「流入キーワード」がなぜ重要なのか、そもそも何なのかがわからず、お悩みではないでしょうか。
Googleの検索数は2016年に年間2兆回を超えたというデータもあり、Web検索からの集客には大きな可能性があります。
しかし、マーケティングの熟練者が少ないBtoB企業やSaaS企業では、流入キーワードなどのデータを、有効活用できていないケースが少なくありません。せっかくのWebサイトを改善するチャンスを、みすみす逃しているといえる状況です。
そこで本記事では、流入キーワードのデータを使いこなしたいと考えているBtoB企業やSaaS企業のマーケティング担当者に向けて、以下の内容を解説します。
本記事を読めば、流入キーワードを把握して自社サイトを改善し、見込み客やコンバージョンの獲得につなげる方法を理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
流入キーワードとは、Googleなどの検索エンジン経由でサイトを訪れたユーザーが、検索時に使用したキーワードのことです。
たとえば、インターネット広告の代理店を探しているユーザーが「ネット広告 代理店」とGoogleで検索したとします。そして、検索結果の中から自社サイトのページを選んでクリックしたのであれば、「ネット広告 代理店」が流入キーワードです。
流入キーワードを調べることは、検索エンジン最適化(SEO)の成果を確かめるために欠かせません。狙ったキーワードで検索上位を獲得し、流入を増やすことこそが、SEOの目的だからです。
SEOに注力するBtoB企業やSaaS企業であれば、自社サイトの流入キーワードは必ず確認しましょう。
流入キーワードを調べる際には、Webサイトへのアクセスを解析するツールが必要です。無償ツールと有償ツールについて、それぞれ代表的なものを紹介します。
「ツールにはできるだけ費用をかけたくない」という方も多いかと思います。そこでまずは、流入キーワードを調べられる無償ツールを2つ紹介します。
(Googleアナリティクス)
「Googleアナリティクス」は、Googleが提供しているWeb解析ツールです。
無料でありながら豊富な機能を備えており、多くの企業サイトで導入されています。どのツールを使うべきか迷っているのであれば、ひとまず使ってみるとよいでしょう。
流入キーワードを調べる際には、管理画面左側のメニューで「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」を選択します。そして「Organic Serch」をクリックすると、流入キーワードを一覧で確認できます。
ただし「(not provided)」に分類されるユーザーが圧倒的に多くなり、流入キーワードが満足に調べられないことも多いので注意が必要です。
「(not provided)」が多いのは、検索エンジンがSSL暗号化されたことにより、Googleアナリティクスでは検索キーワードを把握できなくなっていることが影響しています。
より多くの流入キーワードのデータを確認したのであれば、Googleサーチコンソールも併用するとよいでしょう。
(Googleサーチコンソール)
「Googleサーチコンソール」は、Googleが提供している無料のSEO分析ツールです。Googleアナリティクスと連携することで、相互の機能を補い合って、より充実した分析ができます。
Googleサーチコンソールで流入キーワードを確認するには、管理画面左側メニューの「検索パフォーマンスをクリックします。集計期間を指定すると、Googleの検索結果について、流入キーワードごとに以下の情報を確認できます。
特定のページを指定して、流入キーワードを調べることも可能です。クリック数が多いページは、個別に流入キーワードの内訳をチェックするとよいでしょう。
有償ツールを導入しなくても、Googleサーチコンソールで必要な情報を十分に集められることも少なくありません。
ツールの費用を抑えたいBtoB企業やSaaS企業であれば、有償ツールを導入する前に、サーチコンソールとアナリティクスをセットで使ってみましょう。
無償ツールでも流入キーワードは調べられますが、有償ツールを使うことでより多くのデータを収集して、高度な戦略を立案できるようになります。おすすめの有償ツールを2つ紹介しましょう。
(ahrefs)
「Ahrefs(エイチレフス)」は、本格的なSEO分析ツールで、特にキーワード分析と被リンク分析の機能が優れています。
料金は月額11,500円〜と安くありませんが、無償ツールでは入手できない高度なデータを扱うことが可能です。
流入キーワードを調べる際には「Site Explorer」を使用します。URLを入力することで、そのサイトについてのさまざまなデータを入手できる機能です。
管理画面左側メニューの「Organic keywords」を選ぶと、流入キーワードを確認できます。さらにキーワードごとに、以下のような情報も確認可能です。
Ahrefsでは、これらの情報を自社サイトだけでなく、他社サイトについても入手できます。URLを入力するだけで、他社サイトの流入キーワードも簡単に分析できるのです。
自社サイトだけでなく競合サイトの調査にも注力したいBtoB企業やSaaS企業であれば、Ahrefsの利用を検討するとよいでしょう。
(Ubersuggest)
「Ubersuggest(ウーバーサジェスト)」は、キーワード選定に強みがあるSEO分析ツールです。
料金は月額2,999円〜なので、Ahrefsよりも低コストで利用できます。
Ubersuggestで流入キーワードを調べる際には「競合レポート」の機能を使います。他社サイトをSEOの視点で分析する機能ですが、自社サイトの分析にも有益です。
調べたいURLを検索窓に入力すると「ドメイン概要」が表示されます。画面を下にスクロールすると表示される「SEOキーワード」の項目で、流入キーワードを確認可能です。
流入キーワードごとに、以下の情報も表示されます。
Ubersuggestでは、1日に3回までは無料でURLを検索できるので、試しに自社サイトを調べてみるとよいでしょう。そして必要性を感じた場合のみ、有料プランに申し込むことをおすすめします。
流入キーワードを調べたら、そのデータを自社サイトの改善に生かしていく必要があります。しかし、流入キーワードを表示させただけで満足してしまい、その後の改善につなげられないBtoB企業やSaaS企業も多いのが実際のところです。
そこで、流入キーワードが何を意味しているのか、押さえておくべきポイントを3つ解説します。
それぞれの流入キーワードは、カスタマージャーニーにおける「認知」「検討」「決定」の各段階に対応しています。
このうち「認知」の段階のキーワードからの流入を優先して増やしましょう。「認知」の段階のキーワードは、他と比べて検索回数が多いため重要なのです。
また、キーワードは製品サービス名やブランド名などで検索される「指名キーワード」と、それ以外の「非指名キーワード」に分類されます。
カスタマージャーニーの各段階で、どちらのキーワードで検索されるかは決まっています。たとえば、そもそも製品名を「認知」していないユーザーは、製品名での検索はできないからです。
カスタマージャーニーのそれぞれの段階には、以下の種類のキーワードが対応します。
検索回数が圧倒的に多いのは、認知の段階である非指名キーワードです。つまり、自社サイトを訪れるのも、「認知」の段階のユーザーがほとんどであるのが自然です。
特にあまり知名度が高くない製品サービスであれば、指名キーワードでの検索は非常に少ないと予想できます。
にも関わらず、流入キーワードを調べた結果、指名キーワードの割合が高かったのであれば、非指名キーワードからの流入が少なすぎる状態だといえます。その場合は、「認知」の段階のユーザー向けの記事を充実させるべきです。
具体的には、悩みを抱えるユーザーが検索しそうな非指名キーワードに対応した記事を作成しましょう。そして、その悩みを解決する手段として、記事中で自社の製品サービスを紹介すると効果的です。
製品サービスの購入にいたる最初の段階として、まずは「認知」してもらうことが大切です。自社サイトでそれが実現できているかを、流入キーワードから分析できます。
流入キーワードを見ることで、狙ったキーワードでの流入があるかを確認できます。
もし狙い通りの流入が実現できていなければ、そのキーワードに関する記事を強化すべきです。
たとえば、研修をオンライン化するシステムを販売するために「研修 オンライン化」というキーワードで検索上位を狙って記事を書いたとします。しかし、記事公開後しばらく経っても流入キーワードに「研修 オンライン化」が表示されなければ、SEOが失敗したと判断できるでしょう。
それ自体は残念なことですが、記事を加筆して内容を充実させたり、関連記事を新たに作成したりといった対策をすれば、流入を増やせる可能性があります。もし流入キーワードを把握しなければ、SEOに成功した記事と失敗した記事の見分けすらつきません。
また、狙ったキーワードで検索上位にある競合記事を分析することで、自社の記事の不足している点を理解できます。その反省を生かすことで、別の記事を作成する際には、検索上位を獲得しやすくなるでしょう。
SEOを成功させるためには、データを分析しながら試行錯誤を繰り返す必要があります。自社サイトを改善する施策を決めるために、流入キーワードの分析は必須です。
ページごとの流入キーワードを確認することで、思うようにコンバージョンが獲得できていない理由がわかるかもしれません。
一般的に、流入キーワードとそのページで促しているコンバージョンの言葉が一致していないと、コンバージョンは獲得しにくい傾向があります。自社のページがこれに当てはまっている場合があるのです。
たとえば、あるページは検索エンジンからのアクセスが多いにも関わらず、コンバージョンにつながっていないとします。ページ内で促しているコンバージョンは「タスク管理ツールの無料体験」です。
その場合、流入キーワードを調べてみましょう。すると、アクセスが多いキーワードは「スケジュール管理 ツール」だと判明することがあります。
「スケジュール管理 ツール」で検索しているユーザーは「スケジュール管理に使えるツールを探したい」と考えています。そのため「タスク管理ツールの無料体験」の案内を見ても、「自分が探しているものとは違う」と感じてしまい、コンバージョンしにくいのです。
ほとんど同じ意味だとしても、どんな言葉を使うかで、ユーザーが受ける印象は大きく異なります。この例であれば、記事内の言葉を流入キーワードに合わせて「スケジュール管理ツールの無料体験」と修正するだけで、コンバージョンが増えると期待できます。
このように、流入キーワードを調べることでページをどう修正すべきかがわかり、コンバージョンの増加につなげられるのです。
流入キーワードを確認することで、狙い通りにSEOができているかを確認できます。期待する結果が得られていない場合は、自社サイトのページをどのように改善すべきかの指針も得られます。
検索キーワードを調べられるツールとして、以下の4つを紹介しました。
まずは無料ツールを試してみて、必要性を感じたら有償ツールを導入することをおすすめします。
SEOに注力するBtoB企業やSaaS企業は、流入キーワードのデータを自社サイトの改善に生かして、見込み客やコンバージョンの獲得につなげましょう。