レプトのBtoBマーケティングのブログ|株式会社LEAPT(レプト)

BtoBペルソナの作り方とその実例をわかりやすく解説

今や、BtoBバイヤーの購買工程の情報収集の70%近くが、営業に連絡する前に終了するいといわれるBtoBビジネス。業界や部門などによってばらつきがあることは疑いないものの、マーケティング部門の役割がますます重要になってきています。

しかし、マーケティング部門の収益向上への貢献といっても、オンライン領域というのは新しいチャネルやメディアの増加、トレンドの変化により、顧客の動向を把握しづらくなっています。成果につながるマーケティング戦略を進めることに困難さを感じているマーケターの方もいらっしゃるでしょう。

そこで、頼りになるのがペルソナというツールです。BtoC領域では有効活用されてきましたが、BtoBの世界では今一つその効果が知られていません。

そこで、本記事ではペルソナとは何か? ペルソナ作成にはどのような効果があるのか? どのようにすれば有効なペルソナを作成できるかについてご紹介します。

的確なペルソナを作ることは、事業スピードを速め、事業全体にぶれない芯を通すために役立ちます。現状を打開する一手になるはずです。

ペルソナとは

ペルソナとはマーケティング領域においては、半架空の顧客プロファイルのことを指します。一般に、自社の典型的な顧客モデルを作成します。

ペルソナ作成で得られる効果には、以下があります。

  • 顧客を理解しようとする姿勢が社内に生まれ、顧客理解が進む
  • プロジェクトに一つの軸ができ、部署を超えて共通認識を持てるようになる
  • 顧客に寄り添った施策を実行できる
  • 顧客に対する認識を共有できることで、迅速に意思決定ができる

この結果、マーケティング成果を向上させ、収益をアップさせることに貢献します。

ペルソナとターゲティングとの違い

ペルソナとターゲティングは意味が異なります。

ペルソナは架空の典型的な顧客像。見込み客の解像度を高くし、顧客視点でビジネスを進めるためのツールとして使われています。

一方、ターゲティングとは、マーケティングを行う際に企業が具体的に展開するターゲット市場を決めること。言いかえると市場を分類(セグメンテーション)し、狙う市場を決めることがターゲティングです。

例えば、BtoBならエンタープライズ、スモールビジネス、さらに業界で分類、課題で分類し、自社製品が売れそうな市場をターゲティングします。BtoCなら性別、年代、年収、嗜好性などの基準でセグメンテーションやターゲティングすることが多いでしょう。

市場をいかに切り取ってどこに狙いを定めるかは、市場競争が厳しい現代、非常に重要です(本筋とは異なりますがマーケティングの神様コトラー氏もSTP分析を提唱しています)。

また、ペルソナとともに活用される「カスタマージャーニー」というフレームワークについても解説します。

カスタマージャーニーとは、顧客の動きを旅に例え、行動や思考、感情を時系列に見える化したものです。簡単に言えば、カスタマージャーニーはペルソナの行動のシミュレーションであり、具体的なマーケティング戦略やコンテンツ戦略を計画する前に活用します。

見込み客の購買ストーリーを可視化することで、顧客のために、どこで何をすべきかがわかり、マーケティング戦略を立て、企業として部署を超え一貫した活動を行えるようになります。

まとめると、以下のとおりです。

HubSpot社のペルソナ

ペルソナとは、あくまでも架空の顧客像ではありますが、人格を持った一人の人間として設定します。具体的にどのように設定するかは、HubSpot社のペルソナの実例が参考になるでしょう。

HubSpotでは複数のペルソナを設定しています。その中でよく知られているペルソナが「マーケティング担当のマリー」という女性です。2010-12年ごろに作成されたもので、当時、同社が提供していたサービスはマーケティングツールのみだったので、ペルソナの名称に「マーケティング」と付いています。

※現在は、マーケティングツール以外のサービスも提供しており、「マーケティング担当のマリー」というペルソナは使われていません。

このペルソナは、契約後のLTV(顧客生涯価値)の最大化、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上を目的としており、HubSpotが好きな理由も設定されているのがポイントです。

(出典:HubSpot

【基本プロフィール】

  • プロのマーケター(役員、ディレクター、マネージャー)
  • 中規模企業(従業員25~200人)
  • 小規模のマーケティングチーム(1~5人)
  • 商学部卒、MBA保有(バブソン大学出身)
  • 42歳、既婚、2人の子供がいる(10歳と6歳)

【目標】

  • 販促品や見込み客を営業担当に引き渡しサポートすること
  • 社内コミュニケーションのマネジメント
  • ブランドの認知度の向上

【課題】

  • タスクが多すぎる
  • 目標までの道筋が不明瞭
  • マーケティングツールとチャネルが混ざっている

【HubSpotが好きな理由】

  • 使いやすくて、仕事や生活をシンプルにしてくれるから
  • インバウンドマーケティングについて大切なことを学べるから
  • 営業担当やCEOに対して簡単にレポーティングできるから

立場などの基本的なプロフィールに加えて、目標や課題、HubSpotが好きな理由まで非常に明確に設定されていることがお分かりいただけると思います。ここまで設定されていると、マーケティング担当のマリーへ必要なサポートは何か、ツールとして改善すべき部分は何か、すぐに議論を行えますね。

(2012年ごろのHubSpotのウェブサイト)

上記は、当時のHubSpotのウェブサイトです。トップ画像のPamelaという女性は、HubSpot全社で最初のマーケターであり、まさに「マーケティング担当のマリー」のような状態で仕事をしていました。

その女性が、クマのぬいぐるみを抱きしめるようにHubSpotのデータ画面が映されたMacを抱きしめる、という世界観でメッセージを伝えています。

ペルソナ作成を精度高くできると、さまざまな効果があります。米国Singlegrain.comによると、SaaS企業のコンテンツマーケティングにおいてもリードやトラフィックを著しく増加させるほか、さまざまな有効性を示すデータが出ています。

(引用:https://www.singlegrain.com/

 

BtoB企業がペルソナ作成をする理由とは

ペルソナと聞くと、BtoCマーケティング用というイメージを持つ方もいるかと思います。たしかに、ペルソナは比較的BtoCで用いられることが多かったと言えるでしょう。

BtoCは、購買チャネルが複雑で顧客の動きが見えづらいからです。しかし、近年はBtoBビジネスもオンラインにシフトしてきたため、以前と違って購買の前半プロセスが企業から見えづらくなっています。

BtoBビジネスがペルソナを作るべき理由

現代は、企業が発信するCMや広告、Webサイト、SNSに加えて、第三者が発信するWeb媒体など多くの情報に囲まれ、自分に必要な情報を調べ判断する世の中へと変化してきました。

企業としては、顧客が見るであろう媒体に情報を出しておかないと、世の中に存在しない製品、サービスになってしまいます。しかし、全ての媒体に露出させようとすると、膨大なマーケティング予算が必要になるうえ、広く薄くという形にならざるを得ず費用対効果もよくありません。

加えてBtoBビジネスであれば、マーケティング活動の施策の多さに圧倒されることがあるでしょう。その施策にしても、見込み客の態度変容のステージごとに切り口が変化します。

何パターンもある集客経路(チャネル)や見込み客の態度変容に合わせて、施策を行うためのコンパスが、ペルソナです。

また、多くの顧客に支持され、収益を向上させるには、製品のバージョンアップや新たな施策などの改善が必要。その改善を検討する際、明確なペルソナが設定されていないと、他社製品と比較して自社製品の足りない「機能」ばかりにフォーカスしてしまい、顧客が欲しいサービスがどのようなものか見えなくなりがちです。

BtoBビジネスがペルソナを作成することで得られるメリットには、次のようなものがあります。

  • 顧客を理解しようとする姿勢が社内に生まれ、顧客理解が進む
  • プロジェクトに一つの軸ができ、部署を超えて共通認識を持てるようになる
  • 顧客に寄り添った施策を実行できるので、顧客満足度が向上する
  • リードやコンバージョンの増加が期待できる
  • 顧客に対する認識を共有できることで、スピーディーに意思決定ができる

BtoB企業がアンチペルソナも作るべき理由

質問ばかりで購入する様子がない人など、収益にならない顧客像「アンチ-ペルソナ」も作成しておくことが重要です。無料セミナーなどを実施すると、往々にして一定の割合でこうした層が含まれる傾向にあります。

完全に排除することはできませんが、リーチすべきでない存在として明確化しておき、対処法を決めておくと、コストを抑えられるでしょう。

HubSpotでもアンチ-ペルソナ「IT担当のイアン」が存在します。マーケティング担当のマリーが望む実用的な機能をはるかにしのぐようなハイスペック機能を望み、テクニカルな質問が多く、購買したとしても自身で使う可能性が低いといった特徴を持っていました。

マーケティング担当のマリーと比較すると、マリーは日常業務で幅広いマーケティング活動を行っているため、ソフトウェアに求めることは高機能ではありません。汎用性が高く、幅広く素早くマーケティング活動を展開できることを大切にしています。

このように明らかにIT担当のイアンとは異なった購買理由が存在しており、SNSやブログ記事で届けるコンテンツの切り口や製品開発の方向性も明確に異なります。

アンチ-ペルソナの他に、購買に至らなかったペルソナも作成することをおすすめします。例えば、他社製品や他社サービスを選定した人がいれば、どのような点で他社を選択したのかをヒアリングしましょう。

自社の製品やサービスが知られていないのであれば、選定時にどういった情報があればよかったのかを聞きます。こうしたデータを積み重ねておき、購買に至らなかったペルソナとして明確化できれば次の打ち手につながりますね。

BtoB企業のペルソナの作り方をテンプレを用いて解説

ペルソナを作成する方法はさまざまですが、一般的には既存顧客の情報から理想的な顧客のプロフィールをピックアップし作成します。以下のステップです。

  1. 既存顧客のリサーチ
  2. 課題軸でセグメント
  3. セグメントごとのペルソナを設定(1人〜複数名)
  4. 各ペルソナに名前をつけ、目標や課題、ストーリーをまとめる
  5. 別部門からフィードバックをもらって完成
  6. 定期的にアップデートする

テンプレートの例:

ステップ1:既存顧客情報のリサーチ

ペルソナは一般に収益性の高い顧客をモデルに作成するので、まずCRMなどの顧客情報データベースより、売上げ上位顧客をリサーチします。

ペルソナの精度をどこまで高められるかは、顧客に関する詳細な情報をどれだけ集められるかがポイントです。

さらに、優良顧客をインタビュー、営業やカスタマーサポートなどのヒアリングも行い、定性的な情報もまとめます。他には、役職や事業規模、業種、所属、仕事上の役割、意思決定における役割、情報収集の方法、ITリテラシーなどを含めるとよいでしょう。

ペルソナの記載は詳細であればあるほどより効果的です。インタビューが必要になります。

ステップ2:既存顧客のセグメンテーション

上位2割の顧客をさらに細かく分類します。セグメンテーションには、デモグラフィックセグメンテーション、サイコグラフィック・セグメンテーション、ジオグラフィック・セグメンテーション、ビヘイビア・セグメンテーションなどさまざまな手法があり、自社のビジネスモデルによっていずれの分類方法でもかまいません。

ただ、BtoBビジネスのペルソナの場合は、自社がどのように貢献できるのかをイメージできるよう、企業としての課題感とゴール(目標)で分類するとマーケティング戦略を立てやすいのではないかと思います。

  • Aという課題を持っているセグメント
  • Bという課題を持っているセグメント
  • Cという課題を持っているセグメント
  • Dという課題を持っているセグメント

そして、セグメントごとの顧客の共通の特徴を探し始めます。これらの特徴が独自の顧客ペルソナの基礎になります。

ステップ3 :セグメントごとにペルソナを設定します。

各セグメントに多い顧客の共通項(役職、企業規模、社風、担当者の特性)などをまとめてペルソナの基本情報とします。

セグメントA:大企業の○○部門の係長クラス、30~35歳、主な課題

セグメントB:ベンチャー企業の経営幹部、30~40歳、主な課題

セグメントC:外資系企業の人事部長、40歳前後、主な課題

セグメントD:日系中堅企業の総務担当者、25~30歳、主な課題

といったように、さまざまな顧客の課題軸をある程度セグメントし、セグメントごとにペルソナを設定し、名前もつけましょう。

ステップ4:ペルソナの情報や課題をテンプレートにまとめる

ペルソナ一の情報、目標や課題、ペルソナに関してのストーリーをテンプレートにまとめていきます。あくまで業務の課題感やゴールなどに焦点を当てることがペルソナ作成のポイント。

テンプレートはいろいろな企業が公開しています。以下は、弊社のテンプレートですが、使いやすいものを活用してください。

注意点としては、「効果的に解決したい」とか、「多忙を極めている」といったように抽象化した表記をしないことです。読む人によって「効果的とは何か」といった解釈が異なってしまうからです。

解釈が異なると、マーケティングのコンテンツを作るときもメンバーによって注目するポイントがずれてしまいます。誰が見たとしても同じ解釈になるような具体的な単語を使う必要があります。

完成イメージ

ペルソナを簡単に作れる海外の無料ウェブツール

無料でペルソナを作れるウェブツールがありますのでご紹介します。海外のツールにはなりますが、日本語が使えるツールもありますので上手にご活用ください。

UEPRESSIA

(出典:https://uxpressia.com/personas-online-tool

UXPRESSIA無料版は、1つのプロジェクトで1つのペルソナ、カスタマージャーニーマップ、インパクトマップを作成できます。会員登録をして、プロジェクトを作成したら、作り始めてみましょう。

本格的に利用するのであれば有料版がおすすめですが、ペルソナ作成の考え方を学び、カスタマージャーニーマップのパターンを学ぶという位置づけなら無料版で十分です。

50以上のテンプレートが用意されているので、初めての方もスムーズに挑戦できると思います。さまざまなテンプレートが提示されます。例えば、左からSaaS顧客のpersonaテンプレートを選択。

(出典:https://uxpressia.com/templates/digital

プロジェクトに追加し、画面を開くと下記のペルソナシートが出てきます。画像変更、テキスト追記も簡単です。ペルソナの性格タイプ、ビジネススキル、バックグラウンド、目標、動機などの項目を埋めていけば、サクサクとペルソナ作成が進みます。画像変更も簡単です。

(作成例)

Make My Persona

(出典:Make My Persona

 HubSpot社が提供しているのが「Make My Persona」です。作成するだけならアカウントの登録は不要(ダウンロードや保存したい場合は登録が必要)。2023年から日本語バージョンが使えるようになりました。

画面左は、ペルソナとは何かを学び、設定する方法を学べるコンテンツです。画面右は、ペルソナを作成できるツールで7つの質問に回答する形で進めます。分かりやすい解説付きで、選択式の問いも多いので、ペルソナ作成が初めての方もポイントを押さえながら進められるでしょう。

できあがりは、下の図のようになります。シンプルなフォーマットですが、ペルソナ作成に必須の項目があらかじめ用意されているため、きちんと情報を入れこめば、しっかりしたペルソナのたたき台が作れます。少し残念なのはアバターが外国人で、さらにビジネスマンがいないこと。

ペルソナを実務で使う際は、顧客のイメージをチームに浸透させる必要もあるため、写真も日本人にして違うテンプレートに完成させたほうがよいかもしれません。

それでも、初心者マーケターがペルソナ作成に慣れたり、とりあえず情報をまとめたりする用途には大変便利なツールです。最初から自作のテンプレートで作る数分の1の時間で制作できるのではないかと思います。

BtoBのマーケティングのペルソナの事例5選と作り方をわかりやすく解説

BtoB企業のペルソナを作成するときは、まず売上げ上位顧客をファーモグラフィック・セグメンテーション(企業統計)によって、分類します。

具体的には、大手企業、ベンチャー・スタートアップ、中堅・中小企業などの区分、企業規模(売上げや従業員数)、業績、担当者の肩書などで分析し、どのような企業が自社商品を愛用しているか抽出します。

次に購買担当者の抱えている課題や目標、個性などをまとめます。

例えば、同じ商品の顧客でも日系大手企業の担当者が活用する場合と外資系中規模企業の担当者が活用する場合、おそらく課題もミッションも違うでしょう。担当者の裁量権、ベンダーに対するスタイル、性格的特性もかなり異なります。

このような情報は、主に顧客インタビューの内容や営業担当者からヒアリングした内容をもとにまとめていきます。性格的特性を一から作るのが難しいときは、ソーシャルスタイル理論などを参考に担当者の個性を当てはめていくとよいでしょう。

以下に、BtoBマ―ケティングペルソナの作成事例を紹介します。

総務担当のペルソナ

年齢:30代後半-40代前半

ソーシャルスタイル:- エミアブル型/

コミュニケーションチャネル/ITツール:チャットワーク/LINE/Windows

こちらは、福利厚生健康経営サブスクサービス企業のペルソナの例です。

IT企業の人事総務として仕事をする森沢さん。人事と総務を兼務しながらオフィス環境の改善や、従業員のサポートをしています。

人間関係は良好ですが、オフィスの所在地が主要駅から遠く、飲食環境がよくないため男性従業員はコンビニ食で済ませ、女性従業員は弁当を持参する環境。通勤環境も食事環境もよくありません。

人間ドックに引っかかる従業員が徐々に増えてきており、健康コストが上がってくるのではないかという懸念がCOOからも降りてきています。何かしらの解決策がないものかと模索中です。

森沢さんは比較的ルーティン業務が多いですが、上司COOとCEOから健康のミッションが降ってきています。人事総務のルーティーンワークを行いながら新しいチャレンジをする必要があり、少し困惑。

一方で、従業員に公平に接し、皆さんの従業員満足度(社会保険/保障の充実)をあげるためには、現状の不満解決が必要であり、奮い立って新しいチャレンジを模索しています。特に、転職されると中途採用が難しい業種(受託業務)のため、社内の人材の流出は特に避けたいというのが社長からの裏ミッションです。

平日の朝はご主人と交代で次女を保育園に送り迎えをし、子供の世話があるため16時半には会社を離れます。

在宅勤務ができないこともないですが、人事と総務という仕事柄、会社に出勤し、出勤している従業員に声をかけたり、様子を伺うことも必要だと思い、極力在宅勤務は避けている状況。仕事で忙しくなりすぎるとパンクしそうになるかも....…と責任感が強い森沢さんは感じることがあります。

経理担当者のペルソナ

企業:

- 東証一部上場

役職:

- (企画好きな)主任

年齢:30代前半

ソーシャルスタイル:- エミアブル型/アナリティカル型(社内用)

コミュニケーションチャネル:自社チャット/Skype/Teams/日系PC with Windows/(勝手にツールを導入できない

日系大手企業に新卒で入社し経験を積んできた33才の田中さんは経理部門の若手リーダー的存在。職責をこなす傍ら、さまざまな業務改善を行い、別部門と交渉などを行う若手のホープとして他部門の人間からも認められています。

関関同立クラスの大学を卒業しており、大学時代は海外旅行など交友関係を広げていたため、人付き合いや社会人的政治交渉などに臆することはない、コミュニケーション力、ネゴシェ―ション力のある人材です。

田中さんは常々、経理業務の業務改善をテクノロジーで解決したいと考えており、独学でいろいろ学んでいます。いずれは全社でシステムを導入する際のDXプロジェクトの旗頭になりたいという密かな目標も持っています。

しかし、現状では社内政治の難しさ、セキュリティの問題、ITリテラシーの高くない環境に四苦八苦。

利用できる機器やネットワーク環境にも制限がありますし、上層部の説得は自身が推進したいベンダーの担当者に力を貸してほしいと思っていますが、有償で教育を依頼するような決裁権はないのもジレンマです。社内での田中さんの影響力もまだ限定的なので、長期戦で臨んでいます。

営業責任者のペルソナ

企業:

- 非上場

役職:

- 営業部門長&企画担当

年齢:30代前半

ソーシャルスタイル:- ドライバー型/アナリティカル型

コミュニケーションチャネル:チャットワーク/slack/LINE/Mac(比較的選定の自由はある)

人材育成系SaaS企業のペルソナの例です。

林田さんは中小のOA機器販売会社に転職し、営業マネージャーと、部門長へと昇進した若手のホープ的存在です。売上げを最大化させるミッションと同時に、新しいマネタイズを行うためのビジネスモデルを探し、レポート先は上司である社長に提案する企画推進業務もまかされています。

とはいえ、レガシー業界のため新規獲得をガンガンできる事業ではないことは自覚をしており、既存顧客からの追加販売や保守点検費用、コンサルティング費用獲得、現在商談フェーズに入っている見込み客への成約率改善などが一番取り組むべき課題だと判断しています。

社内では、営業マンがあげてきた良いアプローチを他の営業マンに横展開できておらず、研修資料やロープレをしても営業マンによって成果にばらつきが発生。効率的に売上げを上げていきたいものの、古き良き営業マンタイプの部下が多くITリテラシーに明るくないのが悩みの種です。

意識の改善とITツールの利用能力の向上が必要と痛感していますが、部下のITリテラシーに合わせて身近なデバイス(スマートフォン)で管理コストの低いツールが望ましいと考えています。

法務担当のペルソナ

イベントDXのSaaS代理販売店のペルソナの例です。

従業員700名ほどのIT企業の広報IR室のIR担当として仕事をする飯田さん。

前職で財務部→経営企画部を経て、転職してIR担当となったキャリアを持っています。

主に、株主総会や機関投資家との面談の運営、IRサイト上での発信・問い合わせ対応などを行っています。株主・投資家が求める情報は、財務諸表等の財務情報と、CSR報告書、ESG関連、サステナビリティレポートなどの非財務情報です。

課題は株の長期保有率が下がってきていること。安定株主の獲得のため、長期的な投資判断をする上での主な判断軸になっている非財務情報や、将来性を示す中長期的な方針の情報開示に力を入れたいと思っています。

しかし、ESG関連をはじめ開示することが好ましいとされている任意の開示資料・情報が多かったり、環境変化が激しい事業領域のため長期計画が立てづらかったり、リソース投入による効果が見通しづらいため、あまり積極的に取り組めていない分野があります。

IR室は2人しかいないので、このような多種多様な情報の開示業務を効率的に行っていきたいと考えているところです。

人事担当のペルソナ

こちらも、イベントDXSaaS企業のペルソナの例です。

従業員8000人ほどの総合化学企業の人事部の神野さん。営業職として新卒で入社。結婚・育休後、人事部に異動し社会復帰しました。新卒採用メンバー4人のうちの1人として、新卒社員の面接対応や、エージェント・採用代行業者とのやりとり、会社説明会、内定式、入社式の運営などを行っていいます。

毎年の新卒採用人数は200名ほど。採用コストを抑えながら効率的に優秀な人材を採用できるよう務めていますが、新入社員の早期離職率が年々上がってきており、部署内の定例でもよく議題に上がっています。

個人的にはコロナの影響もあり、例年通りの採用活動や育成活動ができていないことが要因の1つだと思っており、今後はwithコロナを前提とした適切な対応を模索する必要があると感じています。

埋めたポジションが空いてしまう→再度採用するという状況は悪循環だと感じているので、大量採用の中でも質の担保ができないか模索中です。

このように、「従業員の健康支援(健康経営)」「営業の売上げの最大化」「IR業務の効率化」「新卒採用者の質の向上」といった課題軸で、ペルソナを作成すると、非常にリアリティのある、まるで実在するようなペルソナが出来上がります。

まとめ

インターネットの普及とともに顧客の購買行動が多様化してきました。BtoBビジネスの顧客も例外ではなく、ペルソナを作成しておかないと企業として一貫した活動が行えなくなっています。ペルソナの作成は、社内で顧客理解、部署を超えた共通認識の構築、スピーディーな意思決定につながります。

初めは無料のツールなどを上手に使い、ペルソナを作成し、徐々に精度を上げていくとよいでしょう。ペルソナを作成する過程にも多くの気付きがあるはずです。作成過程で何かお困りのことなどありましたら、ご相談ください。