自社製品が繰り返し表示されると、ユーザーはブランドを認識し、製品への関心を徐々に高めます。結果として、長期にわたる検討期間において、ブランドのトップオブマインドを維持し、最終的な購入決定に影響を与えることができるのです。

潜在顧客層の意識を高めたい場合

ディスプレイ広告は多様なウェブサイトやプラットフォームに掲載されるため、広い範囲のオーディエンスにリーチできます。また、魅力的なビジュアルや動画を使用することで、ユーザーの注目を集め、ブランドや製品を記憶に残しやすくします。

TikTokがニューロインサイト社に委託した調査によれば、広告に含まれる情報量が多いほど印象に残る広告になると判明。ディスプレイ広告は、テキストよりも圧倒的に多くの情報量を含む画像や動画で訴求できるため、潜在顧客の意識の中に自社を残せます。この結果、興味関心や比較検討段階において、自社製品が顧客の選択肢のひとつとして認識される可能性が高まるのです。

リスティング広告が有効なシーン

リスティング広告が有効なシーンは以下の通りです。

  • オーガニックトラフィックを強化したい場合
  • 購買までの検討期間が短い場合
  • 顕在顧客層(質の高いリード)を獲得したい場合

オーガニックトラフィックを強化したい場合

リスティング広告で、上位表示を狙いたいキーワードを入札すれば、すぐに自社サイトを上位表示できる可能性があります。オーガニックトラフィックの強化施策といえばSEOでしょう。SEOでは、サイトの権威性向上や質の高いコンテンツの発信により、検索エンジンでの自然な上位表示を目指します。

WACUL株式会社の分析によれば、BtoB企業のウェブサイトでは、コンテンツ数の増加に伴い訪問数も増加し、訪問数とコンバージョン(CV)数には比例関係があることが示されています。特に情報提供型コンテンツでは、一定数のコンテンツ(60本以上)があると、成果が顕著になり始める傾向があります。これはSEOの成果が現れるまでには時間がかかることを意味します。

Wacul株式会社の調査

(出典:WACUL株式会社

SEOとは異なり、リスティング広告は短期的な結果をもたらすことが可能です。入札単価や広告の品質が最適化されている場合、比較的迅速に上位表示を実現することができます。そのため、オーガニックトラフィックの増加を目指す企業にとって、SEO戦略が効果を発揮するまでの間、リスティング広告は有効な手段となるでしょう。

購買までの検討期間が短い場合

リスティング広告は、課題やニーズが明確な顕在層にリーチするため、購買までの検討期間が短い製品やサービスに有効です。たとえば、緊急に必要なオフィス用品や急速充電器、水道修理のような製品やサービスの場合、消費者はじっくりと情報収集することなく、すぐに検索して購入する傾向があります。

リスティング広告は、これらの即時のニーズに応える製品やサービスを検索結果の上位に表示し、迅速な購入決定を促進します。このように、リスティング広告は即座の露出と関連性の高いターゲティングを提供し、検討期間が短い商材の販売促進に効果的です。

顕在顧客層(質の高いリード)を獲得したい場合

リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンで入力する具体的なキーワードに基づいて表示されます。これにより、特定の製品やサービスに関心があり、それに関する情報を積極的に検索しているユーザーにリーチできます。

たとえば、「中小企業向け CRM」というキーワードで検索するユーザーは、すでにCRMソフトウェアの導入に関心があるため、これらのユーザーに対して無料デモの提供を訴求するリスティング広告は、直接的な関心を持つユーザーを捉える可能性が高いです。

リスティング広告は顕在層の獲得がしやすい

リスティング広告は、ユーザーの具体的なニーズや検索意図に合わせた広告を表示することで、質の高いリードを獲得できます。ユーザーが特定の製品やサービスを探している時点で、その製品やサービスに関心が高いため、リスティング広告を通じて提供される情報やオファーに対する応答率が高くなります。これにより、購入に至る確率が高いリードを獲得することができ、マーケティングの効果を高めることが可能です。

まとめ

ディスプレイ広告とリスティング広告は、それぞれ独自の特性を持ち、マーケティング戦略の異なる段階で効果を発揮します。

ディスプレイ広告は、マーケティングファネルの上部での使用に最適で、認知度の向上や興味・関心の喚起に効果的です。視覚的に訴求力が高い広告フォーマットを使用することで、広範なオーディエンスにリーチし、ブランド認知の拡大に貢献します。潜在顧客の意識を高め、長期的なブランドロイヤルティを構築することが可能です。

対照的にリスティング広告は、ファネルの下部で効果を発揮し、具体的な製品やサービスに興味を持つ顧客にリーチします。ユーザーの検索クエリに基づいて表示されるため、即効性が高く、関連性の強いターゲットにアプローチします。コンバージョンの促進や、特定の製品やサービスに関する直接的な問い合わせや購入へと導くことが可能です。

また、両広告は相補関係にあります。ディスプレイ広告によるブランドの認知度向上とリスティング広告による具体的な購入意向のある層へのアプローチを組み合わせることで、全体的なマーケティング戦略の成果を最大化できます。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

サービスを詳しく知りたい方はこちら

資料請求