バリュープロポジションの重要性とは?図解で説明!

2021/05/12
BtoBマーケティング バリュープロポジション バリュープロポジションの重要性とは?図解で説明!

最近は、ビジネスで「価値創造」「価値の提案」といったフレーズが使われるようになってきました。製品・サービスがコモディティ化しやすい現代、いかに競争上の優位性を創り上げオンリーワンの価値を提供し、顧客に選んでもらう存在になれるかは、事業成功の鍵を握っています。

しかし、価値の提供と語ることはたやすくても、アップルの『Think different』、スターバックスの『Third place(第三の場所)』のような独自のコンセプトを、素敵な一文で見事に表明することは難しいです。

バリュープロポジションは、企業理念ではないため「我が社は〇〇を提供したい」というビジョンとはやや異なり、徹底した顧客視点、顧客ニーズに紐づいて価値を語る必要があります。土台に深い顧客理解がなければ、なかなか簡単には構築できないのも事実です。

本記事では、自社や製品・サービスの「バリュープロポジション」を見つける重要性、バリュープロポジションの作り方、フレームワークなどを解説します。

バリュープロポジションを図解して説明

バリュープロポジションとは、顧客に求められ競合他社では提供できず、自社だけが提供できる価値のことです。いわゆるオンリーワンの価値です。

願望ではなくファクトにもとづいて、顧客のニーズを起点として、製品・サービスの機能、企業のカルチャー、ブランドの信頼性などの領域で自社だけが提供できる価値のことを指します。

 

一般化したバリュープロポジションの図

 

バリュープロポジションは、1988年に米McKinsey & Companyのマイケル・ラニング氏とエドワード・マイケルズ氏の論文『ビジネスは価値提供システムである』で使用されたことがきっかけで世にでてきた言葉です。

当時の定義は「企業が顧客に対して提供する利益(有形・無形を問わず)を、各顧客セグメントの価格とともに、明確かつシンプルに記述したもの」でした。

現代の一般的な解釈は、「特定の製品またはサービスを購入することによって顧客が受けるメリットを明確に特定するステートメント(声明文、文章)」と言えるかと思います。

いずれにせよ、バリュープロポジションは、事業戦略やマーケティングの核となり、細かいところで言うと営業資料にまで落とし込むことができます。バリュープロポジションを明確にすることで、他社が真似できない強味に磨きをかけ、製品企画、マーケティング、サービス、組織カルチャーなどで競争上の優位性を持つことができます。

 

バリュープロポジションを分解した図

筆者のクライアントにはBtoB SaaS企業が多く、バリュープロポジションを作って欲しい、とお願いすることがあります。これは、SaaSという特性上、(初期投資に物理的な資産が限りなく不要なため)参入障壁が低く、続々と似たようなソフトウェアが生まれるからです。

顧客からすると、バリュープロポジションが明確になっていない場合、検討する際に機能比較に頼らせざるを得ません。これは売り手にとってもあまり望ましい状況ではなく、一旦は競合に競り勝っても、後発の競合がより高機能のソフトウェアをリリースすると負けることを意味します。

SaaSのリテンションビジネスという特性を考えるのであれば、特にバリュープロポジションを明確にして顧客を引きつけることが長期的な成長の鍵になるからです。

バリュープロポジションの作り方とは

バリュープロポジションの作り方には、いろいろな手法があり、ウェブ上にテンプレートも豊富にあります。フレームワークやテンプレートは、バリュープロポジションを活用する目的や活用する人の知識にあわせて、使いやすいものを選択して問題ありません。

チェックリストを活用

バリュープロポジションを構築するためには、前提として顧客視点、競合企業の強味・弱み、自社の強味・弱みを知っている必要があります。

もし、その知識が浅い場合は、最初に知識の棚卸をしたほうよいので、フレームワーク作成前にチェックリストを活用しましょう(知識・スキルが豊富な人は、バリュープロポジションのフレームワークに直接書き込んでも問題ありません)。

  1. 製品やサービスは何か?
  2. ターゲット市場はどこか?
  3. 製品やサービスはどのような価値を提供しているのか?
  4. 競合他社との違いは何か?

この4つに明確な答えを出せるでしょうか(No.3のところで少し悩むのは顧客視点からプロダクトの捉え方が甘いのかもしれません)。

業界によっては、以下のようにより詳細なチェックリストが必要かもしれません。

 

バリュープロポジションのチェックリスト

(出典:smartsheet

また、詳細を知りたい方はこちらの記事が大変参考になります。元の資料は佐藤岳さん(@GakuMarketing)が作成されており、BtoBマーケティングに詳しい方であればご存知のことでしょう。

バリュープロポジションにおすすめのフレームワーク

次にフレームワークを活用します。ここでは、3種類のバリュープロポジションを導き出すフレームワークを紹介します。

1.We help (X) do (Y) by doing (Z).

元GoogleのSteve Blank(以下 ブランク)氏が、開発したシンプルなフレームワークです。

私たちは(Z)をすることで(X)が(Y)をするのを助ける。

  • X=お客様
  • Y=お客様が望むこと(ニーズの充足、ペインの解決など)
  • Z=自社の製品・サービスが入ります。

3項目を書き込むだけで、顧客視点に立った簡潔なバリュープロポジションを考えられるようになるでしょう。バリュープロポジションを導くフレームワークは、一般に複雑ですがこのフレームワークを活用すると、最終的な出口を見失わず、必要以上に迷わず、顧客価値を考えられます。

 

バリュープロポジションのテンプレート

(出典:smartsheet

 

同サイトには、バリュープロポジションを導き出す、以下のような比較的シンプルな無料テンプレート(英語)が何種類か紹介されています。

  • Geoff Moore’s Value Proposition (For、WHO、OUR、IS、THATの4項目)
  • Information Technology Services Marketing Association's Value Proposition
  • Venture Hacks’ Value Proposition(ベンチャ―用),etc

自業界に合いそうなものを選択して活用してみましょう。

2. バリュープロポジションビルダーモデル

バリュープロポジションビルダ―モデルは、6つ構成要素 (市場、価値経験、提供、利点、代替品および差別化要因、証明)を明確に定義・分析し、顧客価値に基づいたビジネスを展開し、収益を向上させるためのフレームワークです。

 

バリュープロポジションビルダー

 

(6つの領域を分析)

  1. 市場
  2. 顧客価値体験
  3. 価値提案の有効性
  4. 顧客価値体験の観点から提供物のメリットを評価
  5. 代替品と差別化
  6. 上記のエビデンスを揃え、すべてを裏付け実質的な価値提案が行われていることを確認します。

3.バリュープロポジションキャンバス(ハイブリッド型)

「バリュー・プロポジション・キャンバス」は6つの項目を埋めていくことでバリュー・プロポジションに貢献する構成要素を探ります。領域を埋めるプロセスを経ることで、自社の強味が明確になり、最終的に1文のバリュープロポジションに絞り込むことが容易になります。

 

バリュープロポジションキャンバス(ハイブリッド型)

(画像出典:Google

 

図の矢印が示すように右側の丸い図(CUSTOMER)を先に埋めていきます。

CUSTOMER(顧客ニーズ)
  • Desires:顧客の欲求(感情的な原動力)
  • Job to be done:顧客自身がニーズを満たすためにすべきこと
  • Anxieties:不安、懸念、心配事
  • Benefits:顧客の利益
  • Features:製品・サービスの特徴
  • Customer Experience:顧客の体験

顧客の欲求(感情的な原動力)、ニーズ(合理的な動機)、恐怖(望ましくない結果)を顧客視点にたってできるだけ想像して書き込みます。

次に、左の四角形の図(PRODUCT)を埋めます。

PRODUCT(製品・サービスの顧客提供価値)

いずれの項目も顧客の視点で思考して埋めます。顧客にとっての製品の利点、顧客から見た製品・サービスの特徴、顧客体験を書き出してみます。右のCUSTOMERの図に書き込んだ要素をもとに、PRODUCTを思考することがポイントです。

左右の図を比較すると、良い製品・サービスは提供価値(四角形)が顧客ニーズ(〇形)の図に紐づいているので矛盾がありません。顧客ニーズに提供価値が紐づいていない場合は、現在のバリュープロポジションを再定義しましょう。

バリュープロポジションの使い方を具体例とともに説明

ここでは、4社を例にバリュープロポジションの使い方を説明します。

使い方の具体例:InVision

Invision

(画像出典:invision

 

バリュープロポジション:"Design Better. Faster. Together."

顧客起点での価値:

InVisionは世界をリードするプロトタイピング、コラボレーション、ワークフローのプラットフォームです。デザイナーは、InVisionを活用することで、複数のツールを使用せずに、オンライン上で堅牢なプロトタイプやモックアップを迅速に作成できます。InVisionは、デザイナーが独自のデザインを作成するための総合的なソリューションプラットフォームです。

InVisionならではのバリュー:

さまざまなタスクに特化したツールやサード・パーティと統合できる広大なエコシステム

使い方の具体例:Slack

Slack

(画像出典:Slack

 

バリュープロポジション:仕事をよりシンプルに、より快適に、より生産的にする

顧客起点での価値:

Slackは、シンプルで使いやすいチームのためのコラボレーションツールです。社内のメッセージのやりとりを効率化するとともにコミュニケーションをスムーズにします。複数のプロジェクトを一元管理できるタスク管理にも適しています。セキュリティも堅牢であり、Fortune 500企業の77%がSlackを利用しています。

Slackならではのバリュー:

  • シンプルな操作性、ベンチャー、スタートアップに好まれる先進性
  • NASAのような大規模な組織でも安心して活用できる堅牢性
  • 2200以上ものアプリと連携が可能(2021.3時点)

使い方の具体例:Google Drive

Google Drive

(画像出典:Google Drive

 

バリュープロポジション:すべてのコンテンツに簡単かつ安全にアクセス

Google Driveは、Googleが提供するオンラインストレージサービスです。Google Driveのバリュープロポジションはシンプルながら、「すべて」「簡単」「安全」というキーワードで製品の機能、保存するものはすべて安全であることを伝えています。

顧客起点での価値:

ユーザーはモバイル、タブレット、パソコンからファイルやフォルダを保存、共有、共同編集できます。面倒なメールからのダウンロードに時間をかけずとも瞬時にタスクを完了できます。

Microsoft Office をはじめ、PDF、CADファイル、画像など、100 種類以上のファイルを編集、保存できます。また、オフライン作業が可能なため、通信インフラが整っていない場所でも仕事に集中できます。面倒なことや煩雑なことを、簡単にシンプルにできるようになります。

Googleならではのバリュー:

  • シンプルなUI、徹底してムダを省いた簡単なプロセス
  • 大容量(18GB)を無料提供
  • AIを活用したGoogleの検索機能によりファイル検索速度がスピーディ
  • 検索エンジンとしての知名度、信頼性

使い方の具体例:Optimizely

Optimizely

(画像出典:Optimizely

 

バリュープロポジション:Unlock digital potential(デジタルの可能性を広げる)

Optimizelyは、マーケターがWebやモバイル上でA/Bテスト、多変量テストツール、パーソナライゼーション機能を活用するためのプラットフォームです。「世界No.1A/Bテスト」「A/BならOptimizely」と評価され、世界8,000社以上で活用されています。

顧客起点での価値:

マーケターにとって、デジタル市場で見込み客を分析して絞り込むことは簡単ではありません。Optimizelyを活用することで、デジタル上での最適な顧客体験価値を提供できるとともに、「CVR(コンバージョン率)」「CTR(クリック率)」を改善させることができます。

Optimizelyならではのバリュー:

  • すべてのデバイス、チャンネルのタッチポイントで最適な顧客体験を提供できる。
  • 創業者Dan Siroker氏は、2008年米国大統領選でオバマ陣営の分析ディレクターであり、ABテストを駆使して選挙運動収益を1億ドル以上増加させた実績がある。

まとめ

自社の製品・サービスのことを、市場からの観点、顧客目線で理解することはかなり難しいものです。バリュープロポジションを作るためのフレームワークを活用し、俯瞰した目で自社製品・サービスをとらえてみましょう。

有用なバリュープロポジションを構築できると、製品・サービスが顧客に提供できる価値が明らかになり、顧客が競合他社ではなく自社から買いたいと思う理由を表現できるようになります。優れたバリュープロポジションは、コンバージョン率や成約率、何より顧客維持率を伸ばす力をもっています。

戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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