数多くのカタカナ用語が登場するBtoBマーケティングの世界。よく分からずに使用している言葉も意外と多いのではないでしょうか。そこで今回は、BtoBマーケティングのなかでも「ハ〜ホ」で始まる用語について解説していきます。
バイヤーペルソナとは、主にBtoB企業がマーケティング施策を行う際に設定するペルソナのこと。
基本的にペルソナ設定といえば「年齢」「性別」「居住地域」「年収」などの属性を決めるのが一般的です。しかし、バイヤーペルソナでは、ペルソナが社内でどんな権限や責任を持ち、何を目的に製品・サービスの導入を検討しているのか。その検討で何を重視し、どんな情報を知りたいのかなど、購入までの意思決定プロセスまで見える化するといった特徴があります。
バイヤーペルソナの設定で、見込み客に向けてどんなアプローチを行えば良いのか、またどういったユーザーは対象でないのか、把握する際に役立てます。
バイラルコンテンツとは、SNS上で爆発的な拡散(バズる)を目的とし、制作するコンテンツです。ユーザーは心を動かされたコンテンツに出会うと、それを他者にシェアしたくなります。シェアされたユーザーも同じように感じると、コンテンツは瞬く間に広まる。そんなバズることを目的としたコンテンツです。
SNSで拡散されることで、アカウントをフォローしているユーザー以外にも情報が届き、大きな宣伝効果が期待できます。
バウンス率の意味は主にふたつ。ひとつはメルマガなどで、送信メールが受信者のアドレスへ届けられなかった割合のこと。原因としてはアドレスリストが古くなっており、無効なメールアドレスが多く含まれていることが考えられます。そのほかにも、受信者のメールサーバーの容量が一杯になっていて送信できないといった原因もあるでしょう。
Webサイトにおいては、ユーザーがサイトを訪れ、最初にたどり着いたページだけを見てサイトを去ってしまった割合を指す意味で使われます。つまりバウンス率が高い場合、Webサイト内の「他のコンテンツも見てみたい」と思うユーザーが少ないということ。他に興味そそられるようなコンテンツがWebサイト内になかったり、最初に見たページの質が低かったりといった原因が考えられます。
なおWebサイトにおけるバウンス率は直帰率と同義で、Googleアナリティクスなどで確認できます。
「ハッシュタグ」とは、TwitterやInstagramなどのSNSで、投稿のタグとして使用する「#(ハッシュマーク)」がついたキーワード。同じハッシュタグが付けられた投稿は、そのキーワードを検索することで、まとめて閲覧できます。例えば、「#SaaS」というハッシュタグで検索すると、SaaSについての投稿をまとめて見ることができるのです。
BtoBマーケティングでハッシュタグを使うメリットとしては、他のユーザーがハッシュタグで検索したとき、自社の投稿を見てもらいやすくなるという点。どんなキーワードを検索したユーザーに見てもらいたいのかを意識したうえで、SNSへの投稿にはハッシュタグを設定しましょう。
B2Bとは、企業と企業が行う取引のこと。一般消費者でなく、法人を対象とした商材を扱うビジネス形態です。
テレビCMといったマス向けの広告をあまり行わないため、そもそも名前が知られていなかったり、事業のイメージが掴みづらかったりするのが特徴。ただ、法人を対象としているため、1件あたりの取引額は後ほど紹介するB2Cと比べて高額になります。さらにB2B企業の取引は、一度購入して終わりではなく長期的に契約が交わされることがほとんど。
高額で、なおかつ長期的な信頼関係を築いてくために、1社1社との密なコミュニケーション施策が大切だといえます。
B2Cは、企業と一般消費者の取引を指します。身近なところで言うとスーパーマーケットやコンビニ、通販サイトなど。日常生活で使う商品を扱うため、テレビCMや広告を積極的に打ち出しているのが特徴です。それゆえ、知名度の高い企業も多く、どんなビジネスを行っているかわかりやすいといえます。
ただ、ビジネスモデルがわかりやすく、参入障壁も低いために競合他社が多い傾向に。他社商品と差別化を図るため、ただ認知してもらうだけでは足りません。ブランディングなどを通じ、自社そのもののファンになってもらう必要があります。
Pinterestは一般に公開された、写真共有サービス。ピンボード風の画面構成が特徴です。Twitterのタイムラインがフロー型だとすると、Pinterestはストック型のプラットフォーム。一度Pinterestにピンとして保存されたコンテンツは、ユーザーの興味関心に基づいてレコメンドされ続けます。
メインページで表示されるのは、ピンされた画像です。その画像をクリックすると、ピンした画像があるリンク先へと遷移できる画面となります。
例えば「Facebook広告」と検索すると、ピンされたあらゆるFacebook広告のデザインを表示。広告を作成するときの参考にもなりますし、検索したユーザーに自社のFacebook広告までアクセスしてもらうことにもつながります。
参考:Pinterest
InstagramやTwitterはフォローされないと、ユーザーのフィードにコンテンツが表示されないという特徴があります。しかしPinterest内のホームフィードでは、独自のアルゴリズムにより、ユーザーの興味関心に基づいたコンテンツを表示。そのため、フォロワー数が少なくともユーザーにリーチすることが可能です。
ビジネスブログとは、その名の通りブログの企業版です。
作成した記事がネット上で上位表示されれば、多くの潜在見込み客にアプローチ可能。ブログ記事で興味・関心を持ってもらい、より詳しい情報を知ってもらうためにホワイトペーパーのダウンロードなど出口を設けることで、見込み客の獲得につなげます。
なお、記事の内容はニュース性のあるものではなく、継続的に読まれるノウハウ系の記事のほうが有効。例えば「アイレップ」では、ブログ記事からホワイトペーパーをダウンロードできるように設定し、毎週10件程度の継続的な見込み客獲得に貢献しているそう。
なかでも「デジタルマーケティングを推進する組織に必要な4つの機能とは?」という記事は、「デジタルマーケティング 組織」「マーケティング 組織体制」「デジタルマーケティング部」というキーワードでそれぞれ上位表示を獲得し、見込み客の獲得に貢献しています。
(参照元:デジタルマーケティングを推進する組織に必要な4つの機能とは?|アイレップ)
ビッグキーワードとは検索エンジンでとくに検索される回数が多いキーワードです。例えば「BtoBマーケティング 手法 SNS」がスモールキーワードであれば、ビッグキーワードは「BtoBマーケティング」。ビッグキーワードで上位表示できるコンテンツを作成すれば、自社サイトへの流入が大きく増える可能性があるのです。
ただ、競合コンテンツが多いため、上位表示には時間がかかります。また、ニーズが具体化していないユーザーのアクセスが多く、訪問数は多くとも「コンバージョンになかなかつながらない」といったデメリットもあります。
Facebookは、実名性やつながりのリアルさ、また興味関心に紐づいて表示されるニュースフィードが特徴的なSNSです。
ビジネスパーソンの利用者が多く、ビジネス系の情報を求めている人に向けたFacebook広告などは、BtoB企業にとっても有効な方法のひとつ。瞬間的なコンテンツの拡散力が期待できるTwitterと、ビジネスパーソンの利用者が多いFacebookというふたつのSNSは、BtoB企業にとっても相性が良いといえます。
ファネルの最下層は、購入を前向きに検討している段階の見込み客です。この層は、実際の購入を具体的に考えていると定義されることが多く、製品の機能や他社との優位性などを訴求していきます。
例えば、ホワイトペーパー(技術資料)をまとめた資料、競合との違いをまとめた営業資料、具体的な導入結果などを見込み客に提示していきましょう。
ファネルの最上層は、潜在的な見込み客と定義されることが多い層です。そのため、自社のことをほぼ何も知らない状態であることが一般的。自社名、製品サービス名などを把握しておらず、同様に競合他社のことも知りません。
例えばマーケティングを効率化するSaaSツールを提供する企業であれば「見込み客を増やすにはどうすれば良いのか」、「新しいマーケティングの手法は何かないかな...」と、課題感が具体的でないような状態のユーザー。
この層のユーザーに、ファネルの最下層のように製品の具体的な機能や活用方法を訴求しても、あまり響きません。そのためアンケート調査で課題を聞いたり、メルマガなどで課題解決を目的としたコンテンツを提供したりして、興味を持ってもらうきっかけを作る必要があります。
ファネルの中間層は、ファネルの最上層よりも商品の購入に向けて一歩進んだ段階。この層のユーザーは、課題が顕在化し始めており、要するに一般的な見込み客にあたるでしょう。
課題を解決するための具体案や、自社製品がどのような課題解決に貢献できるのかなど、課題解決前と後が具体的にイメージできるようなアプローチが有効です。
ただ、製品の購入を具体的に考えていたり、競合との比較を始めたりしている状況とは言えないため、見込み客に直接アプローチしながら購買意欲を高めていく必要があります。
フォームとは、Webサイトに設置された、ユーザーからの入力を受け付ける部分のこと。問い合わせや資料請求の手段として、入力フォームが設置されます。
フォームの種類はさまざま。「問い合わせ」や「資料請求」のほか、「掲示板」「会員登録・退会」「アンケート」などの入力フォームがあります。
BtoB企業においてはブログ記事を読んだユーザーが、より深い情報を知るために、ホワイトペーパーをダウンロードする手段として設定することも。企業名やメールアドレス、担当者名などを入力する欄を設けておけば、見込み客の獲得にもつながるでしょう。
ブランディングとは、「ブランド」を形作り、認知してもらうための活動全般を指す言葉。製品のデザインやシンボルマーク、ブランドロゴやキャッチフレーズなど、さまざまな要素が組み合わさってブランドを形成します。
「ブランド」を浸透させるためにも、市場における自社製品の強みやポジションを明確化することも大切。最終的に「チャットツールといえば〇〇」といったイメージを浸透させることが、ブランディングの主な目的となります。
ブランディングの成功は集客やPR、また他社との差別化につながり、事業成長へと貢献してくれるでしょう。さらに、ブランディングによって広告宣伝費や販促にかかるコストを削減する。すると、製品開発や機能的価値の向上、顧客サービスの充実に向けた施策へと資金を振り分けられるかもしれません。
ブランディングを目的とした広告に接触したグループについて、ブランド認知や購買意欲がどの程度向上しているかを測る指標をブランドリフトといいます。
主な調査方法は、ユーザーに対するアンケート調査。クリック率やコンバージョン率では測定できない、認知度や再購入意欲といった定性的な効果を測定します。
広告が自社のブランディングにどれだけ貢献したかは、コンバージョン率のような定量的な評価だけでは見えづらい部分があります。そこで、ブランドリフトによって効果を可視化させることで、ブランディングを目的として施策のPDCAに活かすのです。
フリークエンシーとは「ユーザーが広告に接触した回数」を指す言葉。WebサイトやSNSで、何度も同じ広告を見る機会があるかと思います。そうしたユーザーが接触した広告の回数が、フリークエンシーです。
なおフリークエンシーを設定するとは、1ユーザーに対して配信する広告の頻度を設定するということ。フリークエンシーを多く設定することで、一人のユーザーに何度も同じ広告を配信できるのです。
心理学の世界には「単純接触効果」と言って、繰り返し接するほどに好意が高まるという効果があります。この効果と同様、フリークエンシーを多く設定してユーザーへの接触回数を増やすことで、製品に興味を持ってもらえる可能性が高まるといえます。
フリクションとは、サイト訪問者にストレスを与える要素のこと。言わば、ページを離脱する原因となる要素です。
フリクションの代表例としては、視認性が悪いデザインや質の低いコンテンツ、また分かりにくいナビゲーションメニューや過度な広告が挙げられます。つまり、フリクションとなる要素をいかに取り除くかが、Webサイトを軸としたマーケティングでは重要なわけです。
ブログとは記事の投稿をメインとした、Webサイトのことです。ブログという言葉だけ聞くと個人が書くような日記やコラムを想像するかもしれませんが、現在は企業もブログを行う時代。とくにBtoB企業にとっては、SEO施策の一環として、自社製品に関連した記事を投稿する機会も多いでしょう。
ただなかには、「サイボウズ式」のように、あくまでも自社の知名度を上げることを目的とした企業のブログもあります。
(参照元:サイボウズ式)
サイボウズ式は自社製品とは完全に離れ、今世の中で話題になっているトピックやネットユーザーが気になっているニーズをもとにした記事を提供しています。
企業のブログはBtoBマーケティングの手段のひとつという側面と、PRや広報的な側面を持ち合わせているといえそうです。
ペイパークリックとは、広告がクリックされた回数に応じて料金を支払う形式のこと。「Yahoo!JAPAN広告」や「Google 広告」などで、このペイパークリック形式を採用しています。
参考:Google 広告
多くのインターネット広告は、表示回数によって課金される方式です。そのため新聞や雑誌広告と同様、広告をほとんど見なくとも、料金だけが発生してしまいます。対して、ペイパークリックは、ユーザーが広告をクリックしたときだけ、費用が発生する仕組み。広告主にとっては、費用対効果が比較的高い方式といえるでしょう。
ペイドメディアはネット広告など、支払いを必要とするメディアです。そのほか自社で運営するブログなどの「オウンドメディア」や、TwitterなどのSNSに該当する「アーンドメディア」を含めて「トリプルメディア」と呼ばれます。
ペイドメディアのメリットは投入する広告量に従って、多くのユーザーに認知できる点。オウンドメディアのように、記事作成の手間などをかけず、ユーザーにリーチできます。
自社でコントロールや効果測定が可能なため、施策のPDCAも回しやすいといえるでしょう。
一方で、一定の効果を上げるためにはある程度のコストがかかるというデメリットもあります。
PV(ページビュー)とは、Webサイト内のあるページに、どのぐらいのアクセスがあったかを測る指標です。
ユーザーがブラウザ上でページを表示するごとに、PV数はひとつずつカウントされます。このPV数は、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで確認可能です。
なおPV数は1人のユーザーが複数ページ開けば、PV数は2以上になります。つまり「実際に何人のユーザーがWebサイトに訪問したか」を測定することはできません。何人のユーザーが訪問したかを把握する際は、訪問者数(ユニークユーザ)という指標を用いるのが一般的です。
以上、今回はBtoBマーケティングでよく使われるマーケティング用語について「ハ行編」と題し、お届けしました。続く次回は「マ行編」のマーケティング用語を紹介していきます。