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マーケティングのペルソナとは?作り方をテンプレートを利用しながら事例とともにわかりやすく解説

ペルソナ作成はマーケティングのみならず事業活動の基本といえます。オンラインマーケティング主体となった今の時代、ペルソナを作成せずにマーケティングを実行するのは、目的地を明確にせず、何かを送るようなものかもしれません。ネットの海の中に情報がちらばってしまい、なかなか本命の見込み客にメッセージを届けることができません。

もちろん、ペルソナ作成は難しいうえに効果が不明瞭だから乗り気でない、という方もいらっしゃるでしょう。

しかし、近年の米国の統計では、ペルソナを使用している企業はより多くのリードを獲得し (24%)、より高い品質で (56%)、販売サイクルを短縮 (36%) するほか、後述するとおり、さまざまなペルソナの効果を裏付ける事例が出ています。

また、優れたペルソナ作成支援ツールなどもでてきたため、以前よりかなり簡単に作成できるようにもなっています。

本記事では、マーケティングでペルソナを活用すべき理由、テンプレートを活用した簡単なペルソナの作り方を解説します。

ペルソナとは

ペルソナとはマーケティングにおいて、自社の商品を購入して使ってくれる典型的な顧客像を表すために作成する半架空の人物プロファイルです。

下図のように、個人の氏名、勤務先、仕事上の課題、行動パターン、スキル、態度などをまとめた、ペルソナシートで表現されます。架空の人物ですが、実際に存在しそうな人物像にするために氏名もつけます。

このような顔の見えるペルソナを作成すると、開発者やマーケターたちはあいまいなイメージで顧客を想定したり、顧客に自分たちの思考や心理を投影したりせず、顧客視点(ペルソ視点)で考えることが容易になります。

またペルソナを共有することでチームメンバー全員の顧客理解が促進されるため、マーケティング戦略がより訴求するようになり、リード獲得につながる、顧客満足度も向上するなどさまざまな成果につながっていきます。

概要と考え方

ペルソナは、もともと1980年代にIT業界で「Visual Basicの父」と呼ばれるインタラクションデザインコンサルティング会社の創業者Alan Coope(アラン・クーパー)氏が提唱した方法論です。

クーパー氏は、ソフトウェアエンジニアは「ユーザーはこれをどう使うのか?」を考えていないとし、ユーザーのニーズを満たす「目的主導型設計手法」を提唱。そのための実用ツールとして「ペルソナ」という概念を生み出しました。

クーパー氏の活動によってペルソナはまずIT業界で有効性が知られるようになり、その後は、業界問わずさまざまな企業のマーケティング、営業、人事採用などの領域でも広く活用されるようになりました。

本ブログの読者はSaaS業界の方が多いので、以下の書籍などもご覧いただき、ぜひペルソナをマーケティング部門や開発部門でも活用していただきたいと思います。

クーパー氏の著書

(出典:Amazon

マーケティングの目的とペルソナの関係

マーケティングは、売れる仕組みを作ることが最終的な目的です。前述のとおり、ペルソナ作成はマーケティング成果を向上させ、収益をアップさせることに貢献します。

例えば、プロダクトマーケティングの際は、ペルソナを作成し「誰に対しての商品なのか」を明確にして、4P(機能、価格、使いやすさ、場所)を決めていくことが独自性のある商品開発につながります。

マーケティングプロモーションの段階でも、誰(見込み客)に対してメッセージを伝えるかが明確になるので、どのようなチャネルを選定すべきか、どのようなマーケティングコンセプトで展開すべきか、どのようなコンテンツを欲しているかが明確になり、マーケティングの成果向上につながります。

ペルソナの有効性についてさまざま統計結果がありますが、米国の近年の統計から一部ピックアップします。

(出典:40+ buyer persona statistics that showcase their effectiveness(効果を示す40以上のバイヤーペルソナの統計データ

BtoBとBtoCのペルソナとの違い

ペルソナ作成の際は、BtoBとBtoCでは、ペルソナの個性がかなり異なる点をよく意識する必要があります。

BtoBのペルソナは会社の購買を担っているので、ペルソナのいる業界、勤めている企業の規模、社風、決裁権の範囲などが非常に重要な要素。その上にペルソナ自身の個性のプロファイリングが必要です。

BtoCの場合は、大抵個人もしくは家族のための買い物なので、個人の興味、好き嫌い、価値観、年収、ライフスタイルなどが重要な要素になります。

B2BとB2Cのペルソナの違い

ペルソナとターゲティングとの違い

ペルソナ作成とターゲティング(ターゲット市場を決めること)が、混同されることがあるので簡単に解説します。

ターゲティングとは、広大なマーケットの中で自社がどこに商品を展開するのかを決めること。例えば、BtoBなら、市場を業界、企業規模、地域別、課題の種類別などさまざまな軸でセグメンテーションし、市場規模を把握した上で実際にフォーカスする市場を決定することです。

一方、ペルソナとはあくまで顧客の代表的なプロファイル。架空の人物像であり、商品を買ってほしい人たち =訴求対象をベンダー側がまちがわないようにするためのツールです。

活用フェーズとしては、例えば市場をセグメンテーションしターゲティングしたあとです。各セグメントでのペルソナを作成すると、より見込み客にリアリティを持たせることができ、マーケティング戦略を考えやすくなります

あるいはペルソナに基づいて既存顧客をセグメンテーションして、それぞれのグループのボリュームや特性を確認し、マッチングする施策を企画することもできます。

マーケティングのペルソナの作り方

マーケティングペルソナを作成する方法は、さまざまありますが、基本的なステップは、ペルソナに関する情報を集める、整理してまとめ、ストーリー立てていくという流れです。

特に情報収集が重要で、以下のアプローチがあります。

その1:顧客との対話を行う

もっとも有効な方法は、現在の自社の優良顧客にインタビューをし、自社商品を気に入って使ってくれる理由を聞き出すことです。前述のクーパー氏も最初7〜8人のインタビューから始めたそうです。

商品を好きな理由、最初に知ったきっかけ、買おうと思った決め手、使い始めて感じた長所、もっとこうしてほしいなどのニーズを率直に語ってもらうことは、リアリティのあるペルソナ作成に非常に役立ちます。ユーザーコミュニティなどで話を聞いてもよいでしょう。

その2:自社の営業担当にヒアリングを行う

自社の営業担当にヒアリングする方法もあります。

営業担当者は顧客がなぜ自社ツールを気に入っているのかを知っています。また、実際にその企業を開拓したセールス担当者であれば、なぜ他社ではなく自社の商品を顧客が選んだかの理由を明快に語れるでしょう。

顧客とのインタビューでは聞き出せない課題についての辛口の意見も聞ける点もメリットです。

逆に営業担当者が、他社を引き合いに出して現場で断られる理由を聞くことも、自社商品の特徴を浮かび上がらせてくれます。

その3:CRMのデータを探る

CRM(顧客情報管理システム)には、すべての顧客の企業情報、取引情報などが入っています。例えば、ABC分析をして売上げの8割を占めるロイヤル顧客のクライアントの特徴を調べたり、業界別、企業規模別に分析して傾向を調べることも役立ちます。

CRMなどの統計的なデータと顧客インタビューなどの定性的なデータを組み合わせることで、より精度の高いペルソナが作れます。

最後に、1〜3の手法でヒアリングした情報から優良顧客の共通項を抽出し、ペルソナの個性を考えます。難しい場合は顧客インタビューの情報だけでもかまいません。テンプレートにまとめてからチームメンバー、営業担当者、カスタマーサービスチームにフィードバックをもらい、さらに手を加えて完成させます。

ペルソナテンプレートの説明

ペルソナテンプレートは、多くの企業が無料で公開しています。Googleslide、Excel、PowerPointで自作してもよいでしょう。

ちなみにペルソナ作成にかける時間は、米国の2015年の調査では中小企業が22.5〜 72.5 時間。大企業は 55 ~ 102.5 時間とやはり、それなりの時間がかかっています。

しかし、近年は、以下のような時短できるペルソナ作成支援ツールが登場しているので、短時間でできるようになりつつあります。

パターン1 Adobeの無料ペルソナ作成テンプレート

(出典:adobe.com/jp/express/create/user-persona

Adobe Expressは、プロ仕様のデザインのペルソナテンプレートが何千と用意されています。サインインしなくても上記画面の「今すぐペルソナデザインを作成する」をクリックすると作成画面になり、左側のデザインをクリックすると、たたき台が表示され、テキストを入力していけば基本のペルソナが完成。

画像や色の編集も簡単。テキストの内容が決まっている場合、デザインの選択、調整、保存、共有まで数分でできるでしょう。

さらに、自動リサイズ機能を使って印刷用、広告用、SNS用など適したサイズに簡単に修正可能です。本格的に活用する場合、無料体験版、プレミアムプランがありますが、無料プランだけでも、初心者マーケターにとっては十分すぎるほどの機能があります。

(出典:adobe.com/jp/express/create/user-persona

パターン2 HubSpotのマイペルソナ

(出典:HubSpot)

HubSpotのマイペルソナも、簡単にペルソナが作成できる無料のツールです。これまで英語版だけでしたが、2023年5月から日本語バージョンが登場し、より便利になりました。

手順は簡単。サインインしなくても「ペルソナを作成する」をクリックして、まずアバターを選んで名前をつけます。その後、年齢、学歴、業種、役職、ペルソナの課題、活用しているSNSなどについての質問に回答していくと、ペルソナの概要が完成します。

あまりに簡単なので「これでいいのか?」という気すらしますが、ペルソナ作成の必須項目があらかじめ組み込まれています。ペルソナ作成に慣れない人は、まずこちらでペルソナ作成の流れを掴むとよいのではないかと思います。

マーケティングのペルソナの事例5選と作り方をわかりやすく解説

ここでは、マーケティングペルソナの5つの例を紹介します。

BtoBのペルソナの作り方としては、まず、企業規模、業界、担当者の役職などについて、CRMなどの顧客データベースから自社商品を愛用しているクライアントの特徴を抽出します。例えば、「外資系、従業員数規模300~500人、課長クラスが多い」等です。

さらに、優良顧客インタビュー、営業担当者からのヒアリングなどの定性的な情報をまとめます。例えば、企業の区分(外資系、日系大手or中小、ベンチャー)、規模ごとの購買担当者が抱えがちな課題、現在の環境変化における最優先事項、問題解決のための典型的な行動パターン、そして自社製品を愛用する担当者に多い性格的特徴などです。

このあたりの肉付けは、できるだけインタビューなどによる現実に即した情報を盛り込み、リアリティある内容にすることがポイントです。

BtoBのペルソナ1:経理SaaS企業のペルソナ:大企業の経理業務改革に取り組む田中さん

  • 企業: 東証一部上場
  • 役職:(企画好きな)主任
  • 年齢:30代前半

大手日系企業の経理部門に所属する田中さんは、ここ数年で着実にスキルアップし、上司からも信頼され、社内人脈も増加し、業務に余裕が出てきました。

業務改善をテクノロジーで解決したいという課題を持っていますが、社内政治やセキュリティ、ITリテラシーが高くない環境のため四苦八苦しています。大企業独特の安全パイのツール選定が情シス的役割を果たす関連会社(部門)でまかり通っているのも不満。

業務で利用できる機器やネットワーク環境にも制限があり、自身の推進したいツールのベンダーと密接に動かざるを得ないことで時間がかかることもどうにかしたいと思っています。

向上心の高い田中さんは、自社の経理業務をより効率化したいと考え独学でいろいろ学んでいます。密かな目標は全社でシステムを導入して業務効率を改善するプロジェクトを推し進めて、上層部の言うDXの旗頭になれれば、と考えています。

日々、ニュースピックスや日経のメディアで情報を取得しており、大企業とスタートアップの人間が見る共通項のような情報摂取を行い業務に生かすようにしています。自分で説得しきれない場合はベンダーの担当者にも出てきてもらい力を貸してほしいと思っていますが、現状有償で教育を依頼するような決裁権はないのがジレンマです。

【ポイント】

田中さんは大企業で最初に窓口となる担当者です。決裁権はもっていません。しかし、日本企業では部課長などの決定権者がIT関連のプロジェクトについては現場リーダーの意志を尊重することが多いため、DXプロジェクトが立ち上がる際のキーマンになる可能性が高い人材です。

ベンダーとしては、田中さんが、情報収集している段階から定期的に役立つ情報を提供し自社を知ってもらい、信頼関係を育み、最終的には田中さんをアシストができるようなポジションになることが大切です。

BtoBのペルソナ2:Web会議ベンダーのペルソナ:安心安全な株主総会を実施したい大企業法務の佐々木さん

  • 企業:従業員15000名の大企業
  • 役職: 法務部のリーダー的ポジション
  • 年齢:30代前半

メーカーの法務総務部に勤めている佐々木さん。取締役会と株主総会の運営業務をメインに務めており、役員のスケジュール調整や資料の確認・収集、会議室・会場のセッティング、議事録の作成・共有とその進行管理を行っています。

株主総会の運営は入社したタイミングから携わっており、進行管理を務める機関運用業務のリーダー的存在。

しかし、自分がいなくても安心して開催ができるよう、開催ごとに若手に任せる業務内容を変えて機関運営の経験を積んでもらったり、運営内容のマニュアル化に力を入れるなど、若手社員の育成をする役割も務めており、社内からも信頼されています。レポート先はCFO/経営企画本部長や管理部門の役員。

しかし、コロナ禍では、運営方法を急遽変更せざるを得ず、入場制限や時間短縮などの初めて行う運営方法が、適法かどうかを確認する工数が発生したり、そもそも情報が少なかったりと自社にあった運営方法が安定せず課題に感じていました。

【ポイント】

大企業のしかも法務部門となると、絶対に失敗が許されません。佐々木さんは知識があり勉強家で安全安心を何より重視しながら、コミュニケーション能力も高い、いかにも大企業にいる優秀な人材を象徴するペルソナです。

ベンダーは、佐々木さんが読むであろう法務系メディアへの露出、自社サイトにおいては実績(特に大手企業の事例)、第三者機関の評価、サポート体制など、安心感を与えるコンテンツを豊富に揃える必要があります。

BtoBのペルソナ3:人事アウトソーシング企業のペルソナ:人事担当のペルソナ

  • 企業:老舗製造メーカー
  • 役職:人事総務担当リーダー
  • 年齢:30代後半-40代前半

老舗製造メーカー企業の人事総務として仕事をする柏原さん。入社から営業職を数年勤め、工場などの現場へも行き来するなどし、現在の職責にジョブローテーションで異動。その後、人事寄り人事総務において部門のリーダーとして活躍中です。

8人の人事総務担当の1人でリーダー。本業は人事であり、若手のサポートを行いながら採用や社内評価などの制度を作り上げ、かつ経営企画陣営からの上位レイヤーの仕事を受けて、社内調整をする中間管理職的な立場。しかし、基本的には部門長の上長が決裁権を持っており、高額な決裁はできません。

数ヶ月前に次年度から採用ブランディングもかねて「健康経営」を進めてはどうかという話が経営からあり、人事部で検討をしていくことになりました。各メンバーには振ることもできず、基本的知識や他社の事例をネットで調査している状況ですが、なかなか時間も取れておらず企画がまとまりません。

健康経営を実現するためには何をしていいか決めるにも、採用、評価、健康管理など多角的な視点から企業課題を分析しなくてはいけないのですが、それらの具体例や方法が不明で困っています。

特に業界へコネもなく、自分で頭を抱えるか、業界メディアなどで情報を摂取しなくてはいけないため非常に視野が限定的になっていますが、本人は気づいていない状況です。

本人としては営業時代などに比べて人事部では成果が見えにくいのが悩みで、なんとか新施策をわかりやすく成功させたいと思っているものの、他社人事の横のつながりなどもなく試行錯誤が続いています。

【ポイント】

日本企業の人事制度では、30代後半〜40代半ばで新たな部署に異動になります。そこでゼロベースから新たな知識を学ぶのですが、近年の人事領域は戦略人事、健康経営など従来の人事よりさらに高度な能力が必要、かつ人員はそのままというケースがほとんど。

営業部門から異動し、するべきことの多さと成果が明確に図りにくいことにジレンマを感じる柏原さんのようなパターンは、割と多いケースです。

ベンダーとしては、部課長で決裁権者であっても実務は初心者レベルというペルソナを作成して、健康経営というテーマだけでなく、採用、人事制度、研修の在り方、モチベーション向上などさまざまな人事業務に役立つコンテンツを提供していくことが大切です。

BtoCのペルソナ4:社食サービス企業のペルソナ総務の森沢さん

  • 企業:中小IT
  • 役職:人事総務担当
  • 年齢:30代後半-40代前半

IT企業の人事総務として仕事をする森沢さん。人事と総務を兼務しながらオフィス環境の改善や、従業員のサポートをしています。

会社の人間関係は良好ですがオフィスの所在地が主要駅から遠く、飲食環境がよくないため男性従業員はコンビニ食で済ませ、女性従業員は弁当を持参する環境。通勤環境がよくなく、食事環境も良くありません。

人間ドックに引っかかる従業員が徐々に増えてきており、健康コストが上がってくるのではないかという懸念がCOOからも降りてきています。何かしらの解決策がないものかと模索中です。

森沢さんは比較的ルーティン業務が多いのですが経営層から健康のミッションが降ってきており、通常業務に加え新しいチャレンジをする必要があり、ちょっと困惑ぎみです。

一方で、自分でも従業員満足度(社会保険/保障の充実)をあげるためには現状の不満解決が必要だと感じており、新しいチャレンジを模索しています。転職されると中途採用が難しい業種(受託業務)のため、社内の人材の流出は特に避けたいというのが社長からの裏ミッションでもあります。

とはいえ、平日は子供の世話があるため16時半には会社を離れ、朝はご主人と交代で次女を保育園に送り迎えをする忙しい日々を送っています。

在宅勤務もできますが、人事と総務という仕事柄、出勤している従業員に声をかけたり、様子を伺うことも必要だと思い、極力在宅勤務は避けている状況。そのため、これ以上仕事で忙しくなりすぎるとパンクしそうになるかも....… と責任感が強い森沢さんは感じています。

【ポイント】

人事総務部門のエキスパートである森沢さん。人事部門の女性社員によくあるバランス能力のあるタイプ。若者の早期離職やエンゲージメント低下が課題とする企業が多いなか、抜本的な対策をする権限はないものの、何かしら有効な施策を打たなければいけないという立場です。

ワーキングママでもあり多忙なため、アクティブに情報収集する時間もないので、人事総務系のメディアへの露出、基本的な疑問「〇〇とは」での検索を想定した検索エンジン広告はもちろん、紙のDMなどのアナログな手法で情報を目にしてもらうことも有効です。

ペルソナのマーケティング活動への使い方

ペルソナのマーケティングシーンでの具体的な活用方法を紹介します。

カスタマージャーニーマップ作成への利用

マーケティング戦略を立てる最初の段階で、ペルソナとともにカスタマージャーニーも作成します。カスタマージャーニーとは、ペルソナが課題に気付いてから自分たちの企業の商品を知って、検討して、購入して、利用していく典型的な流れを可視化した、いわゆるペルソナごとの購買行動のシミュレーションです。

ペルソナとカスタマージャーニーを作成してマーケティングに着手すると、よりマーケティングチームの顧客理解が深まる、コンバージョン率の高いチャネルを把握できるなどのメリットがあります。

例えば、米国のAberdeen Groupの研究論文では、適切なカスタマージャーニーを作成する企業は、そうでない企業よりもROMIが高いという結果が出ています。

  • 平均販売サイクルが 18 倍速くなる
  • コストを 10 倍抑制する
  • マーケティング投資収益率 (ROMI) が 54% 向上

エクスペリエンスマップ作成への利用

エクスペリエンスマップとは、カスタマージャーニーの時間軸を長くし項目数を多くしたマップであり、購入で終わらず、利用の際の体験、満足度、SNSでシェアするなどの行動まで可視化するマップです。顧客体験を可視化する目的で使われます。

セットアップ時の印象、マニュアルやUIのわかりやすさ、疑問が起きたときのFAQ、サポートの親切さ、実際使ってみて成果が得られて満足したか、満足しシェアする行動までを可視化します。

各ペルソナにもとづいたエクスペリエンスマップを作成することによって、各タッチポイントでの課題がわかります。改善していくことで、顧客満足度、エンゲージメントも向上可能です。

コンテンツ作成への活用

そもそも、コンテンツはペルソナに読んでもらうために作成します。ペルソナの知識レベル、ペルソナの課題、ペルソナが欲しい情報にもとづいてコンテンツを制作できるように、コンテンツマップ、コンテンツ考案シートなどにペルソナの項目を組み込んでおくとよいでしょう。

ペルソナの個人プロフィールが明確だと、アイデアを思いつきやすくなりますし、作り手本位のコンテンツになることを防ぎます。

米国の著名なビジネスコンサルタントMark Schaefer(マーク・シェーファー)氏の経験則によると、通常、3 ~ 4 人のバイヤー ペルソナが企業の売上げの 90% 以上を占めているそうなので、精度高いペルソナ複数人に向けたコンテンツストーリーを考案すれば、訴求対象をほぼカバーできるかもしれません。

少し古いデータですが、購入者ペルソナの使用でWeb ページの訪問数が 100% 増加し、訪問期間が 900% 増加し、マーケティングで得られる収益が 171% 増加したという事例もあります。

例えば、以下はGoogleスプレッドシートの「コンテンツ考案シート」。左側がコンテンツの内容です。右側にペルソナA、ペルソナB、ペルソナCとの「コミュニケーション」の欄があります。ひとつのコンテンツで各ペルソナに何を訴求したいかを書き込め、複数のペルソナを想定している際に便利なテンプレートです。

一連のコンテンツで各ペルソナに何をどのように訴求していけばよいか、コンテンツストーリーが立てやすくなります。

Googleのコンテンツ考案シート

(出典:Google Drive

社内教育への利用

マーケティング部門では、お客様と直に接する機会が多くないため、どうしても現場担当者より顧客理解が浅くなりがちです。マーケティング部門のチームメンバーの顧客理解を促進させる教育用にもペルソナは有効です。

顧客理解が深まれば、日々の仕事上の判断もたしかなものになり、気づきも多くなります。またペルソナがあることで、分業しているマーケティング施策の連携もスムーズになり、マーケティング成果にも影響してきます。

ペルソナを共有するだけでも有効ですが、ペルソナ作成のワークショップなどを開き自分たちで作成してもらうと、より見込み客の個性やライフスタイルを理解できるようになるでしょう。

まとめ

マーケティング部門は、基本的にオフィス業務であり、顧客と接する機会は限られています。

しかし、営業部門と同じく収益への貢献が期待されている部署であり、マーケターは、広大な市場のどこかにいる見込み客にメッセージを発信して、問い合わせてもらうという難易度の高い戦略を成功させなければなりません。その成功確率を高めるのがペルソナでありカスタマージャーニーです。

もちろん、会ったことのない人たちの購買心理・行動のシミュレーションを完璧にできる人は、おそらく世の中にいないでしょう。

しかし仮に50〜60点くらいのペルソナ作成しかできなくとも、顧客理解があいまいなまま施策を進めるよりはるかに成果につながります。また、作り慣れながらブラッシュアップさせて行くことで、ペルソナの精度も上がっていくでしょう。

景気やトレンドの変化があれば、ペルソナの環境が変わり、課題の優先事項も変化します。定期的にペルソナをアップデートすることは、現在の市場に最適化したマーケティング戦略を組み立てる上でも重要です。

日本企業の多くがセグメンテーション、ターゲティングまでは実施しているかと思いますので、ぜひペルソナ、カスタマージャーニー作成も工程に加えていただければ、より成果につながるマーケティングにつながるのではないかと考えます。