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ウェブアナリティクスとは?マーケティング担当者が必ず知っておくべきこと

「ウェブアナリティクスが必要だと思いつつも、着手できないままになっている」とお悩みではないでしょうか。

インターネット利用者の割合は13〜59歳の各年齢層で9割を超えており、業界・業種を問わず多くの企業にとって、ウェブサイトの改善は重要な課題です。そして適切な改善のためには、ウェブアナリティクスの活用が欠かせません。

しかし、マーケティング熟練者が少ないBtoB企業やSaaS企業では、ウェブアナリティクスを使いこなせていないケースがよくあります。

そこで本記事では、ウェブアナリティクスの活用を目指すBtoB企業やSaaS企業のマーケティング担当者に向けて、以下の内容を解説します。

  • ウェブアナリティクスでわかること
  • ウェブアナリティクスの指標と意味
  • 注意すべきよくある勘違い

本記事を読めば、ウェブアナリティクスの正しい活用方法を理解して、自社のウェブサイトの改善を始められるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

ウェブアナリティクスとは?

ウェブアナリティクスとは、ウェブの利用状況を理解し最適化するために、ウェブデータを測定、収集、分析、報告することです。単にウェブ上のトラフィックを測定するだけではなく、ビジネスや市場調査、ウェブサイトの有効性の評価と改善のために利用できます。(引用元:Wikipedia英語版

英語の「Web Analytics」は、日本語では「ウェブ解析」や「アクセス解析」と呼ばれることが多いです。そのため、ウェブアナリティクスを「アクセスがどれだけあったか調べること」という程度に理解している方は多いでしょう。しかし本来はもっと広い意味があり、ウェブサイトをビジネスに役立てるためには、欠かせないプロセスだといえます。

発展の背景

ウェブアナリティクスそのものは、インターネットが登場して間もない時期から行われていました。当初はサーバーが書き出すログファイルを参照していたことから、「アクセスログ解析」などと呼ばれていました。取得できるデータは現在とは比べものにならないほど少なく、アクセスがあった日時など、限られた情報だけだったのです。

1990年代後半には、ウェブサイトにJavaScriptのコードを挿入して、ページに「タグ」を付ける方法が普及しました。これにより、デバイスやブラウザ、IPアドレスによる地理的位置など、従来よりも詳細なユーザー情報の取得が可能になっています。

さらに2000年前後には、「Cookie」の利用も広まりました。Cookieを利用することで、ユーザーの識別が可能になり、行動を追跡できるようになりました。同じユーザーによる再訪問を正確に見分けられるようになったことで、ビジネスに直結する情報をより集めやすくなっています。

代表的なツールであるGoogleアナリティクス

ウェブアナリティクスはビジネスにおいて非常に重要であることから、各社がさまざまなツールを提供しています。その中でも最も有名であり、広く使われているのが「Googleアナリティクス」です。

(Googleアナリティクス)

Googleアナリティクスは、Googleが無料で提供しているツールで、ウェブアナリティクスで必要となる基本的な機能をすべて備えています。これからウェブアナリティクスを始めるBtoB企業やSaaS企業には、まずはGoogleアナリティクスを使ってみることをおすすめします。

もしかしたら「無料ツールでは心配だから、有料のしっかりしたツールを使ったほうがよいのでは」と思われるかもしれません。しかし、Googleアナリティクスすら使いこなせない状態で高額なツールを導入しても、宝の持ち腐れとなってしまう可能性が高いので、避けた方がよいでしょう。

ウェブアナリティクスで知ることのできること

ウェブサイトの改善に関われる人員が少ないBtoB企業やSaaS企業では、やみくもに作業を進めても成果にはつながりにくいです。有効な施策をピンポイントで行うために、ウェブアナリティクスのデータを活用しましょう。

ウェブアナリティクスで把握できるデータは、以下の3つのカテゴリーに分類できます

  • オーディエンスデータ
  • オーディエンス ビヘイビアー
  • キャンペーンデータ

これらについて、順番に見ていきましょう。

オーディエンスデータ

オーディエンスデータとは、ウェブサイトの訪問者についての情報です。訪問者の特徴を知ることで、どのようなユーザー向けのウェブサイトを目指すのか、方針を決めるための参考にできます。

オーディエンスデータの例は、以下の通りです。

  • 訪問者数
  • 新規訪問者とリピーターの比率
  • どの国からのアクセスか
  • 使用しているブラウザ
  • デバイスの種類(パソコンかスマートフォンか)

たとえば、パソコンよりもスマートフォンからのアクセスが圧倒的に多いのであれば、スマートフォンで閲覧しやすいサイトを追求すべきでしょう。また、新規訪問者の割合が高いとわかれば、「初めてのユーザーにもわかりやすいサイトにしつつ、再訪問を促す仕組みを整える」といった方針を考えられます。

オーディエンス ビヘイビアー(行動)

オーディエンスビヘイビアーとは、訪問者の行動のことです。行動を分析することで、ウェブサイトを改善するためのヒントが得られます。

オーディエンスビヘイビアーの例は、以下の通りです。

  • ユーザーの最初のアクセスが多いページ
  • ユーザーの離脱が多いページ
  • アクセスが多いページ
  • 訪問者の滞在時間
  • 1回の訪問あたりに閲覧するページ数

たとえば、最初にアクセスされることが多いページがわかれば、そのページの訪問者に他のページも見てもらえるような工夫をすべきです。また、ユーザーの離脱が多いページに関しては、離脱の原因を詳しく調査して、その原因を解消するとよいでしょう。

キャンペーンデータ

キャンペーンデータとは、ユーザーがどこから訪れたかの情報のことです。アクセスが多い経路を把握することで、訪問者を増やすための施策を考えやすくなります。

キャンペーンデータの例は、以下の通りです。

  • 多くの訪問者を獲得したウェブ広告
  • 多くの訪問者を獲得したリンク元のウェブサイト
  • アクセスが多い検索キーワード
  • アクセス元の媒体の内訳(メールやSNSなど)

たとえば、アクセスの多い検索キーワードがわかれば、似たキーワードでSEO対策をすることで、検索上位を目指せるかもしれません。また、FacebookやTwitterなど特定のSNSからの訪問者が多いのであれば、そのSNSに注力すれば、さらにアクセスを増やせると考えられます。

ウェブアナリティクスでよく利用される指標とその意味

ウェブアナリティクスでよく利用される指標と、その意味を紹介します。データを有効活用するために、指標について理解を深めておきましょう。

セッション数

セッションとは、ユーザーがウェブサイトを訪れてから離脱するまでの流れを指します。「特定の期間内におけるセッションの数」がセッション数です。

ユーザーが一度にたくさんのページを訪れたとしても、セッション数は「1」とカウントされます。一方、ユーザーがウェブサイトをいったん離脱してからまた訪問すれば、セッション数は2、3、……と増えます。

UU数

UU数とは「Unique User」数の略で、特定の期間内にウェブサイトを訪れたユーザーの数を指します。あるユーザーが2回、3回、……とウェブサイトを訪れたとしても、UU数は「1」とカウントされるのが、重要なポイントです。

PV数

(UU数、セッション数、PV数の違い)

PV数とは「Page View」数の略で、特定の期間内にウェブページが表示された回数を指します。あるユーザーが2ページ、3ページ、……と多くのページを閲覧すれば、PV数も2、3、……と、どんどん増えていくのがポイントです。セッション数とUU数、PV数の大小関係は、一般的には以下の通りとなります。

UU数 < セッション数 < PV数

訪問別PV数

訪問別PV数とは、ユーザーの1回あたりの訪問におけるPV数の平均値です。たとえばECサイトで、訪問者に多くの商品ページをチェックしてもらいたい場合には、訪問別PV数を伸ばすことを意識するとよいでしょう。

平均滞在時間

平均滞在時間とは、ユーザーがウェブサイトを訪れてから離脱するまでにかかった時間の平均値です。平均滞在時間が長いほど、ユーザーが関心を持つコンテンツが多いと判断できるので、好ましい状態だといえます。

逆に平均滞在時間があまりにも短い場合は、ウェブサイトが訪問者のニーズとズレている可能性が高いです。アクセスを集めても成果につながりにくいため、ユーザーが関心を持つコンテンツを充実させましょう。

直帰率

直帰率とは、最初に訪れたページから他のページに移動せず、ウェブサイトを離脱したユーザーの割合です。一般的に直帰率は低い方が好ましいといえます。

しかし、商品の販売を目的とするランディングページでは、ユーザーに「購入するか離脱するか」を選択させるため、直帰率が高まるのは仕方がない面があります。直帰率が高いことが妥当かどうか、ページの目的を考慮に入れたうえで判断しましょう。

ユーザーのサイト内遷移

ユーザーのサイト内遷移では、ユーザーがページ間を移動した経路を確認できます。ウェブサイトに期待する成果を増やすための改善に利用可能です。

たとえば、ウェブサイトからの問い合わせを増やしたいのであれば、まずはユーザーに問い合わせページへと移動してもらう必要があります。多くのユーザーが遷移するルート中にあるページに、問い合わせページに誘導するリンクを設置することで、問い合わせ数の増加につなげられるでしょう。

ユーザーの流入経路

ユーザーの流入経路では、ユーザーがどこを経由して自社のウェブサイトを訪れているのかを確認できます。流入経路の例は、たとえば以下の通りです。

  • SNS
  • 他サイトからのリンク
  • Googleなどの検索結果

キーワード検索

キーワード検索では、Googleなどでの検索において、どのようなキーワードからウェブサイトにアクセスされているかを確認できます。SEO対策に注力しているのであれば、検索上位を目指したキーワードからのアクセスがあるかどうか、定期的に確認しましょう。

参照サイト

参照サイトでは、他サイトからのアクセスが、具体的にどのウェブサイトからもたらされているのかを確認できます。参照サイトを知ることができれば、そのサイトからのアクセスをさらに増やすための施策を考えられるでしょう。

参照元メディア

参照元メディアでは、ユーザーがどこから訪れているのかをメディア別に確認できます。参照元メディアには、たとえば以下の種類があります。

  • organic:Googleなどの検索
  • referral:他サイトからのリンク
  • cpc:リスティング広告
  • none:データなし

コンバージョン

コンバージョンでは、事前に設定しておいた「ユーザーの行動」に関する回数などのデータを確認できます。コンバージョンとして設定されるユーザーの行動例は、以下の通りです。

  • お問い合わせ
  • 資料請求
  • 商品の購入
  • メールマガジンへの登録

BtoB企業やSaaS企業では、こうしたコンバージョンを得ることが、ウェブサイト運営の目的である場合が多いでしょう。サンキューページへのアクセスを計測する設定などを行い、ウェブアナリティクスでコンバージョンを確認できるようにすることをおすすめします。

広告(Adwords)

(Google広告)

Googleアナリティクスは、Google広告(旧名称:Google Adwords)と連携できます。Googleアナリティクスを利用することで、広告の成果をより詳細に確認できるようになるため、広告を効果的に改善しやすくなるでしょう。Googleアナリティクスでデータを確認するには、Google広告と連携する設定を事前に行っておく必要があります。

マイレポート

マイレポートはGoogleアナリティクスの機能のひとつです。確認したい指標を選んで設定しておくことで、自分専用のレポートが簡単に作成されるようになります。

表示される項目だけでなく、グラフの配置などのレイアウトも調整できます。頻繁にGoogleアナリティクスをチェックするのであれば、マイレポートを設定しておくとよいでしょう。

Google Search Console

(Google Search Console)

Googleアナリティクスは、Google Search Consoleと連携できます。Google Search Consoleは、検索キーワードに関する詳細なデータを確認できるツールです。Googleアナリティクスと連携させることで、以下のような情報を確認できるようになります。

  • 訪問者が検索時に使ったキーワード
  • 最初にアクセスしたページ
  • デバイスの種類

SEO対策に注力している場合は、期待通りの成果が得られているかを、頻繁に確認することが大切です。GoogleアナリティクスとGoogle Search Consoleを連携させてデータをチェックし、必要な施策を行っていきましょう。

ウェブアナリティクスに関するよくある勘違い

ウェブアナリティクスに関するよくある勘違いを3つ紹介します。

ウェブアナリティクスはマーケティング分析ではない

ウェブアナリティクスとマーケティング分析は、同じものだと思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、実際には違います。マーケティング分析にはさまざまな種類があり、ウェブアナリティクスはその中のひとつに過ぎないからです。

マーケティング分析には、他にも以下のような種類があります。

  • 広告分析
  • レベニュー分析
  • キャンペーン分析

ウェブアナリティクスは重要なのですが、それだけでは十分ではないことも意識しておきましょう。

仮説なきところに分析の価値なし

ウェブアナリティクスによる分析を価値あるものにするためには、仮説が必要です。仮説を持たずに分析をしようとしても、データを眺めるだけになってしまうでしょう。

例えば、「ウェブサイトには十分なアクセス数があるのに、商品が売れない」という問題があれば、以下のような仮説が考えられます。

  • 商品販売ページに訪問者を誘導できていない
  • 販売ページに魅力がなく、離脱されている
  • 購入カートに商品を入れたのに、決済を完了させないユーザーが多い

こうした仮説を立てたうえで、この中で正しいものがあるかを検証するために、データを確認しましょう。

見込み客そのものが見える!訳ではない

ウェブアナリティクスでは、ウェブサイトの訪問者の情報を詳しく分析できます。しかし、訪問者が見込み客かどうかを判断することは難しいという問題があります。

「自社の顧客とならないユーザーをどれだけ集めても意味がない」と考えるBtoB企業やSaaS企業の方も、多いのではないでしょうか。その場合は、ユーザーの中から見込み客を判別して個別にデータを収集すれば、より効果的な施策を行えるようになります。

(HubSpot)

見込み客のみを対象としたデータを集めたいのであれば、「HubSpot」などの専門ツールを導入する必要があります。このように、無料ツールであるGoogleアナリティクスには限界があることも、あらかじめ知っておきましょう。

ユニバーサルアナリティクス(UA)からGA4への移行

2020年10月、Googleは「GA4」という新しい種類のGoogleアナリティクスを発表しました。従来のGoogleアナリティクスでは「ユニバーサルアナリティクス(UA)」が使われており、それとは別の種類のものです。

GoogleはGA4をUAの後継と位置づけ、ユーザーにGA4への移行を促しています。2023年にはUAは廃止され、GA4がスタンダードとなる予定です。

しかし、まだUAを使っているという企業も多いでしょう。いずれはGA4に移行する必要があるため、早めに余裕を持って対応することをおすすめします。これからGoogleアナリティクスを導入する企業であれば、はじめからGA4を導入するとよいでしょう。

まとめ

BtoB企業やSaaS企業がウェブサイトを効率よく改善するためには、ウェブアナリティクスの活用は欠かせません。取得したデータを分析してウェブサイトの改善に役立てることで、商品の販売などの成果につなげられます。

ウェブサイトのアクセスを分析する際には、データを集めるだけで満足しないように注意が必要です。ユーザーの行動について仮説を立てたうえで、検証するためにウェブアナリティクスを利用する意識を持ちましょう。