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パレートの法則(80:20の法則)とは ? マーケティングの視点から身近な例を使ってわかりやすく解説

自社の売上げを振り返ってみたときに、売上げの大部分を生み出しているのがごく一部の製品やサービス、もしくは上位数社の顧客に限られている、ということはないでしょうか? これは「パレートの法則」と呼ばれるものです。

SMBを専門とするSaaS企業でも、大きなアカウントが売上げに対する高い占有率を持っていることが多くあり、パレートの法則は意外と近くで見ることができます。

この記事では、ビジネスシーンでよく耳にする「パレートの法則」について、その意味や成り立ち、基本的な考え方から、ビジネスシーンでの事例、マーケティング戦略への応用方法についてわかりやすく解説していきます。

ぜひ、自社のビジネス戦略立案に役立てていただければと思います。

パレートの法則とは

(出典:Medium)

パレートの法則とは、あらゆるものごとについて、その構成要素と成果物全体の割合には偏りがあり、成果の大半はごく一部の要因によって発生している、という傾向のことをいいます。

19世紀にイタリアの経済学者であるVilfredo Pareto(ヴィルフレド・パレート)氏が「国家の富の80%は20%のごく一部の富裕層によって占められている」という所得分布の統計結果を提唱したことがはじめとされており、それにあやかり「80:20の法則」や「ばらつきの法則」とも呼ばれています。

もともとは経済学の領域で語られることが多かった法則ですが、現在ではビジネスの世界でも引き合いに出されるようになっています。特に「ごく一部の要素が大きな成果を生む」という事象から、その一部の要素を割り出し、そこへ集中的にリソースを注ぐことで効率的に成果につなげるといったように、経営の観点からも広く注目を浴びている考え方です。

発展とその考え方

1848年にイタリアに生まれたパレート氏は土木工学者、社会科学者、哲学者、経済学者など生涯を通して多くの分野に精通した人物でした。ある日彼は、自身が栽培するエンドウ豆の苗の総数と収穫するエンドウ豆の総数に、一定の傾向があることに気づきました。全体のエンドウ豆の収穫数の約80%は、約20%のごく一部の苗によって作られていたのです。

これに着想を得たパレート氏は、後にイタリア全土を対象とした統計で、「イタリアの全土のうち約80%は、イタリア全人口のわずか約20%ばかりの限られた富裕層によって所有されている」という研究結果を発表しました。

彼はその後も、世界中のさまざまな時代の都市を対象に研究を続けましたが、その多くは土地の所有率と所有者の所得や人口割合についてなど、似たような結果を示すものばかりでした。

また、国の生産量を対象にした研究においても、ほとんどのケースで国内生産量の約80%は約20%の限られた会社による生産が占めていました。パレート氏はこれらの研究から、経済学における「80:20の法則」を提唱したのです。

しかし、実は「パレートの法則(Pareto Principle)」という名前が定着したのは、パレート氏が亡くなってからだいぶ後のことです。

1950年代に、アメリカの経営工学コンサルタントであり現代産業の品質管理のパイオニアと呼ばれるJoseph M. Juran(ジョセフ・M・ジュラン)氏が、品質管理において自身が提唱する「Vital few and trivial many(重要な少数と取るに足りない多数)」という概念を説明する際に、先人であるパレート氏の研究を引き合いに出したことがきっかけでした。

(出典:Global Advisors

彼はパレート氏の研究をもとに、産業における品質管理の領域においても「製品不適合の約80%は原因全体の約20%の主要な原因(Vital few)によって引き起こされており、他の80%の原因は軽微であることが多い(Trivial many)」と提唱しました。

例えば、上図は製品の不適合の原因がX軸(A〜J)、それぞれの原因が全体の不適合率に及ぼす貢献度を左のY軸と緑の棒グラフ、全体の不適合率を右のY軸と黄線で表しているものです。原因A、B、Cがもつ影響度はそれぞれ35%、25%、15%、合計75%です。この場合、「重要な少数」であるA、B、Cの問題を優先的に解決することで、製品不適合率を75%も減らすことができます。

逆に「取るに足らない多数」であるD〜Jの問題をいくら解決しても、抑えられる製品不適合率は25%までです。この考えは現代においても企業の品質管理の基礎とされています。

もともとパレート氏の研究は経済学に関する統計だったのですが、ジュラン氏はこの法則は品質管理や組織運営はもちろん、その他さまざまな事象に適用可能な普遍的な原則であると説いており、これがきっかけでパレートの法則はビジネスをはじめとするさまざまな分野において広く使われることとなりました。

パレートの法則の重要性

パレートの法則は、ビジネスや日常生活の多くの場面において非常に有用です。この法則を理解しておくことで、効率的な意思決定やリソースの最適な配分に役立つからです。以下、ビジネスで活用できる具体的な場面を詳しく解説します。

現状のコストや利益の割合・配分把握の手がかりになる

パレートの法則は、「すべての努力やリソースが、同じ結果をもたらすわけではない」という考えに基づいています。実際、一部の小さな努力やリソースだけで、全体の大部分の結果が生まれる事例も多数存在していると言えます。

パレートの法則を理解し、ビジネスの文脈に応用することで「ビジネスのプロセスにおいて、現在どこにどのくらいのコストや時間、労力、利益が生じているのか」「どの部分が最も価値があるのか」「どこにリソースや時間を集中的に投入すべきか」を明確にする手掛かりになります。

パレートの法則を用いた分析結果をもとに、企業は現状でのビジネスの状況を的確に理解し、より効果的な戦略を策定することができるのです。

とある製品の工場で「20%の製造ラインが、全体の80%の利益を生み出している」と分かった場合、20%の製品ラインに注力することが重要だ、という判断につながります。

やること、やらないことの優先順位がつけられる

パレートの法則をビジネスの文脈に応用することで、「どこに注力するべきか、逆にどこに手を掛けないか」を把握する手がかりにもなります。リソースや時間を最も価値のある活動に集中させ、非効率的な活動を最小限に抑えることができるでしょう。時間、資金、人員などを最も効果的なビジネスの領域に集中させて、最大のリターンを得るための戦略的な意思決定を助けてくれます。

  • 社内の営業担当者のうち「20%のメンバーが、全体の80%の売上げを生み出している」とわかったら、トップ成績を出している営業担当者を特定し、その成功の要因を分析して、他の営業担当者にも適用して成果の向上を図ることができるでしょう。
  • 報告されたソフトウェアのバグのうち「20%が、ソフトウェアのクラッシュの80%を引き起こしている」とわかったら、ソフトウェアの開発チームは影響度の高いバグに優先的に対応し、ソフトウェアの安定性を向上させることができます。
  • 家族経営で小規模なコーヒー農園を運営している一家がいるとします。彼らは、業務上のすべてのタスクを処理することは不可能であると認識しています。そこで、パレートの法則を利用することで、最も重要なタスクを特定し、それに注力できるようになります。残りのタスクは外部委託するか、戦略に基づいて「敢えて取り組まない選択」もできるでしょう。このアプローチにより、彼らは時間とエネルギーを最も価値のある活動に集中させることができ、全体としての生産性を向上させ、ビジネスの成果を高めることができます。

パレートの法則に似た概念

パレートの法則によく似た概念に、「働きアリの法則(2-6-2の法則)」や「ロングテール」「ABC分析」といったものがあります。

働きアリの法則(2-6-2の法則)

働きアリの法則とは、北海道大学の長谷川英祐氏が提唱し、その名の通り働きアリの習性を進化生物学の領域から研究したもので、パレートの法則の亜種と呼ばれています。働きアリの習性の概要は以下です。

  • 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
  • よく働くアリと、時々サボるアリと、ほとんど働かないアリの割合は、2:6:2である。
  • よく働くアリ2割を巣から間引いても、残ったアリからよく働くアリが新たに発生し、全体の割合は2:6:2に戻る。
  • よく働くアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に戻る。

アリのコロニーは人間の会社や組織などのコミュニティに置き換えることができます。働きアリの法則はパレートの法則の「20%の要素による働きが全体の80%の成果を占める」という意味合いを、より人間の行動に当てはめて考えることができるため、ビジネスにおいての人材配置や育成など組織のパフォーマンスを保つために使われます。

ロングテール

(出典:Forbes)

ロングテール(Long tail)とは、物品販売における手法のひとつ。販売機会の少ない商品であっても商品数を数多く取り揃えることで、販売対象となる顧客の総数または総体としての売上げを最大化するものです。主に店舗の広さや商品展示スペースに囚われない、インターネットを用いた物品販売で取り入れられている手法です。

前項で紹介した、パレートの法則におけるジュラン氏の「Vital few and trivial many(重要な少数と取るに足りない多数)」でいうところの「重要な少数」ではなく、「取るに足らない多数」に重点をおいた手法とも言えます。

80%の売上げを占める20%の商品ではなく、20%の売上げを占める80%の商品を数多く取り揃えることで、主要商品だけではカバーできない幅広い顧客層を取り込み、結果的に売上げを伸ばすというものです。

上図のとおり、長く伸びた「恐竜の尻尾」部分をさらに長くしようという意味合いから「ロングテール」と呼ばれます。逆に、上図の左側「頭」の部分は「ショートヘッド」と呼ばれます。

ただ、企業がロングテールの手法を取るためには非常に多くの品目を揃える必要があり、AmazonやAlibabaのように、インターネットによる販売網や巨大な物流システムを備える必要があることがネックです。

ABC分析

ABC分析とは「売上高」「コスト」「在庫」といった評価軸を一つ定め、それに基づいてA、B、Cの3つのグループに分け、それぞれのグループの優先度を決定する方法です。この分析は、パレートの法則(売上げの8割は、全体の2割の商品がもたらしている)が基になっています。

例えば、ある製品を「売上高」で3つにグループ分けしたとします。その場合、以下のような経営上の判断につながります。

Aグループ

多くの利益をもたらす可能性が高い商品。

機会損失を避けるため、多めに在庫を確保すべきだと判断できます。

Bグループ

一定の利益をもたらす可能性がある商品。

在庫確保に関しては、現状維持が基本路線となります。

Cグループ

利益をもたらさない可能性が高い商品。

在庫を減らすか、商品の撤退を検討することになります。

 

ABC分析を行うメリットは「売れ筋商品と、そうでない商品を区別し、販売戦略を立案できる」点です。

ただし注意点もあります。

「流行商品や季節限定商品」は、世の中のトレンドや天候条件に応じて一時的に大きな売上げを上げる可能性があります。よって「流行性や季節性を理解したうえで、また数カ月後にABC分析を再度実施して在庫確保の方針を判断する」など、特別な対応が必要だと言えるでしょう。

また「Cグループ」の商品を単に「無視する、切り捨てる」というわけではなく、特定の状況や条件下での価値(流行や季節、天候が変わればまた異なる結果が表れて、在庫確保について、時に応じて違う判断が必要かもしれない、など)を考慮に含めることも重要です。

マーケティングにおけるパレートの法則の身近な例

パレートの法則の身近な例を、マーケティング領域で見てみましょう。

WebやWeb広告の分野での例

Webサイトの全体のトラフィックのうち、2割のページが8割のトラフィックを生み出している:

アメリカのUI・UX関連のコンサルティング会社「ニールセン・ノーマン・グループ」の記事では、「ある一つのWebサイト内の2割のページが、8割のトラフィックを生み出している」というデータを、パレートの法則の一例として紹介しています。

(出典:Prioritize Quantitative Data with the Pareto Principle

ここでサンプルとして分析対象にされているWebサイトには、多くのページが存在します。しかし、その中で「ページK」「ページB」「ページE」「ページA」の4ページだけで、サイト内の80%のページビューを生み出しているという、重要なページであることが分析によって示されています。

この4つのページのユーザーエクスペリエンスの最適化を優先することで、全体のページビューの約80%を向上させることができるでしょう。4つのページへの投資(UX改善)は最も高いリターンをもたらすだろう、と推論することができます。

検索広告では、キーワードの20%で、コンバージョンの80%とトラフィックの80%を生み出す戦略を取るのが有効:

SEOやデジタルマーケティングに関するアメリカのWebメディア「Search Engine Journal」によると「検索広告においてパフォーマンスの高いキーワードを特定し、それを中心にキャンペーンを組み立てることで、効果的な広告運用が期待できる」と述べられています。

パフォーマンスが高いキーワードに基づいて、広告キャンペーンを作成し、それ以外のキーワードを除外することで、広告の効果を最大化することができる、という考え方です。

企業がSNSに投稿すべき内容はコンテンツ80:広告20:

アメリカのマーケティング支援会社「BrandMuscle」は、次のように述べています。

「企業がSNSに投稿するコンテンツの80%は、ユーザーに価値(教育的、問題解決、エンターテイメントなど)を提供すべきです。残りの20%は宣伝的な内容としてOK。ユーザーは楽しみや情報を求めてソーシャルメディアを利用しており、広告だけを見るためには利用していません。この80/20のバランスは、収益を最大化するのに効果的」

営業の分野での例

続いてパレートの法則を、営業分野に当てはめて具体例を見てみましょう。

売上げの8割は、全体の2割の顧客が生み出している:

パレートの法則は、あるグループの20%が全体の80%の結果を生み出すという考え方を示しています。

例えば、1千万円の売上高の内訳は、パレートの法則に基づいて考えると「1000人の顧客があなたに1万円を支払った」とはなりません。「1000人中の200人が4万円を支払い、800人が2500円を支払う」ことを意味します。つまり「少数の顧客が、大部分の収益を生み出す」ことを示しています。

アメリカのビジネス関連メディア「Entrepreneur」は、「顧客の中には、あなたのビジネスにとって非常に重要な20%の顧客が存在します。ビジネスの繁栄に不可欠な20%の顧客に焦点を当てることが大事です」と主張しています。

先に述べた例「1000人中の200人が4万円を支払い、800人が2500円を支払う」に沿って考えると、高価な製品やサービスを購入する顧客は、少数派に当てはまると言えるでしょう。

しかし、製品を自ら他者推奨(周囲にオススメ、クチコミ、宣伝)してくれるなど、ロイヤルティの高い特別な顧客になり得ます。よって、最も多く購入してくれる20%の顧客に焦点を当てることが大切だと言えるでしょう。

営業担当者の努力のうち、2割の活動が8割の成果を生み出す傾向:

「営業担当者の活動の20%が、成果の80%を生み出す」といった傾向も挙げられます。これはなぜかと言うと、効果的な営業戦略やターゲティングを定めることで、全体の成果の大部分を生み出す可能性が高いからです。

ターゲットグループに合わせてメッセージをパーソナライズすると、収益に大きな影響を与える可能性があります。マッキンゼー・アンド・カンパニーの「Next in Personalization 2021」レポートによると、顧客の 76% がパーソナライズを行う企業からの購入を検討する可能性が高く、78% が繰り返し購入する可能性が高いことがわかりました。

さらにこのレポートでは、メッセージがパーソナライズされていない場合、消費者の76% が不満を感じていることがわかりました。

つまり、「買い手側は、売り手側のオファー内容が自分に合っていれば買う気になる割合がかなり高い」と言えます。逆に「オファー内容が自分に合ってないとイライラして買う気を失くす」とも。それほど、適切なターゲティングや営業戦略は、ビジネスの成果に影響を大きく与えると言えるのです。

パレートの法則をビジネスの例に当てはめてみる

さまざまな分野に応用が効くとされているパレートの法則ですが、ここでは実際にビジネスシーンでパレートの法則が適用できるケースを考えてみましょう。

例1:製品の機能数とユーザーの使用時間(IBM)

ビジネスシーンにおいて、今やコンピュータを使用しないというケースは限りなく少ないでしょう。パーソナルコンピュータ業界を牽引する大企業であるIBMは1963年、ユーザーが自社コンピュータの機能のうち2割を使用するために8割以上の時間を費やしており、逆に8割以上の機能はほとんど使用されていないことを発見しました。

そこでIBMはすぐにプログラムを書き直し、その2割の機能を素早く簡単に使用できるようにした新製品を開発しました。するとそれまで多くのユーザーにとって時間がかかっていた作業が早く済むようになり、新商品の売上げを大きく伸ばす要因となったのです。

例2:総売上げと顧客数(航空会社)

パレートの法則がうまく当てはまっている業界のひとつが航空業界です。一般的に航空チケットは購入するシートに応じてファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスなど価格に大きな差があります。全ての搭乗客に同じ区間への安全な搭乗を約束したうえで、購入するチケットのクラスに応じて段階的にサービスが優遇されたり、広く快適な座席を提供したりしています。

これは、航空会社がパレートの法則をうまく活用し、航空券の売上げの大半をごく少数の顧客が占めるようにしているためです。多くの売上げをもたらしてくれる優良顧客に対して、他と差別化した優良なサービスや扱いを提供し継続的な利用を促すことで、同時にエコノミークラス向けにより低価格でリーズナブルな価格帯での航空チケットの提供を可能としています。

またアメリカン航空は、今や当たり前となっているマイレージを初めて開発したことで知られています。

座席のクラスとは別に「アドバンテージプログラム」という仕組みを開発し、自社のサービスを利用すればするほど価格がお得になったり、搭乗時のサービスのランクが上がったりするという優良顧客向けのサービスを提供し、優良顧客の継続利用を促しました。これも、「重要な少数」に重きを置いたパレートの法則の例と言えるでしょう。

例3:ロングテール(Wal-Mart / Amazon / Alibaba)

Forbesの記事では先に紹介したロングテールの手法について、アメリカのスーパーマーケットであるWal-Mart、アメリカのオンライン販売のAmazon.com、中国オンライン販売のAlibabaを用いて解説しています。

Wal-Martはアメリカ全土に数多くの店舗をもつスーパーマーケットの大企業ですが、実店舗に重きを置いたビジネス形態をもつため、どうしても1店舗ごとに陳列できる商品に限りがあります。

そのため本に焦点を絞って見た際に、Wal-Martに陳列されている本は全米売上げのトップ40までが限界です。Wal-Martは他の多くの店舗型ビジネスがそうであるように、売上げの上位を占める「ショートヘッド」の販売形態をとっています。

一方でオンラインでの販売を主とするAmazon.comは、店舗スペースによる商品数の制限がありません。売上げの大半を占める「ショートヘッド」の強化はもちろんのこと、自社の巨大な倉庫や物流システムを活用し、あまり売上げが見込めない商品を含め数多くの商品を備える「ロングテール」の手法を駆使し、幅広い層の顧客を取り込むことで天井知らずの売上げを得ています。

ところがこの2社の「尻尾」を「ウサギの尾」のように短く感じさせてしまうのがAlibabaです。Alibabaのサービスに加え、一般ユーザーが気軽にオンライン店舗を創設できるタオバオサービスを開始しました。

「見つからない宝物はない」という言葉の意味の通り、非常に多くの種類の商品がオンライン上に出回ることになり、今や中国のオンラインショッピングのシェアの70%以上を占めるに至っています。

パレートの法則をマーケティングに活用するポイント

それでは実際に、パレートの法則をマーケティングで活用する際は、どのような点に気を付けるべきでしょうか? ここではHubSpotの記事を参考に、あなたがマーケティング組織を運営する立場であると仮定して解説していきます。

効果的な施策の選定

まず最初に、パレートの法則の大原則を思い出してください。「成果の80%はチームの働きのうち20%の要因から生まれる」でしたね。まずは求める成果を明確にしたうえで、その成果に繋がる要因をリストアップすることが最初のステップとなります。

「20%の要因が80%の成果を生む」というパレートの原則を基に、目指す成果を明確にし、それに繋がる要因をリストアップします。マーケティングチームでアイディアを出し合い、可能な施策をリスト化。その後、各施策の成果への貢献度を評価し、合計が100%になるように分配します。貢献度が高い施策から実施し、低いものは後回しにしてリソースの無駄を避けます。

(出典:STRATECHI)

優良顧客と市場の特定

パレートの法則に基づくと、売上げの約80%は、特定の優良顧客や市場(約20%)から生まれるとされています。この20%の顧客や市場を特定することで、リソースを集中的に配置し、効果的な成果を上げることができます。

特にBtoBのビジネスでは、新規見込み客の創出に多くのリソースが使われがちですが、既存の優良顧客からの売上げを増やすことに焦点を当てることで、人的リソースの消費を抑え、より効率的な結果を期待できます。

パレートの法則を活用すれば、売上げの大半を占める優良顧客は既存顧客から割り出すことが可能です。優良顧客を継続的に維持する、もしくはさらに売上げを伸ばすことに焦点を当てた施策への、リソースの再配分を検討しましょう。

チーム内の不均衡を把握する

パレートの法則および前述の働きアリの法則に言えるとおり、一般的にチームの成果の80%をもたらすのは20%のチームメンバーです。残念なことですが、残りの80%のメンバーは全員でも全体の成果の20%しかもたらさないのが一般的です。

ただ働きアリの法則で紹介したとおり、80%のメンバーを役に立たないからと排除してしまうと、優秀だった20%のメンバーの効率が下がり、結果的に成果は低くなってしまいます。また、逆に期待するあまり上位20%のメンバーの業務負担が多くなってしまうと、モチベーションの低下につながり、やはり成果が低くなってしまう危険性があります。

メンバーの成果を正しく評価したうえで、上位20%のメンバーがさらに効率よく成果を上げられるよう、また下位80%のメンバーが不当に評価されていると感じないように、適正な業務内容の配分や評価の仕方を検討すべきでしょう。

パレートの法則の分析方法~パレート図の作り方~

パレートの法則をビジネスや品質管理の現場で可視化するためのツールとして「パレート図」が使用されます。パレート図は、棒グラフと線グラフを組み合わせたチャートで、個々の値を降順に棒で表現し、累積合計を線で表現したものです。

パレート図を使用することで、企業はリソースを最も効果的な施策や顧客セグメントに集中的に配置でき、全体の成果を最大化できます。

(出典:Pareto chart

マーケティングや営業の領域における、パレート図の活用例として次のようなケースが想定できます。

施策の効果評価:

マーケティングや営業の施策の中で、どの施策が最も効果的であるかを視覚的に理解するために、パレート図を使用することができます。例えば、さまざまなマーケティングキャンペーンを走らせている中で、どのキャンペーンが最もリードや売上げを生み出しているかを特定するために使用されることがあります。

顧客セグメントの評価:

顧客の中で、最も売上げを生み出しているトップ20%の顧客を特定し、その顧客セグメントに焦点を当てるための戦略を策定する際に、パレート図を使用できます。

製品の売上分析:

企業が多数の製品やサービスを提供している場合、どの製品が最も売上げを生み出しているかを視覚的に理解するためにパレート図を使用できます。

続いて、パレート図の作り方を解説します。

①分析の軸を決める

分析したい指標や評価軸を明確に決定します。分析の目的を明確にすることで、適切な評価軸を選ぶ手助けとなります。例えば「売上向上」を目的とする場合と、「顧客満足度の向上」を目的とする場合では、評価軸が異なる可能性があります。

  • 売上向上→「オンラインショップの商品カテゴリの売上高」
  • 顧客満足度の向上→「顧客からのクレームの件数」

などが考えられます。

②データを収集・リスト化

「STEP1」で決めた評価軸に基づいてデータを収集し、リスト化します。

データ収集後には、データの品質や正確性も確認しましょう。欠損値(特定の項目やフィールドに値が存在しない状態)や外れ値(他の値と比較して極端に大きい、または小さい値のこと。計測ミス、入力ミスなどが原因であることが多い)がないか、またデータが最新であるかどうかをチェックすることが重要です。

また、必要に応じてデータをさらに細かいカテゴリやセグメントに分ける(例:「オンラインショップの売上高」を分析したいなら、「商品カテゴリ」や「期間」で区切るなど)ことで、より詳細な分析が可能となります。

データを確認したら、「STEP1」で決めた評価軸に関して降順に並べ替え、最も大きい値から最も小さい値へと順番に表示します。

ここでは「オンラインショップの各商品カテゴリの、過去1年間の売上データ」を用意します。データベースや販売管理システムからデータをエクスポートし、ExcelやGoogleスプレッドシートを使用して、各商品カテゴリの売上げを高い順(降順)に並べ替えます。

③パレート図へのグラフ化

収集したデータを基に、棒グラフ化します。また、各バー(棒グラフの棒)の累積合計を線グラフとして表示します。これにより、特定の項目が全体のどの程度を占めているのか、またその累積がどのようになっているのかを視覚的に確認することが可能です。

これらのステップを通じて、パレート図を使用してデータを分析し、ビジネス上の意思決定をサポートできます。

パレートの法則を活用する上での注意点

パレートの法則は、多くのビジネスや経済の現象において役立つ法則として知られていますが、その活用には注意が必要です。以下は、パレートの法則を活用する際の主な注意点です。

あくまで仮説であることを忘れない

パレートの法則は、多くの現象において80/20の原則が当てはまるという経験則に基づいています。しかし、これはあくまで一般的な傾向を示すものであり、すべての状況や業界に当てはまるわけではありません。

したがって実際に施策を行うにあたっては、この法則を適用する前に、実際のデータを基に分析を行い、その妥当性を確認することが重要です。

「上位20%以外は意味がない、無駄、不要」とは限らない

パレートの法則に基づくと、特定の結果の大部分は、全体の一部の要因によって生じるとされています。しかし、それが「上位20%の要因だけが重要で、残りの80%が無駄である」という意味ではありません。

実際にはその80%の中にも、将来的に重要となる要因や、現在の戦略との相性が良い要因が含まれている可能性があります。したがって全体の視点を持ち、戦略と照らし合わせて適切な判断を下すことが必要です。

よって、パレートの法則は「ビジネスの費用対効果を最適化したい。重要な20%の施策を明らかにし、そこに集中することでリソースを節約したい」といった着眼点で利用するのが適切でしょう。

「自社にとって、ビジネス上のどの取り組みが最も多くの結果を生み出しているか? 」を確認し、「上位20%以外は切り捨てる」などと早急に判断して長期的に不利益を被らないよう、注意して利用することが大切です。

まとめ

経済学から発展したパレートの法則ですが、「選択と集中」を検討するうえで、ビジネスやマーケティングにおいても非常に役に立つ法則です。

ただ、パレートの法則は使い方を間違えると全く見当違いの結論を引き出してしまうという危険性も含みます。例えば、成果に対する貢献度は正確な数値を計算によって割り出せるケースが少ないこともあり、多くは経験や予測に基づいて算出されます。そのため、貢献度が見当違いであれば当然結果も大きく狂ってしまうでしょう。

パレートの法則をビジネスに活用する際は、できるだけ多くの情報を収集し、各要因の貢献度の精度をできるだけ高くすることが大切となります。