「ドメインパワーを上げれば、SEOランキングも上がる」、このように考えているマーケティング担当者は多いですが、実はこれは間違った考えです。
そもそもドメインパワーとは、検索結果画面に表示される確率を1~100で数値化したもので、GoogleではなくSEOツール開発企業のMozが提唱しました。そしてGoogleだけではなくMozも、ドメインパワーはGoogleのランキング要素ではないと明言しているのです。
それでは、なぜドメインパワーを計測するべきなのでしょうか。その理由は、ドメインパワーを調べることで、自社と競合サイトの客観的な比較や被リンクサイトの傾向を把握できるようになり、戦略的にSEOを進められるようになるからです。
本記事では、ドメインパワーの調べ方や無料で使えるおすすめの計測ツールをご紹介します。
ドメインパワーを提唱したMozは、ドメインパワーを次のように定義しています。
Domain Authority (DA) is a search engine ranking score developed by Moz that predicts how likely a website is to rank in search engine result pages (SERPs).
ドメインオーソリティとは、Mozが開発した検索エンジンランキングスコアで、Webサイトが検索結果画面に表示される確率を予測するもの
(出典:Domain Authority│Moz)
ドメインパワーは、「ドメインオーソリティ」や「ドメインスコア」と表示されることもあり、数字が大きいほど検索画面の上位にWebサイトが表示される可能性が高くなります。
(出典:English Google Webmaster Central office-hours from June 23, 2020│YouTube)
ドメインパワーはSEOに大きな影響を及ぼすと考えられていますが、GoogleはドメインパワーをSEOランキング決定の要因にはしていないと明言している点には注意が必要です。
実際にドメインオーソリティを開発したSEOツールのベンダーMozも、ドメインパワーは上位表示を約束する絶対的な指標ではなく、自社と競合サイトのパフォーマンスを比較する際に有益な指標になると述べています。
(出典:ahrefs)
ドメインパワーがSEOランキング要素ではないならば、なぜドメインパワーが重要なのでしょうか。
Mozと同様に、ドメインパワーの計測ツールを提供するahrefsが21万8000個以上のドメインとキーワードランキングの関係について調べたところ、ドメインパワーが高いほどランキングしたキーワード数が多くなると判明。さらに9億2000万ページを分析した結果、ドメインパワーが高いと自然検索結果流入数が増えると分かっています。
Mozとahrefsのドメインパワー計測ツールは、Webサイトの被リンクの数と質をメイン要因としてドメインパワーを決定します。そして、Googleが明言するように被リンクの数と質はWebサイトの信頼性を測定する指標であり、検索ランキングの重要な要因になっているのです。
例えば、自社と競合がキーワード「ドッグフード」で上位表示を狙い、全く同じ品質のコンテンツを作成した場合、ドメインパワー(信頼性)の高い方が上位表示の可能性があります。
しかし、先にも述べた通りドメインパワーを伸ばすことばかりに注力すべきではありません。そもそもGoogleは、WebサイトではなくWebページをランク付けしているため、どれだけドメインパワーを高めても、ユーザーに価値あるコンテンツを作成できなければ上位表示は困難です。
高品質のコンテンツを作成した結果、良質な被リンクを獲得でき、SEOランクとドメインパワーの向上にもつながるわけであり、ドメインパワーアップ=SEOランクアップというわけではありません。実際に、弊社ブログのドメインパワーは強くはありませんが、上記画像のように上位表示に成功しているキーワードは多々あります。
ドメインパワーは、自社と競合サイトを比較する指標として活用するべきです。例えば、自社よりもドメインパワーの低い競合サイトが、特定のキーワードで上位表示できていれば、自社が入り込む余地は十分にあります。
海外の著名なデジタルマーケターNeil Pate(以下ニール)氏が、22の業界よりトップ7000のWebサイトを分析した結果によると、全体の平均ドメインパワーは38.06、平均ドメインパワーが最も高かった業界はメディア&出版の44.62、次いで、公共&地域サービスの44.61と判明しています。
しかし、重要なのは自社と競合サイトのドメインパワーであるため、この数値はあくまでも参考程度にとどめましょう。
ドメインパワーを計測できる代表的な無料ツールは以下の3つです。
以下では、各ツールの特徴を解説しながら、実際のWebサイトのドメインパワーを計測していきたいと思います。計測するWebサイトは以下の通りです。
(出典:MOZ)
企業名 |
ドメインパワー |
Amazon |
94 |
HubSpotブログ |
45 |
freee会計 |
59 |
MOZはSEOツールを提供する世界的な企業。「Domain Analysis」を使えば、会員登録不要で1日3回までなら無料でドメインパワーの計測ができます。使用手順は以下の通り。
MOZの計測ツールでは、ドメインパワーや被リンク数が多いページ、時系列でドメイン数の増減の確認などの詳細なデータの把握も可能です。
(出典:Ubersuggest)
企業名 |
ドメインパワー |
Amazon |
94 |
HubSpotブログ |
45 |
freee会計 |
59 |
Ubersuggestは、ニール氏が提供するSEO分析ツールです。1日3回までなら無料でドメインパワーの測定ができます。測定手順は以下の通り。
本ツールは日本語にも対応しているため、英語が苦手な方でも問題なくSEO分析できます。ドメインパワーのほか、被リンク数や月間オーガニックトラフィック数、ドメインパワーに好影響を与えているSEOキーワード/ぺージなども把握できます。
(出典:ahrefs)
企業名 |
ドメインパワー |
Amazon |
93 |
HubSpotブログ |
67 |
freee会計 |
80 |
ahrefsはSEOの被リンク分析・競合調査ツール。ウェブサイト権威性チェッカーでは、無料で何度もドメインパワーの測定を行えます。
本ツールで確認できるのは、ドメインパワー・被リンク数・リンク先サイト数の3つ。MozやUbersuggestよりも、ドメインパワーが高く算出される傾向にあるようですが、大切なことは自社のドメインパワーの高さではなく、自社と競合の比較ということは忘れないようにしましょう。
(出典:ahrefs)
ドメインパワー算出画面に表示される [ 上位100件の被リンク ] をクリックすれば、自社サイトを被リンクしているWebサイトとそのドメインパワーが表示されるため、どのようなサイトが、どのページを被リンクしているかを把握し、被リンク獲得対策に活かせます。
ドメインパワーを上げる方法は以下の3つです。
ここからは3つの方法について解説します。
同じ企業がWebサイトAやWebサイトBのように、ドメインを分散させてWebサイトを運用するケースは多いですが、それはドメインパワー低下の原因となるかもしれません。例えば、Aサイトで100の被リンク、Bサイトで100の被リンクを獲得している場合、AサイトとBサイトを統合すれば単純計算で200の被リンクを獲得できるため、ドメインパワーの向上を見込めます。
(出典:301 Redirects for SEO: Everything You Need to Know│ahrefs)
世界的に有名なSEOブログBacklinkoは、他のSEOブログを買収し、301リダイレクトで自社サイトと統合することで、流入数の増大に成功。また、買収したブログの被リンク数も集約されたため、ドメインパワーも上がっていると推測できます。ドメインを集約する際は、元のページのSEO効果を引き継ぐ301リダイレクトを活用しましょう。
リンク切れとは、リンク先のURLにアクセスできない状態であり、主にリンク先のURLの打ち間違いやリンク先のページの削除が原因で発生します。リンク切れがサイト内の他ページのランキングに影響を及ぼすことはありませんが、ユーザビリティやクローラーの巡回効率の悪化の原因となり、ドメインパワー低下を招く恐れがあるのです。
自社のリンク切れページは削除もしくは他のページに張り替え、自社と似た領域のWebサイトがリンク切れページを被リンクしている場合は、メールなどで自社コンテンツの設置を提案してみましょう。リンク切れは、Google Search Consoleやahrefsなどのツールで特定できます。
(出典:URL検査ツール - Google Search Console Training)
Google Search Consoleでリンク切れをチェックする場合、まずはページ上部の検査欄に調査したいURLを入力しましょう。ページ結果が表示されたら、[ カバレッジ ] 欄を確認し、「送信されたURLは404エラーのようです」というメッセージが表示されていれば、リンク切れが発生しています。
ドメインパワーを高めるには、被リンクされるコンテンツ制作が欠かせません。それでは、どのようなコンテンツが被リンクされるのでしょうか。BtoB企業の場合、調査結果や独自性のある見解、分かりやすいインフォグラフィックなどは他サイトが引用しやすいため、被リンクの獲得に貢献します。
また、ahrefsで被リンク調査をしてみると、株式会社ラクスやSansanなどのドメインパワーが強いSaaS企業は製品サービスページが被リンクされることが多いと判明したため、製品の改善や認知度拡大、および製品サイトとブログサイトのドメイン統合などもドメインパワー向上につながると考えられます。
KW「ドメインパワー 目安 上げる 上げる方法」を内部設置
ドメインパワーは、Webサイトが検索ランキング上位に表示される可能性を数値化した指標であり、上位表示を約束する絶対的な指標ではないため、ドメインパワーの向上のみに注力するべきではありません。
自社サイトの過去パフォーマンスや競合サイトとの比較分析にドメインパワーを用いることで、有効なキーワード戦略や被リンク獲得対策などの立案ができます。まずは無料ツールを用いて、自社/競合のドメインパワーや被リンク先などを確認し、戦略的にSEOに取り組んでみましょう。