サジェストキーワードとは、検索エンジンの検索窓で特定のキーワードを入力した際に表示される検索ワードの候補です。普段、ユーザーはGoogleなどのWeb上のサービスを利用するにあたって、何かしらの提案を受けながら作業効率化の恩恵を受けています。サジェストキーワードその機能のひとつです。
さらに、サジェストキーワードはSEO対策上で重要な役割を担っています。サジェストキーワードを基にしてコンテンツ作成を行うことで、よりユーザーニーズを捉えた情報発信・価値提供が可能です。
本記事ではサジェストキーワードの概要と、SEOにおける重要性を解説します。「トピッククラスター」の考え方にも言及しつつ、体系的なコンテンツ制作について論考しますので、ぜひ参考にしてください。
サジェストキーワードとは「検索エンジンによって提案される検索候補」のことです。インターネット検索ではGoogleやYahoo!、bing(Microsoft)などを使用するのが一般的でしょう。さらには、サジェストキーワードはYouTubeのような動画配信プラットフォームでも採用されています。
検索エンジンの検索窓に何かしらのキーワードを入力すると、それに応じた検索候補がリスト形式で表示される機能があります。そうして表示された検索候補がサジェストキーワードです(下の画像ではChromeのシークレットモードを使用しているため、検索履歴は反映されていません)。
各検索エンジンには、異なる点が多々あります。それぞれについてまとめると、以下のとおりです。
Google、Yahoo!、bingは、それぞれ表示されるサジェストキーワードが類似する傾向があります。検索エンジンが違うからといってユーザーの検索傾向が大きく変わるわけではないからだと考えられるでしょう。
YouTubeに関しては動画プラットフォームとしての特性から、時事性や商標キーワード、お悩みキーワードが重視されると推測できます。
ここで、サジェストキーワードと、誤解・混同しやすい言葉を3つ挙げて、それぞれの違いを解説します。
共起語とサジェストキーワードは、どちらもSEO戦略に役立つものです。しかし、その利用方法と意味合いには、互いに明確な違いがあります。
意味 |
主体 |
SEO戦略上の役割 |
|
共起語 |
特定の文脈で、ある単語とともに言及されることが多い、他の単語のこと。 |
「人」が会話・思考などの中で想起(共起)する言葉 |
コンテンツ作成時の 補助的役割 (ユーザー視点でより分かりやすく、自然なコンテンツづくりに役立つ) |
サジェストキーワード |
検索エンジンが、ユーザーの検索意図を分析し、関連性が高いと判断して検索ユーザーに向けて提案するキーワードのこと。 |
「検索エンジン」が分析・提案する言葉 |
ユーザーの検索頻度などを反映していると言われている。 したがって、コンテンツ作成時、ユーザーの検索意図を把握するうえで役立つ。 |
「共起語」とは、特定の文脈で、ある単語と一緒に言及されることが多い他の単語を指します。以下がその一例です。
<「CRM」という単語と、共起語の例 >
(出典:ラッコキーワード)
共起語は、人々の自然な会話から思考の中で生まれる言葉の組み合わせ、と考えると分かりやすいでしょう。
たとえば「CRM」という言葉を誰かに向けて説明しようとする際、「マーケティング」「システム」といった単語がセットで関連付けて語られることが多いといえます。これが「共起語」です。よって、これから何か1本の記事を書こうとする際には、共起語を適度に記事内に盛り込むことで、ユーザー視点で内容がわかりやすくなり、彼らが求める情報を適切に提供できるでしょう。
一方、サジェストキーワードは、検索エンジンがユーザーの検索意図を分析し、関連すると思われるキーワードを検索中のユーザーに向けて提案するものです。ユーザーにとって有用な検索結果へと導くために使われます。
(出典:Google)
関連キーワードは、検索エンジンが特定の語句と連携して表示させるキーワード群です。たとえば「CRMツール」と検索した際に、その検索結果の中央や下部に表示される「関連性の高い検索」のことを指します。
(出典:Google)
関連キーワードは、ユーザーが特定のトピックについて初歩的な知識しか持っていない場合に、追加情報へのアクセスを促し、理解を後押しします。
サジェストキーワードとの違いは、「(検索過程の)いつ表示されるか」という点です。サジェストキーワードは、ユーザーが検索語句入力中にリアルタイムでキーワードを提案します。それに対し関連キーワードは、検索結果ページにおいて既に検索した単語に基づいて提供されます。サジェストキーワードは検索の手助けをし、関連キーワードは情報の深堀りを助けているといえます。
サジェストキーワードとオートコンプリートの違いについて説明します。
サジェストキーワードは、ユーザーが検索を開始した際に、検索エンジンが提案する関連キーワードです。この機能によりユーザーは、目的の情報に迅速にアクセスする手助けを受けられます。
一方、オートコンプリート(ブラウザ側の機能)は、ユーザーが過去に入力したデータを基に、フィールド(検索窓など)入力時に予測テキストを表示する機能です。これは主にテキスト入力の効率化を目的としていますが、プライバシーの観点から注意が必要です。
オートコンプリート機能は、過去の入力履歴を基にして予測候補を表示するため、第三者がデバイスを操作した場合には、持ち主が「過去に何を検索していたか」など、個人情報が漏洩するリスクがあります。そのため、オートコンプリートの機能の使用には注意が必要だといえます。
両者は、ユーザーのタイピングを助ける点で共通していますが、その使用目的が異なります。前者は情報の検索を効率化するため、後者は入力作業の効率化を目的としているといえるでしょう。
SEO対策をしていく中で、サジェストキーワード関連で最も意識すべきなのは「Googleサジェスト(オートコンプリート)」でしょう。Googleサジェストは、Google検索エンジンの検索ボックスにキーワードを入力している最中に、それに関連する検索キーワードやフレーズを自動的に提案するサジェスト機能です。
検索エンジンの世界市場において、Googleは80%以上のシェアを誇っており、必然的にコンテンツマーケティングにおいても、最優先で対策するべきプラットフォームとして挙げられます。
そのようなGoogleで用いられているサジェスト機能は、ユーザーの実際の検索クエリを反映しているため、「ユーザーが実際にどのようなニーズを持っているのか」を理解するのに役立つのです。
ただし、後述するGoogleサジェストの仕組みを知れば明らかなのですが、Googleサジェストは必ずしもユーザー全体のニーズを正確に表しているわけではありません。とはいえ、自社のコンテンツ作成における方向性を定義する上では、とても重要な要素です。
日本における検索エンジンのシェアはGoogleが大半を占めており、Yahoo!、bingと続いています。
(出典:「statcounter」Desktop Search Engine Market Share Japan Mar 2023 - Mar 2024)
実は、Yahoo!は検索エンジンのアルゴリズムにGoogle製が取り入れられているため「ほぼGoogleと同じ仕様」といえるでしょう。しかし、bingはMicrosoftが独自に開発している検索エンジンであるため、GoogleやYahoo!とは違った特徴があります。例えば「中古車 z」と入力すると、Googleとbingとでは次のような違いがあります。
Googleで「中古車 z」と入力すると「z」で始まる日本語キーワードがサジェストとして表示されるのに対し、bingでは「z」をローマ字認識でサジェストが表われています。つまり、Googleの方が曖昧性に対して高い認識機能が備わっているのです。
では、Googleサジェストにはどのような仕組みがあるのでしょうか? 代表的なものを挙げると、以下のとおりです。
ここからは、それぞれについて解説します。
Googleのサジェストキーワードは、Google上で実行された検索結果を反映する仕組みになっています。WIREDに投稿された記事によると、Googleが1日に処理している検索数は30億回とのことです。
「 The statistics remain staggering. Google accepts over 3 billion search queries a day.」
「驚異的な統計が続いています。Googleが1日に受け入れる検索クエリは30億回を超えているのです(筆者訳)」
(出典:WIRED「How Google Search Dealt With Mobile」)
Gogoleサジェストは、世界中の検索を反映して「入力されたキーワードに対して最も検索率の高い別のキーワードを組み合わせる」のが基本的な仕組みなのです。
サジェストキーワードを表示するためには、ユーザーごとの検索履歴データも参考にされます。これは単に、検索履歴を表示するということではありません。サジェスト機能として表示するキーワードを、ユーザーごとにカスタマイズしているのです。
例えば、以下のGoogleサジェストのスクリーンショットは「筆者が日頃使用しているChromeブラウザ」上で「Google」と入力した結果です。
Googleサジェスト関連のキーワードが多いのは、当記事を執筆するにあたり、Googleサジェストに関するキーワードを多く入力したためです。
対して、普段使用しないSafariブラウザにて、Googleの検索窓に「Google」と入力した際に表示されたGoogleサジェストは以下のようなものが検出されます。
上記をみれば、Googleサジェスト関連のキーワードが1つもないとわかるでしょう。これは「検索履歴データがほとんどゼロに近い状態」でGoogl検索を使用したためです。
Googleサジェストはユーザーの検索履歴データを反映しているので、ユーザーによって表示されるキーワードが異なります。
仕組み2の「ユーザーの検索キーワード」に加えて、ユーザーごとにカスタマイズされているのが「使用言語」と「居住地」です。
例えば、仕組み2でも登場した「Google」と検索した場合のサジェストキーワードは、英字を入力しているにも関わらず、日本語キーワードを組み合わせたものが多分に含まれています。これはGoogleがユーザーの使用言語に合わせて、表示するキーワードを変更しているためです。
ユーザーの居住地に関しても、Googleは情報を収集した上でサジェストキーワードに反映させています。例えば、東京在住の筆者がGoogleの検索窓に「SEO会社」と入力すると、以下のように地域名を含むサジェストキーワードが表示されました。
上記は、普段使用しないSafariブラウザで検索した場合の結果であり、居住地情報に関しては特にGoogle検索を利用しなくても収集される仕組みになっているのです。これは、端末ごとに振り分けられたIPアドレスから特定していると推察できます。
このように、Googleでは検索履歴のデータに加えて、使用言語や居住地などの情報を反映させながらユーザーごとに最適化されたサジェストキーワードを構築しています。
Googleサジェストにおける、もう1つの重要な仕組みが「ポリシー違反に該当するサジェストを表示させない」ことです。主なポリシー違反は、以下のとおりです。
Google OneBoxとは、Google検索の機能のひとつです。ユーザーが情報を検索した際に、特定のWebページに誘導するのではなく、直接的で具体的な回答や関連情報を検索窓のすぐ下に大きく表示させます。
たとえば、天気予報、スポーツのスコア、短い定義、地図、株価などの情報が素早く表示され、ユーザーは迅速かつ効率的に情報を得ることができます。
(出典:Google)
この機能は、検索体験を向上させるためにデザインされており、ユーザーが求める情報に直接、安全にアクセスできる利点があります。
Google OneBoxは、Googleサジェストと相互に関連しています。両者は共に、ユーザーがより迅速かつ効率的に情報を得られるように機能していますが、それぞれが提供する情報の種類やタイミングに違いがあります。サジェストが検索過程をスムーズにする手助けをするのに対し、OneBoxは検索結果を具体化し、直接的な情報提供を行うことで、検索体験全体の価値を高める役割を果たしてるのです。
Googleサジェストは、一般的には以下の用途で使用されます。
次項より、それぞれ個別にみていきましょう。
前述したように、Googleは全ユーザーごとの検索キーワード・属性情報を反映させて、検索候補となる「最大公約数的な」サジェストを表示しています。つまり、Googleサジェストを確認すれば「直近での検索者のニーズを推定すること」が可能です。
例えば、2023年5月時点のホットトピックのひとつである「インボイス制度」について、後述するデバイス使用者の検索履歴の影響を受けない「シークレットモード」で調べてみましょう。Googleの検索窓に「インボイス制度」と入力すると、「フリーランス」「いつから」などが組み合わさったサジェストキーワードが並んでいます。
上記のサジェストキーワードを見る限り、当該キーワードの検索者はフリーランスの割合が多く「制度に関する概要を詳しく知りたい」ニーズが高いようです。このようにすれば、Googleサジェストは検索ユーザーのニーズの推定に役立てられます。
ただし、前述のとおり上記は筆者自身の検索履歴が反映されたものです。ユーザーごとのパーソナライゼーションを反映させない検索方法は後ほどご紹介しますので、Googleサジェスト活用の際にはお役立てください。
Googleサジェストにて上位表示されるキーワードの組み合わせは「比較的検索ニーズが高いキーワードである」と考えられます。
SEO対策やコンテンツマーケティングでは「ロングテールSEO」と呼ばれるテクニックがあります。
ロングテールSEOとは、検索ボリュームが多い「ビッグキーワード」で自社コンテンツの上位表示を狙うのではなく、複数の検索キーワードを組み合わせた「ミドルキーワード」「スモールキーワード」と呼ばれるロングテールキーワードを充実させて上位表示を狙い、自社サイトへの流入増を図る施策です。
BtoB、SaaS系企業のSEOは「そもそも狙うべきビッグキーワードの数が少ない。あるいは存在しない」というケースも多々あるため、ロングテールSEOが有用な選択肢として挙がります。
BtoBやSaaS系企業のマーケティング戦略につながるミドル/スモールキーワードを探す上でも、Googleサジェストが役立ちます。例えばGoogle検索で「PEST分析」と入力すると、次のようなGoogleサジェストが表示されます。
この結果をみれば「PEST分析の意味や目的、具体的な事例」「PEST分析とSWOT分析の違い」などについてのニーズがあると分析できます。
さらに「PEST分析 2023」と入力すると、別のGoogleサジェストが確認できます。
これをみると「PEST分析 2023」というキーワードは、製造業の方や政治に関心があるユーザーが検索しているようです。
もし、自社ビジネスが製造業を見込み客としていないのであれば、「PEST分析 2023」でのコンテンツ作成はスコープアウトとなるでしょう。
このようにして、Googleサジェストを活用すれば「検索ニーズの有無」に加え、ロングテールSEOを戦略的に実行する際に必要な「効果的なコンテンツの見極め」も可能なのです。
SEO対策やコンテンツマーケティングにおける一般的な用途からは少し逸れますが、サジェストキーワードは「サジェスト汚染の調査」にも役立ちます。
サジェスト汚染とは「商標 + ネガティブキーワード」で構成されるGoogleサジェストのこと。例えば、特定の企業名をGooge検索で入力すると、以下のようなサジェストキーワードが表示されるケースがあります。
上記に表示されている「やばい」「ブラック企業大賞」はネガティブなキーワードであり、明らかに「サジェストが汚染されている」といえるでしょう。
自社の商標でサジェスト汚染が確認される場合、対策として前述の「不適切な検索候補の報告」にてGoogleサジェストの削除要請を行うという選択肢があります。
しかし、Googleサジェストのポリシーに違反していない限り削除はされないため、必ずしも要請が通るわけではありません。
とはいえ、サジェスト汚染は販促活動や採用活動など、商標イメージが重要な取り組みの効果を著しく下げる可能性が高いため、なるべく削除要請を行いましょう。
Googleに削除リクエストを出す方法を紹介します。
「不適切な検索候補の報告」を選択すると、次のようなポップアップが表示されますので、不適切と判断したサジェストを選びその理由にチェックを入れることでGoogleに対してフィードバックを送ることができます。
Googleはフィードバックを受け取ったら、「Googleのプライバシーポリシーや利用規約に鑑みて、リクエストに応えるかどうかを判断する」としています。よって、リクエストを送信したから必ず削除されるとは限らない、ということもあわせて理解しておきましょう。
GoogleサジェストのSEOへの影響について、要点をまとめます。
ユーザーが求める検索キーワードを知ることが可能です。Googleサジェストは、ユーザーが検索窓にタイピングを始めると、関連する検索語を提案します。
よって、企業内におけるコンテンツ立案・SEO担当者は、このサジェストを理解することで、ユーザーにとって価値のあるロングテールキーワードの発見につながるでしょう。ターゲットユーザーの検索意図をより深く理解し、それに基づいたコンテンツを作成することが可能になります。
ブランドや製品・サービスに関連するキーワードがサジェストされることで、それらに対する人々のイメージ(ポジティブなのか、ネガティブなのか)を把握できます。しかし、ネガティブなサジェストが増えてしまうと、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があるのです。Googleは不適切なサジェストを削除する取り組みもしていますが、企業側がサジェスト汚染を完全にコントロールすることは難しいといえます。
特定の検索キーワードをめぐって競争が激化し、自社が上位表示を狙うキーワードやフレーズのSEO最適化がより困難になることがあります。多くの競合他社が同じキーワードでの上位表示を目指している場合、自社が上位にランクインするためには、さまざまな角度から複雑なSEO対策を講じる必要が出てきます。
たとえば、競合調査ができる専門的なツールを導入して、十分な分析に取り組んでからコンテンツ立案・執筆を進めていくといった策などが必要になるでしょう。
サジェストキーワードの活用例としては、以上のとおりです。では、なぜサジェストキーワードの活用は、コンテンツ制作において重要なのでしょうか。
まず、SEO対策・コンテンツマーケティングで最も重視すべきなのは「ユーザーにとって有益な情報か否か」です。これはGoogle自身が長年提唱している理念であり、ユーザーに有益な情報を盛り込んだコンテンツこそが検索結果上位に表示されるべきだと表明されています。
しかしながら、「自分が考える有益な情報」と「ユーザーが考える有益な情報」が必ずしも一致するとは限りません。
企業やSEO担当者とユーザーの間には少なからず「価値観の違い」が存在します。そのギャップを認識しながらコンテンツ制作に当たらなければ「こんなに有益な情報を発信しているにもかかわらず、自社サイトへのアクセス数が思ったよりも伸びない」といった結果につながりかねません。
サジェストキーワードは、そういった問題を回避する上で大いに役立ちます。
サジェストキーワードを活用する際、意識すべき事柄があります。それが「トピッククラスター」と呼ばれる体系的なコンテンツ制作方法です。以下より、具体的にみていきましょう。
トピッククラスターはコンテンツ全体の「 幹」となる「ピラーコンテンツ」に加え、それを取り囲む「房」の役割を持つ「クラスターコンテンツ」。幹と房をつなぐ「枝 」となる「ハイパーリンク」によって構造化された、体系的なコンテンツ制作方法のことです。
SEO対策を行う際には一般的な考え方ではありますが、トピッククラスターの考え方で構造化されていないWebサイトが大変多く散見されます。
多くのWebサイトでは次のような構造でコンテンツが制作されており、故にSEO効果を最大限高められないのが現状。以下のイラストは、トピッククラスターで構造化されていないWebサイトの例です。
上記のとおり、多くのWebサイトでは、ピラーコンテンツとクラスターコンテンツが乱雑であり、かつピラーとクラスターごとのハイパーリンクが無いためコンテンツ全体が構造化されていません。これではWebサイト全体のテーマ性と専門性が薄れ、SEO効果が薄れてしまうでしょう。
一方、トピッククラスターの考え方に従って構造化されたコンテンツは次のような強い関連性を持っています。
コンテンツ間のつながりが強まることにより、Webサイト全体のテーマ性も深まり、Googleから専門性の高いWebサイトおよびコンテンツと評価される可能性が高まるのが、トピッククラスター戦略の強みといえます。
トピッククラスターにサジェストキーワードを取り入れることは、決して難しい作業ではありません。例えば「キャンプ バーベキュー」のキーワードでコンテンツを構造化する際、サジェストキーワードを使ってトピッククラスターを作り上げていきます。
まずは検索エンジンに「キャンプ バーベキュー」と入力してサジェストキーワードを調査しましょう。
次に表示されたサジェストキーワードを元に、ピラーコンテンツとクラスターコンテンツを構成していきます。
「キャンプ バーベキュー」の検索ボリュームは月間2000件弱ですので、上記のトピッククラスターに従ってコンテンツ制作を行えばテーマ性が深まり、Googleから高い評価を得られる可能性があります。
コンテンツが上手く上位表示されれば、月間2000件ほどのアクセスが見込めるでしょう。しかも、具体的なキーワード検索による確度の高いリードを獲得できる可能性があります。このようにサジェストキーワードを取り入れると、トピッククラスターの精度を上げられるのです。
サジェストキーワードを活用して、コンテンツトピックのアイデアを得ることができます。
たとえば、自社の製品・サービスに関連するキーワードを入力してみましょう。Googleが提案するキーワードを分析することで、その製品・サービスについて調べようとしているユーザーが、具体的にどのような情報を求めているか(例:「使い方」や「料金」など)を、より詳細に把握することができます。
得られたヒントから、ユーザーが求めるキーワードを踏まえて記事を作り込んでいき、よりユーザーニーズに合ったコンテンツを提供できれば、多くの自然検索ユーザー流入を期待できるでしょう。
これは、自社がターゲットとするオーディエンスが何に興味を持っているかを理解し、SEO効果を高めるための重要なステップだといえます。
Googleのオートコンプリート機能は、現在トレンドとなっている検索や、他のユーザーがどのような検索を行っているかに基づいているといわれており、新たなコンテンツアイデアの源泉となり得るのです。
では、サジェストキーワードはどのように調査すればよいのでしょうか。具体的には、3つの方法が考えられます。
以下より、個別にみていきましょう。
まずは手動でGoogleサジェストを取得する方法です。Googleの検索窓に特定のキーワードを入力し、そこに表示されるGoogleサジェストを確認しましょう。
ただし、前述のとおり普段使っているブラウザを使用すると、自身の検索履歴が反映されますので「シークレットモード(プライベートブラウザ)」の使用が推奨されます。シークレットモードは、ブラウザを起動したら、以下のショートカットキーを入力すれば起動可能です。
すると次のようなウインドウが表示されます。
Googleサジェストを手動で検索する方法は、実は非効率な手法です。そのため、短時間かつ確実にサジェストを取得したいなら、専用ツールを活用しましょう。例えば、Googleが提供する無料ツール「Googleキーワードプランナー」などです。
キーワードプランナーは、Google広告を出稿するためのツールですが、Googleサジェスト調査にも利用可能。Googleキーワードプランナーにアクセスしたら、「新しいキーワード見つける」をクリックしましょう。
次に、調査したい検索キーワードを入力し「検索」をクリックします。すると以下のようにGoogleサジェストキーワードの一覧と、大まかな月間平均検索ボリュームがなどが表示されます。
ただし、これらのGoogleサジェストは「Google広告を利用する上で最適化された一覧」という点には留意しましょう。つまり、手動で取得した場合のGoogleサジェストと結果が異なるのです。
以上のとおり、Googleが提供しているキーワードプランナーでは、SEO対策やコンテンツマーケティングで役立つサジェストキーワードを正確に取得できません。そこで選択肢となるのが「外部のツールを利用する」という方法です。
サジェストキーワードの調査ツールは、さまざまな企業により無料・有料を問わず提供されています。具体的には、後述する「ラッコキーワード」や「Ubersuggest」などの専用ツールを活用すれば、Googleサジェストの一覧データを取得可能です。
ここからは、前述した「方法3:外部のツールを利用する」で用いるための無償ツール・有償ツールをそれぞれ以下の3種類ずつ紹介します。
<無償ツール>
<有償ツール>
SEO初心者やWebサイト運営によるマーケティングを始めたばかりという企業では、基本的に無償ツールを活用しましょう。無償ツールは機能面で劣り、コンテンツ制作にかかるデータ収集のためには別ツールの併用も必要ですが、調査精度は有償ツールと遜色ありません。
継続的にコンテンツ制作に取り組む体制が整っていない段階で有償ツールを導入すると、機能を持て余しROI(投資対効果)を悪化させる原因になります。まずは無償ツールを活用するか、手動調査を行って、コンテンツ作成の体制を整えていくのが効率的です。
ラッコキーワードは、国産のサジェストキーワード調査ツールです。1日に調査できる上限回数は5回までですが、メールアドレスを登録すると無償のままで調査回数が無制限になります。
(出典:ラッコキーワード)
サジェストキーワードごとの検索ボリュームは表示されないものの、サジェストキーワードを一挙に「全キーワードコピー(重複除去)」「CSVダウンロード」できる使い勝手のよさがメリットです。メインキーワードを軸にユーザーがどのように検索を行なっているのかを、総合的に分析することに適しているといえるでしょう。
なお、サジェストキーワードの検索ボリュームを知りたい場合は、前述したキーワードプランナーも活用すれば、以下の手順で行えます。
Ubersuggestは、無償ツールながら上位30件のサジェストキーワードの検索ボリュームまで表示してくれるツールです。加えて、対象キーワードで検索した際のトップコンテンツも表示してくれる優秀なツールといえます。
(出典:Ubersuggest)
サジェストキーワードの調査に合わせて競合分析も行いたい際に最適な無償ツールです。ただし、無償で使えるのは1日3回まで。ラッコキーワードのように「メールアドレス登録で調査回数無制限」といった条件もないので、無制限に使いたい場合は有償版へアップグレードする必要があります。
Keyword Toolは、登録不要で使える無償ツールです。Keyword Toolにアクセスしたら特定のキーワードを入力して、検索ボタンをクリックするだけでサジェストキーワードを調査できます。
(出典:Keyword Tool)
Google以外にもbing、YouTube、Amazon、さらにInstagramやX(旧Twitter)などの検索エンジンにも対応しているのが特徴。コンテンツマーケティングだけでなく動画マーケティングやSNSマーケティングでも活用できるでしょう。
上位5つのサジェストキーワードは検索ボリュームも表示されますので、前述したピッククラスターにも役立てられます。
SEMRUSHは「オールインワン競合分析ツール」を謳っている有償ツールです。Forbes、Apple、TESLAなどが顧客として名を連ねていることから、SEOを行う上で有用なツールであることがわかります。
(出典:SEMRUSH)
サジェストキーワードの調査はもちろん、さまざまなSEO対策機能を「月額119.95ドル(約1万3400円)~」で利用できます。主な機能は、以下のとおりです。
決して安価なツールではありませんので、やはりWebサイト運営が軌道に乗ってから検討すべきツールといえるでしょう。
KWFinderは日本語未対応ですが、「月額29.90ドル(約3350円)~」とSEMRUSHより安価に利用できるSEO対策ツールです。
(出典:KWFinder)
サジェストキーワード調査はもちろん、ロングテールSEOに有効的なキーワードの探索などをシンプルなインターフェース上で行えます。KWFinderは、「関連キーワード」「検索ボリューム」「検索上位の競合サイト」などのキーワード選定で必要な項目が1つの画面内に収まっているため、シンプルな使い勝手なのが特徴です。
日本語は未対応であるものの、英語に苦手意識のない方は、積極的に採用を検討しましょう。
料金はSEMRUSHより若干安く、日本語対応のサジェストキーワード調査に役立つツールがahrefsです。外部サイトからの被リンクをリアルタイムに追跡できるという特徴があり、日本のマーケターの中にも愛用している人が多い有償ツールでもあります。
(出典:ahrefs)
同ツールに蓄積された被リンクのデータ量は、4020億のページURLを網羅した26.9兆もの巨大なもの。膨大なデータベースに裏付けされた、精度の高い分析が期待できます。
被リンクはSEO対策における重要項目です。他サイトからの被リンクが増えるほどSEO効果が高まり、Webサイトとコンテンツの評価が上がります。
ただし、「被リンクを買う」といったブラックハット的なSEO対策は厳禁。被リンクの購入とは、他のWebサイトに自社サイトへのリンクを掲載してもらうために金銭を支払う行為です。
この行為は、Googleのウェブマスターガイドラインでは明確に禁止されているため、発覚した場合、自社サイトの大幅なマイナス評価や、最悪の場合、インデックスから完全に削除されるというペナルティを受ける可能性があります。
以上を踏まえて、純粋に「コンテンツの質の高さ」から、自然に獲得できるホワイトな被リンクを狙っていきましょう。
SEO対策にはさまざまな手法やテクニックがあります。なかでも、サジェストキーワード活用は基本的な技術のひとつです。
サジェストキーワードからユーザーの検索意図を正しく汲み取り、かつトピッククラスターの考え方に従ってコンテンツ制作を行えれば「SEO初心者から脱却した」といえるでしょう。
ただし「サジェストキーワードが全て」と考えるのは禁物です。上位コンテンツの分析などコンテンツ制作にあたり「やるべきこと」「分析すべきデータ」は、さまざまなものが存在し、サジェストキーワードはあくまでそのうちのひとつに過ぎません。
以上を念頭におき、無償ツールを上手く活用しながらサジェストキーワード調査によるSEO効果の向上を目指しましょう。