数多くのカタカナ用語が登場するBtoBマーケティングの世界。よく分からずに使用している言葉も意外と多いのではないでしょうか。そこで今回は、BtoBマーケティングのなかでも「ア〜オ」で始まる用語について解説していきます。
アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、幅広い顧客ではなく、売上が最大化する顧客企業(アカウント)にアプローチをしていく手法です。ターゲットとして設定した顧客企業に、戦略的にマーケティング施策や営業リソースを集中させていきます。
なおABMを実施する場合は、ペルソナやカスタマージャーの設定と似た様に、ICP(Ideal Customer Profile)を作り、顧客企業の属性やニーズを明確にする作業が必要です。
アウトバウンドマーケティングとは、企業側からターゲットとなる顧客に対し、企業側の都合で直接アプローチを行っていく考え方を主軸においたマーケティングのことです。
検索エンジンからの流入など、顧客自らが情報を見つけてくれるように促すのではなく、企業側からの直接アプローチを行っていくため「プッシュ型」と表現されることもあります。
アウトバウンドマーケティングで用いられる代表的なツールとしては「テレマーケティング」「ダイレクトメール」「イベント」「雑誌・新聞広告」「テレビCM」など。
アナリティクスとは、分析することです。「サイトの訪問者数はどれくらいか」「訪問者はどこから来たのか」「使われたデバイスはスマホかパソコンか」といったユーザーの行動を分析することが多くあります。
無料で使用できるツールに「Google アナリティクス」があり、トラッキングコードと呼ばれるコードを該当するサイトに組み込むと、前述した訪問者の行動が計測できます。
(参考:Google アナリティクス)
アプリケーション(アプリ)は、特定の作業を実施するために設計されており、例えば文書作成ソフトや表計算ソフト、画像編集ソフトやゲームなどが含まれます。企業で使用される会計ソフトや人材管理システムなど、業務を効率化してくれるツールも該当します。
パソコンやスマホにインストール・ダウンロードして使用するものもあれば、オンライン上で作業できるクラウド型のツールも。主に業務で使用するソフトウェアの機能をネット上で、企業が必要な機能だけ利用できるアプリは「SaaS」とも呼ばれます。
アプリケーションと混同されがちなソフトウェアは元来、ハードウェアを起動させるために組まれているシステムのことを指すため、アプリケーションとは言葉の由来が異なります。
アーンドメディアとは消費者やユーザーが情報発信者となる、ブログやSNSなどのこと。信用や評判を獲得するという意味のアーンド(earned)から、その名が付けられています。多くは、有料のネット広告などの「ペイドメディア」や自社サイトなどの「オウンドメディア」と並んで「トリプルメディア」と呼ばれます。
アーンドメディアで提供される情報は実際に製品を使用した感想など、消費者側から見た信頼度が高いのが特徴。SNS上で拡散されれば、コストを掛けずに多数のユーザーに情報を届けられます。
一方で企業側が情報をコントロールできないため、批判や悪い情報が一気に拡散してしまうリスクも含んでいます。
マーケティング業界でいう「アルゴリズム」とは、コンピュータで導き出される複雑な方程式のこと。Googleの検索エンジンは、アルゴリズムを使ってどの記事を検索結果の上位に表示するのか決めています。
例えばアルゴリズムの一例を示すと以下の通り。
検索順位 = 検索語の数 × 被リンクの数 × 信頼できるリンクの数
もちろん、実際はもっと複雑な計算式で成り立っています。アルゴリズムの変化によって上位に表示される記事が変わるため、SEO事業者やメディア運営者などは検索エンジンのアップデートに敏感に目を光らせています。
アフィリエイトとは一般的に「成果報酬型の広告」のこと。
企業は自社商品やサービスを拡販するマーケティング手法の一つとして、成功報酬型の広告を配信するアフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)を通して広告を出稿しています。
ASPを利用するサイトの運営者などは、企業が出稿した広告を自身のサイトに設置します。結果、サイトを訪れたユーザーが広告をクリックし、広告主の定めた成果条件を満たすと、サイト運営者に報酬が支払われる仕組みです。
一般的には、アフィリエイトというとBtoC側のマーケティング手法と思われがちですが、近年、BtoBのSaaS企業(どちらかというとアプリに近しい立ち位置)もアフィリエイトプログラムに力を入れている企業が増加しています。海外であれば、ahrefs。日本企業であればfreeeなどもアフィリエイトを行っています。
「接続する」という意味がある「アクセス」。とくに「ネットワークへの接続」という意味があります。
ただ、マーケティングで使用されるアクセスは「Webページの表示」や「サイトへの訪問」を指し、サイト訪問者の特性や行動を分析する意味がある「アクセス解析」といった言葉で使用されます。
なお「アクセス数」と言うときは「Webページが表示された回数(ページビュー)」や「訪問者数(ユニークユーザ)」などを指すのが一般的で、アクセス解析などという言い方をされることもあります。
アドネットワーク広告とは、複数の広告媒体(Webサイトやソーシャルメディア、ブログ等)を集めてネットワークを作り、広告を配信するシステムのことです。複数の広告出稿ができるため、より多くの流入を見込める可能性があります。
なお配信先はWebサイト、ソーシャルメディア、ブログなど多岐にわたりますが、そのなかからどのユーザーに向けてアプローチするのか、配信方法を選択することもできます。
「アドエクスチェンジ」とは広告主側の需要と、アドネットワークなどの媒体側の供給のバランスにより、広告枠の価格が決まる仕組みのこと。アドエクスチェンジの登場により、バナーサイズや容量などの配信フォーマットから、「クリック課金型」「インプレッション課金型」といった課金形態まで、広告配信の仕組みが統一化されました。
もともとブログやソーシャルメディアなど、個人メディアを含め急増したアドネットワークを管理する仕組みとして使われ始めたアドエクスチェンジ。そのためアドネットワークよりも、媒体や広告枠のより大きな集合体といえるでしょう。
アウトバウンドマーケティングの反対にあたるインバウンドマーケティングは、Web上のコンテンツを、買い手が自ら様々な経路をたどり企業が見つけてもらうために行うマーケティングの考えを意味します。
現代の消費者・購買者は、情報に自ら触れる環境で生活しており、従来の売り手側から一方的にアプローチするマーケティングメッセージを避けるようになりました。
そのためインバウンドマーケティングにおいては、消費者・購買者が情報を検索したりSNSで見かけたり、好みのメディアなどを通じ、自ら必要かつ有益な情報に触れてもらえるような戦略を実行します。
イベントマーケティングとは、自社が主催するセミナーや展示会などのイベントを通じて顧客との接点を作り、製品・サービスをPRしたり、見込み客獲得をするための施策のことです。
消費者がインターネットであらゆる情報に簡単にアクセスできるようになりましたが、オンラインだけでは買い手との接点を作ることは難しく、届けられる情報には限界があります。
そのため消費者に対面で情報を提供できるオフライン施策は、実際の使用感など、オンラインでは届けられない情報を補足する役割として注目されています。外資企業などではフィールドマーケティング(Filed Marketing)という呼ばれ方もします。
インフルエンサーマーケティングは、主にSNS上で影響力をもつ「インフルエンサー」に製品やサービスをPR・コラボレーションをしてもらい、そのフォロワーに間接的にアプローチする手法です。
企業が消費者に対して直接メッセージで発信する場合と比べ、消費者の視点を取り入れた共感性と訴求力の高い施策が期待できると言われています。
従来、テレビなどでも「俳優の〇〇さんのおすすめ」など、著名人が使用していることが一つのPRになっていましたが、それをSNSに転用した例といえるでしょう。
インプレッションはネット広告において、ユーザーのブラウザで「広告が表示された回数」を意味します。
インプレッションと混同しやすい言葉に、ユーザーが見たページ数を表す「PV」もあります。両者の違いを説明すると、1ページに3つの広告が掲載されているページを1回見た場合のPVは、1。しかし、広告は3回表示されてことになるため、インプレッション数は3となります。あくまでも、広告が表示された回数であることを覚えておきましょう。
SNSを使用しているときに、タイムライン上に「広告」と表示されるコンテンツを見かけたことあるかもしれません。それが「インフィード広告」です。
Facebookなどのタイムラインに投稿されたコンテンツ(フィード)の間に、表示される広告であることからインフィード広告(フィードの間に表示される広告)と呼ばれます。
インフィード広告の多くは、画像(または動画)とテキストの要素から成り、タイムラインの形式にあわせて広告フォーマットも自動で調整。タイムラインに流れるコンテンツとあまりかたちの違いがないため馴染みやすく、ユーザー体験を極力阻害しないように設計されています。
インスタグラムマーケティングとはその名の通り、写真共有に特化したSNS「インスタグラム(Instagram)」を効果的に使用し、企業のブランディングや製品の認知拡大を目的に行う施策です。
インスタグラムは、2013年1月に9000万人だったアクティブユーザー数が、2018年6月には利用者総数が全世界で10億人を突破。飛躍的に成長しているSNSの一つです。
男性・女性ともに20代~40代までの層にアクティブユーザーの中心であることから、インスタグラムにおける施策の対象は基本的に働き盛りの世代。テキストではなくビジュアルでの表現に適しています。
ウェビナーとは、ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を合わせた造語のこと。ビデオコミュニケーションツールなどを使用し、オンライン上で行うセミナーを指します。
会場を借りたり、移動時間がかからなかったりすることから、近年注目を集めるウェビナー。とくに今回のコロナ禍で外出が制限されたことにより、取り組む企業は増えてきました。
ウェビナーを実施するためのツールとしては「Zoom」や「Google Meet」「V-CUBEミーティング」などがあります。
(参考:Zoom)
(参考:Google Meet)
(参考:V-CUBEミーティング)
例えば企業の「コーポレートサイト」であれば「トップページ」や「事業内容」「製品・サービスの説明」や「IR情報」などで構成されているかと思います。それぞれのページを「Webページ」と呼び、そしてこのWebページの集合体は「ウェブサイト」といいます。
「ウェブ解析」とは、マーケティング においてアクセス解析のデータや視聴率調査のデータなど様々なデータを活用して「事業の成果につながる」ためのPDCAを回すことです。
アナリティクスをもとに収集したデータをただ閲覧するだけでなく、それを分析して、改善を実施。その結果、事業の成果につなげるこの一連の流れがウェブ解析といえるでしょう。
「トラフィック」とはWebマーケティングにおいて、WEBサイトへのユーザーの訪問数や閲覧数にあたります。
WEBサイトへのトラフィックは「検索エンジン」や「SNS」、またウェブ広告などさまざまなところから発生。こうしたトラフィックを見える化するツールとして前述した「Googleアナリティクス」などの解析ツールがあります。
エヴァンジェリストとは、最新のテクノロジーを従業員に分かりやすく解説したり、啓蒙する役割を担う人のことです。企業内のみならず外部に対しても、イベントや展示会などで自社製品・サービスのプレゼンテーションを行います。エヴァンジェリストのポストを新設し、適した人材を配置する企業も増えてきました。
もともとはアップルで、パソコンの自宅使用の必要性を説いたり、競合他社との優位性を示す宣伝活動を担う役割が始まりだったといいます。同じように、マイクロソフトもテクニカルエヴァンジェリストのポストを設置し、「エヴァンジェリスト」という職種が一気に認知されるようになりました。
基本的には社内で自社の製品・サービスだけでなく、業界や競合他社の情報にも詳しい人が担う役割と考えて良いでしょう。
マーケティングにおけるエンゲージメントとは、顧客の企業や製品・サービスに対する愛着度合いを指す言葉です。
「モノ」から「コト」へと言われるようになってしばらく経つ現在。製品の機能面で差別化が難しくなった今、顧客とのつながりをより強化するために、マーケティングにおいてもエンゲージメントをいかに高められるかを重視する企業が増えてきました。
サブスクリプションなど継続課金の仕組みを用いたビジネスモデルが浸透し、買い切りではなく、長く使い続けてもらえるかが重要になった背景も影響しているでしょう。
なおエンゲージメントを客観的な数値として把握する指標には、例えばSNSの「いいね」などがあります。
エントリーフォーム最適化とは、入力の手間を減らすなど、ユーザーが不便を感じないように問い合わせフォームなどを改善することです。
サイト訪問者は、入力フォームに個人情報などを入力している際にエラーが頻発したり、項目数が多くてストレスを感じたりすると、途中で離脱するリスクがあります。せっかくの見込み客獲得の機会も、失ってしまうことになるでしょう。
そのためエントリーフォーム最適化を実施し、途中離脱を最小限に抑えられるように改善しながら、見込み客の獲得件数を増やす目的があります。
ただし、闇雲にフォームの入力項目数を増減させると、その後の営業工程にてデータの収集に苦労することとなります。かならず、営業部門とマーケティング部門間で必要な情報の階段差を設計した上でエントリーフォーム最適化をするようにしましょう。
エディトリアルカレンダーとはどのライターがいつまでに記事を執筆するのか、また編集のタイミングや公開予定日などを管理するカレンダーのことです。
(参考:エディトリアルカレンダー(年間/月間))
エディトリアルカレンダーを使用することで各記事の進捗状況など、コンテンツ制作における全体像の把握が可能となります。
Webマーケティングにおいて「オプトイン」とは「受信許可」の意味で使われています。
例えば広告宣伝のメールを配信する際、事前にユーザから「メールを送っても大丈夫です。(受け取ります)」という許可を得ることが「オプトイン」。そしてユーザが配信許可してか、らメールを送付することを「オプトイン方式」と呼びます。
以前は配信に同意していない人に対しても、件名に「未承諾広告※」と書けば広告メールを送っても違法とはされていませんでした。
しかし迷惑メール防止法(正式には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」)が2008年に改正され、広告・宣伝メールは原則として、事前にメールの配信に同意した人、つまりオプトイン方式でしか送付できない決まりとなりました。
オプトアウトとは前述したオプトインとは逆でユーザーからの許可を得ることなく、宣伝広告のメールなどを送付し、ユーザ側で「受信拒否」の設定を行ってもらうことです。
ただ前述した通り迷惑メール防止法の改正により、事前にユーザーの承諾を得ていないオプトアウト方式のメールは禁止されることになりました。
なおメーリングリストから除外したり、メールマガジンの配信停止を行ったりすることを「オプトアウト」と呼ぶこともあります。
メールによって商品の宣伝広告を行なう企業は、例えユーザーの許可を得た後の配信であっても、その後自由に配信拒否の設定ができるように「オプトアウト」の方法を必ず明記する必要があります。
オムニチャネルとは、ウェブサイトのみに限らずメールやスマホアプリ、さらにはイベントといったオフラインの施策も含めて、さまざまなチャネルから顧客にアプローチすることです。
例えばBtoB企業の場合、ウェブサイトに商品紹介ページはあるものの、見積もりや製品の購入などはメールや電話であったり、直接対面して契約を結ばなければいけなかったケースも。しかし現在では、BtoBの製品・サービスにおいてもウェブサイト内で購入が完結する例も増えてきました。
またオフラインのイベントや展示会だけではなく、ウェビナーなどオンラインでの説明機会も設けることで、遠方の方にもアプローチできるようになったかと思います。このようにオムニチャンネルは、ユーザーのニーズに合わせて、販売チャンネルや顧客との接点を複数持つことだといえるでしょう。
オウンドメディアとは「Owned = 所有する」メディア、つまりは「自社が所有するメディア」という意味です。
もともとはウェブサイトだけでなく、会報誌やカタログ、パンフレットなどの形態にかかわらず、自社発信のメディアはすべてオウンドメディアという解釈でした。
しかし最近の「オウンドメディア」が指す形式としては、「企業が運営するブログ形式のウェブメディア」が一般的になってきました。
オウンドメディアを通じて企業が発信したい情報を、ユーザー目線に合わせてコンテンツ化し、発信。その結果、見込み客から検索エンジンやSNS経由などで、情報を見つけてもらう狙いがあります。
検索結果のページに表示されるコンテンツのうち、検索連動型広告などの広告を除いた通常の検索結果を「オーガニック検索」と呼びます。
オーガニック検索における表示順位は、基本的に検索エンジンのアルゴリズムによって決定。例えば検索エンジンの一つである「Google」は、クローラーが取得してきたコンテンツを分析・評価し、検索サイトで入力されたキーワードに対して適切な検索結果を表示するプログラムをもとに、上位表示するコンテンツを決定していると言われています。
なお最近ではオーガニック検索の結果に、ウェブサイトのページだけでなく、動画やSNS、地図や画像などが上位表示されることも増えてきました。
「自然な」という意味があるオーガニック。オーガニックソーシャルとは、有料の広告などを使わないSNSの施策全般を指します。テキストや写真の投稿などを通じてフォロワーを獲得し、ユーザーにアプローチする最もオーソドックスな手法といえるでしょう。
反対に「ペイド(有料の)ソーシャル」は、Facebook広告やTwitter広告など、お金を支払って実施するSNSの施策となります。
オファーとは、一般的に条件を提案する行為を指します。マーケティングでは顧客に対して製品・サービスの購入を促すために、以下のような条件を提示することをオファーと呼びます。
また、HubSpotなどの特定に企業においては、オファーをトリガーコンテンツ(見込み客の態度変容を促すコンテンツ)という意味合いで利用する場合もあります。
そもそもSEOとは「検索エンジン最適化」と呼ばれ、コンテンツを作成し、検索の上位に表示させるために行う施策全般を指します。そしてSEOを行うときに、よく取り上げられるのが「オンページSEO」と、後ほど紹介する「オフページSEO」です。
オンページSEOは、自社のコンテンツやサイトを改善することで検索エンジンにシグナルを送り、上位表示を目指す施策のこと。コンテンツをリライトしたり、HTMLのソースコードを修正したりします。
一方でオフページSEOは、基本的に多くの読者に引用(リファラル)もしくは参考にしてもらうことでコンテンツの信頼性を高めて検索順位を上げる施策のこと。つまり、SNSでシェアされたり、多くのユーザーに閲覧されたりなど、より数多くの読者の反応を獲得する施策と言えるでしょう。
例えば簡単なもので言うと、コンテンツに「監修者」を付けて信頼性を担保するなどの施策があります。
とはいえ、オンページSEOと比べるとコントロールできない部分も多く、実施した施策が必ずしも成果に結びつかない可能性があります。
以上、今回はBtoBマーケティングでよく使われるマーケティング用語について「ア行編」と題し、お届けしました。続く次回は「カ行編」のマーケティング用語を紹介していきます。