レプトのBtoBマーケティングのブログ|株式会社LEAPT(レプト)

コンテンツSEOとは?BtoBにはデメリットだらけの考え方をわかりやすく解説

Google検索がここ最近すっかりダメになったと感じる方はたくさんいらっしゃるでしょう。米国でも「Google検索は死にかけている」というBlog記事が話題になったようです。

今や何かを調べようと思ってキーワード検索すると、Googleの1ページはほとんど同じような見出しのコンテンツ。7〜8ページまで検索しても同じ状態のときすらあります。困ったことに、中身が充実した記事もスカスカの記事も似たタイトルなので、かえって検索が面倒になりました。

ところで、「コンテンツスパム」という言葉をご存知でしょうか?

検索エンジンのためにだけ公開された、よく書けているが新しいことなど何も言っておらず、関連コンテンツが増え続けることに拍車をかけるだけのコンテンツ」です。

残念ながら、日本ではコンテンツSEOに力をいれている記事の多くが、あてはまるのではないかと思います。もちろん、検索上位に上がることで大きな成果を得ている企業もあるでしょう。

しかし、少なくともBtoB企業がこのようなコンテンツを作っても成果に直結しないどころか、逆に信用を損ないかねません。本記事では、BtoBにはデメリットしかないコンテンツSEOの考え方についてわかりやすく解説します。

コンテンツSEOとは?

コンテンツSEOとは、SEO対策のひとつであり、ユーザーの検索ニーズに沿ったコンテンツを制作し、検索エンジンにサイトを高く評価してもらい上位表示させる手法です。

根底にある「ユーザーにとって有益なコンテンツを作成し発信する」という思想は、コンテンツマーケティングとも同じであり、Googleなど検索エンジンの方針とも相容れるものでしょう。

しかし、現実にはキーワードを入れ込んだだけの内容の浅いコンテンツが作られることが大半。2010年代にはコンテンツSEO=コンテンツスパムと解釈されるようになり、残念ながら、今もその流れは続いていると言えるでしょう。

問題は、キーワードをもとにコンテンツを制作することのみを重視し、コンテンツの品質をあまりに軽視しているところにあります。本記事では、このような悪評を読んでいるコンテンツSEOの考え方を前提に解説します。

日本のSEOの実態

SEO(Search Engine Optimization)にはさまざまなアプローチがありますが、大別するとテクニカルSEOとコンテンツSEOにわかれます。

  • テクニカルSEO:ソース コード、オペレーティング システム、およびサーバー構成。表示速度の改善、など検索上位表示のための最適化アクションの前提条件。
  • コンテンツSEO:ユーザーに対し、有益なコンテンツの内容をGoogleの検索キーワードをもとに発信。画像やデータの活用、サイトのUIを向上させるなどコンテンツを最適化し検索上位を図ること。

コンテンツSEOも適正であれば問題はないでしょう。

しかし、2023年2月に日本のSEO第一人者である辻正浩さん(@tsuj)さんが『marketeer(マーケティア)』の記事で、日本のSEOの歴史や未来について語っています。辻さんによると日本でSEOに関わる人の多くが、昔は人工リンク、今はコンテンツSEOに集中しており、テクニカルSEOの需要は追いついていない状態がずっと続いているとのこと。

また、コンテンツSEOの実態については以下のように厳しい意見を述べられています。

(出典:https://marketeer.jp/tsuji/

コンテンツSEOを支援する会社は、間違いなく減っていくだろうと思っています。

月予算10〜20万円の中小企業に対して手離れよくSEOを支援しようとすると、ツールを提供するか、安価に記事を制作するしかありません。ツールベンダーは価値のあるものを提供していることが多いように感じますが、問題は、記事制作系の会社です。

もちろん、安価でも全力でいいコンテンツを作っている会社はあります。しかし実態は、クラウドソーシングを活用して1文字0.5円で作った記事をそのまま1文字20円の記事として納品する、40倍の錬金術をおこなうような会社がほとんどです。こんなひどい会社は必ず淘汰されていくでしょう。❞          
(引用:https://marketeer.jp/tsuji/

これは、本当にあるあるの世界ではないかと思います。それなりのレベルの企業のオウンドメディアのコンテンツが、実際は時給200 〜500円で書かれた決して品質が高いとは言えないコンテンツになっていることが珍しくありません。

最近は、AIを活用していかに効率的にコンテンツを仕上げるか、というノウハウが界隈では人気ですが、話のテーマもいかに安く大量に記事が作れるかというテーマに終始するケースが多く見られ、品質を高めるのは丸投げ先のクリエイターであり自分たちの仕事ではないと思っている姿勢すらうかがえます。

やはり発注企業側が、どのように記事が作られているかまで理解した上で、コンテンツ制作会社をしっかり選択する必要があるでしょう。

SEOのガイドラインとは?

SEOとは「検索エンジン対策」という意味です。検索エンジンは何種類かありますが、2023年時点ではGoogleの存在が圧倒的であり、SEO=Google対策と言えます。

では、Googleはどのようなコンテンツを評価するのでしょうか?

Googleは「検索セントラル(旧ウェブマスター向けガイドライン)」の「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」のページで、評価するコンテンツについて詳細な情報をオープンにしています。

その1:検索者に対して有益な情報を届けることが最優先

コンテンツについては、クリエイター自身が、コンテンツの自己評価ができる質問が用意されています。以下は一部を引用したものです。

以下の質問に「はい」であれば、有益なコンテンツになっている可能性が高くなります。

なお、クリエイターと書かれていますが、BtoBならコンテンツ発注者、制作会社、クリエイターすべてが自問自答すべき内容です。


コンテンツと品質に関する質問

  • コンテンツは、独自の情報、レポート、研究または分析の結果を提示しているものですか。
  • コンテンツには、自明の事柄だけでなく、洞察に富んだ分析内容や興味深い情報が含まれていますか。
  • コンテンツが他のソースを参考にしたものである場合は、単なるコピーや書き換えではなく、付加価値とオリジナリティを十分に示すものですか。
  • 自分でもブックマークしたい、また友人に教えたりすすめたりしたいと思えるページですか。

~略~

コンテンツの提示や制作に関する質問

  • コンテンツは適切に制作されていますか。雑に、または急いで制作されたような印象を与えるものではありませんか。
  • コンテンツが(外部委託されるなどして)多数のクリエイターによって大量に制作されているために、または複数サイトの大規模なネットワークに拡散されているために、個々のページまたはサイトのプレゼンスが低下していませんか。

~略~                    

 (出典:Google検索セントラル

その2:検索エンジンを第一に考えたコンテンツ作成を回避する

こちらの質問のほうが、よりわかりやすいかもしれません。

Google が上位表示するのは、検索エンジンを第一に考えて作成したコンテンツでなく、ユーザーを第一に考えたコンテンツと明示し、以下の質問が用意されています。

「はい」の回答をした場合、コンテンツの作成を再評価する必要があると書かれています。

つまり、以下のようなサイトをGoogleは評価しないということです。


  • コンテンツは検索エンジンからのアクセスの増加を主な目的として作成されたものですか。
  • いずれかが検索結果の上位に表示されることを期待して、さまざまなトピックで多くのコンテンツを制作していますか。
  • 多くのトピックについてコンテンツを作成する際、かなりの部分に自動化を使用していますか。
  • 価値を付加することなく、主に他の人の意見を要約していますか。
  • ユーザーがコンテンツを読み終わっても、他のソースからより良い情報を得るために再び検索する必要があると感じさせてしまいますか。
  • Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか(そのような設定は存在しません)。
  • 検索トラフィックを獲得できると考えて、実際の経験がないにもかかわらず、ニッチなトピックを扱うことにしましたか。

(出典:Google検索セントラル

その3:コンテンツに関する「誰が、どのように、なぜ」を考える

Google はこれまで提唱してきた「E-A-T」に、2022年12月から「Experience(経験)」を加えた「 E-E-A-T 」という観点を推奨しています。E、E、A、Tは以下の英単語の頭文字です。

  • Experience(経験)
  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trust(信頼性)

例えば、コンテンツの著者が誰であるかを明確にすることは、E-E-A-T のコンセプトに沿っているとし、あわせてバックグラウンドや専門分野についての情報を掲載することを推奨しています。

どのような人がどのような知見に基づいてコンテンツを制作したかが、さらに重要な要素になりました。

(出典:Google General Guidelines

Googleは、コンテンツSEOなどによる検索エンジン対策として制作されたコンテンツを評価しません。昔からそうですが、ユーザーのために有益な情報を提供しているコンテンツを評価しています。改めてこの点を認識しましょう。

基本的なSEO対策をした上で、自社が届けたい人に向けた本当に有益なコンテンツを作成していれば、定期的に行われるアルゴリズムのアップデートに右往左往する必要がほぼなくなるはずです。

(参考:Google検索セントラル

コンテンツSEOのメリットを享受できる領域

とはいえ、BtoB企業にはあまり意味がないコンテンツSEOでも、一部メリットを享受できるビジネスもあります。

アフィリエイターのウェブサイト

アフィリエイターとは、自分のサイトに広告をのせ、その反響によって収益を得るビジネスモデルです。多くが個人サイトで、日本アフィリエイト協議会の調査ではアフィリエイターの約80%が副業として取り組んでいます

報酬実態は、月10万円以上の収入を得ているのは上位約5%にすぎませんが、なかには100万円以上稼ぐアフィリエイターも存在します。

このようなアフィリエイトサイトの報酬プランは、広告を経由して商品の購入・サービスの申し込みをした場合に報酬が発生する成果報酬型、広告表示回数に応じて報酬が発生するインプレッション型、広告をクリックした回数に応じて報酬が発生するクリック型です。

いずれもサイトに大量の人を集められるかが勝負なので、コンテンツSEOに力を入れることは有用でしょう。アフィリエイト広告を活用する多くは、BtoCもしくはBtoBtoC(求人サイトなど)なので、一般消費者向けのコンテンツ作成でよく、それほど専門性は求められない点も向いている理由です。

(出典:一般社団法人 日本アフィリエイト協議会

ロケーション(場所)依存のサービス

ロケーション依存のサービス。例えば、地方の飲食店、スポーツジムなどは、自分たちで場所軸のコンテンツSEOをしていくことが有意義なビジネスモデルです。

そうでなければ、「エキテン」「食べログ」「ホットペッパー」などに依存するしかありません。それなりの広告費が発生しますし、口コミサイトの場合は無料掲載できても、有料店を優遇するアルゴリズム変更があるといわれるなど、いろいろ問題も懸念されます。安心して無料掲載できるのはGoogleマップくらいでしょう。

地方の個人店はそれなりに個性があるので、創業ストーリー、こだわりの商品、あるいは地方のトレンドなどを盛り込んだサイトを作成し「場所 〇〇」といったキーワードでコンテンツSEOを実施すれば、エリアでサービスを探している人にとって有益な情報になるでしょう。

コモディティ化したサービス

コモディティ化とは、類似商品の増加により、どのメーカーの商品もあまり変わらないレベルになっていくことです。例えば、スマートフォンは今なら無名メーカーのものでも一定レベルの品質が期待できます。Web会議、ビジネスチャットもそうなりつつあります。

どれを買っても似たようなものならば、「安ければいい」「買いやすいほうがいい」「何となく知っている」などが大きなポイントです。コンテンツSEOに力を入れてオンライン上で露出することが優位性につながります。

いろいろなキーワードで検索し上位表示されると、ザイオンス効果によって徐々に信頼度が高まります。すでにユーザーもかなり知識をもっているため、コンテンツの内容が浅くてもあまり影響はありません。

BtoB企業に対してコンテンツSEOの展開は(ほとんど)意味無

BtoB企業がコンテンツに求めていることは何でしょうか? と考えてみれば、コンテンツSEOがほとんど無意味であることがわかります。

BtoB企業の特性1:長期関係性が大切

BtoC商材の多く、特に消費財は、棚で目立っていたり宣伝をよく見たりするなどの理由で購入されます。サービス提供側はリピートしてほしいためブランディングに力を入れますが、基本は短期的な関係性です。

一方、BtoB企業の取引は長期取引になることが一般的です。買って終わりではなくそのプロダクトを活用して何かしらの成果を出す必要があるため、取引企業はパートナーのような存在でもあります。

パートナー選びのためにバイヤーは、機能や価格、サポート体制、組織としての信頼性、ベンダーの営業担当者の力量、自社との相性など、さまざまな要素を加味します。

一方、ベンダー側も単にオンライン上で知名度を上げることにはさほど意味がなく、長期取引できる顧客と出会うためにコンテンツを作成します。

そのため、ビックワードのような大きい疑問に対してコンテンツSEOに力をいれるのではなく、ロングテールのような地味なキーワードにピンポイントで回答をするコンテンツを多数作るほうが専門性が伝わり、長期のパートナーとして適切だとアピールできます。

BtoB企業の特性2:信頼性の重要性

BtoB取引においては企業の信頼性が何より重要です。最近の調査でも、BtoB購入者の 72% が、社会的責任のある企業から購入する可能性が高いと述べています。

社会的責任のある企業かどうかをチェックするのも、カスタマージャーニーの初期は当然、コンテンツからしか判断できません。コンテンツにも信頼性が求められます。

コピーライティングの基本原則として、購入額が大きいほど人に購入を納得させるために必要な社会的証明が多くなるので、高額案件を扱うBtoB企業ほどコンテンツの信頼性は重要でしょう。

2019年のBtoBマーケティングについての統計では、バイヤーがベンダーを選んだ理由の第3位にコンテンツを提供する能力が入っています。

  1. ソリューションとビジネス環境に関するベンダーの知識 (69%)
  2. バイヤーの会社とニーズに関するベンダーの知識 (65%)
  3. ベンダーが作成したコンテンツを提供する能力(62%)

内容の浅いスカスカのSEO記事では、収益貢献どころか足を引っ張りかねないでしょう。

(出典:Finance Online

BtoB企業の特性3:態度変容に時間が掛かる

BtoB企業は、購買までに要する時間がBtoCより長くかかります。単価にもよりますが、早くて半年、1〜2年はもちろん3年がかりで成約するケースも珍しくありません。

BtoBの場合、何かしらの課題が発生して購買にいたり、その課題に適した製品・サービスを選択するにはそれなりの専門知識が必要になります。担当者は購入したプロダクトを活用して成果を上げたり、購買活動自体が自身の評価にも影響したりするため非常に慎重です。

意思決定にあたっては、ベンダーのWeb サイトや詳細なレポート 、ガイド、パブリック ドメインのコンテンツなど、ジャーニー全体で平均 10 の異なる情報源を使用するという調査結果もあります。バイヤーは、さまざまなコンテンツをもとに判断しているのです。

態度変容に時間がかなりかかるので、コンテンツも見込み客の購買心理にそって、見込み客の問いに応える説得力のあるコンテンツを多種類用意しておく必要があります。

BtoBのカスタマーライフサイクル:

(出典:Smartinsights.com

BtoB企業の特性4:DMU(購買ユニット)の存在

さらに、稟議書を書き承認を受けるというプロセスがあり、発注担当者だけでなく社内の複数の購買関係者の力が影響してきます。

経理部長、法務部長、役員、現場のトップなど企業によってメンバーは異なりますが、DMU(バイイングセンター)と呼ばれる社内の購買関係者たちが、適正な購買であるかどうかをチェックします。クライアント側にとっては癒着を防いだり、高すぎる買い物をしないためのリスクヘッジです。

DMUの数は業界や企業規模によって異なりますが、2018年のハーバード・ビジネス・レビューの記事によると、BtoBソリューションの購買に関わるDMUの人数は6.8人に上昇しています。

米Inbox Insight社の最近の「ABMのマーケティング調査レポート」において、B2Bマーケターは、コンバージョンを妨げる要因のひとつとして「DMUのメンバー全員をマーケティングセグメンテーション戦略に組み込むことを怠っていたこと」をあげています。

ほとんどの会社でDMUメンバーは必ず関与してくるので、カスタマージャーニーをリアリティを持って描き、検索ニーズは少なくともDMUの問いにこたえるコンテンツを用意しておくことが重要です。ビッグワードメインのコンテンツだけでは、必要なコンテンツはまったく網羅できないといっても過言ではないでしょう。

(参考:Finance Onlinesendcloud.comForbes.comb2bbinternational.comSmartinsights.cominboxinsight.com

まとめ

Googleは一貫して、ユーザーに有益なコンテンツを評価するというポリシーを持ち続けています。その方針にそってコンテンツを作成していれば、Googleのアルゴリズムが多少変わったところで影響はそうありません。

私自身もこのBlogはコンテンツマーケティングの一環なのですが、SEO対策には特に力を入れていません。だから、検索上位に上がらない記事も多いのですが、それでも見込み客から問合せは十分にきています。上位に上がる=問い合わせがあるとは限らないのです。

Google検索セントラルには、かなり詳細にGoogleの方針、コンテンツの評価ポイントが公開されています。今一度確認し、コンテンツ制作に対するスタンス、体制を整えていただければ幸いです。