レプトのBtoBマーケティングのブログ|株式会社LEAPT(レプト)

オウンドメディアの種類と発信するべきコンテンツの種類を事例を交えて紹介

オウンドメディアと言えば、昔はビジネスブログが一般的でした。ほぼ一択だったと言えるかもしれません。

しかし、近年は多様なプラットフォームが増えてきました。コンテンツもテキストだけでなく、画像、動画、インタラクティブコンテンツなど種類が豊富になり、多彩な表現方法を駆使して自社のメッセージを伝えられるようになっています。

とはいえ、選択肢が多すぎると人は迷うもの。また、BtoBオウンドメディアは目的ありき。最新の手法を使えばよいというものでは決してなく、目的達成のために最適な組み合わせを考える必要があります。

この記事では、2024年時点のオウンドメディアのタイプ、人気のコンテンツの種類を紹介します。情報を整理整頓して自社の目的に沿ったうえで、担当者としての意思も反映させられるオウンドメディア作りにお役立てください。

オウンドメディアとは

オウンドメディアは、英語の「Owned media」という表現からきており、直訳すると「所有されたメディア」という意味です。

ビジネス領域では、マスコミ各社が持っている旧来のメディアに対して「企業が所有するメディア」という意味で解釈されています。また、企業所有のオウンドメディアにも狭義の解釈と、広義の解釈があります。

日常会話においてはどの定義を使っても問題ありません。ただ、マーケターは広義の定義を理解してオウンドメディア戦略を立てられることが望ましいでしょう。

狭義でのオウンドメディア

狭義のオウンドメディアは、一般に企業のビジネスブログ、キュレーションサイトなどを指します。

これは、企業がインターネット上で自社のオウンドメディアを立ち上げ始めたころ、ブログからスタートした企業が多かったことが影響しているでしょう。そのため、現在もオウンドメディア=ビジネスブログという解釈はごく一般的にされています。

広義でのオウンドメディア

広義でのオウンドメディアは、直訳の「所有するメディア」の意味どおり、企業が所有するメディアすべてを指します。公式Webサイト、メールマガジン、SNSアカウント、会社案内や広報誌などの紙媒体などであっても、自社で情報を編集して発信できるなら、オウンドメディアです。

オウンドメディアのコンテンツのタイプについて解説します。

Webサイト・ブログコンテンツ

Webサイトやブログコンテンツは、企業がインターネット上に所有するオンラインメディアです。

公式Webサイトは、オンライン上の会社案内の役割を果たす総合サイトです。ステークホルダーだけでなく一般社会に対して公開する自社紹介のためのメディアなので、会社概要、企業理念、商品・サービスの詳細、会社の歴史やビジョン、コンプライアンスや品質管理についてなど、幅広い情報を網羅しています。

一方でブログコンテンツは、もっと狭い読者層を想定して情報を継続的に発信する際に活用されます。BtoB企業の場合、ブログコンテンツは見込み客への認知獲得を目的とすることが一般的なので、内容は専門的な業界ならではの情報、知見、トレンドが中心です。

ブログコンテンツについては、別ドメインでブログサイトを立ち上げる場合もあれば、企業のWebサイトの一コンテンツとして展開する場合もあります。

eBook・ホワイトペーパーコンテンツ

一般に、eBookは電子書籍。ホワイトペーパーは政府刊行物の白書のような現状の分析と将来の展望をまとめた資料を意味します。

しかし、いずれも日本のBtoB領域では「専門的な情報をまとめた資料」という意味で解釈されており、Webサイト上からユーザーにダウンロードを促すコンテンツとして活用されています。

違いはどちらかというと形式や体裁にあり、eBookはePub、MOBIなどの電子フォーマット、パワーポイント、PDFなどで画像も活用してかなり作りこまれたコンテンツです。

ホワイトペーパーは一般にPDFで作成され、専門的な内容、業界トレンド、今後の予測、ノウハウなどをエビデンスにもとづいてまとめたコンテンツ。どちらかというと手軽に作成できるホワイトペーパーが主流です。

その効果は高く、株式会社IDEATECHの2022年の調査では、BtoBマーケターの97.2%がホワイトペーパー施策は効果があると回答しています。理由は「リード獲得ができる」「リードの質が高い」です。

(出典:株式会社IDEATECH

紙メディア(広報誌、社内報、会社案内)

昔からある紙の会社案内、入社案内、広報誌などもオウンドメディアです。自社の方針でコンテンツを編集しているからです。

紙メディアは物理的に手に取ることができるので、読者の五感にアピールできる長所があります。紙の質感や印刷技術によってグレード感が高めのメディアとなり、ブランドイメージを高められます。

一方で、制作コストは高くなります。それでも、紙メディアの長所も理解してデジタルと紙を組み合わせて戦略的に展開する企業もいまだ少なくありません。

ちょうど今のタイミングは、紙メディアが古いと言われてデジタルに移行し、一周回って、高額の予算を使う必要のある紙メディアにプレミアム感がでてきた頃合いかと考えます。

以下は、一般社団法人 日本BtoB広告協会のコンテストで、PR誌で入賞した株式会社日立ソリューションズの「プロワイズ」。「読者の知的好奇心を刺激する」が編集テーマの季刊広報誌です。読者の啓発が目的の場合、紙メディアも効果的です。

(出典:一般社団法人日本BtoB広告協会

セミナー・ウェビナーコンテンツ

セミナーやウェビナーは、特定のテーマについて興味がある人、そのテーマについて学びたい人たちに対して開催される、知識を提供するイベントです。

リアルで会場を借りて開催するのがセミナー。オンライン上で催されるのがウェビナーです。ウェビナーはWeb会議システムなどのツールでつないで実施します。

セミナーは実際に参加者と対面できるため、イベントが盛り上がりやすく、コミュニケーションが深まりやすいメリットがあります。ただし、会場費用、搬入出など労力も経費もかかります。

ウェビナーは地理的な制約がなく、国内外から参加者を募れる長所があります。一方で気軽に参加できるため、キャンセル、退出者はリアルなセミナーより多くなります。

以下は無料セミナー視聴し放題のbizplayの2024年のセミナー予定。テーマは各社多彩です。

(出典:bizplay

ソーシャル メディア(SNS)

ソーシャルメディアとは、Facebook、X(旧Twitter)、LinkedIn、インスタグラムなどに代表されるオンライン上の双方向型メディアを指します。誰もが自由にアカウントを作成して情報を発信し、共通のトピックについて他者とコミュニケーションをとることができます。

人対人だけでなく、企業対人とのコミュニケーションもとりやすく、ブランディング、リクルーティング、営業活動などさまざまな目的で活用されています。

ソーシャルメディアの特徴はその拡散力です。ポジティブな評判が一気に広まり世の中で認知されることもあれば、たった一言で炎上してしまうリスクもあります。

また、SNSごとに読者層が異なります。2023年の総務省の「デジタル空間における情報流通に関する現状」という資料に、年代別のSNS利用状況が出ています。

各年代ともLINEやYouTubeの利用率が高く、Twitter、Instagramは10〜40代、Facebookは30〜40代には活用されていますが、他の年代の利用率は低めです。

(出典:総務省

オウンドメディアのコンテンツとは

オウンドメディアのコンテンツとは、発信する中身のことです。包括的な意味を持つ用語なので、コンテンツの内容と表現の形式にわけて考えると理解しやすいでしょう。

コンテンツの内容には、たとえばBtoBなら以下のパターンがあります。

  • 初心者向けのナレッジ
  • 専門的なナレッジ
  • 経営者、社員の日記
  • 商品・サービスの導入成功事例
  • 業界ニュース、トレンド情報
  • イベントレポート、他

また、コンテンツをどのように表現するかについては以下の形式があります。同じコンテンツの内容を形式をかえて活用したり、記事コンテンツに動画を掲載したりなど、組み合わせて活用できます。

  • 記事コンテンツ
  • 画像コンテンツ
  • 動画コンテンツ
  • セミナーコンテンツ
  • 音声コンテンツ
  • 漫画コンテンツ
  • インタラクティブコンテンツ

米国の例ですが、マーケティング専門組織CMIによると2023年時点のBtoBマーケターが活用していたコンテンツタイプのランキングは以下のとおり。1位短い記事、2位が動画、3位がケーススタディ、4位が長い記事、5位がビジュアル コンテンツ、6位がホワイトペーパーとなっています。なお、最も効果的な形式はケーススタディ、顧客事例、ビデオです。

(出典:B2B コンテンツ マーケティングのベンチマーク、予算、トレンド: 2024 年の見通し [CMI調査]

オウンドメディアを運営するにあたりコンテンツを考慮する重要性

オウンドメディアは何かしらの目的があってスタートします。そのため、コンテンツも目的を達成するためのコンテンツでなければなりません。ここを間違うと、読者やフォロワーは増えても肝心の目的が達成できないといったことが起きます。

目的とコンテンツの例

  • 新規リードの獲得:潜在顧客の知りたい情報、ノウハウ、仕事に役立つと思ってもらえるコンテンツを作成する必要
  • 既存顧客とのコミュニケーション:商品の活用方法、既存顧客の仕事に役立つコンテンツが必要
  • ブランディング:企業のブランドイメージに沿ったコンテンツを提供
  • 採用、リテンション:求めている人材像、社内のカルチャー、社員の仕事ぶりやキャリアパスの魅力、企業の将来性が伝わるコンテンツ

いずれの目的であっても、継続してコンテンツを発信していく必要があるため、後述するカスタマージャーニーに沿って、コンテンツマップを作成することをおすすめします。

オウンドメディアで発信するコンテンツの種類

オウンドメディアにはいくつかのタイプがあります。いろいろな情報を発信していますが、メインの情報が何かによって、おおむね以下のパターンに分けられます。

自社調査/統計調査結果の資料コンテンツ

(出典:株式会社識学

株式会社識学は、経営者のマネジメントの悩みに対して、独自の理論に基づいたサービスを提供するコンサルティング会社です。

識学さんは、他ブログやビジネス誌への寄稿などでは、しばしばコメント欄に論争を巻き起こしそうな表現(かなり独自性の強い)のコンテンツを投下します。この時点で、ペルソナ以外も含めて、多くの人々の眼を引き付けるでしょう。

一方で公式サイトでは、正統派のマネジメントのノウハウについてのコンテンツ、自社で行った人事・経営領域のトピックについての調査、研究についてのレポートをリリース。また、それを詳細な図説資料としてPDFでまとめダウンロードできるようにしています。

BtoB領域では統計コンテンツ、調査結果コンテンツは多くのビジネスパーソンに引用されるので、その過程で社会に認知されていきます。そして統計コンテンツなどを数多くリリースすると、民間企業でもシンクタンクのような権威性が出てくるので、そういったポジショニングを狙う企業もあります。

ただ、識学さんの場合は、かなりエモーショナルなコンテンツも出しているので結果的にバランスがとれて、熱意も頭脳もあるコンサルティング集団という印象です。

(公式サイトの「資料ギャラリー調査レポート頁)

情報発信ブログコンテンツ

(出典:SmartHR Mag.

情報発信ブログコンテンツとは、読者に役立つ情報を定期的に発信していくタイプのオウンドメディアです。役立つ情報とは質も量も必要、さらにタイミングも重要です。

上記は、クラウド人事労務ソフトSmartHRが運営するメディア「SmartHR Mag.」です。

情報量が非常に多く、コンテンツのテーマは労務管理、手続き、人事評価、組織開発、採用、HRトレンド、戦略人事、テレワーク、ダイバーシティインクルージョン、リスキリング、HRテクノロジーなど多岐にわたります。

近年の人事労務領域の部門は、働き方改革、DX、女性活躍、定年延長などなど国の戦略も影響し、取り組むべき課題は増える一方ですが、間接部門なので多くの企業は人数を増やしてもらえません。

通常業務だけでも多忙な人事総務担当者にとって、このような現場に役立つ情報をタイムリーに発信してくれるオウンドメディアは非常に助かるでしょう。

専門メディアとして死角がないように感じるほどコンテンツが充実しています。作成スタッフを見ると、雑誌編集者、クリエイティブディレクターを経験した方が2022年から編集に参加していました。いよいよオウンドメディアも本格的なメディアになってきたことを感じます。

課題認知ブログコンテンツ

(出典:https://neilpatel.com/

課題を認知させるブログコンテンツは、多くの場合、記事コンテンツを切り口で勝負しています。

しかし、上記の米国の人気マーケターNeil Patel(ニール・パテル)氏のブログは、コンテンツを読むよりも前にトップページに「もっとトラフィックを増やしたいですか? 」というコピーがあり、ボックスに自社や他社のURLを入力すると、月間のオーガニックトラフィック、オーガニックキーワード、SEOスコアと、2〜3行の分析コメントが表示されます。

初級マーケターの方ならこれだけでかなり気づきがあるでしょう。課題を認知してもらえるひとつのスタイルだと言えます。

自社製品・サービスの機能・活用コンテンツ

(出典:YouTube

会計クラウドシステムfreeeを提供しているフリー株式会社は、YouTubeの自社チャンネルで、自社の会計ソフトの操作方法を解説しています。

freeeのユーザーは個人事業主、中小企業が多く、そもそも経理担当者を雇うほどの規模でないことや、経理業務が苦手なために加入している層。freeeを導入したからといってスムーズに操作できる人ばかりではありません。

近年のインボイス制度の二転、三転に代表されますが、会計回りの法律の変化をキャッチアップするのはなかなか大変です。また、世の中の個人事業主、中小企業の経営者に経理が苦手という人は決して少なくありません。

このような動画のおかげでスムーズに業務が進められると、既存顧客は継続してfreeeを活用しようという気持ちになり、無料ユーザーも有料プランを検討する可能性が高まるでしょう。freeeのペルソナの解像度が高いことがうかがえます。

この動画しかり、freee会社設立のマンガコンテンツしかり、freeeのコンテンツは専門的な内容を、一般の人がすっとわかるレベルまでとことんかみ砕いて表現することに長けています。

活用事例、導入事例コンテンツ

(出典:株式会社ブイキューブ

BtoBの王様コンテンツ、鉄板コンテンツは導入事例です。購入を検討する企業がもっとも読みたいコンテンツであり、事例コンテンツさえあれば、他のコンテンツなどなくともある程度の成果が見込めるでしょう。

上記は、Web会議ソフトウェアのベンダーブイキューブ社の公式サイトにある導入事例ページです。1万社を超える企業に導入しているだけあって事例コンテンツが非常に豊富です。

大企業〜中小企業まで、業界問わずさまざまなビジネスシーンで活用されていることがわかり、導入を検討している担当者は自社に近い事例を見つけやすいでしょう。

検索フィルターは、イベント開催、セミナー開催、バーチャル株主総会、オンライン営業

会社説明会、プライベート空間、Web面接、遠隔授業、遠隔医療など多岐にわたります。

しかし、導入事例コンテンツを公開できている企業は少なくありません。これは単に事例が少ないという理由もありえますが、おそらく事例を公開するためには取引先の許可が必要であり、どのように依頼していいかわからないというケースもあるでしょう。

この点については、ブイキューブ社出身のGAXマーケティング社の佐藤 岳さんが、「8割のお客様から導入事例の取材OK!効率的に導入事例を制作する方法」という記事の「導入事例の取材依頼書」を見本で出してくれていますので、参考にしましょう。

会社(コーポレート)・広報情報コンテンツ

トヨタイムズは、トヨタ自動車が2019年から運営しているオウンドメディア。特徴はテレビCMとWebを連動させるなど、広告と広報を融合させた新スタイルのメディアであることです。

また、会長がレポートするオートショー全米ディーラー大会、本音で議論する労使や社内インタビュー、モノづくりの現場、新型車の試乗企画、工場撤退のときのドラマなど、トヨタの人たちの人間味が伝わるリアルな映像の数々が圧巻です。

NHKレベルのドキュメンタリーを見ているような面白さがあります。なかなか見ることのできない他社の内側を知れるのも魅力。広報型オウンドメディアの新しいスタイルと言えるでしょう。

採用情報コンテンツ

(出典:株式会社ディー・エヌ・エー

近年はオウンドメディアを採用目的に活用するケースも増えています。

上記は株式会社ディー・エヌ・エーの採用コンテンツ。キャリア採用、新卒採用、アルバイト採用に向けたさまざまなコンテンツを発信しています。

オフィスの環境、社員のインタビュー、キャリア制度の内容、求職者が気になるような情報もデータをオープンに出しており、スマートな印象を受けます。

DeNAは人気企業。おそらく新卒採用、中途採用メディアのプラットフォームを介した応募は多数あるでしょう。それでも自社の求める能力、スキル、カルチャーまでマッチングする優秀な人材の採用は簡単ではありません。優秀な人材は他社からもアプローチがあるからです。

人材採用も基本はマーケティングと同じプロセス。ペルソナという言葉はあまり使いませんが「求める人物像」を絞り込み、限られた予算で短期間に対象の層にリーチし、自社のアピールポイントを伝えていく必要があります。

このような採用コンテンツから常に情報を発信していることで、自社が求める人材に自社を知ってもらい将来の応募者の候補を作っていくことができます。また、採用コンテンツがあることで高額な採用メディアのコストを抑えることができるでしょう。

紙面(新聞・雑誌)でのコンテンツ

西松建設株式会社

新聞、雑誌でのコンテンツとは広告のことです。広告も自社がコンセプトを決定しクリエイティブを制作するので、広義ではオウンドメディアと位置づけられます。

上記は、西松建設株式会社の広告で、2023年の日経広告賞 建設・不動産部門「優秀賞」を受賞した作品。「海に、森を立てる」というコピーが秀逸です。

西松建設会社は準大手のゼネコンで、国内外でさまざまな大型プロジェクトを成功させてきた企業ですが、「建設会社は表通りの道路に本社ビルを構えるべきではない」という思想から、本社は大通りに建てないという逸話があるほどアピール控えめな企業です。

しかし、予算を投下してそれなりの代理店に制作を依頼すると、このような芸術作品のような広告で、自社のサステナビリティに対する取り組みを強いメッセージで発信することができます。

力のあるクリエイターに手がけられた紙媒体の広告のコミュニケーション力は、やはり強力です。高額ではありますが、ここぞというタイミング、重要なメッセージを発信したいときに検討してもよいでしょう。

オウンドメディアのコンテンツを作る際に重要な考え方

ここでは、オウンドメディアのコンテンツを作るにあたって、必ず行うべき重要なステップを紹介します。

ペルソナ

オウンドメディアのコンテンツを作る際に、まず考えるべきはペルソナ(想定読者像)です。オウンドメディア運営の目的に沿ったペルソナを、解像度高くまとめあげましょう。

誰にコンテンツを読んでほしいのか? 読んだ読者にどのような満足感を感じてほしいのか? 想定している読者は今どのような情報を探しているのか? ということを事前に理解しておかないと、オウンドメディアを運営してもなかなか成果が上がりません。

たとえば、見込み客への認知拡大を目的とするのなら、自社の商品・サービスを好んで使いそうなペルソナ設定をしましょう。顧客インタビューなどをもとに、自社の理想の顧客像を上記のようなペルソナシートに落とし込みます。ペルソナが作成できれば、オウンドメディアの方向性が決まります。

カスタマージャーニー

次に、カスタマージャーニーを作成することが重要です。カスタマージャーニーとは見込み客が何かしらの課題を感じてから、情報収集を始め、自社商品を知ってくれ、検討し購買にいたるまでの行程を見える化したものです。

購買心理学にもとづき、見込み客の思考、行動をシミュレーションすることで、自社がどのようなコンテンツをどのような順番で、どのようなチャネルで展開すべきかわかってきます。

カスタマージャーニーの作成は、マーケティングの成功において非常に重要。米国のAberdeen Groupの研究論文では、適切なカスタマージャーニーを作成する企業とそうでない企業の比較として、平均販売サイクルが 18 倍速くなり、コストを 10 倍抑制し、マーケティング投資収益率が 54% 向上したという結果が報告されています。

トピッククラスター構造

トピッククラスターは、トピックの集合体を意味します。一つの大きなテーマ(ピラーコンテンツ)と、それに関連する多数の小さな話題(サブトピック)を組み合わせたコンテンツ構造を指します。

  • ピラーページ:そのトピックに関する総合的な情報を提供
  • サブトピック:具体的な質問やキーワードに対応する情報を提供

これらのコンテンツを内部リンクで繋ぐことで、Googleなどの検索エンジンがトピックの関連性を理解しやすくなり、SEO効果が高まります。また、検索エンジンに対して、特定のテーマに関する権威であることを印象づけます。

たとえば会計ソフトを提供する企業なら、「確定申告」を主題とするピラーページを設け、これに連動するサブトピックとして「消費税」「インボイス」「電子帳簿保存法」「2割特例とは」「簡易課税」などのコンテンツを展開すると、読者は一連の知識を深められるでしょう。

カスタマージャーニーに沿ったトピッククラスターを構築すると、ペルソナの興味・関心の進捗ステージに応じたコンテンツを提供することにつながるので、リード獲得効果が高まります。

PESOモデル

(出典:有名なマーケティング理論・分析法・考え方を一覧化!知識を深めるおすすめの本もご紹介

PESOモデルとは、「ペイドメディア(Paid media)」、「アーンドメディア(Earned media)」、「シェアメディア(Shared media)」、「オウンドメディア(Owned media)」を組み合わせて活用することを指します。

  • ペイドメディア:各種広告、展示会などの有料メディア。
  • アーンドメディア:レビューサイトなど他者からの評判を獲得できるメディア。
  • シェアメディア:SNSなど情報の共有、拡散につながるメディア
  • オウンドメディア:自社が所有する自社で編集が可能なメディア

この4種類のメディアにはそれぞれ長所があります。オーソドックスな活用としては、ペイドメディアで見込み客へスピーディにリーチし、オウンドメディアで自社への認知を深めてもらい、アーンドメディアで自社の評価を確認してもらうという流れです。

シェアメディア(SNS)については購買前から購買後まで一貫した営業があるので、どの工程でも活用しましょう。

まとめ

最近はオウンドメディアの種類が増え、発信できるコンテンツの形式も多彩になってきました。また、BtoB見込み客のキーマンも、そろそろミレニアル世代、Z世代が中心になってきているはずです。

BtoBのオウンドメディアの多くは昔も今もリード獲得が目的ですが、ペルソナも、ペルソナを取り巻く環境も、伝える手段も年々変わってきていることに留意しましょう。

誰に、何を、どのように提供するのか? ということに結局つきるのですが、ペルソナの解像度を高め、ペルソナが今知りたいであろう内容をリストアップし、それをどのようなオウンドメディア、コンテンツで届けていくかを、アップデートしていただければと思います。