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アウトバウンドマーケティングとは?インバウンドマーケティングとの違いと具体的な施策例を紹介

マーケティング手法は、時代の進化に伴い多様化しています。企業がお客様との接点を持つ方法も劇的に変化する中、「アウトバウンドマーケティング」と「インバウンドマーケティング」は代表的なアプローチとしてしばしば比較されます。

テレアポやコールドメールといったアウトバウンドマーケティングは、「押し付けがましい」「時代遅れ」といった印象を持たれることもあります。しかし、この手法は即効性が高く、適切に活用すれば強力な成果をもたらすマーケティング手段です。特にリード数が不足している企業や、まだ市場に存在しない新しい製品を短期間で周知させたい場合に、その効果を最大限に発揮します。

一方で、お客様が自発的に情報を求める「インバウンドマーケティング」との違いを理解し、状況に応じて適切な手法を選ぶことが、成功の鍵となります。

本記事では、アウトバウンドマーケティングの基礎から、インバウンドマーケティングとの違い、具体的な施策例、そしてそれぞれのメリットとデメリットについて詳しく解説します。自社に最適なマーケティング戦略を見極めるための判断材料として、ぜひ最後までお読みください。

アウトバウンドマーケティングとは

アウトバウンドマーケティングとは、企業が積極的にお客様にアプローチするマーケティング手法です。広告やセールス活動を通じて製品やサービスの情報を直接届ける点が特徴であり、セールス色の強いアプローチとして知られています。

具体的な施策としては、テレビやラジオの広告、テレアポ、コールドメールなどが挙げられます。このように、自社から働きかける形でお客様との接点を作り出すことが、アウトバウンドマーケティングの基本的な考え方です。特に、お客様がまだ自社に興味を持っていない段階で接触を図る点が大きな特徴といえます。

たとえば、新商品の認知度を短期間で広げるためにテレビCMを活用する場合、これは典型的なアウトバウンドマーケティングの例です。この手法の大きな利点は、即効性が高く、多くの人に短期間でリーチできることです。そのため、商品やサービスの周知を迅速に行いたい場合に適しています。

一方で、情報が一方的に発信されるため、受け手によっては押し付けがましく感じられることもあります。効果的に活用するには、ターゲットに配慮したメッセージ設計が求められます。

アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの違い

アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの最大の違いは、お客様との接点を「企業が一方的に作るか」、それとも「お客様の意思によって生じるか」というアプローチの方向性にあります。

インバウンドマーケティングは、HubSpot社が提唱した概念で、お客様に価値ある情報を提供し、能動的に選ばれることを目指す手法です。

たとえばSEOでは、検索ユーザーが求めるコンテンツを作成・発信し、検索結果で上位表示されることでお客様の目に触れます。信頼関係が構築されれば、お客様は自発的にメルマガ登録や問い合わせといった行動を取るようになります。このように、インバウンドマーケティングは長期的な信頼関係の構築に強みがある一方で、短期間での認知拡大や即効性を求める場面では効果が限定的です。

一方、アウトバウンドマーケティングは短期間での認知拡大やリード創出が得意です。この特性をうまく補完する形で、インバウンドマーケティングと組み合わせることで、より効果的なマーケティング施策を実現できます。

アウトバウンドマーケティングのメリットとデメリット

アウトバウンドマーケティングは即効性のあるアプローチですが、いくつかの課題もあります。以下に、そのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

アウトバウンドマーケティングのメリット

アウトバウンドマーケティングのメリットを一言で表すならば、短期間で認知を拡大し、迅速に成果を得られる手軽な施策ということ。まずはアウトバウンドマーケティングの3つのメリットを見ていきましょう。

短期間での成果が見込める

アウトバウンドマーケティングの最大のメリットは、短期間で成果を創出できる点にあります。これは、企業が能動的にお客様へアプローチする手法であり、情報を瞬時に広範囲に届けるためです。

具体例として、テレビCMやラジオ広告では、放映・放送を開始した直後から、数十万人、場合によってはそれ以上のお客様にリーチすることが可能です。同様に、デジタル広告(ディスプレイ広告やリスティング広告など)は、設定したターゲット層に対し、広告を即座に配信し、クリックや流入といった反応を測定できます。これらは特に短期的な効果を求められる場面で威力を発揮します。

たとえば、以下のような状況ではアウトバウンドマーケティングが最適です。

  • スタートアップ企業

リード獲得数が不足しているスタートアップ企業では、まず自社や製品の存在を広く認知してもらうことが必要です。アウトバウンドマーケティングを用いることで、お客様に効率よくリーチし、見込み客を短期間で確保できます。

  • 新製品のローンチ

新製品や新サービスの発表時には、一刻も早くターゲット層に情報を届けることが求められます。テレビCMやデジタル広告を組み合わせることで、認知度を大幅に高めることが可能です。

  • 季節限定キャンペーン

クリスマスや年末セールなど、短期間で大きな売上げを狙うキャンペーンでもアウトバウンドマーケティングは有効です。広告の即効性により、限られた期間内で最大のリーチを実現します。

こうした即効性は、インバウンドマーケティングでは得られにくいため、短期的な成果を重視する場面では、アウトバウンドマーケティングが重要な役割を果たします。ただし、一方で過剰なアプローチは受け手に不快感を与えるリスクがあるため、バランスの取れた施策設計が求められます。

認知を拡大することができる

アウトバウンドマーケティングは、ターゲットを限定せず、不特定多数に情報を届けることを目的とした施策が多いため、認知の大きな拡大を見込めます。

代表的な施策として挙げられるのが、テレビCMやラジオ広告といったマス広告です。これらは広い層にリーチでき、新商品や新サービスの認知を短期間で一気に高める効果が期待されます。また、コールドメールや展示会も、不特定多数のお客様にアプローチできる手段として有効です。これらの施策は、広範なターゲット層にアプローチし、認知を素早く拡大する場面で力を発揮します。

さらに、次のような状況では特に効果的です。

  • 検索ボリュームが低い製品やサービス

一般に知られていない、またはニッチな製品・サービスを取り扱う場合、マス広告やアウトバウンド施策により知名度を一気に向上させることができます。

  • 競合との差別化が難しい製品やサービス

機能や価格では競合と大きな差がない場合、アウトバウンドマーケティングを活用して認知度を高め、「思い出されやすい存在」(想起率)を作ることが購買行動に影響を与えるポイントになります。

このように、アウトバウンドマーケティングは認知のスピードが求められる場面や、特定市場への浸透を目指す際に効果的です。

施策の実施が容易

アウトバウンドマーケティングのもう一つの特長は、施策の実施が比較的容易であることです。既存の広告枠や外部リソースを活用することで、短期間で施策を実行に移すことが可能です。

テレビCMであれば、広告代理店に依頼することで、企画から制作、放映までを一括して任せられます。広告代理店の専門知識やネットワークを活用することで、企業の内部リソースを削減しつつ、広範囲なリーチを実現できます。

また、テレアポやコールドメール、DMといった施策は、大規模な予算や高度なスキルを必要とせず、比較的簡単に始められるため、特にリソースの限られた企業にとっては有用です。これらの施策は自社内で行える場合も多く、アウトソーシングを活用する場合でも比較的安価に実施できるでしょう。

こうした特徴から、アウトバウンドマーケティングはスタートアップ企業や中小企業にとって特に魅力的な選択肢となっています。限られたリソースを最大限活用しつつ、短期間で一定の成果を期待できるため、積極的に活用されるケースが多いのです。

アウトバウンドマーケティングのデメリット

かつて、アウトバウンドマーケティングはマーケティング手法の中心的な存在でした。しかし、時代が進むにつれ、現在ではその対極に位置するインバウンドマーケティングが主流となっています。それでは、なぜアウトバウンドマーケティングが減少傾向にあるのでしょうか。その背景には、以下のようなデメリットが影響しています。

高い費用がかかることが多い

アウトバウンドマーケティングには、多額の費用が伴うケースが多いです。

テレビCMや全国規模のラジオ広告キャンペーンでは、制作費と放映費を合わせて数千万円以上のコストがかかることも珍しくありません。これに加え、展示会への出展も大きなコスト要因となります。具体的には、ブースの設営費、スタッフの人件費、配布物やプロモーションツールの制作費などが積み重なり、予算の大部分を占めるでしょう。

また、デジタル広告においても、以前は低コストで出稿できる手法とされていましたが、現在は多くの企業が参入した結果、クリック単価やインプレッション単価が上昇しています。特に競合が多い業界では、広告予算が膨らみやすい傾向にあります。

さらに、アウトバウンドマーケティングに過度に依存するリスクも指摘されています。施策を続ける限り費用が発生し続けるため、資金に余裕がなくなると施策を停止せざるを得ません。これにより、新規リード獲得がストップし、悪循環に陥る危険性があります。

こうしたリスクを回避するためには、インバウンドマーケティングとの併用が重要です。インバウンドマーケティングは、コンテンツを通じて持続的にリードを生み出す手法であり、一度仕組みを構築すれば長期的に成果を創出します。アウトバウンドとインバウンドを適切に組み合わせることで、マーケティングの効率性を高め、コスト面の負担を分散させられます。

お客様の不快感コントロールと法規制に注意を払う必要がある

アウトバウンドマーケティングの大きなデメリットのひとつは、お客様に不快感を与えるリスクがあることです。

特に、電話営業やコールドメールなどの直接的なアプローチでは、「押し売り」のように感じられる場合があります。これにより、第一印象で不快感を与えてしまうと、そのお客様を永続的に失うリスクさえ生じます。仮に後日、お客様の課題が顕在化したとしても、第一印象が悪かった企業は検討候補から外される可能性が高いのです。第一印象を挽回する機会はほとんどないことを認識し、慎重に対応する必要があります。

アウトバウンドマーケティングの実施においても、自社と関連性が高いお客様を特定し、最適なタイミングでアプローチしなければいけません。

さらに、プライバシー保護や広告規制への対応も欠かせません。EUのGDPR(一般データ保護規則)や日本の個人情報保護法では、消費者データの利用やメール送信に関して厳格な制限が設けられています。不適切なデータの取り扱いや無断での連絡は、法的リスクを引き起こすだけでなく、お客様からの信頼喪失という深刻な影響を及ぼします。

費用対効果がわかりづらい

アウトバウンドマーケティングは費用対効果を明確に把握しづらいです。

たとえばテレビCMでは、多くの視聴者にリーチできる一方で、認知度や売上げにどの程度寄与したかを直接的に測定することは困難です。視聴率データやアンケート結果を参考にする方法もありますが、それが具体的な購買行動につながったかどうかを証明するのは難しいのが現状です。

展示会についても同様です。リード獲得数やブース来訪者数といった短期的な成果は把握できるものの、そのリードが最終的な購買や契約にどの程度つながったかを明らかにするには、お客様データの追跡や高度な分析が必要となります。

こうした課題を克服するためには、費用対効果を適切に評価するための体制を整えることが不可欠です。具体的には以下のような取り組みが求められます。

  • お客様データの統合管理

リード情報を営業活動やお客様データと紐づけ、成果の流れを一元的に追跡できる仕組みを構築する。

  • KPIの設定と分析

認知度やリード数といった短期指標だけでなく、最終的な売上げや契約数まで追跡できるKPIを設定する。

  • マーケティングツールの活用

CRMやMAツールを活用し、施策ごとの成果を正確に計測する。

これらの対策により、費用対効果の不透明さを軽減し、限られたリソースをより効率的に活用することが可能となります。

アウトバウンドマーケティングの具体的な施策例

アウトバウンドマーケティングの施策種類は多岐にわたります。以下に、それぞれの施策について具体的な事例や活用ポイントを交えながら詳しく解説します。

テレビ広告

テレビ広告は、広範囲にリーチできるアウトバウンドマーケティングの代表的な施策です。

短期間で劇的な認知度向上を実現できるだけでなく、お客様に不快感を与えるリスクが低いことも特長です。多くの人にとって、テレビ広告は自然な形で情報を受け取る手段であり、不快感を抱くケースは少ないといえます。

むしろ、テレビ広告を出稿している企業に対しては「信頼できる大企業」という印象が醸成されやすく、ブランドイメージの向上に寄与します。実際、2021年のニールセンの調査では、数ある広告メディアの中で最も信頼性が高い媒体がテレビ広告であることが示されています。

一方で、テレビ広告は高額なコストが伴うため、大規模な予算を確保できる企業や、幅広い層のターゲットにリーチしたい場合に適した手法です。特に全国放送を利用すれば、短期間で数百万人以上にリーチし、劇的な認知拡大を実現できます。



経理業務の効率化を実現する支出管理クラウド「TOKIUM(トキウム)」を提供する株式会社TOKIUMは、社名変更のタイミングでテレビ広告を活用しました。同社は、業界特有の「信頼性の高い企業が選ばれる」という傾向を踏まえ、テレビ広告を通じてブランドイメージを強化する施策を実施しました。

https://www.youtube.com/watch?v=EAIOW6APIJs

(同社の180秒広告)

30秒の広告では、TOKIUMの強みを端的に伝え、180秒の広告では製品の詳細やパートナー企業の声を含めることで、ターゲットの理解を深める内容に仕上げました。その結果、放送期間中に指名検索数が3倍に増加し、問い合わせ数の増加や既存お客様からの好評な声を得るなど、具体的な成果を上げました。

テレビ広告は、BtoCのみならず、BtoB企業においても信頼性の向上や指名検索数の増加を狙う施策として有効です。特に、ターゲットに「信頼性」や「安心感」が重視される業界では、テレビ広告が強力な武器となり得ます。

ラジオ広告

ラジオ広告は、特定地域や時間帯にターゲットを絞れるアウトバウンドマーケティングの効果的な手法です。

(出典:MarkeZine)

TOKYO FMの調査によれば、ラジオリスナーは広告に接触した後の問い合わせや購買行動がノンリスナーの約2倍に達することが分かっています。特に、番組に強い関心を持つリスナーほど広告効果が高まる傾向があり、この特性を活用することで高い成果が期待できます。

ラジオ広告は、地域密着型のマーケティングに適しているだけでなく、テレビ広告と比べて広告料金が抑えられる点も大きな魅力です。たとえば、通勤時間帯にラジオ広告を挿入することで、移動中のビジネスパーソンに効率よくリーチできます。また、高齢者層をターゲットにする場合も、地域に根ざした放送内容と組み合わせることで、効果的にメッセージを届けられます。

実際の事例として、高齢者向け宅配弁当サービス「ニコニコキッチン」を提供する株式会社ソーシャルクリエーションは、福井地区でラジオ広告を活用しました。

同社は月曜から金曜まで1日1本、20秒間の定時スポットCMを9カ月間放送。その結果、「ニコニコキッチン」の認知度が倍近くに上昇し、サービスの普及に成功しました。この事例は、ラジオ広告が地域限定マーケティングにおいていかに効果を発揮するかを示す好例です。

ラジオ広告の特性を理解し、ターゲットに合わせた活用を行うことで、効率的なアウトバウンドマーケティングを実現できます。

デジタル広告

デジタル広告は、アウトバウンドマーケティングのデメリットを克服する手法として注目されています。

Google広告やFacebook広告、Instagram広告など、データドリブンで運用可能な媒体が多数存在することが特長です。これにより、ターゲティングの精度向上、コストの最適化、効果測定の容易さを実現しています。

デジタル広告にはさまざまな種類があり、目的に応じた選択をしましょう。

Salesforce社は、インドの中堅企業向けに特化した8週間のデジタル広告キャンペーンを実施し、ブランド認知と信頼性の向上を達成しました。このキャンペーンでは主にLinkedIn広告を活用し、以下のような施策を展開しました。

  • Thought Leader Adの活用

地元リーダーを起用した広告を配信し、インド市場に特化したメッセージを発信。

  • ターゲット企業向けパーソナライズ広告

特定の企業に向けたメッセージを使用し、クリック率やエンゲージメント率が大幅に向上。

  • 社員によるオーガニックな投稿拡散

Salesforceの社員1400名が投稿を拡散し、4万件以上の反応を獲得。

これらの施策により、認知度が16ポイント上昇し、「Salesforceはインド企業を理解している」との評価が10ポイント向上しました。この結果、地元企業との信頼関係が深まり、Salesforceの地位向上に大きく寄与しました。

セミナー/ウェビナー

セミナーやウェビナーは、BtoBマーケティングにおいて高い効果を発揮する施策のひとつです。特にウェビナーは、インターネット環境さえあればどこからでも参加できるため、オフラインでアプローチが難しい層にもリーチ可能。この特性から、多くの企業が集客施策やナーチャリング施策として活用しています。

成功するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

まず、魅力的なテーマを設定しても、参加者が十分に集まらなければ期待した効果は得られません。自社サイトやSNSを活用した宣伝に加え、ダイレクトメールやプレスリリース、リスティング広告などのアウトバウンドマーケティング施策を併用し、より多くのお客様を効果的に集客しましょう。

また、参加してもらって終わりではなく、その後のフォローアップ体制を整えることも重要です。ウェビナーで得たお客様情報をCRMツールで管理し、興味関心に合わせたフォローアップを行うことで、ナーチャリングにつなげられます。

(出典:HubSpot)

CRMツールを提供するHubSpotは、ウェビナーを活用した事例のひとつです。同社は、製品の活用方法やお客様の業務課題解決に焦点を当てたウェビナーを実施しています。

さらに、過去のウェビナーをアーカイブ形式で公開することで、当日に参加できなかったお客様にも視聴機会を提供し、接点の機会を増やしています。このように、セミナーやウェビナーは一度きりの施策に留まらず、継続的なリード育成の一環として活用することが重要です。

展示会

展示会は、短期間で数千リードの獲得が期待できる、BtoBマーケティングにおける重要なアウトバウンド施策です。出展することで、業界内での存在感を示し、お客様に製品やサービスを実際に体験してもらえます。この直接的な接触は、他の施策では得られない大きなメリットです。

展示会の成功には、迅速なフォローアップが欠かせません。展示会終了後、時間が経過するほどにお客様の熱量は低下します。そのため、展示会前からフォローアップ体制を整えておくことが重要です。

具体的には、ブースで名刺をいただいたお客様に対して、短時間で架電やメルマガ配信を開始できるよう準備を進めておく必要があります。また、展示会中に名刺情報をデータ化し、CRMツールに入力してリアルタイムで共有する仕組みを構築すれば、フォローアップのスピードと精度を向上させられます。

(出典:株式会社ログラス)

クラウド経営管理システム「Loglass」を提供する株式会社ログラスは、展示会で効率的なフォローアップを実現した好例です。

同社では、ブースを訪問したお客様について、役職や課題といった情報をその場で入力し、対応後に名刺をデータ化。さらに、お客様のニーズごとにステータスを分ける仕組みを構築しました。この体制により、少ない従業員数でも効率的にリードを管理し、商談の獲得数を大幅に増加させることに成功しています。

展示会は多くのお客様に直接アプローチできる貴重な場です。その効果を最大限に引き出すには、事前準備、現場対応、そして迅速なフォローアップの3つが鍵となります。適切な体制を整え、リード獲得から商談に結びつけるまでの流れを効率化すれば、展示会の成功率を大幅に向上させることが可能です。

テレアポ

テレアポは、直接的にお客様と接点を持つことができる、BtoBマーケティングにおける代表的なアウトバウンド施策です。電話を通じてお客様にアプローチし、課題やニーズをヒアリングすることで、商談や次のステップへつなげられます。

テレアポの最大の特長は、リアルタイムでお客様とコミュニケーションが取れる点にあります。メールや広告では得られない「直接の声」を聞けるため、お客様の反応に応じて提案内容を柔軟に調整できます。また、事前に作成したターゲットリストをもとに実施するため、ピンポイントで効果的なアプローチが可能です。適切に運用すれば、効率よくリード獲得や商談設定を実現できます。

一方で、テレアポは断られることが多く、時には強い拒否反応を示されることもあるため、担当者にとって負担の大きい業務と感じられることがあるでしょう。成果を上げるためには、とにかく練習を重ねることが重要です。録音機能を活用して自分のトーク内容を分析し、成功例と失敗例を振り返ることで、改善のヒントを見つけられます。

さらに、いきなり電話をかけるのではなく、事前にお客様の関心を高めるウォームアップが効果的です。たとえば、お客様がウェブサイトで資料をダウンロードしたり、メルマガを数回閲覧したりする行動データをもとにアプローチすれば、自社への興味関心が高いお客様への効率的なアプローチが可能になります。こうしたデータ活用により、話を聞いてもらいやすい状況を作ることができます。

テレアポの会話では、早めに質問を投げかけることが重要です。質問をされると人は自然と返答しようとする傾向があるため、会話をスムーズに進めるきっかけを作れます。たとえば、「突然のお電話、失礼いたします。株式会社〇〇の△△と申します。今、2~3分ほどお話しするお時間はございますか?」と切り出すことで、相手に返答の余地を与えながら会話を始められます。

さらに、対象となる業種、規模、役職などを明確にし、自社のサービスに最も関心を持つ可能性が高いリストを作成することで、無駄なコールを減らすことが可能。事前にスクリプトを準備し、会話の流れを想定しつつ、柔軟に対応できる体制を整えることも効果的です。

テレアポはお客様との初接点であるため、企業イメージを左右する重要な役割を担います。単なる商品の売り込みではなく、お客様の課題解決に焦点を当てた提案型のコミュニケーションを心がけることで、信頼関係を築くきっかけを作れます。適切な練習とデータ活用を通じて精度を上げ、お客様との良好な関係構築を目指しましょう。

コールドメール

コールドメールは、まだ接点を持っていない見込みお客様に向けて、初めて送る営業メールを指します。低コストで多数のターゲットに一斉送信できる点が特長です。時間や場所に縛られることなく情報発信を行えるため、効率的なマーケティング施策として多くの企業で活用されています。

ただし、コールドメールの目的は商談の獲得や契約の成立ではなく、まずはお客様から返信をいただき、反応を引き出すことにあります。その後、信頼関係を築きながら次のステップに進むことが重要です。

現代のビジネスパーソンは日々膨大なメールを受信しており、その中で反応を得るためには工夫が必要です。鍵となるのは、メールのパーソナライズ化と関連性の高さです。受信者にとって「自分に関係がある」と感じられる内容を届けるために、お客様が抱える課題への共感と、それを解決する具体的な方法を提示しましょう。

このようなアプローチを成功させるには、徹底したリサーチが欠かせません。

CRMやWebサイトの行動データを活用して、お客様の興味やニーズを把握しましょう。また、自社にとって特に重要なお客様には、XやLinkedInなどのSNSを活用して、職歴、スキル、趣味、投稿内容なども調査すると効果的です。これにより、個々のお客様に合わせたパーソナライズメールを作成できます。

一方で、すべてのお客様に完全にカスタマイズされたメールを送るのは現実的ではありません。重要なお客様には完全にパーソナライズしたメールを送り、それ以外のお客様にはテンプレートをベースに一部パーソナライズする形が効率的です。

また、件名やメール冒頭に注力することも、反応率向上の重要な要素です。件名は短く興味を引く内容にし、冒頭では受信者のメリットや共感を示します。「突然のメール失礼します。〇〇業界の新しい解決策について、ぜひご提案させてください。」など、相手にとって価値があると感じられる切り口を意識します。

DM(ダイレクトメール)

郵送DMは、デジタル広告では得られない物理的な接触を通じて、お客様の手元に確実に届く特長があります。ターゲットの業種や地域、規模に合わせて内容をカスタマイズすることで、視認性を高め、高い反応率を期待できます。また、近年ではXやLinkedInなどのSNSを活用したDMも注目されています。

DMの成功には、いくつかのポイントがあります。視覚的に目を引くデザインや、興味を引きつけるキャッチコピーを設定することで、お客様に強い印象を残すことが重要です。また、お客様の名前や会社名を明記するなど、パーソナライズ要素を加えましょう。限定キャンペーンや無料資料請求などの具体的な行動を促す明確なCTAを含めれば、次のステップにつなげやすくなります。

(出典:郵便局)

クラウド型会計ソフト「freee 会計」は、上場企業への認知向上を目的にDM施策を実施しました。経理部員向けにテンキー風デザインのチロルチョコを詰めた箱型DMを送付し、ねぎらいの気持ちを込めてインパクトを与える内容にしました。

同梱冊子では利用実績を示し、上場企業の多くがfreeeを導入している点をアピール。DM送付後のフォローコールでは「チョコを送りました」というフックが会話のきっかけとなり、通常のコールに比べ接続率が5倍以上に向上。認知率も50%以上を記録するなど、高い成果を上げました。

DMは、パーソナライズやデザインの工夫、効果的なCTAを組み合わせることで、お客様の関心を引きつけ、リード獲得や認知向上に大きく寄与する施策です。

プレスリリース

プレスリリースは、自社の情報を効果的に広め、信頼性を高める重要なマーケティング手法です。

製品やサービス、調査結果などをニュース性のある形でメディアに発信することで、幅広いリーチを実現できます。また、新聞やテレビ、オンラインメディアといった第三者による報道を通じて、広告以上の説得力を持たせられるのが大きな特徴です。メディア露出を通じてブランド認知が向上し、潜在お客様への訴求力も高まります。

成果を出すプレスリリースを作成するためには、受け手にとって価値のある情報を含めることが不可欠です。新技術の導入、大規模な提携、社会的なインパクトを伴う取り組みなど、「話題性」のある内容を意識しましょう。

(出典:PR TIMES)

松浦産業株式会社が発表したプレスリリースでは、コロナ禍や脱プラスチックという社会課題に焦点を当てました。同社は紙袋用取っ手とタックハンドルの売上比較データを公開。紙袋用取っ手の売上が前年同期比で44%減少した一方、タックハンドルは130%増加するという結果を示しました。

このデータは、社会の変化に適応する柔軟な戦略を示す好例であり、「取っ手」というニッチな製品にニュースバリューを持たせた点で高く評価されています。

プレスリリースを効果的に活用することで、単なる情報発信を超えたマーケティング効果を得られます。自社の独自性や強みを的確に伝えるために、戦略的に取り組むことが重要です。

アウトバウンドマーケティングを実施するためのステップ

アウトバウンドマーケティングを成功させるためには、戦略的な計画と体系的なアプローチが欠かせません。そのプロセスは、大きく分けて施策の目的設定、ターゲットの詳細な分析、メディアの選定、訴求内容の設計、実施と検証の5つのステップから成り立ちます。以下に、それぞれのステップについて、より深く掘り下げて説明します。

1. 施策の目的を明確にする

アウトバウンドマーケティングを成功させるためには、まず「何のために取り組むのか」を明確にすることが重要です。 目的が定まると、それに応じた適切な施策や発信すべきコンテンツ内容が自然と見えてきます。たとえば、不特定多数にリーチできるアウトバウンド施策の特性を活かし、認知度を広げる、リードを獲得する、あるいは販売促進につなげるといった目標を掲げることが考えられます。

目的設定の重要性は、施策の成否を左右する点にもあります。「認知拡大」を目指すなら、広範囲に訴求できるメディアを選び、話題性の高いコンテンツを重視すべきでしょう。一方、「リード獲得」が目的であれば、ターゲット層に刺さる具体的な課題解決型の情報提供が有効です。たとえば、新製品のメリットを分かりやすく訴求し、コンタクト情報の取得をゴールとする施策が効果的です。

最終的なゴールを意識することで、マーケティングの軸がぶれることなく、目標達成に向けた実行力が高まります。

2. ペルソナやカスタマージャーニーを整理する

目的が明確になったら、次に取り組むべきは「誰に、どのように届けるか」の具体化です。ペルソナとお客様が商品やサービスに興味を持ち、購入に至るプロセスを示すカスタマージャーニーの整理が、この段階で重要になります。

ペルソナとは、自社の理想的なお客様像を具現化した架空の人物です。「30代半ばのIT業界のプロジェクトマネージャー、年収800万円、忙しい日々の中で効率的な業務管理ツールを探している」というように、性別・年齢・職業・収入といった基本属性から、価値観や情報収集行動、ライフスタイルまで掘り下げて設計します。BtoBの場合は、業種、企業規模、導入しているテクノロジー、役職なども加味することが必要です。

Sales Insights Labの調査によると、営業チームが接触する見込み客の50%は、実際には商品やサービスに適していないとされています。このような誤りを防ぐには、ペルソナを詳細に設計し、適切なターゲットに焦点を当てることが不可欠です。無駄なコストを削減し、高いROIを目指しましょう。

ペルソナの設計が終わったら、そのお客様が商品やサービスを認知し、興味を持ち、購入に至るまでのプロセスであるカスタマージャーニーを整理します。企業によってジャーニーの詳細は異なりますが、一般的には以下の4つのステージに分けられます。

これらのステージごとにペルソナが抱える課題や悩みを洗い出し、適切なコンテンツや施策を用意しましょう。たとえば、認知段階では「目を引く広告」が効果的ですが、意思決定段階では「具体的な導入事例」や「コストメリットの明示」が有効です。

ペルソナとカスタマージャーニーをしっかり設計することで、顧客体験を統一し、成果につながる施策を展開できます。

3. アプローチメディアの選定

ペルソナとカスタマージャーニーを整理したら、次にターゲットに最適なメディアを選定します。アウトバウンドマーケティングでは、「どのメディアで、どのように情報を届けるか」が成果を大きく左右します。

ペルソナが普段利用するメディアを把握し、購買プロセスの段階に応じた適切なチャネルを選びましょう。たとえば、認知段階ではGoogleディスプレイ広告やテレビCM、比較検討段階ではホワイトペーパーやメールマーケティングが効果的です。BtoBならLinkedIn広告や業界イベント、BtoCならInstagramやYouTubeを活用するなど、ターゲットに合わせた選定が重要です。

また、リーチ力と信頼性、コストとのバランスも考慮します。たとえば、広い層にリーチしたい場合はテレビCMやオンライン広告を、特定層に絞るならダイレクトメールや展示会が有効です。ペルソナとジャーニーに基づき最適なメディアを選定することで、アウトバウンド施策の効果を最大化できます。

4. 訴求内容の検討

アウトバウンドマーケティングでは、限られた時間やスペースでターゲットにメッセージを効果的に届ける必要があるため、簡潔でターゲットの関心を確実に引きつける訴求内容でなければなりません。

訴求内容を検討する際には、まずペルソナの課題やニーズを踏まえ、それに対する具体的な価値を提示することが重要です。「導入後3カ月で業務効率が40%向上」「商談成約率を30%改善」など、具体的なデータを活用して、提供価値を明確に伝えると説得力が高まります。また、言葉はシンプルに、キャッチコピーや短いフレーズで伝えることで、短時間でもターゲットに内容を理解してもらいやすくなります。

さらに、カスタマージャーニーに合わせて訴求内容を調整することもポイントです。認知段階では目を引くキャッチコピーや印象的なビジュアルを活用し、比較検討段階では具体的な機能や他社製品との差別化を明示します。意思決定段階では、導入事例や実績データを活用して、信頼感を高めるアプローチが効果的です。

シンプルで効果的な訴求内容を意識しながら、次のアクションを促す明確なメッセージを設計することで、アウトバウンド施策の成果を大きく向上させることができます。

5. 施策の実施と効果検証

最後に、計画した施策を実行し、その成果を検証します。アウトバウンドマーケティングでは、実施後のデータを徹底的に分析し、成功要因や改善点を洗い出すことが次の成果に直結します。

成果を検証する際には、最初に設定した目的やKPIに照らし合わせて評価を行うことが大事です。たとえば、「リード獲得数」「広告のクリック率」「商談成約率」など、具体的な数値で結果を測定します。特に、施策ごとのパフォーマンスを比較すれば、効果が高かった手法や、改善が必要なポイントを明確化できます。

また、結果分析だけでなく、その分析を次回施策にどう活かすかが重要です。「認知段階の広告クリック率が高いが、商談成約につながりにくい」といった場合、ターゲット選定や訴求内容の見直しが必要になるでしょう。このように、施策を実施・検証・改善のサイクルで繰り返すことで、アウトバウンドマーケティングの精度を向上させられます。

実行した施策を「終わり」とせず、次の施策の基盤として活用することで、継続的な成果を生み出すマーケティング活動が可能になります。

アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングどちらが重要?

アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングは、それぞれ異なる役割を果たす重要なマーケティング手法であり、どちらか一方に偏るのではなく、適切に使い分けることが成功の鍵となります。

アウトバウンドマーケティングは、企業が積極的にお客様にアプローチし、即効性のあるリーチを実現することを得意とします。一方、インバウンドマーケティングは、お客様自らが情報を求め、企業に接触する仕組みを構築することにより、長期的な信頼関係を育む手法です。

どちらの手法が重要かは、自社の目標やターゲットとするお客様層の特性、さらにはマーケティング活動が行われる状況によって異なります。たとえば、認知度の低い新商品を短期間で広く周知したい場合には、アウトバウンドマーケティングが効果的です。

一方で、お客様が比較検討を行いながら購入を決定するプロセスが長い場合には、インバウンドマーケティングによる情報提供が有効です。

また、自社がターゲットとするペルソナによって、どちらの手法が適しているかも変わってきます。広範囲なリーチが必要な大衆向け製品を扱う場合はアウトバウンドが向いており、特定の課題を抱える個別のターゲットを引き寄せたい場合にはインバウンドが効果を発揮します。

ペルソナが主にどのようなメディアを使用して情報を取得しているのか、どのようなコンテンツに興味を持つのかを分析することで、自社に最適なマーケティング手法が見えてきます。

重要なのは、アウトバウンドとインバウンドを対立する概念として捉えるのではなく、補完し合う手法として理解することです。アウトバウンドマーケティングで広く認知を獲得した後、インバウンドマーケティングでお客様を育成する、といった組み合わせも効果的です。

特にデジタルマーケティングが主流となった現代では、アウトバウンド施策を通じてリードを集め、それをインバウンドでナーチャリングするというハイブリッドな戦略が求められる場面が増えています。

まとめ

アウトバウンドマーケティングは、自社から積極的にお客様へアプローチすることで即効性の高い成果が期待できる一方、一歩間違えるとお客様に押し付けがましい印象を与えてしまうリスクも伴います。そのため、コールドメールやテレアポを実施する際には、むやみにアプローチを繰り返すのではなく、ターゲットを明確に絞り込み、パーソナライズされた体験を提供することが重要です。

さらに、インバウンドマーケティングと組み合わせることで、アウトバウンドで引き寄せたお客様と信頼関係を築き、最終的に自社を選んでもらう確率を高められます。この2つの手法は、どちらが優れているかを議論するものではなく、互いを補完し合う関係にあります。

アウトバウンドの即効性とインバウンドの持続性を活用したハイブリッド戦略を構築し、効果的かつバランスの取れたマーケティング施策を実現しましょう。