買い手が自社に対して愛着や信頼感をどれほど持っているかを測定する方法として、NPS(ネットプロモータースコア)アンケートがあります。世界18カ国・地域を対象とした調査結果もあるなど、NPSは他社と比較して自社の立ち位置を把握しやすい点が特徴です。
マーケティングに関わっている方で、カスタマーマーケティングやプロダクトマーケティングを担当している方であれば、顧客の満足度や信頼感を算出するのにNPSを利用しようとする方もいらっしゃるはずです。
海外由来の数値計算方法ということもあり、NPSの計算方法がわからずスコア算出ができない、できたとしても本当にその数値が信頼に値するのかわからないなどと、不安に思っている方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、NPSについて以下の内容を解説します。
自社のNPSを高めることは、ロイヤルティが高い買い手を増やすことを意味し、長期的な売上げを伸ばすことにつながります。NPSを算出して改善を行っていくために、本記事をお役立てください。
NPS(ネットプロモータースコア)とは、「あなたはこの商品を友人や知り合いにどの程度すすめたいですか?」という質問に0~10の数値で回答してもらい、選択した数値によって回答者を「推奨者(9 ~10)」「中立者(7~8)」「批判者(0~6)」に分類し、顧客ロイヤルティと満足度を把握する調査手法です。
NPSは、2003 年に米国の大手コンサルティング会社Bain & CompanyのFred Reichheld(フレッド・ライクヘルド氏)が率いるグループによって開発されました。「推奨者の割合 − 批判者の割合」というシンプルな計算式でありながら、これまで測定が難しいと考えられていた製品やサービスに対する顧客ロイヤルティを数値として算出できるため、世界各国の企業で活用されています。
NPSアンケートに答えた経験のある方は多いでしょう。しかし、「あなたはこの商品を友人や知り合いにどの程度すすめたいですか?」という質問に、8以上の数を選ぶことは割と少ないのではないでしょうか?たとえ満足していても、「すすめたい」とまでは感じないこともあるからです。
NPSは「他者に推奨したい度合い」を質問するため、顧客の感情や思い入れが結果により強く反映されます。また、世界で活用されているアンケートなので、国内外競合他社との比較や自社の業務改善のKPIとしても有効活用できます。
NPSは顧客満足度の測定だけでなく、売上げや収益の増加の予測にも役立ちます。なぜなら、製品やサービスを他者に推奨する度合いが高い顧客が多いほど、紹介や口コミによる新規顧客が増える可能性も高まるからです。
また、他者にそのサービスを推奨したいと考える顧客は、自分もサービスにさらに課金する傾向があります。米国のQualtrics XM Instituteが、20業種331社に対して行った調査「Economics of Net Promoter Score、2017(ネット・プロモーター・スコアの経済学)」によると、推奨者は批判者に比べ再購入の可能性が4倍以上高く、企業の新商品を試す可能性が7倍以上も高いという結果が出ています。
顧客体験(CX)管理プラットフォームを提供するSaaS企業CustomerGaugeの調査でも、NPSスコアが10以上増加すると、アップセルによる収益が3.2%増加するという結果が出ています。
現在はNPSのスコアが高いほどビジネスの成長が期待できると広く認識されており、世界の多くの企業が、NPSを事業の成長可能性を測る指標として活用しています。
現実に、優良企業ほどNPSはハイスコア。以下はtrustmary.comが近年のNPSの統計をまとめたグラフですが、たとえばテスラが96、スターバックスは77です。
(画像出典:https://trustmary.com/nps-net-promoter-score/nps-by-industry/)
NPSは特定のタイミングを設定して実施できるので、商品全体への満足度だけでなく営業、マーケティング、カスタマーサービスなどいろいろな部署の顧客とのタッチポイントのKPIとしても活用できます。
カスタマーサポートに問い合わせたあとのタイミングでNPSを実施すれば、サービススタッフの対応の改善点がわかります。プロダクトの使いやすさについてNPSを実施しUXを改善の参考にすることもできますし、メールマガジンのコンテンツについてNPSを実施することで、コンテンツ企画の参考にすることもできるでしょう。顧客体験(CX)を向上させるのに非常に役立つツールです。
NPSを複数のタッチポイントで実施した結果、最も価格への不満が多ければ価格体系を、品質への不満が多ければ品質改善を優先するなど、自社の優先すべき改善点を明確にできるのもメリットです。
以下は、顧客体験(CX)管理ツールを提供するSaaS企業LUMOAが、100 名以上のカスタマー エクスペリエンス ディレクターを対象に2018年に実施した調査の結果ですが、NPS をCXのKPIで使う企業は64.5%。他の手法を引き離し第1位です。
(出典:LUMOA)
NPSは世界各国で活用されているツールであり、日本でも大企業〜中小企業にまで普及しているため、他社と比較しやすい指標。自社と他社のNPSを比較することで、商品やサービスについての自社の信頼度をシビアに把握できるでしょう。
また、事業部ごとにNPSを実施し他社と比較することで、たとえば「カスタマーサービスの満足度は高いが商品のUXに不満を持つ顧客が多い」など、市場での強みやウィークポイントをつかめます。もし、NPSが高い場合は自社サイトに掲載することで顧客へアピールできるでしょう。
ただし、一般にBtoBのNPSスコアは国内海外とも低い傾向があり、さらに日本は各国よりNPSスコアが極端に低い傾向があり、スコアがマイナスの評価になることも珍しくありません。あくまで同じ市場の他社と比較することがポイントです。
NPSアンケートはさまざまな局面で活用できるものの、顧客に負担がないように回答してもらいやすいタイミングで実施する必要があります。また、事業成長に結びつけるためには事業のボトルネックになりやすいタッチポイントで実施することが必要。以下に、NPSスコアを計算すべきタイミングを紹介します。
オンボーディング(初期体験)とは、顧客がサービスを購入してから定着した状態になるまでの期間。どの時点をオンボーディング完了と指すかはサービスによって異なりますが、SaaSならセットアップ時点か導入後1〜3カ月後くらいのタイミングが目安です。
新しいサービスに慣れるまでは誰でもストレスがかかります。特にSaaSなどの専門サービスは、導入時点でつまずく顧客が少なくありません。場合によってはその時点で解約するケースもあります。だからこそ、オンボーディングの完了時にNPSを実施するのはとても重要です。
米国CXプラットフォームを提供するSaaS企業Qwaryの統計では、顧客が離脱する(Churn:チャーン)理由の中で、オンボーディング体験の悪さが26%をしめています。
仮にすぐ離脱しなくても初期に顧客満足度が下がってしまえば、その後のサービス継続率に大きく影響するでしょう。オンボーディング完了時点でNPSが低い場合は、スコアや顧客のコメントなどを真摯に受け止めてUXや導入サポートを改善していきましょう。批判者に対しては早めにフォローし、解約を防ぐことも大切です。
(出典:Qwary)
NPSを3カ月・6カ月・1年など定期的に測定することで、業務改善施策の効果を検証したり、顧客ロイヤルティの推移を分析できたりします。
たとえば第1四半期には低かったNPSが第3四半期に改善したのであれば、その間の施策の影響がポジティブな効果をもたらしたことが推測できます。逆にスコアが低下している場合、顧客が何らかの不満を持っている可能性があります。ときにはライバル商品の登場が影響していることもあるでしょう。
NPS測定時のコメントを収集すれば、数値の背後にある理由(例: サービスの質、カスタマーサポートの対応、価格など)がわかるので、具体的な改善策を立てやすくなります。
何回か調査をすることで、中心化傾向にあった顧客が自身の気持ちをより反映した回答をしてくれることもあります。たとえば、オンボーディング完了時点に初回調査を行い、その後は半年ごとなど定期的に実施するとよいでしょう。
イベントの参加後、製品アップデートやUXの変更後、カスタマーサポートに問い合わせたあとなどは、NPSを実施しても自然に受けとめられやすいタイミングです。
顧客も体験のすぐあとは記憶も鮮明で回答しやすいため、得られるコメントも具体的な傾向があります。その時期に実施すると、何がよかったのか何にがっかりしたのかを把握しやすいでしょう。
また、イベント参加後であれば、ポジティブな意見を表明した顧客(推奨者) に紹介キャンペーンや口コミキャンペーンの協力依頼をしても自然です。
前述のように 年2回ほど定期的なNPSを実施し、イベント後や製品アップデート時にNPSを実施するのは、顧客に過度な負担がかからないためおすすめです。
NPSはシンプルなアンケートなので、解約時に実施しても問題ありません。もちろん、解約希望顧客は、すでにサービスへの関心を失っており回答してくれない可能性も高いのですが、中には商品・サービスについての不満や課題を率直に述べてくれるケースもあります。
むしろ解約するからこそ利用中は伝えにくい厳しい意見を述べてもらえることもあるため、サービスやプロダクトの弱点がわかります。そこを改善できれば今後の既存顧客のリテンションに役立つでしょう。
解約する顧客の中には、商品に大きな不満がなく、単に活用できていなかったり他社に一時的に関心が移ったりしたケースも含まれています。最後にNPSに対する協力へのお礼を丁寧に伝えれば印象がよくなり、将来戻ってくる可能性もあるでしょう。
NPSを計算する手順は、質問の設定→アンケートの実施→アンケートの収集・計算というステップです。
まず、NPSの質問を設定します。といっても奇をてらわずにテンプレートどおりもしくは限りなく近いメッセージで十分です。
なぜならNPSは広く使われている指標なので回答者も慣れている方が多く、定番の質問だと違和感を持たれません。また、一般的に使われる質問を活用することで、国内外の業界ベンチマークと比較しやすくなります。
NPSアンケートを収集する方法には、顧客にメールを送りリンク経由でNPS質問に回答してもらう形式、Webサイトにログインした際や特定のタイミング後にアンケートを表示する形式、アプリ内のポップアップでのアンケートなどがあります。
(NPSの計算方法)
NPSを算出する際には、まず「この企業を友人や同僚に勧める可能性はどれくらいありますか」というアンケートに対して、調査対象に0〜10の11段階で回答してもらいます。その回答に応じて、調査対象を以下の3種類に分類します。
この分類をした後、NPSを算出する計算方程式は以下の通りです。
たとえば上記の計算式で回答者100人のうち、推奨者が40人(40%)、中立者が30人(30%)、批判者が30人(30%)だった場合、NPSは40 - 30 = 10 となります。
このようにNPSの計算方法は難しくないため、Excelなどの表計算ソフトを使って行うことが可能です。
算出したNPSスコアを評価する際には、グローバルな評価基準、業界内の評価基準、回答のバランスといった視点で解釈しましょう。スコアは-100〜+100の範囲で表されます。推奨者の割合が多くなるほど、NPSのスコアは高くなるので点数は高ければ高いほどよい結果です。
【NPSの評価基準】
※ただし、前述のように日本はNPSのスコアが著しく低く出る傾向があるため、業界平均と比較したり、自社のスコアを時系列で比較することが大切です。
また、NPSの数値だけでなく、推奨者・中立者・批判者のバランスを見ることも重要。批判者が多い場合は、具体的な不満点を特定する必要があります。
中立者が多い場合は顧客が「まあまあ満足」にとどまっていると判断でき、決して悪くはないのですが、たとえばより低価格のサービスが出たときに簡単に乗り換えられてしまう可能性があります。商品・サービスに改善の余地があるでしょう。
NPSの計算は、慣れるまでは難しいと感じる方も少なくないようです。そこでNPSアンケートの計算方法を、例を用いて解説します。
以下の3つのパターンについて、1000人にアンケートを行った際の架空の回答者数を用いてNPSを算出するので、参考にしてください。
「10」と回答した人が最も多く、数字が小さくなるほど、だんだんと回答者が少なくなっていった事例です。この場合、推奨者と批判者の割合は、それぞれ以下の通りに計算されます。
よって、NPSを計算すると以下の通りです。
NPS = 37 − 34 = 3(%)
「この企業(製品サービスやブランド)を友人や同僚に勧める」という人が最も多いにもかかわらず、NPSの値はかろうじてプラスになる程度です。「意外と低い」と感じる方が多いのではないでしょうか。
「0」と回答した人が最も多く、数字が大きくなるほど、だんだんと回答者が少なくなっていった事例です。この場合、推奨者と批判者の割合は、それぞれ以下の通りに計算されます。
よって、NPSを計算すると以下の通りです。
NPS = 3 − 88 = -85(%)
「この企業を友人や同僚に勧める」という人が少ないため、NPSの値は大きなマイナスとなります。
11段階の中心である「5」と回答した人が最も多く、中心から遠ざかるほど、だんだんと回答者が少なくなっていった事例です。この場合、推奨者と批判者の割合は、それぞれ以下の通りに計算されます。
よって、NPSを計算すると以下の通りです。
NPS = 5 − 77 = -72(%)
中心付近の人が多いため、NPSの値は0付近になると思われた方がいらっしゃるかもしれません。しかし実際のNPSの値は、大きなマイナスとなりました。中心付近の「4〜6」と回答した人は「批判者」に分類されるため、数が多いとNPSを低くする要因となるのです。
(中心付近に集まる傾向)
実は日本では、この事例のように回答が中心付近に集まる傾向があると言われています。こうした傾向は、日本ではNPSの値が国際的に見て低いという調査結果に反映されています。
自社のNPSを算出した結果、大きくマイナスな値となると、ショックを受けてしまうかもしれません。しかし、日本のNPSの傾向を知っておくことで、過剰な反応をすることを防げるでしょう。冷静に結果を分析して、改善に生かすことが大切です。
算出したNPSが低かった場合は、「この企業(製品サービスやブランド)を友人や同僚に勧める」という人を増やすために対処するとよいでしょう。自社に高いロイヤルティを持つ人が増えれば、長期的な利益につながると考えられるからです。具体的な対処方法を3つ紹介します。
NPSアンケートでは、自由記述式の質問もあわせて行うと効果的です。0〜10の数値の回答だけではわからない、調査対象の不満やニーズを把握できます。具体的なフィードバックにひとつずつ対応することで、NPSの値を高めていけるでしょう。
たとえば、SaaS企業が買い手に対して行うアンケートであれば、「操作方法がわかりにくい」「問い合わせへの回答が遅い」といったフィードバックが考えられます。こうした声を集めて分類すると、買い手がとくに不満を感じている部分が見えてきます。分類の例は以下の通りです。
不満が多い部分を特定し、優先順位を付けて対応を進めましょう。限られた社内リソースを有効に活用して、効率よくNPSを高める意識を持つことが大切です。
マーケティング担当者がフィードバックを取りまとめた場合、その内容を関係する担当者に伝え、対策を促すことが欠かせません。せっかく集めたフィードバックを無駄にしないように、情報共有の体制を整えておきましょう。
NPSを改善する際には、自社の値を時系列で比較することを重視すべきです。定期的にNPSアンケートを行い、スコアを改善できているのであれば、正しい対処ができていると考えられます。その対処を継続することで、調査対象のロイヤルティを高めていけるでしょう。
NPSはグローバルで統一された基準で計算されるため、他社との比較が容易であるという特徴があります。また、業界や業種ごとの平均値も算出できるので、比較を行って「自社のNPSがどの程度なのか把握したい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
(業界別の平均NPS)
上図は業界別の平均NPSの調査結果です。「デパート、専門店」が58%で最も高く、「インターネットサービス」が2%で最も低いことが読み取れます。
自社のNPSがこうした平均値よりも低い場合、不安や焦りを感じてしまうでしょう。しかし、NPSアンケートの結果はさまざまな要因の影響を受けるものであるため、他社や業界平均の値はあまり気にしないほうがよいといえます。
たとえば、NPSアンケートを「対面で行う」か「インターネットで行う」かによって、回答は影響を受けると考えられます。対面の場合、自分の回答が見られることを意識して、調査対象はよいスコアを選ぶかもしれないのです。
また、NPSは回答があったアンケートから算出される数値であるため、回答率も重要です。わざわざアンケートに協力してくれる人は、自社に好意的である可能性が高いため、回答率が高いほどNPSは高くなりやすいといえます。
他社や業界平均については、NPSが算出された背景にある状況は、正確に把握できない場合が多いでしょう。そのため、NPSの値を信用しすぎないことが大切なのです。
一方、自社のNPSについては、アンケートを行った状況や回答率など、詳細な状況がわかります。毎回同じ状況で、定期的にアンケートを行うことも容易です。NPSは自社の時系列の変化が重要であり、他社との比較結果は、参考にする程度にとどめることをおすすめします。
NPSの向上を目指すのであれば、その方針を社内で広く共有することが大切です。一部の人たちだけで対処しようとしても、調査対象の体験を一貫性を持って改善できないため、成果にはつながりにくいでしょう。
以下の役職のすべての人が、NPSの重要性を認識し、改善に向けて行動することが重要です。
SaaS企業であれば、実際に買い手と接するのは、営業やカスタマーサポートなどの一般役職の社員である場合が多いでしょう。こうした社員がNPSの向上を意識することは、もちろん欠かせません。
それだけでなく、経営層や管理職もNPSの改善のために大きな役割を果たします。一般役職の社員の評価を行ったり、働く環境を整えたりするのは、経営層や管理職の仕事だからです。
「NPSのことはマーケティング担当者の仕事」という意識が社内にあると危険です。中心になるのがマーケティング部門だとしても、他部門の協力が得られなければ、実行できる施策にも限りがあります。
NPSを改善するためには、社員全員で取り組む体制を整える必要があります。調査対象とどう接するかを見直すのと同時に、社内の意識改革にも取り組むとよいでしょう。
NPSの計算は、データの量が少なければ、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用して自分で計算可能です。データが大量の場合は専門ツールを活用すると効率的。以下に、おすすめの計算ツールを紹介します。
(出典:Microsoft Excel)
ExcelやGoogleスプレッドシートを活用してNPSを計算できます。Excel初心者(四則演算、SUM、AVERAGEなどの基本的な関数が活用できるレベル)であっても、推奨者、中立者、批判者の数を手動で入力して、NPSの計算式(推奨者% - 批判者%)にあてはめればスコアを出せます。
計算のステップ例(100人の回答者の場合)
A1: "推奨者" → B1: 50人
A2: "中立者" → B2: 30人
A3: "批判者" → B3: 20人
NPS(%) = 推奨者% - 批判者%
関数を使いこなせる中級者なら、COUNTIFを使って各グループの割合を出し全体のNPSを求める式を組んでもよいでしょう。ExcelやGoogleスプレッドシートに「NPS計算テンプレート」をダウンロードするとさらに効率的です。
(画像出典:Qualtrics)
無料もしくは安価で活用できるNPS計算ツールもいくつかあります。専用ツールとして活用できるものや、無料CRMの一機能として活用できるタイプなどがあるので、用途に応じて使いわけましょう。
無料のNPS調査テンプレート |
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無料CRMの機能にNPS計算ツールもあり |
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NPSのアンケート収集~計算まで可能。 月額4600円/1人〜 |
前述のように日本ではNPSのスコアを業界横断的に測定している企業は少なく、対象もBtocが多いのが現状です。ここでは国内外のデータをもとに平均スコアの目安を解説します。
まず、国内の業界別NPSスコアについては、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が2024年3月に公開した「NPSベンチマーク調査 業界横断分析シリーズ【第2弾】NPS導入状況分析レポート」を紹介します。
最も高いのが代理店型自動車保険で100、ネット証券は66.6、セキュリティソフトが50です(ITサービスやSaaSというカテゴリーはなし)。
一方、海外では業界横断的なNPS調査が複数公開されています。2つ目のグラフは前述のCustomerGauge が毎年実施しているグローバル B2B NPS ベンチマーク調査のデータ。ITserviceが40、コンピューターサービスは36、製造業が58。海外でもBtoBのNPSはそれほど高くありません。
同社の別レポート(有料)ではSaaS 業界の平均 NPS スコアが 36。また、NPS計算ツールのところで紹介したSurveyMonkeyの調査では、B2B ソフトウェアと SaaSは40と出ているので、海外SaaS企業は40前後が目安と推測できるでしょう。
国内企業の業界別NPS
(出典:PRtimes)
海外企業の業界別NPS
(出典:CustomerGauge)
NPSアンケートでは、「この企業(製品サービスやブランド)を友人や同僚に勧める可能性はどれくらいありますか」と調査対象に質問し、0〜10の11段階で回答してもらいます。その回答に応じて、調査対象を以下の3種類に分類します。
この分類をした後、NPSを計算する式は以下の通りです。
NPS(%) = 推奨者の割合 − 批判者の割合
NPSは調査対象が企業やブランドなどに対して、どれほどの愛着や信頼感を持っているかを測定できる指標です。自社の売上げを長期的に伸ばすために、NPSを改善することが役立つでしょう。