テレビの通販、自宅や会社に届く多種多彩なDM、一昔前のFAXDM ……etc、ダイレクトマーケティングは日本でも歴史あるマーケティング手法なため、古いイメージを持つ方も多いのではないかと思います。
近年はインターネットが普及しデジタルチャネルが増えたので、Webサイト、SNS、メールなどを活用したダイレクトマーケティングもさかんになってきました。紙のDMなどは消えていくかと思いきや、経営者向けの豪華なDMをはじめ、クリエイティブあふれるDMが有効活用され続けています。
CRMなどのデジタルツールも安価になり、小さい企業でも顧客データベースの管理は容易になりました。手法の多様化、データ活用のスムーズさを考えれば、ダイレクトマーケティングはむしろ今、旬の時期を迎えているかもしれません。本記事では、ダイレクトマーケティングの代表的な手法、成功事例を紹介します。
ダイレクトマーケティングとは「中間業者を介さずに、企業がお客様に直接アプローチするマーケティング手法」です。中間業者を介さないため利益率が高いうえに、顧客のニーズを把握しやすく、長期の信頼関係を築きやすいメリットがあります。
ダイレクトマーケティングの手法は、昔から行われていたカタログマーケティング、テレマーケティング、テレビCMなどに加えて、近年はSNSマーケティング、メールマーケティングなど、オンライン上の手法が増えています。
顧客層の年代、特性、商材によって、ある手法に特化する場合もありますが、複数の手法を組み合わせるケースが増えています。
15世紀ごろのヨーロッパでは、すでにカタログを活用するダイレクトマーケティングが行われていました。日本でも17世紀には、越中富山の薬売りが存在して全国に薬を売り歩いていました。
ただし「ダイレクトマーケティング」という概念ができて、用語が使われるようになったのは、1967年に世界最初のダイレクトマーケティングエージェンシー Wunderman社の創業者Lester Wunderman(レスター・ワンダーマン)氏が、マサチューセッツ工科大学での講演で「ダイレクトマーケティング」を定義づけてからです。
ちなみに、ワンダーマン氏は「ダイレクトマーケティングの父」「20世紀の3大広告人の一人」とも呼ばれる人で、日本の電通と合弁で電通ワンダーマン(現:電通ダイレクトソリューションズ)社を作ったこともあり、日本の広告界でもよく知られています。
(出典:Amazon)
当初、米国を中心に発展していったダイレクトマーケティングは、各国の郵便システム、交通インフラ、通信インフラの進歩につれて世界中で発展していきました。
郵便配達のようなインフラがない新興国でも、インターネット普及以降は、EC、SNS、民間の配送サービスが増え、ダイレクトマーケティングが発展しています。
昔も、ダイレクトマーケティングを行う企業は、自社のハウスリストをもとに個々の顧客のニーズをくみ取り、きめ細かいアプローチをするなど、今のデータベースマーケティングの原型に近いことを行っていました。
1980年代に登場したCRMは、大量の顧客データ活用を短時間で可能にしたため、ダイレクトマーケティングの発展に大きく寄与します。
近年、各国でチャネルの傾向は異なるものの、ダイレクトマーケティングはさかんです。特に2020年以降はコロナ禍が追い風となり、世界的にダイレクトマーケティング市場は成長しています。
マーケティング関連の著述家として知られるアメリカのSeth Godin(セス・ゴーディン)氏は、ダイレクトマーケティングとマスマーケティングの違いについて次のように定義しています。
ダイレクトマーケティング |
マスマーケティング |
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セス・ゴーディン氏は、ダイレクトマーケティングとマスマーケティングの主な違いは「成功を確認できるタイミング」にあると述べています。ダイレクトマーケティングでは、施策実行の初期段階から具体的なコンバージョン率を測定できます。これに対して、マスマーケティングではキャンペーンの最後まで結果を把握することはできません。
また、両社の違いは、単なる「タイミングの問題」だけではなく「伝えるメッセージの内容」という違いもあります。ダイレクトマーケティングは、受信者それぞれに興味を持ってもらえるようなメッセージを送るように意識する必要があります。
ここでは、主要なダイレクトマーケティングの手法を紹介します。
カタログマーケティングとは、カタログ、小冊子などを顧客に郵送して注文を受け付けるマーケティング手法です。カタログマーケティングは、L.L.Bean、家具のイケア、エイボン化粧品、BtoBならASKULなどがよく知られています。
注文の受付はフリーダイヤル、同封の申込書類&返信用封筒、FAX、Web問い合わせ、LINEほか、顧客の属性にあった活用しやすい方法が複数提示されることが一般的です。
近年はWebからカタログをダウンロードできたり、デジタルカタログをWebで見れたりする場合もあります。今後、デジタルカタログはますますクオリティが上がり、活用されていくでしょう。
例:ASKULの「デジタルカタログ2022」
(出典:ASKUL)
しかし、紙ベースのカタログマーケティングも業界によっては残り続けると思われます。紙のカタログは品質にこだわれば、インターネット上より商品を魅力的に見せられるメリットがあるからです。
制作段階の工夫次第ではありますが、カタログ誌面では高解像度の印刷とプロの写真撮影によって、商品をより魅力的に、そして詳細に表示することも可能です。
魅力溢れるビジュアルとテキストは読者に強い感情を呼び起こし、購買の後押しになる可能性も考えられます。アメリカの経営学誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」の記事によると、「電子メールに加えてカタログも受け取った人は、電子メールのみを受け取った人に比べて購入数が24%増加し、ROIが870%向上した」というデータも。
また、上質なカタログはBtoCの顧客にとって、ブランドの世界観、商品の背景にあるストーリーを感じられる媒体です。情報の網羅性が高く、短時間で見ることができるメリットもあります。
近年はオンライン上のリターゲティング広告により、Web上での行動追跡に不快感を持つ人も増えています。化粧品、健康食品などのセンシティブな領域の商品については、クローズドなカタログマーケティングが好まれていく可能性もあるでしょう。
手紙によるダイレクトメールは、特定のターゲットへ直接的に情報を伝え、提案をするための方法として非常に効果的です。
2016年、マーケターのための業界団体「データ&マーケティング協会」(米国)によって、手紙による顧客からの反応率が43%上昇したとの発表がありました。特に注目すべきは、潜在的な顧客からの反応率が、2015年との比較で190%増加したことです。手紙によるダイレクトメールは、依然として効果的だと言えます。
封書形式にして郵便やメール便で送付することで、A4チラシをポスティング・折込をするよりも、相手の目に留まりやすくなります。手紙を手書きにすることや、封書や手紙の紙質を和紙などにして高級感を出すことで注目を引き、開封してもらう工夫がなされることもあります。
BtoBマーケティングでは、企業内の特定の役職者(CEO、CMOなど)に向けて送付する「CXOレター」が考えられるでしょう。CXOレターは、現場の担当者などの非決裁者へのアプローチではなく、企業の役員クラスの方に直接アプローチが可能です。
効果的なCXOレターを書くためのポイントとしては、メッセージの明確さ、誠実なコミュニケーション、そして情報の透明性が挙げられます。具体的には以下のポイントを押さえるとよいでしょう。
テレマーケティングとは、電話を活用して見込み客にアプローチしていくダイレクトマーケティングです。米国では国土が広く営業マンの移動が大変なため、テレマーケティングが発展しました。
日本では営業アプローチの初期工程に活用され、BtoC商材(健康食品、食品)などではテレマーケティングだけで取引を完結するケースもありました。
インバウンドマーケティングによるリードの獲得が十分にできている企業であれば、お客様に寄り添ったアプローチをするために必要な情報を取得できるため、インサイドセールスでの架電により、フォローやアポイントの取得を促すことができます。
しかし、理想的なリード数を確保していくのがこれからの企業にとっては、アプローチする際の情報がそろっておりません。そのためテレマーケティングにより、アプローチに必要な最低限の情報から、今後顧客に寄り添ったアプローチをするための必要な情報を引き出していくことで、その後のフォローをしていくことができます。
SNSマーケティングは比較的新しい手法で、特に若い世代にとって魅力的に感じられるでしょう。SNS上で形成されたネットワークは、ビジネスに関連しているかどうかにかかわらず、家族、友人、同じ興味を持つコミュニティに基づいています。SNSの利用者は一般的に、「身近な友人・知人からの新しいアイディア・情報は受け入れやすい」と考えています。
つまり、マーケターが一方的にブランドの魅力を宣伝するよりも、消費者同士のコメントの交換によってクチコミが広がることを狙うとよいでしょう。消費者が、自分の成功体験に基づいてブランドを推薦してくれることもあります。
SNSを通じてのブランドの宣伝は、一貫した運営戦略と定期的なコンテンツ更新が必要ですが、非常にコスト効率的な方法です。
一例として、大手電気機器メーカー「オムロン」は、YouTubeで自社の情報を発信するチャンネルを解説し、「企業理念」「独自の技術」「ダイバーシティについての考え方」「採用に関する考え方」など抽象的なテーマについても分かりやすく動画で伝えています。
(出典:OMRON - YouTube )
メールマーケティングは、メールを活用するダイレクトマーケティング方法です。なお、メールマガジン発行はメールマーケティングの一部ではありますが、メールマーケティングとイコールではありません。
CRMなどのデータベースに名前、住所、電話番号、取引状況、電話の際のコメントなどを蓄積し、顧客ニーズをつかみながら行うのがメールマーケティングです。
メールマーケティングの開封率は15~24%といわれます。それでも母集団が蓄積できていれば一定の成果が期待できます。定期的に最新情報やイベント案内を送ることで、見込み客と長期間信頼関係を保ち続け、ニーズを喚起できるでしょう。
他のマーケティング手法と組み合わせることもできる柔軟さが魅力です。以下のような、さまざまな目的に活用できます。
オンラインでのショッピングや情報収集の際、あなたが過去に興味を示した商品や情報に基づいて、関連する商品や情報がおすすめとして表示されることがよくあるはず。これは、レコメンデーションシステムという技術が背後にあり、過去の行動や他のユーザーの行動を分析して、あなたが次に興味を持つ可能性のあるアイテムを予測するものです。
特にECサイトではこのシステムを利用して、商品を探しているまさにその瞬間のニーズに合った商品を提案してくれるため、ショッピングがより楽しく、効率的になります。
例として、Amazon.comは「この商品を購入した人はこんな商品も購入しています」という形式で、ユーザーの購入履歴や閲覧履歴に基づいて関連する製品を推薦します。また、Netflixもレコメンデーションシステムの良い例です。Netflixは、ユーザーの視聴や検索の習慣を比較することで、好みに合う動画のおすすめを行っています。
さらに、BtoBのビジネスの世界でも、このレコメンデーションシステムは非常に価値があります。あなたの会社の製品・サービスを、他の企業に対して提案し、課題解決、成功へと導く中で、レコメンデーションシステムを活用すると、ターゲットに合わせた最適なメッセージングが可能となります。
例えば、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、ソフトを導入した企業がその後、操作等で困ったときに最適なヘルプをスピーディーに受けられるよう、カスタマーサクセス(オンボーディング)のためにレコメンドエンジンを導入しています。
(顧客企業が「SmartHR」製品導入後、操作等で困ってヘルプページを見ている際に、レコメンドで「お困りですか? このコンテンツを参考にしてください」など表示させ、顧客の課題を解決するよう導く)
ダイレクトマーケティングにはメリットとデメリットがあります。キャンペーンを開始する前に、双方を理解して本当に自社に合う施策かどうか検討しましょう。
メリットとして以下3点が挙げられます。
ダイレクトマーケティングは、自社のターゲットとなる見込み客や、既に関心を持ってくれている見込み客への直接的なアプローチ手法です。
この方法を採用することで、無駄な広告費を削減し、効果的なコミュニケーションを実現できます。
特に、メールマーケティングや、SNSマーケティング、手紙のような手法は、高い費用対効果を持つことが多いと言えます。
(出典:Direct Mail: 13 Reasons Why It Isn't Dead )
中小企業にとっては、これらのダイレクトマーケティングの手法は、大規模なマスメディア広告キャンペーンよりもコスト効率が良いと言えるでしょう。
ダイレクトマーケティングは、見込み顧客との1対1のコミュニケーションを重視します。これにより、見込み顧客からの反応やフィードバックを直接受け取ることが可能です。
例えば、特定のアクションを促したり、クーポンコードの利用を促したりする場合(DMに特定のLPへ誘導するQRコードを印刷しておくなど)、ユーザーがアクションを起こせば迅速に確認できるでしょう。これらの情報を基に、どの層にどんなメッセージが効果的かを分析し、次回のキャンペーンやマーケティング戦略の参考にできます。
ダイレクトマーケティングは、顧客データが整っていれば、主にコミュニケーション媒体の準備・制作が中心となります。カタログや手紙作成、テレマーケティング実行などのサービスを提供する業者も多く存在しています。これらの業者を活用することで、社内のリソースを大きく使わずに、効果的なダイレクトマーケティングを実行することも可能です。
一方マスマーケティングでは、テレビ、ラジオ、新聞などの大衆メディアを使用して、不特定多数の相手に向けたメッセージを放送します。この方法では、広告媒体の企画・制作に多大な時間・コスト・人手を要し、なおかつ広告の配信開始後の効果を確認するまでに時間がかかることも想定されます。
ダイレクトマーケティングのデメリットとしては、以下の3点が想定されるでしょう。
ダイレクトマーケティングを成功させるためには、まずユーザー理解が不可欠です。ユーザーニーズや興味を正確に把握しなくては、効果的なコミュニケーションの設計は難しいでしょう。
ダイレクトマーケティングの応答率は、平均で約1~3%だと言われています。製品・サービスに興味のない消費者にリーチすると、会社としてはコストの無駄になり、受け取った相手には煩わしい思いを抱かせる可能性が高くなります。
これを最小限に抑えるために、大量のメッセージを送信するのではなく、よりターゲットを絞ったリストを使用し、反応率を最大化できるノウハウを投入してください。
購買プロセスやカスタマージャーニーをしっかりと整理し、社内全体で共通の認識を持つことが大切です。
ダイレクトマーケティングのコミュニケーション媒体を制作する際、受け取り手の行動を変えるための工夫を凝らし、どのように反応を引き出すかが鍵となります。例えばチラシのデザインや、デジタル広告のアイキャッチ、CTAの配置など専門的な知識やノウハウが求められます。
ダイレクトマーケティングにおいて、データベースは非常に重要な役割を果たします。データベースがなければ、キャンペーンを実施しようにも以下のような項目を具体的に判断できないからです。
データベースを整備するためには、顧客管理システムの導入や、それに伴う投資が必要となります。さらに、キャンペーンや広告の制作物も、事前に計画的に制作する必要があり、これには先行投資が必要です。
ここでは、ダイレクトマーケティングの事例を紹介します。
(出典:https://www.dell.com/html/jp/press/about/dellkk/outline.htm)
パソコンメーカーのデル社は、1984年の創業当初から中間業者を排し、在庫を持たない注文生産(BTO)の直販スタイルで、顧客にパソコンを提供するダイレクトマーケティングを実施してきました。このビジネスモデルは「デル・ダイレクト・モデル」と呼ばれ、以下の特徴があります。
顧客データベースの活用、サプライチェーンの効率化などによって、顧客が必要な機能のみを搭載したパソコンを提供するデル・モデルは、市場から支持されデル社は大きく成長しました。
また、パソコン業界全体に影響を与えました。デル・モデルを取り入れる新興企業が増え、ついには台湾メーカーのエーサスの台頭をまねいたと言われます。
しかし、ダイレクトマーケティングは価格だけが勝負ではなく、いかにデータベースを活用し、魅力的なプロダクトを生めるかにもかかっています。デル社は近年も、数々の賞を受賞した「XPS 13 Plus」ほか、顧客を惹きつける魅力的なパソコンを世に出し続けています。
(出典:https://www.llbean.co.jp/catalog/)
L.L.Beanは、1912年に創業した米国のアパレルメーカーです。シンプルでクオリティの高い商品と手頃な価格が特徴で、メンズ、ウィメンズ、キッズ、アウトドア、ホームグッズなどを提供しています。
L.L.Beanでは創業以来、カタログマーケテングに力を入れており、現在でも上記のWebサイトから申し込むと最新カタログが1週間程度で届きます。
カスタマーサポートのポリシーは 「100%満足保証」。商品に100%満足できなかった場合、レシートがあれば1年以内なら返金可能という、通販の不安を払拭するサービスで成長しました。返品に対するFAQページも充実しています。
日本では1989年に商標を取得。カタログマーケティングを補完するために店舗もオープンし、特定層に高品質な商品を提供しました。日本の顧客の声を開発にフィードバックし、日本人女性の体型「JapanFit」のラインを発表しています。
カタログには日本人が好むアースカラーを主に掲載し、米国で好まれるパステルカラー、ピンクなどを控えるなど、日本の消費者ニーズに沿ったダイレクトマーケティングを実施し、市場に受け入れられました。
(出典:㈱ダイレクトマーケティングゼロ)
ビズリーチと言えば、今やビジネスマンがほとんど知っている転職マッチングサービス企業です。いつからか「転職はリクルート」のイメージから「転職はビズリーチ」「ビズリーチする」という言葉が高年収層でポピュラーになった気もします。企業規模の差を考えればすごいことです。
これは、面白くわかりやすいCMの影響もあったのでしょう。しかし、ビズリーチはハイクラスに特化した戦略の影響もあり、中小企業への営業にかなり苦戦していました。一般に中小企業の人事担当者は「ハイクラスの採用なんてうちには関係ない……」と思うからです。
この課題を解決したのが、DMによるダイレクトマーケティング戦略です。DM制作会社のダイレクトマーケティングゼロ社の力を借り、目を引く「履歴書型DM」を作成し中小企業に発送しました。
中小企業の導入効果が高いという内容を伝えたところ、商談件数、受注件数とも予想を上回る成果を得られたのです。さらに、「第35回全日本DM大賞」を受賞しました。作品名は、リアルさを追求! 人事があっと驚く「履歴書型」DMです。(参考:全日本DM大賞事務局、㈱ダイレクトマーケティングゼロ)
ダイレクトマーケティングを実践する際には、以下5つのステップを押さえましょう。
ダイレクトマーケティングを成功させるためには、最初に実施の目的を明確にすることが大切です。目的を設定することで、その目標に向けた取り組みが明確になります。そして、その目的には「SMART目標(具体的、測定可能、達成可能、現実的、期限付きの目標)」を設定することが大切です。
(出典:The Importance of Setting SMART Goals )
例えば、DMからの資料請求数の最大化を目的とした場合、KPIとしては「どのくらいの申込みページに来たのか? (流入数)」と「どのくらいの割合でフォームを送信したのか? (CVR)」が考えられます。
このように、目的が決まるとKPIまで落とし込むことができ、「具体的に何をしたらよいのか」「どこに力を入れていったほうがよいのか」を明確にすることができます。
ダイレクトマーケティングは、ターゲットに特化したマーケティング手法です。そのため、見込み客に効果的にアプローチするためのターゲットリストの作成が必要です。
ターゲットリストの用意は具体的に、
(※法人データベースから、自社に最適な営業アタックリストを選び出して提供してもらう)
といった手法が考えられます。
そして、ターゲットを明確にした上で、顧客の購買プロセスを想定し、カスタマージャーニーを作り込んでいきます。
効果的なダイレクトマーケティングには、明確なCTA(コール・トゥ・アクション)が欠かせません。
DMなどで単にメッセージを届けるだけではなく、ターゲットの行動(問い合わせなど)を引き出してこそ、はじめて受注、売上獲得といったビジネスの成果につながるからです。カスタマージャーニーを基に、どのタッチポイントで、どのような内容を伝えるかを計画します。
ダイレクトマーケティングの成功の鍵は、受信者の具体的なアクションを引き出すことです。試用版、サンプル、割引、特別な製品の提供など、ターゲットのニーズに合う訴求を用意しましょう。
また、最適なダイレクトマーケティング手段を選択することも重要です。一つのチャネルに限定せず、例えばSNSと手紙やEメールマーケティングを組み合わせることで、より広範なアプローチが可能です。
キャンペーンを実施するための資料やツールの作成が始まります。例えば、郵送でダイレクトメールを送る場合、封入する手紙の文面や、返信用ハガキなどの資料を準備・制作します。
受け取り手を次のアクション(紙に印刷された二次元コードをスマートフォンで読み取って、ランディングページへ誘導、コンバージョンを促すなど)に駆り立てる効果的なコピーやビジュアルを考慮することも不可欠です。
そして、クリエイティブ面の作り込みだけではなく、コスト面(「送料」「紙代(紙の素材や質、サイズ)」「印刷代」など)も考慮することが大切です。施策実行でかかるトータルコストを適切に判断し、費用対効果が悪化しないよう留意しましょう。
最初のステップで設定したKPIに従って、実行した施策の成果を評価しましょう。
「施策の実行期間が終わってから」検証するのではなく、「初手を打った即座に(SNSに投稿した初日、あるいは、DM投函日直後の数日など)」検証を行うことがポイントです。早期に効果検証をすることで、期待している結果との違いをスピーディーに修正することが可能となります。
つまり、PDCAサイクルを回しながら施策を改善していく進め方を取ることが大切です。このような進め方は、一施策の成功度を判断するだけでなく、次回施策の方針を精緻に策定するうえでも有効です。
成功した施策は継続して投入し、成果をさらに高めていきましょう。一方、反応が芳しくなかった施策は取りやめ、自社が今後どのような施策に注力すべきか、定量的なデータを根拠に判断してください。
ダイレクトマーケティングは、インターネットの普及やデジタルツールの進化、さまざまなデバイスやオンラインメディアの増加に伴い、多様な手法が登場しています。
例えば、デジタルカタログやWeb会議、SNSを活用したインタラクティブなマーケティングなどがその一例です。さらに、MA(マーケティングオートメーション)や、AIツールの進化により、顧客の行動や傾向をより詳細に把握することが可能になっています。
しかし、その核心は「顧客データベース」にあります。データベースがなければ、顧客の理解は深まりません。
など、まずは入口戦略を整えることが大切です。
そのうえで、CRMなどで見込み客のデータベースを管理し、さまざまなセグメンテーションを行う必要があります。個々の顧客ニーズに沿ったマーケティングを行ったり、ロイヤル顧客に特化した特典・サービスなどを提供したりすることがポイントだと言えるでしょう。
顧客と直接のコミュニケーションから得た情報を蓄積したデータベースがあれば、顧客の課題やニーズに基づいて、新しい商品・サービスの開発も行うことができます。今後、AIの進化により、顧客の潜在的なニーズを掴むことも容易になり、ダイレクトマーケティングの可能性はさらに広がるでしょう。
新しい技術やツールは魅力的ですが、最も大切なのは「顧客との信頼関係の構築」と「その関係の維持」です。企業は自身のブランドイメージやペルソナを理解し、それを基にダイレクトマーケティングの戦略を再構築する必要があります。
BtoC企業で、販路開拓を経験した人ならわかるかと思いますが、百貨店、スーパー、コンビニなどに商品をおいてもらうのは本当に大変です。棚を抑えるのに熾烈な競争があり、店舗に売ってもらうために人を出したり、斬新な企画をたてたりします(協力金などを差し上げたりするときも)。
BtoBでも代理店契約を結んだだけでは、他社の積極的な協力は得られません。そもそも、代理店候補を探すことは難しく、ひと様に商品を売っていただくのはなかなか大変です。営業・マーケティングを他社に依存せず、自社で直接顧客データを持ち、直接アプローチしてコミュニケーションをとれるのは、実に素晴らしいことなのです。
今は、さまざまなダイレクトマーケティング手法があります。メールマーケティングのように比較的投資が少ない手法もあるので、ぜひ直接の取引先を増やすダイレクトマーケテイングを始めてみましょう。