コンバージョンレート(CVR)とは?コンバージョンレートの計算と高める方法を説明

2023/10/25
BtoBマーケティング コンバージョンレート(CVR) コンバージョンレート(CVR)とは?コンバージョンレートの計算と高める方法を説明

デジタルマーケティングに関わる人なら「コンバージョンレート(CVR)を改善しよう」「CV率が高いor低い」などの言葉をよく耳にするのではないでしょうか。コンバージョンレート(CVR)は、事業活動において特にマーケティングの進捗を表す重要な指標として利用されます。

2017年に米国のインターネットマーケティング担当者を対象に行われた調査研究では、回答者の50%がCRO(コンバージョン率最適化)が「デジタルマーケティング戦略全体にとって重要である」と回答しています。CV率の向上はマーケティング先進国でも重要視されているのです。

しかしコンバージョンレート(CVR)は、サイトによって「顧客転換率」「目標達成率」と定義されていたり、「資料をダウンロードした数」「セミナー申込者数」と書かれていたりします。広義で解釈すると営業活動にも利用される用語になるため、わかったようなわからないような、もやもやした感覚になる人もいるでしょう。

そこで本記事では、そもそもコンバージョンレート(CVR)とは何か? 計算方法や使われ方をわかりやすく解説します。

コンバージョンレート(CVR)とは

コンバージョンレート(CVR)とは、英語の「Conversion」と「Rate」を組み合わせた用語であり、単語の意味は以下の通りです。

・Conversion(コンバージョン)=転換(すること)、転化

・Rate(レイト)=率

Conversion rate(コンバージョンレート)とは、簡単に言えば何かを転換した率、マーケティング領域では「ユーザーに起こして欲しいアクションが行われた率」ですが、何を成果(コンバージョンした)と定義するかによって、さまざまなCVRがあります。

たとえばECサイトでは、サイト訪問者が購入した割合を「CVR=顧客転換率」と言うケースが多くみられます。BtoB企業の場合は1回のサイト訪問、1回のウェビナー経由で即購入というケースは少ないため、コンバージョンは導入よりもユーザーのアクション率(例えば、サイト訪問者が資料請求した割合、問い合わせした割合、メールマガジン購読した割合)と設定されることが多いで

CVRが使われる意味の例:

  • WEB訪問者がコンテンツをダウンロードした率
  • WEB訪問者が問い合わせフォームから問い合わせた率
  • メールマガジン登録
  • 広告のクリック率
  • リードからの顧客転換率(導入した割合)
  • ウェビナーからの購入率、問い合わせ率、他

CVRを測定することで、各マーケティング施策の有効性や各広告の効果を比較できます。

CVRとCTR・CPAの違い

CVRと混同されるのがCTAとCPAです。これらの指標はすべて、デジタルマーケティングの効果を測定する上で重要な指標ですが、これらはコンバージョンプロセスの異なる側面に焦点を当てています。

まずはCTRから見ていきましょう。CTR(Click Through Rate)とは「クリック率」のことであり、広告やリンク、CTAなどをクリックしたユーザーの割合を測定します。CTRの計算式は、(広告またはリンクのクリック数 ÷ 広告を見た人の総数) × 100% です。

CPA(Cost Per Acquisiton)とは「顧客獲得単価」であり、1人の顧客やユーザーが購入・資料請求のようなコンバージョン行動を起こすのに、どれだけの費用を費やしたかを理解するのに役立ちます。CPAは、総コスト ÷ コンバージョン数で算出できます。

CVRとCTR・CPAの違い

コンバージョンレート(CVR)がなぜ重要なのか

コンバージョンレートを測定するべき理由は、施策の貢献度合いや改善点の把握をするためです。たとえば、Webページのコンバージョンレートが低ければ、WebページにおけるCTAの設置位置や文言などに改善の余地があることを示します。

また、複数のマーケティング施策を展開している場合、コンバージョンレートを基に予算配分を最適化できます。仮にGoogleリスティング広告のコンバージョンレートが高く、Facebook広告のコンバージョンレートが低いとしましょう。この場合、Facebook広告の予算を減らし、Googleリスティング広告にさらなる予算を投下するとよいかもしれません。

このようにコンバージョンレートを見ることで、各マーケティング活動のパフォーマンスを測定し、パフォーマンスの評価やデータに基づいた意思決定、戦略の最適化などが可能になります。

コンバージョンレート(CVR)の計算方法

コンバージョンレート(CVR)の計算方法はシンプルです。

単純に「コンバージョンしたユーザー数 ÷ 訪問者数 × 100」で算出できます。3カ月間、半年、1年など、マーケティング担当者が自分が知りたい期間を決めて、対象期間中の数字をピックアップして以下の式で計算します。

コンバージョンレート(CVR)の計算方法

コンバージョンレート(CVR)の参考値

ただコンバージョンレートを見るだけでは効果的な分析はできません。過去のコンバージョンレートもしくはベンチマークのコンバージョンレートと比較することで、現状の把握ができるのです。ここからは、Web広告やEメールなどの業界別コンバージョンレート平均値をご紹介します。

Web広告

Web広告と一口に言っても、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などさまざまです。今回はWordStreamの調査より、Googleリスティング広告とディスプレイ広告の業種別CVRをご紹介します。

コンバージョンレート(CVR)の参考値

全業種におけるコンバージョンレートの平均は、リスティング広告で3.75%、ディスプレイ広告で0.77%です。リスティング広告は、悩みや課題の解決策を探す「顕在層」にリーチできるため、コンバージョンレートは高い傾向にあります。

リスティング広告の平均コンバージョンレートが5%を超える業界に属している場合、ランディングページへの動画の活用や積極的なオファーなどで購買意欲を高める工夫をするとよいでしょう。

Webサイト・LP

WordStreamによれば、BtoBのWebサイトの平均コンバージョンレートは2.23%とのこと。また、株式会社WACULが21社のBtoBサービスサイトを分析した結果によれば、新規ユーザーの直帰率は38.2%、平均セッション時間は208.3秒(約3分50秒)、直行CV率(全CVのうち入口ページ → フォーム → CVと直行したCV数の割合)は58.0%と判明しています。

WACUL株式会社の調査結果

(出典:株式会社WACUL

つまり、新規ユーザーの約4割は入口ページを少し見て離脱するのです。また、直行CV率が58.0%と高い理由としては、コンバージョンユーザーの半数以上が初めから自社への興味関心を持っているからでしょう。だからこそ、入口ページのわかりやすいところにCTAを設置して、質の高いユーザーを逃さないようにしなければいけません。

Eメール

Benchmark社が約1万人のユーザーを対象にした調査によれば、メルマガの平均開封率は23.13%、平均クリック率は3.39%とのこと。業種別の平均クリック率は以下の通りです。

Eメール

たとえば、テクノロジー業界に属する企業の場合、1000通のメールを配信すれば253名が開封し、そのうち約8名がメールに記載されているURLをクリックします。MailChimpが1000名以上の購読者を持つメールキャンペーンを対象にした調査では、平均クリック率が2.62%と判明していることからも、平均は2〜4%程度と認識しておくとよいでしょう。

コンバージョンレート(CVR)の使われるシーン

施策によって、コンバージョンレートの定義は異なります。ここからは、メール・ウェビナー・Webサイト・営業でのコンバージョンレートの使い方をご紹介します。

メール施策でのコンバージョンレート(CVR)

Eメールは、メールマーケティングはもちろん、ブログ、ウェビナー、オウンドメディアの最新情報を送信するなど、デジタルマーケティングになくてはならないツールです。Eメールにおけるコンバージョンレートには以下があります。

  • メール開封率のCVR=メール開封者数/メール受信者数
  • メール内URLクリックのCVR=クリックした人の数/メール受信者数
  • メールからのセミナー申込者のCVR = メールからのセミナー申込者数/メール受信者数、他

メール開封率のCVRを見ることで、メールのタイトルや内容、配信日時の良し悪しを分析できます。URLクリックのCVRを見れば、メールで案内しているブログやウェビナーに対するユーザーの興味関心を把握できます。

ウェビナー施策でのコンバージョンレート(CVR)

BtoB企業において、ウェビナー施策の重要性が増しています。ON24の調査によれば、マーケティングパフォーマンスの高い企業は月に3〜5回ウェビナーを開催しているとのこと。ウェビナー施策における主なコンバージョンレートは以下の通りです。

  • ウェビナーの申し込み率
  • ウェビナーの参加率
  • アーカイブ動画の視聴数
  • ウェビナー/アーカイブ動画後のデモや無料トライアルなどへの申し込み

たとえば、SaaSソフトウェア企業が無料デモの問い合わせを目的にウェビナーを開催するとした場合、各コンバージョンレートの計算は次の通りになります。

  • 申し込み率:ウェビナー登録ページに1000人の訪問者があり、そのうち100人がウェビナーに登録した場合、登録率は (100 ÷ 1000) × 100% = 10% です。
  • 参加率:登録した100人のうち、実際にウェビナーに参加した人数が80人ならば、ウェビナー参加率は (80 ÷ 100) × 100% = 80% です。
  • コンバージョンレート: ウェビナー参加者のうち、20人がウェビナー終了後に無料デモに申し込んだ場合、コンバージョンレートは(20 ÷ 80) × 100% = 25% です。

ウェビナー後は、申し込み率・参加率・コンバージョンレートを分析することで、集客施策やコンテンツ内容などの改善へとつなげられます。

Webサイト訪問でのコンバージョンレート(CVR)

Webサイト訪問ユーザーの中には、自社への興味関心が高いユーザーが多くいます。そのため、コンバージョンレートを適切に測定して最適化し、質の高いユーザーを取りこぼさないようにしなければいけません。BtoB企業のWebサイトにおける主なコンバージョンレートは下記のとおりです。

  • リード化率: 訪問者が問い合わせフォームなどを記入し、リード(見込み客)になる割合
  • 無料トライアル/デモ申し込み率:ウェブサイト訪問者が無料トライアルを申し込む割合。購買意欲の高い潜在顧客を把握できる
  • コンテンツダウンロード率: ホワイトペーパーやeBook、ケーススタディなどの資料をダウンロードする割合。リードの質や関心を評価できる。
  • メルマガ購読率:ウェブサイト訪問者がメルマガを購読する割合
  • セミナー/ウェビナー申し込み率:セミナーやウェビナーに登録する割合

このようにWebサイトには、多くのコンバージョンポイントが存在します。詳しくは後述しますが、入口ページを起点にユーザーを回遊させるのではなく、多くの入口ページを作り、そのページ内でユーザーが求める情報をすべて提供する作りが効果的でしょう。

広告施策でのコンバージョンレート(CVR)

広告施策でのコンバージョンレートは、広告キャンペーンの効果を評価し、広告から訪れたユーザーが購入や問い合わせなどのコンバージョン行動をする割合を示す指標です。

  • コンバージョンレート = (コンバージョン数 ÷ 広告のクリック・視聴回数) × 100%

コンバージョンレートを分析することで、広告施策の改善点を特定できます。たとえば、リスティング広告のコンバージョンレートに影響を与えるのは、広告文もしくはランディングページです。

広告の表示・クリック回数が十分なのにも関わらず、コンバージョンレートが低い場合、ランディングページに何かしらの問題があると推測できます。また、複数チャネルで広告を出稿しているなら、コンバージョンレートを基に予算戦略の最適化をするとよいでしょう。

リードライフサイクルや営業プロセスにおけるコンバージョンレート(CVR)

リードにはライフサイクルがあります。BtoB企業の購買担当者が、広告やオウンドメディアで製品・サービスを認知してすぐに購入するケースは稀です。

一般には、まず情報を収集し、他社の製品・サービスと比べたり、メールマガジンやブログなど企業が送ってくるコンテンツで企業哲学を理解したりしながら、徐々に企業への信頼感・親密感を持ち(エンゲージメントを向上させます)、購入を決定します。

HubSpotでは、リードライフスタイルを6段階のステージで設定していますが、要所要所でコンバージョンレートを計測すると、マーケティング施策がスムーズに進んでいるか見えやすくなるでしょう。

コンバージョンレート設定の例:

  • 広告に興味を惹かれWebサイトに訪問した(Visitの段階)
  • 興味あるコンテンツを見つけメールアドレス登録(CVR=リードへの転換率)
  • 詳細な事例やホワイトペーパーをダウンロード(CVR=MQLへの転換率)
  • 見積もり依頼の問い合わせ(CVR=SQLへの転換率)
  • 営業マンが見積提案(Opportunity)
  • 契約(CVR=顧客への転換)

リードライフサイクル

(出典:https://www.thekingdom.com

コンバージョンレート(CVR)を上げるために見るべきところ

コンバージョンレート(CVR)を計測し、改善する目的は、良質のリードを顧客に転換して売上げ拡大につなげることです。

デジタルマーケティングでは、リードの母集団を集めるだけであればそれほど苦労しません。しかし、Webサイトや無料ウェビナーに多数の来場者があっても、その中に見込み客候補が少なければCVRは低下します。マーケティング担当者、セールス担当者も労多く報われずになってしまいます。

CVRを改善するポイント自体はシンプルです。自社に最適なターゲットに、最適なタイミングで、最適なコンテンツ/情報を届けること。言うのは易しですが、これを行うのは複雑です。だからこそ、事前にペルソナカスタマージャーニーの設定が欠かせません。

最初の母集団が大きくペルソナからずれないこと、自社が貢献したい相手を間違えないことがポイントだと留意しましょう。その上で、これからご紹介する各施策の改善ポイントを実施してみてください。

広告改善でみるべきところ

広告のコンバージョンレート改善の際には、以下3つのポイントを確認しましょう。

  • ターゲット
  • キーワード
  • Webサイト・ランディングページ

ここからは、各ポイントの詳細を解説します。

ターゲットがあっているか

Web広告に取り組むうえで、最初に行うべきことはターゲットの明確化です。Web広告では膨大な数のユーザーにアプローチできますが、マスを狙うことで、誰にも刺さらない広告となってしまいます。ターゲットのデモグラフィックだけではなく、悩みや欲求などの心理状況まで明確化することで、コンバージョンレートを高めるWeb広告運営が可能です。

すでにWeb広告を運用していてコンバージョンレートが悪い場合は、ターゲット設定を見直しましょう。多くのWeb広告では、デモグラフィックや興味関心、Web行動などを基に広告を配信する相手を絞り込む高精度のターゲティング機能が提供されています。まずは作成したペルソナに適したターゲティング設定ができているか確認しましょう。

キーワードがあっているか

リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーの検索語句に適した広告が配信されます。つまり、広告を配信するキーワードによって、アプローチするユーザーが変わるのです。コンバージョンレートが悪い場合は、キーワードを見直しましょう。

リスティング広告の例

たとえば、建設業向けのプロジェクト管理ツールを提供するSaaS企業が、「プロジェクト管理」で広告を出稿したとしましょう。この場合、建設業以外の業界に属するターゲットにリーチしてコンバージョンレートが低下するだけではなく、競争率の高い(=クリック単価の高い)キーワードへの出稿により、費用対効果悪化も招いてしまいます。

BtoB企業の場合は、業界固有のキーワードや問題解決に関連するキーワードなど具体性の高いキーワードを選定するとよいでしょう。

また、定期的に実際に広告が配信された検索語句を確認し、コンバージョンにつながっていないキーワードは除外設定するのも有効です。ターゲット層のニーズや興味関心にマッチしたキーワードを選定しましょう。

Webサイト・ランディングページの内容と文脈は合っているか

Web広告で多くのユーザーを集客できたとしても、製品サービスの詳細を訴求するWebサイト・ランディングページが最適化できていなければ、ユーザーはコンバージョンしません。

コピーやCTAの位置、ページ速度など確認すべきポイントは多々ありますが、まずは広告とランディングページの内容が一致しているかどうかを見ましょう。ページのコンテンツ内容と広告の約束が一致していなければ、ユーザーは離脱してしまいます。その他の改善点については、次の項目でみていきましょう。

Webサイト・ランディングページ改善でみるべきところ

Webサイト・ランディングページのコンバージョンレートを改善する際は、下記ポイントを確認しましょう。

  • 魅力的なページになっているか
  • フォーム項目の数
  • ページの導入
  • CTA

各ポイントの詳細を解説します。

訪問者にとって魅力的なページになっているか

Webサイト・ランディングページは第一印象が重要です。ニールセン・ノーマン・グループの調査によれば、Webサイト訪問ユーザーは有益な情報を見つけられなければ10〜20秒で離脱すると判明しています。そのため、ファーストビュー(ユーザーがWebページを表示したときに最初に目に入るエリア)でユーザーが求める情報を提供することが重要です。

MONiPLAT

(出典:MONiPLAT

上記は製造業向けの設備点検プラットフォーム「モニプラット」公式サイトのファーストビューです。製品の特長をわかりやすく表したキャッチコピー、製品画像、さらに3つのCTAボタンが設置されており、ユーザーは求める情報をすぐに得られます。

フォーム項目が多すぎないか

ユーザーがコンバージョンに至らない理由のひとつに、フォーム項目があります。記入事項が多すぎると、ユーザーは負担を感じ、離脱してしまうのです。Zukoの調査によれば、ソフトウェア業界におけるフォームの完了率は60.85%であり、約40%が途中でフォーム入力をやめていると判明しています。

hubspotのフォーム

(出典:HubSpot

そもそもフォームの目的は、リードナーチャリングやクオリフィケーションに必要な情報を得ることのため、eBookダウンロードやウェビナー申し込みなどがコンバージョンの場合は下記項目を設置すれば十分ではないでしょうか。

  • 氏名
  • 仕事のEメールアドレス
  • 電話番号
  • 部署
  • 役職

フォーム入力の完了率を高めるためにも、設置項目を絞り込み、ユーザーの入力負担を減らしましょう。

ページの導線が悪くないか

先にご紹介した株式会社WACULやニールセン・ノーマン・グループの調査が示すように、Webサイト訪問ユーザーは約3分でコンバージョンするかどうかを決めます。この短時間で必要な情報を提供するためには、ユーザーが摩擦なくページを移動できるように、導線を最適化しなければいけません。

https://twitter.com/sogitani_baigie/status/1593056099531644928

また、Webサイト制作会社ベイジの代表枌谷(そぎたに)氏は「現代のWebサイトの基本はLPの集合体であり、入口を大量に作りそのページ内で決着させる前提で設計するべき」と述べます。

Webサイトでの製品説明の時間が短い点を踏まえると、枌谷氏の考えは非常に効果的だと思われます。実際にベイジは、各サービスページでユーザーが求める情報をすべて提供する形式を採用しているのです。

ベイジのサービスページ

(出典:株式会社ベイジ

ユーザーが摩擦を感じずに情報を得られるように導線を整える、もしくはLP集合体のWebサイト制作をするとよいでしょう。

CTAはわかりやすくなっているか

CTAはコンバージョンレートに大きな影響を与える要素です。CTAのわかりやすさは、位置・デザインで決まります。まず大前提として、ファーストビューにCTAを設置しましょう。Webサイトをじっくりと読み込まないユーザーがいれば、「とりあえず資料請求をして製品サービスを検討したい」と考えるユーザーもいるためです。

ロンドンのヴィンヤードホテルのCTA

(出典:VWO

また、わかりやすいCTAを作成しなければいけません。ロンドンのヴィンヤードホテルは、テキストベースのCTAから一目クリックできるとわかるCTAボタンへと変更することで、コンバージョンレート32.12%の向上をしました。

Campaign Monitorの調査では、ボタンベースのCTAはテキストベースのCTAよりもクリック率が28%向上すると判明しているため、目立つ色のCTAボタンを設置するとよいでしょう。

メール改善でみるべきところ

メールのコンバージョンレートを改善する際は、下記ポイントを確認しましょう。

  • 件名
  • メール内容
  • スマートフォンに対応しているか

ここからは、各改善ポイントの詳細を見ていきましょう。

件名は魅力的か

開封率が悪い場合、まずは件名の改善から取り組み、多くの顧客にメールを読んでもらえるようにしましょう。Finances Onlineによれば、回答者の64%が「件名で開封するかどうかを決める」と回答。また、HubSpotの調査では最も効果的な件名のひとつに「パーソナライズ化されたもの」が挙げられています。

たとえば、件名で受信者の名前を呼びかける、「製造業向け」のように業界に特化したメールであることを伝えるなどのパーソナライズ化が考えられます。A/Bテストを実行して、件名の最適化に取り組みましょう。

メールの内容が受信者に合っているか

コンバージョンレートが悪い原因のひとつに、メールの内容が受信者に合っていないことが挙げられます。デモグラフィックや閲覧履歴、購買履歴などに基づいて顧客をセグメント化し、各セグメントに適したメールを配信しましょう。

optimoveの調査

(出典:optimove

optimoveの調査では、セグメント化したマーケティングキャンペーンの展開によりLTV(顧客生涯価値)が33%向上するとのこと。セグメント配信をすることで、受信者とメール内容の関連性が高まるため、コンバージョンレートの向上を見込めます。

スマートフォンでも見やすいか

Statiscaの調査では、メールの46%がスマートフォンで開封されていると判明しています。BtoB企業においても、スマートフォンでメールを閲覧するユーザーが増加しているため、レスポンシブデザイン(ユーザーの使用デバイスに応じて最適化するデザイン)に対応したメール作成が欠かせません。

そうでなければ、ユーザーによっては崩れたメールデザインが表示されてしまい、コンバージョンレートの悪化やメールリストからの退会を招いてしまいます。デザインのほかにも、件名を15~20文字にする、画像ファイルサイズを最適化して読み込み速度を早くするなどの工夫が必要です。

リードライフサイクルや営業プロセスにおけるのCVR改善のポイント

BtoBの場合、商材にもよりますがリードから顧客となるまで半年~1年くらいかかる場合もあれば、2~3年かかることもあります。そのため、なかなかCVRが改善しないとあせりが生まれるかもしれません。

しかし前述のように、セグメンテーションとペルソナ設定ができているうえで、集まった訪問者に価値あるコンテンツを段階的に提供し続けていれば、CVRは改善を行いやすくなっていきます。

逆にそこが適当で、コンテンツを段階的に設計しない、セグメントを区切らない、ペルソナを作成しない、という状況でCVRを改善することは不可能に近いでしょう。マーケティング担当者もセールス担当者も、雑務に追われるわりに成果があまり出ない可能性が、筆者の経験上極めて高くなります。

ポイント

  • ペルソナを設定する
  • カスタマージャーニーを作り、見込み客と出会える最適なチャネルを選択する
  • ペルソナにとって価値あるコンテンツを作成する
  • 定期的にA/Bテストを行い、CVRを計測し、自社の過去データと比較し改善していく

地味で緻密な作業ですが、データと検証し改善し続けていくことが大切です。

(参考:HubSpot Movable InkGoogle

まとめ

コンバージョンレート(CVR)は、マーケティングの成果を表す重要な指標です。CVRを計測することで、Webサイトやメールマーケティング、Web広告などの各施策の効果を測定し、改善点を特定できます。

しかし、コンバージョンレートを見るだけでは、効果のある改善点の特定は困難です。重要なのは、各施策におけるコンバージョンレートに影響を与える要素を把握すること。Web広告なら、広告の表示回数やクリック率など。メールマーケティングなら、開封率やクリック率などが影響を与えます。

kpiツリーの例

(出典:adflex)

ロジックツリー(課題を分解して具体的な原因や解決策をツリー上に書き出すフレームワーク)などを活用すれば、効率よくコンバージョンレートのボトルネックを発見できます。

CVRを出す計算式は単純です。Google オプティマイズなどの無償のツールもあります。ただし、そこから、CVRを向上させていくことが大変なのです。

CVR数値をもとに改善すべき箇所をピックアップし(仮説を立てて)、実際に改善やテストをして、再びCVRを検証するといった繰り返しです。まさしく数字と格闘するような感じだと言えます。しかし、数字は嘘をつきません。CVRを指標に地道な努力を続けていけば、成果につながっていくでしょう。

著者情報 戸栗 頌平(とぐりしょうへい)

株式会社LEAPT(レプト)の代表。BtoB専業のマーケティング支援会社でのコンサルティング業務、自社マーケティング業務、営業業務などを経て、HubSpot日本法人の立ち上げを一人で行い、後に日本法人第1号社員マーケティング責任者として創業期を牽引。B2Bの中小規模企業のマーケティングに精通。趣味で国外のマーケティングイベント、スポーツイベント、ボランティアなどに参加している。

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